JP2882150B2 - 車両用トラクション制御装置 - Google Patents

車両用トラクション制御装置

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JP2882150B2
JP2882150B2 JP34296691A JP34296691A JP2882150B2 JP 2882150 B2 JP2882150 B2 JP 2882150B2 JP 34296691 A JP34296691 A JP 34296691A JP 34296691 A JP34296691 A JP 34296691A JP 2882150 B2 JP2882150 B2 JP 2882150B2
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  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、駆動輪速と制御用従動
輪速により算出される加速スリップ状態に応じてスリッ
プ抑制制御を行なう車両用トラクション制御装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の車両用トラクション制御
装置としては、例えば、特開昭62−99251号公報
に記載されている装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の車両用トラクション制御装置にあっては、駆
動輪速と従動輪速との大小関係によらず、図8の点線特
性に示すように、制御用従動輪速を実従動輪速に対し減
速側の変化量に対し上限値を設けている。
【0004】この為、実従動輪速が水膜抵抗により急減
するハイドロプレーン状態では、加速スリップ状態の過
大評価が抑えられて制御過多を回避することができるも
のの、制動終了直後に発生する再加速スリップに対し、
図8に示すように、制御用従動輪速の実従動輪速に対す
る追従が遅れ、加速スリップ制御の開始時期となる駆動
輪速と制御用従動輪速の差(加速スリップ量)が制御し
きい値を超える時点がB時点というように遅れ、車両安
定性が低下する。
【0005】本発明は、上述のような問題に着目してな
されたもので、駆動輪速と制御用従動輪速により算出さ
れる加速スリップ状態に応じてスリップ抑制制御を行な
う車両用トラクション制御装置において、ハイドロプレ
ーン突入時の制御過多回避と制動減速から加速への移行
時に発生する再加速スリップに対する制御開始応答性向
上との両立を図ることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の車両用トラクション制御装置では、駆動輪速よ
り従動輪速フィルタ値が大きい時にはフィルタ効果を小
さくした従動輪速を制御用従動輪速として設定し、駆動
輪速より従動輪速フィルタ値が小さい時にはフィルタ効
果を大きくした従動輪速を制御用従動輪速として設定す
る手段とした。即ち、図1のクレーム対応図に示すよう
に、駆動輪速と制御用従動輪速により算出される加速ス
リップ状態に応じて加速スリップを抑制するべくトラク
ションを制御するトラクション制御手段aと、駆動輪速
を検出する駆動輪速センサbと、従動輪速を検出する従
動輪速センサcと、従動輪速センサ値にフィルタ効果の
高い小さめのカットオフ周波数を有するローパスフィル
タをかけることにより従動輪速フィルタ値を作成する従
動輪速フィルタ値作成手段dと、駆動輪速と従動輪速フ
ィルタ値との大小比較を行なう車輪速比較手段eと、駆
動輪速より従動輪速フィルタ値が大きい時にはフィルタ
効果を小さくした従動輪速を制御用従動輪速として設定
し、駆動輪速より従動輪速フィルタ値が小さい時にはフ
ィルタ効果を大きくした従動輪速を制御用従動輪速とし
て設定する制御用従動輪速設定手段fとを備えている事
を特徴とする。
【0007】
【作用】走行時、まず、従動輪速フィルタ値作成手段d
において、従動輪速センサcからの従動輪速センサ値に
フィルタ効果の高い小さめのカットオフ周波数を有する
ローパスフィルタをかけることにより従動輪速フィルタ
値が作成される。そして、車輪速比較手段eにおいて、
駆動輪速と従動輪速フィルタ値との大小比較が行なわ
れ、さらに、制御用従動輪速設定手段fにおいて、駆動
輪速より従動輪速フィルタ値が大きい時にはフィルタ効
