JP2873129B2 - 耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法 - Google Patents
耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法Info
- Publication number
- JP2873129B2 JP2873129B2 JP10360392A JP10360392A JP2873129B2 JP 2873129 B2 JP2873129 B2 JP 2873129B2 JP 10360392 A JP10360392 A JP 10360392A JP 10360392 A JP10360392 A JP 10360392A JP 2873129 B2 JP2873129 B2 JP 2873129B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- roll
- resistance
- build
- weld metal
- heat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
- Heat Treatment Of Articles (AREA)
Description
ラ用ブロッカーロールやピンチロール、更には酸洗ライ
ンの各種ロールなど、耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマ
ーク性が必要な肉盛ロールの製造方法に関するものであ
る。
カーロールやピンチロールは、高温に加熱された金属ス
トリップと繰り返し接触すると共に冷却水や水蒸気に曝
されるために摩耗や腐食が生じやすい。また、酸洗ライ
ンの各種ロールも腐食環境下で使用されるために同様な
問題が発生しやすい。このため、肉盛溶接により耐摩耗
性や耐食性をロール表層に付与し、しかも補修により繰
り返し使用することが行われている。
ラインで問題となりやすい肉盛ロールのビードマーク
は、冷却水や腐食液、更に水蒸気などの腐食雰囲気や金
属ストリップからの伝熱によるロール表層部の温度上昇
が原因となって肉盛溶接金属に縞状の模様が発生し、こ
の模様が被圧延板に転写されたものである。そして、ビ
ードマークが発生すると金属ストリップの製品価値が著
しく損なわれることから、上記ラインの各種ロールへの
肉盛ロールの適用は非常に制約を受けていた。
ロール表層部の機械的な摩耗を防止するために、通常H
s:70以上の硬度が得られる溶接金属がロール表層部
に肉盛されることが多い。しかしながら、これらの溶接
金属はマルテンサイトが主体となるものが殆どであり、
次パス以降の熱影響により溶接金属中の熱影響部に選択
的に炭化物が析出したり、場合によっては焼戻し熱処理
と同様な作用を受けてこの部分の組織が焼戻しマルテン
サイトになるなど、他の部分に比べ熱影響部にはミクロ
組織上の変化が生じやすく、これらが原因となって、同
一溶接金属内でも耐食性や耐摩耗性が不均一となり、結
果としてビードマークを生じるものと推察される。
者等は、高い硬度を持つ溶接金属をロール表層部に肉盛
した後、溶体化処理する肉盛ロールの製造方法を提案し
た(特開平3−264166号)。また、特開平1−92
319号でも同様な手段が提示されている。
討を重ねた結果、高硬度溶接金属を肉盛したロールを高
周波加熱やリングバーナー等の表面加熱方法によって溶
体化処理する場合、肉盛溶接金属の化学成分やロールサ
イズによっては加熱初期にロール表層部の肉盛溶接金属
に割れが発生することがあることが明らかになった。こ
の原因は、ロールに肉盛される溶接金属には殆ど変形能
がないために、繰り返し行われる表面加熱作業の間に存
在する冷却過程で生じる不均一な収縮歪によるものと推
察される。更に、溶体化処理前に行われる機械加工によ
る肉盛溶接金属の加工硬化も溶体化処理過程での割れの
一因と考えられる。
性を兼ね備えた肉盛ロールを安定して製造するために
は、これらの問題点を解決した製造技術の確立が求めら
れているのが実情である。
耗性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールを容易に
製造できる方法を提供することを目的とするものであ
る。
点を解決し得る手段について鋭意研究を重ねた結果、こ
こに本発明を完成したものである。
ままでHs65を超える硬さとなる溶接金属を肉盛溶接
し、その後、表面加熱方法により溶体化処理する肉盛ロ
ールの製造方法において、溶体化処理前に熱処理を行
い、ロール表層部の肉盛溶接金属の硬さをHs65以下
とすることを特徴とする耐摩耗性及び耐食性に優れ、か
つ耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法を要
旨とするものである。
500〜700℃で熱処理することを特徴としている。
た高硬度が得られる溶接金属は、炭化物の析出により硬
度を維持している場合が多く、溶接施工時に次パス以降
の熱影響を受けることにより溶接金属中に生成した熱影
響部には他の部分よりも多くの炭化物が析出する傾向が
