JP2936836B2 - 車両用トラクション制御装置 - Google Patents

車両用トラクション制御装置

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JP2936836B2
JP2936836B2 JP3270728A JP27072891A JP2936836B2 JP 2936836 B2 JP2936836 B2 JP 2936836B2 JP 3270728 A JP3270728 A JP 3270728A JP 27072891 A JP27072891 A JP 27072891A JP 2936836 B2 JP2936836 B2 JP 2936836B2
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徹 岩田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減速スリップブレーキ
制御システムと加速スリップブレーキ制御システムとが
共に搭載された車両用トラクション制御装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、減速スリップブレーキ制御システ
ム(アンチロック制御手段)と加速スリップブレーキ制
御システム(駆動力制御手段のうちのブレーキ制御手
段)とが共に搭載された車両用トラクション制御装置と
しては、例えば、特開平1−301420号公報に記載
されている装置が知られている。
【0003】上記従来出典には、同じ車輪速情報を制御
情報とし、ブレーキ制御アクチュエータを共有する減速
スリップブレーキ制御システムと加速スリップブレーキ
制御システムとの相互の作動切換時、切換前の制御状態
に応じて切換後の初期制御条件を設定する技術が示され
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記車
両用トラクション制御装置にあっては、減速スリップブ
レーキ制御中に加速スリップブレーキ制御作動要求が出
力された場合、直ちに加速スリップブレーキ制御に切換
え、加速スリップブレーキ制御中に減速スリップブレー
キ制御作動要求が出力された場合、直ちに減速スリップ
ブレーキ制御に切換えるというように切換条件が同じ切
換制御となっている為、下記に述べるように、減速スリ
ップブレーキ制御と加速スリップブレーキ制御とが繰り
返される制御の干渉(ハンチング)が発生し、特に減速
スリップブレーキ制御による制動性能が低下するという
問題があった。
【0005】例えば、低摩擦係数路走行中にブレーキ操
作を行なうような場合であって、加速スリップブレーキ
制御から減速スリップブレーキ制御に切換られ、図10
に示すように、減速スリップ制御により従動輪速が低下
した場合、駆動輪速と従動輪速との差が加速スリップに
より生じたものと誤判断され、減速スリップブレーキ制
御から直ちに加速スリップブレーキ制御に切換えられ、
その後、加速スリップブレーキ制御中に減速スリップで
あると判断されると減速スリップブレーキ制御に切換え
られるというように、両制御が繰り返されることにな
る。
【0006】本発明は、上述のような問題に着目してな
されたもので、減速スリップブレーキ制御システムと加
速スリップブレーキ制御システムとが共に搭載された車
両用トラクション制御装置において、制動性能の確保を
優先しながら減速スリップブレーキ制御と加速スリップ
ブレーキ制御との制御ハンチングを防止すると共に、減
速スリップブレーキ制御から加速スリップブレーキ制御
への切換時、ブレーキ制御過多による減速感の発生やブ
レーキ引き摺り気味による減速感の発生を防止し、加速
スリップブレーキ制御から減速スリップブレーキ制御へ
の切換時、車両安定性を損なうことなく、低摩擦係数路
制動時や急制動時等での制動性能の向上を図ることを課
題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の車両用トラクション制御装置では、減速スリッ
プブレーキ制御から加速スリップブレーキ制御への切換
