JP2881832B2

JP2881832B2 - エンジンのコンロッド

Info

Publication number: JP2881832B2
Application number: JP20488089A
Authority: JP
Inventors: 光次倉田
Original assignee: Suzuki Motor Corp
Current assignee: Suzuki Motor Corp
Priority date: 1989-08-09
Filing date: 1989-08-09
Publication date: 1999-04-12
Anticipated expiration: 2014-04-12
Also published as: JPH0369811A

Description

【発明の詳細な説明】〔発明の目的〕（産業上の利用分野）この発明はエンジンのコンロッドに係り、特にコンロ
ッドの端部の構造を改良したものに関する。

（従来の技術）エンジンの潤滑、特に２サイクルエンジンの潤滑にお
いては、ガソリンと空気との混合気にエンジンオイルを
混入し、この混入されたエンジンオイルがピストンやク
ランクシャフト並びにコンロッドの大端部および小端部
を潤滑している。

このうちコンロッドの大小両端部の潤滑では、第５図
（Ａ）に示すように、コンロッド１の大端部２や小端部
３のそれぞれ両側面にオイルガイド溝４を形成し、大端
部２および小端部３の内周に嵌装されたベアリング（図
示さず）にエンジンオイルを供給するようにしたものが
ある。また、第５図（Ｂ）に示すように、コンロッド５
の大端部６に、内周および外周を貫通する複数のオイル
ガイド孔７を設け、小端部８にも同様なオイルガイド孔
７を設けて、大端部６および小端部８の内周に嵌装され
たベアリング（図示せず）へエンジンオイルを供給する
ものがある。

（発明が解決しようとする課題）ところが、上述の第５図（Ａ）に示す従来例において
は、コンロッド１の大端部２および小端部３にそれぞれ
オイルガイド溝４を設けただけでは、上記ベアリングに
充分なエンジンオイルを供給することができないおそれ
があり、潤滑性が不充分になる。

また、第５図（Ｂ）に示す従来例では、オイルガイド
孔７を通ってエンジンオイルが上記ベアリングへ充分供
給されるものの、このオイルガイド孔７が大端部６およ
び小端部８の鉛直方向下半部にも形成されているため、
エンジンを長期間停止したときに大端部６または小端部
８内に貯溜されたエンジンオイルがオイルガイド孔７を
通って流出してしまう。この結果、エンジンの長期間停
止後の再始動時における潤滑性が不充分となるおそれが
ある。

この発明は上記事情を考慮してなされたものであり、
エンジン長期間停止後の再始動時にもコンロッドとクラ
ンクシャフトとの潤滑性を良好にできるエンジンのコン
ロッドを提供することを目的とする。

〔発明の構成〕

（課題を解決するための手段）この発明に係るエンジンのコンロッドは、上述した課
題を解決するために、略水平なシリンダを備え、クラン
クケースの上面側を設けた吸入部からエンジンオイルを
含む混合気を吸入する一方、前記シリンダ内を摺動可能
なピストンをクランクシャフトにコンロッドを介して連
結した２サイクルエンジンにおいて、前記コンロッドの
大端部にかつ鉛直方向上半部の吸入部側にオイルスリッ
トが周方向に形成され、このオイルスリットがコンロッ
ド大端部外周側および内周側を貫通するように穿設され
たものである。

（作用）したがって、この発明に係るエンジンのコンロッドに
よれば、コンロッドの大端部に貫通して穿設されたオイ
ルスリット（潤滑孔）がコンロッド大端部の鉛直方向上
半部の吸入部側に形成されたので、エンジンの長期間停
止時にコンロッド大端部内のエンジンオイルが上記オイ
ルスリットから流出せず、コンロッド大端部内に長期間
貯溜する。このため、エンジンの長期間停止後にエンジ
ンを再始動しても、コンロッドとクランクシャフトとの
潤滑性が良好になる。

（実施例）以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図（Ａ）はこの発明に係るエンジンのコンロッド
の一実施例を示す側面図、第１図（Ｂ），（Ｃ）は第１
図（Ａ）のIB−IB線、IC−IC線にそれぞれ沿う断面図、
第２図は第１図（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）のコンロッドが
適用された２サイクルエンジンおよびその給気系を一部
破断して示す側面図である。

