JP2875639B2 - スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法 - Google Patents

スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法

Info

Publication number
JP2875639B2
JP2875639B2 JP2959891A JP2959891A JP2875639B2 JP 2875639 B2 JP2875639 B2 JP 2875639B2 JP 2959891 A JP2959891 A JP 2959891A JP 2959891 A JP2959891 A JP 2959891A JP 2875639 B2 JP2875639 B2 JP 2875639B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
embedded image
styrene skeleton
alkoxysilane compound
containing alkoxysilane
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2959891A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04244089A (ja
Inventor
克浩 上原
俊信 石原
幹夫 遠藤
透 久保田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2959891A priority Critical patent/JP2875639B2/ja
Publication of JPH04244089A publication Critical patent/JPH04244089A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2875639B2 publication Critical patent/JP2875639B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は文献未載の新規なスチレ
ン骨格含有アルコキシシラン化合物、特には単独重合性
および共重合性に富んだスチレン骨格を有することから
シランカップリング剤、重合性モノマーなどとして有用
とされるスチレン骨格含有アルコキシシラン化合物、お
よびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、スチレン骨格含有アルコキシシラ
ン化合物としてはスチレン骨格が直接けい素原子と結合
しているもの、例えばパラ−ビニルフェニルトリメトキ
シシランがD.W.Lewis, J.Org.Chem., 23巻,1893 〜5頁
(1958年),馬波,工業化学雑誌,62巻,4号,529 〜
31頁(1959年),川上ら,Polym. J.,17巻,11 号, 1159
〜72頁(1985年)で公知とされており、またパラ−α−
メチル−ビニルフェニルトリメトキシシランが特開昭62
-139556 号公報で公知とされ、さらにスチレン骨格がア
ルキレン鎖を介してけい素原子と結合している、例えば
ビニルベンジルトリメトキシシランは小久保らの高分子
論文集,38巻,4号,201 〜7頁(1981年)で、またビ
ニルフェネチルトリメトキシシランは米国特許第380634
9 号明細書で公知とされている。
【0003】しかし、これらの化合物はいずれも工業的
に生産しようとすると合成上に問題点があるために大量
生産が難しいという不利がある。すなわち、パラ−ビニ
ルフェニルトリメトキシシランはパラ−エチルフェニル
マグネシウムブロミドとテトラクロロシランとのグリニ
ヤールカップリング反応により得られたパラ−エチルト
リクロロシランに塩素を付加し、500〜550℃で脱
塩酸することにより得られるパラ−ビニルフェニルトリ
クロロシランをさらにメタノリシスすることにより合成
する方法、またはパラ−ビニルフェニルマグネシウムク
ロライドとクロロトリメトキシシランとをグリニヤール
カップリング反応することによって合成する方法が知ら
れているが、この前者には非常に反応ステップが多くて
煩雑であるし、しかも厳しい高温下での反応条件が必要
であり、この後者には取り扱いにくく、非常に不安定で
重合し易いスチレン系のグリニヤール試薬を使用する必
要があるし、大量の溶剤が必要であり、さらにろ過によ
り塩を除去する工程も必要とされるので、いずれの方法
も低収率で高コストになるという不利があり、ビニルベ
