JP2895423B2 - ガス調理器の内部ケースの構造 - Google Patents

ガス調理器の内部ケースの構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚を焼く時などに
使用されるガス調理器の焙焼器のケースとして用いられ
る内部ケースの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガス調理器は上面にガスコンロを、内部
に焙焼器(グリル調理器と称されることもある)をそれ
ぞれ設けて形成されるものであって、ガスコンロでは鍋
等をかけて調理することが、また焙焼器では魚などを焼
いたりして調理することがそれぞれ行われている。そし
て従来より上記焙焼器のケースとして用いられる内部ケ
ースはステンレスやホーローで形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしガス調理器の内
部ケースをステンレスで形成すると、内部ケースの上部
が高温となって変色するという問題があり、また内部ケ
ースの内面に着いた油が容易に取れず、油汚れが目立つ
という問題があり、さらに耐食性が低いという問題があ
った。またガス調理器の内部ケースをホーローで形成す
ると、寸法精度を高くすることができないという問題が
あった。
【0004】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、変色を防止することができ、また油汚れを目立た
ないようにすることができ、さらに耐食性を高くするこ
とができ、加えて寸法精度を高くすることができるガス
調理器の内部ケースの構造を提供することを目的とする
ものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
のガス調理器の内部ケースの構造は、アルミめっき鋼板
を所望の形状に成型して内部ケース21を形成し、この
内部ケース21を加熱処理して表面にアルミニウムと鉄
のポーラスな合金層2を形成して成ることを特徴とする
ものである。
【0006】また本発明の請求項2に記載の発明は、請
求項1の構成に加えて、700〜800℃で加熱処理す
ることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図3に示すように本実施例のガス調理器Aの外部
ケース10は、本体ケース40と本体ケース40の上に
載置される天板11とで形成されている。本体ケース4
0は鋼板などを折り曲げ加工やプレス成形して上面が開
口する有底の箱状に作成してあり、その前面の中央部に
は本体ケース40の内外に開口する開口部13が設けて
あると共に開口部13の側方には後述するガスコンロ5
や内部バーナー22に点火するための点火スイッチ14
やガスコンロ5や内部バーナー22の火力を調節する火
力調節スイッチ16が設けてある。
【0008】天板11には本体ケース40の内外に開口
する複数個(この実施例では2個)の受皿取付口52が
形成してあって、各受皿取付口52には煮溢れなどを溜
めるための受皿19が嵌め込んで取り付けてある。また
受皿19の中央部にはコンロ取付口17が形成してあっ
て、本体ケース40の内部に収納されるガスコンロ5を
コンロ取付口17に臨ませて取り付けてある。また天板
11の上面には各ガスコンロ5を囲うようにして五徳1
8が配設してある。また天板11の上面でガスコンロ5
の後側には後述する焙焼器20に連通する通気口が形成
してあって、この通気口には、上面に多数の排気口51
を設けて形成されるカバー50が取り付けてある。
【0009】上記のように形成される外部ケース10の
内部には焙焼器20が収納してある。図1に示すように
焙焼器20は、この実施例では焙焼ケース或いはグリル
ケースである箱型の内部ケース21に内部バーナー22
を設けて形成されるものである。この内部ケース21の
前面には内部ケース21の内外に開口する出し入れ口2
3が設けてあって、出し入れ口23を上記外部ケース1
0の開口部13と対向させるようにしてある。
【0010】図3に示すように内部ケース21内には網
体25を保持させたホーロー製の網枠(水皿)24が収
納してあって、網枠24を内部ケース21の出し入れ口
23及び外部ケース10の開口部13から外部ケース1
0に摺動にて出し入れすることができるようになってい
る。また網枠24の前面には蓋体26が設けてあって、
網枠24を内部ケース21に収納した際に蓋体26で外
部ケース10の開口部13を閉塞することができるよう
になっている。尚、27はガラス板などで形成される透
明部、28は網枠24を出し入れする際に握る取手であ
る。
【0011】図2には焙焼器20の分解斜視図が示して
ある。焙焼器20の内部ケース21は、下面及び前後面
が開口した断面略逆U字形のケース主体29と、上面及
び前後面を開口させ断面を浅いU字型に形成した底部体
30と、前板31及び後板32で箱型に形成されてい
る。ケース主体29の上面には上バーナー取付口33が
形成してあって、この上バーナー取付口33には内部バ
ーナー22の一つである上バーナー34を内部ケース2
1内に臨ませて取り付けてある。また底部体30には、
熱や成形時の歪みを防止するための凹部35が形成して
ある。また前板31には上記出し入れ口23が設けてあ
る。
【0012】内部ケース21の両側面においてケース主
体29と底部体30の接合部分には前後方向に長く、内
部ケース21の内部に凹設されるガイド部39が形成し
てあって、ガイド部39にガイドされて網枠24を引き
出すことができるようになっている。またガイド部39
の上側において内部ケース21の前後方向の略全長に亘
って下バーナー取付口37が形成してあって、この下バ
ーナー取付口37にはもう一つの内部バーナー22であ
る下バーナー38を内部ケース21内に臨ませて取り付
けてある。
【0013】このような焙焼器20では網体25の上に
魚などの被調理物を載せて網枠24を内部ケース21内
に収納し、上バーナー34で被調理物の上面を、下バー
ナー38で被調理物の下面をそれぞれ焼くことによって
調理をおこなうことができる。上記のような内部ケース
21は加熱処理したアルミめっき鋼板で形成されてい
る。すなわち鋼板1にアルミニウムめっきを施してアル
ミめっき鋼板を作成し、このアルミめっき鋼板に折り曲
げ加工や打抜き加工などの成型をおこなってケース主体
