JP2888449B2 - 中空矩形断面コンクリート柱体の成形用型枠 - Google Patents

中空矩形断面コンクリート柱体の成形用型枠

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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はコンクリートを用いて中空の矩形断面を持っ
た柱体を製造する方法及びその柱体の成形用型枠に係
り、特に建築に使用される中空の矩形断面柱体を遠心力
法を用いて製造する方法及びその製造に使用される成形
用型枠に関するものである。
<従来の技術> 従来、この種の中空の矩形状断面を持った建築用のコ
ンクリート柱体を成形するに当たっては、径の異なる角
筒状外型枠と、角柱状内型枠とを用意し、外型枠の内部
に内型枠を挿入すると共に、両者の両端部を端板リング
で密封固定し、これ等の外型枠と内型枠との間隙に生コ
ンクリートを充填すると共に、該型枠を振動させること
によって、矩形状断面を持った中空コンクリート柱体を
製造していた。
<発明が解決しようとする課題> 然るに、前述の如く内外型枠及び端板リングよりなる
型枠装置を振動させて成形したコンクリート柱体は外周
表面が粗く、滑らかでないので、この成形方法を用いて
成形したコンクリート柱体を建築柱として使用する為に
は、そのコンクリート柱体の外周表面にコンクリート或
いはモルタル等を用いて再度化粧を施さなければならな
い問題があった。
また、前述の如きコンクリート柱体の問題点を改善す
る為に、従来ヒューム管等の成形法として一般的に知ら
れている遠心力成形法を用いて中空の矩形状断面を持っ
たコンクリート柱体を製造する方法も考えられるが、こ
の様な遠心力成形法を用いてそのまま成形した場合に
は、外周面は角柱であるが、内周面が円筒状になったコ
ンクリート柱体が成形され、従って全体の壁体が均一な
肉厚を持ったコンクリート柱体を製造することが出来な
かった。
即ち、遠心力成形法を用いて中空な矩形状断面のコン
クリート柱体を成形しようとする場合には、内周面に外
周面と対応した角隅を形成することが極めて困難である
問題があった。
本発明に係る中空矩形断面コンクリート柱体の製造方
法及びその成形用型枠は上述の問題点に鑑み開発された
全く新規な技術であって、特にコンクリート柱体の外周
表面を極めて緻密にして滑らかさと光沢とを付与し、且
つ内周面に角隅を形成することを可能とした製造方法及
び成形用型枠を提供しようとするものである。
<課題を解決するための手段> 本発明に係る中空矩形断面コンクリート柱体の成形用
型枠は、内周面が角筒状の外型枠内に外周面が角柱状に
形成されると共に外型枠の内径よりも小さい外径を持っ
た内型枠を配置し、前記内外型枠の両端に端板リングを
設けると共に両端部に回転用キャステングを取り付けて
なる中空矩形断面コンクリート柱体の成形用型枠に於い
て、内型枠の角隅部と角隅部との間の壁面を軸芯方向に
湾曲させて形成されるものである。
また上記中空矩形断面コンクリート柱体の成形用型枠
に於いて、前記内型枠に成形型枠内に生コンクリートを
供給するためのコンクリート供給パイプを取り付けると
共に該コンクリート供給パイプに回転を許容する自在継
手を設けたことが好ましい。
<作用> 本発明に係る中空矩形断面コンクリート柱体の成形用
型枠(以下単に「成形用型枠」という)は、内周面が角
筒状に形成された外型枠の内部に外周面が角筒状に形成
されると共に外型枠の内径よりも小さい外径を持った内
径枠を配置し、内外型枠の両端に端板を設けて内外型枠
の間に形成された空間を閉鎖すると共に回転用キャステ
ングを取り付け、内型枠の角隅部と角隅部との間の壁面
を軸芯方向に湾曲させて構成したので、成形用型枠を起
立させた状態で生コンクリートを充填した後、そのまま
の起立した状態或いはこれを倒した状態で回転して遠心
力成形することが出来る。
特に、内型枠の角隅部と角隅部との間(矩形断面コン
クリート柱体の平面部分に対応する)を軸芯方向に湾曲