ンジルトリメトキシシランもパラ−ビニルフェニルトリ
メトキシシランと同様に、取り扱いにくく、非常に不安
定で重合し易いスチレン系のグリニヤール試薬であるビ
ニルベンジルマグネシウムクロライドを使用する必要が
あるし、大量の溶媒を必要とし、さらにろ過により塩を
除去する工程も必要とされるためにこれも低収率で高コ
ストになるという不利がある。
【0004】また、このビニルフェネチルトリメトキシ
シランはジビニルベンゼンとハイドロジエンシランとの
ハイドロシリル化反応で得られるが、この場合には原料
であるジビニルベンゼンが極めて不安定なもので重合し
易く、このヒドロシリル化に際しては基質中に反応性が
ほぼ等価なビニル基を2個有するために、シランが2分
子付加された化合物が生成しやすく低収率であるという
不利がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さらにこのスチレン骨
格含有アルコキシ化合物については、スチレン骨格とけ
い素原子との間に窒素原子を含有する2価の有機基が挿
入された次式
【0006】
【化5】
【0007】
【化6】
【0008】
【化7】
【0009】で示されるものが特開昭51-8249 号公報、
特開昭58-174390 号公報などで公知とされているが、こ
れらはビニルベンジルクロライドとアミノアルキルシラ
ンの両者を、もしくはビニルベンジルアミンあるいはビ
ニルアニリンとハロアルキルシランの両者を脱塩酸剤と
しての有機塩基または無機塩基の存在下で脱塩酸縮合反
応させることによって合成されるために、いずれの方法
も合成時に大量の塩類が副生し、大量の稀釈溶媒が必要
になると共に、ろ過により塩を除去する工程も必要であ
ることから、工程が複雑で高コストとなり、大量合成も
困難であるという不利がある。
【0010】また、従来公知のN−置換フェニルウレイ
ド基あるいはN−置換ベンジルウレイド基を有するアル
コキシシラン化合物については、次式
【0011】
【化8】
【0012】
【化9】
【0013】
【化10】
【0014】
【化11】
【0015】で示されるものも公知であるが、これらに
はスチレン骨格を含有するものは知られていない。
【0016】なお、近来とみに耐熱性の要求される電子
部品材料である積層板などへの用途に供することのでき
る耐熱性の高いシランカップリング剤については、例え
ばγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシランなども知られているが、
これらはいずれも耐熱性が不十分であるとされている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような
不利,欠点を解決したスチレン骨格含有アルコキシシラ
ン化合物およびその製造方法に関するもので、これは一
般式
【0018】
【化12】
【0019】(式中、R1 は水素原子またはメチル基、
2 ,R3 は同一または異種の短素数1〜4のアルキル
基、mは0または1、nは1〜3の整数、ただしR1
水素原子のときm=1とする)で示されるスチレン骨格
含有アルコキシシラン化合物、および一般式
【0020】
【化13】
【0021】(式中、R2 ,R3 は同一または異種の炭
素数1〜4のアルキル基、nは1〜3の整数)で示され
るγ−イソシアナートプロピル基含有アルコキシシラン
化合物と、一般式
【0022】
【化14】
【0023】(式中、R1 は水素原子またはメチル基、
mは0または1)で示されるスチレン骨格含有アミン化
合物とを、実質的に無水条件下で反応させることを特徴
とする上記スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物の
製造方法を要旨とするものである。ただしR1 が水素原
子のときm=1とする。
【0024】すなわち、本発明者らは重合性に富み、耐
熱性のすぐれたスチレン骨格含有アルコキシシラン化合
物を開発すべく種々検討した結果、これについては上記
した一般式(1)で示されるものがこの目的を達するも
のであることを見出すと共に、このものは前記した一般
式(2)で示されるγ−イソシアナートプロピル基含有
アルコキシシランと前記した一般式(3)で示されるス
チレン骨格含有アミン化合物とを無水条件下で反応させ
れば一段の反応で簡便な操作により容易に高収率で製造
することができることを確認し、ここに使用するγ−イ
ソシアナ−トプロピル基含有アルコキシシラン、スチレ
ン骨格含有アミノ化合物の種類、得られるスチレン骨格
含有アルコキシシラン化合物の物性などについての研究
を進めて本発明を完成させた。以下にこれをさらに詳述
