JP2884045B2 - 鉄−ラクトフェリン複合体及びその製造法 - Google Patents

鉄−ラクトフェリン複合体及びその製造法

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JP2884045B2 JP7086023A JP8602395A JP2884045B2 JP 2884045 B2 JP2884045 B2 JP 2884045B2 JP 7086023 A JP7086023 A JP 7086023A JP 8602395 A JP8602395 A JP 8602395A JP 2884045 B2 JP2884045 B2 JP 2884045B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、広いpH域に対して安定
であり、かつ耐熱性を示す炭酸および/または重炭酸−
鉄−ラクトフェリン複合体及びその製造法に関する。本
発明の炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン
複合体は、鉄独特の収斂味を消し、鉄の持つ過酸化物生
成促進作用を防止するので、貧血の予防あるいは治療、
鉄強化あるいは病原菌付着防止を目的とした食品、医薬
品、飼料、化粧品原料等として有用である。
【0002】
【従来の技術】ラクトフェリン(以下、Lfという)に
は鉄吸収促進、過酸化脂質生成抑制、抗菌、抗ウィル
ス、細胞増殖、免疫系の制御など様々な生理機能が知ら
れている。そこでLfを含有する食品、医薬品、飼料、
化粧品などを製造する試みが色々なされている。このよ
うな製品の多くは加熱殺菌されたり、使用時に熱湯と接
触する場合がある。しかしながら、Lfは熱に不安定で
あり、熱変性すると沈澱したり、鉄結合能を失いその生
理機能も失われてしまうという致命的な欠点があった。
そこで、Lfの熱安定化に関する検討が行われ、pH4に
て加熱したLfは生のLfと同等に鉄を結合する能力を
有することが報告された(Davidson and Lonnerdal, Am.
J. Physiol. 257:G930-G934, 1989) 。しかし、このよ
うにして調製されたLfは保存中に次第に変性し、その
生理機能を失うという欠点があった。また、イオン強度
の低い条件でLfを加熱すると生理活性を維持し得るこ
とが知られている(特開平4-108629号公報) 。しかし、
実際の製品の系ではイオン強度は必ずしも低くない。そ
こでpHと電気伝導度Ωの関係が、Lfの熱安定性におよ
ぼす影響が検討され、 log Ω ≦ (2.96/pH)+ 0.64 (pH<5) log Ω ≦ (29.37/pH) − 4.62 (5≦pH≦7.9) log Ω ≦−0.917 (pH>7.9) となるようにLf含有溶液を調整することによってLf
の熱安定化を図る方法が開発された(特開平4-8269号公
報) 。しかし、この条件を満たさない場合には、この条
件に調整したLf溶液と他の原料溶液を別々に殺菌し、
無菌的に両者を混合するという手段をとる必要がある。
ところが「乳および乳製品等に関する厚生省令」によれ
ば、全ての原料を混合後加熱殺菌することが定められて
おり、別々に殺菌することは実用的ではなかった。そこ
で本発明者らはさらに検討を重ねた結果、Lfに鉄を十
分量結合吸着させることで、耐熱性を賦与させることが
可能となることを発見し、その製造方法について特許出
願を行った(耐熱性ラクトフェリン−鉄結合体およびそ
の製法 特開平6-239900号)。しかし、この発明におい
ても、次のような欠点を有していた。 1.製造されたLfはpH 7.1以上の環境下では沈澱す
る。 2.製造されたLfはpH 6.5以上であってpH7以下の環
境下では可溶であり耐熱性もあるものの、Lfに結合し
ている鉄が、Lf1分子あたり 150分子を越える場合に
は製造後、pH 6.5以上であってpH7以下の環境下に保存
しておくと徐々に不溶化する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
欠点を改善することを目的としてなされたものである。
すなわち、本発明は、広いpH範囲で長期間安定で、耐熱
性も有する鉄−Lf複合体およびその製造方法を提供す
ることを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討したところ、 1)炭酸イオンまたは重炭酸イオンを含有する溶液にLf
類および鉄イオンを含有する溶液を加えて混合すると炭
酸または重炭酸−鉄−Lf複合体が形成されること、2)
この複合体は、炭酸イオンまたは重炭酸イオンを含有す
る溶液に、炭酸イオンまたは重炭酸イオンに対して特定
の比率のLf類および鉄を含有する溶液を加えるという
手段をとることによって初めて形成され、得られる鉄を
高い比率で含有する複合体が広いpH範囲で長期間に亘り
安定で、しかも耐熱性を有し、さらに鉄独特の収斂味を
消し、鉄の持つ過酸化物生成促進作用を防止することを
見出して本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、Lf類1分子当り、鉄を15乃至1000分子、かつ炭酸
および/または重炭酸を15分子以上含有する、炭酸イオ
ンおよび/または重炭酸イオン−鉄−Lf複合体(以
下,鉄−Lf複合体と略記する)に関する。このような
鉄−Lf複合体は、pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なく
とも1ケ月間沈澱を生じず、また加熱しても沈澱を生じ
ず、鉄独特の収斂味がないという性質を示す。
【0005】そしてこのような複合体は、i)炭酸、また
はii) 重炭酸、またはiii)炭酸および重炭酸を含む溶液
(A溶液)と、iv) 鉄およびv)ラクトフェリン類を含有
する溶液(B溶液)を混合することによって得られ、こ
のときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度は、vii)A溶液
と、B溶液の一部または全部が混合した溶液(反応溶
液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよび重炭酸イオ
ンのモル濃度の 1/3以下、好ましくは 1/10 、より好ま
しくは1/30、さらには1/60、最も好ましくは1/100であ
って、B溶液のix) ラクトフェリン類のモルの濃度は、
B溶液のx)鉄イオンモル濃度の1/15から1/1000である必
要がある。B溶液の鉄とラクトフェリン類はそれぞれ別
々に溶解した溶液をA溶液に混合して作成してもよい
し、A溶液に別々に混合しても構わない。ただし、鉄溶
液をラクトフェリン類溶液より先に添加してはならな
い。また、反応は溶液内で行われる必要があるが、添加
する鉄またはラクトフェリン類のいづれか一方が固体状
であっても構わない。さらに、反応溶液中の炭酸イオン
および重炭酸イオンモル濃度を高く保つために、あらか
じめ、溶解しきれない量の炭酸および/または重炭酸塩
をA溶液に含有させておいてもよいし、A溶液にB溶液
を添加している途中、つまり、B溶液の一部がA溶液に
添加されている階段の反応溶液にi)炭酸および/または
重炭酸塩、および/またはii) 炭酸および/または重炭
酸溶液を添加してもよい。
【0006】また、A溶液にB溶液を添加する際には、
A溶液の炭酸および/または重炭酸塩、および/または
炭酸および/または重炭酸溶液のpHが徐々に減少する。
この際に、ごくたまに、製造中に沈澱を生じることがあ
る。B溶液のpHは8から9の間にあり、また、Lfの等
電点が同じくpH8から9であること(E.N. ベーカー、ア
ドバンス イン オーガニック ケミストリー 41,390)
から、この現象はLfおよび/または鉄−Lf複合体が
等電点沈澱をおこしている可能性がある。これを避ける
ためには、AおよびB溶液の混合溶液のpHをLfの等電
点より高い値で保つか、AおよびB溶液の混合液のpHが
Lfおよび/または鉄−Lf複合体の等電点より高いpH
で製造を終了させるか、B溶液のpHをLfの等電点以下
に調整してから、あるいは混合液のpHをB溶液添加中に
随時、等電点以下に調整することが好ましい。このよう
にすると、Lfおよび/または鉄−Lf複合体の等電点
沈澱と思われる沈澱がおさえられ、特に工業規模で行う
生産の場合にはより確実に安定的に鉄−Lf複合体を製
造することができる。
【0007】また、本発明の鉄−Lf複合体は、i)炭
酸、またはii) 重炭酸、またはiii)炭酸および重炭酸、
かつiv) ラクトフェリン類を含む溶液(A溶液)と、
v) 鉄を含有する溶液(B溶液)を混合することによっ
ても得られ、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度
は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合した
溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよ
び重炭酸イオンのモル濃度の1/3 以下、好ましくは 1/1
0 、さらに好ましくは1/30、さらには1/60、最も好まし
くは1/100 以下であって、A溶液のix) ラクトフェリン
類のモルの濃度は、B溶液のx)鉄イオンモル濃度の1/15
から1/1000である必要がある。この製法においても、等
電点付近で極くまれに起こる沈澱を防止するため、前記
した方法を使用することが好ましい。
【0008】本発明において使用するLf類にはヒトや
ウシなどの哺乳類の乳などの分泌液から分離されるラク
トフェリン、または血液や臓器などから分離されるトラ
