JP3607648B2 - 溶接用電源装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種溶接が可能な溶接用電源装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶接には手溶接、TIG溶接、MIG溶接等の様々な種類がある。これら種類に応じた電源装置が使用されている。その基本となる構成の一例は、概ね次のようなものである。商用交流電圧が入力側整流器及び平滑コンデンサによって整流及び平滑され、直流電圧に変換される。この直流電圧がインバータによって高周波電圧に変換される。この高周波電圧が変圧器によって変圧される。変圧された高周波電圧が出力側整流器によって整流され、必要に応じて低周波の交流電圧に変換されて、負荷に供給される。この電源装置では、インバータによる直流電圧の高周波電圧への変換が行われているので、小型の変圧器を使用することができ、電源装置全体を小型化できる。
【0003】
手溶接を行う場合、溶接用電源装置は、図3(b)に符号イで示すように、出力電圧が変動しても、出力電流が一定値である定電流出力特性を備えている。この出力電流値を設定する出力電流設定器2が、図3(a)に示すように手溶接用電源装置のパネルに設けられている。また、手溶接の場合、溶接の開始時や、例えばトーチと母材とからなる負荷が短絡しているときに、図3(b)に符号ロで示すように、出力電流よりも大きな電流を流して、アークを良好に発生させるホットスタートを行う。このホットスタート時に流す電流を設定するためのホットスタート用設定器4が、図3(a)に示すようにパネルに設けられている。また、パネルには、出力電圧や出力電流を表示する表示器6も設けられている。
【0004】
直流TIG溶接は、例えばステンレスの溶接に適し、図4(c)に符号イで示すような定電流出力特性を備えている。また、同図に符号ロで示すように、手溶接と同様にホットスタートを必要とすることもある。
【0005】
TIG溶接では、平坦な母材を溶接する場合には、図4(c)に符号イで示すように出力電流を一定値とする。しかし、パイプのような母材を溶接する場合、特にパイプの底を溶接するとき、一定の出力電流を供給すると、パイプからの溶融物が落下し、再溶接を行うことが必要になったり、TIG溶接電極に溶融物が付着し、この溶接電極が損傷する可能性がある。
【0006】
そこで、図4(b)に示すように、出力電流をパルス電流にし、ベース電流IBが流れているとき、例えばパイプの底部に形成された溶融池を冷却し、この溶融池から溶融物が落下したり、溶接電極に溶融物が付着するのを防止している。
【0007】
さらに、TIG溶接では、アークの発生法として、溶接電極と母材とを短絡させ、これらに低電流を流した後、溶接電極を母材から離して、両者の間にアークを発生させるタッチスタート方法と、溶接電極を母材から離しておいて、両者の間に、例えば1〜3MHzで5〜20kVの高周波、高電圧を印加してアークを発生させる高周波スタート方法がある。
【0008】
従って、直流TIG溶接用電源装置のパネルには、図4(a)に示すように、出力電流を設定するための出力電流設定器8、ホットスタート設定器10が設けられている。また、パルス電流を出力電流として流すときの起動電流Idから最大パルス電流(設定された出力電流)IPまで立ち上げるアップスロープ時間TUと、最大パルス電流から溶接終了時に流すクレータ電流ICまでのダウンスロープ時間TDとをそれぞれ設定するアップスロープ、ダウンスロープ時間設定器12もパネルに設けられている。さらに、最大パルス電流IPとベース電流IBとの周期を定める、このパルス電流の周波数Fを設定するパルス周波数設定器14と、パルス電流を供給するか直流電流を流すかを切り換えるパルス切換器16と、タッチスタートと、高周波スタートとの切換を行うアークスタート切換器18とが、パネルに設けられている。また、出力電圧及び出力電流を表示する表示器20もパネルに設けられている。
【0009】