する。
【0025】
【作用】本発明は前記した一般式(1)で示されるスチ
レン骨格含有アルコキシシラン化合物およびこの製造方
法に関するものである。本発明のスチレン骨格含有アル
コキシシラン化合物は下記一般式(1)
【0026】
【化15】
【0027】で示され、R1 は水素原子またはメチル
基、R2 およびR3 はメチル基、エチル基、イソプロピ
ル基、n−プロピル基、n−ブチル基などの炭素数1〜
4のアルキル基から選択され、特に工業的にはメチル
基、エチル基が好ましい。mは0または1、nは1〜3
の整数である(ただしR1 が水素原子のときm=1とす
る。)。これには下記のものが例示されるが、本発明の
スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物はこれらに限
定されるものではない。
【0028】
【化16】
【0029】
【化17】
【0030】
【化18】
【0031】
【化19】
【0032】
【化20】
【0033】
【化21】
【0034】
【化22】
【0035】
【化23】
【0036】
【化24】
【0037】
【化25】
【0038】
【化26】
【0039】
【化27】
【0040】この上記した一般式(1)で示されるスチ
レン骨格含有アルコキシシラン化合物は下記一般式
(2)
【0041】
【化28】
【0042】で示され、R2 ,R3 は同一または異種の
炭素数1〜4のアルキル基で、nが1〜3の整数である
γ−イソシアナートプロピル基含有アルコキシシラン化
合物と、下記一般式
【0043】
【化29】
【0044】で示され、R1 が水素原子またはメチル
基、mが0または1であるスチレン骨格含有アミン化合
物とを、実質的に無水条件下で反応させることによって
容易に得ることができる。
【0045】このγ−イソシアナートプロピル基含有ア
ルコキシシラン化合物は公知の製法で工業的に大量にか
つ安価に入手できるもので、これには O=C=N−(CH2)3 Si(OCH3)3 , O=C=N−(CH2)3 Si(CH3)(OCH3)2 , O=C=N−(CH2)3 Si(CH3)2 OCH3 , O=C=N−(CH2)3 Si(OCH2 CH3)3 , O=C=N−(CH2)3 Si(CH3)(OCH2 CH3)
2 , O=C=N−(CH2)3 Si(CH3)2 OCH2 CH3 などが例示される。
【0046】また、このスチレン骨格含有アミン化合物
としては
【0047】
【化30】
【0048】
【化31】
【0049】
【化32】
【0050】
【化33】
【0051】
【化34】
【0052】
【化35】
【0053】
【化36】
【0054】
【化37】
【0055】
【化38】
【0056】などが例示される。
【0057】このγ−イソシアナートプロピル基含有ア
ルコキシシランとスチレン骨格含有アミン化合物との反
応における両者の反応割合は特に限定されず、これはこ
れらをモル比で1:5〜5:1、好ましくは1:2〜
2:1で反応させればよいが、この反応は下記の反応式
(A)
【0058】
【化39】 によって明らかなようにほぼ定量的に進行するので、こ
れらは当量づつ用いれば十分である。
【0059】この反応式(A)で示される反応を行なわ
せる反応温度はここに使用されるγ−イソシアネートプ
ロピル基含有アルコキシシランおよびスチレン骨格含有
アミン化合物の種類および溶媒の有無によって異なるけ
れども−70〜130℃の範囲内で行えばよく、目的と
するスチレン骨格含有アルコキシシラン化合物が重合性
の不飽和結合を構造中に有しており、反応時に必要以上
に加熱するとこの原料としてのスチレン骨格含有アミン
化合物と目的物であるスチレン骨格含有アルコキシシラ
ン化合物が重合を引き起こし、生成物のゲル化を進行さ
せ、生成物の収率を大幅に減少させるので、この反応に
当っては重合禁止剤を添加することがよい。
【0060】この重合禁止剤としては例えば2,6−ジ
−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t
−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エ
チル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレ
ンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,
3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブ
チルフェニル)ブタン、2,2−メチレンビス(6−t