ンスフェリン、卵などから分離されるオボトランスフェ
リンなどがある。これらはすでに大量に分離する方法が
いくつも知られているが、どのような方法で分離された
ものであってもよい。また、遺伝子操作によって微生
物、動物細胞あるいはトランスジェニック動物から生産
されたものであってもよい。また、これらLf類は酵素
分解したものであってもよい。Lf類は完全に分離され
ている必要はなく、他の成分が含まれていても構わな
い。
【0009】添加する鉄の量はLf1モルに対して鉄イ
オンとして15モル以上、より好ましくは30モル以上、さ
らに好ましくは60モル以上であり、上限は1000モル以
下、好ましくは 480モル以下である。製造に要する時間
を短くするため又は、収率を落とさないためには 240モ
ル以下が好ましい。加える鉄量が前記の上限を越えると
鉄が沈澱してくる。使用する鉄剤は、脱イオン水に溶解
した時のpHが4以下を示す鉄塩、例えば塩化第2鉄、硝
酸第2鉄、硫酸第2鉄など、主に3価の鉄剤を例示でき
る。脱イオン水に溶解した時のpHが4を越える鉄塩、例
えば硫酸第1鉄などでは鉄−Lf複合体を形成すること
ができない。また、この時にpHを4以下に下げても鉄−
Lf複合体を形成することはできない。
【0010】次に鉄剤の種類による熱安定性の違いを試
験例にて示す。
【試験例1】 (材料) (A溶液)1モル/リットルの重炭酸ナトリウムを含む
pH 8.3の溶液1リットル (B1溶液)各種鉄剤を鉄として5ミリモル含む溶液
0.2リットル (B2溶液)Lf(オレオフィナ社製)33マイクロモル
を含む溶液 0.8リットル B1溶液とB2溶液を混合後(B溶液)、A溶液にB溶
液を加え、鉄を結合したLfを作成した。この溶液を分
子量5000カットの限外濾過膜で脱塩・濃縮後、最終濃度
0.05モル/リットルのイミダゾール、0.15モル/リット
ルの食塩を含むpH 7.5の液状食品を模倣した緩衝液 (模
擬緩衝液) で 3.6ミリモル/リットルの鉄濃度となるま
で希釈し、90℃10分間加熱し、Lfの沈澱の生成を観察
した。その結果を表1に示す。
【0011】
【表1】 ──────────────────────────────────── 鉄 剤 鉄として 120μg/mlを脱イオン水に 沈澱の有無 溶解した時のpH ──────────────────────────────────── Fe(NO3)3 2.7 無 し FeSO4 4.8 有 り FeCl3 2.7 無 し FeCl2 4.6 有 り Fe(SO4)NH4 4.8 有 り Fe2(SO4)3 2.6 無 し ピロリン酸鉄 6.8 有 り クエン酸鉄 6.5 有 り フマル酸鉄 4.5 有 り FeSO4 4.8 → 2.7 (塩酸でpHを下げた) 有 り ──────────────────────────────────── このように、脱イオン水に溶解した時のpHが4以下の鉄
剤を使用しないと本発明の鉄−Lf複合体は形成できな
い。また、脱イオン水に溶解した時のpHが4を越える場
合に、そのpHを4以下に調整しても本発明の鉄−Lf複
合体は形成できない。
【0012】炭酸または重炭酸を含むA溶液としては、
炭酸水、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭
酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム溶液およ
びそれらの混合溶液などを例示することが出来る。これ
らにpH調整剤として水酸化ナトリウム、アンモニア、水
酸化カリウム、塩酸、クエン酸、乳酸などを混合して使
用することができる。また、このA溶液には、それ以外
の物質、例えば、糖、蛋白質、脂肪などが含まれていて
も構わない。
【0013】しかし、重要なことは反応時の鉄イオン濃
度と、炭酸イオンおよび重炭酸イオン濃度の比が、鉄−
Lf複合体の熱安定性に影響を及ぼす点である。このこ
とに関する試験例を示す。
【試験例2】 (材料) (A溶液)各濃度の重炭酸ナトリウムを含む溶液1リッ
トル (B1溶液)塩化第二鉄を含む溶液 0.2リットル (B2溶液)Lf1ミリモルを含む溶液 0.8リットル B1溶液とB2溶液を混合して溶液Bを作成し、A溶液
にB溶液を1リットル加えて鉄を結合したLfを作成し
た。なお、B溶液は脱イオン水で希釈したものも用い
た。最終重炭酸イオンモル濃度を 0.6以上とする場合に
はA溶液とB溶液混合時に重炭酸ナトリウムを添加する
か、あらかじめA溶液に必要量の重炭酸ナトリウムを添
加し、飽和の溶液とした。この溶液を分子量5000カット
の限外濾過膜にて加水脱塩し、さらに濃縮した。そし
て、模擬緩衝液で 3.6ミリモル/リットルの鉄濃度とな
るまで希釈し、90℃10分間加熱し、Lfの沈澱生成を観
察した。その結果を表2に示す。なお、表の最小重炭酸
イオン鉄イオン比は、A溶液とB溶液混合後の重炭酸イ
オンモル濃度を、B溶液の鉄イオンモル濃度で除して算
出した。
【0014】
【表2】 B1溶液に30ミリモルの鉄が含まれている場合 ──────────────────────────────────── 重炭酸イオンモル濃度 最小 ────────────── 沈澱の有無 重炭酸イオン/鉄イオン比 A溶液 AB混合後 (モル濃度/モル濃度) ──────────────────────────────────── 1.0 0.5 無 し 16.67 0.8 0.4 無 し 13.33 0.6 0.3 無 し 10.00 0.4 0.2 やや有り 6.67 0.2 0.1 やや有り 3.33 0.1 0.05 有 り 1.67 ────────────────────────────────────
【0015】
【表3】 B1溶液に 200ミリモルの鉄が含まれている場合であって、B溶液を 20倍希釈した場合(B溶液中に10ミリモル/リットルの鉄が含まれる) ─────────────────────────────────── 重炭酸イオンモル濃度 最小 ────────────── 沈澱の有無 重炭酸イオン/鉄イオン比 A溶液 AB混合後 (モル濃度/モル濃度) ─────────────────────────────────── 飽 和 飽 和 無 し 1 2 0 以上 飽 和 1.2 無 し 1 2 0 飽 和 1.0 無 し 1 0 0 飽 和 0.8 ごくわずか有り 8 0 飽 和 0.7 ごくわずか有り 7 0 1.2 0.6 ごくわずか有り 6 0 1.0 0.5 やや有り 5 0 0.6 0.3 やや有り 3 0 0.3 0.15 有 り 1 5 ───────────────────────────────────
【0016】以上のように、B溶液の鉄濃度を高めるに
つれて、AB混合溶液の重炭酸イオン濃度を高める必要
がある。このように、本発明の鉄−Lf複合体の調製に
あたっては、A溶液にB溶液を添加して行く過程におい
て、添加した鉄1分子の周囲には少なくとも3分子、好
ましくは10分子以上の炭酸および/または重炭酸分子が
常に存在している必要がある。さらにいえば、Lf1分
子に 200分子を越える量の鉄分子を結合させる場合に
は、鉄1分子の周囲には30分子以上、好ましくは60分子
以上、より好ましくは 100分子以上の炭酸イオンおよび
/または重炭酸イオン分子が存在しているとよい。
【0017】次に、本発明の鉄−Lf複合体には、どの
くらいの炭酸および/または重炭酸が結合しているかに
ついて次の検討を行った。
【試験例3】 (材料) (A溶液)各濃度の重炭酸ナトリウムを含む溶液1リッ
トル (B1溶液)塩化第二鉄 100ミリモルを含む溶液 0.2リ
ットル (B2溶液)Lf1ミリモルを含む溶液 0.8リットル B1溶液とB2溶液を混合後(B溶液)、A溶液にB溶
液を加え、4℃および37℃にて各反応時間、ゆっくり撹
拌して鉄を結合したLfを調製した。この溶液を模擬緩
衝液で 3.6ミリモル/リットルの鉄濃度となるまで希釈
し、90℃、10分間加熱し、Lfの沈澱生成を観察した。
さらに、 192時間反応後の溶液を分子量5000カットの限
外濾過膜にて鉄を結合したLfと水溶液を分離し、膜を
透過した溶液中の炭酸イオンおよび重炭酸イオン濃度を
イオンクロマト法により分析した。その結果を表4及び
表5に示す。
【0018】
【表4】 反応温度4℃の場合 ──────────────────────────────────── 最小重炭酸 濾過膜透過 重炭酸イオン イオン/ 液中の重炭 モル濃度 鉄イオン比 沈 澱 の 有 無 酸イオン濃 ──────── (モル濃度 ────────────── 度(ミリモ A溶液 AB /モル濃度) 反 応 時 間 ル/リット 混合後 2 24 48 96 192 ル) ──────────────────────────────────── 1.2 0.6 6 無し 無し 無し 無し 無し 0.4654 0.8 0.4 4 無し 無し 無し 無し 無し 0.2630 0.4 0.2 2 有り 無し 無し 無し 無し 0.0988 0.2 0.1 1 有り 有り 有り 無し 無し 0.0005 0.1 0.05 0.5 有り 有り 有り 有り 有り 0.0007 0.05 0.025 0.25 有り 有り 有り 有り 有り 0.0004 ────────────────────────────────────
【0019】