ある。そして、適度の炭化物が析出した場合は他の部分
に比べ熱影響部の硬度は高くなるが、過剰に析出して炭
化物が成長・凝集すると逆に硬度が低くなる場合があ
る。このような傾向は、溶接金属の化学成分や溶接条件
などによって異なるが、いずれの場合も肉盛溶接金属の
耐摩耗性が不均一になりビードマークの原因となりやす
い。
めに、通常、肉盛溶接金属は適量のCrを含有している
が、上記のように溶接金属の熱影響部において炭化物が
析出する場合、Crが炭化物形成元素として機能し、熱
影響部の近傍のCr濃度が低下するために熱影響部の耐
食性が熱影響を受けていない部分に比べて劣化し、やは
りビードマークの原因となる。
られるミクロ組織のムラを消失させねばならず、その手
段としては溶体化処理が最適である。
更に検討した結果、通常、溶接のままの状態の肉盛ロー
ルが溶体化処理に供されるが、ロールサイズや肉盛溶接
金属の肉盛厚さ、鋼種、更に硬さなどによっては、溶体
化処理初期の予熱段階で肉盛溶接金属に割れが発生する
ことがあり、ロールの製造が行えない場合があることが
わかった。
に示すように溶体化処理に先立ち、熱処理を行い、肉盛
溶接金属の硬度を一定の値まで低下させることにより、
前述の割れが防止できることを見出した。すなわち、溶
体化処理を行う前に熱処理によりロール表層部の肉盛溶
接金属の硬度をHs65以下とすることが、割れを防止
するための根本的な対策となるのである。
よって硬度がHs65以下となる熱処理温度が異なるた
め、熱処理温度を一義的には決められないが、少なくと
も溶接のままの硬度に比べ、その熱処理を行うことによ
り硬度が低下し、Hs65以下となる温度が適正であ
る。
Hs65を超える硬さとなる溶接金属を肉盛溶接し溶体
化処理を行なう場合にロール表層部の肉盛溶接金属の硬
さをHs65以下としておくことが必要である。
電気炉やガス炉、更に耐熱材で周囲を囲んだ簡易炉の中
でガスバーナーによって加熱する方法など、如何なる手
段も適用可能であることは云うまでもない。
は、目的とするロールタイプによって異なるために特に
規定はしないが、少なくとも150mmφ以上の肉盛ロー
ルには溶体化処理前の熱処理を行うのが好ましい。
ら制約を受けるものではない。例えば、溶体化処理は高
周波加熱やリングバーナー等の表面加熱方法により行う
ことができる。また、素地ロールとしては軟鋼、低合金
鋼、高合金鋼などを用いることができ、ロール表層部に
溝加工を行ったものなど、如何なる形状のロールにも適
用可能である。
必要に応じて熱処理を行うことにより、組織の安定化や
2次硬化による硬度増加で更に良好な耐摩耗性が得られ
る。この熱処理温度は500〜700℃が適している。
インのS45C母材ロールに肉盛溶接を行った。肉盛溶
接は
うに溶接した。肉盛溶接後、電気炉にて
接金属の厚さが片側7.5mmになるように機械加工し、
溶体化処理を行った。溶体化処理は高周波加熱方法によ
ってロール表面のみを加熱し、冷却は空冷とした。その
後、一部ロールは電気炉にて熱処理を行い、片側6.5m
mまで機械加工し、実機に供した。
ックを行った。更に、3ヶ月間使用した後ロール径を測
定し、最も大きく減肉した部分の径が1mmを超える場合
は不合格とした。図1、図2に実機に供した2タイプの
ロール形状を示す。
なく溶体化処理が行えた。そして、実機での使用におい
てもビードマークの原因となる選択的な腐食や摩耗が発
生しておらず、ロール径の減肉状態も少なく良好な結果
であった。一方、比較例では、本発明例と同じ溶接材料
を用いて肉盛溶接したものの、すべて溶体化処理工程に
おける第1回目の加熱時にロール長さ方向に割れが発生
し、目的とする肉盛ロールは製造できなかった。
耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロ
ールが容易に製造できる。
である。
寸法を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ロール表層に溶接のままでHs65を超
える硬さとなる溶接金属を肉盛溶接し、その後、表面加
熱方法により溶体化処理する肉盛ロールの製造方法にお
いて、溶体化処理前に熱処理を行い、ロール表層部の肉
盛溶接金属の硬さをHs65以下とすることを特徴とす
る耐摩耗性及び耐食性に優れ、かつ耐ビードマーク性に
優れた肉盛ロールの製造方法。 - 【請求項2】 溶体化処理後、500〜700℃で熱処
理することを特徴とする請求項1に記載の肉盛ロールの
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10360392A JP2873129B2 (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10360392A JP2873129B2 (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05277728A JPH05277728A (ja) | 1993-10-26 |
JP2873129B2 true JP2873129B2 (ja) | 1999-03-24 |
