JP2882909B2 - チップ溶着除去方法およびチップ溶着除去機能付抵抗溶接装置 - Google Patents

チップ溶着除去方法およびチップ溶着除去機能付抵抗溶接装置

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JP2882909B2
JP2882909B2 JP15206191A JP15206191A JP2882909B2 JP 2882909 B2 JP2882909 B2 JP 2882909B2 JP 15206191 A JP15206191 A JP 15206191A JP 15206191 A JP15206191 A JP 15206191A JP 2882909 B2 JP2882909 B2 JP 2882909B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークと溶接ガンを構
成するチップとの溶着状態を検出し、溶着状態にあると
き、この溶接ガンに通電することによりワークとチップ
との溶着状態を除去することを可能としたチップ溶着除
去方法およびチップ溶着除去機能付抵抗溶接装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】産業界においては、種々のワークを溶接
するための直流抵抗溶接ロボットとして、スポット溶接
装置が多く用いられている。
【0003】この種のスポット溶接装置において、ワー
クの溶接を行うとき、溶接ガンを構成する上部のチップ
とワーク、および下部のチップとワークとが溶着してし
まう場合が度々発生する。
【0004】このような溶着を検出するために、溶接ガ
ンにガンアームの開閉を検出するためのリミットスイッ
チを配設し、開動作のために、ガンアーム駆動源が付勢
されたときに前記リミットスイッチの出力を読み取るこ
とにより、チップとワークとの溶着の有無を判別する方
法が採用されている。
【0005】さらに、チップとワークとの溶着を検出し
た場合、溶着検知回路と本通電完了後に動作を開始する
複数のタイマとを配設し、溶着状態が前記複数のタイマ
におけるいずれの設定時間内に発生したかによって、溶
接機の制御方法を選択する技術的思想が、特公平2−4
5954号公報に開示されている。
【0006】一方、溶着が発生した場合、この溶着状態
を除去するために、溶着状態を検出する手段と、ガンア
ームの開閉駆動源を制御する制御手段とを備え、溶着検
出手段によって溶着状態が検出されたとき、前記制御手
段の制御下にガンアームの開閉駆動を短時間に繰り返し
行う装置が採用されるに至っている。すなわち、この装
置によれば、ワークに対するチップの挟圧状態と開放状
態とを繰り返し発生させてチップとワークとの溶着の除
去を行っていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
従来技術における抵抗溶接装置の溶着検出方法において
は、溶着状態を検出したときに溶着検出信号を出力し
て、スポット溶接装置を非常停止させるものであり、溶
着状態を除去するためのものではない。従って、スポッ
ト溶接装置の稼働効率を上昇させることができない不都
合がある。
【0008】また、後者の溶着除去装置においては、ガ
ンアームによるチップのワークに対する挟圧状態と開放
状態とを繰り返し発生させるために、溶着状態を解除す
る確実性に乏しく、且つ、チップがガンアームから脱抜
したり、チップの先端部が破損するという問題がある。
【0009】本発明はこのような従来の問題を解決する
ためになされたものであって、スポット溶接装置におい
て、一旦、溶接動作終了後にチップとワークとの溶着状
態を検出するための通電と、溶着している場合にこの溶
着を除去するための二段にわたる通電とを行うことによ
り、確実、且つ迅速にワークとチップとを離間させるこ
とができ、また、ワークとチップのいずれにも損傷させ
ることのないチップ溶着除去方法およびチップ溶着除去
機能付抵抗溶接装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、本通電信号に基づき、溶接トランスから溶