条件を、減速スリップブレーキ制御が終了し、リザーバ
内のブレーキ液がマスタシリンダ側へすべて戻された後
とし、加速スリップブレーキ制御から減速スリップブレ
ーキ制御への切換条件を、従動輪2輪が共に減速スリッ
プ状態となった後とし、減速スリップブレーキ制御を優
先するように切換条件を異ならせた手段とした。
【0008】即ち、図1のクレーム対応図に示すよう
に、従動輪及び駆動輪の減速スリップを検出する減速ス
リップ検出手段aと、減速スリップの発生状況に応じて
車輪ロックを抑制するべく各輪の制動液圧をリザーバに
抜き取り、該リザーバ内のブレーキ液をマスタシリンダ
へ戻すポンプを作動させる減速スリップブレーキ制御シ
ステムbと、少なくとも1輪の減速スリップの検出に基
づき減速スリップブレーキ制御作動要求信号を出力する
減速スリップブレーキ制御作動要求手段cと、駆動輪の
加速スリップを検出する加速スリップ検出手段dと、加
速スリップの発生状況に応じて加速スリップを抑制する
べく駆動輪に制動力を与える加速スリップブレーキ制御
システムeと、加速スリップの検出に基づき加速スリッ
プブレーキ制御作動要求信号を出力する加速スリップブ
レーキ制御作動要求手段fと、減速スリップブレーキ制
御中に加速スリップブレーキ制御作動要求が出力された
場合、減速スリップブレーキ制御が終了し、前記リザー
バ内のブレーキ液がマスタシリンダ側へすべて戻された
後に加速スリップブレーキ制御に切換え、加速スリップ
ブレーキ制御中に減速スリップブレーキ制御作動要求が
出力された場合、従動輪2輪が共に減速スリップ状態と
なったら加速スリップブレーキ制御から減速スリップブ
レーキ制御に切換える制御切換手段gとを備えている事
を特徴とする。
【0009】尚、加速スリップ制御をスロットル制御と
ブレーキ制御の併用で行なうようにした場合、減速スリ
ップブレーキ制御中に加速スリップブレーキ制御作動要
求が出力された場合、スロットル制御は直ちに行なうよ
うにしても良い。
【0010】
【作用】低摩擦係数路制動時や急制動時等で、減速スリ
ップの発生時には、減速スリップブレーキ制御システム
bにおいて、従動輪及び駆動輪の減速スリップを検出す
る減速スリップ検出手段aからの検出値による減速スリ
ップの発生状況に応じて車輪ロックを抑制するべく各輪
に制動力が与えられる。
【0011】加速走行時や発進時等で、加速スリップの
発生時には、加速スリップブレーキ制御システムeにお
いて、駆動輪の加速スリップを検出する加速スリップ検
出手段dからの検出値による加速スリップの発生状況に
応じて加速スリップを抑制するべく駆動輪に制動力が与
えられる。
【0012】そして、減速スリップブレーキ制御中に、
加速スリップブレーキ制御作動要求信号を出力する加速
スリップブレーキ制御作動要求手段fから加速スリップ
ブレーキ制御作動要求が出力された場合、制御切換手段
gにおいて、減速スリップブレーキ制御が終了し、リザ
ーバ内のブレーキ液がマスタシリンダ側へすべて戻され
た後に減速スリップブレーキ制御から加速スリップブレ
ーキ制御に切換えられる。
【0013】また、加速スリップブレーキ制御中に、少
なくとも1輪の減速スリップの検出に基づき減速スリッ
プブレーキ制御作動要求信号を出力する減速スリップブ
レーキ制御作動要求手段cから減速スリップブレーキ制
御作動要求が出力された場合、制御切換手段gにおい
て、従動輪2輪が共に減速スリップ状態となったら加速
スリップブレーキ制御から減速スリップブレーキ制御に
切換えられる。
【0014】
【実施例】構成を説明する。
【0015】図2は本発明の実施例の車両用トラクショ
ン制御装置が適用された後輪駆動車の制駆動系制御シス
テム全体図である。
【0016】この後輪駆動車には、加速スリップ発生時
に後輪スリップ率が最適許容範囲内になる様にモータス
ロットル開度制御を行なうスロットル制御と、加速スリ
ップ発生時に左右各後輪に独立して制動力を与えるブレ
ーキ制御とを併用するトラクション制御システム(ブレ
ーキ制御側は加速スリップブレーキ制御システムに相
当)が搭載されていると共に、減速スリップ時に車輪ロ
