JP2890576B2 - インクジェット記録用油性インク - Google Patents

インクジェット記録用油性インク

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JP2890576B2 JP33595789A JP33595789A JP2890576B2 JP 2890576 B2 JP2890576 B2 JP 2890576B2 JP 33595789 A JP33595789 A JP 33595789A JP 33595789 A JP33595789 A JP 33595789A JP 2890576 B2 JP2890576 B2 JP 2890576B2
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勲 田林
山田  豊
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上利用分野〕 本発明はインクジェット記録装置に用いる油性インク
に係わり、更に詳しくは有機溶媒への溶解安定性、保存
安定性に優れたシアン色インクジェット記録用油性イン
クに関する。
〔従来の技術〕
インクジェットプリンタは、内径10〜400μmのノズ
ルより噴射されたインク液滴が噴射方向に設置された紙
面上に衝突し、その後インク中の溶媒が乾燥することに
より紙面上にインクの染料が固着されることによって記
録を行うノンインパクト記録方式である。このため低騒
音で極めて高精細の画像が得られ、更にはカラー化も容
易にできる利点を有するものである。このインクは一般
に主溶媒として水を用いる水性インクと、主溶媒として
有機溶媒を用いる油性インクとがある。水性インクを用
いた印刷画像は、全般に、耐水性に劣り、又、疎水表面
を有する被印刷物への印刷が困難であるのに対し、油性
インクは耐水性に優れた印刷画像を提供する事ができ、
又、疎水性の表面あるいは上質紙への記録も容易となる
利点を有する。
油性インクは上記利点を有してはいるものの、水性イ
ンクと同様に、ノズルの目詰まり、フィルターの目詰ま
り、経時に伴うインク物性の変化等の要因によって、イ
ンクの吐出異常を起こし易く、その為該方式の普及が妨
げられている。これらの欠点を解決すべく、シアン色油
性インキに関し、特開昭55−65270号公報ではインク組
成物に用いるシアン色染料としてC.Iソルベントブルー2
5と溶媒の組み合わせにより、溶媒の揮発性という観点
から改良がなされ、又、特開昭55−145771号公報では上
質紙への定着性を向上せしめる為の有機溶媒との相溶性
の良好なシアン色染料としてスルホンアミド、スルホン
酸第4級アンモニウム塩或はスルホン酸エステルのうち
から選択される化合物が提案されている。
〔本発明が解決しようとする課題〕
しかし、これら従来技術はいずれもシアン色染料に関
し、染料の有機溶媒への溶解安定性改善が試みられては
いるものの、これら従来技術中に具体的に提案されてい
るフタロシアニンから誘導された油溶性染料と相溶性の
良好な有機溶媒(以下、良溶媒という)から成るインク
は、これを長期に亘って使用した場合、やはりインクの
吐出異常を生じ易く、又、長期保存した場合もインク組
成物中に未溶解物を生ずる等の欠点があった。
本発明が解決しようとする課題は、油性インクを用い
たインクジェット記録方式に於いて、従来技術にない優
れた印刷画像と、有機溶媒に対し溶解安定性に優れ、長
期に亘る安定したインクの吐出を得られ、且つ長期保存
安定性の極めて良好な油性シアン色インクを提供するこ
とにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重
ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、有機溶媒と、油溶性染料としてN−
アルコキシアルキルスルホアマイド基によって置換され
た特定一般式で表されるフタロシアニン化合物とから成
るインクジェット記録用油性インクに関する。
本発明で使用する、N−アルコキシアルキルスルホア
マイド基によって置換されたフタロシアニン化合物は、
金属フタロシアニンスルホン酸誘導体であり、その構造
は下記一般式で示される。
式中、Mは塩素化又は酸化されてもよい多価金属を表
わすが、特にCu,Fe,Ni,Cd,Mg,Ca,Zn,Mn,Pt,AlCl,GaCl,I
nCl,VO又はTiOが好ましい。又、R1、R2、R3及びR4は各
々独立的に炭素原子数1乃至6のアルキレン基、R5,R6,
R7及びR8は各々独立的に炭素原子数6乃至20のアルキル
基を各々表わす。
上記一般式で表わされる化合物の具体例としては、下
記の1〜5で示されるものが挙げられる。
尚、上記一般式の具体例はこれらに限られるものでは
ない。