果を小さくした従動輪速が制御用従動輪速として設定さ
れ、駆動輪速より従動輪速フィルタ値が小さい時にはフ
ィルタ効果を大きくした従動輪速が制御用従動輪速とし
て設定される。
【0008】従って、実従動輪速が水膜抵抗により急減
するハイドロプレーン状態では、駆動輪速より従動輪速
フィルタ値が小さくなり、この時はフィルタ効果を大き
くした従動輪速が制御用従動輪速として設定される為、
駆動輪速と制御用従動輪速により算出される加速スリッ
プ状態の過大評価が抑えられ、トラクション制御手段a
による制御過多が回避される。
【0009】また、制動減速から加速への移行時に発生
する再加速スリップに対しては、制動減速域から加速初
期において駆動輪速より従動輪速フィルタ値が大きくな
り、この時はフィルタ効果を小さくした従動輪速が制御
用従動輪速として設定される為、制御用従動輪速が実従
動輪速に対して追従し、加速スリップ制御の開始時期と
なる駆動輪速と制御用従動輪速の差(加速スリップ量)
が制御しきい値を超える時点が早期にあらわれ、制動減
速から加速への移行時に発生する再加速スリップに対す
る制御開始応答性が向上する。
【0010】
【実施例】構成を説明する。
【0011】図2は本発明の実施例の車両用トラクショ
ン制御装置が適用された後輪駆動車の制駆動系制御シス
テム全体図である。
【0012】この後輪駆動車には、加速スリップ発生時
に後輪スリップ率が最適許容範囲内になる様にモータス
ロットル開度制御を行なうスロットル制御と、加速スリ
ップ発生時に左右各後輪に独立して制動力を与えるブレ
ーキ制御とを併用するトラクション制御システム(トラ
クション制御手段に相当)が搭載されていると共に、減
速スリップ時に車輪ロックを防止する様に前後輪ブレー
キ液圧制御を行なうアンチスキッドブレーキ制御システ
ムが搭載されている。そして、これらのシステムの集中
電子制御は、トラクション制御システム&アンチスキッ
ドブレーキ制御システム電子制御ユニットTCS/ABS-ECU
(以下、TCS/ABS-ECU と略称する)により行なわれる。
【0013】前記TCS/ABS-ECU には、右前輪速センサ1
(従動輪速センサに相当)からの右前輪速センサ値VFR
と、左前輪速センサ2(従動輪速センサに相当)からの
左前輪速センサ値VFLと、右後輪速センサ3(駆動輪速
センサに相当)からの右後輪速センサ値VRRと、左後輪
速センサ4(駆動輪速センサに相当)からの左後輪速セ
ンサ値VRLと、横加速度センサ5からの横加速度センサ
値YGと、TCS スイッチ6からのスイッチ信号SWTCと、ブ
レーキランプスイッチ7からのスイッチ信号SWSTと、ス
ロットルコントロールモジュールTCM (以下、TCM と略
称する)からのスロットル1実開度DKV と、オートマチ
ックトランスミッション制御ユニットA/TC/U (以下、A
/T C/U と略称する)からのギア位置信号及びシフトア
ップ信号と、エンジン集中電子制御ユニットECCS C/U
(以下、ECCS C/Uと略称する)からのエンジン回転数信
号と、第2スロットルセンサ17からの第2スロットル
信号TVO2等が入力される。
【0014】そして、TCS/ABS-ECU からは、加速スリッ
プを検出し、スロットル開閉信号としてのスロットル2
目標開度DKR がTCM に出力されると共に、ブレーキ増減
圧信号としてのソレノイド信号が共有ハイドロリックユ
ニットTCS/ABS-HU(以下、TCS/ABS-HUと略称する)の各
ソレノイドバルブに出力される(TCSスロットル制御
及びTCSブレーキ制御)。また、減速スリップを検出
し、ブレーキ増減圧信号としてのソレノイド信号がTCS/
ABS-HUの各ソレノイドバルブに出力される(ABS制
御)。尚、TCS/ABS-ECU からは、上記出力以外に、TCS
フェイル時にはTCSフェイルランプ14に点灯指令が出
力され、TCS 作動中にはTCS 作動ランプ15に点灯指令
が出力される。
【0015】前記TCM は、スロットルモータ駆動回路を
中心とする制御回路で、第1スロットルセンサ16から
の第1スロットル信号TVO1を入力し、TCS/ABS-ECU にス
ロットル1実開度DKV として出力したり、第2スロット
ルセンサ17からの第2スロットル信号TVO2をスロット
ル2目標開度DKR に対するフィードバック情報として入
力したり、TCS/ABS-ECU からのスロットル2目標開度DK