接ガンを通じてワークに供給される溶接電流をフィード
バック制御する本通電が終了した前記溶接ガンに対し
て、前記溶接ガンとワークとの溶着の有無を検出するた
めの通電信号に基づく通電を前記溶接トランスを介して
行うステップと、前記溶着の有無を検出するための通電
信号に基づく通電により前記溶接ガンに流れる電流をフ
ィードバック信号として検出するステップと、 前記フィ
ードバック信号と基準値とを比較するステップと、 前記
フィードバック信号が前記基準値より大きい値である場
合には、溶着していると判断し、該溶着状態を解除する
ために、前記溶着の有無を検出するための通電信号の値
をさらに増加した通電を前記溶接トランスを介して行う
ステップと を有することを特徴とする。また、この発明
は、前記溶着の有無を検出するための通電信号の値をさ
らに増加した通電を前記溶接トランスを介して行うステ
ップにおいて、 め設定された通電時間内に溶着状態が
除去されたとき、通電を停止し、溶着状態が除去されな
かったとき警報手段を付勢するステップを有することを
特徴とする。
【0011】また、この発明は、制御回路から出力され
る制御信号に基づいてインバータ回路が生成した高周波
交流を、溶接トランス回路を介して溶接ガンのチップに
印加することによりワークの溶接を行う抵抗溶接装置に
おいて、前記制御信号としての本通電信号に基づき、前
記溶接トランス回路から前記溶接ガンを通じて前記ワー
クに供給される溶接電流を前記制御回路を介してフィー
ドバック制御する本通電終了後に前記溶接ガンに対し
、前記溶接ガンとワークとの溶着の有無を検出するた
めの通電信号に基づく電圧を前記溶接トランスを介して
印加する通電手段と、前記通電手段が通電する時間を設
定するタイマと、前記タイマの設定時間内にチップとワ
ークとの溶着の有無を検出するために、前記溶接ガンに
流れる電流をフィードバック信号として検出し、検出し
たフィードバック信号と基準値とを比較する検出手段
と、前記検出手段が、前記基準値より前記フィードバッ
ク信号が大きい値である場合には、溶着していると判断
し、該溶着を検出したとき、前記通電手段を付勢して通
電量を増加し、前記溶着部位を除去する制御手段と、を
備えることを特徴とする。さらにまた、この発明は、
装置はさらに前記溶着状態が除去されたことを検出する
検出手段を有し、 前記検出手段が溶着除去を検出したと
き、制御手段は前記通電手段を滅勢して通電を停止する
手段を有する ことを特徴とする。 さらにまた、この発明
は、 前記タイマに設定された通電時間内に溶着部位の除
去が検出されなかったとき、制御手段は警報手段を付勢
する手段を有することを特徴とする。
【0012】
【作用】本発明では、溶着の有無を検出するための通電
を溶接トランスを介して行い、このときに溶接ガンに流
れる電流をフィードバック信号として検出し、該フィー
ドバック信号と基準値とを比較し、フィードバック信号
が基準値より大きい値である場合には、溶着していると
判断し、該溶着状態を解除するために、前記溶着の有無
を検出するための通電信号の値をさらに増加した通電を
前記溶接トランスを介して行うようにしている。 このた
め、溶接の有無を検出するための通電を溶接トランス
を介して行うので構成が簡単になり、フィードバック
信号と基準値とを比較して溶着の有無を検出するので検
出精度が高まり、溶着状態を検出したときには、溶着
の有無を検出するための通電信号の値をさらに増加した
通電を溶接トランスを介して行うので溶着検出と溶着除
去とを一連の工程で行え、結果として短時間に、より確
実に溶着の解除ができる。
【0013】
【実施例】次に、本発明に係るチップ溶着除去方法およ
びチップ溶着除去機能付抵抗溶接装置について好適な実
施例を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明
する。
【0014】図1は本発明の一実施例の全体構成を示す
ブロック図であり、図中、参照符号20はチップ溶着除
去機能付抵抗溶接装置を示す。
【0015】チップ溶着除去機能付抵抗溶接装置20は
三相交流電源21から出力される三相交流を全波整流す