−ブチル−4−メチルフェノ−ル)モノアクリレ−トな
どで例示されるヒンダードフェノール系の重合禁止剤の
1種または2種以上を添加することが好ましい。なお、
この重合禁止剤の添加量は前記したスチレン骨格含有ア
ミン化合物100重量部に対して0.001〜1重量部
の範囲で自由に選べばよい。
【0061】また、この反応時間は通常数10分〜10
0時間の範囲で自由に選択すればよく、この反応圧力は
この反応が大気圧下でも十分進行するので通常は常圧で
行えばよいが、これは必要に応じ加圧下で実施してもよ
い。
【0062】この反応に有機溶剤は必ずしも必要ではな
いが、反応目的物が高粘度のグリース状〜ペースト状、
もしくは結晶状の物質であるために、反応系の粘度を減
少させて撹拌効率を増加させる目的においては溶媒を添
加して反応系を希釈してもよい。このときの溶媒として
はイソシアナート基またはアミノ基と反応しないもので
あれば特に限定されるものではなく、したがってこれに
はテトラハイドロフラン、ジエチルエーテルなどのエー
テル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、ジメチルアセトアミドなどの非プロトン系溶媒、
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、ペ
ンタン、ヘキサン、イソオクタン、シクロヘキサンなど
の飽和炭化水素系溶媒などが例示され、これらはその1
種または2種以上を用いればよいが、好ましくは原料お
よび目的物が可溶であるジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシド、ジメチルアセトアミドなどの非プロト
ン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族
系溶媒とすることがよく、より好ましくは安価であり、
蒸留などの操作で除去し易いベンゼン、トルエン、キシ
レンとすることがよいが、この溶媒の使用量には特に制
限はなく、任意の量とすればよい。
【0063】なお、この反応が反応系に水分が存在して
いると反応原料であるγ−イソシアナートプロピル基含
有アルコキシシラン化合物が水分と反応してイソシアナ
ート基の消失する反応、またはアルコキシ基が加水分解
縮合する反応が起こり、生成物の純度および収率の低下
する原因となるので、これは実質的に無水の条件下で、
例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行な
うことが好ましい。
【0064】上記した種々の反応条件下で製造された前
記一般式(1)で示されるスチレン骨格含有アルコキシ
シラン化合物は、反応終了後、溶媒を使用した場合はこ
の溶媒を蒸留などの手段によって除去することによって
極めて容易に高純度に精製することができる。この際の
蒸留は常圧蒸留または減圧蒸留とすればよく、目的とす
るスチレン骨格含有アルコキシシラン化合物の重合を防
止し、これを純粋に得るためには減圧蒸留とすることが
よいが、この蒸留に際しては目的物の重合を防止するた
めに重合禁止剤を添加することがよい。
【0065】この重合禁止剤としてはハイドロキノン、
4−メトキシフェノール、4−t−ブチルフェノール、
4−t−ブチル−カテコールなどのフェノール系の重合
禁止剤、あるいは前記したヒンダードフェノール系の重
合禁止剤を使用すればよく、これらは蒸留操作の直前に
反応液に添加すれば望ましくない目的物の蒸留時の重合
を防ぐことができる。なお、この場合の重合禁止剤の添
加量は反応濃縮液100重量部に対して0.001〜5
重量部、より好ましくは0.01〜1重量部とすればよ
いが、この蒸留の間に例えば空気の形で酸素を系内に導
入することも重合防止には有利である。
【0066】このようにして得られた本発明のスチレン
骨格含有アルコキシシラン化合物は極めて純粋で、さら
に精製しなくてもこのまま実用的に使用することができ
るが、このものは必要に応じ再結晶、カラムクロマトグ
ラフィー、減圧蒸留などの通常の精製手段でさらに高純
度のものとしてもよい。この前記一般式(1)で示され
るスチレン骨格含有アルコキシシラン化合物は粘度の高
いオイル状〜ペースト状、もしくは結晶状の物質である
が、このものはシランカップリング剤として、また重合
性モノマーとして有用とされる。
【0067】このスチレン骨格含有アルコキシシラン化
合物をシランカップリング剤として使用する場合にはこ
のものがアルコール類に可溶であることからこれをアル
コール類で希釈した溶液として用いればその取扱いを容
易にすることができる。これによる各種材料の処理は、
