JP2896452B2 - 感光材料処理装置 - Google Patents

感光材料処理装置

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JP2896452B2 JP21229092A JP21229092A JP2896452B2 JP 2896452 B2 JP2896452 B2 JP 2896452B2 JP 21229092 A JP21229092 A JP 21229092A JP 21229092 A JP21229092 A JP 21229092A JP 2896452 B2 JP2896452 B2 JP 2896452B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、感光材料搬送路を介し
て連通した、複数の処理室に充填された処理液に感光材
料を浸漬して処理する感光材料処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にハロゲン化銀写真感光材料を浸漬
処理するには、均一な処理のために多量の処理液を収容
した処理槽を用いている。処理槽内に多量の処理液を収
容して感光材料を処理することにより、感光材料の膜面
において処理液が良好に交換される。感光材料の処理に
伴い、感光材料の膜面には膜中から溶出した成分の層
(境膜)が生じ、感光材料を迅速かつ良好に処理するに
は、この境膜を破壊することが必要である。処理槽内に
搬送ローラが配設された装置では、搬送ローラが感光材
料を挟持搬送することにより感光材料上の境膜が破壊さ
れ、処理液を良好に交換することができる。
【0003】一方、少ない処理液で感光材料を処理する
ための装置として、スリット型処理槽が提案されている
(特開平61−77851号、同63−131138
号、同63−216050号等)。この処理槽では、空
気と処理液との接触面積(開口度)が小さく、空気中の
酸素や炭酸ガスが液中に入るのを少なくして処理液の劣
化を防止している。また、タンク液量が少ないので、感
光材料の処理時に補充液を補充すると処理液に対する補
充液の比率が高く、閑散処理時の処理液劣化を防止する
ことができる。
【0004】更に、少ない処理液でかつ機能を分化して
処理するための処理装置として多室処理装置が提案され
ている(特開平1−267648号、同2−13054
8号、同2−240651号等)。多室処理装置として
は、多数の処理室が断面スリット部を介して連通した構
成の装置があり、断面スリット部には処理液の流通を遮
断するためのシール部材等が設けられており、感光材料
を処理していないときは各室間を処理液が移動しないよ
うになっている。感光材料が断面スリット部を通過する
ときに、シール部材が感光材料に弾性的に接するように
構成された装置では、感光材料通過時にも処理液の移動
を防止するとともに、感光材料上の境膜を破壊すること
ができる。
【0005】また、上記多室処理装置で水洗処理を行う
には、複数の処理室の間で、感光材料搬送方向下流側か
ら上流側の処理室にわずかずつ水洗水が流れるように構
成され、いわゆる多段向流状態になっていることが望ま
しい。連通する処理室間で感光材料及び処理液を移動可
能にしたシール構成としては、片持支持した一対の弾性
ブレードの先端部を弾性的に重接させたり、片持支持し
た一片の弾性ブレードの先端部を対向壁面に弾性的に重
接させる構成がある。このような構成によれば、弾性ブ
レードの弾性力に抗して感光材料を搬送することによ
り、感光材料はブレードに接しながら進行することがで
き、このとき感光材料の幅方向両端に生じた感光材料厚
み分の間隙から処理液も移動することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記シール構
成は感光材料の通過時にもシール性能が比較的高く、感
光材料の両端に生じた間隙だけでは処理液の移動量が少
なく、これでは理想的な向流状態を生じさせるには不十
