JP3253644B2 - 電界制御方式インクジェットプリンター用油性インク収納容器、電界制御方式インクジェットプリンター用油性インク流通部材及び該インクの比抵抗を1×10▲上6▼Ω・cm以上に維持する方法 - Google Patents

電界制御方式インクジェットプリンター用油性インク収納容器、電界制御方式インクジェットプリンター用油性インク流通部材及び該インクの比抵抗を1×10▲上6▼Ω・cm以上に維持する方法

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山田  豊
信二 雨谷
眞芳 三浦
修子 兼松
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高橋  毅
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェットプリンタ
ーに使用する油性インクを保管するための容器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、一般のインクジェットプリンタ
は、内径10〜400μmのノズルより噴射されたイン
ク液滴が噴射方向に設置された紙面上に衝突し、その後
インク中の溶媒が乾燥することにより紙面上にインクの
染料が固着されることによって記録を行うノンインパク
ト記録方式となっている。このため低騒音で極めて高精
細の画像が得られ、更にはカラー化も容易にできる利点
を有するものである。このインクは一般に主溶媒として
水を用いる水性インクと、主溶媒として有機溶媒を用い
る油性インクとがある。
【0003】水性インクを用いた印刷画像は、全般に、
耐水性に劣り、又、疎水表面を有する被印刷物への印刷
が困難であるのに対し、油性インクは耐水性に優れた印
刷画像を提供する事ができ、又、疎水性の表面あるいは
上質紙への記録も容易となる利点を有する。
【0004】油性インクは上記利点を有してはいるもの
の、水性インクと同様に、ノズルの目詰まり、フィルタ
ーの目詰まり、経時に伴うインク物性の変化等の要因に
よって、インクの吐出異常を起こし易く、その為該方式
の普及が妨げられている。これらの欠点を解決すべく、
着色剤・溶剤・添加剤等、インク組成物についての様々
な改良が提案されてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ある期
間容器に保管された油性インクを使用すると安定した噴
射が得られないという問題があった。特に静電力を用い
た、いわゆる電界制御方式において、比抵抗が1×10
6Ω・cm以上である油性インクを用いた場合に著しく噴
射が不安定になるという欠点を有していた。
【0006】本発明が解決しようとする課題は、油性イ
ンクを用いたインクジェット記録方式に於いて、油性イ
ンクが極めて優れた保存安定性を得られる為の容器を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成す
るに至った。本発明は、油性インクを安定して保管する
ための容器およびプリンター内でインクの流通するイン
ク流通部材に関するものである。
【0008】請求項1記載の発明は、比抵抗が1×10
6Ω・cm以上の電界制御方式インクジェットプリンタ
ー用の油性インクを収納するための電界制御方式インク
ジェットプリンター用油性インク収納容器であって、該
油性インクと接する部分の材料が、吸水率0.1%以下
の高分子材料であることを特徴とする電界制御方式イン
クジェットプリンター用油性インク収納容器である。
求項2記載の発明は、比抵抗が1×10 6 Ω・cm以上
の電界制御方式インクジェットプリンター用の油性イン
クが流通する電界制御方式インクジェットプリンター用
油性インク流通部材であって、該油性インクと接する部
分の材料が、吸水率0.1%以下の高分子材料であるこ
とを特徴とする電界制御方式インクジェットプリンター
用油性インク流通部材である。
【0009】請求項3記載の発明は、高分子材料が、ポ
リフェニレンサルファイドである請求項1記載の電界制
御方式インクジェットプリンター用油性インク収納容器
である。 請求項4記載の発明は、高分子材料が、ポリフ
ェニレンサルファイドである請求項2記載の電界制御方
式インクジェットプリンター用油性インク流通部材であ
る。
【0010】請求項5記載の発明は、電界制御方式イン
クジェットプリンター用油性インク収納容器に、電界制
御方式インクジェットプリンター用油性インクを収納
し、室温・湿度60%の環境中で1年間保管後に、該電
界制御方式インクジェットプリンター用油性インクの比
抵抗を1×10 6 Ω・cm以上に維持する方法であっ