ックを防止する様に前後輪ブレーキ液圧制御を行なうア
ンチスキッドブレーキ制御システム(減速スリップブレ
ーキ制御システムに相当)が搭載されている。そして、
これらのシステムの集中電子制御は、トラクション制御
システム&アンチスキッドブレーキ制御システム電子制
御ユニットTCS/ABS-ECU (以下、TCS/ABS-ECU と略称す
る)により行なわれる。
【0017】前記TCS/ABS-ECU には、右前輪速センサ1
からの右前輪速センサ値VWFR と、左前輪速センサ2か
らの左前輪速センサ値VWFL と、右後輪速センサ3から
の右後輪速センサ値VWRR と、左後輪速センサ4からの
左後輪速センサ値VWRL と、横加速度センサ5からの横
加速度センサ値YGと、TCS スイッチ6からのスイッチ信
号SWTCと、ブレーキランプスイッチ7からのスイッチ信
号SWSTと、スロットルコントロールモジュールTCM (以
下、TCM と略称する)からのスロットル1実開度DKV
と、オートマチックトランスミッション制御ユニットA/
T C/U (以下、A/TC/U と略称する)からのギア位置信
号及びシフトアップ信号と、エンジン集中電子制御ユニ
ットECCS C/U(以下、ECCS C/Uと略称する)からのエン
ジン回転数信号と、第2スロットルセンサ17からの第
2スロットル信号TVO2等が入力される。
【0018】そして、TCS/ABS-ECU からは、加速スリッ
プを検出し、スロットル開閉信号としてのスロットル2
目標開度DKR がTCM に出力されると共に、ブレーキ増減
圧信号としてのソレノイド信号が共有ハイドロリックユ
ニットTCS/ABS-HU(以下、TCS/ABS-HUと略称する)の各
ソレノイドバルブに出力される。このトラクション制御
のうちスロットル制御側をTCSスロットル制御とい
い、ブレーキ制御側をTCSブレーキ制御という。
【0019】また、TCS/ABS-ECU からは、減速スリップ
を検出し、ブレーキ増減圧信号としてのソレノイド信号
がTCS/ABS-HUの各ソレノイドバルブに出力される。この
アンチスキッドブレーキ制御をABSブレーキ制御とい
う。
【0020】尚、TCS/ABS-ECU からは、上記出力以外
に、TCS フェイル時にはTCS フェイルランプ14に点灯
指令が出力され、TCS 作動中にはTCS 作動ランプ15に
点灯指令が出力される。
【0021】前記TCM は、スロットルモータ駆動回路を
中心とする制御回路で、第1スロットルセンサ16から
の第1スロットル信号TVO1を入力し、TCS/ABS-ECU にス
ロットル1実開度DKV として出力したり、第2スロット
ルセンサ17からの第2スロットル信号TVO2をスロット
ル2目標開度DKR に対するフィードバック情報として入
力したり、TCS/ABS-ECU からのスロットル2目標開度DK
R に基づきスロットルモータ18にモータ駆動電流IMを
印加する。
【0022】ここで、第1スロットルセンサ16が設け
られる第1スロットルバルブ19は、アクセルペダル2
0と連動して作動するバルブであり、第2スロットルセ
ンサ17が設けられる第2スロットルバルブ21は、第
1スロットルバルブ19とは直列配置によりエンジン吸
気通路22に設けられ、スロットルモータ18により開
閉駆動されるバルブである。
【0023】上記トラクション制御システムには、周辺
システムとして、図示のように、エアフローメータAFM
やECCS C/Uやインジェクタを有し、燃料噴射制御,点火
時期制御,アイドル回転数補正等を集中制御するエンジ
ン集中電子制御システムが搭載されていて、トラクショ
ン制御時を示すトラクションスイッチ信号TCS SWのON信
号が入力されたら、過渡特性補正のため、第1スロット
ル信号TVO1と第2スロットル信号TVO2のうち小さいバル
ブ開度を選択する制御(セレクトロー制御)が行なわれ
ると共に、キャニスタ制御及びEGR制御が中止され
る。
【0024】また、周辺システムとして、図示のよう
に、A/T C/U やシフトソレノイドを有し、変速制御やロ
ックアップ制御等を行なうオートマチックトランスミッ