直流TIG溶接の他に、交流TIG溶接もある。交直TIG溶接用電源装置は、直流TIG溶接及び交流TIG溶接に使用される。交直TIG溶接用電源装置を使用しての直流TIG溶接は、上述した直流TIG溶接用電源装置におけるTIG溶接と同様である。
【0010】
交流TIG溶接は、例えばアルミニウムを溶接する場合に使用される。アルミニウムは融点の高い酸化皮膜を有しているので、直流電源装置を用いて母材を正極に、電極を負極として電流を流した場合(正極性の場合)には、母材が高温にならず溶接を行うことができない。そのため、母材を負極に、電極を正極として(負極性)電流を流すと、母材から熱電子が放出され、酸化皮膜が除かれ(クリーニング効果)、溶接が可能となる。但し、正極性とした場合、電極を冷却する冷却効果がある。そこで、交流TIG溶接の場合、クリーニング効果と冷却効果双方の効果を得られる。但し、図5(b)に示すように正極性の時間と負極性の時間とを調整することによって、両効果を所望の状態にできる。
【0011】
そこで、交直TIG溶接機のパネルには、直流TIG溶接用に、出力電流の設定器22、ホットスタート設定器24、アップスロープ時間及びダウンスロープ時間設定器26、パルス周波数設定器28、パルス電流の有無を切り換えるパルス切換器30、タッチスタートと高周波スタートとの切換を行うアークスタート切換器32が、設けられている。また、出力電圧と出力電流の表示器34が設けられている。交流TIG溶接用に、交流溶接時の電圧の周波数を設定する周波数設定器36と、正極性と負極性の比率を設定する波形バランス設定器38がパネルに設けられている。
【0012】
MIG溶接は、鋼板の溶接に用いられる。溶接ワイヤーをワイヤー送給装置で母材側に供給し、母材とワイヤーとの間のに電圧を印加し、これらの間でアーク発生と短絡とを繰り返し、ワイヤーを溶融して溶接を行う。このMIG溶接用の電源装置は、定電圧特性を有している。
【0013】
またMIG溶接では、ワイヤーが母材に短絡したときに流れる大きな電流を抑制するため、リアクタンスの大きなリアクトルが必要で、アーク発生時にはリアクタンスが小さなリアクトルが必要である。このため、小さなリアクタンスのリアクトルを使用しながら、短絡時に電流を抑制する制御が行われている。
【0014】
従って、MIG溶接用電源装置のパネルには、図6に示すように出力電流を設定する出力電流設定器40、短絡電流の設定器42、ワイヤー送給速度設定器44及び出力電圧、電流の表示器46が設けられている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
これら各種の溶接用電源装置を、それぞれ個別に製造する場合、その製造が面倒になる。上記の各種の溶接では、種々の設定が必要であるので、各種の溶接に使用できる1台の電源装置を製造しようとした場合、パネルには多数の設定器を設けなければならず、その構成が複雑になるだけでなく、各設定器の設定操作が面倒となる。
【0016】
本発明は、各種の溶接に容易に対応することができる溶接用電源装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、基本ユニットがまず準備される。基本ユニットは、商用交流信号を直流信号に変換する入力側直流変換部と、前記直流信号を高周波信号に変換する直流−高周波信号変換部と、前記高周波信号の電圧を所定値に変換して出力する変圧器と、この変圧器から出力された高周波信号を直流信号に変換し、該直流信号を、溶接負荷に接続されるべき2つの出力端子に供給する出力側直流変換部と、前記2つの出力端子それぞれを流れる電流を検出し、この電流を表す電流検出信号を生成する電流検出部と、前記出力端子間の電圧を検出し、この電圧を表す電圧検出信号を生成する電圧検出部と、前記電流検出信号が予め定められた基準電流信号に等しくなるように前記直流−高周波信号変換部を制御する第1の制御モードと、前記2つの出力端子間に高周波信号を出力するように設けられるべき高周波発生装置を、作動及び停止させその後に前記第1の制御モードを実行する第2の制御モードと、前記電圧検出信号が予め定められた基準電圧信号に等しくなるように前記直流−高周波信号変換部を制御すると共に、前記2つの出力端子の一方に接続されるワイヤーを送給するように設けられるべきワイヤー送給装置を制御する第3の制御モードとのうち、いずれか選択されたモードで動作する制御部とを、具備している。前記基本ユニットに前記高周波発生装置を付加して、手溶接及び高周波スタートのTIG溶接用電源装置が得られる。前記基本ユニットに前記ワイヤー送給装置を付加して、手溶接及びMIG溶接用電源装置が得られる。前記基本ユニットに前記高周波発生装置と、前記ワイヤー送給装置とを付加して、手溶接、高周波スタート可能なTIG溶接及びMIG溶接用電源装置が得られる。