るコンバータ回路22と、全波整流された直流を高周波
交流に変換するインバータ回路24と、高周波交流を整
流する溶接トランス回路26と、被溶接物であるワーク
Wに通電することにより溶接を行う溶接ガン28と、イ
ンバータ回路24を制御することにより溶接電流の制御
をする制御回路30とを備える。
【0016】さらに、チップ溶着除去機能付抵抗溶接装
置20は、溶接トランス回路26と溶接ガン28とに接
続されて2次側の電流を検出するトロイダルコイル等か
らなる電流検出器32と、制御回路30に溶接条件等を
入力するキーボード34と、入力された溶接条件等を表
示するためのディスプレイ装置であるCRT36とを備
える。
【0017】溶接ガン28はワークWを挟持する可動ガ
ンアーム38および40と、この可動ガンアーム38お
よび40を駆動するシリンダ42とからなり、該シリン
ダ42には電磁切替弁44を介して空圧源46が接続さ
れる。
【0018】制御回路30には溶接条件の設定等が行わ
れるロボットコントローラ48が接続される。
【0019】図2は制御回路30の構成を示すブロック
図である。
【0020】制御回路30は溶接制御を行うためのCP
U50と、予備通電制御、本通電遅延制御、スローアッ
プ制御、本通電制御並びに擬似溶接中止制御等を行うた
めのプログラムを格納するROM52と、溶着実施に係
る情報の記憶および情報読み出しを行うためのRAM5
4と、ロボットコントローラ48と接続されて信号の送
受を行う入出力インタフェース(以下、I/Oという)
55と、電磁切替弁44に接続される加圧制御回路56
とを備える。
【0021】制御回路30は前記キーボード34、前記
CRT36および警報ブザー57とのI/O58と、電
流検出器32に接続されるA/D変換器60と、RAM
54から読み出され、後述する通電初期化信号のクロッ
クパルスを計数するカウンタ62と、通電初期化信号の
クロックパルスの送出から予め設定された所定時間より
短い設定時間を計時するタイマ64と、インバータ回路
24にパルス幅変調のベース電流Sa、Sbを供給する
ベースドライブ回路66と、前記ベースドライブ回路6
6にタイミング信号を送出する電流制御部68とを有し
ている。
【0022】さらに、制御回路30は予備通電が停止し
たとき、RAM54に設定された本通電遅延時間を計数
するカウンタ70と、該カウンタ70と接続されるI/
O72と、I/O74と接続されてRAM54に設定さ
れた通電遅延時間をラッチするラッチ回路76と、カウ
ンタ70とラッチ回路76の出力信号を比較して、その
両者が一致した時に本通電に係る信号を送出するための
比較器78と、該比較器78と接続されるI/O80と
を有している。
【0023】参照符号82はバスラインであり、このバ
スライン82には溶着の有無を検出するための通電時間
が設定されるタイマ86と、前記溶着検出および溶着除
去シーケンスの夫々のステップにおいてタイミングをと
るための設定時間を有するタイマ88、90および92
と、溶着状態を除去するための通電量の最大値を格納す
る設定回路94と、予め設定された値と検出通電量とを
比較して、この比較結果により溶接ガン28とワークW
との溶着の有無を示す信号を送出する比較回路96とが
接続される。
【0024】また、RAM54には予めキーボード34
から入力された予備通電制御、本通電遅延制御、スロー
アップ制御、本通電制御並びに擬似溶接中止制御のプリ
セット値、タイマ64のプリセット時間Tbおよびベー
スドライブ回路66がインバータ回路24を制御する制
御シーケンスが記憶されている。
【0025】以上のように構成されるチップ溶着除去機
能付抵抗溶接装置20の作用効果について、図1乃至図
7を参照しながら説明する。
【0026】先ず、図2におけるロボットコントローラ
48から出力された溶接指令信号S(図3(a)参照)
はI/O55を介してCPU50に読み取られる(図
3、時刻taz)。
【0027】CPU50は溶接指令信号Sによって、R
OM52に格納されたプログラムを読み取り、RAM5
4に書き込まれた溶接条件(初期加圧時間、本通電遅延
制御、スローアップ制御、本通電制御時間並びに加圧保