て、該電界制御方式インクジェットプリンター用油性イ
ンク収納容器の、該電界制御方式インクジェットプリン
ター用油性インクと接する部分の材料として、吸水率
0.1%以下の高分子材料を用いることを特徴とする方
法である。
【0011】
【0012】
【作用】容器に用いる高分子材料としては油性インクの
溶媒に耐性のある必要があり、インクの比抵抗が1×1
6Ω・cm以上である油性インクを入れるための容器
において、インクと接する部分の高分子材料の吸水率が
0.1%以下のインク容器は、油性インクの安定した保
管を可能とする。
【0013】吸水率0.1%以下の高分子材料の場合、
高分子材料自身からの比抵抗低下原因物質の溶出が少な
いだけでなく、かつ環境雰囲気からの透湿及びそれに伴
う高分子材料からのイオン性物質の溶出が少ないため、
初期のインク比抵抗値に対する保管後の比抵抗低下が小
さく、プリンターの噴射許容範囲内にあると同時に、イ
ンクの溶解安定性を損なわないためと考えられる。
【0014】逆に吸水率0.1%を越える高分子材料の
場合、高分子材料自身からの比抵抗低下原因物質の溶出
が小さい場合でも、環境雰囲気からの透湿が大きく、か
つそれに伴う高分子材料からのイオン性物質の溶出が大
きいため、初期のインク比抵抗値に対する保管後の比抵
抗低下が大きく、プリンターの制御許容範囲を逸脱する
と同時に、インクの溶解安定性も低下すると考えられ
る。
【0015】インクと接する部分の具体的な容器材料と
しては好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リ四フッ化エチレン、ポリ塩化ビニリデン等のポリオレ
フィン類、ポリフェニレン樹脂、ポリエーテル樹脂等が
あるがこれらに限られたものではない。上記容器材料の
特性を改良するためカーボンブラック・ガラス繊維・そ
の他の無機有機の各種充填材料や安定剤等の添加剤を添
加しても良いが、イオン性の物質は避ける方がよい。
【0016】上記高分子材料はブロアー成型、射出成
型、フィルム化等、容器材料特性や容器形態に応じて各
種成型方法で容器化する事ができる。また、上記高分子
材料は単独で使用しても良いが、必要に応じて上記高分
子材料を組み合わせたり、ステンレスやセラミック等の
耐触性の無機材料を併用しても良い。この時、容器は密
封形態をとれるよう設計されていればより好ましい。
【0017】上記高分子材料の外側に吸水率が0.1%
を越える高分子材料やその他の各種材料を組み合わせて
も良いが、特に吸水率が0.1%以下の高分子材料容器
によって油性インクが密封保管される場合には、吸水率
0.1%を越える高分子材料も材料自身が溶解・膨潤し
たりイオン性物質を多量に含有していなければ、油性イ
ンクと接する部分に使用する事が可能となる。吸水率が
0.1%以下の高分子材料の中でも、特にポリフェニレ
ンサルファイドを使用したインク容器が優れた効果を示
す。ここで吸水率はASTM D570の方法によって
定義されている23℃24時間後の高分子材料の吸水率
である。
【0018】本発明のインク容器で使用できるインクの
着色剤は、有機溶剤に溶解あるいは分散可能な油性染
料、または有機・無機顔料であればどれでも使用できる
が、より好ましくは油溶性染料が安定性の点で好まし
い。例えば代表的な種類としては、アゾ染料、金属錯塩
染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ
染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染
料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾ
キノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、
ペリノン染料、フタロシアニン染料などがあるがこれら
に限られたものではない。これらの着色剤は一種類のみ
ならず二種類以上の組み合わせで用いる事ができる。
【0019】本発明で使用できるインクに於いて、イン
クの吐出安定性、保存安定を保持しつつ、優れた印刷画
像を得る為に、インク中の着色剤の濃度は、0.1〜2
0重量%の範囲が好ましく、印刷濃度、インクの安定性
の点で1〜10重量%の範囲がより好ましい。
【0020】本発明で用いられる有機溶媒は、着色剤の
種類によって異なるものであるが、溶媒可溶型の油溶性
染料を用いた場合でも必らずしも染料との相溶性の優れ
た良溶媒のみを用いる必要はなく、良溶媒を2種類以上
の混合するか或いは良溶媒と一般溶媒を混合して用いれ
ばよい。又染料溶解剤との組み合わせで使用してもよ
い。本発明で使用し得る有機溶媒は、具体的には、直鎖