Family
ID=14358353
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10360392A Expired - Lifetime JP2873129B2 (ja) | 1992-03-30 | 1992-03-30 | 耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2873129B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5320196B2 (ja) * | 2009-07-15 | 2013-10-23 | 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 | 異材肉盛り溶接方法及び異材肉盛り溶接構造物 |
CN103230964B (zh) * | 2013-05-07 | 2015-09-30 | 太原市冶金机械厂 | 热连轧钢卷取机上夹送辊及其制备方法 |
-
1992
- 1992-03-30 JP JP10360392A patent/JP2873129B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05277728A (ja) | 1993-10-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4609577A (en) | Method of producing weld overlay of austenitic stainless steel | |
AU709229B2 (en) | Stainless steel surface claddings of continuous caster rolls | |
JP2873129B2 (ja) | 耐摩耗性、耐食性及び耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法 | |
JPH03122253A (ja) | 金属圧延用ロールの製造法 | |
JPH08121464A (ja) | 熱延工場巻取機用ロール | |
US4861549A (en) | Roller caster shell steel | |
EP1524323B1 (en) | Process for producing oil tempered wire | |
JP2897184B2 (ja) | 硬化肉盛溶接ロール又はローラーの製造方法 | |
JP4352819B2 (ja) | 巻取装置用ピンチロール | |
JPH11267731A (ja) | 熱延工場用ロールおよびローラー | |
JPH07179945A (ja) | 圧延用カリバーロール | |
JP7435909B1 (ja) | 電縫管およびその製造方法 | |
JPH04138809A (ja) | 耐ビードマーク性に優れたロールの製造方法 | |
JP2587492B2 (ja) | 加工用工具 | |
JPH04123872A (ja) | 耐ビードマーク性に優れた肉盛ロールの製造方法 | |
JP3001946B2 (ja) | 鋼部材の浸炭焼き入れ方法 | |
JPH0192319A (ja) | 熱間圧延設備におけるコイラ用ロールの製造法 | |
JP2876259B2 (ja) | スケ−ルブレ−カ−用ロ−ル | |
JPS6039732B2 (ja) | 自動車用電縫鋼管の製造方法 | |
JPS5836649B2 (ja) | 熱間圧延機ワ−クロ−ルの製造法 | |
JPS6213529A (ja) | テ−ブルロ−ラの製造方法 | |
JPS6228012A (ja) | スケ−ルブレ−カ用ロ−ル | |
JPH0755330B2 (ja) | スケールブレーカー用ワークロール | |
JPH0577741B2 (ja) | ||
JPH03275276A (ja) | 肉盛ロールの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080108 Year of fee payment: 9 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090108 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100108 Year of fee payment: 11 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110108 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120108 Year of fee payment: 13 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 14 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108 Year of fee payment: 14 |