持時間)を読み出すとともに、加圧制御回路56を付勢
して、電磁切替弁44に加圧信号(図3(b)参照)を
供給する。電磁切替弁44が弁を切り替えることによ
り、空圧源46から送出される圧縮空気がシリンダ42
に供給されて、可動ガンアーム38、40が閉動してワ
ークWを挟持する。
【0028】次いで、通電初期化情報がRAM54から
読み出され、クロックパルスPa(図3(c)参照)が
カウンタ62、タイマ64および電流制御部68に導入
され、カウンタ62は計数値を1とし、タイマ64はク
ロックパルスPaのポジティブエッジから計数を開始す
る。さらに、電流制御部68には、RAM54から読み
出された初期値Vaのスロープ波形の通電信号(図3
(d)参照)が導入され、これに基づいてタイミングゲ
ート信号がベースドライブ回路66に供給される。
【0029】タイミングゲート信号は前記通電信号の振
幅値に応じたベース電流Sa、Sbのパルス幅増減の制
御信号であり、この制御信号により付勢されたインバー
タ回路24の図示しないトランジスタのスイッチング動
作により高周波交流が生成される。該高周波交流は溶接
トランス回路26によって直流電圧に変換されて溶接ガ
ン28の可動ガンアーム38、40およびチップ84
a、84bを介してワークWに印加される。
【0030】ここまでの状態はワークWの初期加圧中で
あり、ワークWに本通電が行われないプリセット時間T
b(予備通電)(図3(c)参照)である。プリセット
時間Tbの終了時にタイマ64から図示しない計数終了
信号がCPU50に送出され、図3の時刻taaで通電初
期化信号のクロックパルスPaを読み出し、カウンタ6
2の計数値が2となる。ここでタイマ64はクロックパ
ルスPaのポジティブエッジから計数を開始する。
【0031】この時点で通電信号は初期値Vaに初期化
されスローアップ制御が開始される。この初期化は複数
回(図示される6回、図3、時刻taa乃至tab)行われ
る。このプリセット時間Tbにおいて電流検出器32の
検出電流が所定値以上であった場合はワークWの初期加
圧が正常とされて本通電遅延制御が行われる。なお、所
定値以下においては再度溶接指令信号の取り込みから開
始する。
【0032】本通電遅延制御は初期加圧の終了、すなわ
ち、加圧が終了するまでの間はスローアップ制御並びに
本通電制御を遅延するものであり、RAM54に予めワ
ークWの板圧、材質等を考慮した時間が記憶されてい
る。RAM54から読み出された時間(図3、時刻tab
乃至tac)がI/O74を介してラッチ回路76でラッ
チされ、さらにI/O72を介して導入されたクロック
信号がカウンタ70で計数される。そして夫々の導出信
号が比較器78で比較され、それが一致した時にI/O
80を介した信号がCPU50に取り込まれて、スロー
アップ制御並びに本通電制御が開始される(図3、時刻
tac)。
【0033】次に、RAM54のデータにより図3の時
刻tacから時刻tadまでのスローアップ制御時間Ts
は、図示される振幅(図3(d)参照)に対応する信号
が電流制御部68から導出されて、ベースドライブ回路
66に供給される。電流検出器32の検出電流は所定の
電流Ia(図3(e)参照)において本通電制御(フィ
ードバック制御)が開始され、図3の時刻tad乃至時刻
tae間において所定の電流IaがワークWに通電され
る。なお、この後、所定の加圧保持時間(図3(b)参
照)が確保される。この加圧保持時間経過後の図3の時
刻tafで溶接終了信号(図3(f)参照)がタイマ64
からI/O55を介してロボットコントローラ48に送
給され、溶接指令信号Sが停止する(図3、時刻ta
g)。
【0034】以上の動作によって1溶接工程が完了する
が、該1溶接工程において、加圧保持時間が終了した時
点(図3、時刻taf)から溶接指令信号が停止する時点
(図3、時刻tag)の間において、チップとワークとの
溶着を検出して、この溶着を除去する制御がなされる。
【0035】この溶着を除去する作用について、図4お
よび図7を参照しながら以下詳細に説明する。
【0036】ロボットコントローラ48から溶接指令信
号Sが制御回路30に対して出力されると(図4、参
