JP2866663B2 - プロセスチーズの製造方法 - Google Patents
プロセスチーズの製造方法Info
- Publication number
- JP2866663B2 JP2866663B2 JP1033626A JP3362689A JP2866663B2 JP 2866663 B2 JP2866663 B2 JP 2866663B2 JP 1033626 A JP1033626 A JP 1033626A JP 3362689 A JP3362689 A JP 3362689A JP 2866663 B2 JP2866663 B2 JP 2866663B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gluten
- cheese
- molecular weight
- hydrolyzed
- average molecular
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Dairy Products (AREA)
Description
るグルテンの処理および加工が近年色々行われている。
そのような従来技術の1つとして、小麦から分離された
グルテンを酸、アルカリ、蛋白質分解酵素(プロテアー
ゼ)等を使用して部分的に加水分解することが知られて
おり、そこで製造された加水分解グルテンは水溶性、起
泡性等において優れているために食品用の起泡剤等とし
ての利用が試みられている。
り溶融乳化してプロセスチーズを製造することが従来か
ら広く行われているが、その場合の乳化剤(溶融塩)と
しては各種のリン酸塩およびクエン酸塩が主に使用され
ている。しかしながら、リン酸塩の多量の摂取はミネラ
ル代謝のバランスを崩し、生体に悪影響を及ぼす恐れが
ある。また、クエン酸塩はチーズの組織を悪くし、特に
クエン酸カルシウムを添加した場合はさらにその結晶
(白斑点)が析出する等の欠点がある。
効利用について研究を続けてきた。さらに本発明者等
は、油分離がなく、かつ食感および風味の良好なプロセ
スチーズの製造を目的として研究を行ってきた。
全く異なる物質である小麦に由来する加水分解グルテ
ン、そのうちでも平均分子量5,000〜20,000という特定
の分子量範囲を有する加水分解グルテンを乳化剤として
使用してプロセスチーズを製造すると、油分離がなく、
かつ組織が滑らかで、食感および風味の良好なプロセス
チーズが得られることを見出して本発明を完成するに至
った。
水分解グルテンの配合下にナチュラルチーズを溶融乳化
してプロセスチーズを製造する方法である。
グリアジンとから主になる蛋白質の混合物であって、分
子量数十万の巨大高分子であるといわれている。グルテ
ンの組成は原料の種類や調製法によって多少異なるが、
いずれの場合にも小麦から分離されたグルテンを酸、ア
ルカリ、プロテアーゼ等で加水分解すると、加水分解の
程度によって、分子量が数百〜数万の加水分解グルテン
に加水分解される。
特に平均分子量5,000〜20,000の加水分解グルテンを使
用することが必要である。平均分子量が5,000より小さ
いと、乳化が充分に行われず、製造されたプロセスチー
ズに油分離を生じ、かつその食感や風味が劣ったものと
なる。また平均分子量が20,000より大きい加水分解グル
テンを使用した場合にも製造されたプロセスチーズにお
ける油分離が大きくなり望ましくない。そして、本発明
で使用する平均分子量5,000〜20,000の加水分解グルテ
ンのうちでも、特に約10,000〜20,000のものを使用する
と、乳化がより良好に行われ、製造されたプロセスチー
ズが油分離を生じず、かつ食感および風味の良好なプロ
セスチーズを与えるので好ましい。
平均分子量」とは、下記の方法で測定したときの分子量
をいう。
Nリン酸緩衝液(pH7.0)100ml当たり加水分解グルテン
0.1gを溶解させ、50℃に1時間保った。次いで孔径0.45
μのフィルタを通してからサイズ排除高速液体クロマト
グラフィーにかけて平均分子量を測定した。測定条件は
次のとおりである。
子量は、分子量の既に明らかなアルブミン(MW 68,00
0)、キモトリプシノーゲン(MW 25,000)、チトクロー
ム(MW 12,500)を標準物質として用いて検量線を作成
し、データ処理装置SIC7000B(システムインスツルメン
ツ社)により算出した。
の加水分解グルテンは、水溶性の白色粉末であるが、本
発明ではかかる加水分解グルテンを、ナチュラルチーズ
の重量に対して1〜10%、より好ましくは2〜3%の割
合で配合するのが、油分離が無く、食感および風味の良
好なプロセスチーズを得る上で望ましい。加水分解グル
テンの配合量が1%より少ないと、乳化が充分に行われ
ずプロセスチーズに油分離を生じ易くなり、また10%よ
り多くなると製造されるプロセスチーズの食感および風
味が劣ったものとなる。
の加水分解グルテン」は、グルテンを酸、アルカリ、プ
ロテアーゼ、またはその他によって加水分解して得られ
るものであればよく、加水分解の方法や条件、グルテン
が由来する原料の種類等を問わない。また、本発明では
加水分解グルテンとして、グルテン分子内や分子間のSS
結合を切断する還元処理、グルテン中のアミド結合を切
断する脱アミド化処理の予備処理を予め行った後に加水
分解諸をして得た加水分解グルテンを使用することもで
きる。そのうちでも、プロテアーゼを使用して加水分解
して製造される加水分解グルテンが、得られるプロセス
チーズの食感、風味、安全性等の点から好ましい。この
場合のプロテアーゼとしては、例えば、ペプシン、トリ