【表5】 反応温度37℃の場合 ─────────────────────────────── 最小重炭酸 重炭酸イオン イオン/ モル濃度 鉄イオン比 沈 澱 の 有 無 ───────── (モル濃度 ─────────────── A溶液 AB /モル濃度) 反 応 時 間 混合後 2 24 48 96 192 ─────────────────────────────── 1.2 0.8 6 無し 無し 無し 無し 無し 0.8 0.4 4 無し 無し 無し 無し 無し 0.4 0.2 2 有り 有り 有り 有り 有り 0.2 0.1 1 有り 有り 有り 有り 有り 0.1 0.05 0.5 有り 有り 有り 有り 有り 0.05 0.025 0.25 有り 有り 有り 有り 有り ───────────────────────────────
【0020】以上のように、低温下で長時間反応させる
と炭酸イオンおよび重炭酸イオン/鉄イオン比が1であ
っても本発明の鉄−Lf複合体を形成できる。しかし、
これ以上の低濃度であると長時間反応させても製造でき
ない。さらに 192時間反応後の限外濾過膜透過液中の炭
酸イオンおよび重炭酸イオン濃度が、最小重炭酸イオン
/鉄イオン比が1以下の場合、脱イオン水の濃度と同じ
であることより、A溶液中の重炭酸は全て鉄−Lf複合
体と結合したものと考えられる。また、37℃で反応させ
た場合には、炭酸イオンおよび重炭酸イオン/鉄イオン
比が2以下では本発明の鉄−Lf複合体は形成できな
い。
【0021】この結果から、本発明の鉄−Lf複合体に
は炭酸および/または重炭酸イオンが結合鉄あたり1分
子以上含有しているものと考えられる。さらにこの鉄−
Lf複合体形成の反応速度を上げるためには炭酸イオン
および/または重炭酸イオン濃度を高めることが効果的
であることも明らかとなった。また、この例から、B溶
液のi)鉄イオンモル濃度が、ii) A溶液と、B溶液の一
部または全部が混合した溶液(反応溶液)のiii)炭酸イ
オンおよび重炭酸イオンモル濃度と同等であっても、鉄
−Lf複合体を形成可能であることが明らかとなった。
しかしながら、この条件では、製造に極端に時間を要す
るため、実用的ではない。
【0022】
【試験例4】さらに元素分析により鉄原子および炭素原
子のモル数を分析し、本発明の鉄−Lf複合体の特徴を
示す。モノクローナル抗体により精製した純度99%のウ
シLf(東洋紡績社)はLf溶液を 0.1%エチレンジア
ミン四酢酸を含む0.1 モル/リットル クエン酸溶液
(超純水)に対して分子量 10000カットの透析膜(スペ
クトロポア社)で3日間透析し、脱鉄し、超純水に対し
てさらに4日間透析を行い、完全に鉄を除去し、さらに
凍結乾燥を行った。1モル/リットルの重炭酸ナトリウ
ムを含むpH 8.3の溶液10ミリリットル(A溶液)、塩化
第二鉄を 300マイクロモル含む溶液を2ミリリットル
(B1溶液) 、Lf 2.5マイクロモルを含む溶液8ミリリ
ットル(B2溶液)を調製した。B1溶液にB2溶液を混合し
(B溶液)、A溶液にB溶液10ミリリットルを加え、鉄
−Lf複合体を調製し、試料1とした。同様にして、B1
溶液の塩化第二鉄を1.75ミリモルとして作製した鉄−L
f複合体を試料2とした。また、脱鉄した未処理のLf
を試料3とし、試料1、2および3は超純水に対して、
5日間分子量10000 カットの透析膜 (スペクトロポア
社) で透析し、凍結乾燥した。さらに、メノウ乳鉢で良
く粉化した後、45℃、48時間真空乾燥機により、水分を
除去した。得られた試料は原子吸光分析機 (ICP)により
鉄含有量、 CHN元素分析機により炭素含有量を分析し
た。
【0023】
【表6】 ──────────────────────────── 試 料 ΔC1) Fe2) ΔC/Fe (モル) (モル) (モル) ──────────────────────────── 1 60 117 0.5 2 71 706 0.1 ────────────────────────────1) (試料1モルあたりの総炭素原子モル数)−(Lf
(試料3)1モルあたりの総炭素原子モル数)2) 試料の総鉄原子モル数
【0024】以上の元素分析の結果から、本発明の鉄−
Lf複合体には通常のLfよりも多量の炭素原子および
鉄原子が結合していることが明らかとなった。また、本
実験系において、炭素原子が増えたのは、重曹から供給
されているとしか考えられず、炭酸イオンまたは重炭酸
イオンが鉄原子と結合していることが本試験例で示され
た。鉄分子に対する炭素原子の割合は 0.1以上であった
ことから、鉄原子1に対して炭酸イオンまたは重炭酸イ
オンが 0.1分子以上の割合で結合していることがわか
る。また、試験例3において鉄1分子に対して重炭酸イ
オンが1分子結合していることが考えられたので、製造
条件より鉄、炭素原子の結合割合は変化していると思わ
れる。いずれにしても、本試験例から、炭酸および/ま
たは重炭酸イオン、および鉄イオンが鉄−Lf複合体に
結合していることは明らかである。なお、試料3では鉄
原子は検出されず、透析により遊離の鉄はほとんどすべ
て除去されていることを確認した。
【0025】
【試験例5】特開平 7-17875号公報ではLf溶液に鉄塩
を添加した後、アルカリを加えてpHを上げ、次いでその
溶液から遊離の鉄を除去した後、溶液を蒸発させ、Lf
粉末として取り出すことからなるLf1グラム当たり
2.1グラム以上の鉄を安定な状態で保持する鉄/Lf粉
末の製造方法について開示されている。また、特開平4-
141067号公報ではLf1グラムに対して少なくとも 1.5
ミリグラム以上の割合の鉄に相当する鉄化合物を添加
し、Lfと鉄を反応させて鉄/Lf溶液を調製する製造
方法について開示されている。本試験例ではこれらの鉄
/Lf溶液と本発明の鉄−Lf複合体との構造上の違い
について試験例で示す。
【0026】使用したLfは試験例4で示したとおりに
脱鉄したものを使用した。本発明の鉄−Lf複合体は実
施例4の試料1と同様に調製し、試料1とした。特開平
7-17875号公報の鉄/Lf溶液はLf 2.5マイクロモル
を含む溶液20ミリリットルに塩化第二鉄を100 マイクロ
モル添加した。さらに、この溶液に1モルの水酸化ナト
リウム水溶液を微量ずつゆっくり滴下し、pHが9になる
まで調製し、試料2とした。特開平4-141067号公報の鉄
/Lf溶液はLf 2.5マイクロモルを含む溶液20ミリリ
ットルに鉄として硫酸第一鉄七水和物を 300マイクロモ
ル添加して作製し、試料3とした。さらに対照として脱
鉄したLfを同じく実施例4の方法で調製し、試料4と
した。得られた4つの試料は試験例4と同様に脱塩、凍
結乾燥、真空乾燥したのち、鉄原子を原子吸光分析機に
より、窒素、炭素および水素原子を CHN元素分析機によ
り分析した。
【0027】
【表7】 ───────────────────────────── 試 料 ΔC1) ΔH2) ΔN3) Fe4) (モル) (モル) (モル) (モル) ───────────────────────────── 1 60 303 0 117 2 3 23 0 19 3 -10 -8 1 20 ─────────────────────────────1) (試料1モルあたりの総炭素原子モル数)−(Lf
(試料4)1モルあたりの総炭素原子モル数)2) (試料1モルあたりの総水素原子モル数)−(Lf
(試料4)1モルあたりの総水素原子モル数)3) (試料1モルあたりの総窒素原子モル数)−(Lf
(試料4)1モルあたりの総窒素原子モル数)4) (試料1モルあたりの総鉄原子モル数)
【0028】以上の結果から、本発明の鉄−Lf複合体
(試料1)は、通常のLfと比較して炭素原子、水素原
子、および鉄原子が通常のLfよりも極めて多量に結合
していることがわかる。このことから、本発明の鉄−L
f複合体は通常のLfとは異なる構造体を形成している
ことが明らかである。一方、特開平 7-17875号公報に開
示された鉄/Lf溶液(試料2)では水素原子で結合水
等の影響が出るため、ややばらつきが認められるもの
の、炭素原子、水素原子、窒素原子ともに通常のLfと
同じであり、鉄原子のみが増加していることから、本発
明の鉄−Lf複合体とは異なる状態で鉄が存在している
ことがわかる。さらに、特開平4-141067号公報の鉄/L
f溶液も同様に、炭素原子、水素原子、窒素原子ともに
通常のLfと同じであり、鉄原子のみが若干増加してい
ることがわかる。以上のことから、構造上、本発明の鉄
−Lf複合体は特開平 7-17875号公報および特開平4-14
1067号公報の鉄/Lf溶液とは全く構造上違うものであ
ることが明らかである。
【0029】一般にLf、鉄および重炭酸塩を混合する
と鉄飽和型Lfが生成することは、従来から知られてい
る。LfはNロープと呼ばれる領域とCロープと呼ばれ
る類似した領域との二つの領域で構成されている。鉄は
この二つの領域のそれぞれに1分子づつ結合する。すな
わち、Nロープでは、Asp60, Tyr192, Tyr192, His253
の4個のアミノ酸残基に1分子の鉄イオンが結合し、さ
らにこの鉄にCO3 2-が1個結合している。Cロープに
おける同様な鉄結合部位はAsp395, Tyr435, Tyr528, Hi
s597である(B.F. Anderson et al., J. Mol. Biol. 20
9:711-734, 1989)。したがって、通常鉄飽和型Lfと
いうのは、Lf1モル当たり鉄が2モル、CO3 2-が2
モル結合している。また、鉄飽和型Lfは鉄の結合して
いないLfに比べると若干安定性が増すが、65℃以上で
加熱すると沈澱してしまう。ところが本発明による鉄−
Lf複合体は鉄の結合量、炭酸および/または重炭酸の
結合量がいわゆる鉄飽和型Lfよりはるかに多い。
【0030】また、特開平4-141067号公報において、L
fに多量の鉄を添加すると鉄がLfに結合し非遊離状態
となり、鉄が安定化されることが示されているが、鉄を
多量に添加することによってLfに耐熱性が付与される
ことは何ら示されていない。また、同公報では炭酸イオ