ション制御システムが搭載されていて、A/T C/U からは
ギア位置信号及びシフトアップ信号がTCS/ABS-ECU に取
り込まれる。
【0025】さらに、周辺システムとして、図示のよう
に、ASCDアクチュエータを有し、設定車速を維持するよ
うに車速自動制御を行なう定速走行制御システムが搭載
されていて、制御干渉を防止するため、トラクションス
イッチ信号TCS SWのON信号が入力されたら第1スロット
ルバルブ19の開制御を中止し、TCS SWのOFF 信号が入
力されたら第1スロットルバルブ19の戻し速度を緩や
かにする。
【0026】図3は左右後輪独立のTCSブレーキ制御
とABSブレーキ制御とに共用されるブレーキ液圧制御
系を示す油圧回路図である。
【0027】このブレーキ液圧制御系は、ブレーキペダ
ル27と、油圧ブースタ28と、リザーバ29を有する
マスタシリンダ30と、ホイールシリンダ31,32,
33,34と、共有ハイドロリックユニットTCS/ABS-HU
と、ポンプユニットPUと、第1アキュムレータユニット
AU1 と、第2アキュムレータユニットAU2 と、前輪側ダ
ンピングユニットFDPUと、後輪側ダンピングユニットRD
PUとを備えている。
【0028】TCS/ABS-HUには、第1切換バルブ35a
と、第2切換バルブ35bと、左前輪増圧バルブ36a
と、右前輪増圧バルブ36bと、左後輪増圧バルブ36
cと、右後輪増圧バルブ36dと、左前輪減圧バルブ3
7aと、右前輪減圧バルブ37bと、左後輪減圧バルブ
37cと、右後輪減圧バルブ37cと、前輪側リザーバ
38aと、後輪側リザーバ38bと、前輪側ポンプ39
aと、後輪側ポンプ39bと、前輪側ダンパー室40a
と、後輪側ダンパー室40bと、ポンプモータ41を有
して構成される。
【0029】そして、通常のブレーキ時やABSブレー
キ制御時には、マスタシリンダ30からの液圧を導入す
るべく両切換バルブ35a,35bは図示のようにOFF
位置とされ、TCSブレーキ制御時には、第2アキュム
レータユニットAU2 からの液圧を導入するべく両切換バ
ルブ35a,35bがON位置とされる。そして、例え
ば、TCSブレーキ制御での増圧モード時には、両制御
バルブ36c,36d,37c,37dが図示のように
OFF 位置とされ、保持モード時には、増圧バルブ36
c,36dのみON位置とされ、減圧モード時には、両制
御バルブ36c,36d,37c,37dがON位置とさ
れ、ホイールシリンダ33,34からのブレーキ液が後
輪側リザーバ38bに蓄えられ、さらに、後輪側ポンプ
39bの回転により後輪側ダンパー室40bに戻され
る。
【0030】前記第1アキュムレータユニットAU1 が油
圧ブースタ28の油圧源とされ、第2アキュムレータユ
ニットAU2 がTCSブレーキ制御の油圧源とされるもの
で、両ユニットAU1,AU2 は、リザーバ29からブレーキ
液を吸い込む共有のポンプユニットPUにより所定のアキ
ュムレータ圧が保たれる。
【0031】前記前輪側ダンピングユニットFDPU及び後
輪側ダンピングユニットRDPUは、ペダルフィーリングを
向上させるために、共有ハイドロリックユニットTCS/AB
S-HUでの液圧変化影響がマスタシリンダ30に及ぶのを
抑えている。
【0032】作用を説明する。
【0033】(イ)トラクション制御作用 図4はTCS/ABS-ECU で行なわれるトラクション制御の概
要を示す制御ブロック図であり、トラクション制御ロジ
ックは、下記の4種の制御に大別できる。
【0034】(1) 実スリップ状態の計算 車輪速センサ1,2,3,4の信号にフィルタ処理を行
ない、フィルタ処理後の車輪速値に基づき、実スリップ
状態(スリップ量,スリップ量差分値)の算出を行なう
(減速スリップ検出手段及び加速スリップ検出手段に相
当)。
【0035】(2) 目標スリップ状態の計算 横加速度センサ5の信号にフィルタ処理を行ない、横加
速度による旋回・直進判断と車速とにより走行状態に見
合った目標スリップ状態の算出を行なう。
【0036】(3) TCSブレーキ制御 実スリップ状態と目標スリップ状態とを比較して必要な