R に基づきスロットルモータ18にモータ駆動電流IMを
印加する。
【0016】ここで、第1スロットルセンサ16が設け
られる第1スロットルバルブ19は、アクセルペダル2
0と連動して作動するバルブであり、第2スロットルセ
ンサ17が設けられる第2スロットルバルブ21は、第
1スロットルバルブ19とは直列配置によりエンジン吸
気通路22に設けられ、スロットルモータ18により開
閉駆動されるバルブである。
【0017】上記トラクション制御システムには、周辺
システムとして、図示のように、エアフローメータAFM
やECCS C/Uやインジェクタを有し、燃料噴射制御,点火
時期制御,アイドル回転数補正等を集中制御するエンジ
ン集中電子制御システムが搭載されていて、トラクショ
ン制御時を示すトラクションスイッチ信号TCS SWのON信
号が入力されたら、過渡特性補正のため、第1スロット
ル信号TVO1と第2スロットル信号TVO2のうち小さいバル
ブ開度を選択する制御(セレクトロー制御)が行なわれ
ると共に、キャニスタ制御及びEGR制御が中止され
る。
【0018】また、周辺システムとして、図示のよう
に、A/T C/U やシフトソレノイドを有し、変速制御やロ
ックアップ制御等を行なうオートマチックトランスミッ
ション制御システムが搭載されていて、A/T C/U からは
ギア位置信号及びシフトアップ信号がTCS/ABS-ECU に取
り込まれる。
【0019】さらに、周辺システムとして、図示のよう
に、ASCDアクチュエータを有し、設定車速を維持するよ
うに車速自動制御を行なう定速走行制御システムが搭載
されていて、制御干渉を防止するため、トラクションス
イッチ信号TCS SWのON信号が入力されたら第1スロット
ルバルブ19の開制御を中止し、TCS SWのOFF 信号が入
力されたら第1スロットルバルブ19の戻し速度を緩や
かにする。
【0020】図3は左右後輪独立のTCSブレーキ制御
とABS制御とに共用されるブレーキ液圧制御系を示す
油圧回路図である。
【0021】このブレーキ液圧制御系は、ブレーキペダ
ル27と、油圧ブースタ28と、リザーバ29を有する
マスタシリンダ30と、ホイールシリンダ31,32,
33,34と、共有ハイドロリックユニットTCS/ABS-HU
と、ポンプユニットPUと、第1アキュムレータユニット
AU1 と、第2アキュムレータユニットAU2 と、前輪側ダ
ンピングユニットFDPUと、後輪側ダンピングユニットRD
PUとを備えている。
【0022】TCS/ABS-HUには、第1切換バルブ35a
と、第2切換バルブ35bと、左前輪増圧バルブ36a
と、右前輪増圧バルブ36bと、左後輪増圧バルブ36
cと、右後輪増圧バルブ36dと、左前輪減圧バルブ3
7aと、右前輪減圧バルブ37bと、左後輪減圧バルブ
37cと、右後輪減圧バルブ37cと、前輪側リザーバ
38aと、後輪側リザーバ38bと、前輪側ポンプ39
aと、後輪側ポンプ39bと、前輪側ダンパー室40a
と、後輪側ダンパー室40bと、ポンプモータ41を有
して構成される。
【0023】そして、通常のブレーキ時やABS制御時
には、マスタシリンダ30からの液圧を導入するべく両
切換バルブ35a,35bは図示のようにOFF 位置とさ
れ、TCSブレーキ制御時には、第2アキュムレータユ
ニットAU2 からの液圧を導入するべく両切換バルブ35
a,35bがON位置とされる。そして、例えば、TCS
ブレーキ制御での増圧モード時には、両制御バルブ36
c,36d,37c,37dが図示のようにOFF 位置と
され、保持モード時には、増圧バルブ36c,36dの
みON位置とされ、減圧モード時には、両制御バルブ36
c,36d,37c,37dがON位置とされ、ホイール
シリンダ33,34からのブレーキ液が後輪側リザーバ
38bに蓄えられ、さらに、後輪側ポンプ39bの回転
により後輪側ダンパー室40bに戻される。
【0024】前記第1アキュムレータユニットAU1 は、
油圧ブースタ28の液圧源とされ、第2アキュムレータ
ユニットAU2 は、TCSブレーキ制御での液圧源とされ
るもので、両ユニットAU1,AU2 は、リザーバ29からブ
レーキ液を吸い込む共有のポンプユニットPUにより所定
のアキュムレータ圧が保たれる。
【0025】前記前輪側ダンピングユニットFDPU及び後
輪側ダンピングユニットRDPUは、ペダルフィーリングを