ンまたは重炭酸イオンの必要性や炭酸・炭酸塩・重炭酸
塩を用いるということも何ら示されておらず、全ての実
施例においても炭酸・炭酸塩・重炭酸塩が使用されてい
ない。さらに、試験例5から鉄原子、炭素原子、水素原
子数が本発明の鉄−Lf複合体と明らかに異っている。
したがって本発明による鉄−Lf複合体とは全く異な
る。
【0031】本発明の鉄−Lf複合体は、炭酸および/
または重炭酸の結合量、および鉄結合量がいわゆる鉄を
2分子結合した通常鉄飽和型Lfより遥に多い。炭酸お
よび/または重炭酸、および鉄がLfの高次構造(3
次、4次)変化を起こしたり、炭酸および/または重炭
酸、および鉄がLfの周囲を取り囲んでいたりするもの
と考えられる。実際、通常鉄飽和Lfを認識する抗Lf
抗体による本発明の鉄−Lf複合体の認識の程度は炭酸
および/または重炭酸と鉄がLfに結合するに従って、
低くなっていく。その様子を次に示す。
【0032】
【試験例6】Lfは、Lf溶液を0.1%エチレンジアミン
4酢酸を含むクエン酸緩衝液に対して透析し、脱鉄した
後、水に対して透析して凍結乾燥したものを用いた。1
モル/リットルの重炭酸ナトリウムを含むpH 8.3の溶液
1リットル(A溶液)、塩化第二鉄を鉄イオンとして0
から 480ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶
液)、Lf1ミリモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を調製した。B1溶液とB2溶液を混合後、1〜 1
00倍に脱イオン水で希釈した(B溶液)。A溶液にB溶
液1リットルを加え、鉄を結合したLfを調製した。こ
の溶液を模擬緩衝液で倍々に希釈した。一方、 ELISA用
プレートに抗ウシLf抗体をコートした後に、ブロック
エース(大日本製薬(株)販売)でブロッキングした。
先に調製したLf溶液を添加し、室温にて1時間反応さ
せた後、パーオキシダーゼを標識した抗ウシLf抗体を
反応させた。よく洗浄した後にABTS基質を加え、405nm
の吸光度を測定した。このように、鉄がLfに対して2
分子結合しているときは、鉄がない場合と同様に認識さ
れるのに対して、鉄量が増えるにしたがって、抗体で認
識されなくなった。その結果を表8に示す。なお、表の
認識率とは、鉄を結合したLfの溶液に含有されるLf
量に対する、本測定法で定量されるLf量の比率をい
う。
【0033】
【表8】 ─────────────────────────── 鉄(モル/モル Lf) 抗体での認識率 (%) ─────────────────────────── 0 1 0 0 2 1 0 0 1 5 9 0 3 0 8 6 6 0 8 2 9 0 6 0 1 2 0 3 1 1 5 0 1 9 2 4 0 1 4 4 8 0 1 4 ───────────────────────────
【0034】さらに本発明の鉄−Lf複合体は、特開平
6-239900号あるいは特開平4-141067号の鉄/LfとpH安
定性の面でも異なっている。このことを次の試験例で示
す。
【試験例7】本発明の鉄−Lf複合体の作製は試験例6
と同様に行った。特開平6-239900号の鉄−Lf結合体
は、Lf 33.75マイクロモル/リットルの水溶液に塩化
第2鉄を鉄として 0.5〜16.2ミリモル/リットルとなる
よう添加し、重炭酸ナトリウムでpHを 6.2に調整して作
製した。特開平4-141067号の鉄/Lf溶液は、12.5マイ
クロモル/デシリットルとなるようLfを溶解した水溶
液に硫酸第1鉄7水和物を鉄として 187〜6000マイクロ
モル/デシリットル溶解して作製した。この際、炭酸イ
オンおよび/または重炭酸イオンを発生する炭酸・炭酸
塩・重炭酸塩などは使用していない。このように3つの
方法で作製した各試料を分子量5000カットの限外濾過膜
にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝液(pH 6.4あるいは 7.2)
にて、Lfとして125 マイクロモル/リットルとなるよ
う希釈した。pHを 6.5と 7.3にそれぞれ調整し、ネジ口
付き試験管に密封した後、90℃、10分間加熱し、室温ま
で自然冷却した後に、3,000rpm、10分間遠心分離し、上
清中のLf含量を測定した。なお、この測定にはBioRad
社製 Protein Assay Kitを使用した。上清に残存してい
るLfの割合を表9に示す。
【0035】
【表9】 ──────────────────────────────────── 特開平4-141067 特開平6-239900 本発明 Fe/Lfモル比 ───────── ───────── ──────── pH6.5 pH7.3 pH6.5 pH7.3 pH6.5 pH7.3 ──────────────────────────────────── 15 5% 6% 80% 43% 100% 100% 30 7 6 84 40 100 100 60 4 3 97 54 100 100 120 6 1 98 38 100 100 150 5 4 81 27 100 100 240 9 2 79 21 100 100 480 2 6 80 13 98 89 ────────────────────────────────────
【0036】このように、本発明ではpH 6.5あるいは
7.3のいずれにおいても耐熱性を示したが、特開平6-239
900号ではpH 6.5では耐熱性を示したものの、pH 7.3で
は耐熱性を示さなかった。また、特開平4-141067号では
pH 6.5および 7.3のいずれにおいても耐熱性を示さなか
った。
【0037】
【試験例8】塩濃度の低い領域では、通常のLfでも耐
熱性があることが知られている(特開平4-8269号)。以
下に、本発明の鉄−Lf複合体のみが塩濃度の高い領域
で耐熱性があることを示す。本発明の鉄−Lf複合体の
作製は、試験例6と同様に行った。特開平6-239900号の
鉄−Lf結合体および、特開平4-141067号の鉄/Lf溶
液の作製は試験例7と同様に行った。また、特開平7-17
875 号の鉄/Lf溶液は、AおよびB法の2通りについ
て作製した。A法では12.5マイクロモル/デシリットル
となるようLfを溶かした水溶液に、塩化第二鉄を鉄と
して 0.5〜16.2ミリモル/リットルとなるように添加
し、さらに1N水酸化ナトリウムでpHを 9.0に調整して作
製した。B法では12.5マイクロモル/デシリットルとな
るようにLfを溶かした50ミリモル/リットル シュウ
酸アンモニウム溶液(pH8.0)に溶解し、塩化第二鉄を
0.5〜16.2ミリモル/リットルとなるように添加し、1N
水酸化ナトリウムでpHを 9.0に調整し作製した。このよ
うに5つの方法で作製した各試料を分子量分画10,000カ
ットの限外濾過膜(アドバンテック社)にて脱塩、濃縮
し、Lfとして 250マイクロモル/リットルとなるよう
に超純水で希釈した。この時の電気伝導度は 0.2ミリジ
ーメンス/センチメートルであった。さらに模擬緩衝液
(pH7.0)で4倍に希釈し、さらに塩濃度を上げるために
30ミリモル/リットルになるように食塩をそれぞれ添加
した。ネジ口付き試験管に密封した後、90℃、10分間加
熱し、Lfの沈澱生成を観察した。沈澱の認められない
ものを0、沈澱のやや認められるものを1、沈澱の多い
もの、および鉄/Lf溶液作成中にすでに沈澱を生じた
ものを2とした。
【0038】
【表10】 ─────────────────────────────────── Fe/Lf比 特開平4-141067 特開平7-17875 特開平6-239900 本発明 A法 B法 30 2 2 2 0 0 60 2 2 2 0 0 120 2 2 2 0 0 150 2 2 2 1 0 240 2 2 2 2 0 ───────────────────────────────────
【0039】Lfはイオン強度が低い場合、耐熱性があ
ることが既に開示されている(特開平4-8269号)。この
なかで、Lf水溶液又は鉄結合型Lfの加熱殺菌が可能
な電気伝導度範囲を以下の式によって開示している。 LogΩ≦2.96/pH+0.64 (pH<5) LogΩ≦29.37/pH-4.62 (5≦pH≦7.9) LogΩ≦-0.917 (pH>7.9) ただし、Ωは電気伝導度(ミリジーメンス/センチメー
トル)を示す。例えば、本試験例で脱塩後のpHは約 7.0
であったので、pH 7.0における通常のLfの加熱殺菌可
能な電気伝導度範囲を計算すると、以下の通りになる。
式より LogΩ≦29.37/7-4.62 ≦-0.42 これより Ω≦10-4.62 ≦0.38
【0040】すなわち、電気伝導度0.38ミリジーメンス
/センチメートル以下であれば、殺菌することが可能で
あることが既に明らかとなっている。従って、通常の脱
塩処理によって、Lfは加熱殺菌が可能となる。各試料
は異なる調製法であるため、一度全て脱塩し、再度食塩
にて塩濃度を上げて同一条件で、その耐熱性試験を行っ
た。今回行った脱塩処理では 0.2ミリジーメンス/セン
チメートルまで脱塩し、0.03モル/リットルの食塩を添
加し、耐熱性試験を行ったものである。この時の電気伝
導度は0.53ミリジーメンス/センチメートルであった。
この値はよりも高い値であり、通常のLfでは耐熱性
が認められない領域である。表10から、本発明の鉄−
Lf複合体においては沈澱が認められず、熱に対して通
常のLfとは異なる高い熱安定性をもつことを示した。
また、特開平6-239900号でも通常のLfと異なる高い熱
安定性を示したが、Fe/Lf比が高いところでは不安定に
なった。特開平4-141067号および、特開平7-17875 号で
