JP2861682B2 - アンチスキッド制御装置 - Google Patents

アンチスキッド制御装置

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JP2861682B2
JP2861682B2 JP29014092A JP29014092A JP2861682B2 JP 2861682 B2 JP2861682 B2 JP 2861682B2 JP 29014092 A JP29014092 A JP 29014092A JP 29014092 A JP29014092 A JP 29014092A JP 2861682 B2 JP2861682 B2 JP 2861682B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アンチスキッド制御装
置、特にヨーレイトフィードバック制御も加えて左右輪
の制動力を調整するアンチスキッド制御装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】アンチスキッドシステム (ABS)は、車輪
回転数を検出し、制動時に車輪の制動力を調整するよう
ABS制御を作動させることよって、例えばブレ−キの踏
みすぎによるウエット路等でのブレ−キングの際にで
も、車輪制動力の調整で車輪ロック防止に効果を発揮す
るものであるが、このようなシステムを利用して、ABS
に更に、ヨーレイトフィードバック制御を加えて車両挙
動制御も行うようにするヨーレイトフィードバックABS
の技術について、本出願人は先に提案をしている (特願
平2-269610号 (特開平4-146863号公報))。
【0003】これは、ヨーレイトをフィードバックして
その偏差 (目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの偏差e)
に基づき、ABS 制御で用いる被比較物理量 (基準スリッ
プ率/ 基準回転加速度) を左右輪で各々変更する方式と
することで、ABS 作動時、制動力に左右差を生じさせる
ことができる。従って、ヨーレイトフィードバックの左
右制動力差制御による車両挙動の制御も可能ならしめる
ものであり、上記提案に従うと、基準値として基準回転
加速度、即ち基準車輪回転加速度を対象としてその基準
車輪回転加速度をヨーレイト偏差で変更する車両挙動制
御機能付の ABS装置が得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このものでは、基準車
輪回転加速度を K・|e|(K=定数) をもって加減する
ことで変更することになる。一方、ヨーレイト偏差eの
発生状態が急激なときにはこれに応じてヨーレイトフィ
ードバック ABSを早めに作動させるのがよく、それによ
って応答性が向上し実際のヨーレイトを目標ヨーレイト
によく追従させ得て目標値に一致させることができるの
で、早めに ABSを作動させたいが、 ABSの作動開始タイ
ミングを決定する基準車輪回転加速度の値を|e|で変
更するだけではこの急激さが反映されておらず、従っ
て、この点では応答性が不十分で改良の余地がある。
【0005】本発明は、上記のような点に鑑みなされた
もので、ヨーレイトフィードバック制御も加えて左右制
動力差制御による車両挙動制御も行わせる場合に、ヨー
レイト偏差の発生状態が急激なときにはそれに合わせて
早めにアンチスキッドを作動させられ、もって応答性の
向上を図ることのできるアンチスキッド制御装置を提供
することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によって、下記の
アンチスキッド制御装置が提供される。車輪回転数を検
出する車輪回転数検出手段を有すると共に、少なくとも
車輪回転数信号から算出される車輪回転加速度と基準回
転加速度との比較に基づいて、車輪の制動力を調整する
アンチスキッド装置を有する制御装置であって、ステア
リングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段と、
車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、少
なくとも前記操舵角検出手段の検出操舵角に基づいて車
