JP2887645B2 - 炊飯器の制御方法 - Google Patents

炊飯器の制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炊飯器の制御方法、特
に、釜底近傍で炊飯される米粒と他の部分で炊飯される
米粒が炊飯ムラなく均質に炊き上げられるようにした炊
飯制御方法に関するものである。
【0002】
【従来技術及び課題】図4に示す一般的な炊飯器は、ガ
スバーナで構成された加熱源(2) と、該加熱源(2) で加
熱される釜(1) の外底面に添設された温度センサ(S)
と、該温度センサ(S) の検知温度を判断しながら上記加
熱源(2) の発熱量を制御する図示しない制御装置を具備
している。
【0003】このものでは、加熱源(2) の発熱により炊
飯動作が始まると、釜(1) 内の水が沸騰してこれが徐々
に蒸発すると共に、該水が沸騰している間は温度センサ
(S)の検知温度が沸騰点に保たれる。そして、釜(1) 内
の水分が蒸発して温度センサ(S) の検知温度が沸騰点よ
り高い炊飯完了温度(通常は145℃)まで昇温する
と、加熱源(2) が発熱停止状態に維持されて炊飯動作が
終わる。
【0004】しかしながら、上記のように水に浸した米
粒を単純に加熱炊飯する場合には、釜底近傍で炊飯され
た米飯と他の部分で炊飯された米飯の炊き上がり状態が
均一にならず、釜(1) 内の各部で炊飯ムラが生じるとい
う問題があった。上記問題について更に詳述する。釜
(1) 内の比較的上部に位置する米粒(R) (R) は釜底近傍
の米粒(R) (R) に比べて加熱源(2) からの熱が伝わり難
い。従って、炊飯完了時においては、米粒(R) (R) の堆
積層の上部は釜底近傍に比べて水分の蒸発が進行してお
らず、該部分で炊飯された米粒(R) (R) は釜底近傍で炊
かれた米粒(R) (R) に比べて水分過多の状態となる。こ
のことから、炊飯場所によって炊飯ムラが生じて均質な
米飯が炊けないのである。
【0005】特に、最近販売され始めたインディカ米の
ように比較的細長い米粒を炊飯する場合は、米粒(R)
(R) 相互間に出来る隙間が少ないことから該米粒の堆積
層に水が浸透し難く、上記炊飯ムラが一層顕著になる。
本発明は上記の点に鑑みて成されたもので、『釜(1) の
外底面を加熱源(2) で加熱すると共に、釜底温度を温度
センサ(S) で監視し、該温度センサ(S) の検知温度が沸
騰点より高温の炊飯完了温度になるまで上記加熱源(2)
を発熱させるようにした炊飯器の制御方法』に於いて、
釜底近傍で炊飯された米飯と他の部分で炊飯された米飯
との間で炊飯ムラが生じないようにすることをその課題
とする。
【0006】
【技術的手段】上記課題を解決する為の本発明の技術的
手段は『釜(1) の側壁を加熱する補助加熱源(4) を設
け、沸騰点より高温で且つ炊飯完了温度より低温に設定
された第1設定温度になったときに加熱源(2) に代えて
補助加熱源(4) の作動を開始させると共に、温度センサ
(S) の検知温度が上記第1設定温度より高温で且つ炊飯
完了温度より低温に設定された第2設定温度になるまで
前記補助加熱源を作動させ、その後、上記補助加熱源
(4) を停止させると共に温度センサ(S) の検知温度が炊
飯完了温度になるまで加熱源(2) を作動させるようにし
た』ことである。
【0007】
【作用】上記技術的手段は次のように作用する。加熱源
(2) による加熱動作が継続して釜底近傍の水分が少なく
なると、温度センサ(S) の検知温度が沸騰点を越えて昇
温し始め、該検知温度が第1設定温度まで昇温した時点
で加熱源(2) に代わって補助加熱源(4) が作動せしめら
れる。すると、該補助加熱源(4) によって釜(1) の側壁
が加熱され、これにより、釜底近傍に比べて水分過剰状
態にある釜上部等に位置する米粒(R) (R) 群が加熱され
ることとなる。すると、該部分の水分が加熱蒸発せしめ