29、底部体30、前板31、後板32の各部材をそれ
ぞれ形成し、所望の形状に成型された各部材を図3のよ
うに組み立てて加熱処理して鋼板1の表面にアルミニウ
ムと鉄の合金層(Fe2 Al5 )2を形成して内部ケー
ス21を作成することができる。合金層2は各部材の両
表面に形成しても片面のみに形成してもいずれでもよい
が、片面のみの場合には合金層2は内部ケース21の内
側に向くようにする。
【0014】上記鋼板1に対するアルミニウムめっきの
厚みは適宜設定すればよいが、20μm前後が好まし
い。アルミニウムめっきの厚みが20μmよりも非常に
小さいと、鋼板1の表面に合金層2を十分な厚みで形成
することができず、またアルミニウムめっきの厚みが2
0μmよりも非常に大きいと、アルミニウムめっきが多
量に必要となって経済的に不利となる。
【0015】また上記加熱処理は加熱温度が好ましくは
700〜800℃、加熱時間(焼成時間)が約10分の
条件で、電気炉或いはホーロー炉を用いておこなうこと
ができる。加熱温度が700℃未満であっても時間をか
ければ鋼板1の表面に合金層2を形成することは可能で
あるが、上記加熱温度の範囲を逸脱すると耐食性や硬度
等の性能が最もよい合金層2を短時間で形成することが
できない。
【0016】このようにアルミめっき鋼板で作成した各
部材を加熱処理して内部ケース21を形成することによ
って、母材である鋼板1の鉄成分(Fe)をアルミめっ
き層に拡散させて鋼板1の表面にη相(Fe2 Al5
が主体の厚み18〜23μmの合金層2を結晶状態で成
長させて形成することができる。また図4及び図5
(a)(b)に示すように鋼板1の鉄成分の拡散は合金
層2の表面にまで達することになり、合金層2は多数の
孔3が形成されてミクロ的にポーラスな表面に形成する
ことができる。この加熱処理して表面に合金層2を形成
したアルミめっき鋼板6は、例えば深さ5mmの油槽に
浸漬し、その後温度120℃、1時間加熱した場合に
は、図6に示すように、合金層2に油5(図6に点々模
様で示す)を薄く拡散させることができる。
【0017】このように本実施例の合金層2の表面はポ
ーラスであるので、内部ケース21の表面に付着した油
を薄く拡散させることができ、従って、広がった油の表
面積を大きくして空気中の酸素との接触面積を大きくす
ることができる。この結果、焙焼器20の使用に伴う内
部ケース21の温度上昇によって薄く広がった油を容易
に短時間で酸化して焼ききることができる。つまり本実
施例の内部ケース21は付着した油が自然に消滅するセ
ルフクリーニング性を有することになる。また合金層2
のビッカース硬度(HV)を800〜960と高くする
ことができ、ステンレス板(ビッカース硬度500程
度)や純アルミニウム板(ビッカース硬度100程度)
や純鉄板(ビッカース硬度250程度)よりも耐磨耗性
を向上させることができる。また本実施例では700〜
800℃で加熱処理をしてあるので、合金層2の表面に
はアルミニウム等の酸化被膜(Al2 3 等)が形成さ
れており、従って耐食性や耐熱性を向上させることがで
き、しかも合金層2自身の耐熱性や耐食性も優れること
になる。また本実施例では700〜800℃で加熱処理
をしてあるので、合金層2が灰黒色になっており、従っ
て汚れが目立ちにくくなると共に鋼板やステンレス板の
ように250℃程度の温度で酸化して変色しないように
することができる。
【0018】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に記載の
発明は、アルミめっき鋼板を所望の形状に成型して内部
ケースを形成し、この内部ケースを加熱処理して表面に
アルミニウムと鉄のポーラスな合金層を形成したので、
内部ケースの合金層に付着した油は合金層の表面に薄く
広がり易くなり、従って、この油を酸化して容易に焼き
きることができ、内部ケースにセルフクリーニング性を
付与することができて油汚れを目立たないようにするこ
とができるものである。また本発明では加熱処理によっ
て合金層の硬度を高くすることができ、耐磨耗性を高く
することができるものである。また本発明では加熱処理
によって、合金層の表面に酸化被膜を形成することがで
き、従って耐食性や耐熱性を向上させることができるも
のであり、また合金層自身の耐熱性や耐食性も優れるこ
とになり、また合金層が灰黒色になって、従って汚れが
目立ちにくくなると共に高温で変色しないようにするこ
とができるものである。またホーローよりも成型が簡単
で寸法精度を高くすることができるものである。
【0019】また本発明の請求項2に記載の発明は、請
求項1の加熱処理を700〜800℃でおこなったの
で、合金層を短時間で形成することができるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】同上の分解斜視図である。
【図3】同上のガス調理器の一例を示す斜視図である。
【図4】同上の表面の状態を示す概略図である。
【図5】(a)は同上の表面の状態を示す表面電子顕微
鏡(SEM)写真、(b)は断面電子顕微鏡(SEM)
写真である。
【図6】同上の加熱処理後のアルミめっき鋼板を油槽に
浸漬し、その後加熱処理した時の状態を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
2 合金層 21 内部ケース
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−76829(JP,A) 特開 昭60−61037(JP,A) 実開 昭62−332(JP,U) 特公 昭49−29264(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47J 37/06 F24C 15/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミめっき鋼板を所望の形状に成型し
    て内部ケースを形成し、この内部ケースを加熱処理して
    表面にアルミニウムと鉄のポーラスな合金層を形成して
    成ることを特徴とするガス調理器の内部ケースの構造。
  2. 【請求項2】 700〜800℃で加熱処理することを
    特徴とする請求項1に記載のガス調理器の内部ケースの
    構造。
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