第２図に示す２サイクルエンジン10では、クランクケ
ース11に接合されたシリンダブロック12に、シリンダ13
が略水平に配置されている。このシリンダ13内にはピス
トン14が往復移動可能に収容され、このピストン14にコ
ンロッド15を介してクランクシャフト16が連結される。
クランクシャフト16は、クランクケース11に回転自在に
軸支される。また、シリンダブロック12の上部には、燃
焼室17が形成されたシリンダブロック18が接合される。

クランクケース11には、シリンダ13の軸心より鉛直方
向上方側に吸入部11Aが形成される。この吸入部11Aには
リードバルブ19が設置されると共に、インレットマニホ
ールド20が接合される。このインレットマニホールド20
の上流側にキャブレタ21およびエアクリーナ22が順次連
結される。したがって、２サイクルエンジン10の吸入・
圧縮工程（第２図の状態）中には、エアクリーナ22およ
びキャブレタ21にて生成された混合気は矢印Ａの如く、
クランクケース11内の負圧によってリードバルブ19を経
てクランクケース11内へ吸入される。また、この吸入と
同時に、ピストン14の上死点への移動によって、シリン
ダ13内の混合気が圧縮される。

なお、吸入・圧縮工程の次の爆発・掃気工程中には、
ピストン14が下死点方向へ押されて、コンロッド15によ
りクランクシャフト16が回転運動し、またシリンダ13内
の排気が、シリンダブロック12のエキゾーストポート23
から排出され、さらに、クランクケース11内の混合気が
矢印Ｂの如く、掃気通路（図示せず）を経て掃気ポート
24からシリンダ13内へ流入する。ここで、矢印Ｃは、ク
ランクシャフト16の回転方向を示す。

ところで、上記インレットマニホールド22は、オイル
パイプ25を経てオイルタンク26が接続され、混合気の吸
入時にエンジンオイルがインレットマニホールド20内へ
矢印Ｄのように供給される。このインレットマニホール
ド20内へ供給されたエンジンオイルは、インレットマニ
ホールド20内で霧化されて混合気に混入され、混合気と
共にクランクケース11内へ流入する。この混合気に混入
されたエンジンオイルが、クランクケース11の軸受部や
コンロッド15の大端部27を潤滑し、さらにピストン14や
コンロッド15の小端部28等を潤滑する。

さて、コンロッド15の大端部27および小端部28には、
第３図に示すように、それぞれの内周にクランクピンベ
アリング29およびピストンピンベアリング30が嵌装され
る。クランクピンベアリング29内にクランクピン31が挿
入されて、コンロッド15がクランクシャフト16に回転自
在に連結される。また、ピストンベアリング30内にピス
トンピン30が挿入されて、コンロッド15がピストン14に
回転自在に連結される。クランクピンベアリング29およ
びピストンピンベアリング30は、第４図に示すように、
対抗配置された一対のサイドリング33間に、多数のロー
ラ34が、サイドリング33の周方向に設置して構成された
ものである。

コンロッド15の大端部27には、第１図（Ａ），
（Ｂ），（Ｃ）に示すように、その両側面にオイルガイ
ド溝35が形成される。さらに、大端部27には、潤滑孔と
してのオイルスリット36も形成される。このオイルスリ
ット36は、シリンダ13が略水平配置されて、その結果、
略水平配置されたコンロッド15における大端部27の鉛直
方向上半部に、つまり第２図に示す２サイクルエンジン
10の吸入部11A側に形成される。また、このオイルスリ
ット36は、半径Ｒの円弧形状に形成される。さらに、こ
のオイルスリット36の大端部27外周側の開口に外周ガイ
ド溝37が形成され、大端部27内周側の開口に内周ガイド
溝38が形成される。外周ガイド溝37は、半径ｒの円弧形
状に形成される。

