JP2880890B2 - 半導体レーザモジュール - Google Patents

半導体レーザモジュール

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JP2880890B2 JP5311308A JP31130893A JP2880890B2 JP 2880890 B2 JP2880890 B2 JP 2880890B2 JP 5311308 A JP5311308 A JP 5311308A JP 31130893 A JP31130893 A JP 31130893A JP 2880890 B2 JP2880890 B2 JP 2880890B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体レーザモジュール
に関し、特にパッケージ内にペルチェ素子を有し半導体
レーザ素子の温度制御を行う半導体レーザモジュールに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の光ファイバ通信システムでは、光
信号を増幅させる度に電気/光変換を行っていたが、近
年光信号を直接増幅する光増幅器,特に希土類であるエ
ルビウムを添加させた光ファイバを用いた光ファイバ増
幅器(Eribium−Doped Faiber A
mplifier:EDFAと称す)が、幹線系,海底
ケーブル,光CATV等に採り入れられてきている。
【0003】このEDFAには、信号光を励起させるた
めの光源として、大出力の半導体レーザモジュールが必
要であり、現在高温環境下でも動作する高出力半導体レ
ーザモジュールの開発・商品化が行われている。
【0004】この励起用半導体レーザモジュールは、7
0mW以上の高光出力を得るために、レーザダイオード
チップに0.5A程度の電流を注入するため、チップの
発熱が著しく、チップの温度を下げて制御するためのペ
ルチェ素子を内蔵している。
【0005】通常、レーザダイオードチップ近傍は25
°Cに制御されるため、高い環境温度下で半導体レーザ
モジュールを動作せさるためには、大型で高性能のペル
チェ素子を用いてモジュール内部を冷却する必要があ
る。
【0006】ところが、パッケージ寸法には限りがある
ため、ペルチェ素子も限られた大きさのものしか使用で
きず、また、ペルチェ素子単体の冷却能力向上にも限界
があるため、高温環境下での高出力動作は困難なもので
あった。
【0007】図5は、従来の半導体レーザモジュールの
内部構造概略図である。図5を参照すると、レーザダイ
オードチップ1は、熱伝導率の高い窒素化ボロン(B
N)や窒化アルミ(AlN)等のヒートシンク2に融着
され、ヒートシンク2は鉄等の金属製チップキャリア1
0に融着され、さらに、チップキャリア10は、レンズ
4のホルダも兼ねた鉄製あるいは50%鉄ニッケル製,
あるいはステンレス製の金属製基板6の上にAnSnソ
ルダを用いて融着される。
【0008】金属製基板6上には、フォトダイオードチ
ップキャリア5が融着されており、更にファイバ7が光
学結合する位置にYAG溶接固定されてあり、この金属
製基板6が、パッケージ内放熱板上に融着されたペルチ
ェ素子8上に融着された構造となっている。
【0009】従ってレーザダイオードチップ1で発生し
た熱は、ヒートシンク2,金属製チップキャリア10,
金属製基板6を経てペルチェ素子8にて吸熱され、パッ
ケージの放熱板(図示せず)から半導体レーザモジュー
ル外部へ放出される。
【0010】また、特開平4−337687号公報には
ほぼ同一の構造の半導体レーザモジュールが開示されて
おり、ヒートシンクをチップキャリアを介さずに直接ペ
ルチェ素子に固定された基板に取付けた構造が示されて
いる。
【0011】これは、ヒートシンクをチップキャリアを
介した場合に、レーザダイオードチップとヒートシン
ク,ヒートシンクとチップキャリア,チップキャリアと
基板の順に夫々融着されるため、融着させるためのソル
ダの融点を順次低くしていかなくてはならないために、
信頼性の低いソルダを使わざるおえない状況が生じ、あ
る使用条件下で半田クリープによる光学結合劣化が生
じ、所要信頼度を確保できないため、開示された構造に
より、使用するソルダの種類を減らし、クリープを起こ
しにくいソルダのみの使用を実現するものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来構造の半導体レー
ザモジュールでは、図5に示す通り金属製チップキャリ
ア10と金属製基板6が、材質として熱伝導率が低く、
部材同士の接着部による熱抵抗の増加も相まって、レー
ザダイオードチップ1の温度が上昇するために、レーザ
ダイオードチップ1近傍を25°Cの温度に保ったま
ま、高い環境温度の下で半導体レーザモジュールを動作
させるためには、ペネチェ素子8に大電力が必要とな
り、ベルチェ素子8単体の冷却能力の限界から環境温度
50°C以上で動作させるのは困難であるという欠点が
ある。
【0013】またヒートシンクをチップキャリアを介さ
ずに直接基板に取付けクリープを起こしにくいソルダを
使用しても、上述した欠点の解決には直接結びつかな
い。
【0014】本発明の目的は、部材同志の熱伝導率に着
目し、ペルチェ素子上部に搭載される部材の材質及び構
造を、熱設計的に最適化する半導体レーザモジュールを
提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の半導体レーザモ
ジュールは、半導体レーザ素子をヒートシンクに搭載
し、前記ヒートシンクを所定熱伝導率を有する部材に搭
載し、前記部材をこれよりも熱伝導率の低い基板に搭載
し、前記基板をペルチェ素子に搭載したことを特徴とす
る。