両の目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手段
と、斯く算出される目標ヨーレイトと前記ヨーレイト検
出手段により検出されるヨーレイトとの偏差に基づい
て、前記車輪回転数検出手段から得られる車輪回転数信
号を左右輪側各々で補正する車輪回転数信号補正手段と
を具備し、前記アンチスキッド装置は、前記基準回転加
速度との比較のための車輪回転加速度の算出に、斯くヨ
ーレイト偏差に基づいて補正された車輪回転数信号を適
用して左右輪側各々の車輪回転加速度を算出し、斯く算
出された車輪回転加速度と前記基準回転加速度との比較
に基づいて、車輪の制動力を調整するアンチスキッド装
置である、ことを特徴とするアンチスキッド制御装置で
ある (図1)。また、車輪回転数を検出する車輪回転数検
出手段を有すると共に、少なくとも車輪回転数信号から
算出される車輪回転加速度と基準回転加速度との比較に
基づいて、車輪の制動力を調整するアンチスキッド装置
を有する制御装置であって、ステアリングホイールの操
舵角を検出する操舵角検出手段と、車両のヨーレイトを
検出するヨーレイト検出手段と、少なくとも前記操舵角
検出手段の検出操舵角に基づいて車両の目標ヨーレイト
を算出する目標ヨーレイト算出手段と、斯く算出される
目標ヨーレイトと前記ヨーレイト検出手段により検出さ
れるヨーレイトとの偏差の微分値を算出する手段と、斯
くヨーレイト偏差を微分して求めた微分値に基づいて、
前記基準回転加速度を左右輪側各々で補正する基準回転
加速度補正手段とを具備し、前記アンチスキッド装置
は、前記車輪回転数検出手段から得られる車輪回転数信
号から算出した車輪回転加速度と、斯くヨーレイト偏差
の微分値に基づいて左右輪側各々で補正された基準回転
加速度との比較に基づいて、車輪の制動力を調整するア
ンチスキッド装置である、ことを特徴とするアンチスキ
ッド制御装置が提供される。
【0007】
【作用】請求項1 の発明では、車輪回転数検出手段によ
り車輪回転数が検出され、アンチスキッド装置は、少な
くとも車輪回転数信号から算出される車輪回転加速度と
基準回転加速度との比較に基づいて、車輪の制動力を調
整することでアンチスキッドを行うものであるが、その
場合、目標ヨーレイト算出手段が少なくともステアリン
グホイールの操舵角を検出する操舵角検出手段の検出操
舵角に基づいて車両の目標ヨーレイトを算出し、ヨーレ
イト検出手段が車両のヨーレイトを検出し、車輪回転数
信号補正手段は、斯く算出される目標ヨーレイトとヨー
レイト検出手段により検出されるヨーレイトとの偏差に
基づいて、前記車輪回転数検出手段から得られる車輪回
転数信号を左右輪側各々で補正し、前記アンチスキッド
装置は、前記基準回転加速度との比較のための車輪回転
加速度の算出に、斯くヨーレイト偏差に基づいて補正さ
れた車輪回転数信号を適用して左右輪側各々の車輪回転
加速度を算出し、斯く算出された車輪回転加速度と前記
基準回転加速度との比較に基づいて、車輪の制動力を調
整する。
【0008】よって、ヨーレイトフィードバック制御も
加えて左右制動力差制御による車両挙動制御も行わせる
場合において、基準回転加速度との比較のための車輪回
転加速度の算出にはヨーレイト偏差に基づいて補正され
た車輪回転数信号が適用されてその車輪回転加速度の値
が算出され、アンチスキッドが実行されることとなる結
果、ヨーレイト偏差の変化率が制御に反映されることと
なり、ヨーレイト偏差の発生状態が急激なときにはそれ
に応じて早めにアンチスキッドを作動させたいという要
請にも容易に応え得て、応答性の向上を可能ならしめ
る。しかも、ドライ急制動のような場合にでも、本発明
のアンチスキッド制御装置でヨーレイトフィードバック
制御による車両挙動制御の作動が遅れなく開始される。
また、車輪回転数信号自体の補正は、車輪回転数信号か
ら車輪回転加速度を算出する場合になされる微分演算処
理でヨーレイト偏差の変化率であるその微分値が反映さ
れることになるため、別途ヨーレイト偏差値を微分演算
処理して微分値を求める必要もなく、演算処理を簡易な
ものにする。
【0009】請求項2 の場合は、上記車輪回転数信号補
正手段による補正に代えて、ヨーレイト偏差の微分値を
算出すると共に、該ヨーレイト偏差を微分して求めた微