状炭化水素、分岐状炭化水素、ナフテン系炭化水素、モ
ノまたはジ置換直鎖状又は分岐状アルキルナフタレン、
フェニル、ビフェニル、又はターフェニルの直鎖状又は
分岐状アルキル誘導体、フェニル、ビフェニル又はター
フェニルの直鎖状又は分岐状アルキレン誘導体、キシリ
ルエタン、フェネチクルクメンの如く芳香族炭化水素、
エタノールの如く脂肪族アルコール類、メチルエチルケ
トンの如くケトン類、エチレングリコールの如くグリコ
ール類、グリコール類のモノ、ジ置換直鎖状又は分岐状
アルキルエーテル、グリコール類のモノ、ジ置換直鎖状
又は分岐状アルキレンエーテル、グリコール類のエステ
ル、脂肪酸及び脂肪酸エステル、アミド・ピロリドン化
合物の如き含窒素化合物、P−ヒドロキシ安息香酸2−
エチルヘキシルの如きヒドロキシ安息香酸エステル等が
挙げられるがこれらの有機溶媒に限定されるものではな
い。但し上記有機溶媒のうちアルコール類、ケトン類、
ピロリドン類、エステル類、グリコール類、アミド類等
の高極性化合物はインクの比抵抗に大きく影響すること
から、インクの比抵抗が1×106Ω・cm以上である場
合には添加量に注意する必要がある。
【0021】インク組成物中の有機溶媒含有量は、他の
添加剤類を用いない場合には、着色剤を除いた全成分を
構成することが可能であるが、インク組成物に良溶媒と
して用いる溶媒成分は、好ましくは総量で0.1重量%
以上インク組成物中に含有される事が望ましい。また必
要に応じて、紫外線吸収剤や他の光安定剤、酸化防止剤
などの安定剤、分散剤等の界面活性剤、バインダーレジ
ン等を加えることができる。そのような酸化防止剤とし
て例えばBHA( 2,3−ジ−tert−ブチル−4−オ
キシアニソール)、BHT ( 2,6−ジ−tert−ブチ
ル−p−クレゾール)等の化合物が挙げられ、界面活性
剤としてアニオン系、カチオン系、両性、非イオン系の
いずれも使用できる。バインダーレジンとして使用し得
る樹脂には、具体的には、アクリル樹脂、スチレンアク
リル樹脂、ロジン変性樹脂、フェノール樹脂、テルペン
系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ
樹脂等が挙げられる。又、室温で固体のワックス等の化
合物もホットメルトインクとして使用する場合、溶融時
に溶媒として機能し、本発明のインクの溶媒として適用
することができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。 (製造例) フタロシアニン染料 5重量% p−ヒドロキシ安息香酸 2−エチルヘキシル 10重量% フェネチルクメン 85重量% 上記の各成分を混合し、室温で十分に溶解させた後、
0.5ミクロンのメンブランフィルターを用いて濾過を
行ないインクとした。この時インクの比抵抗は3.5×
107Ω・cmであった。
【0023】(実施例1)上記製造例のインクをガラス
繊維40%を含有するポリフェニレンサルファイド(2
3℃24時間後の吸水率0.02%以下)製の容器に密
封し、室温・湿度60%の環境中で1年間保管した結
果、インクの比抵抗は3.3×107Ω・cmであり析出物
の発生もなく、静電吸引式ジェットプリンター(ビーム
ジェット)を用いて安定した噴射が得られた。
【0024】(実施例2)上記製造例のインクをポリプ
ロピレン(23℃24時間後の吸水率0.02%以下)
製の容器に密封し、室温・湿度60%の環境中で1年間
保管した結果、インクの比抵抗は3.1×107Ω・cmで
あり析出物の発生もなく、静電吸引式ジェットプリンタ
ー(ビームジェット)を用いて安定した噴射が得られ
た。
【0025】(比較例1)実施例1において、ポリフェ
ニレンサルファイド製の容器に代えて、ポリアクリロニ
トリル(23℃24時間後の吸水率0.4%)製の容器
を用いた以外は実施例1と同様の試験を行った結果、イ
ンクの比抵抗は9.5×105Ω・cmであり異常噴射を示
した。
【0026】(比較例2)実施例1において、ポリフェ
ニレンサルファイド製の容器に代えて、ポリエチレンテ
レフタレート(23℃24時間後の吸水率0.2%)製
の容器を用いた以外は実施例1と同様の試験を行った結
果、インクの比抵抗は9.3×105Ω・cmであり異常噴
射を示した。
【0027】尚、吸水率が0.1%以下の高分子材料を
インク容器だけでなく、プリンター内のパイプ、パイプ
継手、その他インクの流通する全ての部分に使用するこ
とで、安定した噴射を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】インクの比抵抗が1×106Ω・cm以
上である油性インクを入れるための容器、流通部材にお
いて、インクと接する部分の高分子材料の吸水率が0.