照)(ステップS1)、この溶接指令信号SはI/O5
5を介してCPU50に読み取られる。
【0037】CPU50は前記溶接指令信号Sに基づい
て加圧制御回路56を介して加圧信号を電磁切替弁44
に出力し(図4、参照)、この加圧信号によって付勢
された電磁切替弁44が空気通路を切り替えることによ
り、空圧源46から送出される圧縮空気がシリンダ42
に供給され、可動ガンアーム38、40が閉動してワー
クWを挟持する(ステップS2)。
【0038】次いで、予備通電および本通電等の溶接工
程が行われ、これが終了すると(図4、時刻taaからt
ae)(ステップS3)、CPU50の制御下にタイマ8
8に予め設定された加圧保持時間th がセットされ(図
4、時刻tae)(ステップS4)、このタイマがタイム
アップすると(図4、時刻taf)(ステップS5)、加
圧制御回路56がCPU50の制御下に電磁切替弁44
を滅勢するため、可動ガンアーム38、40は開動する
(ステップS6)。次いで、予め設定された待ち時間t
o が格納されるタイマ90が付勢される(ステップS
7)。
【0039】前記タイマ90がタイムアップすると(ス
テップS8)、CPU50はチェック時間tc のタイマ
86をセットし、且つ、予めROM52に設定された最
大通電量を示す値Vd2を読み取り、該値Vd2を設定回路
94に格納する(ステップS9)。このとき、ベースド
ライブ回路66はCPU50の制御下に電流制御部68
が出力した通電信号Vd により、インバータ回路24を
付勢して、溶接ガン28に予め設定した上昇曲線に則っ
た通電を行う(図4、参照)(ステップS10)。
【0040】通電信号Vd が予め設定された値Vd1に達
したとき(ステップS11)、電流検出器32からA/
D変換回路60を介して読み取ったフィードバック信号
Vfと、予めRAM54に設定された基準となる値Vf1
とを比較回路96によって比較し(図4、参照)(ス
テップS12)、Vf >Vf1であれば、チップ84a、
84bとワークWとが溶着しているものと判別する。
【0041】すなわち、チップ84aおよびチップ84
b間に電圧を印加したとき、チップ84aとワークW、
およびワークWとチップ84bとが溶着していれば、チ
ップ84aおよびチップ84b間において通電し、電流
検出器32を介してフィードバック信号Vf を検出する
ことができ、溶着していない場合はフィードバック信号
Vf を検出することができない。
【0042】従って、フィードバック信号Vf の有無に
よってチップ84aとワークW、およびワークWとチッ
プ84bとが溶着していることを検出することができ
る。
【0043】前記ステップS12において比較回路96
による比較結果がVf>Vf1であって、溶着が検出され
たとき、CPU50はタイマ86にセットされたチェッ
ク時間tc がタイムアップしたか否かの監視を行い(ス
テップS13)、チェック時間tc 内であればステップ
S12へ戻り、基準となる値Vf1と検出されたフィード
バック信号Vf との比較とを行う。
【0044】チェック時間tc がタイムアップするより
も先に比較結果がVf <Vf1となった場合は、チップ8
4a、84bとワークWとの溶着が除去されたものとし
て、通電を停止する(ステップS14)。
【0045】通電が停止されると、通電の影響がなくな
るまでの時間、すなわち、待ち時間td がタイマ92に
セットされ(ステップS15)、この待ち時間td がタ
イムアップすると(ステップS16)、タイマ64から
CPU50に対して溶接終了信号(図4(f))が出力
され、溶接指令信号Sが停止する(図4、時刻tag)。
【0046】以上説明したステップによって、チップ8
4aとワークW、およびワークWとチップ84bとの溶
着部分は通電電流のジュール熱によって溶解され、離脱
することが可能となる。
【0047】また、ステップS12およびステップS1
3において溶着が検出されて、チェック時間tc 内に溶
着が除去できない場合は、チェック時間tc がタイムア
ップしたとき、通電を停止し(ステップS18)、待ち
時間td がセットされ(ステップS19)、この待ち時