分であることがわかった。そこで、別に向流用のオーバ
ーフローの流路を設けことが考えられるが、この流路に
開閉弁を設けて制御しない限り、ブレード付近の濃い液
が前室に流れ込んでしまい、これも理想的な向流でなく
なってしまう。ブレード付近ではブレードによる掻き取
り作用で感光材料から溶出した前浴成分の濃度が高くな
っており、この高濃度液が後室に混入すると向流状態が
得られず洗浄が良好に行われない。特に、近年、環境保
護の観点から低補充、低廃液である使用処理液量が少な
い処理装置が望まれており、このような処理液量が少な
い装置にあっては、感光材料に同伴される高濃度液が少
量であっても汚染の影響は極めて大きい。
【0007】ブレード付近で処理液が部分的に濃くなら
ないようにするには、各処理室の特にブレード付近に攪
拌手段が必要であるが、攪拌の影響でブレード近傍が高
圧になり液漏れが生じ、前記同様に理想的な向流になら
ない。また、攪拌構成も複雑になり、上記のような多室
処理装置において攪拌手段を設けることは、構成の上か
ら極めて困難である。
【0008】本発明の目的は上記従来の問題を解決する
ことにあり、連通する処理槽の間で、感光材料を搬送し
ていないときには液移動がなく、感光材料を搬送してい
るときには所定量の液移動があり、多室処理槽において
理想的なカスケード状態が得られる感光材料処理装置を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る上記目的
は、下記(1)から(4)の構成により達成される。 (1) 処理液が充填される感光材料搬送路を介して連
通した、複数の処理室に充填された処理液に感光材料を
浸漬して処理する感光材料処理装置において、感光材料
との接触面側に処理液通路となり得る窪みを有する硬質
部材と、該硬質部材と液密に当接する柔軟性部材とを、
隣接する処理室間の感光材料搬送路に設け、前記感光材
料を前記両部材間に案内し、前記感光材料を前記両部材
と摺接させて搬送することを特徴とする感光材料処理装
置。
【0010】(2) 処理槽を隔壁により仕切り、該隔
壁の一方側を単室に、他方側を多室に構成し、前記隔壁
の下方を通って前記単室側から前記多室側に前記感光材
料を搬送することを特徴とする前記(1)に記載の感光
材料処理装置。 (3) 前記単室が断面スリット状の処理室であること
を特徴とする前記(2)に記載の感光材料処理装置。 (4) キレート剤、酸化防止剤、界面活性剤、防バイ
剤(殺菌剤を含む)、画像安定剤のうちの少なくとも1
種以上の化合物が含有される洗浄液を前記処理室に充填
して感光材料を処理する前記(1)、(2)、(3)の
いずれか1つに記載の感光材料処理装置。
【0011】
【作用】感光材料との接触面側、特に乳剤面との間で処
理液通路となり得る窪んだ部分を有する硬質部材と、該
硬質部材と液密に当接する柔軟性部材とを、隣接する処
理室間の感光材料搬送路に設けて、これらの間に感光材
料を通して搬送することにより、感光材料の通過時に前
記硬質部材と感光材料との間に間隙が生じ、この間隙を
処理液が流通可能となる。そして、感光材料の剛性を考
慮して窪みの大きさを設定することにより所望の流通量
が得られ、適正なオーバーフロー量を設定することがで
き、多室処理槽での好ましい向流状態が得られる。
【0012】一対の弾性ブレードを感光材料が通過可能
に重接させるペアブレード方式では、感光材料の通過時
に感光材料の幅方向両端に生じた間隙からわずかに液が
移動するが、移動量が微量であるので感光材料が同伴す
る濃い液を除ききれない。また、液の移動量を増やすた
めに処理室間にサイホン(バイパス)を形成すると、サ
イホンを通って液が向流するので感光材料を向流で洗え
ない。また、ペアブレードの重接力を緩くすると、感光
材料が通過していないときでも液漏れがある。更に、一
片の弾性ブレードを感光材料が通過可能に壁面に係合さ
せるシングルブレード方式では、ペアブレード方式より
も感光材料通過性が良いが、感光材料の幅方向両端に生