【0018】
本発明によれば、基本ユニットが上述したように構成されているので、基本ユニットにわずかな部品を付加することによって、様々なタイプの溶接用電源を容易に得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施の形態の溶接用電源は、手溶接、直流TIG溶接、交直TIG溶接、MIG溶接のいずれにも使用できるもので、図1に示すように商用交流信号、例えば商用交流電圧が入力される電源入力端子100を有している。この電源入力端子100の商用交流電圧は、入力側直流化部102に供給され、ここで直流信号、例えば直流電圧に変換される。入力側直流化部102としては、例えば整流器と平滑コンデンサを使用することができる。
【0020】
入力側直流化部102からの直流電圧は、定電圧装置104に供給される。定電圧装置104は、例えばIGBT、電力FETまたは電力バイポーラトランジスタのような半導体スイッチング素子を含むチョッパ回路106を備えている。このチョッパ回路106は、チョッパ駆動回路108からのPWM駆動信号に基づいて、オン、オフ制御される。駆動回路108は、CPU110からの指令に従って、駆動信号を発生する。CPU110は、電源入力端子100における電圧を入力電圧検出器112によって検出し、これをA/D変換器114によってディジタル信号に変換したものと、チョッパ回路106の出力電圧をチョッパ出力電圧検出回路116によって検出し、これをA/D変換器118によってディジタル信号に変換したものと、メモリ120に記憶されているデータとに基づいて、演算処理を行い、チョッパ出力電圧が予め定めた一定の直流電圧となる指令をチョッパ駆動回路108に供給している。従って、電源入力端子100に入力される電圧が200V、400V等のように異なる電圧であっても、定電圧装置104の出力電圧は、予め定めた一定電圧である。
【0021】
この定電圧装置104の一定値の直流電圧は、直流−高周波信号変換部、例えば高周波インバータ122に供給される。このインバータ122には、例えばIGBT、電力FETまたは電力バイポーラトランジスタのような半導体スイッチング素子を複数含み、これら半導体スイッチング素子が、インバータ駆動回路124からのPWM駆動信号に基づいてオン、オフ制御され、十数kHz乃至100kHzの高周波電圧に変換される。インバータ駆動回路124には、後述するようにCPU110から指令が与えられている。
【0022】
この高周波電圧は、変圧器126に供給され、ここで所定の値の高周波電圧に変圧され、出力側直流化部128に供給され、直流電圧に変換される。
【0023】
この出力側直流化部128からの直流電圧は、交流−直流切換部130に供給される。この交流−直流切換部130は、例えば半導体スイッチング素子をフルブリッジ接続させたインバータを含む。これら半導体スイッチング素子が交流−直流切換部用駆動回路132からのPWM駆動信号によってオン、オフ制御される。駆動回路132は、CPU110から交流切換指令が与えられていると、インバータ122よりも低い周波数、例えば10数Hzから200Hzの交流電圧を発生するように、各半導体スイッチング素子をPWM制御する。また、CPU110から直流切換指令が供給されていると、駆動回路132は、半導体スイッチング素子のうち、後述する負荷を間に挟んで直列に接続されている2つの半導体スイング素子を継続的にオンとして、直流電圧を継続的に供給する。なお、供給する直流電圧の極性を正極性とするか、負極性とするかによって、オンさせる2つの半導体スイッチング素子が変更される。