間td がタイムアップすると(ステップS20)、警報
手段である警報ブザー57が鳴動され(ステップS2
1)、タイマ64からCPU50に対して溶接終了信号
が出力されて、溶接指令信号Sが停止する。
【0048】従って、予め設定されたチェック時間tc
内に溶着が除去できない場合にのみ警報を出力してスポ
ット溶接装置を停止させる(ステップ経路B)。この場
合のタイミングチャートを図5に示す。
【0049】さらに、ステップS11によってVd ≧V
d1が確認された後に、ステップ12によって予め設定さ
れた基準値Vf1と検出されたフィードバック信号Vf と
を比較したとき、Vf <Vf1であった場合は、チップ8
4a、84bとワークWとの溶着がなかったものと判定
し、前記ステップS14乃至ステップS17の夫々のス
テップを実行し、溶接工程を終了する。
【0050】この場合、ステップS11、ステップS1
2、ステップS14乃至ステップS17の夫々のステッ
プを通過した場合は溶着がなかったものと判定し(ステ
ップ経路C)、ステップS11、ステップS12、ステ
ップS13、ステップS12ステップS14乃至ステッ
プS17の経路を通過した場合は溶着が検出され、且
つ、溶着が除去された場合のステップとなる(ステップ
経路A)。
【0051】以上説明したように、本実施例において
は、従来例の如く可動ガンアーム38、40の開閉駆動
を短時間に繰り返し行うことなく、本通電終了後にチッ
プ84aおよびチップ84bの間に通電を行うことによ
り、溶着状態を検出することができるとともに、溶着し
ている場合には、さらに通電量を増して溶着部位を溶融
させ、溶着を除去することができる。
【0052】従って、チップ84a、84bとワークW
との溶着が原因で発生する可動ガンアーム38、40か
らチップ84a、84bが離脱する、いわゆるチップ抜
け、およびチップ84a、84bの破損等を防止するこ
とができるとともに、生産ラインを停止させることなく
溶着状態にある部位を除去することができるために、ラ
イン全体の稼働効率の低下を招来することもない。
【0053】また、溶着を除去するためのチェック時間
tc がタイムアップするまえに、溶着状態の除去が終了
した場合は、直ちに通電を停止して次なる工程に進むこ
とができるために、チップ溶着除去機能付抵抗溶接装置
20の作業効率を向上させることができる。
【0054】
【発明の効果】本発明に係るチップ溶着除去方法および
チップ溶着除去機能付抵抗溶接装置では、制御手段は溶
接ガンに対して溶着の有無を検出するための通電と、溶
着状態を除去するための通電とを行う。
【0055】従って、抵抗溶接装置を停止することなく
溶着状態を確実に除去することが可能となるため、複数
のスポット溶接装置からなる抵抗溶接ロボットシステム
においてはラインの流れを停止させることがなく、スポ
ット溶接装置の稼働効率を向上させることができる。す
なわち、ライン全体の稼働効率を一層向上させることが
可能となる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチップ溶着除去方法およびチップ溶着
除去機能付抵抗溶接装置に係る一実施例の全体構成を示
すブロック図である。
【図2】図1に示す実施例の制御回路の構成を示すブロ
ック図である。
【図3】図1に示す実施例の溶接工程における動作を示
すタイミングチャートである。
【図4】図1に示す実施例の溶着検出および溶着除去の
動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図1に示す実施例の溶着が除去できない場合の
警報動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図1に示す実施例の溶着検出および溶着除去の
動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す実施例の溶着検出および溶着除去の
動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