分値に基づいて基準回転加速度を左右輪側各々で補正
し、前記アンチスキッド装置は、前記車輪回転数検出手
段から得られる車輪回転数信号から算出した車輪回転加
速度と、斯くヨーレイト偏差の微分値に基づいて左右輪
側各々で補正された基準回転加速度との比較に基づい
て、車輪の制動力を調整するようにしたものである。こ
の場合も、同様に、ヨーレイト偏差の発生状態が急激な
ときにはそれに応じて早めにアンチスキッドを作動させ
ることができ、応答性を向上させることができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図2 は左右前輪10,11 を個々にアンチスキッ
ド制御し、左右後輪12,13 を共通にアンチスキッド制御
するようにした本発明装置の一実施例を示す。前 2輪1
0,11 はステアリングホイール14により転舵されて車両
を操舵し、後 2輪12,13 はプロペラシャフト16及びディ
ファレンシャルギヤ17を介しエンジン駆動されて車両を
走行させる。
【0011】かかる車両のブレーキシステムは以下の構
成とする。即ち、18はブレーキペダル、19は倍力装置、
20はマスターシリンダで、ブレーキペダル18の踏込力に
応じたマスターシリンダ20からのマスターシリンダ液圧
Pm は、コントロールユニット21と共にアンチスキッド
装置を構成するアクチュエータ22に供給する。アクチュ
エータ22はコントロールユニット21による後述の制御下
でアンチスキッド作動時、マスターシリンダ液圧 Pm
一方を後輪12,13 がロックしないよう調圧しつつ夫々の
ホイールシリンダ23,24 に共通の後輪制動液圧 (ブレ−
キ液圧)PR として供給し、マスターシリンダ液圧 Pm
他方を前輪10,11 がロックしないよう個々に調圧しつつ
夫々のホイールシリンダ25,26 に個々の前輪制動液圧
(ブレ−キ液圧)P1,P2として供給する。なお、後輪制動
液圧 PR の供給系には周知のプロポーショニングバルブ
(Pバルブ) を挿入する。
【0012】アクチュエータ22は各供給系に液圧制御用
の電磁弁を備え、これら電磁弁をもってコントロールユ
ニット21からの制動液圧制御信号に応じ制動液圧 PR ,
P1,P2 を個々に制御し、ホイールシリンダ圧の調圧をな
す。各電磁弁は、既知のアクチュエータ制御 (ABS 制
御) 用の減圧、保圧 (保持)、増圧制御可能なON・OFF
制御型の三位置電磁弁を使用し、減圧位置の時対応液圧
を減圧し、保圧位置の時対応液圧を保持し、増圧位置の
時対応液圧を元圧であるマスターシリンダ液圧 Pm に向
け増圧するものとする。
【0013】コントロールユニット21には、後 2輪12,1
3 の平均回転数であるプロペラシャフト16の回転数を検
出する後輪回転センサ28からの回転数信号、左前輪10の
回転数を検出する左前輪回転センサ29からの回転数信
号、及び右前輪11の回転数を検出する右前輪回転センサ
30からの回転数信号を入力すると共に、ステアリングホ
イール (ハンドル)14 の操舵角 (舵角) θを検出する舵
角センサ15からの信号、車両の実ヨーレイト(d/dt)φを
検出するヨーレイト検出手段としてのヨーレイトセンサ
31からの信号、ブレーキスイッチ32からの信号等を入力
する。
【0014】コントロールユニット21はマイクロコンピ
ュータを含み、基本的には、上記の回転センサからの入
力情報を基にアンチスキッド制御を行うが、その場合、
本実施例では、アンチスキッド制御に用いる車輪回転数
についての目標ヨーレイトと実際のヨーレイトとの偏差
に応じた補正を行う。アンチスキッド制御については、
本装置では、車輪の回転加速度を制御パラメータとする
もので、車輪回転数を検出し、少なくとも車輪回転数信
号から算出される車輪回転加速度と基準回転加速度との
比較に基づいて、各車輪の制動力の調整をする方式によ
る。具体的には、車輪回転数によりスリップ率と車輪回
転加速度とを算出してそれらを各基準値と比較すること
により、車輪の制動力を調整するものであるところ、少
なくとも操舵角に基づいて算出される目標ヨーレイトと
実際のヨーレイトとの偏差に基づいて、車輪回転数信号
の方を左右輪 (左右前輪10,11)で各々補正する。即ち、
本実施例では、車輪回転センサ29,30 による回転数信号