これを例えばガラス繊維、クレイ、シリカ、石英粉、マ
イカ、アルミナなどの無機質材料、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリスチレン、不飽和ポリエステル、天然
ゴム、合成ゴムなどの有機質材料の処理剤、添加剤とし
て使用すればよく、これによればこれら材料の機械的強
度、接着性の向上、電気特性の安定化、樹脂改質、表面
改質などを行なうことができるし、このものは芳香環を
有し耐熱性が高いので耐熱性の要求される電子部品材料
としての積層板用にも使用することができる。
【0068】また、このものを重合性モノマーとして使
用する場合には、これを種々のラジカル性モノマー、例
えばスチレン、アクリレート、メタクリレート、ビニル
エステル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、ブタジ
エン、イソプレン、クロロプレン、α−オレフィンなど
と共に、有機過酸化物またはアゾ化合物などの重合開始
剤の存在下にラジカル共重合させればよく、これによれ
ば加水分解性アルコキシシリル基を側鎖にもつポリマー
を得ることができ、このものは水分による穏やかな条件
で良好な架橋特性をもち、無機および金属系材料に対す
る親和性をもつアルコキシ基をもっているので、種々に
基材に耐熱性、耐候性、耐寒性、気体透過性、耐衝撃性
などの諸物性を向上させることができる、高機能性プラ
スチック材料、機能性膜材料を与える。
【0069】
【実施例】つぎに本発明の実施例をあげるが、本発明は
これらの実施例に制限されるものではない。
【0070】実施例1 温度計、撹拌装置、ジムロート冷却器を備えた200c
cの四ツ口ガラス製反応器を予め十分窒素で置換したの
ち、ここにパラ−α−メチル−ビニルアニリン13.3
g(0.1モル)とトルエン50gを仕込み、室温撹拌
下これにγ−イソシアナートプロピルトリメトキシシラ
ン22.6g(0.11モル)を1.2時間かけて滴下
したところ、この滴下と共に発熱が生じ内温が24℃か
ら35℃まで上昇した。この滴下終了後、昇温して還流
下108〜109℃で撹拌を続けながら4.1時間熟成
し、ついで50トール下での減圧蒸留でトルエンを留去
し、さらに2〜3トール下の67〜69℃で減圧蒸留
し、得られたグリース状の濃縮残渣35.5gについて
赤外吸収スペクトル(IR)を測定したところ下記の結
果が得られ、これには2,280cm-1付近の原料とし
てのγ−イソシアナートプロピルトリメトキシシランの
イソシアナート基に起因する特性吸収は完全に消失して
おり、1,650cm-1付近にウレイド基のカルボニル
結合に起因する特性吸収および3,326cm-1付近に
NH結合に起因する強く幅広い特性吸収が得られた。ま
た、これについてはその核磁気共鳴スペクトル(1HNM
R)を測定したところ、下記の結果が得られたので、こ
の結果からこのものは式
【0071】
【化40】
【0072】で示されるものであることが確認された。
【0073】測定結果 ・核磁気共鳴スペクトル(1HNMR):δ(ppm)
(d−DMSO)
【0074】
【化41】
【0075】a:3.46(9H,s) b:0.26〜0.84(2H,m)
c:1.24〜1.84(2H,m) d:2.40〜3.32(2H,m) e:6.12(1H,フ゛ロート゛s) f:8.39(1
H,フ゛ロート゛s) g:7.32(4H,s) h:2.06(3H,s) i:4.93(1H,フ゛ロート゛s) J:
5.29(1H,フ゛ロート゛s) ・赤外吸収スペクトル(IR):(cm-1) 3320(NH), 2940(ヘ゛ンセ゛ン環), 2830, 1650(NHCONH), 159
5, 1555(NH), 1520,1460, 1407, 1380, 1320, 1290, 12
40,1195, 1090(SiOC), 1020, 890, 820
【0076】実施例2 実施例1におけるγ−イソシアナートプロピルトリメト
キシシランの代わりに、γ−イソシアナートプロピルメ
チルジメトキシシラン20.8g(0.11モル)を使
用したほかは実施例1と同様に処理したところ、濃縮残
渣33.2gが得られたので、これについての赤外吸収
スペクトル(IR)および核磁気共鳴スペクトルを測定
したところ、下記の結果が得られたので、このものは式
【0077】
【化42】
【0078】で示されるものであることが確認された。
測定結果 ・核磁気共鳴スペクトル(1HNMR):δ(ppm)
(d−DMSO)
【0079】
【化43】
【0080】a:3.38(6H,s) b:0.07(3H,s) c:0.22〜0.