じる間隙が更に狭くなるので液移動量が更に少なくなり
好ましくない。したがって、本発明のように、シングル
ブレードと接する硬質部材に、窪みとなる凹凸を設け、
感光材料通過時は感光材料の好ましくは乳剤面との間に
間隙を生じさせ、乳剤面にきれいな液を向流させること
により、乳剤面から不要薬品を有効に洗い出すことがで
きる。
【0013】向流状態により処理して効果が上がるの
は、特に感光材料の乳剤面に付着した前浴の不要成分及
び乳剤膜中にある前浴の不要成分を除去することを目的
とする洗浄処理であり、このことから、本発明は感光材
料の洗浄処理に特に有効である。なお、ここでいう洗浄
処理とは、感光材料に付着又は含浸された不要成分を除
去する処理であり、具体的には、例えば水洗処理、安定
化処理がある。更に、不要成分を除去する意味での洗浄
処理は、広くは銀の洗い出し作用である脱銀処理を行う
定着処理をも含み、本発明は多段カスケードで行う定着
処理にも効果がある。
【0014】洗浄処理において、特に、前記柔軟性部材
が感光材料のバック面に均一に接し、前記硬質部材が感
光材料の乳剤面に接するように設けることにより、柔軟
性部材がバック面と接することによりバック面から除去
すべき成分が均一に掻き取られる。感光材料通過時に
は、乳剤面上では硬質部材の凹凸部に間隙が生じ、この
面上できれいな水が向流することにより、乳剤膜から成
分が溶出し溶出物は前室へと効果的に分離される。硬質
部材と乳剤面との間を液が適当に向流することにより、
高濃度液は柔軟性部材の下流側に漏れることはない。そ
こで、感光材料搬送方向の最下流の処理室に処理液を補
充して乳剤面と硬質部材との間隙からオーバーフロー状
態を生じさせれば、処理液は順に感光材料の移動とは逆
に搬送方向上流側へ向けてオーバーフローして良好なカ
スケード状態が得られる。したがって、多室処理槽が最
終処理室から少量の処理液を補充する好ましい構成であ
っても、多室処理槽が理想的な多段向流状態となり、感
光材料を良好に洗浄処理することができる。
【0015】硬質部材と柔軟性部材とで各室を仕切ると
き、感光材料の乳剤面はどちらの部材に接してもある程
度の効果は得られるが、上述したように硬質部材側に感
光材料の乳剤面が接するほうが好ましい。また、このよ
うな仕切り部を有する多室処理槽では、未処理時の期間
が著しく長いときにはこの仕切り部からわずか液が漏れ
る。静止期間が長いとこの漏れが多量になる。特に、感
光材料を下方へ向けて搬送する搬入側は前液の比重の高
い液が入るため途中に仕切り部があると重力の作用で次
室に漏れやすい。しかし感光材料を上方へ向けて搬送す
る搬出側では逆に後室程きれいな水で比重も小さく、こ
のようなことは起こらない。
【0016】また、感光材料のジャムが発生した際に、
処理槽内の搬送ラック等の部材を取り外してジャムを解
除すると、各処理室にあった処理液が混合されて処理槽
内に溜まる。感光材料搬送路に沿ってほぼ等しい容積の
処理室が配置されていると、処理槽内に溜まる処理液
は、これらの処理室のうち搬送路に沿った中間に位置す
る処理室内の清浄度とほぼ等しくなる。しかし、隔壁を
介した両側で処理部の構成が異なり、感光材料搬送路に
沿った処理前半部(隔壁の一方側)が断面スリット状の
処理室で、処理後半部(隔壁の他方側)が多室処理槽で
ある構成により、前半部の液が後半部に比べてかなり少
なくなるので、ジャム解除時の処理液混合は後半成分が
多く(すなわちきれいな水成分が多く、前槽からの持ち
込み薬品の濃さは従来よりも薄く)なり、処理槽内に溜
まる処理液は上記よりも清浄度が高い。したがって、ジ
ャム解除後に再度搬送ラック等の部材を装填したときの
処理液の再平衡が早くなる。
【0017】本発明は上記のように洗浄処理に特に効果
があるが、多室処理槽の処理室のうちの、少なくとも1
室(以下、所定の処理室という)に、キレート剤、酸化
防止剤、界面活性剤、防バイ剤(殺菌剤を含む)、画像
安定剤のうちの少なくとも1種以上の化合物を含有する
洗浄液を用いた場合に更に顕著な効果がある。この場