【0024】
なお、交流−直流切換部130としては、この他に、出力側直流化部を正極側の出力端子と負極側出力端子と帰還端子とを有するものとし、正極側出力端子を1つのチョッパ回路を介して負荷の一端に接続し、負極側出力端子を他のチョッパ回路を介して負荷の一端に接続し、負荷の他端を帰還端子に接続し、交流電圧を負荷に供給するときは、両チョッパ回路を交互にオン、オフさせ、直流電圧を供給するときは、チョッパ回路のいずれか一方を連続的にオンさせるものとすることもできる。
【0025】
交流−直流切換部130の出力電圧は、出力端子134に供給される。この出力端子134は、実際には正負2つの端子からなり、その一方が母材に接続され、他方は溶接用電極、例えばTIG溶接機の場合にはコレット、MIG溶接機の場合にはコンタクトチップに接続される。
【0026】
交流−直流切換部130の出力電圧は、出力電圧検出器136によって検出され、A/D変換器138によってディジタル信号に変換され、CPU140に供給される。同様に、交流−直流切換部130の出力電流は、出力電流検出器142によって検出され、A/D変換器144によってディジタル信号に変換され、CPU140に供給される。
【0027】
出力端子134には、高周波発生装置146が設けられている。この高周波発生装置146は、例えば1〜3MHzで5乃至20kVの高周波高電圧を発生し、2つの出力端子134間に供給するもので、CPU110からの指令により起動、停止する。
【0028】
MIG溶接の際に使用するワイヤーを送給するワイヤー送給装置、例えばワイヤー送給モータ148とこれを制御するワイヤー送給モータ制御装置150も、設けられている。ワイヤー送給制御装置150の制御もCPU110が行う。
【0029】
CPU110は、手溶接、TIG溶接(高周波スタート)、TIG溶接(タッチスタート)、交直TIG溶接、MIG溶接及びガウジング(出力電流を高くし、鋼板に窪みを設けたり、孔をあけるためのもの)のいずれにも対応できるようにプログラムされている。また、高周波発生装置146やワイヤー送給モータ148、ワイヤー送給制御装置150は、容易に電源装置に着脱できる。なお、手溶接やTIG溶接の際、定電流制御が行われ、MIG溶接の際、定電圧制御が行われるが、その基準電流信号及び基準電圧信号は、1つの出力設定器172によって設定され、A/D変換器174によってディジタル信号に変換されて、CPU110に供給されている。
【0030】
上述したような制御をCPU110が行うために必要なデータは、CPU140からCPU110に供給される。CPU140には、モード指令器、例えばプロセス設定用押し釦152と、モード表示器、例えばプロセス表示器154が設けられている。プロセス設定用押し釦152を1回押すと、手溶接モードとなり、プロセス表示器154には、手溶接と表示される。プロセス設定用押し釦152を続けて押すと、TIG溶接(高周波スタート)のモードとなり、その旨がプロセス表示器154に表示される。さらにプロセス設定用押し釦152を押すと、TIG(タッチスタート)のモードとなり、その旨がプロセス表示器154に表示される。さらにプロセス設定用押し釦152を押すと、交直TIG溶接のモードとなり、その旨がプロセス表示器154に表示される。さらにプロセス設定用押し釦152を押すと、MIG溶接モードとなり、その旨がプロセス表示器154に表示される。さらにプロセス設定用押し釦152を押すと、ガウジングのモードとなり、その旨がプロセス表示器154に表示される。さらに、プロセス設定用押し釦152を押すと、最初の手溶接モードとなり、その旨がプロセス表示器154に表示される。以下、同様に順に各モードとなる。
【0031】
各モードとなったとき、溶接用電源の駆動に関してパラメータを設定する必要がある。例えば、直流TIG溶接の場合にパルス制御を行うか、おこなうとした場合どのように行うか、交直TIG溶接の場合に交流周波数や、交流波形の波形バランスをどのように設定するか等である。これらに必要なデータは予めメモリ156に記憶されており、パラメータ表示部158に表示されている。
