JP5302546B2 - 白内障予防剤 - Google Patents
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Description
(1)ラクトフェリン類1分子当たり少なくとも3原子の鉄を保持している鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする白内障予防剤。
(2)鉄‐ラクトフェリンが、ラクトフェリン類に炭酸及び/又は重炭酸と鉄とを保持している鉄‐ラクトフェリン結合体及び/又は鉄‐ラクトフェリン複合体である(1)記載の白内障予防剤。
(3)鉄‐ラクトフェリンが、ラクトフェリン類1g当たり、15mg以上の炭酸及び/又は重炭酸と10〜700mgの鉄とを保持している鉄‐ラクトフェリン結合体及び/又は鉄‐ラクトフェリン複合体である(1)記載の白内障予防剤。
(4)鉄‐ラクトフェリン類が、ラクトフェリン1g当たり、35〜400mgの炭酸及び/又は重炭酸と40〜500mgの鉄とを保持している鉄‐ラクトフェリン結合体及び/又は鉄‐ラクトフェリン複合体である(1)記載の白内障予防剤。
(5)(1)〜(4)に記載の鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする白内障予防用医薬品。
(6)(1)〜(4)に記載の鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする白内障予防用飲食品。
(7)(1)〜(4)に記載の鉄‐ラクトフェリンを有効成分とする白内障予防用飼料。
本発明者らは、鉄‐ラクトフェリンとすることで消化酵素による分解が限定的となり、鉄‐ラクトフェリンが小腸のレセプターまで達し、吸収され、活性を失うことなく白内障予防効果を発揮することを見出した。
本発明者らは、ラクトフェリン類に鉄を十分結合吸着させることで耐熱性を付与する方法により作製された鉄‐ラクトフェリンを用いれば、加熱処理してもその生理活性を維持し、白内障予防効果を発揮することを見出した。
ウシラクトフェリン(DMV社製)90gと塩化第二鉄6水和物 52gを水10リットルに溶解し、撹拌機で撹拌しながら重炭酸ナトリウム5gを添加して鉄‐ラクトフェリンを含む溶液を調製した。そして、この溶液を分子量5,000カットの限外濾過膜で脱塩及び濃縮した後、水を加えて容量10リットルの鉄‐ラクトフェリン溶液とした。なお、この鉄‐ラクトフェリン溶液中の鉄量を誘導結合プラズマ発光分光器(ICP) (ST-3000、Leeman Labs 社製) で測定したところ、鉄‐ラクトフェリン溶液中に含まれる鉄量は 102mg/100mlであった。この鉄‐ラクトフェリンは、誘導結合プラズマ発光分光器(ICP) 分析及び元素分析を行ったところ、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を 105原子、重炭酸を5分子保持していた。
このようにして得られた鉄‐ラクトフェリンは、そのまま本発明の白内障予防剤として使用可能である。
水2リットルに重炭酸ナトリウム400gそのままを添加し、撹拌機で撹拌して調製した重炭酸ナトリウム過飽和溶液中に、ウシラクトフェリン 90gと塩化第二鉄6水和物 52gを水8リットルに溶解した溶液を撹拌しながら添加し、鉄‐ラクトフェリンを含む溶液を調製した。この溶液を分子量 5,000カットの限外濾過膜で脱塩及び濃縮した後、水を加えて容量10リットルの鉄‐ラクトフェリン溶液とした。なお、この鉄‐ラクトフェリン溶液中の鉄量を誘導結合プラズマ発光分光器(ICP) で測定したところ、鉄‐ラクトフェリン溶液中に含まれる鉄量は101mg/100mlであった。この鉄‐ラクトフェリンは、ラクトフェリン1分子当たりに鉄を 108原子、重炭酸を54分子保持していた。
このようにして得られた鉄‐ラクトフェリンは、そのまま本発明の白内障予防剤として使用可能である。