合、上記所定の処理室内の洗浄液中の各添加剤の含有量
は、以下の通りである。 キレート剤 0.2〜5g/リットル 酸化防止剤 0.5〜30g/リットル 界面活性剤 0.2〜2g/リットル 防バイ剤(殺菌剤を含む) 0.2〜5g/リットル 画像安定剤 0.2〜5g/リットル
【0018】これらの添加剤の詳細については、特開平
2−242249号公報に記載されている。これらの添
加剤を適宜所定の処理室内の洗浄液中に含有させること
によって、洗浄液の処理性能を維持したり、水洗処理工
程の所定の時期に好ましい添加剤を含有させた洗浄液に
よる処理、水カビの発生のない処理、処理後における画
像の安定性が得られる処理、沈澱発生のない処理、乾燥
ムラの発生のない処理、乾燥が早い処理、処理済の感光
材料にカビの発生がない処理等が可能となる。これらの
添加剤を含有した洗浄液を用いれば、上記のような効果
があるが、洗浄浴の前浴からFe3+、S2 3 2-、SO
3 2-などが持ち込まれると上記効果も低くなってしま
う。
【0019】例えば、キレート剤、酸化防止剤、画像安
定剤の少なくとも1つを含む洗浄液中にFe3+が持ち込
まれると、キレート機能(カルシウム除去効果)、酸化
防止機能、画像安定機能が低下し、酸化防止機能の低下
と共に硫化物やコロイド銀等の沈澱物が発生する。ま
た、界面活性剤を含む洗浄液にFe3+、S2 3 2-、S
3 2-が持ち込まれると、界面活性機能が低下して乾燥
ムラが生じる。更に、防バイ剤を含む洗浄液にS2 3
2-が持ち込まれると、S2 3 2-がバクテリアの餌とな
って防バイ効果が著しく低下する。
【0020】ところが、前記硬質部材と柔軟性部材とに
より感光材料通路を遮断しながらも、感光材料通過時に
は所定量の処理液が向流する多室処理槽を有する処理装
置によれば、感光材料搬送方向下流側ほど確実に清浄度
が高いカスケード状態になる。上記添加剤は一般に最終
処理室もしくは最終に近い処理室に添加されることが好
ましいが、多室処理槽が良好なカスケード状態になって
いれば、添加剤を含有した処理室まで前浴の成分が持ち
込まれることはないので、各添加剤による効果が低下す
ることはない。本発明において、洗浄処理は、感光材料
中から前段の処理で用いられた薬品を除去する操作を意
味する。したがって、洗浄処理は、安定化処理や節水水
洗処理を含む概念であり、洗浄液はそのような処理の際
に用いるものを含めた意味とする。このような洗浄液と
しては、少なくとも一室に充填される洗浄液が前記のよ
うに添加剤を含有するという条件下で、水道水、蒸留
水、イオン交換水等の水洗水と、これらの水に添加剤を
加えたものが挙げられる。
【0021】
【実施態様】以下、添付図面を参照して本発明の一実施
態様を説明する。ただし本発明は本実施態様のみに限定
されず、本発明の技術的思想に基づいていかなる変更も
可能である。図1は本発明の実施態様である水洗処理を
行う水洗槽2の断面図である。露光後の感光材料Sは、
例えば現像、漂白、定着の各処理を施された後、水洗槽
2に搬送されて水洗処理される。水洗槽2は隔壁4によ
り2槽に仕切られており、隔壁4の両側での処理槽の形
状は異なっている。隔壁4の図中左方は、感光材料搬送
路に沿った縦断面及び搬送路と直交する横断面がスリッ
ト状である1室からなるスリット処理槽6が構成されて
おり、使用する処理液量が極めて少ない。また、隔壁4
の図中右方は、連通した複数の処理室8a〜8dが上下
に積設された多室処理槽8が構成されている。スリット
処理槽6及び多室処理槽8は、それぞれ搬送ラック1
0、12に組み付けられたブロック体により構成されて
おり、各搬送ラック10、12を水洗槽2内に装填する
ことにより、水洗槽2内にスリット処理槽6及び多室処
理槽8が形成される。
【0022】水洗(洗浄)を効率的に行うためには、最
終処理室8dに補充孔を設けて洗浄水を補充し、感光材
料通過時は各処理室間の仕切り部を通って洗浄水が向流
で流れ、スリット処理槽6の上段部にオーバーフロー孔
を設けて順調に向流するように設定する。感光材料Sは
