JP2882536B2 - 乗物用座席の背もたれ支持構造物及びそれを取り付けた乗物用座席の背もたれ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は乗物用の座席、特に自動車用の座席の背もた
れの支持構造物、並びに該背もたれ支持構造物を取り付
けた乗物用座席の背もたれに関する。

乗物用座席、特に自動車用の座席の背もたれ支持構造
物は一般に管状の鋼またはブリキ構造物から作られる。
このためにはコスト高の工程で複雑な打ち抜き部材及び
曲面部材を作り、これを組み立て、錆止めをしなければ
ならない。又購入者に対し見た目に良い構造物として受
け入れてもらうために、更に被覆を行う必要がある。支
持構造物、背もたれのクッション及びカバーは一緒に組
み合わされており、不良になったクッション及びカバー
だけを交換することは困難であるか不可能なことが多
い。

本発明の目的は、容易に製造でき必要な物理的性質を
有する乗物用座席、特に自動車の座席、並びに航空機又
はボート用の座席の背もたれ支持構造物を提供すること
である。

この目的はフレームにより枠状に取り囲まれた背板か
ら成り、該フレームはＵ字形の断面を有する外側に向か
って開いた側方部材及び該側方部材の上端部を連結する
一方が開いたＵ字形断面の横部材から成り、該背板及び
該部材は射出成形された単一成形品であることを特徴と
する乗物用座席の背もたれ支持構造物を提供することに
より達成される。

この背もたれ支持構造物の構成により、適当な熱可塑
性又は熱硬化性プラスチックス、特にポリアミド−６、
ポリアミド−6,6又はポリカーボネート／アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体配合物を約20〜40
重量％のガラス繊維と共に用いて経済的な大量生産を行
うことができる。勿論この背もたれ支持構造物は通常の
応力に耐えなければならない。更に取付け具の結合点は
適切な強度を持っていなければならない。衝突事故の際
に背もたれ支持構造物が裂けたり割れたりすることを防
ぐために、背もたれ支持構造物よりも降伏点の低い変形
設定点を座席の他の部分に、例えば取付け具の上に設け
る。曲げ強さ及び捩れ安定性に関しては部材をＵ字形の
部材として構成する方法は閉じた中空構造物を作る方法
と非常に良く似ている。しかし中空構造物の成形には非
常にコストがかかる。本発明の新規な背もたれ支持構造
物を製造するには、成形装置に２つの側部スライドを持
たせるだけでよい。背板は平らであることができるが、
人の体に形に近似させることもできる。Ｕ字形の側方部
材及び横部材は、背板の上に載せる座席クッションを収
納する剛性のフレームを形成する。取付け具と座席の調
節機構、及び必要に応じ他の要素との連結は側方部材の
開いたキャビテイーの中で行うことができる。側方部材
の幅は広い範囲で変えることができる。

好ましくは背板は、側方部材へ向かって前方に曲がり
丸まった部分を経て傾斜部分となり、ここで分岐して側
方部材の中央部分で反転部分を経て前側面になってい
る。

このようなプラスチック材料に適合した構成により、
ギザギザが生じるような破壊が防がれると共に各部材と
背板との間の力の伝達が良好になる。

好適な実施態様に従えば少なくとも一つの側方部材に
はカバーが設けられている。

このカバーは外観を良くするのに用いられる。カバー
は取り外し又は交換できるが、側方部材に永久に連結さ
れ、箱状の部分を作って強度を増加させることができ
る。同じことが横部材のカバーについても言える。

該部材のキャビテイーの中に成形した突起を設けるこ
とが好ましい。

これらは補強に役立ち、特に曲げ強さ及び戻れ安定性
を増加させる。成形装置の中にキャビテイーを適切に作
ることにより、これらの突起を直接該部材と一緒に成形
することができ、余分の作業は必要ない。

更に他の実施態様においては、側方部材の前側面は背
板と同様に前方に曲げられている。

この構成により背もたれの上に置かれるクッションを
横方向に補強することができ、座席に掛けた人の体は側
方において良い位置を占める。このようにして背もたれ
と一緒になって浴槽状のものが作られる。