75(2H,m) d:1.19〜1.77(2H,m) e:2.59〜3.29(2H,m) f:6.03(1H,フ゛ロート゛s) g:8.29(1H,フ゛
ロート゛s) h:7.24(4H,s) i:2.05(3H,s) j:4.89(1H,フ゛ロート゛s) k:5.24(1H,フ゛ロート゛
s) ・赤外吸収スペクトル(IR):(cm-1) 3320(NH), 2930(ヘ゛ンセ゛ン環), 2830, 1650(NHCONH), 159
5, 1550(NH), 1520,1460, 1415, 1380, 1320, 1265, 12
40,1193, 1090(SiOC), 1020, 890, 835,805, 773, 730
【0081】実施例3 実施例1におけるパラ−α−メチル−ビニルアニリンの
代わりに、メタ−α−メチル−ビニルアニリン13.3
g(0.1モル)を使用したほかは実施例1と同様に処
理したところ、濃縮残渣35.8gが得られたので、こ
れについての赤外吸収スペクトル(IR)および核磁気
共鳴スペクトルを測定したところ、下記の結果が得られ
たので、このものは式
【0082】
【化44】
【0083】で示されるものであることが確認された。
【0084】測定結果 ・核磁気共鳴スペクトル(1HNMR):δ(ppm)
(d−DMSO)
【0085】
【化45】
【0086】a:3.45(9H,s) b:0.32〜0.84(2H,m)
c:1.18〜1.80(2H,m) d:2.68〜3.28(2H,m) e:6.05(1H,t) f:8.28(1H,フ゛ロート゛
s) g:6.78〜7.58(4H,m) h:2.06(3H,s) i:5.02(1H,フ゛ロート゛
s) j:5.28(1H,フ゛ロート゛s) ・赤外吸収スペクトル(IR):(cm-1) 3340(NH), 2950(ヘ゛ンセ゛ン環), 2850, 1655(NHCONH), 161
5, 1595, 1574(NH),1515, 1450, 1390, 1325, 1298, 12
48,1208, 1098(SiOC), 900, 828, 800,735
【0087】実施例4 実施例1におけるγ−イソシアナートプロピルトリメト
キシシランの代わりに、γ−イソシアナートプロピルメ
チルジメトキシシラン20.8g(0.11モル)を使
用し、またパラ−α−メチル−ビニルアニリンの代わり
にメタ−α−メチル−ビニルアニリン13.3g(0.
1モル)を使用したほかは実施例1に同様に処理したと
ころ、濃縮残渣が33.3g得られたので、これについ
ての赤外吸収スペクトル(IR)および核磁気共鳴スペ
クトルを測定したところ、下記の結果が得られたので、
このものは式
【0088】
【化46】
【0089】で示されるものであることが確認された。
【0090】測定結果 ・核磁気共鳴スペクトル(1HNMR):δ(ppm)
(d−DMSO)
【0091】
【化47】
【0092】
a:3.39(6H,s) b:0.07(3H,s) c:0.
25〜0.81(2H,m) d:1.09〜1.83(2H,m) e:2.65〜3.35(2H,m) f:6.08(1H,t) g:8.30(1H,フ゛ロート゛
s) h:6.75〜7.65(4H,m) i:2.07(3H,s) j:5.03(1H,フ゛ロート゛
s) k:5.30(1H,フ゛ロート゛s) ・赤外吸収スペクトル(IR):(cm-1) 3330(NH), 3090, 2950(ヘ゛ンセ゛ン環), 2840, 1654(NHCON
H), 1615, 1590,1575(NH), 1500, 1450, 1387, 1330, 1
296,1271, 1246, 1203, 1097(SiOC),1020,980, 900, 84
0, 800, 778, 734
【0093】実施例5 温度計、撹拌装置、ジムロート冷却器を備えた100c
cの四ツ口ガラス反応器内を予め十分窒素で置換したの
ち、ここにパラ−ビニルベンジルアミン6.7g(0.