隔壁4の下方を通って一方の処理槽から他方の処理槽へ
搬送されるが、本装置のように水洗処理を行う装置の場
合には、感光材料Sをスリット処理槽6から隔壁4の下
を通して多室処理槽8へ搬送することが好ましい。ただ
し、処理の内容によっては、スリット処理槽6から多室
処理槽8へ搬送しても、多室処理槽8からスリット処理
槽6へ搬送してもよい。
【0023】多室処理槽8の最終の処理室8dに新鮮な
水洗水が補充され、各処理室8d〜8a内の水洗水は感
光材料搬送方向の上流に向かってオーバーフローし、ス
リット処理槽6の上部から処理槽の外へオーバーフロー
して排出されるようになっている。スリット処理槽6及
び多室処理槽8において、感光材料Sは搬送ローラ対1
4により処理液中に浸漬搬送される。スリット処理槽6
の上部、隔壁4の下部、及び多室処理槽8の隣接する処
理室8a〜8d間にはブレードシャッタ16が設けてあ
る。このブレードシャッタ16は、感光材料Sの搬送時
には感光材料Sの進行の障害とならないように変形し、
しかも感光材料Sが搬送されていないときには、隣接す
る処理室8a〜8d間を液密にシールして処理室8a〜
8d間で処理液が移動しないようにしている。
【0024】図2を参照してブレードシャッタ16の構
成について説明する。図2(a)はブレードシャッタ全
体の斜視図である。ブレードシャッタ16は可撓性ブレ
ード18と、このブレード18が自身の弾性力により密
接する硬質ブロック20とからなる。図2(b)に示す
ように、硬質ブロック20は樹脂等の耐薬品性を有する
硬質部材からなり、断面が概ね半円形又は半楕円形状の
柱状体である。ブロック20の感光材料Sと接する側に
は複数の窪み21が形成されている。ブレード18は他
の支持ブロック22に固定されて片持支持されており、
図中上方への弾性力を生じている。そして、ブレード1
8は弾性力によりブロック20の長手方向全域に密接し
て処理液の移動を防止している。ただし、ブレード18
の弾性力は、感光材料Sの進行を妨げないように設定さ
れている。なお、ブレード18の長手方向の両端部は処
理槽内壁と液密になっている。
【0025】図2に示す構成の場合、感光材料Sは上方
から下方に向けて搬送され、図1の多室処理槽8に設け
た場合には、図2(a)は下方から見た状態を表してい
る。
【0026】図3はブレードシャッタの平面図であり、
(a)は感光材料Sが通過していない状態を示し、
(b)は感光材料Sが通過している状態を示す。感光材
料Sが搬送されてブレード18に接すると、感光材料S
の搬送力がブレード18の弾性力に打ち勝ち、それまで
ブロック20との間で液密に接していたブレード18を
感光材料Sが押し退けて進行する。その結果、感光材料
Sとブロック20との間に間隙24が生じ、この間隙2
4を通って液が流動することができる。これはブレード
18が柔軟性を有するのでブロック20の窪み21によ
る凹凸に馴染んで液密になるが、これらの間に感光材料
Sが入ると、感光材料Sはある程度の剛性を持つため、
ブロック20の凹凸に馴染まず間隙24を作るからであ
る。すなわち、このブロック20の凹凸は柔軟性部材と
の接触で液密になり、ある程度の剛性を有する感光材料
Sとの接触で間隙24ができるように設計されている。
こうすることにより、感光材料Sの通過抵抗も小さくな
り、ジャム等の発生も著しく減少させることができる。
【0027】感光材料Sがブレード18とブロック20
との間を通過するときに前記間隙24が生ずるように、
ブレード18が接するブロック20は、図2(b)に示
すように感光材料Sと接する側に窪み21が形成されて
いる。窪み21はブレード18とは密接することができ
るが、感光材料Sとは接しないようになっており、窪み
21の形状は、感光材料S及びブレード18の剛性を考
慮して設定されている。
【0028】図3(a)に示すように、ブレード18は
ブロック20の窪み21と密接し、かつブロック20の
長手方向(感光材料Sの幅方向)全域に密接することが