向上させるために、共有ハイドロリックユニットTCS/AB
S-HUでの液圧変化影響がマスタシリンダ30に及ぶのを
抑えている。
【0026】作用を説明する。
【0027】(イ)通常のトラクション制御作用 図4はTCS/ABS-ECU で行なわれるトラクション制御の概
要を示す制御ブロック図であり、トラクション制御ロジ
ックは、下記の4種の制御に大別できる。
【0028】(1) 実スリップ状態の計算 前輪速センサ1,2からの信号に後述するフィルタ処理
を行ない、設定された制御用従動輪速CVF と駆動輪速
センサ値VR に基づき、実スリップ状態(スリップ量,
スリップ量差分値)の算出を行なう。
【0029】(2) 目標スリップ状態の計算 横加速度センサ5の信号にフィルタ処理を行ない、横加
速度による旋回・直進判断と車速とにより走行状態に見
合った目標スリップ状態の算出を行なう。
【0030】(3) TCSブレーキ制御 実スリップ状態と目標スリップ状態とを比較して必要な
ブレーキ増減圧速度(制御デューティ比)の算出を行な
い、TCS/ABS-HUに出力する。
【0031】(4) TCSスロットル制御 実スリップ状態と目標スリップ状態とを比較して必要な
スロットル開度,開閉速度の算出を行ない、TCM に出力
する。
【0032】この制御ロジックの特徴は、低μから高μ
に至る各路面状況に応じてベースシャシ性能に基づいた
限界検知性(操舵力,スキル音等)を確保して能動的安
全性を得るために、横加速度の大きさに応じて許容スリ
ップ状態,スロットル・ブレーキ制御の分担を決定して
いる。
【0033】また、変速時の安定性確保や各ギア位置で
の制御性の向上のために、ギア位置に応じたスロットル
・ブレーキ制御を行なっている。
【0034】さらに、スリップハンチングを抑え滑らか
な加速感,制御性を実現すると共に、レスポンスの良い
エンジントルク増減制御を実現するために、エンジン回
転数に応じた最適なTCSスロットル制御を行なってい
る。
【0035】(ロ)制御用従動輪速の可変設定によるト
ラクション制御作用 図5はTCS/ABS-ECU で行なわれる制御用従動輪速の可変
設定によるトラクション制御処理作動の流れを示すフロ
ーチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0036】ステップ50では、従動輪速センサ値VF
(右前輪速センサ1からの右前輪速センサ値VFRと左前
輪速センサ2からの左前輪速センサ値VFL)に対しフィ
ルタ効果の高い小さめのカットオフ周波数を有するロー
パスフィルタをかけ、従動輪速フィルタ値FVF を作成
する(従動輪速フィルタ値作成手段に相当)。この従動
輪速フィルタ値FV F は、従動輪速と駆動輪速との大小
関係を比較するステップ51での従動輪速の値として用
いられると共に、制御用従動輪速を設定するステップ5
2での制御用従動輪速CV F の値としても兼用される。
【0037】尚、ここで、駆動輪速より従動輪速が小さ
い時には、図6に示すように、加速側で、10msec(10ms
ec処理周期)保持した後、傾きの最大を+0.4Gに規制し
て従動輪速フィルタ値FVF を作成し、減速側で、2se
c の間は10msec保持して−0.1Gの減速をし、その後、傾
きを最大−0.35G に規制して従動輪速フィルタ値FVF
を作成する。また、駆動輪速より従動輪速が大きい時に
は、図7に示すように、減速側で傾きを最大−1.13G に
規制して従動輪速フィルタ値FVF を作成する。
【0038】ステップ51では、駆動輪速センサ値VR
(右後輪速センサ3からの右後輪速センサ値VRRと左後
輪速センサ4からの左後輪速センサ値VRL)が従動輪速
フィルタ値FVF 以上かどうかが判断される(車輪速比
較手段に相当)。これは、従動輪速と駆動輪速との大小
関係を比較するのに、いずれもセンサ値をそのまま用い
ると駆動輪速側は問題ないが従動輪速側は路面凹凸等に
よる影響を大きく受け、従動輪速が大きく変動すること
があるため、センサ値のうち高周波数成分を除去するこ
とで路面凹凸等による従動輪速の変動影響を抑えてい
る。
【0039】ステップ51の判断で、VR ≧FVF の時
には、ステップ52へ進み、従動輪速フィルタ値FVF
がそのまま制御用従動輪速CVF として設定される(制
御用従動輪速設定手段に相当)。
【0040】ステップ51の判断で、VR <FVF の時