20…チップ溶着除去機能付抵抗溶接装置 22…コンバータ回路 24…インバータ回路 26…溶接トランス回路 28…溶接ガン 30…制御回路 32…電流検出器 38、40…可動ガンアーム 42…シリンダ 44…電磁切替弁 46…空圧源 50…CPU 56…加圧制御回路 86、88、90、92…タイマ 94…設定回路 96…比較回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 11/24

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】本通電信号に基づき、溶接トランスから溶
    接ガンを通じてワークに供給される溶接電流をフィード
    バック制御する本通電が終了した前記溶接ガンに対し
    て、前記溶接ガンとワークとの溶着の有無を検出するた
    めの通電信号に基づく通電を前記溶接トランスを介して
    行うステップと、前記溶着の有無を検出するための通電信号に基づく通電
    により前記溶接ガンに流れる電流をフィードバック信号
    として検出するステップと、 前記フィードバック信号と基準値とを比較するステップ
    と、 前記フィードバック信号が前記基準値より大きい値であ
    る場合には、溶着していると判断し、該溶着状態を解除
    するために、前記溶着の有無を検出するための通電信号
    の値をさらに増加した通電を前記溶接トランスを介して
    行うステップと を有することを特徴とする チップ溶着除
    去方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の方法において、前記溶着の有無を検出するための通電信号の値をさらに
    増加した通電を前記溶接トランスを介して行うステップ
    において、 め設定された通電時間内に溶着状態が除去されたと
    き、通電を停止し、溶着状態が除去されなかったとき警
    報手段を付勢するステップを有することを特徴とするチ
    ップ溶着除去方法。
  3. 【請求項3】制御回路から出力される制御信号に基づい
    てインバータ回路が生成した高周波交流を、溶接トラン
    ス回路を介して溶接ガンのチップに印加することにより
    ワークの溶接を行う抵抗溶接装置において、前記制御信号としての本通電信号に基づき、前記溶接ト
    ランス回路から前記溶接ガンを通じて前記ワークに供給
    される溶接電流を前記制御回路を介してフィードバック
    制御する 本通電終了後に前記溶接ガンに対して、前記溶
    接ガンとワークとの溶着の有無を検出するための通電信
    号に基づく電圧を前記溶接トランスを介して印加する通
    電手段と、 前記通電手段が通電する時間を設定するタイマと、 前記タイマの設定時間内にチップとワークとの溶着の有
    無を検出するために、前記溶接ガンに流れる電流をフィ
    ードバック信号として検出し、検出したフィードバック
    信号と基準値とを比較する検出手段と、 前記検出手段が、前記基準値より前記フィードバック信
    号が大きい値である場合には、溶着していると判断し、
    該溶着を検出したとき、前記 通電手段を付勢して通電量を増加し、前記溶着部位
    を除去する制御手段と、 を備えることを特徴とするチップ溶着除去機能付抵抗溶
    接装置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の装置において、 該装置はさらに前記溶着状態が除去されたことを検出す
    る検出手段を有し、 前記検出手段が溶着除去を検出したとき、制御手段は前
    記通電手段を滅勢して通電を停止する手段を有すること
    を特徴とするチップ溶着除去機能付抵抗溶接装置。
  5. 【請求項5】請求項3または4記載の装置において、 前記タイマに設定された通電時間内に溶着部位の除去が
    検出されなかったとき、制御手段は警報手段を付勢する
    手段を有することを特徴とするチップ溶着除去機能付抵
    抗溶接装置。
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