ブレーキ増減圧速度(制御デューティ比)の算出を行な
い、TCS/ABS-HUに出力する。
【0037】(4) TCSスロットル制御 実スリップ状態と目標スリップ状態とを比較して必要な
スロットル開度,開閉速度の算出を行ない、TCM に出力
する。
【0038】この制御ロジックの特徴は、低μから高μ
に至る各路面状況に応じてベースシャシ性能に基づいた
限界検知性(操舵力,スキル音等)を確保して能動的安
全性を得るために、横加速度の大きさに応じて許容スリ
ップ状態,スロットル・ブレーキ制御の分担を決定して
いる。
【0039】また、変速時の安定性確保や各ギア位置で
の制御性の向上のために、ギア位置に応じたスロットル
・ブレーキ制御を行なっている。
【0040】さらに、スリップハンチングを抑え滑らか
な加速感,制御性を実現すると共に、レスポンスの良い
エンジントルク増減制御を実現するために、エンジン回
転数に応じた最適なスロットル制御を行なっている。
【0041】(ロ)ABSブレーキ制御作用 制動時に各輪の減速スリップが減速スリップしきい値を
超えた場合、各輪独立でブレーキ増減圧信号としてのソ
レノイド信号をTCS/ABS-HUの各ソレノイドバルブに出力
することで行なわれる。
【0042】この制御により、低摩擦係数路制動時や急
制動時等のように、ブレーキ力が過剰となって車輪ロッ
クが発生しそうな場合に車輪ロックを抑制することで、
車両の制動安定性や制動距離の短縮が図られる。
【0043】(ハ)ブレーキ制御作動要求信号出力処理 図5はTCS/ABS-ECU で行なわれるABSブレーキ制御作
動要求信号出力処理作動の流れを示すフローチャート
で、以下、各ステップについて説明する(減速スリップ
ブレーキ制御作動要求手段に相当)。
【0044】ステップ50では、右前輪速センサ値VWF
R ,左前輪速センサ値VWFL ,右後輪速センサ値VWRR
,左後輪速センサ値VWRL が読み込まれる。ステップ
51では、読み込まれた車輪速信号に基づいて演算され
た減速スリップ量が減速スリップしきい値以上かどうか
が判断される。ステップ51で前後各輪のうち少なくと
も1輪にてYESと判断された時は、ステップ52へ進
み、ABSブレーキ制御作動要求信号としてAS=1が
出力される。ステップ51でNOと判断された時は、ス
テップ53へ進み、ABSブレーキ制御非作動信号とし
てAS=0が出力される。
【0045】図6はTCS/ABS-ECU で行なわれるTCSブ
レーキ制御作動要求信号出力処理作動の流れを示すフロ
ーチャートで、以下、各ステップについて説明する(加
速スリップブレーキ制御作動要求手段に相当)。
【0046】ステップ60では、右前輪速センサ値VWF
R ,左前輪速センサ値VWFL ,右後輪速センサ値VWRR
,左後輪速センサ値VWRL が読み込まれる。ステップ
61では、読み込まれた車輪速信号に基づいて演算され
た加速スリップ量が加速スリップしきい値以上かどうか
が判断される。ステップ61で左右後輪の少なくとも1
輪にてYESと判断された時は、ステップ62へ進み、
TCSブレーキ制御作動要求信号としてTS=1が出力
される。ステップ61でNOと判断された時は、ステッ
プ63へ進み、TCSブレーキ制御非作動信号としてT
S=0が出力される。
【0047】(ニ)ABS→TCS制御切換作用 図7の(A)はTCS/ABS-ECU で行なわれるABSからT
CSへの制御切換処理作動の流れを示すフローチャート
で、以下、各ステップについて説明する(制御切換手段
に相当)。
【0048】ステップ70では、ABSブレーキ制御作
動中であるかどうかが判断される。
【0049】ステップ71では、TCSブレーキ制御作
動要求信号TS=1の出力時かどうかが判断される。
【0050】ステップ72では、スロットル開度TVO が
車速対応スロットル開度演算値θ(V)以上かどうかが判
断される。
【0051】尚、スロットル開度TVO は、第1スロット
ル開度TVO1と第2スロットル開度TVO2のうち小さい方を
選択することで得られ、車速対応スロットル開度演算値
θ(V)は、例えば、下記の式で与えられる。