はいずれも沈澱したことから、通常のLfと同程度の耐
熱性しかもたないことが示された。このことから、本発
明の鉄−Lf複合体は通常のLfおよび他の開示された
鉄/Lf溶液とは異なる構造をとって高い耐熱性を示し
ていることがわかる。
【0041】また、本発明の組成物のより高い電気伝導
度における耐熱性については試験例9に示す。
【試験例9】試験例6と同様にして鉄−Lf複合体を調
製した。ただし、B1液の鉄含量は1000ミリモルまでと
した。この溶液を分子量5000カットの限外濾過膜で脱塩
・濃縮した後、模擬緩衝液でLf含量として 625マイク
ロモル/リットルとなるよう希釈した。この場合の模擬
緩衝液は、pH 2.0〜3.5 はグリシン−塩酸、pH 3.5〜6.
0 は酢酸、pH 6.0〜7.8 はイミダゾール−塩酸、pH 7.8
〜 9.3はホウ酸−塩化カリウム−水酸化ナトリウムを緩
衝剤とした。また、電気伝導度の調整は塩化ナトリウム
を用いた。これをネジ口付き試験管に密封した後、90
℃、10分間加熱し、室温まで自然冷却した後に、3,000r
pm、10分間遠心分離、上清中のLf含量を測定した。な
お、この測定にはBioRad社製 Protein Assay Kitを使用
した。上清に残存しているLfの割合を表11及び表1
2に示す。
【0042】
【表11】 電気伝導度が5ミリジーメンス/センチメートルの場合 ────────────────────────────────── Fe/Lf pH モル ───────────────────────────── 比 2.0 2.1 2.5 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.8 9.0 9.2 ────────────────────────────────── 10 59 58 57 52 50 46 33 38 31 32 34(%) 15 50 73 74 72 71 75 76 80 77 72 45 30 46 82 91 95 96 97 99 100 100 100 36 60 51 95 93 97 98 100 100 100 100 100 43 120 54 97 100 100 100 100 100 100 100 100 39 240 32 99 100 100 100 100 100 99 99 97 40 480 21 92 93 96 100 100 100 98 96 93 47 1000 20 76 77 78 79 78 95 94 92 92 39 1200 19 32 28 31 33 27 29 30 24 33 32 ──────────────────────────────────
【0043】
【表12】 電気伝導度が 150ミリジーメンス/センチメートルの場合 ────────────────────────────────── Fe/Lf pH モル ────────────────────────────── 比 2.0 2.1 2.5 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.8 9.0 9.2 ────────────────────────────────── 10 51 50 52 53 49 46 37 34 31 32 31(%) 15 44 70 71 72 70 73 72 73 72 64 40 30 41 73 82 85 85 85 87 88 89 87 34 60 45 84 82 84 85 87 89 88 90 89 36 120 47 87 89 90 90 90 90 92 91 88 34 240 28 88 89 90 90 90 90 89 90 87 35 480 20 79 82 83 81 83 86 85 82 80 41 1000 18 66 68 68 70 69 84 83 80 79 34 1200 19 26 26 28 30 27 26 27 25 29 26 ──────────────────────────────────
【0044】このようにLf1分子に対して、鉄が15
分子以上1000分子以下でないと耐熱性が得られず、この
範囲内であれば、pH2.1 から9.0 の範囲で耐熱性が確認
された。さらに言えば、Lf1分子に対して、鉄が15
分子よりも30分子のほうが耐熱性が高く、30分子よ
りも60分子、60分子よりも120分子のほうがさら
に耐熱性が高い。また、Lf1分子に対して、鉄が1000
分子よりも480 分子、480 分子よりも240 分子のほうが
耐熱性が高い。Lf1分子に対して、鉄が1000分子結合
している場合は、pH5以下よりpH5を超える場合のほう
が耐熱性が高い。特開平6-239900号の方法にて製造され
た鉄−Lf結合体は鉄が720 分子以上Lfに結合するこ
とができず沈澱するが、本発明では1000分子の鉄を結合
することができるので、この点からも本発明の鉄−Lf
複合体と特開平6-239900号の方法にて製造された鉄−L
f結合体は異なっているといえる。特開平4-8269号では
Lfの配合された飲料を殺菌する場合、製品の最終pHは
電気伝導度Ωの関係が、 log Ω(ミリジーメンス/センチメートル)> (2.96/p
H)+ 0.64 (pH<5) log Ω> (29.37/pH) − 4.62 (5≦pH≦7.9) log Ω> −0.917 (pH>7.9) であるような場合でないと沈澱を生じたり、Lfが鉄を
結合できなくなるような変性を受けるとしている。
【0045】本発明によって得られた鉄−Lf複合体を
配合した製品を製造する場合、150ミリジーメンス/セ
ンチメートルであって、pHが2.1 から9.0 の範囲であっ
ても耐熱性を有する極めて安定な鉄−Lf複合体である
ため、ΩとpHの関係が上に記した関係以外の場合であっ
ても製造上、全く問題を生じない。
【0046】次に、本発明と特開平6-239900号、特開平
7-17875 号及び特開平4-141067号との保存安定性の違い
を示す。
【試験例10】試験例7、試験例8および試験例9と同
様に鉄−Lf複合体、鉄−Lf結合体および鉄/Lf溶
液を作製し、試験例9と同様に脱塩して5ミリジーメン
スとなるよう電気伝導度を調整した。遠心処理した各試
料を密封して90℃、10分間加熱した後、室温(37℃) で
一ヵ月保存した。その後の沈澱量を目視にて判定した。
沈澱の認められないものを0、沈澱がやや認められるも
のを1、沈澱が多いものを2とした。なお、特開平7-17
875 号については、保存期間3週間で行った。試験例7
の鉄−Lf結合体および鉄/Lf溶液の結果を表13
に、試験例9の鉄−Lf複合体の結果を表14に、それ
ぞれ示す。
【0047】
【表13】
【0048】
【表14】 ───────────────────────────────── Fe/Lf pH モル ──────────────────────────── 比 2.0 2.1 2.5 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.8 9.0 9.2 ───────────────────────────────── 10 2 2 2 2 2 1 1 1 2 2 2 15 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 2 30 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0 2 60 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 120 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 240 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 480 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 1000 2 1 1 1 1 0 0 0 0 0 2 1200 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 ─────────────────────────────────
【0049】表13および14から、本発明の鉄−Lf
複合体はpH 2.1から 9.0の範囲において、90℃、10分の
熱ストレスを与えた後であっても、常温で高い保存安定
性を有していた。表13から本発明の鉄−Lf複合体
は、他の特許に開示されたLfにはない保存安定性があ
ることがわかる。特開平6-239900号ではpH 6.5ではFe/L
f モル比が150以下であれば安定であるが、pH 7.3では
保存安定性がないことがわかる。また、特開平4-141067
号のLf溶液はpH 6.5および 7.3において、すでに耐熱
性がないため、当然のことながら保存安定性を欠いてい
た。また、特開平7-17875 号においても、AおよびB法
ともに保存安定性は認められなかった。
【0050】本発明によって得られたLfを配合した製
品を製造する場合、その製造工程については特に制限は
ない。殺菌は、通常実施されている工程に従い処理し、
加熱殺菌あるいは滅菌する。加熱処理は65℃、30分間の
低温殺菌、 120℃、2〜3秒間、 140〜 150℃、3〜5
秒間、あるいはレトルト処理も可能である。また、乾燥
すればLf含有粉末製品を得ることが出来る。凍結乾燥
でもよいが、大量に処理する場合には乾燥コストの安い
噴霧乾燥が適している。再溶解させることを目的とした
場合には、脱脂乳、乳清、カゼイン、ゼラチン、ショ