プシン、キモトリプシン、ヒイロタケ起源の酸性プロテ
アーゼ、アスペルギルス起源の酸性プロテアーゼ、パパ
イン、ブロメライン等のプロテアーゼを挙げることがで
きる。
ってプロセスチーズを製造する。
の清拭等の前処理を施したナチュラルチーズを粉砕し、
これを、上記の平均分子量5,000〜20,000の加水分解グ
ルテンおよび水とともに蒸気ジャケット付き乳化釜(溶
融釜)に入れ、常法により温度80〜85℃で溶融乳化を行
って均一な乳化状態にした。完全に溶融乳化されたチー
ズは滑らかで、糸をひくように流れ落ちるので、これを
熱いうちに所望の形状に充填包装し、冷却して成型・包
装されたプロセスチーズにする。
ェダーチーズおよびゴーダーチーズを主に使用する。し
かしながらこれらに限るものではなく、例えば風味に特
徴を出すためにエメンタールチーズやその他のナチュラ
ルチーズを併用することもできる。ナチュラルチーズは
単独で使用しても、数種併用してもよい。また、熟度の
異なるナチュラルチーズをブレンドすることによって、
得られるプロセスチーズの硬さ、風味、食感等を調節す
ることができる。
60%になるよう調整する。
に応じて香辛料(キャラウェー、パプリカ、セロリー、
とうがらし、ピメント、しその葉等)、アーモンド等の
木の実類、ハム、ベーコン、鮭の水煮や燻製等の獣魚肉
類、調味料、着色料(アンナットー、β−カロチン
等)、保存料、乳成分等の他の材料を添加することがで
きる。
スチーズを得るためには、充填包装後のプロセスチーズ
をできる限り速やかに冷却し、0〜5℃の温度で保存す
るのがよい。
発明はそれらの例により限定されない。
を加え、ホモゲナイザーで分散、溶解させた後、遠心分
離機を使用して未溶解物を除去した。得られたグルテン
溶液を、ペプシン固定化担体を充填したカラムにカラム
温度40℃および空間速度2hr-1(カラムでの平均滞留時
間30分)で連続的に通塔してグルテンの部分加水分解処
理を行った。通塔液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し
た後、80℃で30分間加熱し、遠心分離機で未分解残渣を
除去した。上澄液を噴霧乾燥して白色の加水分解グルテ
ン粉末を得た。このものの平均分子量を上記した方法に
より測定したところ、約12,000であった。
ズ1800g、水300gおよび上記参考例で得られた平均分子
量12,000の加水分解グルテンを下記の表1に示した量で
入れた。常法により温度80〜85℃で溶融乳化を行って均
一な乳化状態にした。次いでこの乳化状物を室温にまで
急冷することによって固体状のプロセスチーズを得た。
切り出し、油分離状態をみるために、No.5の濾紙上に50
℃で24時間放置し、その後チーズからの油分離によって
濾紙に生じた油じみの直径を測定した。測定結果を下記
の表1に示す。
チーズの品質を下記の評価基準によって評価してもら
い、5名の平均値を採った。この結果も表1に示す。
に、縮合リン酸塩を54g使用し、他は上記と同様にして
プロセスチーズを製造した。このプロセスチーズの油分
離状態ならびに品質を上記と同じようにして調査したと
ころ、表1に示したとおりの結果であった。
ルテンを使用している本発明では、リン酸塩を使用する
従来法に比べて、製造されたプロセスチーズにおける油
分離が少なく、かつチーズの品質が良好であること、し
かも加水分解グルテンの配合量が1〜10%の範囲にある
ときにそれらの効果が一層発揮されることがわかる。
(特にカラムでの平均滞留時間)を変えることによっ
て、各々、平均分子量2,000、5,000、15,000および30,0
00の加水分解グルテンを製造した。
は、実施例1と同じようにしてプロセスチーズを製造し
た。
に品質を実施例1と同様にして調査した。得られた結果
を下記の表2に示す。
解グルテンを配合して溶融乳化を行っている本発明の実
施例2および3では、油分離が少なく、かつ品質の良好
なプロセスチーズが得られるのに対して、上記範囲外の
平均分子量を有する加水分解グルテンを使用している比
較例2および3では得られたプロセスチーズにおける油
分離が大きく、かつ品質が劣ったものになることがわか
る。
加熱により溶融乳化してプロセスチーズを製造するにあ
たって、従来のリン酸塩からなる乳化剤の代わりに、平
均分子量5,000〜20,000という特定の分子量範囲を有す
る加水分解グルテンを使用することによって、該従来法
に比べて、油分離が少なくかつ組織が均一で滑らかで食
感および風味の良好なプロセスチーズを得ることが可能
になった。
加水分解グルテンは、小麦に由来しそれ自体が天然の食
品成分であるため、安全性が高く、リン酸塩の多量使用
において心配されるようなミネラル代謝のアンバランス
による生体への悪影響がない。
チーズの組織を均一でなめらかであり、食感および風味
が良好であり、白斑点等が生じない等の優れた効果があ
る。
Claims (1)
- 【請求項1】平均分子量5,000〜20,000の加水分解グル
テンをナチュラルチーズの重量に対して1〜10%配合し
てナチュラルチーズを溶融乳化することを特徴とするプ
ロセスチーズの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1033626A JP2866663B2 (ja) | 1989-02-15 | 1989-02-15 | プロセスチーズの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1033626A JP2866663B2 (ja) | 1989-02-15 | 1989-02-15 | プロセスチーズの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02215345A JPH02215345A (ja) | 1990-08-28 |