1%以下の容器、流通部材は、油性インクの安定した保
管を可能とし、室温・湿度60%の環境中で1年間保管
後に、該電界制御方式インクジェットプリンター用油性
インクの比抵抗を1×10 6 Ω・cm以上に維持するこ
とができる。吸水率が0.1%以下の高分子材料の中で
も、ポリフェニレンサルファイドを使用した場合は特に
優れた効果を示す。従って、インクジェットプリンター
等の使用に本発明のインク容器およびインク流通部材を
用いれば、安定したインクの噴射が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 豊 埼玉県浦和市太田窪3−17−19−502 (72)発明者 雨谷 信二 埼玉県浦和市白幡3−1−9−2−309 (72)発明者 三浦 眞芳 神奈川県川崎市多摩区東三田3−10−1 松下技研株式会社内 (72)発明者 兼松 修子 神奈川県川崎市多摩区東三田3−10−1 松下技研株式会社内 (72)発明者 板東 克彦 愛媛県西条市福武甲247 松下寿電子工 業株式会社内 (72)発明者 高橋 毅 愛媛県西条市福武甲247 松下寿電子工 業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−83488(JP,A) 特開 昭61−92864(JP,A) 特開 平2−192954(JP,A) 特開 昭49−50935(JP,A) 特開 昭63−113089(JP,A) 特開 平2−166174(JP,A) 実開 昭62−60335(JP,U) (54)【発明の名称】 電界制御方式インクジェットプリンター用油性インク収納容器、電界制御方式インクジェットプ リンター用油性インク流通部材及び該インクの比抵抗を1×10▲上6▼Ω・cm以上に維持する 方法

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比抵抗が1×106Ω・cm以上の電界
    制御方式インクジェットプリンター用の油性インクを収
    納するための電界制御方式インクジェットプリンター用
    油性インク収納容器であって、該油性インクと接する部
    分の材料が、吸水率0.1%以下の高分子材料であるこ
    とを特徴とする電界制御方式インクジェットプリンター
    用油性インク収納容器。
  2. 【請求項2】 比抵抗が1×106Ω・cm以上の電界
    制御方式インクジェットプリンター用の油性インクが流
    通する電界制御方式インクジェットプリンター用油性イ
    ンク流通部材であって、該油性インクと接する部分の材
    料が、吸水率0.1%以下の高分子材料であることを特
    徴とする電界制御方式インクジェットプリンター用油性
    インク流通部材。
  3. 【請求項3】 高分子材料が、ポリフェニレンサルファ
    イドである請求項1記載の電界制御方式インクジェット
    プリンター用油性インク収納容器。
  4. 【請求項4】 高分子材料が、ポリフェニレンサルファ
    イドである請求項2記載の電界制御方式インクジェット
    プリンター用油性インク流通部材。
  5. 【請求項5】 電界制御方式インクジェットプリンター
    用油性インク収納容器に、電界制御方式インクジェット
    プリンター用油性インクを収納し、室温・湿度60%の
    環境中で1年間保管後に、該電界制御方式インクジェッ
    トプリンター用油性インクの比抵抗を1×10 6 Ω・c
    m以上に維持する方法であって、該電界制御方式インク
    ジェットプリンター用油性インク収納容器の、該電界制
    御方式インクジェットプリンター用油性インクと接する
    部分の材料として、吸水率0.1%以下の高分子材料を
    用いることを特徴とする方法。
JP05516791A 1991-03-19 1991-03-19 電界制御方式インクジェットプリンター用油性インク収納容器、電界制御方式インクジェットプリンター用油性インク流通部材及び該インクの比抵抗を1×10▲上6▼Ω・cm以上に維持する方法 Expired - Fee Related JP3253644B2 (ja)

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