【0052】 θ(V) =α・VFTF2+β VFTF ;前輪速平均値 ステップ73では、ABSブレーキ制御非作動信号AS
=0の出力時かどうかが判断される。
【0053】上記ステップ70,71,72を満足する
時は、ステップ74へ進み、TCSスロットル制御の開
始指令が出力される。
【0054】上記ステップ70,71,72,73を満
足する時は、ステップ75へ進み、TCSブレーキ制御
の開始指令が出力される。
【0055】従って、ABSからTCSへの制御切換
は、ステップ72のスロットル開度条件を満足している
状況下では、図8のタイムチャートに示すように、AB
Sブレーキ制御中に時間t1の時点でTCSブレーキ制
御作動要求信号TS=1が出力されると直ちにTCSス
ロットル制御が開始される。しかし、TCSブレーキ制
御は、ABSブレーキ制御非作動信号AS=0が出力さ
れる時間t2まで待って開始されることになる。このよ
うに、時間t1から時間t2までの間はABSブレーキ
制御とTCSスロットル制御とが同時に作動し、時間t
2の時点でABSブレーキ制御からTCSブレーキ制御
へ切換えられることになる。
【0056】例えば、ABSブレーキ制御中にTCSブ
レーキ制御作動要求信号TS=1が出力された場合、直
ちにTCSブレーキ制御に切換えるようにした場合、ホ
イールシリンダ残圧に加えてTCSブレーキ制御でアキ
ュムレータからの増圧分が加わり、ブレーキ制御過多と
なって減速感が発生するし、また、TCSブレーキ制御
を行なう場合、リザーバ38a,38b内にABSブレ
ーキ制御中のブレーキ残液がある為、十分な減圧制御が
できず、ブレーキ引き摺り気味となって減速感が発生す
る。
【0057】これに対し、時間t1から時間t2までの
間にTCSスロットル制御を先行させることで、ABS
ブレーキ制御でのブレーキ圧を低下させることができ、
ブレーキ制御過多が抑制されるし、また、時間t1から
時間t2までの間はABSブレーキ制御を継続すること
によるポンプ39a,39bの作動でリザーバ38a,
38b内のブレーキ残液を排除しておくことができる。
【0058】また、加速スリップの発生によりTCSブ
レーキ制御作動要求信号TS=1が出力された場合、ス
テップ72でスロットル開度TVO が車速対応スロットル
開度演算値θ(V) 以上であるという条件を課してTCS
スロットル制御へ切換えるようにしたのは、スロットル
開度TVO が小さい時に直ちにTCSスロットル制御へ切
換えるようにした場合、第2スロットルバルブ21の急
激な戻しにより、エンジンブレーキだけではなくブレー
キ圧力の減圧が遅れて引き摺ってしまい、過度の減圧感
が発生し、後輪がロック傾向となって安定性を低下させ
ることによる。また、車速対応スロットル開度演算値θ
(V) としたのは、車速VFTF の2乗に比例する空気抵抗
分(α・VFTF2)と、ころがり抵抗分βとの和によりそ
の時の走行抵抗が得られる値とし、走行抵抗が大きいほ
ど大きな値をスロットル開度TVOの比較基準値とするた
めである。
【0059】(ホ)TCS→ABS制御切換作用 図7の(B)はTCS/ABS-ECU で行なわれるTCSからA
BSへの制御切換処理作動の流れを示すフローチャート
で、以下、各ステップについて説明する(制御切換手段
に相当)。
【0060】ステップ80では、TCSブレーキ制御作
動中であるかどうかが判断される。
【0061】ステップ81では、ABSブレーキ制御作
動要求信号AS=1の出力時かどうかが判断される。
【0062】ステップ82では、右前輪のABSブレー
キ制御作動要求信号ASFFR =1と左前輪のABSブレ
ーキ制御作動要求信号ASFFL =1が同時に出力されて
いるかどうかが判断される。
【0063】ステップ83では、スロットル開度TVO が
車速対応スロットル開度演算値θ(V)より小さいかどう
かが判断される。
【0064】ステップ84では、TCSブレーキ制御非
作動信号TS=0の出力時かどうかが判断される。
【0065】上記ステップ80,81,82またはステ
ップ80,81,83またはステップ80,81,84
のいずれかを満足する時は、ステップ85へ進み、AB