更に他の実施態様においては、横部材は前方に向かっ
て開いており、ヘッド・レスト支持板に対するカバーを
形成している。

いわゆるヘッド・レスト支持板はヘッド・レストを調
節するための止めをもっている。

更に他の実施態様においては、横部材は後方に向かっ
て開いており、物入れがつくられ、この物入れにはカバ
ーとして垂れ蓋がついている。

物入れの大きさによりカバー入れ、救急箱等に使用す
ることができる。垂れ蓋は怪我を防ぐような構成とさ
れ、特に凹んだ把手でなければならない。

垂れ蓋には外側に保護クッションを備えていることが
好ましい。

これは衝突の際に後部座席にいる人を保護するのに役
立つ。

本発明の新規な背もたれ支持構造物は背もたれのクッ
ションを容易に交換できる利点を有している。又背もた
れのクッションに直接カバーを掛ける必要がなく、適当
な設計によりカバーを背もたれの上で引き出すかまたは
直接固定することができる。カバーを掛けたクッション
を背もたれの支持構造物に固定できる場合には、カバー
を取り外し得るように固定することも可能である。この
ようにして適当な堅さをもった背もたれのクッションと
購入者が気にいった座席カバーを販売店において乗物に
装着することが可能となり、生産ラインにおける製造工
程を合理化することができる。このことは最後の瞬間に
おいて、即ち車が購入者の手に渡る前にこの点に関する
購入者の要求を満足させ得ることを意味する。

上記の本発明の背もたれ支持構造物を有する乗物用座
席の背もたれは、フレームによって横方向を取り囲まれ
た背もたれのクッションが少なくとも部分的に側方部材
の前側面を覆っていることを特徴としている。

この結果、中央の区域よりも堅いこの区域において、
異なった堅さを有する発泡体材料のクッションを使用す
る必要なく、座席に座った人の体を横方向に案内する区
域をつくることができる。

背もたれのクッションはまた横部材の前面部を覆うこ
とが好ましい。

このようにして背もたれ支持構造物のこの部分は、大
きさが非常に異なった人に対しても、衝突時に怪我を防
ぐクッションとしての役割を果すことができる。

さらに他の特定の具体化例に従えば、背もたれのクッ
ションは側方部材の外側の面を覆っている。

この具体化例は外観に寄与するばかりでなく、怪我の
危険性を減少させることができる。

本発明の新規な背もたれ支持構造物を有する乗物用座
席の背もたれの一具体化例を純粋に模式的に添付図面に
示し、以下にこれを参照して説明を行う。

第１図においては、背もたれの支持構造物１はガラス
繊維含有率が35重量％のポリアミド−６から射出成形さ
れた成形品である。側方部材3,4及び横部材５から成る
フレーム２は背板６を取り囲んでいる。側方部材3,4は
断面がＵ字形をしており、それぞれ前側面７、中央部分
８及び後側面９を有している。このようにして作られた
キャビテイーの中に成形された突起11が配列されてい
る。側方部材3,4のキャビテイー10の下方の区域に補強
材12が取り付けられ、取付け具及び背もたれの傾斜角の
調節部材を連結している。横部材５は背後を閉じてお
り、断面はＵ字形で幅の広い中央部分13、上側面14及び
下側面15から成り、側方部材3,4の上部端を連結してい
る。ヘッド・レストの成形された案内17はキャビテイー
16の中に位置している。このキャビテイー16は部分的に
図示されたカバー18で閉じられ、いわゆるヘッド・レス
ト支持板としてキャビテイー16の法に向いた図示されて
いない止めが備えられている。このヘッド・レスト支持
板18は側面15,16の間に正確に嵌め込まれ、構造物を真
っ直ぐにするのに役立つように作られている。

第２図においては、背もたれ支持構造物21はガラス繊
維含有率が30重量％のポリカーボネート／アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体配合物から射出成
形された成形品である。側方部材23,24及び横部材25か
ら成るフレーム22は背板26を取り囲んでいる。側方部材
23,24は断面がＵ字形をしており、それぞれ前側面27、
中央部分28及び後側面29を有している。このようにして
つくられたキャビテイーの中に成形された突起31が配列
されている。側方部材23,24のキャビテイー30の下方の
区域に補強材32が取り付けられ、取付け具及び背もたれ
の傾斜角の調節部材を連結している。横部材25は前面で
閉じており、断面はＵ字形で幅の広い中央部分33、上側
面34及び下側面35から成っている。このようにして作ら
れたキャビテイー36は物入れとして使用され、垂れ蓋と
してつくられたカバー37が備えられている。この垂れ蓋
37には衝突の際に後部座席に居る人の怪我を防ぐ保護ク
ッションが外側に取り付けられている。

第３図は第２図の左側の側方部材23のカバー39を示
し、これは側方部材23に嵌め込め連結される（図示せ
ず）。

第４図において背板41はＲ＝50mmの丸まった部分42を
経て傾斜部分43に至り、側方部材45の中央部分44とα_１
＝45゜の角度を成している。この角度部分43は分岐し、
一方では中央部分44の反転部分46を経て反転し、他方で
は角度α_２＝15゜を成して折れ曲がり、前側面47となっ
ている。後側面には48の番号が付けられている。