【0032】
これらデータは、プロセス設定用押し釦152を押してモードを設定したとき、そのモードに関連するデータがパラメータ表示部158に表示されている。このデータを変更したい場合、パラメータ変更用操作部、例えばアップダウン押し釦160を操作することによって、所望の値に設定することができる。
【0033】
同じモードであっても複数のパラメータを設定する必要があることがある。例えばパルス制御の場合、パルスの周波数やベース電流値の設定が必要がある。同じモードで異なるパラメータを設定する場合、パラメータ設定用押し釦162を押す度に次のパラメータが読出され、パラメータ表示部154に表示される。よって、この表示状態において、アップダウン押し釦160を操作することによって、同じモードにおける複数のパラメータを順次変更することができる。
【0034】
なお、出力端子134における出力電圧と出力電流は、CPU140に接続されている出力電圧表示器164と出力電流表示器166に表示されている。
【0035】
図2は、この溶接電源のパネルに設けられている各表示器154、158、164、166、プロセス設定用押し釦152、アップダウン押し釦160、パラメータ設定用押し釦162及び出力設定器172を示したものである。様々な溶接モードに対応しているにもかかわらず、各押し釦や出力設定器152からなる操作部の数は非常に少ない。
【0036】
次に各モードにおける動作について説明する。
【0037】
(1)手溶接
押し釦152によって手溶接が選択されると、表示器154には手溶接が表示される。このとき、交流−直流切換器130は、直流電圧を負荷に供給するように切り換えられる。そして、出力端子134にトーチと母材とが接続され、両者が接触させられて溶接が行われると、出力電流が出力電流検出器142によって検出され、A/D変換器144でディジタル化された出力電流信号が、CPU140に供給され、必要な演算処理が行われた後、CPU110に供給される。CPU110では、出力設定器152によって設定された基準電流信号と、メモリ156のデータと、CPU140からのデータとによって、出力電流が、基準電流信号に等しい電流となるように駆動回路124に指令を与える。
【0038】
押し釦162によって「ホットスタート機能」が選択されたときに、アップダウン押し釦160によってホットスタート時に出力電流を何パーセント増加させるか設定されていると、スタート時には増加させた出力電流が流れるようにCPU110が駆動回路124に指令を与える。
【0039】
(2)直流TIG溶接(高周波スタート)
押し釦152によって直流TIG(高周波スタート)が選択されると、表示器154には、直流TIGと表示される。また、押し釦162及びアップダウン押し釦160の操作によってスロープ時間Tu、ダウン時間TD、パルスの有無及びパルス周波数が設定され、表示器158に表示される。このとき、交流−直流切換器130は、直流電圧を負荷に供給するように切り換えられる。電流検出器142によって検出された出力電流が、A/D変換器144によってディジタル信号に変換され、CPU140に供給され、演算処理された後、CPU110に入力される。
【0040】
CPU110では、出力設定器172によって設定された基準電流信号がA/D変換器174によってディジタル化され、入力されており、この基準電流信号が表わす電流に出力電流が等しくなるように駆動回路124に指令をCPU110が与える。この時、パラメータの設定が押し釦162等によって行われていると、そのパラメータに従って制御が行われる。
【0041】
アークスタート時には、押し釦152の操作によって高周波スタートを意味するディジタル信号がCPU140からCPU110に供給されているので、CPU110は、高周波発生装置146に起動信号を供給する。高周波発生装置146は高周波高電圧の電圧を端子134に接続されているトーチと母材に供給し、これらの間にアークが発生する。アークの発生後には、上述したように定電流制御が行われる。また、電圧検出器136及び電流検出器142の出力に基づいてアークが発生したことをCPU110が確認し、高周波発生装置146を停止させる。