Sスロットル制御の開始指令が出力される。尚、ステッ
プ82やステップ83を経過してステップ85へ進んだ
時には、ABSスロットル制御の開始指令が出力される
と共にTCSブレーキ制御の中止指令が出力される。
【0066】従って、TCSからABSへの制御切換
は、図9のタイムチャートに示すように、ステップ82
の左右前輪でのABSブレーキ制御作動要求条件を満足
している場合、TCSブレーキ制御中に時間t3の時点
でABSブレーキ制御作動要求信号AS=1が出力され
ると直ちにABSブレーキ制御が開始される。
【0067】このように、従動輪である前輪の作動要求
を切換条件としたのは、駆動輪に比べ従動輪がABS作
動要求が正確にしかも先に出ることによる。また、左右
前輪での作動要求を切換条件としたのは、例えば、左右
前輪が共に滑り易いような低μ路制動時には、左右後輪
もABS作動要求が出やすい状況にあり、ABSをTC
Sより優先することが好ましいし、また、左右前輪のう
ち片輪のみにABS作動要求で出る場合には、路面外乱
や輪荷重変化や突起乗り越しやスプリットμ路等を原因
として発生する場合が多く、この場合に、直ちにTCS
を中止すると、かえって車両安定性が損なわれる場合が
多いことによる。
【0068】また、TCS制御中にABS作動要求が出
た場合、ステップ83のスロットル開度条件あるいはス
テップ84のTCSブレーキ制御非作動信号TS=0の
出力条件を満足する場合、ABS制御へ切換えられる。
【0069】効果を説明する。
【0070】(1)ABSブレーキ制御からTCSブレ
ーキ制御への切換条件をABSブレーキ制御の終了と
し、TCSブレーキ制御からABSブレーキ制御への切
換条件を左右前輪でのABS作動要求とし、ABSブレ
ーキ制御を優先するように異ならせた切換を行なう装置
とした為、制動性能の確保を優先しながらABSブレー
キ制御とTCSブレーキ制御との制御ハンチングを防止
することができる。
【0071】(2)TCSからABSへの制御切換時、
左右前輪でABSブレーキ制御作動要求が出た場合、直
ちにABSブレーキ制御を開始するようにした為、車両
安定性を損なうことなく、低摩擦係数路制動時や急制動
時等での制動性能の向上を図ることができる。
【0072】(3)ABSからTCSへの制御切換時、
TCSスロットル制御は直ちに行なうがTCSブレーキ
制御はABSブレーキ制御終了後に行なうようにした
為、ブレーキ制御過多による減速感の発生やブレーキ引
き摺り気味による減速感の発生を防止することができ
る。
【0073】(4)加速スリップの発生によりTCSブ
レーキ制御作動要求信号TS=1が出力された場合、ス
ロットル開度TVO が車速対応スロットル開度演算値θ
(V) 以上であるという条件を課してTCS制御へ入るよ
うにした為、小スロットル開度領域で直ちにTCS制御
に入る場合のような過度の減圧感の発生や後輪がロック
傾向となるのが防止され、車両安定性を確保することが
できる。
【0074】以上、実施例を図面に基づいて説明してき
たが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではな
い。
【0075】例えば、実施例ではスロットル+ブレーキ
によるトラクション制御システムへの適用例を示した
が、ブレーキ制御のみによりトラクション制御を行なう
システムにも適用することができる。
【0076】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明にあって
は、減速スリップブレーキ制御システムと加速スリップ
ブレーキ制御システムとが共に搭載された車両用トラク
ション制御装置において、請求項1に記載のように、減
速スリップブレーキ制御から加速スリップブレーキ制御
への切換条件を、減速スリップブレーキ制御が終了し、
リザーバ内のブレーキ液がマスタシリンダ側へすべて戻
された後とし、加速スリップブレーキ制御から減速スリ
ップブレーキ制御への切換条件を、従動輪2輪が共に減
速スリップ状態となった後とし、減速スリップブレーキ
制御を優先するように切換条件を異ならせた手段とした