05モル)とトルエン17.3gおよび重合禁止剤とし
ての1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(2
−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)
ベンゼン0.02gを仕込み、これに室温撹拌下でγ−
イソシアナートプロピルトリメトキシシラン10.3g
(0.05モル)を30分かけて滴下したところ、この
滴下と共に発熱し内温が29℃から50℃まで上昇し
た。この滴下終了後、そのまま室温下で一日撹拌し、4
トール下に48〜53℃で30分の減圧濃縮を行ない、
得られた濃縮残渣17.4gについての赤外吸収スペク
トルを測定したところ下記の結果が得られ、これには
2,280cm-1付近の原料のγ−イソシアナートプロ
ピルトリメトキシシランのイソシアナート基に起因する
特性吸収は完全に消失しており、1,632cm-1付近
にウレイド基のカルボニル結合に起因する特性吸収およ
び3,320cm-1付近にNH結合に起因する強く幅広
い特性吸収が得られた。また、これについてはその核磁
気共鳴スペクトル(1HNMR)を測定したところ、下記
の結果が得られたので、この結果からこのものは式
【0094】
【化48】
【0095】で示されるものであることが確認された。
【0096】測定結果 ・核磁気共鳴スペクトル(1HNMR):δ(ppm)
(d−DMSO)
【0097】
【化49】
【0098】a:3.23(9H,s) b:0.32〜0.76(2H,m)
c:1.07〜1.66(2H,m) d:2.67〜3.17(2H,m) e:5.75(1H,t) f:6.09(1H,t)
g:4.07(2H,d) b:7.10(4H,q) i:6.55(1H,dd) J:5.06(1H,dd) k:5.60
(1H,dd) ・赤外吸収スペクトル(IR):(cm-1) 3320(NH), 2940(ヘ゛ンセ゛ン環), 2830, 1632(NHCONH), 157
0(NH), 1520, 1470,1415, 1355, 1255, 1200, 1090(SiO
C),1020, 995, 910, 820
【0099】実施例6 実施例5におけるγ−イソシアナートプロピルトリメト
キシシランの代わりに、γ−イソシアナートプロピルメ
チルジメトキシシラン9.5g(0.05モル)を使用
したほかは実施例5と同様に処理したところ、濃縮残渣
16.2gが得られたので、これについての赤外吸収ス
ペクトル(IR)および核磁気共鳴スペクトルを測定し
たところ、下記の結果が得られたのでこのものは式
【0100】
【化50】
【0101】で示されるものであることが確認された。
【0102】測定結果 ・核磁気共鳴スペクトル(1HNMR):δ(ppm)
(d−DMSO)
【0103】
【化51】
【0104】a:3.36(6H,s) b:0.05(3H,s) c:0.25〜0.
77(2H,m) d:1.07〜1.72(2H,m) e:2.67〜3.22(2H,m) f:5.81(1H,t) g:6.15(1H,t) h:
4.12(2H,d) i:7.18(4H,q) J:6.64(1H,dd) k:5.12(1H,dd) l:5.65
(1H,dd) ・赤外吸収スペクトル(IR):(cm-1) 3320(NH), 2940(ヘ゛ンセ゛ン環), 2830, 1630(NHCONH), 157
0(NH), 1520, 1460,1414, 1360, 1264, 1195, 1090(SiO
C),1020, 995, 910, 825, 770, 730
【0105】
【発明の効果】本発明は文献未載の新規なスチレン骨格
含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法に関す
るものであり、これは一般式
【0106】
【化52】
【0107】(式中のR1 は水素原子またはメチル基、
2 ,R3 は同一または異種の炭素数1〜4のアルキル
基、mは0または1、nは1〜3の整数、ただしR1
水素原子のときm=1とする。)で示されるスチレン骨
格含有アルコキシシラン化合物、および一般式
【0108】
【化53】
【0109】(R2 ,R3 ,nは前記に同じ)で示され
るγ−イソシアナートプロピル基含有アルコキシシラン
化合物と一般式
【0110】
【化54】
【0111】(R1 ,mは前記に同じ)で示されるスチ
レン骨格含有アミン化合物とを、実質的に無水条件下で
反応させることを特徴とする上記スチレン骨格含有アル
コキシシラン化合物の製造方法を要旨とするものであ
る。上記した本発明のスチレン骨格含有アルコキシシラ
ン化合物は上記した方法により工業的に安価に入手可能
な原料から一段の反応で簡便な操作により容易に、かつ
高収率で得ることができるが、このものは重合性に富
み、かつ耐熱性もすぐれているので各種の無機質材料、
有機質材料を改質するためのシランカップリング剤とし
て、また各種ラジカル重合性モノマーと共重合して高機
能性プラスチック材料、機能性膜材料となる共重合体形
成用の重合性モノマーとして有用とされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 幹夫 新潟県中頚城郡頚城村大字西福島28番地 の1 信越化学工業株式会社 合成技術 研究所内 (72)発明者 久保田 透 新潟県中頚城郡頚城村大字西福島28番地 の1 信越化学工業株式会社 合成技術 研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−86612(JP,A) 特開 昭56−57792(JP,A) 特開 昭51−8249(JP,A) 特開 平2−28228(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 7/18 CA(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (2)