【0016】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0017】図1は本発明の第1の実施例である半導体
レーザモジュールの内部構造概略図である。なお、図5
と同等部分は同一符号にて示している。
【0018】レーザダイオードチップ1は、窒化アルミ
(AlN)のヒートシンク2に融着され、ヒートシンク
2はペルチェ素子8の上部に融着されたレンズ4のホル
ダも兼ねた金属製基板6から突出した同材質の基板突出
部3の上部に融着してある。
【0019】金属製基板6上には、フォトダイオードチ
ップキャリア5が融着されており、更にファイバ7が光
学結合する位置にYAG溶接固定してある。
【0020】金属製基板6と基板突出部3とは一体化し
ているため、融着面は無くなり、熱抵抗は小さくなる。
ここで金属製基板6の材質には、30%銅タングステン
(熱伝導率約270W/mK)を選ぶ。
【0021】金属製基板6の材質の熱伝導率の違いによ
り、レーザダイオードチップ1の温度がどのように変化
するか、熱伝導解析プログラムを用いてシミュレーショ
ンを行ったところ、図3に示す結果が得られた。
【0022】図3は熱解析プログラムを用いたシミュレ
ーションのグラフである。図3を参照すると、熱伝導率
が約300W/mK以上あれば、レーザダイオードチッ
プ1の温度上昇にほとんど差異のないことがわかる。
【0023】部材として使用できる金属材料で熱伝導率
300W/mKに比較的近いのは、30%銅タングス
テンであり、セラミック材料ではシリコンカーバイト
(SiC:270W/mK)である。
【0024】図2は本発明の第2の実施例である半導体
レーザモジュールの内部構造概略図である。図1と同等
部分は同一符号により示す。図2を参照すると、金属製
基板6と図1の突出部3のように一体化せず、レーザダ
イオードチップ1を融着したヒートシンク2を、熱伝導
率約270W/mK以上の金属またはセラミック製ブロ
ック9上に融着し、そのブロック9を熱伝導率の低い鉄
等の金属製基板6上に融着しており、その他の部分は図
1と同様の構造となっている。
【0025】レーザダイオードチップ1で発生した熱
が、金属またはセラミック製ブロック9,金属製基板6
の各場所でどのような温度勾配になるか、シミュレーシ
ョン解析したところ、金属またはセラミック製ブロック
9の熱伝導率の大小によって温度勾配はほぼ支配され、
金属製基板6の熱伝導率の影響は小さいことがわかっ
た。
【0026】従って、上述の構造にすれば、金属製基板
6の材質は鉄でもよく、部材コストを低く抑えられる特
徴がある。
【0027】図4は上述した内容の根拠となるシミュレ
ーション結果を示す各部材の温度分布を表わす図であ
る。図4を参照すると、図2で示す構成の半導体レーザ
モジュールにおいて、金属またはセラミック製ブロック
9と金属製基板6の材質を、図5で示す従来例と同じ鉄
材と鉄材にした場合を示す曲線11に比較して、上記材
質を鉄と銅タングステンにした場合を示す曲線12と、
銅タングステンと鉄にした場合13について、レーザダ
イオードチップ1からペルチェ素子8に向かって温度勾
配がどうなるかをシミュレーションしている。
【0028】曲線11に比べ、金属製基板6のみを鉄か
ら銅タングステンに変更した温度分布を示す曲線12
は、ヒートシンク2からブロック9の間の熱伝導効率を
約2°C改善しているものの、金属またはセラミック製
ブロック9のみを銅タングステンに変更した温度分布を
示す曲線13は約17°C改善していることから、金属
またはセラミック製ブロック9の熱伝導率の大小によっ
て熱伝導率の温度勾配がほぼ支配されることが証明され
た。
【0029】従って、ブロック9の熱伝導率を金属製基
板6より大きくすることが、効果的であることがわか
る。そのために、基板6の材質は鉄でも良いために、部
材コストを低く抑えることができるのことになる。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、レーザダイオードチッ
プで融着したヒートシンクが約270W/mK以上の熱
伝導率を有する金属またはセラミック材質でできた部分
に取付けられることにより、より高温環境下で高出力動
作を得ることが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例である半導体レーザモジ
ュールの内部構造概略図である。
【図2】本発明の第2の実施例である半導体レーザモジ
ュールの内部構造概略図である。
【図3】熱解析プログラムを用いたシミュレーショング
ラフである。
【図4】各部材の温度分布を表わす図である。
【図5】従来の半導体レーザモジュールの内部構造概略
図である。
【符号の説明】
1 レーザダイオードチップ 2 ヒートシンク 3 基板突出部 4 レンズ 5 フォトダイオードチップキャリア 6 金属製基板 7 ファイバー 8 ペルチェ素子 9 金属またはセラミック製ブロック 10 金属製チップキャリア

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体レーザ素子をヒートシンクに搭載
    し、前記ヒートシンクを所定熱伝導率を有する部材に搭
    載し、前記部材をこれよりも熱伝導率の低い基板に搭載
    し、前記基板をペルチェ素子に搭載したことを特徴とす
    る半導体レーザモジュール。
  2. 【請求項2】 前記部材は30%銅タングステン或いは
    シリコンカーバイドにて形成されていることを特徴とす
    る請求項1記載の半導体レーザモジュール。
  3. 【請求項3】 前記基板は鉄、50%鉄ニッケル或いは
    ステンレスにて形成されることを特徴とする請求項1又
    は2記載の半導体レーザモジュール。
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