させておくことで、該湾曲部分に多量の生コンクリート
を充填しておくことが出来、遠心力成形の過程で湾曲部
分に充填された生コンクリートが角隅部の方向に移動し
て内面に凹面が形成されることを防止することが出来
る。
更に、前記内型枠の内周壁にコンクリート供給パイプ
を配管し、且つこのコンクリート供給パイプの一部にス
イベルジョイント等の自在継手を設けてコンクリート供
給パイプの一部が内型枠と共に回転し得るように構成し
た場合には、型枠内に生コンクリートを供給しながら同
時に遠心力成形することが出来る。
<実施例> 図により本発明に係る中空矩形断面コンクリート柱体
の成形用型枠の一実施例を具体的に説明すると、第1図
は成形用型枠の一例を示す一部横断説明図、第3図は起
立された型枠内に生コンクリート充填した後でこれを倒
して回転するようにした説明図、第4図は他例の成形用
型枠の横断面図、第5図及び第6図は内型枠内から生コ
ンクリートをポンプで注入するようにした成形型枠の断
面説明図、第7図及び第8図は他例の構造を有する成形
型枠の断面説明図である。
第1図及び第2図に於いて、1は成形用型枠であっ
て、外型枠2,内型枠3,端板リング4及びキャステング5
とより構成されている。
前記外型枠2は内周面が角筒状に形成されている。ま
た内型枠3はこの外型枠2の内径より小さな外型を有す
ると共に、その外周面は外型枠2の内周面に対応した角
柱状に形成されている。更に端板リング4は所定の幅を
持ったリング板であって、前記内外型枠2,3を組み合わ
せた際に形成されるコンクリート柱体成形用の空間に挿
入し得る寸法を有し、深く挿入したり或いは浅く挿入す
ることによってコンクリート柱体の長さを変えることが
出来るように構成されている。前記キャステング5は成
形用型枠1を製管機ホイール6で回転させる際に使用さ
れる車輪である。
次に、上述の成形用型枠1を用いて中空矩形断面コン
クリート柱体を製造する手順について説明すると、先
ず、成形用型枠1を竪起し機7に取り付け、この状態で
成形用型枠1を垂直に起立し、且つその成形用型枠1の
上端にコンクリート投入用ホッパー8を取り付け、この
コンクリート投入用ホッパー8を介して生コンクリート
を成形用型枠1内に注入する。次に成形用型枠1の上端
部に端板リング4を取り付けて閉鎖した後で、これを再
び倒して第1図に示す如くキャステング5を製管機ホイ
ール6上に載置し、この状態で成形用型枠1を回転させ
る。これによって第1図に示すように、成形用型枠1内
に中空矩形断面を持ったコンクリート柱体9を遠心力成
形することが出来る。図中10は作業台である。
この様にして遠心力成形されたコンクリート柱体9の
外周表面は極めて緻密で、滑らかで、光沢を有してい
る。またこのコンクリート柱体9の内周面には内型枠3
の作用によって、その外周面の角隅に対応したシャープ
な角隅を得ることが出来る。
上記実施例に於いては、生コンクリートが充填された
成形用型枠1を横に倒して遠心力成形したが、成形用型
枠1を起立したまま回転し得る堅型製管機ホイール(図
示せず)を使用した場合には、成形用型枠1を倒さずに
そのまま起立した状態で遠心力整形することが出来る。
上述の如く、成形用型枠1を用いて中空な矩形断面を
持ったコンクリート柱体9を遠心力成形すると、コンク
リート柱体9の内周面に遠心力が強くかかるので、角隅
と角隅との間がやや湾曲して凹面を形成し易いので、こ
の場合には第4図に示すような成形用型枠1aを使用する
ことによって、凹面が形成されることを防止することが
出来る。即ち第4図に示す成形用型枠1aは内型枠3aの角
隅部と角隅部との間の壁面が夫々軸芯に湾曲突出して形
成され、これによってこの部分に予め生コンクリートを
大量に充填しておき、遠心力成形した際にこの部分に前
述の如き凹面が形成されることを防止したものである。
上記実施例に於いては、成形用型枠1を起立してその
端部より生コンクリートを充填する方法について説明し
たが、第図及び第6図に示す如く、内型枠3の内側にコ