JP2866663B2 true JP2866663B2 (ja) | 1999-03-08 |
Family
ID=12391655
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1033626A Expired - Lifetime JP2866663B2 (ja) | 1989-02-15 | 1989-02-15 | プロセスチーズの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2866663B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018057409A (ja) * | 2018-01-17 | 2018-04-12 | 奥野製薬工業株式会社 | 食品用品質改良剤 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA1226165A (en) * | 1984-03-27 | 1987-09-01 | Sharon R. Birney | Meltable cheese analog |
-
1989
- 1989-02-15 JP JP1033626A patent/JP2866663B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02215345A (ja) | 1990-08-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100870372B1 (ko) | 고기 대용품의 제조방법, 이의 방법으로 얻은 고기 대용품및 즉석 고기 대용품 | |
JP3635801B2 (ja) | 乳ホエイ蛋白含有粉末及びこれを使用した加工食品 | |
JPH0448414B2 (ja) | ||
JPH0254060B2 (ja) | ||
DE60219775T2 (de) | Als bindemittel dienende enzympräparate sowie verfahren zur herstellung von gebundenen, geformten nahrungsmitteln | |
US5674548A (en) | Defatted soybean milk, soybean protein and soybean protein material and process for preparing them | |
JP3210333B2 (ja) | 等電pHにおいて凝集可能な蛋白、例えばカゼインのアルカリ金属イオン含量の加減による即時熱的凝集法、かくして得られる凝塊およびその使用、特に食料品の製造のための使用 | |
JPH1056976A (ja) | 植物性蛋白加工食品 | |
JP3417350B2 (ja) | 大豆蛋白加水分解物及びその製造法並びにそれを使用した製品 | |
JP2866663B2 (ja) | プロセスチーズの製造方法 | |
EP1618792B1 (en) | Process for producing cheese | |
JP2001046851A (ja) | 乳化剤組成物及びこれを用いた酸性水中油型乳化物 | |
JPH0564550A (ja) | ホエー蛋白質含有溶液、それを用いたホエー蛋白質ゲル化物、ホエー蛋白質粉末及び加工食品 | |
JP3630443B2 (ja) | 加工食品用品質改良剤 | |
JPH045421B2 (ja) | ||
WO2007108708A1 (en) | Processed cheese comprising non-denatured and denatured whey protein | |
JPS63265A (ja) | 食品素材の製造法 | |
EP0241896B1 (en) | A water-binding and gelatinising agent prepared from defatted pork rind and a process for its preparation | |
JPS6225011B2 (ja) | ||
JPH06209716A (ja) | 大豆カゼイン架橋混合蛋白の製造法 | |
JPS60251840A (ja) | チ−ズ様食品の製造法 | |
JP5594480B2 (ja) | 低脂肪プロセスチーズおよびその製造方法 | |
JP5183006B2 (ja) | 大豆蛋白加水分解物の製造方法 | |
JP2854529B2 (ja) | 低脂肪ソーセージおよびその製造方法 | |
JP2001029043A (ja) | 食肉加工品の製法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081218 Year of fee payment: 10 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091218 Year of fee payment: 11 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091218 Year of fee payment: 11 |