糖、澱粉などに混合すると溶解性が向上する。このよう
にして得られたLf含有製品は鉄が含まれているので、
貧血予防あるいは治療を目的とした食品、飼料、医薬品
に特に適している。特に、鉄の収斂味を完全に抑えるの
で、鉄強化食品や経口投与の医薬品への鉄材として優れ
ている。さらに鉄の過酸化物生成促進作用を防止する性
質もあるため、脂肪など酸化され易い食品などへの鉄材
として利用価値が高い。
【0051】
【試験例11】試験例7と同様にして鉄−Lf複合体、
鉄−Lf結合体および鉄/Lf溶液を調製した。但し、
Lfの終濃度は13.2マイクロモル/リットルとし、添加
した鉄剤の終濃度は鉄量として1.98ミリモル/リットル
となるよう調製した。なお、鉄剤としては、本発明の鉄
−Lf複合体及び特開平6-239900号の鉄−Lf結合体で
は塩化第二鉄を使用し、特開平4-141067号のLf溶液で
は硫酸第一鉄を使用した。また、対照として、1.98ミリ
モル/リットル塩化第二鉄水溶液、1.98ミリモル/リッ
トル硫酸第一鉄水溶液、1.98ミリモル/リットル塩化第
二鉄を含む13.2マイクロモル/リットルLf水溶液を調
製した。試料番号7は、1.98ミリモル/リットル塩化第
二鉄及び13.2マイクロモル/リットルLfを重炭酸ナト
リウム水溶液に同時に添加したものであり、本発明の製
造法に従わずに製造した試料である。得られた各試料
は、分子量10000 カットのモルカット(ミリポア社)に
1ミリリットル添加し、脱塩した。それぞれの試料につ
いて、リテンテート量が0.2 ミリリットルになったとこ
ろで1ミリリットル加水し、総計6ミリリットル加水し
た。得られたリテンテート及びパーミエートについて
は、原子吸光分析機(ICP)により鉄含量を測定し
た。なお、示したモル濃度は全て終濃度で示した。ま
た、リテンテート鉄残存率は次式より求めた。 リテンテート鉄残存率(%)={リテンテート鉄総量÷
(リテンテート鉄総量+パーミエート鉄総量)}×10
【0052】さらに、鉄の収斂味については、調製した
試料を限外濾過膜で処理する前に試験した。結果を表1
5に示す。 試料1:本発明の鉄−Lf複合体 試料2:特開平6-239900号の鉄−Lf結合体 試料3:1.98ミリモル/リットル塩化第二鉄含有13.2マ
イクロモル/リットルLf水溶液 試料4:特開平4-141067号のLf溶液 試料5:1.98ミリモル/リットル塩化第二鉄水溶液 試料6:1.98ミリモル/リットル硫酸第一鉄水溶液 試料7:1.98ミリモル/リットル塩化第二鉄及び13.2マ
イクロモル/リットルLf含有重炭酸ナトリウム水溶液
【0053】
【表15】 ─────────────────────────────── 試料番号 リテンテート鉄残存率(%) 収斂味 ─────────────────────────────── 1 99.3 な し 2 98.1 な し 3 25.3 あ り 4 10.9 あ り 5 6.2 あ り 6 3.9 あ り 7 23.2 あ り ───────────────────────────────
【0054】試料5及び試料6において全ての鉄はパー
ミエートに移行しており、水溶液中で使用した鉄剤が分
子量10000 カットの膜を透過したことが判った。一方、
試料1及び試料2では全ての鉄がリテンテートに残存し
ており、鉄がLfと結合し、分子量10000 カットの膜を
透過しなかったことが判った。また、試料3は鉄及びL
f混合物を重炭酸ナトリウム水溶液に添加する前の状態
を示すものであるが、多くの鉄が遊離状態で存在し、鉄
はパーミエートに移行している。さらに、試料7におい
ては、単に塩化第二鉄、Lf及び重炭酸ナトリウムを同
時に接触させるだけでは遊離の鉄が多量に存在すること
を示している。
【0055】以上の結果から、本発明の鉄−Lf複合体
を調製するに際しては、重炭酸ナトリウム水溶液が必要
であり、かつ、その調製手順も重要であることが改めて
確認された。なお、試料4においては、鉄は殆どパーミ
エートに移行しており、遊離の状態であることが判っ
た。鉄の収斂味(鉄味)については、試料1及び試料2
では認められなかったが、他の試料では認められた。
【0056】つぎに呈味性の成績を示す。
【試験例12】試験例7と同様に、3つの方法で作成し
た各種鉄/Lf混合溶液を分子量5000カットの限外濾過
膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝液(pH 6.8)にて鉄イオ
ンとして 13 ミリグラム/100ミリリットルおよび26ミリ
グラム/100ミリリットルとなるよう蒸留水で希釈した。
このようにして得られた試料について、以下のような官
能評価試験を行った。男5女5名のパネラーに模擬緩衝
液を対照として各試料の収斂味を感じるかどうかを判定
させた。パネラーには目隠しをし、外見による判断要因
を与えないよう配慮した。一試料のための試験は、対
照、試料の順に試飲させ、一試料評価後、最低一日の間
隔をあけて、次の試料を評価するための試験を実施し
た。また、試料評価の日間偏差をなくすため、各パネラ
ー毎に試料評価の順番をランダム化した。その結果、パ
ネラー10人のうちで収斂味を感じた人数を表16に示
す。
【0057】
【表16】 ──────────────────────────────────── 特開平4-141067 特開平6-239900 本発明 Fe/Lfモル比 ───────── ───────── ───────── 鉄濃度(ミリグラム/100ミリリットル) 13 26 13 26 13 26 ──────────────────────────────────── 15 10人 10人 0人 0人 0人 0人 30 10 10 0 0 0 0 60 10 10 0 0 0 0 150 10 10 0 3 0 0 240 10 10 1 4 0 0 480 10 10 1 6 0 0 ────────────────────────────────────
【0058】以上のように、本発明は鉄の収斂味を全く
感じさせない優れたマスキング効果を有することが明ら
かとなった。また、特開平6-239900号では鉄濃度が26ミ
リグラム/100ミリリットルであってFe/Lfモル比が 150
を超える場合に収斂味を感じるパネラーが認められ、特
開平4-141067号では全ての場合においてパネラー10人全
員が収斂味を認めた。
【0059】
【試験例13】試験例9と同様に鉄−Lf複合体を分子
量5000カットの限外濾過膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝
液にて、鉄イオンとして26ミリグラム/100ミリリットル
となるよう希釈し、90℃10分間の殺菌を施した。こ
のようにして得た試料を試験例12と同様の方法にて官
能評価試験した。
【0060】
【表17】 ───────────────────────────────── Fe/Lf pH モル ──────────────────────────── 比 2.0 2.1 2.5 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.8 9.0 9.2 ───────────────────────────────── 10 10 9 8 8 7 6 6 5 6 8 10 15 10 3 2 2 1 0 0 0 0 1 10 30 10 1 0 0 0 0 0 0 0 0 10 60 10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 120 10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 240 10 0 0 0 0 0 0 0 0 0 10 480 10 2 1 1 1 1 0 0 0 0 10 1000 10 3 2 2 2 1 0 0 0 0 10 ──────────────────────────────────
【0061】以上のように、本発明の鉄−Lf複合体
は、Lf1分子に対して鉄が15分子以上1000分子以下
結合したものであれば、それを取り巻く環境がpH2.1 か
らpH9.0 の範囲であれば、鉄の収斂味を抑制する効果を
持っていた。この時、Lf1分子に対して鉄が480 分子
以上結合し、pH2.1 からpH5.0 の範囲で若干の収斂味を
数名が感じたが、鉄含量を13ミリグラム/100 ミリリッ
トルとすると10名のパネラーの内、収斂味を感じたも
のはいなかった。
【0062】
【実施例1】重炭酸ナトリウム1.2 モルとLf(DMV
社製)10マイクロモルを含む溶液1リットル(A)。
硫酸第二鉄を鉄イオンとして1.5 ミリモルを含む溶液1
リットル(B)を作成した。AにBを加え、鉄を結合し
たLfを作成した。この試料を分子量5000カットの限外
濾過膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩衝液(pH8.9)にて、鉄
濃度が26ミリグラム/100 ミリリットルとなるよう希
釈した。これをネジ口付き試験管に密封した後、90℃
10分間加熱し、室温まで自然冷却した後、室温にて1
か月保存した。沈澱を肉眼にて判定したところ、全く認
められなかった。さらに試験例12と同様の方法にて官
能評価試験を実施したところ、パネラー10名のうちで
収斂味を感じたものは一名も認められなかった。
【0063】
【実施例2】炭酸カルシウム0.05モル、重炭酸アンモニ
ウム 1.2モルを含む溶液1リットルを塩酸にてpH 7.8に
調製した(A溶液)。硫酸第二鉄を鉄イオンとして 1.5
ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶液)、トラン