このように、コンロッド15の大端部27にオイルスリッ
ト36が大端部外周側および内周側を貫通するように形成
され、このオイルスリット36が大端部27の鉛直方向上半
部に形成されたことから、２サイクルエンジン10を長期
間停止したときにも大端部27内のエンジンオイルがオイ
ルスリット36から流出せず、この大端部27内に配置され
たクランクピンベアリング29内に長期間貯溜する。この
ため、エンジンの長期間停止後にエンジンを再始動して
もクランクピンベアリング29の潤滑が充分となり、した
がってコンロッド15とクランクシャフト16との潤滑性が
良好になる。

また、大端部27の鉛直方向上半部に形成されたオイル
スリット36は、この２サイクルエンジンでは第２図に示
すように、クランクケース11の吸入部11A側に設けられ
たことになるので、混合気に混入されたエンジンオイル
がリードバルブ19を経てオイルスリット36内へ入り易く
なる。この結果、エンジン始動中にもクランクピンベア
リング29へのオイルの供給が充分となり、潤滑性が向上
する。

さらに、オイルスリット36は、コンロッド15の大端部
27に１箇所設けられたことから、第５図（Ｂ）の従来例
の如くオイルガイド孔７が多数形成された場合に比べ、
コンロッド15の強度の低下を回避できる。

また、大端部27の両側面にはオイルガイド溝37も形成
されたことから、このオイルガイド溝37によってもクラ
ンプピンベアリング29へのオイルの供給が促進されて、
クランクピンベアリング29の潤滑性が向上する。

（発明の効果）以上に述べたように、本発明に係るエンジンのコンロ
ッドは、コンロッドの大端部であって鉛直方向上半部の
吸入部側にコンロッド大端部の外周側および内周側を貫
通するようにオイルスリットが周方向に穿設され、この
オイルスリットが上記コンロッド大端部の鉛直方向上半
部に形成されたことから、エンジンの長期間停止時にも
コンロッド大端部内のエンジンオイルが流出せず、この
結果エンジン長期間停止後の再始動時においても、コン
ロッドとクランクシャフトとの潤滑性を良好に維持でき
る。

また、コンロッド大端部に形成されるオイルスリット
を周方向に形成することで開口面積を大きくでき、しか
も、オイルスリットを鉛直方向上半部の吸入部側に開口
させることで、吸入部からクランクケース内に供給され
る新しいエンジンオイルがオイルスリットに効率よく有
効的に案内され、冷却効果を高めることができ、潤滑性
や冷却性の向上に寄与できるとともに、潤滑孔であるオ
イルスリットは周方向に延びるスリット形状であるた
め、加工工数の削減が図れ、スリットの加工も容易であ
る等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は（Ａ）はこの発明に係るエンジンのコンロッド
の一実施例を示す側面図、第１図（Ｂ），（Ｃ）は第１
図（Ａ）のIB−IB線、IC−IC線にそれぞれ沿う断面図、
第２図は第１図（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）のコンロッドが
適用された２サイクルエンジンおよびその給気系を一部
破断して示す側面図、第３図は第２図の要部を拡大して
示す側面図、第４図は第３図のクランクピンベアリング
を示す斜視図、第５図（Ａ），（Ｂ）は従来のコンロッ
ドを示すそれぞれ側面図である。 10……２サイクルエンジン、11……クランクケース、11
A……吸入部、14……ピストン、15……コンロッド、16
……クランクシャフト、27……コンロッドの大端部、28
……コンロッドの小端部、29……クランクピンベアリン
グ、30……ピストンピンベアリング、36……オイルスリ
ット。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】略水平なシリンダを備え、クランクケース
の上面側を設けた吸入部からエンジンオイルを含む混合
気を吸入する一方、前記シリンダ内を摺動可能なピスト
ンをクランクシャフトにコンロッドを介して連結した２
サイクルエンジンにおいて、前記コンロッドの大端部に
かつ鉛直方向上半部の吸入部側にオイルスリットが周方
向に形成され、このオイルスリットがコンロッド大端部
外周側および内周側を貫通するように穿設されたことを
特徴とするエンジンのコンロッド。