炭酸カルシウム0.05モル、重炭酸アンモニウム1.2モルを含む溶液1リットルを塩酸にてpH7.8に調整した(A溶液)。硫酸第二鉄を鉄イオンとして、1.5ミリモルを含む溶液0.2リットル(B1溶液)、トランスフェリン(アポ型、高純度、牛血漿製、和光純薬工業社製)10マイクロモルを含む溶液0.8リットル(B2溶液)を調製した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液にB1/B2混合液を加え、鉄を結合したトランスフェリン溶液を調製した。この溶液を分子量5,000カットの限外濾過膜にて脱塩及び濃縮した後、水を加えて容量200ミリリットルの鉄‐トランスフェリン溶液とした。なお、この鉄‐トランスフェリン溶液中の鉄量を誘導結合プラズマ発光分光器(ICP) で測定したところ、この鉄‐トランスフェリン溶液中に含まれる鉄量は13mg/100mlであった。
このようにして得られた鉄‐トランスフェリンは、そのまま本発明の白内障予防剤として使用可能である。
炭酸ナトリウム0.5モル、重炭酸カリウム0.7モルを含む溶液1リットルを酢酸にてpH8.3に調整した(A溶液)。硝酸鉄(III)を鉄イオンとして、1.5ミリモルを含む溶液0.2リットル(B1溶液)、オボトランスフェリン(タイプIV、粗、卵白製、無鉄、シグマ社製)10マイクロモルを含む溶液0.8リットル(B2溶液)を調製した。B1溶液とB2溶液を混合後、A溶液にB1/B2混合液を加え、鉄を結合したオボトランスフェリン溶液を調製した。この溶液を分子量5,000カットの限外濾過膜で脱塩及び濃縮した後、水を加えて容量200ミリリットルの鉄‐オボトランスフェリン溶液とした。なお、この鉄‐オボトランスフェリン溶液中の鉄量を誘導結合プラズマ発光分光器(ICP) で測定したところ、鉄‐オボトランスフェリン溶液中に含まれる鉄量は、13mg/100mlであった。
このようにして得られた鉄‐オボトランスフェリンは、そのまま本発明の白内障予防剤として使用可能である。
本試験例1は、糖尿病性並びに老人性白内障のモデルとして、高ガラクトース負荷飼料によりラットに白内障を誘発させ、その餌中に、鉄‐ラクトフェリン又はラクトフェリンを添加し、一定期間後の白内障の発生を評価するものである。また、ガラクトースを含まない固形飼料を与えたラットをコントロールとした。ガラクトース負荷飼料の組成を表1に示す。
B群:鉄‐ラクトフェリン(実施例1で調製) 0.38078g
鉄‐ラクトフェリンの実際のLF含有率:76.52%
塩化第二鉄の実際の鉄含有率:24.49%
鉄‐ラクトフェリンの実際の鉄含有率:5.36%
ガラクトース負荷食を摂食させて体内を酸化させることによって発症する白内障は、摂食後8週間で認められた。一方、ガラクトースを与えないコントロールでは、白内障の発症は認められなかった。
ガラクトース負荷食を摂食させ、かつ、ラクトフェリンを与えたA群では、5匹中3匹が白内障と判定されたが、鉄‐ラクトフェリンを与えたB群では、5匹中1匹のみが白内障と判定された。
この結果から、鉄‐ラクトフェリンを投与することにより、ラクトフェリン投与群と比較して、白内障の発症をより遅延させることが明らかとなった。
鉄‐ラクトフェリンの抗酸化能力について検証するため、βカロテン退色法を用いた。この方法はリノール酸の酸化に伴い生じるリノール酸過酸化物がβカロテンの二重結合と反応し、βカロテンの色が退色していくことを利用したもので、一定時間内の吸光度を求めて、どれだけβカロテンが退色したかを測定する。このとき、抗酸化剤はβカロテンの退色を抑制するため、しばしばサンプルの抗酸化能を測定する目的で用いられる。
鉄‐ラクトフェリンの分解耐性について検証するため、ラットを用いた動物実験と、ウェスタンブロッティングによる解析を行った。
ラクトフェリン(TATUA社製)を89.32mg/ml混合した水溶液と鉄‐ラクトフェリン(実施例1)を93.2mg/ml混合した飼料をそれぞれ23週齢のFisher系ラット(クレア社製)に3ml強制経口(ゾンデ)投与し、15分の反応時間を置いた後に開腹して胃の内容物を小腸へしごき出し、小腸を結びとめてさらに45分経過した後に取り出した小腸内容物に対して抗ラクトフェリン抗体(ヤガイ社製)を用いてウェスタンブロッティングすることにより解析した。
ウェスタンブロッティングの結果を図2に示す。