スフェリン(アポ型、高純度、牛血漿製、和光純薬工
業)10マイクロモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を作成した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液
にB1/B2混合液を加え、鉄を結合したトランスフェ
リンを形成させた。鉄−トランスフェリン結合溶液を分
子量5000カットの限外濾過膜にて脱塩・濃縮し、模擬緩
衝液(pH 6.8)にて、鉄濃度が26ミリグラム/200ミリリ
ットルとなるよう希釈した。これをネジ口付き試験管に
密封した後、90℃、10分間加熱し、室温まで自然冷却し
た後、37℃にて1か月保存した。沈澱を肉眼にて判定し
たところ、全く認められなかった。さらに試験例12と同
様の方法にて官能評価試験を実施したところ、パネラー
10名のうちで収斂味を感じたものは1名も認められなか
った。
【0064】
【実施例3】炭酸ナトリウム 0.5モル、重炭酸カリウム
0.7モルを含む溶液1リットルを酢酸にてpH 8.3に調製
した(A溶液)。硝酸鉄(III) を鉄イオンとして 1.5ミ
リモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶液)、オボトラ
ンスフェリン(タイプIV、粗、卵白製、無鉄、シグマ
社)10マイクロモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を作成した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液
にB1/B2混合液を加え、鉄を結合したオボトランス
フェリンを作成した。鉄−オボトランスフェリン結合溶
液を分子量5000カットの限外濾過膜にて脱塩・濃縮し
た。これを模擬緩衝液 (pH 6.2) にて、鉄濃度が26ミリ
グラム/200ミリリットルとなるよう希釈した。これをネ
ジ口付き試験管に密封した後、90℃、10分間加熱し、室
温まで自然冷却した後、37℃にて1か月保存した。沈澱
を肉眼にて判定したところ、全く認められなかった。さ
らに試験例12と同様の方法にて官能評価試験を実施した
ところ、パネラー10名のうちで収斂味を感じたものは1
名も認められなかった。
【0065】
【実施例4】重炭酸ナトリウム1.0 モルを含む溶液1リ
ットルを作製した(A溶液)。塩化第二鉄を鉄イオンと
して1ミリモルを含む溶液 0.2リットル (B1溶液) 、ウ
シラクトフェリン(ULN社製)10マイクロモルを含む 0.8
リットル (B2溶液) を作製した。B1とB2を混合後、A溶
液にB1/B2 混合液を加えた。溶液のpHを 8.5に維持する
ために、適時重炭酸ナトリウムを添加し、鉄−Lf複合
体を作製した。得られた、鉄−Lf複合体を脱塩を行わ
ずに90℃10分間加熱し、室温まで自然冷却した。この状
態で沈澱は認められなかった。さらに、37℃で一ヵ月間
保存し、再び、沈澱を肉眼で判定したところ、全く認め
られなかった。さらに、試験例12と同様の方法にて官能
評価試験を実施したところ、パネラー10名のうちで収斂
味を感じたものは1名も認められなかった。
【0066】
【実施例5】重炭酸ナトリウム0.8 モルを含む溶液1リ
ットルを作製した(A溶液)。硫酸第二鉄を鉄イオンと
して1ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶液) 、ウ
シラクトフェリン(ULN社製) 10マイクロモルを含む 0.8
リットル (B2溶液) を作製した。B1とB2を混合後、A溶
液にB1/B2 混合液を加え、鉄−Lf複合体を作製した。
得られた鉄−Lf複合体を脱塩を行わずに90℃10分間加
熱し、室温まで自然冷却した。この状態で沈澱は認めら
れなかった。さらに、37℃で一ヵ月間保存し、再び、沈
澱を肉眼で判定したところ、全く認められなかった。さ
らに、試験例12と同様の方法にて官能評価試験を実施し
たところ、パネラー10名のうちで収斂味を感じたものは
1名も認められなかった。
【0067】
【実施例6】炭酸ナトリウム1.0 モルを含む溶液1リッ
トルに2N塩酸でpHを 8.0まで下げてA溶液を作製した。
硫酸第二鉄を鉄イオンとして1ミリモルを含む溶液 0.2
リットル (B1溶液) 、ウシラクトフェリン(ULN社製) 10
マイクロモルを含む 0.8リットル (B2溶液) を作製し
た。B1とB2を混合後、A溶液にB1/B2 混合液を加え、鉄
−Lf複合体を作製した。得られた、鉄−Lf複合体を
脱塩を行わずに90℃10分間加熱し、室温まで自然冷却し
た。この状態で沈澱は認められなかった。さらに、37℃
で一ヵ月間保存し、再び、沈澱を肉眼で判定したとこ
ろ、全く認められなかった。さらに、試験例12と同様の
方法にて官能評価試験を実施したところ、パネラー10名
のうちで収斂味を感じたものは1名も認められなかっ
た。
【0068】
【実施例7】重炭酸ナトリウムを24モル含む溶液8リッ
トル(溶けきらない塩が沈澱している)を調製した(A
溶液)。塩化第二鉄を鉄イオンとして20ミリモルを含む
溶液2リットル(B1溶液)、ラクトフェリン (タツア
バイオロジックス社製) 100マイクロモルを含む溶液8
リットル(B2溶液)を作成した。B1溶液とB2溶液
を混合後、A溶液を良く撹拌しながら、A溶液にB1/
B2混合液を加え、鉄を結合したラクトフェリンを形成
した。この溶液を分子量5000カットの限外濾過膜にて加
水脱塩後、同様の膜で1リットルにまで濃縮した。これ
を20リットルの還元脱脂乳(脱脂粉乳 100グラムを水1
リットルの比率で還元)に、鉄濃度が26ミリグラム/200
ミリリットルとなるよう添加した。これを撹拌混合後、
プレート型殺菌機を用いて 120℃にて2秒間殺菌し直ち
に5℃に冷却した後、低温(10℃)にて2週間保存し
た。一部を3,000rpm、10分間遠心分離し沈澱を肉眼にて
判定したところ、全く認められなかった。さらに試験例
10と同様の方法にて官能評価試験を実施した。ただし、
対照は還元脱脂乳を同様の条件にて殺菌・保存したもの
を用いた。パネラー10名のうちで収斂味や味・香りなど
に異常を感じたものは1名も認められなかった。
【0069】
【実施例8】実施例4で作製・濃縮・脱塩した鉄/Lf
混合溶液を20リットルの生乳に、鉄濃度が26ミリグラム
/200ミリリットルとなるよう添加した。これを均質化し
た後に 150℃4秒間滅菌し直ちに4℃に冷却し 250ミリ
リットルづつ紙容器に無菌的に充填した。37℃にて3ヶ
月保存後、遠心分離し沈澱物の有無を調べたが、沈澱は
全く認められなかった。また、大腸菌数および一般細菌
数共に0であった。また、鉄が存在しているために保存
中に褐変が進行する恐れがあったが、全く褐変は認めら
れなかった。さらに試験例12と同様の方法にて官能評価
試験を実施した。ただし、対照は生乳を同様の条件にて
殺菌・保存したものを用いた。パネラー10名のうちで収
斂味や味・香りなどに異常を感じたものは1名も認めら
れなかった。
【0070】
【実施例9】実施例4で作製・濃縮・脱塩した鉄/Lf
複合体溶液(試験群)または硫酸第1鉄溶液(対照群
1)を、鉄濃度が20ミリグラム/100ミリリットルとなる
よう、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウム
をビタミンCとして 6.2ミリグラム/100グラム含む生理
的リン酸緩衝液(pH 7.2)に溶解し、90℃、10分間の殺
菌をしたものを試験試料とした。対照群2として、ビタ
ミンCを添加した生理的リン酸緩衝液を殺菌したものも
作成した。離乳直後、21日齢のウィスター系雌ラット
(日本チャールスリバー)の中、体重が45から50グラム
のものを選び、除鉄食(オリエンタル酵母,鉄含量0.25
ミリグラム/100グラム飼料)を2週間与え、血中ヘモグ
ロビン値が7グラム/100ミリリットル以下の貧血ラット
を作成した。ラットは1群4匹として、その後も除鉄食
を与え続けながら、試験試料を1ミリリットル/日、6
週間、強制経口(ゾンデ)投与した。試験試料投与後6
週間目に、尾静脈より採血し、自動血球計測装置(東亜
医用電子)でヘモグロビン値を測定した。その結果を表
18に示す。
【0071】
【表18】 ────────────────────────── ヘモグロビン値 (平均値±標準偏差) ────────────────────────── 試験群 15.2±1.1 (グラム/100ミリリットル) 対照群1 12.9±0.9 対照群2 4.8±0.3 ──────────────────────────
【0072】以上のように、本発明の鉄−Lf複合体は
貧血治療効果を示し、さらに、その効果は無機鉄である
硫酸第一鉄よりも優れていたことが明らかとなった。
【0073】
【実施例10】実施例4で作製・濃縮・脱塩した鉄−L
f複合体溶液を、アスコルビン酸およびアスコルビン酸
ナトリウムをビタミンCとして30ミリグラム/200ミリリ
ットル添加した生乳に、鉄濃度が15ミリグラム/200ミリ
リットルとなるよう添加し、約200ミリリットル容量の
耐熱ガラス瓶にヘッドスペース10ミリリットル以下とな
るよう充填した(試験群)。対照として、鉄−Lf複合
体の代わりにクエン酸鉄ナトリウムを添加したビタミン
C強化乳を用いた(対照群)。これをF値4でレトルト
滅菌し、37℃で2週間保存し、残存するビタミンC含量
をビタミンC測定器(TOA電子社製)にて定量した。
ビタミンC残存率は測定値を初期値で割った百分率とし
た。その結果を表19に示す。
【0074】
【表19】
【0075】以上のように、鉄−Lf複合体は無機鉄に
比べてビタミンCの破壊の程度が低く、酸化および過酸