ンクリート供給パイプ11を挿入し、このコンクリート供
給パイプ11を設けられた枝管12より成形用型枠1内の数
個所に、生コンクリートを直接供給するように構成する
ことも可能である。この場合には成形用型枠1を水平状
に保ったまま回転させてコンクリート柱体9を成形する
ことが出来る。この方法を実施する為には第6図に示す
如く、コンクリート供給パイプ11の途中にスイベルジョ
イント13等の手段を設けることによって、このコンクリ
ート供給パイプ11の先端部が成形用型枠1と一体的に回
転するように構成する必要がある。
上記実施例に於けるコンクリート供給パイプ11の枝管
12は第7図及び第8図に示す如く、その数を少なくする
ことも可能である。
<発明の効果> 本発明に係る中空矩形断面コンクリート柱体の成形用
型枠は上述の如き構成と作用とを有するので、これを実
施することによって、外周表面が極めて緻密で滑らかで
且つ光沢を有する中空矩形断面をもったコンクリート柱
体を容易に製造することが出来る。
また本発明を実施したコンクリート柱体の内周面には
外周面と同様に極めてシャープな角隅部を形成すること
が出来、これによってコンクリート柱体全体の壁面の肉
厚を均一させ、均一な強度を持ったコンクリート柱体を
簡単に製造することが出来る。
また本発明に係る成形用型枠に於いては内外型枠の両
端部空間に端板リングを挿入して密封するようにしたの
で、端板リングを空間内で移動させることによって、長
さの異なるコンクリート柱体を自在に成形することが出
来る。
更に、成形用型枠を起立したまま或いは水平に保った
ままで遠心力成形することが出来、作業を容易にするこ
とが出来る等の特徴を有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は成形用型枠の一例を示す一部横断説明図、第2
図はその一部縦断説明図、第3図は起立された型枠内に
生コンクリートを充填した後でこれを倒して回転するよ
うにした説明図、第4図は他例の成形用型枠の横断面
図、第5図及び第6図は内型枠内から生コンクリートを
ポンプで注入するようにした成形型枠の断面説明図、第
7図及び第8図は他例の構造を有する成形型枠の断面説
明図である。 1,1aは成形用型枠、2は外型枠、3,3aは内型枠、4は端
板リング、5はキャクテング、6は製管機ホイール、7
は堅起し機、8はホッパー、9はコンクリート柱体、10
は作業台、11はコンクリート供給パイプ、12は枝管、13
はスイベルジョイントである。
フロントページの続き (72)発明者 芹沢 宏悦 東京都新宿区西新宿1―22―2 羽田ヒ ューム管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−72806(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B28B 21/00 - 21/98 E04G 13/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内周面が角筒状の外型枠内に外周面が角柱
    状に形成されると共に外型枠の内径よりも小さい外径を
    持った内型枠を配置し、前記内外型枠の両端に端板リン
    グを設けると共に両端部に回転用キャステングを取り付
    けてなる中空矩形断面コンクリート柱体の成形用型枠に
    於いて、内型枠の角隅部と角隅部との間の壁面を軸芯方
    向に湾曲させて形成したことを特徴とする中空矩形断面
    コンクリート柱体の成形用型枠。
  2. 【請求項2】前記内型枠に成形用型枠内に生コンクリー
    トを供給するためのコンクリート供給パイプを取り付け
    ると共に該コンクリート供給パイプに回転を許容する自
    在継手を設けたことを特徴とする請求項1に記載した中
    空矩形断面コンクリート柱体の成形用型枠。
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