JPH04138809A - 耐ビードマーク性に優れたロールの製造方法 - Google Patents
耐ビードマーク性に優れたロールの製造方法Info
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- JPH04138809A JPH04138809A JP26224290A JP26224290A JPH04138809A JP H04138809 A JPH04138809 A JP H04138809A JP 26224290 A JP26224290 A JP 26224290A JP 26224290 A JP26224290 A JP 26224290A JP H04138809 A JPH04138809 A JP H04138809A
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B21—MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
- B21B—ROLLING OF METAL
- B21B27/00—Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use
Abstract
(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。
め要約のデータは記録されません。
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、例えば、熱間圧延ラインにおけるコイラ用ブ
ロッカーロール、ピンチロールなど、耐ビードマーク性
が必要な各種ロールの製造方法に関するものである。 (従来の技術及び解決しようとする課題)熱間圧延ライ
ンにおけるコイラは、高温に加熱された金属ストリップ
と繰り返し接触するため、耐熱性や適度な表面硬度、更
には耐摩耗性などが必要である。 従来、このコイラ用のロールとしては、鋳鋼製のものが
使用されていたが、上述の性能が得やすく、しかも補修
溶接が可能な肉盛ロールが使用されるようになってきた
。 ブロッカ−ロールなどでは前述の性能の中で、特に耐ビ
ードマーク性が重要である。ビードマークは冷却水や水
蒸気などの腐食性雰囲気や被圧延板(高温の金属ストリ
ップ)からの伝熱によるロール表面の温度上昇が原因と
なって、ロール表層部に縞状の模様が発生し、この模様
が金属ストリップに転写されたものである。 このビードマークが発生すると、製品(金属ストリップ
)の価値を大きく低下させるため、これを防止すること
が重要である。 しかし、従来の肉盛ロールのように、肉盛溶接終了後、
600℃前後で熱処理を行っただけでは良好な耐ビード
マーク性を維持することは困難であった。 この点、特開平1−92319号では、Cr3゜5〜6
.0%を含むCr鋼を肉盛したロールを肉盛溶接金属の
A c 3変態点以上で、かつ、該変態点より100℃
高い温度以下の温度に加熱後、急冷し、次いで焼戻しす
ることにより、耐ビードマーク性を改善するロールの製
造方法が提案されている。 しかし、この方法でも満足し得る耐ビードマーク性が得
られない。 本発明は、上記従来技術の欠点を解消して、更に優れた
耐ビードマーク性を有する肉盛ロールを容易に製造し得
る方法を提供することを目的とするものである。 (1題を解決するための手段) 前述の提案による方法の効果は、上記熱処理によって肉
盛溶接金属中に存在する溶接熱影響による軟化域を消失
させることにあるが、これでは特に長期間の使用には耐
えられない。 そこで、本発明者等は、ビードマークの発生原因につい
て鋭意検討を行った結果、軟化域の消失だけでは耐ビー
ドマーク性を改善するには不十分であることが判明し、
更にその方策について研究した結果、ここに本発明をな
したものである。 すなわち、本発明は、c:Q、18〜0.6%、Si:
0.2〜1.5%−Mn:0.5〜3%、Cr:6〜1
0%、Mo:2〜6%及び○(酸素):0.01〜0.