には、ステップ53へ進み、駆動輪速センサ値VR にフ
ィルタ効果の低い大きめのカットオフ周波数を有するロ
ーパスフィルタをかけた従動輪速フィルタ値fVF が制
御用従動輪速CVF として設定される(制御用従動輪速
設定手段に相当)。
【0041】ステップ54では、制御用従動輪速CVF
と従動輪速センサ値VF との差が設定値VO (例えば、
5km/h)以上かどうかにより、ハイドロプレーン状態か
非ハイドロプレーン状態かが判断される。
【0042】ステップ54でYESと判断された時は、
ステップ55へ進み、例えば、TE =α×V2 +β(α
×V2 ;車速の2乗に比例する空気抵抗分、β;ころが
り抵抗分)を満足し、車速Vが一定に保たれるようにエ
ンジン出力TE が制御される。このハイドロプレーン対
応のエンジン出力制御は、加速スリップの有無にかかわ
らず直ちに第2スロットルバルブ21の開度制御により
行なわれる。
【0043】ステップ56では、駆動輪速センサ値VR
と制御用従動輪速CVF との差等に基づいて加速スリッ
プ状態かどうかが判断される。尚、駆動輪速センサ値V
R に代え、フィルタ効果の低い大きめのカットオフ周波
数を有するローパスフィルタをかけた駆動輪速フィルタ
値fVR を用いるようにしても良い。
【0044】ステップ56でYESと判断された時は、
ステップ57へ進み、通常より増圧・減圧速度を落とし
てブレーキ制御が行なわれる。
【0045】一方、ステップ54でNOと判断された時
は、ステップ58へ進み、駆動輪速センサ値VR と制御
用従動輪速CVF との差等に基づいて加速スリップ状態
かどうかが判断される。
【0046】ステップ58でYESと判断された時は、
ステップ59へ進み、上記(イ)で述べた通常のTCS
スロットル制御及びTCSブレーキ制御が行なわれる。
【0047】(ハ)ハイドロプレーン突入時 実従動輪速が水膜抵抗により急減するハイドロプレーン
状態では、駆動輪速センサ値VR より従動輪速フィルタ
値FVF が小さくなり、図5において、ステップ50→
ステップ51→ステップ52→ステップ54→ステップ
55→ステップ56→ステップ57へと進む流れとな
り、ステップ52ではフィルタ効果を大きくした従動輪
速フィルタ値FVF が制御用従動輪速CVF として設定
される為、ステップ56において、駆動輪速センサ値V
R と制御用従動輪速CVF により算出される加速スリッ
プ状態の過大評価が抑えられ、ステップ57でのTCS
ブレーキ制御での制御過多が回避される。
【0048】(ニ)再加速スリップ発生時 制動減速から加速への移行時に発生する再加速スリップ
に対しては、制動減速域から加速初期において駆動輪速
センサ値VR より従動輪速フィルタ値FVF が大きくな
り、図5において、ステップ50→ステップ51→ステ
ップ53→ステップ54→ステップ58→ステップ59
へと進む流れとなり、ステップ53ではこの時はフィル
タ効果を小さくした従動輪速フィルタ値fVF が制御用
従動輪速CVF として設定される為、制御用従動輪速C
F が実従動輪速に対して追従し、加速スリップ制御の
開始時期となる駆動輪速センサ値VR と制御用従動輪速
CVF の差(加速スリップ量)が制御しきい値を超える
時点が、例えば、図8のA点の時点というように早期に
あらわれ、制動減速から加速への移行時に発生する再加
速スリップに対する制御開始応答性が向上する。
【0049】効果を説明する。
【0050】(1)駆動輪速センサ値VR と制御用従動
輪速CVF により算出される加速スリップ状態に応じて
スリップ抑制制御を行なう車両用トラクション制御装置
において、駆動輪速センサ値VR より従動輪速フィルタ
値FVF が大きい時にはフィルタ効果を小さくした従動
輪速フィルタ値FVF を制御用従動輪速CVF として設
定し、駆動輪速センサ値VR より従動輪速フィルタ値F
F が小さい時にはフィルタ効果を大きくした従動輪速
センサ値fVF を制御用従動輪速CVF として設定する
装置とした為、ハイドロプレーン突入時の制御過多回避
と制動減速から加速への移行時に発生する再加速スリッ
プに対する制御開始応答性向上との両立を図ることがで
きる。
【0051】(2)駆動輪速センサ値VR より従動輪速
フィルタ値FVF が大きい時には減速側の変化量に対す
る上限値を大きく設定して制御用従動輪速CVF を作成