化物生成能の低い鉄材としても有効であることが明らか
となった。
【0076】さらに、試験群について試験例12と同様の
方法にて官能評価試験を実施した。ただし、対照は鉄を
添加していないビタミンC強化乳を同様の条件にてレト
ルト処理したものを用いた。パネラー10名のうちで収斂
味などに異常を感じたものは1名も認められなかった。
【0077】
【実施例11】1グラムのLf(DMV社製)を 0.2モ
ル/リットルの酢酸緩衝液(pH4)に溶解し、ペプシン
(シグマ社) 26000ユニット添加し、37℃、2時間反応
後、水酸化ナトリウムでpH 7.5とした。これにトリプ
シン(シグマ社)200000ユニットを添加して、37℃、2
時間反応させた。このようにして得た分解Lfは電気泳
動により、主に分子量50000, 40000, 30000 カットの分
解物となっていることを確認した。重炭酸ナトリウムを
1.3モル含む溶液1リットル(溶けきらない塩が沈澱し
ている)を調製した(A溶液)。塩化第二鉄を鉄イオン
として 1.2ミリモルを含む溶液 0.2リットル(B1溶
液)、ラクトフェリン分解物を分解前のラクトフェリン
として10マイクロモルを含む溶液 0.8リットル(B2溶
液)を作成した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液
を良く撹拌しながら、A溶液にB1/B2混合液を加
え、鉄を結合したラクトフェリン分解物を作成した。こ
れをネジ口付き試験管に密封した後、90℃、10分間加熱
し、室温まで自然冷却した後、37℃にて1か月保存し
た。沈澱を肉眼にて判定したところ、全く認められなか
った。さらに試験例12と同様の方法にて官能評価試験を
実施したところ、パネラー10名のうち、収斂味を感じた
ものは1名も認められなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 14/79 A61K 38/16

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の性質を示す炭酸および/または重炭
    酸−鉄−ラクトフェリン複合体。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分子
    および、炭酸および/または重炭酸15分子以上を含有す
    ること、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
    澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。
  2. 【請求項2】 鉄−ラクトフェリン複合体に結合してい
    る炭素原子および鉄原子について、((請求項1記載の
    鉄−ラクトフェリン複合体1モルあたりの総炭素原子モ
    ル数)−(鉄を結合していないラクトフェリン1モルあ
    たりの総炭素原子モル数))/(請求項1記載の鉄−ラ
    クトフェリン複合体1モルあたりの総鉄原子モル数)の
    値が 0.1以上である請求項1記載の複合体。
  3. 【請求項3】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
    炭酸および重炭酸を含む溶液(A溶液)に、iv) 鉄およ
    びv)ラクトフェリン類を含有する溶液(B溶液)を混合
    することによって得られ、次の1)から4)の性質を示
    す炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合
    体。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度
    は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合した
    溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよ
    び重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、B溶液
    のix) ラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)鉄イ
    オンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分
    子、かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上含有する
    こと、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
    澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。
  4. 【請求項4】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
    炭酸および重炭酸、かつiv) ラクトフェリン類を含む溶
    液(A溶液)に、v)鉄を含有する溶液(B溶液)を混合
    することによって得られ、次の1)から4)の性質を示
    す炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合
    体。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル濃度
    は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合した
    溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオンおよ
    び重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、ix) A
    溶液のラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)鉄イ
    オンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分
    子、かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上含有する
    こと、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
    澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。
  5. 【請求項5】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
    炭酸および重炭酸を含む溶液(A溶液)に、iv) 鉄およ
    びv)ラクトフェリン類を含有する溶液(B溶液)を混合
    することを特徴とする、次の1)から4)の性質を示す
    炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合体
    の製造法。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル
    濃度は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合
    した溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオン
    および重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、B
    溶液のix) ラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)
    鉄イオンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄15乃至1000分子、
    かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上を含有するこ
    と、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
    澱が生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。
  6. 【請求項6】 i)炭酸、またはii) 重炭酸、またはiii)
    炭酸および重炭酸、かつiv) ラクトフェリン類を含む溶
    液(A溶液)に、v)鉄を含有する溶液(B溶液)を混合
    することを特徴とする、次の1)から4)の性質を示す
    炭酸および/または重炭酸−鉄−ラクトフェリン複合体
    の製造法。ただし、このときB溶液のvi) 鉄イオンモル
    濃度は、vii)A溶液と、B溶液の一部または全部が混合
    した溶液(反応溶液)に溶解しているviii) 炭酸イオン
    および重炭酸イオンのモル濃度の 1/3以下であって、A
    溶液のiX) ラクトフェリン類のモル濃度は、B溶液のx)
    鉄イオンモル濃度の1/15から1/1000である。 1)ラクトフェリン類1分子当り、鉄を15乃至1000分
    子、かつ炭酸および/または重炭酸15分子以上含有する
    こと、 2)pH 2.1以上 9.0以下で常温で少なくとも1ケ月間沈
    澱を生じないこと、 3)加熱しても沈澱を生じないこと、 4)鉄独特の収斂味がないこと。
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