本発明に用いる有機溶媒は、染料の構造によって異な
るものであるが、必らずしも染料との相溶性の優れた良
溶媒のみを用いる必要はなく、良溶媒を2種類以上の混
合するか或いは良溶媒と一般溶媒を混合して用いればよ
い。又染料溶解剤との組み合わせで使用してもよい。本
発明で使用し得る有機溶媒は、具体的には、直鎖状炭化
水素、分岐状炭化水素、ナフテン系炭化水素、モノまた
はジ置換直鎖状又は分岐状アルキルナフタレン、フェニ
ル、ビフェニル、又はターフェニルの直鎖状又は分岐状
アルキル誘導体、フェニル、ビフェニル又はターフェニ
ルの直鎖状又は分岐状アルキレン誘導体、キシリルエタ
ン、フェネチクルクメンの如く芳香族炭化水素、エタノ
ールの如く脂肪族アルコール類、メチルエチルケトンの
如くケトン類、エチレングリコールの如くグリコール
類、グリコール類のモノ、ジ置換直鎖状又は分岐状アル
キルエーテル、グリコール類のモノ、ジ置換直鎖状又は
分岐状アルキレンエーテル、グリコール類のエステル、
脂肪酸及び脂肪酸エステル、アミド・ピロリドン化合物
の如き含窒素化合物、P−ヒドロキシ安息香酸2−エチ
ルヘキシルの如きヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げ
られるがこれらの有機溶媒に限定されるものではない。
本発明の染料構造によってこれらの有機溶媒に対する溶
解度はかなり異なるため、個々の染料構造に合わせて溶
媒の種類、組み合わせを選択する必要がある。
本発明に使用するシアン色染料は従来のシアン色染料
と比較すると上記有機溶媒等に対し著しくすぐれた溶解
安定性を示すが、特にP−ヒドロキシ安息香酸2−エチ
ルヘキシル等のヒドロキシ安息香酸エステルを溶媒とし
て用いる場合には、極めて高い溶解安定性、噴射安定性
を示す。
更にトリエタノールアミン、N−メチルジエタノール
アミン、N,N−ジブチルエタノールアミンで代表される
アルカノールアミン等の有機塩基性化合物を併用すると
一層本発明の油性インク中のシアン染料の溶解安定性を
増すことができる。本発明のインクに於いて、インクの
吐出安定性、保存安定を保持しつつ、優れた印刷画像を
得る為に、インク中の染料の濃度は、0.1〜20重量%の
範囲が好ましく、印刷濃度、インクの安定性の点で1〜
10重量%の範囲がより好ましい。
有機溶媒のインク組成物中の含有量は、他の添加剤類
を用いない場合には、染料を除いた全成分を構成するこ
とが可能であるが、インク組成物中に良溶媒として用い
る溶媒成分は、好ましくは総量で0.1重量%以上、更に
好ましくは1重量%以上インク組成物中に含有される事
が望まれる。
また必要に応じて、酸化防止剤・紫外線吸収剤などの
安定剤、界面活性剤、バインダーレジン等を加えること
ができる。そのような酸化防止剤として例えばBHA(2,3
−ブチル−4−オキシアニソール)、BHT(2,6−tert−
ブチル−p−クレゾール)等;紫外線吸収剤としてベン
ゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の化合物が挙げ
られ、界面活性剤としてアニオン系,カチオン系,両
性,非イオン系のいずれも使用できる。バインダーレジ
ンとして使用し得る樹脂には、具体的には、アクリル樹
脂、スチレンアクリル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノー
ル樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。又、室温で固体
のワックス等の化合物もホットメルトインクとして使用
する場合、溶融時に溶媒として機能し、本発明のインク
の溶媒として適用することができる。
本発明のインクは、その用途がインクジェット記録装
置用インクに限られるものではなく、ペンプロッターな
どの機械記録方式等においても高品質、高信頼性の記録
を提供することができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により説明する。実施例で使用
した染料は前記染料番号で示した。
実施例1 染料(1) 6重量% スチレンアクリル樹脂 25重量% ジエチレングリコールモノメチルエーテル 5重量% エタノール 20重量% メチルエチルケトン 44重量% 上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解させた後、
0.5ミクロンのメンブランフィルターを用いて濾過を行
ないインクとした。このインクを用いてコンティニュア
ンスインクジェットプリンターを用いて噴射試験を行な
ったところ、500時間後でも安定したインクの噴出が得
られた。室温で6ケ月間の経過後も、インクの溶解安定
性が保たれ、安定したインクの噴射が得られた。
また得られた印刷物は鮮明で、高画質の印刷物が得ら