られることとなり、水分過多になり易い釜内上部の米粒
(R) (R) 群に浸透した水分が減少せしめられてその水分
量が適正値に近づく。そして、補助加熱源(4) の発熱動
作の継続によって温度センサ(S) の検知温度が第2設定
温度まで上昇すると、該補助加熱源(4) が発熱停止状態
になると共にこれに代わって再び加熱源(2) による加熱
動作が始まる。そして、以後既述従来のものと同様に温
度センサ(S) の検知温度が炊飯完了温度に達するまで加
熱源(2) による加熱動作を継続させる。
【0008】
【効果】本発明は次の特有の効果を有する。釜(1) の上
部で炊かれる故に水分過多になり易い米粒(R) (R) を補
助加熱源(4) で加熱して該部分の水分蒸発を促進させる
から、釜(1) 内の各場所で炊飯された米粒の含水率が均
一化し、炊飯ムラが少なくなる。
【0009】
【実施例】次に、上記した本発明の実施例を図面に従っ
て説明する。図1に示すように、加熱源(2) としてのガ
スバーナ(29)へのガス回路(20)には元弁(21)と比例弁(2
2)が挿入されているとと共に、該ガスバーナ(29)で加熱
される釜(1) の外周部を包囲する位置には電気ヒータか
ら成る補助加熱源(4) が設けられている。又、釜(1) の
外底面にはその内部温度を検知する温度センサ(S) が添
設されている。
【0010】上記温度センサ(S) や補助加熱源(4) 等は
マイクロコンピュータが組み込まれた制御回路(5) に電
気接続されていると共に、更に該制御回路(5) には炊飯
スイッチ(51)や保温スイッチ(52)が接続されている。上
記制御回路(5) 内のマイクロコンピュータには図2のフ
ローチャートに示す内容の制御プログラムが格納されて
おり、以下、実施例の炊飯器の動作を同図に従って説明
する。尚、図2の制御動作を実行すると、図3に示すよ
うに温度センサ(S) の検知する釜内温度が経時的に変化
し、米粒の含水率を高くする予備炊工程(A) ,釜(1) 内
の水分を蒸発させる本炊工程(B) 及び、蒸らし工程(C)
がこの順序実行されるように成っている。
【0011】ステップ(60),(61)で保温スイッチ(52)や
炊飯スイッチ(51)が投入されるのを監視し、保温スイッ
チ(52)が投入されたことが確認できると、ステップ(62)
で保温動作を実行する。即ち、図示しない保温ヒータを
発熱させて釜(1) 内の米飯を所定温度に維持するのであ
る。次に、上記ステップ(61)で炊飯スイッチ(51)の投入
が確認できた場合は、ステップ(64)で元弁(21)を開弁す
ると共にガスバーナ(29)の近傍に配設された点火装置(5
3)を作動させてガスバーナ(29)を燃焼させ、これによ
り、炊飯動作を開始させる。
【0012】次に、ステップ(65)でタイマー(T) をリセ
ットした上で、ステップ(66)(67)で釜(1) 内の温度を4
5℃に20分間維持することによって米粒の含水率を高
める予備炊き工程(A) が実行される。即ち、温度センサ
(S) で釜内温度を監視しながら比例弁(22)の開度を制御
することにより、該釜(1) 内の温度を45℃に20分間
保持するのである。
【0013】次に、上記予備炊き工程(A) が終了すると
ステップ(68)〜(75)を実行する本炊き工程(B) が始ま
る。本炊き工程(B) は、釜(1) 内の水分を蒸発させる工
程であり、先ず、比例弁(22)の開度を増加させてガスバ
ーナ(29)を強火燃焼させる。すると、釜(1) 内の水分が
蒸発するまでは温度センサ(S) は沸騰点(約100℃)
を検知し、上記水分の蒸発が完了する頃に成ると、温度
センサ(S) の検知温度が前記沸騰点を越えて上昇し始め
る。すると、上記温度センサ(S) の検知温度が沸騰点を
越えて第1設定温度としての101℃以上になると、こ
の状態がステップ(69)で確認され、ステップ(70)でガス
バーナ(29)を消火状態に維持し、その後、ステップ(71)