できるように剛性が設定されており、感光材料Sが通過
しないときにシール機能を発揮することができる。これ
に対し、感光材料Sは、ブレード18よりも剛性が高
く、図3(b)に示すように、感光材料Sがブロック2
0とブレード18との間を進行したときに、感光材料S
はブロック20と接してはいるものの窪み21とは接し
ていない。その結果、窪み21の部分でブロック20と
感光材料Sとの間に間隙24が形成され、感光材料Sの
通過時に処理液も他の処理室に移動可能となる。したが
って、感光材料Sがブロック20とブレード18との間
を通過しているときに処理液も上流側の処理室に向かっ
てオーバーフローし、多室処理槽8は多段向流状態にな
る。
【0029】図1において、最上の処理室8dには水洗
水が補充され水洗水が余剰状態にある。このとき感光材
料Sが多室処理槽8を上方に向けて搬送されると、感光
材料Sとブロック20との間隙24を通って、最上にあ
る各処理室8dからその下方にある各処理室8cに処理
液が流れ込む。上方(搬送方向下流)から下方(搬送方
向上流)に向かって処理液がカスケード状態になってい
るので、下流にある処理室ほど清浄度が高くなってお
り、感光材料Sは効率良く洗浄される。
【0030】感光材料Sがブロック20とブレード18
との間を通るとき、感光材料Sのバック面がブレード1
8と接することが好ましい。ブロック20には上記のよ
うに窪み21が形成されているので、感光材料Sは幅方
向全域がブロック20と接しないが、ブレード18とは
幅方向全域が接する。したがって、感光材料Sの乳剤面
がブロック20側にあれば、乳剤面とブロック20との
間隙24から感光材料搬送方向とは逆にきれいな水が向
流で流れ込むため、感光材料乳剤膜中の不要成分を洗い
流すのに有効である。しかも、前室との仕切部付近の高
濃度液は薄められ、洗浄効果が向上する。一方、バック
面はブレード18と幅方向に均一に摺接して、次室への
液持ち込みを防止する。このとき、乳剤面とブロック2
0との摺接により一部はスキージー効果、一部は水洗水
の向流効果により、乳剤膜中から例えばチオ硫酸イオ
ン、キレート鉄イオン、染料、増感色素、カルシウムな
どの不要成分が除去され、該成分の高濃度液が向流水洗
水で薄められ、一部がスキージー効果で次室への移動を
防止され、効率良く洗浄される。
【0031】感光材料Sの乳剤面側では、感光材料Sと
ブロック20との間に間隙が生じるので、処理液の流通
が可能となる。単に、処理液の流通が可能であると下流
側の処理室に処理液が移動することもあるが、本装置
は、最下流の処理室8dに補充液が補充されているの
で、最下流の処理室8dから順に処理液がオーバーフロ
ーするので、上流側に向く処理液流が生じており、この
液流の影響で処理液は確実に上流に向けて流れ、下流に
向けて逆流することはない。
【0032】また、やや効果は劣るが、感光材料Sの乳
剤面がブレード18と摺接してもよく、この場合には、
乳剤面に付着していた前浴(例えば定着処理浴)の処理
液成分はブレード18により掻き取られ、更に乳剤膜に
含まれていた成分も洗い出される。このとき、ブレード
18の直上流側では、乳剤膜表面に付着していた成分や
膜中から溶出した成分が乳剤面近傍で滞留しており、こ
の部分の処理液は濃厚状態にある。このような濃厚液を
均一に分散させるためには、ブレード18の直上流近傍
での攪拌を良好にすればよいが、別に攪拌手段を設ける
ことは装置の構成上困難である。しかし、上記のように
感光材料Sがブロック20とブレード18との間を通過
するときに、処理液は上流に向かってオーバーフローす
るので、オーバーフローした処理液の流れにより濃厚液
が分散される。したがって、乳剤膜中から除去する成分
の溶出率が濃厚液の影響で低下することはなく、感光材
料Sは効率良く洗浄される。
【0033】上記構成によるカスケード状態が維持され
ると、キレート剤、酸化防止剤、界面活性剤、防バイ剤
(殺菌剤を含む)、画像安定剤の少なくとも1つを含む
水洗水を用いたときに顕著な効果を奏する。キレート剤