れた。この時カーボンアーク燈光式フェードメーターを
用いた耐光性試験でブルースケール6等級を示した。
実施例2 染料(2) 10重量% p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル 60重量% ジイソプロピルナフタレン 30重量% 上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解させた後、
0.5ミクロンのメンブランフィルターを用いて濾過を行
ないインクとした。このインクを用いてドロップオンデ
マンドインクジェットプリンターを用いて噴射試験を行
なっとところ、500時間後でも安定したインクの噴射が
得られた。室温で6ケ月間の経過後も、インクの溶解安
定性が保たれ、安定したインクの噴射が得られた。
また得られた印刷物は鮮明で、高画質の印刷物が得ら
れた。この時カーボンアーク燈光式フェードメーターを
用いた耐光性試験でブルースケール5等級を示した。
実施例3 染料(3) 5重量% N,N−ジブチルエタノールアミン 5重量% p−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル 15重量% フェネチルクメン 75重量% 上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解させた後、
0.5ミクロンのメンブランフィルターを用いて濾過を行
ないインクとした。このインクを用いて空気流式電界制
御インクジェットプリンターを用いて噴射試験を行なっ
たところ、800時間後でも安定したインクの噴射が得ら
れた。室温で12ケ月間の経過後も、インクの溶解安定性
が保たれ、安定したインクの噴射が得られた。
また得られた印刷物は鮮明で、高画質の印刷物が得ら
れた。この時カーボンアーク燈光式フェードメーターを
用いた耐光性試験でブルースケール5等級を示した。
比較例1 実施例1において、染料1に代えてC.I.ソルベントブ
ルー25を用いた以外は実施例1と同様にしてインクを製
造し、同様に試験を行なった結果、短期的には優れた印
刷品質を示したが、100時間後にはインクの噴射が不安
定となった。室温で3ケ月間の経過後、インク中に未溶
解物を生じた。
比較例2 実施例2において、染料2に代えてC.I.ソルベントブ
ルー55を用いた以外は実施例2と同様にしてインクを製
造し、同様に試験を行なった結果、短期的には優れた印
刷品質を示したが、100時間後にはインクの噴射が不安
定となった。室温で3ケ月間の経過後、インク中に未溶
解物を生じた。
比較例3 実施例3において、染料3に代えてC.I.ソルベントブ
ルー55を用いた以外は実施例3と同様にしてインクを製
造し、同様に試験を行なった結果、短期的には優れた印
刷品質を示したが、100時間後にはインクの噴射が不安
定となった。室温で3ケ月間の経過後、インク中に未溶
解物を生じた。
〔発明の効果〕
本発明のインクジェット記録用油性インクによれば、
各種インクジェットプリンターにおいて、従来のシアン
色染料を用いたインクジェット記録用油性インクでは得
られなかった長時間に亘るインクの吐出安定性が得られ
る。更に、長期の保存安定性にも優れているという利点
がある。
本発明のインクジェット記録用油性インクを用いてイ
ンクジェットプリンターで印刷を行った印刷物は極めて
耐光性に優れ、然も、その印刷画像は極めて優れた品質
を有するものである。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−185576(JP,A) 特開 昭62−149758(JP,A) 特開 昭63−72586(JP,A) 特開 昭55−145771(JP,A) 特開 昭59−179569(JP,A) 特開 平1−126381(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 11/00 - 11/20 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機溶媒と油溶性染料を主成分とするイン
    クジェット記録用油性インクに於いて、油溶性染料とし
    て下記一般式で表されるN−アルコキシアルキルスルホ
    アマイド基によって置換されたフタロシアニン化合物を
    含有することを特徴とするインクジェット記録用油性イ
    ンク。 (式中、Mは塩素化又は酸化されてもよい多価金属を、
    R1、R2、R3及びR4は各々独立的に炭素原子数1〜6のア
    ルキレン基を、R5、R6、R7及びR8は各々独立的に炭素原
    子数6〜20のアルキル基を表わす。)
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