12%を含有する金属を肉盛により表層に形成したロー
ルにおいて、肉盛溶接終了後、1050”C以上の温度
で溶体化処理を行うことを特徴とする耐ビードマーク性
に優れたロールの製造方法を要旨とするものである。 以下に本発明を更に詳述する。 (作用) 第1図は、ロール製作時と同様に多パス・多層肉盛を行
った場合における肉盛溶接金属中の熱影響部の分布状況
を模式図的に示したものであり。 原質部(a)を取り囲むように熱影響部が存在している
。 溶接金属がマルテンサイト系である場合は、この熱影響
部は一部が焼戻しマルテンサイト(b)になっており、
局部的に炭化物がリッチになるにの炭化物はCrを主体
としたものであり、炭化物近傍の基地のCr量が原質部
に比べ低下しているために、原質部に比べ、熱影響部の
耐食性は劣化するのである。 更には、肉盛溶接時の予熱・パス間温度にもよるが、熱
影響部の硬さは原質部に比べて低下していることもある
。そして、ロール表層部の溶接金属中の熱影響部が腐食
及び摩耗によって減肉し、熱影響部を伝播しながら、原
質部にも拡大し、最終的に縞状の模様(ビードマーク)
となるものと推定される。 このようなビードマークの発生機構の究明により1本発
明者等は、肉盛ロールの耐ビードマーク性を良好なもの
とするには、熱影響部の組織的なムラをなくすことが本
質的な解決の手段となり得ることを見い出した。すなわ
ち、このロールの肉盛溶接時に生じる熱影響部の組織ム
ラの防止策として、予熱・パス間温度を300℃以上に
保持しながら溶接を行う方法である。 しかしながら、万が−にも組織ムラが生じてしまったロ
ールに対しては、この方法は効果がないことも判明した
。 また、使用環境にもよるが、肉盛溶接金属のCr量が低
い場合は、例えばブロッカ−ロールのように高温下でし
かも高温水蒸気中で使用されると、上記の局部腐食以外
に全面腐食を起こしやすく、ロール全面の腐食摩耗が進
行し易い欠点もあった・ 本発明は、これらの組織ムラ対策並びにロール全面腐食
対策を総合して実現したものであり、その手段を以下に
説明する。 まず、上述のような肉盛溶接金属の組織ムラをなくすた
めには、肉盛溶接後の溶体化処理が有効である。 一般に溶体化処理はA3点を超える温度に加熱すれば良
いが、実機ロールの製作過程において。 素地ロールの強度・靭性を劣化させないためには、ロー
ル表層部近傍のみを溶体化処理温度に上昇させることが
肝要である。この場合、A1点近傍の温度ではオーステ
ナイト化に長い時間を要し、すングバーナーや高周波誘
導加熱などの表面加熱方式にとって現実的な温度ではな
い。 そこで、本発明の成分系である溶接金属に対し十分な溶
体化処理が行える温度について検討を行った結果、10
50℃以上であれば、良好な結果が得られることが判明
した。 但し、この溶体化処理による効果は、以下に説明するよ
うに溶接金属の成分組成を調整することと相俟って発揮
されるものである。 肉盛溶接金属の成分組成は以下の理由により限定するも
のである。 C:0.18〜0.6% Cは溶接金属硬度を高め、耐摩耗性の向上に寄与するが
、0.18%未満ではその効果が不十分であり、また0
、6%を超えると及び低温(収縮)割れやブローホール
を生じ易くなるので、C量は0.18〜0.6%とする
。 Si:0.2〜1.5% Siは脱酸作用があるが、0.2%未満では十分な効果
が得られず、また1、5%を超えると効果が飽和すると
共に溶接性が悪化するので、Si量は0.2〜1.5%
とする。 Mn:0.5〜3% MnはSiと同様に脱酸剤であると共に焼入性を向上さ
せるが、0.5%未満ではその効果が不十分であり、ま
た3%を超えても効果は飽和してしまうので、Mn量は
0.5〜3%とする。 Cr:6〜10% Crは炭化物を形成し、溶接金属の硬度、耐摩耗性の向
上に寄与すると共に耐食性、耐酸化性を維持するのに不
可欠であるが、6%未満ではこれらの効果が十分得られ
ず、また10%を超えると硬度が低下すると共に操業時
に焼付きが発生し易くなるので、Cr量は6〜10%と
する。 Mo:2〜6% Moは耐高温酸化性の向上に寄与すると共に炭化物を形
成して耐摩耗性を改善するが、2%未満では効果が不十
分であり、また6%を超えると溶接性が悪化するので、
Mo量は2〜6%とする。 ○(酸素):0.01〜0.12% Oは酸化物を形成して核となり、結晶粒微細化や焼入れ
性の向上に寄与するが、0.01%未満ではその効果が
不十分であり、また0、12%を超えるとブローホール
の原因となるので、O(酸素)量は0.01〜0.12
%とする。 上記成分を必須とするが、更に、焼入れ性及び靭性の向
上を図る目的でNiを、軟化抵抗の改善のために■を、
また、耐ブローホール性の向上や結晶粒微細化のために
AQ、Tiなどを、必要に応じて適宜含有させることも
できる。 なお、溶体化処理時の冷却速度については、特に規定し
ないが、基本的には空冷で行えば良く、高い硬度を必要
とする場合には水冷を行うことも可能である。加熱方式
は、前述の如く素地ロールの性能低下を防止するために
表面加熱が適当であるが、加熱方法は高周波誘導加熱、
リングバーナーなど如何なる方法も適用可能である。ま
た溶体化処理後、組織を安定化するために必要に応じて
焼戻し処理を行っても良い。 また、肉盛溶接条件は、上述の溶接金属の成分調整以外
は特に制限されるものではない。 勿論、素地ロールの材質も特に制限はない。 次に本発明の実施例を示す。 (実施例) 845C母材ロール上に以下に示す条件で4層肉盛溶接
し、肉盛層の厚さが片側8mmとなるように機械加工後
、第1表に示す所定の温度で高周波誘導加熱によって溶
体化処理を行い、更に電気炉にて焼戻し処理し、片側7
mmとなるように機械加工後、実機に供した。機械加工
後のロール形状寸法を第2図示す。 3ケ月間の使用状況を第1表に示す。 なお、使用状況については、まず、7日間毎にロール表
面のチエツクを行うと共に、3ケ月間使用した後、ロー
ル径を測定し、最も大きく減肉した部分の径が1■を超
える場合は不合格とした。 肉盛溶接は、フラックス入りワイヤ(3,2φ)と溶融
型又は焼結型フラックスの組合せによるサブマージアー
ク溶接で実施し、スパイラルに肉盛溶接した。溶接条件
は以下のとおりである。 電 流 (人):350〜400 電 圧 (V):30〜32 速度(am/ main) : 30〜40予熱温度
(”C):200〜250 パス間温度(℃):200〜450 表1に実施結果を示す。 第1表より明らかなように、本発明例は、いずれも、ビ
ードマークの原因となる選択腐食が発生しておらず、ロ
ール径の部分的な減肉状態も少なく、良好な結果を示し
ている。 一方、溶体化処理温度が低い比較例Nα6では、28日
間で選択腐食がロール表層に発生し、使用不能となった
。 Cr量が少ない比較例Nn8では、選択腐食は発生しな
かったものの、使用中にロール表層に錆が発生し、これ
がロール径の大きな減肉につながった。 比較例隘9では、C量が少ないために金属ストリップに
よる摩耗が著しく、やはり大きなロール径の部分減肉と
なった。 比較例&7では、C量が高いために溶接中に高温割れが
発生し、実機適用には至らながった。
ロッカーロール、ピンチロールなど、耐ビードマーク性
が必要な各種ロールの製造方法に関するものである。 (従来の技術及び解決しようとする課題)熱間圧延ライ
ンにおけるコイラは、高温に加熱された金属ストリップ
と繰り返し接触するため、耐熱性や適度な表面硬度、更
には耐摩耗性などが必要である。 従来、このコイラ用のロールとしては、鋳鋼製のものが
使用されていたが、上述の性能が得やすく、しかも補修
溶接が可能な肉盛ロールが使用されるようになってきた
。 ブロッカ−ロールなどでは前述の性能の中で、特に耐ビ
ードマーク性が重要である。ビードマークは冷却水や水
蒸気などの腐食性雰囲気や被圧延板(高温の金属ストリ
ップ)からの伝熱によるロール表面の温度上昇が原因と
なって、ロール表層部に縞状の模様が発生し、この模様
が金属ストリップに転写されたものである。 このビードマークが発生すると、製品(金属ストリップ
)の価値を大きく低下させるため、これを防止すること
が重要である。 しかし、従来の肉盛ロールのように、肉盛溶接終了後、
600℃前後で熱処理を行っただけでは良好な耐ビード
マーク性を維持することは困難であった。 この点、特開平1−92319号では、Cr3゜5〜6
.0%を含むCr鋼を肉盛したロールを肉盛溶接金属の
A c 3変態点以上で、かつ、該変態点より100℃
高い温度以下の温度に加熱後、急冷し、次いで焼戻しす
ることにより、耐ビードマーク性を改善するロールの製
造方法が提案されている。 しかし、この方法でも満足し得る耐ビードマーク性が得
られない。 本発明は、上記従来技術の欠点を解消して、更に優れた
耐ビードマーク性を有する肉盛ロールを容易に製造し得
る方法を提供することを目的とするものである。 (1題を解決するための手段) 前述の提案による方法の効果は、上記熱処理によって肉
盛溶接金属中に存在する溶接熱影響による軟化域を消失
させることにあるが、これでは特に長期間の使用には耐
えられない。 そこで、本発明者等は、ビードマークの発生原因につい
て鋭意検討を行った結果、軟化域の消失だけでは耐ビー
ドマーク性を改善するには不十分であることが判明し、
更にその方策について研究した結果、ここに本発明をな
したものである。 すなわち、本発明は、c:Q、18〜0.6%、Si:
0.2〜1.5%−Mn:0.5〜3%、Cr:6〜1
0%、Mo:2〜6%及び○(酸素):0.01〜0.
12%を含有する金属を肉盛により表層に形成したロー
ルにおいて、肉盛溶接終了後、1050”C以上の温度
で溶体化処理を行うことを特徴とする耐ビードマーク性
に優れたロールの製造方法を要旨とするものである。 以下に本発明を更に詳述する。 (作用) 第1図は、ロール製作時と同様に多パス・多層肉盛を行
った場合における肉盛溶接金属中の熱影響部の分布状況
を模式図的に示したものであり。 原質部(a)を取り囲むように熱影響部が存在している
。 溶接金属がマルテンサイト系である場合は、この熱影響
部は一部が焼戻しマルテンサイト(b)になっており、
局部的に炭化物がリッチになるにの炭化物はCrを主体
としたものであり、炭化物近傍の基地のCr量が原質部
に比べ低下しているために、原質部に比べ、熱影響部の
耐食性は劣化するのである。 更には、肉盛溶接時の予熱・パス間温度にもよるが、熱
影響部の硬さは原質部に比べて低下していることもある
。そして、ロール表層部の溶接金属中の熱影響部が腐食
及び摩耗によって減肉し、熱影響部を伝播しながら、原
質部にも拡大し、最終的に縞状の模様(ビードマーク)
となるものと推定される。 このようなビードマークの発生機構の究明により1本発
明者等は、肉盛ロールの耐ビードマーク性を良好なもの
とするには、熱影響部の組織的なムラをなくすことが本
質的な解決の手段となり得ることを見い出した。すなわ
ち、このロールの肉盛溶接時に生じる熱影響部の組織ム
ラの防止策として、予熱・パス間温度を300℃以上に
保持しながら溶接を行う方法である。 しかしながら、万が−にも組織ムラが生じてしまったロ
ールに対しては、この方法は効果がないことも判明した
。 また、使用環境にもよるが、肉盛溶接金属のCr量が低
い場合は、例えばブロッカ−ロールのように高温下でし
かも高温水蒸気中で使用されると、上記の局部腐食以外
に全面腐食を起こしやすく、ロール全面の腐食摩耗が進
行し易い欠点もあった・ 本発明は、これらの組織ムラ対策並びにロール全面腐食
対策を総合して実現したものであり、その手段を以下に
説明する。 まず、上述のような肉盛溶接金属の組織ムラをなくすた
めには、肉盛溶接後の溶体化処理が有効である。 一般に溶体化処理はA3点を超える温度に加熱すれば良
いが、実機ロールの製作過程において。 素地ロールの強度・靭性を劣化させないためには、ロー
ル表層部近傍のみを溶体化処理温度に上昇させることが
肝要である。この場合、A1点近傍の温度ではオーステ
ナイト化に長い時間を要し、すングバーナーや高周波誘
導加熱などの表面加熱方式にとって現実的な温度ではな
い。 そこで、本発明の成分系である溶接金属に対し十分な溶
体化処理が行える温度について検討を行った結果、10
50℃以上であれば、良好な結果が得られることが判明
した。 但し、この溶体化処理による効果は、以下に説明するよ
うに溶接金属の成分組成を調整することと相俟って発揮
されるものである。 肉盛溶接金属の成分組成は以下の理由により限定するも
のである。 C:0.18〜0.6% Cは溶接金属硬度を高め、耐摩耗性の向上に寄与するが
、0.18%未満ではその効果が不十分であり、また0
、6%を超えると及び低温(収縮)割れやブローホール
を生じ易くなるので、C量は0.18〜0.6%とする
。 Si:0.2〜1.5% Siは脱酸作用があるが、0.2%未満では十分な効果
が得られず、また1、5%を超えると効果が飽和すると
共に溶接性が悪化するので、Si量は0.2〜1.5%
とする。 Mn:0.5〜3% MnはSiと同様に脱酸剤であると共に焼入性を向上さ
せるが、0.5%未満ではその効果が不十分であり、ま
た3%を超えても効果は飽和してしまうので、Mn量は
0.5〜3%とする。 Cr:6〜10% Crは炭化物を形成し、溶接金属の硬度、耐摩耗性の向
上に寄与すると共に耐食性、耐酸化性を維持するのに不
可欠であるが、6%未満ではこれらの効果が十分得られ
ず、また10%を超えると硬度が低下すると共に操業時
に焼付きが発生し易くなるので、Cr量は6〜10%と
する。 Mo:2〜6% Moは耐高温酸化性の向上に寄与すると共に炭化物を形
成して耐摩耗性を改善するが、2%未満では効果が不十
分であり、また6%を超えると溶接性が悪化するので、
Mo量は2〜6%とする。 ○(酸素):0.01〜0.12% Oは酸化物を形成して核となり、結晶粒微細化や焼入れ
性の向上に寄与するが、0.01%未満ではその効果が
不十分であり、また0、12%を超えるとブローホール
の原因となるので、O(酸素)量は0.01〜0.12
%とする。 上記成分を必須とするが、更に、焼入れ性及び靭性の向
上を図る目的でNiを、軟化抵抗の改善のために■を、
また、耐ブローホール性の向上や結晶粒微細化のために
AQ、Tiなどを、必要に応じて適宜含有させることも
できる。 なお、溶体化処理時の冷却速度については、特に規定し
ないが、基本的には空冷で行えば良く、高い硬度を必要
とする場合には水冷を行うことも可能である。加熱方式
は、前述の如く素地ロールの性能低下を防止するために
表面加熱が適当であるが、加熱方法は高周波誘導加熱、
リングバーナーなど如何なる方法も適用可能である。ま
た溶体化処理後、組織を安定化するために必要に応じて
焼戻し処理を行っても良い。 また、肉盛溶接条件は、上述の溶接金属の成分調整以外
は特に制限されるものではない。 勿論、素地ロールの材質も特に制限はない。 次に本発明の実施例を示す。 (実施例) 845C母材ロール上に以下に示す条件で4層肉盛溶接
し、肉盛層の厚さが片側8mmとなるように機械加工後
、第1表に示す所定の温度で高周波誘導加熱によって溶
体化処理を行い、更に電気炉にて焼戻し処理し、片側7
mmとなるように機械加工後、実機に供した。機械加工
後のロール形状寸法を第2図示す。 3ケ月間の使用状況を第1表に示す。 なお、使用状況については、まず、7日間毎にロール表
面のチエツクを行うと共に、3ケ月間使用した後、ロー
ル径を測定し、最も大きく減肉した部分の径が1■を超
える場合は不合格とした。 肉盛溶接は、フラックス入りワイヤ(3,2φ)と溶融
型又は焼結型フラックスの組合せによるサブマージアー
ク溶接で実施し、スパイラルに肉盛溶接した。溶接条件
は以下のとおりである。 電 流 (人):350〜400 電 圧 (V):30〜32 速度(am/ main) : 30〜40予熱温度
(”C):200〜250 パス間温度(℃):200〜450 表1に実施結果を示す。 第1表より明らかなように、本発明例は、いずれも、ビ
ードマークの原因となる選択腐食が発生しておらず、ロ
ール径の部分的な減肉状態も少なく、良好な結果を示し
ている。 一方、溶体化処理温度が低い比較例Nα6では、28日
間で選択腐食がロール表層に発生し、使用不能となった
。 Cr量が少ない比較例Nn8では、選択腐食は発生しな
かったものの、使用中にロール表層に錆が発生し、これ
がロール径の大きな減肉につながった。 比較例隘9では、C量が少ないために金属ストリップに
よる摩耗が著しく、やはり大きなロール径の部分減肉と
なった。 比較例&7では、C量が高いために溶接中に高温割れが
発生し、実機適用には至らながった。
(発明の効果)
以上詳述したように5本発明によれば、所定の成分組成
の金属を表層に肉盛溶接し、1050℃で溶体化処理を
施すので、耐ビードマーク性に優れたロールが得られる
。熱間圧延ラインにおけるコイラ用ブロッカーロール、
ピンチロールのほか、類似の用途並びに各種形態のロー
ルに適用できる。
の金属を表層に肉盛溶接し、1050℃で溶体化処理を
施すので、耐ビードマーク性に優れたロールが得られる
。熱間圧延ラインにおけるコイラ用ブロッカーロール、
ピンチロールのほか、類似の用途並びに各種形態のロー
ルに適用できる。
第1図は多パス・多層肉盛溶接金属の原質部と熱影響部
並びに焼戻しマルテンサイトの発生状況を説明する図、 第2図は実施例で得られた肉盛ロールの仕上り形状寸法
を示す図である。 a・・・原質部、b・・・焼戻しマルテンサイト、C・
・・肉盛層、d・・・母材。 特許出願人 株式会社神戸製鋼所 代理人弁理士 中 村 尚 第 図
並びに焼戻しマルテンサイトの発生状況を説明する図、 第2図は実施例で得られた肉盛ロールの仕上り形状寸法
を示す図である。 a・・・原質部、b・・・焼戻しマルテンサイト、C・
・・肉盛層、d・・・母材。 特許出願人 株式会社神戸製鋼所 代理人弁理士 中 村 尚 第 図
Claims (1)
- 重量%で(以下、同じ)、C:0.18〜0.6%、S
i:0.2〜1.5%、Mn:0.5〜3%、Cr:6
〜10%、Mo:2〜6%及びO(酸素):0.01〜
0.12%を含有する金属を肉盛により表層に形成した
ロールにおいて、肉盛溶接終了後、1050℃以上の温
度で溶体化処理を行うことを特徴とする耐ビードマーク
性に優れたロールの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26224290A JPH04138809A (ja) | 1990-09-29 | 1990-09-29 | 耐ビードマーク性に優れたロールの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26224290A JPH04138809A (ja) | 1990-09-29 | 1990-09-29 | 耐ビードマーク性に優れたロールの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04138809A true JPH04138809A (ja) | 1992-05-13 |
Family
ID=17373054
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26224290A Pending JPH04138809A (ja) | 1990-09-29 | 1990-09-29 | 耐ビードマーク性に優れたロールの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH04138809A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100457354C (zh) * | 2007-01-10 | 2009-02-04 | 哈尔滨汽轮机厂有限责任公司 | 汽轮机低压加热器管板与壳体、水室连接处的堆焊方法 |
JP2019171387A (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-10 | 日鉄溶接工業株式会社 | 硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
-
1990
- 1990-09-29 JP JP26224290A patent/JPH04138809A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100457354C (zh) * | 2007-01-10 | 2009-02-04 | 哈尔滨汽轮机厂有限责任公司 | 汽轮机低压加热器管板与壳体、水室连接处的堆焊方法 |
JP2019171387A (ja) * | 2018-03-26 | 2019-10-10 | 日鉄溶接工業株式会社 | 硬化肉盛ガスシールドアーク溶接用フラックス入りワイヤ |
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