は水洗水中のカルシウムを除去する目的で添加され、酸
化防止剤は水洗水の酸化を防止する目的で添加され、界
面活性剤は洗浄後の乾燥ムラを防止する目的で添加さ
れ、防バイ剤(殺菌剤を含む)は水洗水中のバクテリア
の発生を防止する目的で添加され、画像安定剤は画像保
存性を良くする目的で添加される。これらの添加剤は、
一般に最終処理室8dもしくはその前の処理室8cに、
補充液と共に添加されるが、良好なカスケード状態が維
持されていないと、これらの処理室8d、8cにまで
も、定着液中に含まれているFe3+、S2 3 2-、SO
3 2-などが持ち込まれてしまう。すると、これら持ち込
まれた成分の影響で各添加剤の機能が低下して、補充量
が適正であっても、画像安定性、水洗水の酸化防止、バ
クテリアの発生防止、カルシウム除去、乾燥ムラの防止
等の設計通りの目的を達することができなくなってしま
う。この場合には、洗浄水の補充を多くすることで目的
を達成することができるが、廃液が多くなるのであまり
好ましくない。しかし、上記のような適正にカスケード
状態が維持された多室処理槽であれば、添加剤の機能を
損なうことなく洗浄処理することができる。
【0034】上記実施態様は最も好ましい態様であり、
隔壁4の左方がスリット処理槽6であるが、隔壁の左方
の処理部はスリット状でない通常のタンク型処理槽であ
ってもよい。また、隔壁4の左方でも多室処理槽8を構
成してもよい。この場合、各処理室間は前記と同様にブ
レードシャッタ16が設けられる。
【0035】上記実施態様におけるブロック20も図示
の形状に限らず、感光材料Sとの摺接時に感光材料Sと
の間に部分的な間隙を生じるような形状であればよく、
以下にその具体例を説明する。図4はブレード18が接
するブロックの変形例の斜視図である。図4(a)に示
すブロック26は螺旋状の窪み28が表面に形成された
ものであり、図4(b)に示すブロック30は、長手方
向の中央から放射状に広がるの窪み32が表面に形成さ
れたものである。これらのブロック26、30のよう
に、感光材料Sと接する側に部分的な窪み28、32が
形成され、感光材料Sの幅方向にわたる平坦な部分がな
ければ、感光材料Sと接した際に感光材料Sとブロック
26、30との間に間隙が生じ、この間隙を通って処理
液が移動可能となる。感光材料の進行方向に対してブロ
ック20の凹凸の形態が平衡や垂直になっていないほう
が洗浄効果が大きくて良い。この理由は、感光材料がブ
ロックに接している位置が感光材料移動中にわずかにず
れる効果があり、これが乳剤膜の均一な洗浄に有効だか
らである。
【0036】図5はブロック及びブレードの他の構成に
よるブレードシャッタの平面図であり、(a)は感光材
料Sが通過していない状態を表し、(b)は感光材料S
が通過している状態を表す。ブロック34は前記ブロッ
ク20、26、30と同様に断面が半円形又は半楕円形
状の柱状体であり、感光材料Sが接する側に複数の溝3
6が形成されている。また、ブレード38は前記ブレー
ド18と同様に柔軟性を有し、支持ブロック40に片持
支持されているが、前記の平坦なブレード20と異な
り、ブロック34の溝36と液密に嵌合可能なリブ42
が形成されている。
【0037】ブロック34に溝36が形成され、ブレー
ド38にリブ42が形成されていることにより、感光材
料Sがブロック34とブレード38との間を通過してい
ないときは、図5(a)に示すように溝36とリブ42
とが液密に嵌合し処理液の移動を防止している。これに
対し、感光材料Sがブロック34とブレード38との間
を通過するときには、感光材料Sの搬送駆動力によりブ
レード38が押し退けられ、更に感光材料Sが進行する
ことにより感光材料Sとブロック34との間で、溝36
が間隙44となって処理液が流通可能となる。また、感
光材料Sの他方の面側でも、隣接したリブ42間で感光
材料Sとの間に間隙46が形成され、ここでも処理液が
流通可能となる。
【0038】このように、ブレードシャッタ16は、溝
36とリブ42との嵌合により液密状態になるような構