為、制動性能の確保を優先しながら減速スリップブレー
キ制御と加速スリップブレーキ制御との制御ハンチング
を防止することができると共に、減速スリップブレーキ
制御から加速スリップブレーキ制御への切換時、ブレー
キ制御過多による減速感の発生やブレーキ引き摺り気味
による減速感の発生を防止でき、加速スリップブレーキ
制御から減速スリップブレーキ制御への切換時、車両安
定性を損なうことなく、低摩擦係数路制動時や急制動時
等での制動性能の向上を図ることができるという効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用トラクション制御装置を示すク
レーム対応図である。
【図2】実施例の車両用トラクション制御装置が適用さ
れた後輪駆動車の制駆動系制御システム全体図である。
【図3】実施例の車両用トラクション制御装置が適用さ
れた制駆動系制御システムのブレーキ液圧制御系を示す
油圧回路図である。
【図4】実施例でのトラクション制御の概略を示すブロ
ック図である。
【図5】実施例装置のTCS&ABS電子制御ユニット
により行なわれるABSブレーキ制御作動要求信号出力
処理作動の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施例装置のTCS&ABS電子制御ユニット
により行なわれるTCSブレーキ制御作動要求信号出力
処理作動の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7の(A)は実施例装置のTCS&ABS電
子制御ユニットにより行なわれるABSからTCSへの
制御切換処理作動の流れを示すフローチャートで、図7
の(B)はTCSからABSへの制御切換処理作動の流
れを示すフローチャートである。
【図8】ABSからTCSへの制御切換時のタイムチャ
ートである。
【図9】TCSからABSへの制御切換時のタイムチャ
ートである。
【図10】従来装置でのABSとTCSとの制御ハンチ
ングを説明する車輪速特性図である。
【符号の説明】
a 減速スリップ検出手段 b 減速スリップブレーキ制御システム c 減速スリップブレーキ制御作動要求手段 d 加速スリップ検出手段 e 加速スリップブレーキ制御システム f 加速スリップブレーキ制御作動要求手段 g 制御切換手段

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 従動輪及び駆動輪の減速スリップを検出
    する減速スリップ検出手段と、 減速スリップの発生状況に応じて車輪ロックを抑制する
    べく各輪の制動液圧をリザーバに抜き取り、該リザーバ
    内のブレーキ液をマスタシリンダへ戻すポンプを作動さ
    せる減速スリップブレーキ制御システムと、 少なくとも1輪の減速スリップの検出に基づき減速スリ
    ップブレーキ制御作動要求信号を出力する減速スリップ
    ブレーキ制御作動要求手段と、 駆動輪の加速スリップを検出する加速スリップ検出手段
    と、 加速スリップの発生状況に応じて加速スリップを抑制す
    るべく駆動輪に制動力を与える加速スリップブレーキ制
    御システムと、 加速スリップの検出に基づき加速スリップブレーキ制御
    作動要求信号を出力する加速スリップブレーキ制御作動
    要求手段と、 減速スリップブレーキ制御中に加速スリップブレーキ制
    御作動要求が出力された場合、減速スリップブレーキ制
    御が終了し、前記リザーバ内のブレーキ液がマスタシリ
    ンダ側へすべて戻された後に加速スリップブレーキ制御
    に切換え、加速スリップブレーキ制御中に減速スリップ
    ブレーキ制御作動要求が出力された場合、従動輪2輪が
    共に減速スリップ状態となったら加速スリップブレーキ
    制御から減速スリップブレーキ制御に切換える制御切換
    手段と、 を備えている事を特徴とする車両用トラクション制御装
    置。
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