【0042】
(3)直流TIG溶接(タッチスタート)
押し釦152によって直流TIG溶接(タッチスタート)が選択されると、表示器154には直流TIGが表示される。そして、溶接は、(2)直流TIG溶接(高周波スタート)と同様である。アークスタートの動作が、(2)直流TIG溶接(高周波スタート)と異なる。
【0043】
タッチスタートの場合、タッチスタートを意味するデータがCPU140からCPU110に供給されるので、負荷である電極と母材とが接触させられている当初には、基準電流信号が表わす電流よりも低い電流となるように駆動回路124に指令が与えられる。この後、電極を母材から引き上げて、アークを発生させる。
【0044】
なお、押し釦スイッチ162の操作によってホットスタート機能が選択されたときには、手溶接の場合と同様に制御が行われる。
【0045】
(4)交直TIG溶接
押し釦152によって交直TIG溶接が選択されていると、表示器154には、交直TIG溶接が表示される。押し釦162等の操作により、交流溶接時の周波数、波形バランスと、直流溶接時のアップスロープ時間TU、ダウンスロープ時間TD、パルスの有無、パルス周波数が設定される。
【0046】
交直TIG溶接における直流TIG溶接は、(2)または(3)の直流TIG溶接と同じであり、その説明は省略する。交流TIG溶接では交流−直流切換器130が、設定された周波数及び波形バランスの交流電圧を負荷に供給する。このとき、出力電流が定電流となるように、CPU110はインバータ122を制御している。
【0047】
(5)MIG溶接
押し釦152によってMIG溶接が選択されていると、表示器154にはMIG溶接という表示がなされる。押し釦162等によってガスの種類、ワイヤーの種類、ワイヤー径、ワイヤーが母材と短絡しているときの電流値(図2ではインダクタンス35%と表示されている。)が設定され、そのデータが表示器158に表示される。
【0048】
電源装置が動作を開始すると、まずCPU110が、交流−直流切換器130は、直流電圧を負荷に供給するように切り換えられる。また、電圧検出器136によって検出された出力電圧が、出力設定器172によって設定された基準電圧信号が表わす電圧に等しくなるように、即ち出力電圧を定電圧制御するように、駆動回路124にCPU110が指令を与える。
【0049】
一方、設定されたワイヤーの種類、ワイヤー径により、メモリ156からデータが読み出され、そのデータに従ってワイヤー送給モータ制御装置150に指令を与え、この制御装置150がワイヤー送給モータ148を制御し、消耗式電極となるワイヤーの送給速度が制御され、ワイヤーが母材に短絡し、短絡によるジュール熱でワイヤーアーク移行が連続して行われる。
【0050】
(6)ガウジング
押し釦152によりガウジングが選択されると、MIG溶接と同様の制御が行なわれるが、このとき、ワイヤー送給速度を緩やかにし、負荷に流れる電流を大きくして、母材である鋼板に窪みを設ける等のガウジングが行なわれる。
【0051】
このように各種の溶接が1台の電源によって可能である。特に手溶接とタッチスタートTIGとは、起動時には電極と母材とを短絡させてアークを発生させる。また、出力電流は、いずれも定電流制御される。従って、同じ定格出力電流の場合、同一部品を使用することができる。よって、この手溶接とタッチスタートTIG用の装置を基本ユニットとして予め製造する。
【0052】
この基本ユニットに高周波発生装置146を追加することによって、高周波スタートTIG溶接用の電源を得ることができる。
【0053】
また、基本ユニットに、ワイヤー送給モータ148及びワイヤー送給制御装置150を付加することによってMIG溶接、手溶接、タッチスタートTIG溶接用の電源を得ることができる。
【0054】
さらに、基本ユニットに、高周波発生装置146と、ワイヤー送給モータ148及びワイヤー送給制御装置150とを追加することにより、MIG溶接、高周波スタートTIG溶接、手溶接、タッチスタートTIG溶接用の電源を得ることができる。
【0055】