    (57)整理番号 P021316 【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 【化1】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 およびR
    3 は同一または異種の炭素数1〜4のアルキル基、mは
    0または1、nは1〜3の整数)で示されるスチレン骨
    格含有アルコキシシラン化合物[ただしR1 が水素原子
    のときm=1とする]。
  2. 【請求項2】一般式 【化2】 (式中、R2 およびR3 は同一または異種の炭素数1〜
    4のアルキル基、nは1〜3の整数)で示されるγ−イ
    ソシアナートプロピル基含有アルコキシシラン化合物
    と、一般式 【化3】 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、mは0または
    1)で示されるスチレン骨格含有アミン化合物とを、実
    質的に無水条件下で反応させて、一般式 【化4】 (R1 ,R2 ,R3 ,m,nは前記に同じ、ただしR1
    が水素原子のときm=1とする)で示されるアルコキシ
    シラン化合物を得ることを特徴とするスチレン骨格含有
    アルコキシシラン化合物の製造方法。
JP2959891A 1991-01-30 1991-01-30 スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2875639B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2959891A JP2875639B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2959891A JP2875639B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04244089A JPH04244089A (ja) 1992-09-01
JP2875639B2 true JP2875639B2 (ja) 1999-03-31

Family

ID=12280516

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2959891A Expired - Fee Related JP2875639B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2875639B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5484355B2 (ja) * 2008-12-10 2014-05-07 関西ペイント株式会社 重合性官能基を有するシルセスキオキサン化合物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04244089A (ja) 1992-09-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2895296B2 (ja) 3−(ビニルベンジルオキシ)プロピルシラン化合物
US4282336A (en) Curable diallyl phthalate compounds and process for producing same
JP2875639B2 (ja) スチレン骨格含有アルコキシシラン化合物およびその製造方法
JP2875735B2 (ja) ケチミン構造含有有機けい素化合物の製造方法
EP1937695B1 (en) Novel organic silane compound
JPH01305094A (ja) ω−シリルアルキニルシラン化合物およびその製造方法
JPH07247295A (ja) ケチミン構造含有有機けい素化合物の製造方法
JP2939016B2 (ja) 3−(ビニルフェニルオキシ)プロピルシラン化合物の製造方法
JPH0813821B2 (ja) ビニルシラン化合物
EP0488759B1 (en) Thexyl (C1-C4)alkyl dialkoxy silanes; methods of preparation; and uses thereof
JP2817360B2 (ja) シラン化合物
JP2751568B2 (ja) シラン化合物
JPH07126272A (ja) 有機ケイ素化合物及びその製造方法
US5446180A (en) Compounds containing 1-aza-3-oxa-4-silacyclohex-1-enyl groups, and tautomers of said compounds
JP2903487B2 (ja) シクロペンタジエニル基含有シラン化合物及びその製造方法
JP3089983B2 (ja) 有機シラン化合物及び反応用試剤
JPH0344077B2 (ja)
JPH05247065A (ja) 有機けい素化合物およびその製造方法
JPH0617480B2 (ja) ジメチルシロキサン系ブロツク共重合体の製造方法
JP2903488B2 (ja) シクロペンタジエニル基含有ジシロキサン及びその製造方法
JPS61275329A (ja) ポリシロキサンの製造法
JPH0336840B2 (ja)
US5329039A (en) Organosilicon compound
JPH0317087A (ja) 有機ケイ素化合物
JP2819991B2 (ja) ジ−tert−ブチルシランの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees