JP2871353B2 - 車両用駆動力制御装置 - Google Patents

車両用駆動力制御装置

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JP2871353B2
JP2871353B2 JP29893192A JP29893192A JP2871353B2 JP 2871353 B2 JP2871353 B2 JP 2871353B2 JP 29893192 A JP29893192 A JP 29893192A JP 29893192 A JP29893192 A JP 29893192A JP 2871353 B2 JP2871353 B2 JP 2871353B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は燃料カットや点火時期補
正による内燃機関(エンジン)出力トルク低減制御を行
う、車両用駆動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】駆動輪の駆動スリップ状態に応じて、エ
ンジンの1つまたは2つ以上の気筒に対し燃料噴射をカ
ットしたり(いわゆる燃料カット)、点火時期を補正し
てエンジン出力トルク(駆動トルク)を制御する車両用
駆動力制御装置は、スロットル制御や駆動輪に対するブ
レーキ制御によって駆動トルクを調整するものに比べ
て、トルク制御用のアクチュエータ等を設ける必要がな
いため、コスト,重量,搭載性等の点で有利であること
から多数提案されており、そのような従来例としては、
例えば、燃料カットおよび点火時期補正の双方を行う、
特開平3ー246334号公報の車両用駆動力制御装置がある。
【0003】上記従来例は、駆動トルクを細かく制御す
ることはできないが6段階の制御(1気筒カット当たり
16.7%)によって駆動トルクを大きく低減することがで
きる燃料カットと、駆動トルクを大きく低減することは
できないが駆動トルクを細かく制御することができる
(例えば0%,5%,10%,15%の4段階の制御)点火
時期補正とを組み合わせているため24段階の分解能が得
られ、駆動トルクを0%〜100 %の間で24段階に亘って
制御することができる。これにより、当該駆動スリップ
状態に適した駆動トルク低減量が得られ、当該駆動スリ
ップ状態が抑制される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
6気筒エンジンを搭載した車両に上述した各気筒毎の燃
料カットを実施した場合、ピストンの吸入、圧縮、爆発
行程を経た後にその燃料カットを実施したことによる駆
動トルク低減の効果が駆動輪に現れるため、本来ならば
クランク角の360 °相当の遅れが生じるはずであるが、
上記従来例では燃料カット気筒数に応じて燃料カットす
る気筒およびそのカットの順番を予め設定(固定)して
いる(その一例を図10に示す)ため、最初に燃料カット
すべき気筒が燃料噴射した直後にその気筒の燃料カット
信号を受けた場合、その気筒については他の5つの気筒
の爆発行程を経た後に燃料カットを実施したことによる
駆動トルク低減の効果が駆動輪に現れることになり、ク
ランク角の720 °相当の遅れが生じて駆動スリップの抑
制性能が劣化してしまう。
【0005】また、点火時期の補正と燃料カットとを併
用する、上記従来例においては、燃料カットに起因する
遅れは上述のようにクランク角の360 °〜720 °相当で
あるのに反し、点火時期補正に起因する遅れは高々クラ
ンク角の120 °相当にしか過ぎないため、駆動トルク低
減の要求が点火時期補正から燃料カットに切り替わった
場合、燃料カット信号が出力されてから実際に駆動トル
クが変化するまでに応答遅れが生じ、この間に点火時期
補正が解除(点火時期補正量=0)されると、低減の意
図に反して駆動トルクが増加に転じて駆動トルク低減要
求前の状態に戻ってしまうため、駆動スリップ抑制性能
が劣化してしまう。
【0006】本発明は、燃料カット制御の応答遅れを考
慮した駆動トルク低減制御を行うことにより、上述した
問題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的のため、本発明
の車両用駆動力制御装置の構成は、図1(a)に概念を示す
如く、複数の気筒を有する内燃機関と、該内燃機関から
の出力トルクにより駆動される駆動輪のスリップ状態を
検出する駆動スリップ検出手段と、該駆動スリップ検出
手段の出力信号に応じて前記内燃機関の出力トルク低減
量を算出する出力トルク低減量算出手段と、該出力トル
ク低減量算出手段の出力信号に応じて前記内燃機関の燃
料カット気筒数を算出する燃料カット気筒数算出手段
と、該燃料カット気筒数算出手段の出力信号に応じて前
記内燃機関の所定気筒に対し所定パターンで燃料カット
を行う燃料カット制御手段とを具える、車両用駆動力制
御装置において、前記内燃機関の燃料カット気筒数が増
加する場合には、前記燃料カット気筒数算出手段の出力
信号を受けた時点に燃料噴射予定の気筒が当該燃料カッ
トの筆頭となるように前記所定パターンを変更するよう
にしたことを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の車両用駆動力制御装置の構
成は、図1(b)に概念を示す如く、複数の気筒を有する内
燃機関と、該内燃機関からの出力トルクにより駆動され
る駆動輪のスリップ状態を検出する駆動スリップ検出手
段と、該駆動スリップ検出手段の出力信号に応じて前記
内燃機関の出力トルク低減量を算出する出力トルク低減
量算出手段と、該出力トルク低減量算出手段の出力信号
に応じて前記内燃機関の燃料カット気筒数を算出する燃
料カット気筒数算出手段と、前記出力トルク低減量算出
手段の出力信号に応じて1気筒の燃料カットによる出力
トルク低減量よりも少ない出力トルク低減量となるよう
な点火時期補正量を算出する点火時期補正量算出手段
と、前記燃料カット気筒数算出手段および点火時期補正
量算出手段の出力信号に応じて前記内燃機関の所定気筒
に対し所定パターンで燃料カットおよび点火時期補正を
行う燃料カット点火時期補正制御手段とを具える、車両
用駆動力制御装置において、前記内燃機関の燃料カット
気筒数が変化した時点からエンジン出力が変化するまで
の応答遅れに相当する所定期間、気筒数変化前の点火時
期補正状態を保持するようにしたことを特徴とするもの
である。
【0009】
【作用】本発明の構成によれば、駆動スリップ状態に応
じた内燃機関の出力トルク低減量になるように内燃機関
の気筒に対する燃料カットを行う際に、燃料カット気筒
数が増加する場合には、前記燃料カット気筒数算出手段
の出力信号を受けた時点に燃料噴射予定の気筒が当該燃
料カットの対象の筆頭となるように前記所定パターンを
変更するから、燃料カットを実施したことによる駆動ト
ルク低減の効果が駆動輪に現れるまでの大幅な遅れが抑
制されることになり、所望の駆動スリップ抑制性能を実
現することができる。
【0010】また、本発明の構成によれば、駆動スリッ
プ状態に応じた内燃機関の出力トルク低減量になるよう
に内燃機関の気筒に対する燃料カットおよび点火時期補
正を行う際に、燃料カット気筒数が(前回の燃料カット
時から)変化した場合には、その変化の時点からエンジ
ン出力が変化するまでの応答遅れに相当する所定期間、
当該点火時期補正状態を保持するから、燃料カットを実
施したことによる駆動トルク低減の効果が駆動輪に現れ
るまでの間に点火時期補正を解除する指令がなされるこ
とにより駆動トルクが駆動トルク低減指令前の状態に戻
ってしまう不具合が防止されることになり、所望の駆動
スリップ抑制性能を実現することができる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図2は本発明の車両用駆動力制御装置の第1
実施例の構成を示す図であり、図中1L,1Rは左駆動
輪、右駆動動輪、2L,2Rは左従動輪、右従動輪、3
は内燃機関としてのエンジンを示す。この車両は、例え
ば6気筒のエンジン3によって駆動輪2L,2Rを駆動
するように構成されており、駆動輪1Lおよび従動輪2
Lの近傍には夫々車輪速センサ4,5が設けてある(な
お、車輪速センサを各車輪毎に設けて、左右輪に対応す
るセンサからの信号を平均して車輪速とするようにして
もよい)。
【0012】車輪速センサ4,5は夫々、駆動輪,従動
輪の回転速度(駆動輪速,従動輪速)を検出するもので
あり、得られた駆動輪速VR,従動輪速VFはトラクシ
ョン用コントローラ(以下、TCSコントローラ)6に
入力される。TCSコントローラ6は、図示しないCP
U,RAM,ROM,I/Oインタフェース等によって
構成され、上記駆動輪速VR,従動輪速VFから駆動輪
の駆動スリップ状態(この場合、駆動スリップ量S)を
S=VR−VFの演算により求めるとともに、駆動スリ
ップ量Sが所定値以上になったとき、当該駆動スリップ
を抑制するため、所定の制御プログラムに基づいて駆動
スリップ量Sに応じた出力トルク低減量が得られるよう
なエンジン出力低下要求信号(燃料カット要求信号)K
tdを決定する。この燃料カット要求信号Ktdは、駆動ス
リップ量Sが大きくなるほど大きくなってエンジン出力
をより大きく低下するものであり、決定された燃料カッ
ト要求信号Ktdはエンジンコントローラ7に入力され
る。
【0013】エンジンコントローラ7は、上記TCSコ
ントローラ6と同様に構成され、通常時(エンジン出力
トルク低減制御非実施時)は、クランク角センサ8や図
示しない吸入空気量センサからの入力信号に基づいて燃
料噴射装置9の燃料噴射量を演算し、その燃料噴射量を
燃料噴射装置9の図示しない燃料噴射インジェクタに対
する駆動信号Ipとして出力することにより気筒10ー1〜10
ー6の燃料噴射量制御を行う。一方、TCSコントローラ
6から燃料カット要求信号Ktd が入力されるエンジン出
力トルク低減制御実施時は、後述する図3の制御プログ
ラムに基づいて、クランク角センサ8からの信号に応じ
て定まる燃料噴射順序および燃料カット要求信号Ktd に
応じて定まるカット気筒数Nfcに応じて、燃料カットを
実施する気筒を気筒10ー1〜10ー6の中から決定し、該当す
る気筒に対しインジェクタ駆動信号Ipの出力を停止する
ことにより各気筒に対し所定パターンで燃料カットを実
施し、エンジン3の出力トルクを低下させる。
【0014】エンジン3の出力トルクは、エンジン出力
軸から変速機(例えば自動変速機)11およびファイナル
ディファレンシャルギヤ12を経て駆動輪1L,1Rへ伝
達され、車両を走行させる。
【0015】図3はエンジンコントローラ7において実
行される、燃料カットによるトラクションコントロール
の制御プログラムの一部を示すフローチャートである。
図3の制御プログラムは各気筒10ー1〜10ー6の燃料噴射行
程に対応したクランク角度の所定位置毎に(つまりクラ
ンク角120 °毎に)に実行されるものであり、まずステ
ップ101 で、クランク角センサ8よりクランク角θcを
読み込み、そのクランク角θcにより判定される現在位
置から次に燃料噴射行程となる気筒を判定してその気筒
番号をNinj とする(Ninj =1,2,・・,6)。
【0016】次のステップ102 では、TCSコントロー
ラ6より燃料カット要求信号Ktd を読み込み、その燃料
カット要求信号Ktd に応じて燃料カット気筒数Nfcを決
定する(Nfc=0,1,・・,6)。なお、Nfc=0は
駆動スリップが発生していないためトラクションコント
ロールが行われていないことを示し、上記ステップ102
においてTCSコントローラ6は駆動スリップ検出手
段、出力トルク低減量算出手段および燃料カット気筒数
算出手段として機能する。次のステップ103 では、現在
要求されている燃料カット気筒数Nfcが1制御周期前の
燃料カット気筒数Npastから変化したか否かをチェック
し、変化した場合はステップ104 で、次に燃料噴射行程
となる気筒番号Ninj を変数Ncyl として記憶してから
制御をステップ105 に進めて現在の燃料カット気筒数N
fcを次の制御周期のためにNpastとして記憶しておく。
なお、燃料カット気筒数Nfcが変化しない場合はステッ
プ104 をスキップするから、次に燃料カット気筒数Nfc
が変化するまで変数Ncyl は前回記憶した気筒番号Nin
j を保持することになる。
【0017】次のステップ106 では、現在要求されてい
る燃料カット気筒数Nfcが0か否かをチェックし、0で
なければ制御をステップ107 以降に進め、0ならば制御
を後述するステップ111 に進める。ステップ107 では、
次噴射気筒番号Ninj から記憶されている変数Ncyl を
減算して1を加算する演算によりポインタ変数iを求
め、ステップ108 でiが0以下か否かをチェックし、i
≦0ならばステップ109でiに6を加算した値をiとし
てから制御をステップ110 に進め、i>0ならばステッ
プ109 をスキップして制御を直ちにステップ110 に進め
る。
【0018】ステップ110 では、図3に併記した燃料カ
ットパターンデータFCPのマップをNfcおよびiによ
ってルックアップし、該当するFCPデータ、すなわち
FCP(Nfc,i)が1であるか否かをチェックする。
このマップは、図示のように6行×6列の配列データと
して構成される燃料カットパターンを表わしており、各
行が夫々燃料カット気筒数Nfcに対応し、各列がポイン
タ変数iに対応している。また、FCP(Nfc,i)=
1は燃料噴射、FCP(Nfc,i)=0は燃料カットを
表わし、各行の第1列(i=1)は常に0になるように
してある。このマップの見方は、例えば2気筒燃料カッ
ト(Nfc=2)でポインタ変数iが3の場合、FCP
(2,3)=1であるので燃料噴射であると判定する。
なお、このマップは、燃料カットを行う場合のみを対象
としているため、0気筒カット(すなわち全気筒燃料噴
射)の場合を含んでいない。
【0019】上記ステップ110 において、FCP(Nf
c,i)=1の場合、ステップ111 で次の噴射行程に該
当するNinj 番気筒のインジェクタ駆動信号Ipを出力す
るから、Ninj 番気筒には図示しない燃料噴射量演算プ
ログラムの実行により求めた燃料噴射量の燃料噴射がな
される。一方、ステップ110 において、FCP(Nfc,
i)=0の場合、ステップ112 でNinj 番気筒にはイン
ジェクタ駆動信号Ipが出力されないから、Ninj 番気筒
は燃料カットされることになる。具体的には、ある時点
において次に噴射予定の気筒が第3番気筒である場合
に、要求される燃料カット気筒数Nfcが0から2変化に
した場合を想定すると、Ninj =3,Ncyl=3,Nfc
=2となることから、ポインタ変数iはステップ107 の
演算により1となり、FCPデータのマップの2行1列
を参照すると0になっているので、結局、第3番気筒は
燃料カットされることになる。このように、要求される
燃料カット気筒数Nfcが変化した場合には、必ず、次に
噴射予定の気筒を燃料カットの対象の筆頭にして燃料カ
ットが実施される。なお、上記ステップ112 において、
TCSコントローラ6は燃料カット制御手段として機能
する。
【0020】次に、上記第1実施例の作用を図4および
図11を用いて従来例と比較しながら説明する。図11の従
来例においては、各気筒に対する燃料カットのパターン
が固定されているため、例えば1番気筒の燃料噴射行程
が終了した直後に駆動スリップが発生して燃料カット気
筒数Nfcが0から1に変化した場合、図10から明らかな
ように1番気筒が燃料カットの対象となるため、次の1
番気筒の燃料噴射行程において燃料カットが実施される
ことになり、燃料カット指令と実際の燃料カットとの間
に5気筒分の遅れ時間が生じることになる。この遅れ時
間は、エンジン回転数が例えば1000rpm のとき100 msec
になってしまい、積雪路や凍結路等の低μ路においては
この遅れ時間の間に当該駆動スリップがさらに増大する
ことになり、その後の駆動スリップ収束性能が大きく劣
化してしまう。
【0021】一方、本実施例においては、上記と同一の
駆動スリップ発生状況の場合、次に燃料噴射行程となる
気筒が必ず燃料カットの対象の筆頭となるから上記のよ
うな大幅な遅れ時間が発生することはなく、常に良好な
駆動スリップ収束性能が得られることになる。
【0022】上記駆動スリップ収束性能の相違は、シミ
ュレーションにより求めた図4および図11の特性図を比
較することにより一層明確になる。なおここで、シミュ
レーション条件は両者同一にしてあり、圧雪路相当(μ
max=0.5 )で停止状態からのスロットル全開発進で
ある。図11に示す従来例では、燃料カット要求の指令が
なされた時点(約0.33sec )からその指令に基づいて燃
料カットが実施される時点(約0.45sec ;図中エンジン
出力トルクが立ち下がっているところ)までの遅れ時間
が大きくなり(両時点の対応関係を図11に矢印で示して
ある)、その間は駆動スリップ量が増大しているが、本
実施例では、図4に示すように燃料カット要求の指令が
なされた時点(約0.33sec )から、その指令によって燃
料カットが実施される時点(約0.38sec;図中エンジン
出力トルクが立ち下がっているところ)までの遅れ時間
が大幅に短縮されており、本実施例の方が駆動スリップ
収束性能が良好であることがわかる。
【0023】図5は本発明の車両用駆動力制御装置の第
2実施例の構成を示す図である。この第2実施例の第1
実施例との相違点は、エンジンコントローラ7が点火装
置13の点火時期遅延制御をも実施することであり、それ
以外の部分は第1実施例と同様に構成される。
【0024】すなわち、この第2実施例では、エンジン
コントローラ7は、通常時はクランク角センサ8および
図示しない吸入空気量センサからの入力信号に基づいて
所定の制御プログラムを実行することにより燃料噴射量
および点火時期を演算し、演算された燃料噴射量および
点火時期となるように燃料噴射装置9にインジェクタ駆
動信号Ipを出力するとともに点火装置13に点火時期信号
Tpを出力してエンジンの燃料噴射量制御および点火時期
制御を行う。一方、TCSコントローラ6からエンジン
出力トルク低下要求信号Ktdが入力された場合、第1実
施例と同様の各気筒に対する燃料カット制御を行うとと
もに、後述する図6の制御プログラムに基づいて点火時
期補正量を決定し、燃料カットおよび点火時期補正によ
ってエンジン3の出力トルクを低下させる。
【0025】図6および図7はエンジンコントローラ7
において実行される、燃料カットおよび点火時期補正に
よるトラクションコントロールの制御プログラムの一部
を示すフローチャートである。図6および図7の制御プ
ログラムは各気筒10ー1〜10ー6の燃料噴射行程に対応した
クランク角度の所定位置毎に(つまりクランク角基準位
置120 °毎に)実行されるものであり、まずステップ12
1 で、TCSコントローラ6よりエンジン出力トルク低
下要求信号Ktdを読み込む。この第2実施例の場合、K
tdは0〜24の整数値を取るから、Ktd=0の駆動スリ
ップ非発生時(トラクションコントロール非実施時)を
除き24段階のトラクションコントロールが可能である
(なお、第1実施例は6段階のトラクションコントロー
ルが可能である)。
【0026】次のステップ122 では、Ktdを4で割る演
算により得られた整数部分INT(Ktd/4)を燃料カ
ット気筒数Nfcとし、余りの部分を点火時期補正番号Na
dvとする。次のステップ123 では、現在要求されている
燃料カット気筒数Nfcが1制御周期前の燃料カット気筒
数Npastから変化したか否かをチェックし、変化した場
合は、ステップ124 で、燃料カットの応答遅れおよび点
火時期補正の応答遅れ間の時間差をクランク角基準位置
(120 °)信号の数に換算した数値Tdlyをカウンタ変数
CNTとして記憶してから、制御をステップ125 に進め
て現在の燃料カット気筒数Nfcを次の制御周期のために
Npastとして記憶しておく。なお、燃料カット気筒数N
fcが変化しない場合はステップ124 をスキップするか
ら、次に燃料カット気筒数Nfcが変化するまでカウンタ
変数CNTは前回記憶した数値Tdlyを保持することにな
る。
【0027】次のステップ126 では、現在要求されてい
る燃料カット気筒数Nfcが0か否かをチェックし、0で
なければ制御をステップ127 以降に進め、0ならば制御
を後述するステップ129 に進める。ステップ127 では、
燃料カット気筒数Nfcに基づいて燃料カットを実施する
気筒を、例えば図6に併記した燃料カットパターンによ
って決定する。その際、1制御周期前に比べて燃料カッ
ト気筒数Nfcが変化した場合には、変化した時点で次の
燃料噴射行程の気筒から燃料カットが実施されるよう
に、言い換えれば次の燃料噴射行程の気筒が上記燃料カ
ットパターンの筆頭(左端)に位置するようにするもの
とする(なお、その手法は、第1実施例を参照のこ
と)。
【0028】次のステップ128 では、次の燃料噴射行程
の気筒が燃料カットに該当するか否かをチェックする。
ここで、燃料カットでなければ、ステップ129 で次の噴
射行程の気筒のインジェクタ駆動信号Ipを出力し、その
気筒には図示しない燃料噴射量演算プログラムの実行に
より求めた燃料噴射量の燃料噴射がなされる。一方、燃
料カットであれば、ステップ130 で次の噴射行程の気筒
にはインジェクタ駆動信号Ipが出力されなくなり、その
気筒は燃料カットされることになる。なお、上記ステッ
プ130 および後述するステップ138 において、TCSコ
ントローラ6は燃料カット点火時期補正制御手段として
機能する。
【0029】図6のステップ129 ,130 の次の図7のス
テップ131 では、カウンタ変数CNTが0より大きいか
否かをチェックし、CNT≦0、すなわち燃料カット気
筒数変化後の燃料カットによるエンジン出力変化が生じ
るまでの遅れ時間の期間外であれば、ステップ132 で、
点火時期補正マップMAP(Nadv)をステップ122 で求
めた点火時期補正番号Nadvによって参照することにより
点火時期ADVを求め、ステップ133 で点火時期補正番
号Nadvを変数Hadvとして記憶する。ここで点火時期補正
マップMAP(Nadv)は、Nadvが0から3の値を取るこ
とから4種類のマップとなり、MAP(0)は点火時期
補正なしの通常のマップ、MAP(1),MAP
(2),MAP(3)は夫々、MAP(0)に対し出力
が5%,10%,15%低下するように補正したマップ
を示す。
【0030】一方、ステップ131 においてCNT>0、
すなわち燃料カット気筒数変化後の燃料カットによるエ
ンジン出力変化が生じるまでの遅れ時間の期間内であれ
ば、ステップ134 で、点火時期補正番号Nadvが変数Hadv
より大きいか否かをチェックし、大きければステップ13
5 で点火時期補正番号Nadvを変数Hadvとして記憶してか
らステップ136 で点火時期補正マップMAP(Hadv)を
変数Hadvによって参照することにより点火時期ADVを
求め、小さければステップ135 をスキップして制御を直
ちにステップ136 に進める。ここで点火時期補正マップ
MAP(Hadv)は、Nadvが0から3の値を取るためHadv
も0から3の値を取ることから、上記と同様にMAP
(0),MAP(1),MAP(2),MAP(3)の
4種類のマップとなる。
【0031】上記ステップ131 のYES‐134 〜136 の
制御においては、以下のような点火時期の補正がなさ
れ、TCSコントローラ6はステップ136 において点火
時期補正手段として機能する。すなわち、変数HadvはC
NT≦0のとき(実際にはCNTは負の値を取らないか
らCNT=0のとき)に点火時期補正番号Nadvによって
更新された値であるため、燃料カット気筒数が変化する
直前の点火時期補正状態を保持していることになり、マ
ップMAP(Nadv)の代わりにマップMAP(Hadv)が
用いられて点火時期が補正される。なお、保持されてい
るHadvよりもステップ122 で算出される点火時期補正番
号Nadvが大きくなった場合、例えば出力低下要求を表わ
すエンジン出力トルク低下要求信号Ktdが当該遅れ時間
内に2から4に変化した後さらに7に変化した場合に
は、保持されている点火時期補正指令よりもさらに大き
な出力低下要求の点火時期補正指令がなされた場合であ
るから、当該遅れ時間内であるにも拘らずNadvによって
変数Hadvを更新する。
【0032】ステップ136 の次のステップ137 では、カ
ウンタ変数CNTのデクリメントを行い、ステップ137
およびステップ133 の次のステップ138 では、上記のよ
うにして求めた点火時期ADVによって点火信号Tpを点
火装置13に出力して点火時期補正を行う。その際、カウ
ンタ変数CNTが0になるまでの所定期間、点火時期補
正状態が保持されることになる。
【0033】次に、上記第2実施例の作用を図8,図9
および図12を用いて従来例と比較しながら説明する。な
お、上記各図は、シミュレーションにより求めた特性図
であり、共通のシミュレーション条件は、濡れた路面相
当(μmax=0.8 )で停止状態からのスロットル全開
発進である。
【0034】まず、図12の従来例においては、燃料カッ
ト気筒数や点火時期補正量が変化した場合の燃料カット
指令がなされてから実際に燃料カットによってエンジン
出力が変化するまでの応答遅れを考慮していないため、
例えば燃料カットおよび点火時期補正が併用されている
約0.32sec 以降において、出力低下要求信号Ktdが3か
ら4に変化する約0.39sec の時点に点火時期補正による
出力低下指令が解除されるため、その燃料カットにより
実際に出力が低下する約0.45sec の時点との間の応答遅
れ(約0.06sec )の間に、その点火時期補正の解除によ
りエンジン出力が逆に増加してしまうことになり、図9
に点線で示すように当該駆動スリップ(駆動輪速−従動
輪速)がさらに増大することになり、その後の駆動スリ
ップ収束性能が大きく劣化してしまう。
【0035】一方、本実施例においては、上記と同一の
駆動スリップ発生状況の場合、図8に示すように、出力
低下要求信号Ktdが3から4に変化する約0.39sec の時
点以降も点火時期補正による出力低下指令が解除される
ことはない。したがって、当該燃料カットの実施前の点
火時期補正状態が保持されるから、当該点火時期補正の
解除によりエンジン出力が逆に増加する不具合は生じ
ず、図9に実線で示すように当該駆動スリップが大幅に
減少し、常に良好な駆動スリップ収束性能が得られるこ
とになる。
【0036】
【発明の効果】かくして本発明の車両用駆動力制御装置
は上述の如く、燃料カットおよび点火時期補正を行う際
に燃料カット気筒数が変化した場合にその変化の時点か
らエンジン出力が変化するまでの応答遅れに相当する所
定期間、当該点火時期補正状態を保持するから、燃料カ
ットを実施したことによる駆動トルク低減の効果が駆動
輪に現れるまでの間に点火時期補正を解除する指令がな
されることにより駆動トルクが駆動トルク低減指令前の
状態に戻ってしまう不具合が防止され、所望の駆動スリ
ップ抑制性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)は本発明の概念図である。
【図2】本発明の車両用駆動力制御装置の第1実施例の
構成を示す図である。
【図3】同例のエンジンコントローラにおいて実行され
る燃料カットによるトラクションコントロールの制御プ
ログラムの一部を示すフローチャートである。
【図4】同例の作用を説明するための特性図である。
【図5】本発明の車両用駆動力制御装置の第2実施例の
構成を示す図である。
【図6】同例のエンジンコントローラにおいて実行され
る燃料カットによるトラクションコントロールの制御プ
ログラムの一部を示すフローチャートである。
【図7】同例のエンジンコントローラにおいて実行され
る点火時期補正によるトラクションコントロールの制御
プログラムの一部を示すフローチャートである。
【図8】同例の作用を説明するための特性図である。
【図9】同例の作用を従来例と比較しながら説明するた
めの特性図である。
【図10】従来例の燃料カットパターンを例示する図で
ある。
【図11】従来例の作用を説明するための特性図であ
る。
【図12】従来例の作用を説明するための特性図であ
る。
【符号の説明】
1L,1R 駆動輪 2L,2R 従動輪 3 エンジン 4,5 車輪速センサ 6 TCSコントローラ 7 エンジンコントローラ 8 クランク角センサ 9 燃料噴射装置 10ー1〜10ー6 気筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 43/00 301 F02D 43/00 301H F02P 5/15 F02P 5/15 B (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02D 17/00 - 17/04 F02D 29/00 - 29/06 F02D 41/00 - 41/40 F02D 43/00 - 45/00 F02P 5/15

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の気筒を有する内燃機関と、該内燃
    機関からの出力トルクにより駆動される駆動輪のスリッ
    プ状態を検出する駆動スリップ検出手段と、該駆動スリ
    ップ検出手段の出力信号に応じて前記内燃機関の出力ト
    ルク低減量を算出する出力トルク低減量算出手段と、該
    出力トルク低減量算出手段の出力信号に応じて前記内燃
    機関の燃料カット気筒数を算出する燃料カット気筒数算
    出手段と、前記出力トルク低減量算出手段の出力信号に
    応じて1気筒の燃料カットによる出力トルク低減量より
    も少ない出力トルク低減量となるような点火時期補正量
    を算出する点火時期補正量算出手段と、前記燃料カット
    気筒数算出手段および点火時期補正量算出手段の出力信
    号に応じて前記内燃機関の所定気筒に対し所定パターン
    で燃料カットおよび点火時期補正を行う燃料カット点火
    時期補正制御手段とを具える、車両用駆動力制御装置に
    おいて、 前記内燃機関の燃料カット気筒数が変化した時点からエ
    ンジン出力が変化するまでの応答遅れに相当する所定期
    間、気筒数変化前の点火時期補正状態を保持するように
    したことを特徴とする、車両用駆動力制御装置。
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