成であってもよく、この場合、溝36及びリブ42の形
状は図示に限らず、前記のような窪み21及び該窪み2
1に嵌合する形状のリブであってもよい。このような形
態であれば、感光材料の乳剤面はどちらに接しても同様
であるが、ブレードの材質にもよるが、一般にブレード
とバック面との接触抵抗が大きいことから、この場合は
むしろ洗浄性よりも搬送性を採用してブレード側が乳剤
面のほうがよい。隔壁4により仕切られた処理槽を形成
するには、多室処理槽(後半)とスリット処理槽(前
半)とをあらかじめ作っておき、この2槽をドッキング
形成してもよいし、処理槽に隔壁が脱着自在に嵌合する
溝を形成しこの溝に隔壁4を押し込んで形成してもよ
い。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、感光材料との接触面側
に窪んだ部分を有する硬質部材と、該硬質部材と液密に
接する柔軟性部材とを、多室処理槽の隣接した処理室間
の感光材料通路に設けたことにより、感光材料が両部材
の間を通過するときに、それまで閉塞されていた窪み部
分が処理液の通路となり、隣接した処理室の間で処理液
が適正に流通する。したがって、感光材料搬送方向に沿
った最下流側の処理室に補充液を補充することにより、
隣接する処理室間で上流に向けて処理液がオーバーフロ
ーして理想的なカスケード状態が得られ、多段向流方式
の感光材料処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施態様である感光材料処理槽
の断面図である。
【図2】図2(a)はブレードシャッタの斜視図であ
り、(b)はブロックの斜視図である
【図3】図3(a)はブレードシャッタを感光材料が通
過していない状態の平面図、(b)は感光材料が通過し
ている状態の平面図である。
【図4】図4はブロックの変形例の斜視図である。
【図5】図5はブレードシャッタの変形例の平面図であ
り、(a)は感光材料が通過していない状態、(b)は
感光材料が通過している状態を表す。
【符号の説明】
S 感光材料 2 水洗槽 4 隔壁 6 スリット処理槽 8 多室処理槽 10、12 搬送ラック 14 搬送ローラ 16 ブレードシャッタ 18、38 ブレード 20、26、30、34 ブロック 21、28、32 窪み 22、40 支持ブロック 24、44、46 間隙 36 溝 42 リブ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理液が充填される感光材料搬送路を介
    して連通した、複数の処理室に充填された処理液に感光
    材料を浸漬して処理する感光材料処理装置において、 感光材料との接触面側に処理液通路となり得る窪みを有
    する硬質部材と、該硬質部材と液密に当接する柔軟性部
    材とを、隣接する処理室間の感光材料搬送路に設け、前
    記感光材料を前記両部材間に案内し、前記感光材料を前
    記両部材と摺接させて搬送することを特徴とする感光材
    料処理装置。
  2. 【請求項2】 処理槽を隔壁により仕切り、該隔壁の一
    方側を単室に、他方側を多室に構成し、前記隔壁の下方
    を通って前記単室側から前記多室側に前記感光材料を搬
    送することを特徴とする請求項1に記載の感光材料処理
    装置。
  3. 【請求項3】 前記単室が断面スリット状の処理室であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の感光材料処理装
    置。
  4. 【請求項4】 キレート剤、酸化防止剤、界面活性剤、
    防バイ剤(殺菌剤を含む)、画像安定剤のうちの少なく
    とも1種以上の化合物が含有される洗浄液を前記処理室
    に充填して感光材料を処理する請求項1、2、3のいず
    れか1項に記載の感光材料処理装置。
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