FeLf(鉄‐ラクトフェリン)は3レーンあり、左から10倍希釈、100倍希釈、1000倍希釈のサンプルを示している。LF(ラクトフェリン)は10倍希釈のサンプルを示している。ラクトフェリンは分子量約80kDaであり、鉄‐ラクトフェリンは消化酵素による分解を受けていないが、ラクトフェリンは完全に分解されていることが分かる。
実施例1で調製した鉄‐ラクトフェリン溶液を凍結乾燥して得られた鉄‐ラクトフェリン粉末とカルシウムとを配合し、タブレットを製造した。すなわち、炭酸カルシウム20%、鉄‐ラクトフェリン粉末10%、マルトース40%、エリスリトール16%、ソルビトール2%、香料4%、甘味料0.5%、賦形剤としてデキストリンを5%、滑択剤として二酸化珪素を2.5%の組成で混合し、常法により打錠し、白内障予防剤タブレットを製造した。なお、このタブレットには1錠(500mg) 当たり鉄が 3.7mg含まれていた。なお、鉄量は誘導結合プラズマ発光分光器(ICP) で測定を行った(以下の実施例も同様である)。
実施例2で調製した鉄‐ラクトフェリンを配合した清涼飲料水を調製した。すなわち、組成が鉄‐ラクトフェリン溶液5%、50%乳酸溶液0.12%、マルチトール7.5%、香料 0.2%、水 87.18%である原料を混合し、プレート殺菌機を用いて90℃、15秒間殺菌し、白内障予防作用を賦与した清涼飲料水を製造した。なお、この清涼飲料水には 100ml当たり鉄が5mg含まれていた。
実施例2で調製した鉄‐ラクトフェリン溶液を凍結乾燥して得られた鉄‐ラクトフェリンを、鉄含量が3mg/100gとなるように生乳に配合し、150kgf/cm2で均質処理を行い、プレート殺菌機を用いて 130℃、2秒間殺菌し、白内障予防作用を賦与した乳飲料を製造した。
実施例3で調製した鉄‐トランスフェリン溶液を凍結乾燥して得られた鉄‐トランスフェリン粉末とカルシウムとを配合したタブレットを製造した。すなわち、炭酸カルシウム20%、鉄‐ラクトフェリン粉末10%、マルトース40%、エリスリトール16%、ソルビトール2%、香料4%、甘味料としてトレハロースを 0.5%、賦形剤としてデキストリンを5%、滑択剤として二酸化珪素を2.5%の組成で原料を混合し、常法により打錠し、白内障予防剤タブレットを製造した。なお、このタブレットには1錠(500mg)あたり鉄が0.8mg含まれていた。
実施例4で調製した鉄‐オボトランスフェリンを配合した清涼飲料水を調製した。すなわち、組成が鉄‐オボトランスフェリン溶液5%、50%乳酸溶液0.12%、マルチトール7.5%、香料 0.2%、水 87.18%である原料を混合し、プレート殺菌機を用いて90℃、15秒間殺菌し、白内障予防作用を賦与した清涼飲料水を製造した。なお、この清涼飲料水中には100mlあたり鉄が0.65mg含まれていた。
実施例1で調製した鉄‐ラクトフェリン溶液を凍結乾燥し、凍結乾燥物を60メッシュのフルイで整粒化し、鉄‐ラクトフェリン粉末を調製した。表3に示した原料を配合し、本発明の白内障予防用イヌ飼育飼料を製造した。
Claims (5)
- ラクトフェリン類1分子当たり少なくとも3原子の鉄を保持している鉄−ラクトフェリンを有効成分とする白内障予防医薬組成物。
- 鉄−ラクトフェリンが、ラクトフェリン類に炭酸及び/又は重炭酸と鉄とが結合している鉄−ラクトフェリン結合体及び/又は鉄−ラクトフェリン複合体である請求項1記載の白内障予防医薬組成物。
- 鉄−ラクトフェリンが、ラクトフェリン類1g当たり、15mg以上の炭酸及び/又は重炭酸と10〜700mgの鉄とを保持している鉄−ラクトフェリン結合体及び/又は鉄‐ラクトフェリン複合体である請求項1記載の白内障予防医薬組成物。
- 鉄−ラクトフェリンが、ラクトフェリン類1g当たり、35〜400mgの炭酸及び/又は重炭酸と40〜500mgの鉄とを保持している鉄−ラクトフェリン結合体及び/又は鉄−ラクトフェリン複合体である請求項1記載の白内障予防医薬組成物。
- 請求項1乃至4に記載の鉄−ラクトフェリンを有効成分とする白内障予防用医薬品。
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