第５図においては背もたれのクッション52及びカバー
53が背もたれ支持構造物51の上に取り付けられている。

本発明の主な特徴及び態様は次の通りである。

1.フレーム（2;22）により枠状に取り囲まれた背板（6;
26;41）から成り、該フレームはＵ字形の断面を有する
外側に向かって開いた側方部材（3,4;23,24;45）及び該
側方部材（3,4;23,24;45）の上端部を連結する一方が開
いたＵ字形断面の横部材（5;25）から成り、該背板（6;
26;41）及び該部材（3,4,5;23,24,25;45）は射出成形さ
れ単一成形品であることを特徴とする乗物用座席の背も
たれ支持構造物（1;21;51）。

2.背板（41）は側方部材（45）へ向かって前方に曲がり
丸まった部分（42）を経て傾斜部分（43）となり、ここ
で分岐して、一方は反対部分（46）を経て側方部材（4
5）の中央部分（44）となり、他方は前側面（47）にな
る上記１に記載の背もたれ支持構造物。

3.少なくとも１つの部材（23）はカバー（39）を有する
上記１又は２に記載の背もたれ支持構造物。

4.成形された突起（11;31）が部材（34;23;24）のキャ
ビテイー（10）の中に配置されている上記１〜３のいず
れかに記載の背もたれ支持構造物。

5.側方部材（3,4;23,24;25）の前側面（7;27;47）は背
板と同様に前方に曲がっている上記１〜４のいずれかに
記載の背もたれ支持構造物。

6.横部材（５）は前方に開き、ヘッド・レスト支持板が
カバー（18）を形成している上記１〜５のいずれかに記
載の背もたれ支持構造物。

7.横部材（25）は後方に開き、カバー（37）として垂れ
蓋を有する物入れ（30）となっている上記１〜５のいず
れかに記載の背もたれ支持構造物。

8.垂れ蓋（37）の外側に保護クッションが取り付けられ
ている上記７に記載の背もたれ支持構造物。

9.フレームによって横方向を取り囲まれた背もたれ用ク
ッション（52）が少なくとも部分的に側方部材の前側面
を覆っていることを特徴とする、上記１〜８のいずれか
に記載の背もたれ支持構造物（1;21;51）を取り付けた
乗物用座席の背もたれ。

10.背もたれのクッション（52）が横部材の前側面を覆
っている上記９に記載の乗物用座席の背もたれ。

11.背もたれのクッション（52）が側方部材の外側面を
覆っている上記９又は10に記載の乗物用座席の背もた
れ。

【図面の簡単な説明】 第１図は、前方から片側の側面へ見た前方が開く横部材
を有する背もたれ支持構造物の三次元的模式図であり、 第２図は後方から片側の側面へ見た後方が開く横部材を
有する背もたれ支持構造物の三次元的模式図であり、 第３図は側方部材の蓋の三次元的模式図であり、 第４図は背もたれ支持構造物を通した断面図であり、 第５図は背もたれを示す。 図中、 1,21,51……背もたれ支持構造物 2,22……フレーム 3,4,23,24,45……側方部材 5,25……横部材 6,26,41……背板 10……キャビテイー 11,31……突起 18,37,39,53……カバー 30……物入れ 52……クッション である。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フレーム（2;22）によって枠状に取り囲ま
   れている背板（6;26;41）を具備し、 該フレームが、Ｕ字形の断面を有する外側に向かって開
   いた側方部材（3,4;23,24;45）と、該側方部材（3,4;2
   3,24;45）の上端部を連結する、一方が開いたＵ字形断
   面の横部材（5;25）とを備えており、 該背板（6;26;41）及び該側方部材及び横部材（3,4,5;2
   3,24,25;45）が、射出成形された単一成形品からなり、 該背板が、前方に延びている傾斜部分（43）を有し、 該傾斜部分（43）が、丸みを付けられた部分（42）によ
   って該背板（41）に連結されており、 該傾斜部分（43）が、該側方部材（45）の中央部分にな
   る反転部分（46）と、前方部分になる中央部分の他の部
   分とに分かれている ことを特徴とする乗物用座席の背もたれ支持構造物。
2. 【請求項２】フレームによって横方向を取り囲まれた背
   もたれ用クッション（52）が少なくとも部分的に側方部
   材の前側面を覆っていることを特徴とする、特許請求の
   範囲第１項記載の背もたれ支持構造物を取り付けた乗物
   用座席の背もたれ。