また、逆に考えると、溶接用電源を設計する段階において、MIG溶接、高周波スタートTIG溶接、タッチスタートTIG溶接、手溶接の全ての溶接が可能な電源を設計する。そして、製造工程において、高周波発生装置146を除去すると、MIG溶接、タッチスタートTIG溶接、手溶接に適した電源を製造できる。
【0056】
また、製造工程において、ワイヤー送給モータ148及びワイヤー送給制御装置150を除去すると、高周波スタートTIG溶接、タッチスタートTIG溶接、手溶接に適した電源を製造することができる。
【0057】
さらに、製造工程において、高周波発生装置146と、ワイヤー送給モータ148及びワイヤー送給制御装置150とを除去すると、基本ユニットのみとなり、タッチスタートTIG溶接、手溶接に適した電源を製造することができる。
【0058】
なお、交直TIG溶接は、全ての溶接に付加することができる。
【0059】
上記の実施の形態では、手溶接、TIG(高周波スタート)、TIG(タッチスタート)、交直TIG溶接、MIG溶接、ガウジングの6つのモードに切り換えらているが、MIG溶接時にパルス電流を流す等の他の機能を追加することも可能である。また、上記の実施の形態では、交流−直流切換器130を設けたが、直流のみに使用する場合には、これを除去することができる。また、上記の実施の形態では、2つのCPU110、140を用いたが、1つのCPUのみを使用することもできる。同様に、2つのメモリ120、156を使用しているが、これも1つのメモリのみを使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施の形態による溶接用電源装置のブロック図である。
【図2】図1の溶接用電源装置のパネル部分を示す図である。
【図3】従来の手溶接用電源装置のパネル部分とその出力特性を示す図である。
【図4】従来の直流TIG溶接用電源装置のパネル部分とその出力特性を示す図である。
【図5】従来の交直TIG溶接用電源装置のパネル部分とその出力特性を示す図である。
【図6】従来のMIG溶接用電源装置のパネル部分を示す図である。
【符号の説明】
102 入力側直流変換部
110 140 CPU(制御部)
122 直流−高周波信号変換部
126 変圧器
128 出力側直流変換部
136 電圧検出部
142 電流検出部
146 高周波発生装置
148 ワイヤー送給用モータ
150 ワイヤー送給制御装置

Claims (1)

  1. 商用交流信号を直流信号に変換する入力側直流変換部と、前記直流信号を高周波信号に変換する直流−高周波信号変換部と、前記高周波信号の電圧を所定値に変換して出力する変圧器と、この変圧器から出力された高周波信号を直流信号に変換し、該直流信号を、溶接負荷に接続されるべき2つの出力端子に供給する出力側直流変換部と、前記2つの出力端子それぞれを流れる電流を検出し、この電流を表す電流検出信号を生成する電流検出部と、前記出力端子間の電圧を検出し、この電圧を表す電圧検出信号を生成する電圧検出部と、前記電流検出信号が予め定められた基準電流信号に等しくなるように前記直流−高周波信号変換部を制御する第1の制御モードと、前記2つの出力端子間に高周波信号を出力するように設けられるべき高周波発生装置を、作動及び停止させその後に前記第1の制御モードを実行する第2の制御モードと、前記電圧検出信号が予め定められた基準電圧信号に等しくなるように前記直流−高周波信号変換部を制御すると共に、前記2つの出力端子の一方に接続されるワイヤーを送給するように設けられるべきワイヤー送給装置を制御する第3の制御モードとのうち、いずれか選択されたモードで動作する制御部とを、具備する基本ユニットを準備する段階と、
    前記基本ユニットに前記高周波発生装置を付加する段階と、
    前記基本ユニットに前記ワイヤー送給装置を付加する段階と、
    前記基本ユニットに前記高周波発生装置と、前記ワイヤー送給装置とを付加する段階とを、
    備える溶接用電源装置の製造方法。
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