で補助加熱源(4) を発熱させる。これにより、釜(1) を
側方から加熱し、該釜(1) 内の上部等に位置する米粒
(R) (R) 間に浸透した余剰水分をを蒸発させる。そし
て、上記補助加熱源(4) の発熱継続によって温度センサ
(S) の検知温度が第2設定温度たる115℃を越える
と、ステップ(72)〜(74)を実行し、補助加熱源(4) を停
止させると共にガスバーナ(29)を再び燃焼させる。そし
て、温度センサ(S) の検知する釜内温度が炊飯完了温度
たる145℃になると、これをステップ(75)で判断して
ステップ(76)〜(79)の蒸らし工程(C) に制御動作を移行
させる。即ち、ガスバーナ(29)の燃焼量を制御しながら
加熱源(2) が検知する釜(1) 内温度を98℃に維持する
動作を10分間継続させ、その後、元弁(21)を閉じて炊
飯動作を完了させるのである。
【0014】そして、上記制御方法によれば、釜(1) 内
の温度が炊飯完了温度たる145℃になる前に補助加熱
源(4) で釜(1) 内の上部等に位置する米粒(R) (R) を加
熱するから、釜底近傍で炊飯された米粒(R) (R) も釜の
上部で炊かれた米粒も含水量がほぼ一定となって均質な
米飯が炊き上げられる。尚、上記実施例では、釜(1) 内
の温度が第1設定温度〜第2設定温度(101℃〜11
5℃)の間にある場合に補助加熱源(4) を発熱させるよ
うにしたが、該釜(1) 内の温度が第1設定温度になった
後に所定時間(例えば10分)だけ補助加熱源(4) を発
熱させるようにしてよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する炊飯器の制御回路図
【図2】炊飯制御のフローチャート
【図3】経過時間と釜(1) 内温度との関係説明図
【図4】従来例の説明図
【符号の説明】
(1) ・・・釜 (2) ・・・加熱源 (4) ・・・補助加熱源 (S) ・・・温度センサ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 釜(1) の外底面を加熱源(2) で加熱する
    と共に、釜底温度を温度センサ(S) で監視し、該温度セ
    ンサ(S) の検知温度が沸騰点より高温の炊飯完了温度に
    なるまで上記加熱源(2) を発熱させるようにした炊飯器
    の制御方法に於いて、釜(1) の側壁を加熱する補助加熱
    源(4) を設け、沸騰点より高温で且つ炊飯完了温度より
    低温に設定された第1設定温度になったときに加熱源
    (2) に代えて補助加熱源(4) の作動を開始させると共
    に、温度センサ(S) の検知温度が上記第1設定温度より
    高温で且つ炊飯完了温度より低温に設定された第2設定
    温度になるまで前記補助加熱源を作動させ、その後、上
    記補助加熱源(4) を停止させると共に温度センサ(S) の
    検知温度が炊飯完了温度になるまで加熱源(2) を作動さ
    せるようにした炊飯器の制御方法。
  2. 【請求項2】 釜(1) の外底面を加熱源(2) で加熱する
    と共に、釜底温度を温度センサ(S) で監視し、該温度セ
    ンサ(S) の検知温度が沸騰点より高温の炊飯完了温度に
    なるまで上記加熱源(2) を発熱させるようにした炊飯器
    の制御方法に於いて、釜(1) の側壁を加熱する補助加熱
    源(4) を設け、沸騰点より高温で且つ炊飯完了温度より
    低温に設定された第1設定温度になったときに加熱源
    (2) に代えて補助加熱源(4) を所定時間だけ作動させ、
    その後、上記補助加熱源(4) を停止させると共に温度セ
    ンサ(S) の検知温度が炊飯完了温度になるまで加熱源
    (2)を作動させるようにした炊飯器の制御方法。
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