し、駆動輪速センサ値VR より従動輪速フィルタ値FV
F が小さい時には加速側,減速側の変化量に対する上限
値を小さく設定して制御用従動輪速CVF を作成する装
置とした為、ハイドロプレーン突入時には高いリミッタ
効果により制御用従動輪速CVF が作成されることにな
り、さらに加速スリップ状態の過大評価が抑えられる
し、制動減速から加速への移行時には低いリミッタ効果
により制御用従動輪速CVF が作成されることになり、
再加速スリップに対する制御開始応答性向上を低下させ
ることなく減速スリップ状態の過大評価が抑えられる。
【0052】以上、実施例を図面に基づいて説明してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではな
い。例えば、実施例ではトラクション制御手段としてT
CSスロットル制御とTCSブレーキ制御を併用する手
段の例を示したが、その一方のみを有する手段であって
も良いし、また、燃料カット制御や点火時期リタード制
御等、エンジン出力をコントロールできる他の制御手段
としても良い。
【0053】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明にあって
は、駆動輪速と制御用従動輪速により算出される加速ス
リップ状態に応じてスリップ抑制制御を行なう車両用ト
ラクション制御装置において、請求項1に記載したよう
に、駆動輪速より従動輪速が大きい時にはフィルタ効果
を小さくした従動輪速を制御用従動輪速として設定し、
駆動輪速より従動輪速が小さい時にはフィルタ効果を大
きくした従動輪速を制御用従動輪速として設定する手段
とした為、ハイドロプレーン突入時の制御過多回避と制
動減速から加速への移行時に発生する再加速スリップに
対する制御開始応答性向上との両立を図ることができる
という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用トラクション制御装置を示すク
レーム対応図である。
【図2】実施例の車両用トラクション制御装置が適用さ
れた後輪駆動車の制駆動系制御システム全体図である。
【図3】実施例の車両用トラクション制御装置が適用さ
れた制駆動系制御システムのブレーキ液圧制御系を示す
油圧回路図である。
【図4】実施例でのトラクション制御の概略を示すブロ
ック図である。
【図5】実施例装置のトラクション制御システム&AB
S制御システム電子制御ユニットにより行なわれる制御
用従動輪速の可変設定によるトラクション制御処理作動
の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例装置での従動輪速センサ値特性と従動輪
速フィルタ値特性を示す図である。
【図7】減速から加速に移行した時の駆動輪速センサ値
特性と従動輪速センサ値特性と従動輪速フィルタ値特性
を示す図である。
【図8】制動減速から加速に移行した場合の駆動輪速,
実従動輪速,制御用従動輪速の各車輪速特性図である。
【符号の説明】
a トラクション制御手段 b 駆動輪速センサ c 従動輪速センサ d 従動輪速フィルタ値作成手段 e 車輪速比較手段 f 制御用従動輪速設定手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動輪速と制御用従動輪速により算出さ
    れる加速スリップ状態に応じて加速スリップを抑制する
    べくトラクションを制御するトラクション制御手段と、 駆動輪速を検出する駆動輪速センサと、 従動輪速を検出する従動輪速センサと、 従動輪速センサ値にフィルタ効果の高い小さめのカット
    オフ周波数を有するローパスフィルタをかけることによ
    従動輪速フィルタ値を作成する従動輪速フィルタ値作
    成手段と、 駆動輪速と従動輪速フィルタ値との大小比較を行なう車
    輪速比較手段と、 駆動輪速より従動輪速フィルタ値が大きい時にはフィル
    タ効果を小さくした従動輪速を制御用従動輪速として設
    定し、駆動輪速より従動輪速フィルタ値が小さい時には
    フィルタ効果を大きくした従動輪速を制御用従動輪速と
    して設定する制御用従動輪速設定手段と、 を備えている事を特徴とする車両用トラクション制御装
    置。
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