自体を補正する。
【0015】図3 はコントロールユニット21内のマイク
ロコンピュータにより実行される上記の車輪回転数補正
処理を含むアンチスキッド制御プログラムの一例を示す
フローチャートである。本プログラムは一定時間毎に実
行される。
【0016】図3 において、まず、ステップ100 では、
各センサからの信号に基づき、左前輪、右前輪、後輪の
車輪回転数信号 VFL,VFR,VR 及び舵角θ、ヨーレイト(d
/dt)φを読込む。次に、ステップ101 で目標ヨーレイト
(d/dt)φM の算出を行う。
【0017】ここでは、上記ステップ100 で読み込んだ
舵角θから目標ヨーレイト(d/dt)φ M を次式に従って算
出するものとする。
【数1】 (d/dt)φM = G・θ・{1/(1+τs)} ---1 ここに、G はステアリングギア比、ヨー慣性モーメント
などの車両諸元及び車速等により決定される定数であっ
て、1/(1+τs)は G・θの値い 1次おくれを加えること
を示す (なお、τは 1次のフィルタの時定数で、s はラ
プラス演算子を表す) 。
【0018】次いで、ステップ102 で目標ヨーレイト(d
/dt)φM と実ヨーレイト(d/dt)φとの偏差εを、次式
【数2】 ε=(d/dt)φM −(d/dt)φ ---2 により算出する。偏差εは、次のステップ103 の処理に
おいて、センサで実際に検出されている車輪回転数の値
を左右前輪で補正するのに適用される。
【0019】即ち、ステップ103 では、本ステップ実行
毎、前記ステップ100 で読み込んだ車輪回転数信号の補
正をする。ここでは、下記に基づき、前記ステップ102
にて算出した偏差εに定数K を乗算した値を、補正値と
して左右の前輪の車輪回転数信号 VFL,VFRに適用するこ
とによってこれを行う。
【数3】 VFL← VFL− K・ε (但し、 K・ε<0 なら、 K・ε=0) ---3a VFR← VFR+ K・ε (但し、 K・ε>0 なら、 K・ε=0) ---3b 但し、上記の夫々のカッコ書きのように、補正後の値は
補正前の値を越えないものとする。即ち、夫々、カッコ
書きの条件下では、補正値 K・εは値0 を適用する。こ
れは、車輪回転数が回復したとして液圧が上昇しすぎて
新たなロックを引き起こすことを防ぐためである。な
お、この場合にも ABSが作動するからロックには至らな
いため、ステップ103 で行う車輪回転数信号の補正に関
し、上記の処理に限らず、補正後の値が補正前の値より
大きくなることがあるようにしてもよい。
【0020】次に、ステップ104 では、前輪左右につい
ては上記ステップ103 で補正された車輪回転数信号を基
にして、また後輪についてはステップ100 で読み込んだ
車輪回転数信号を基にして、各輪毎にスリップ率λi
車輪回転加速度 (d/dt)Vi を算出する。
【0021】しかして、ステップ105 において、本ステ
ップ実行毎、上記ステップ104 にて算出されたスリップ
率λi と車輪回転加速度 (d/dt)Vi を例えば図4 の ABS
の制御表にあてはめて各輪毎にホイールシリンダ圧力の
増圧、保持、減圧を決定し、制動力を調整する。同図に
おいて、λS ,(d/dt)VS は、夫々設定された基準スリッ
プ率、基準車輪回転加速度であり、ステップ104 で算出
されたスリップ率λi と車輪回転加速度(d/dt)Vi をそ
の各基準値と比較し、かかる制御表の制御パターンに従
って制動力を調整する ABS制御が実行されることにな
る。即ち、制動時、該当する車輪につき、算出した車輪
回転加速度 (d/dt)Vが基準車輪回転加速度 (d/dt)VS
越えるとロック傾向とみて対応するホイールシリンダ液
圧を保持し、なおもロックしそうなら減圧し、車輪回転
数が回復すれば増圧するようスキッドサイクル繰り返さ
れるように制動力が制御されることになる。
【0022】以上のような制御により、ヨーレイト偏差
εに基づいて左右輪の車輪回転数信号 VFL,VFRを補正
し、その補正された車輪回転数信号に基づいて ABS制御
を行わせることができ、偏差εの発生状態が急激なとき
にはそれに応じて早めに ABSを作動させることができ
る。本実施例では、上記した如く、 V← V± K・εにて
補正された車輪回転数信号の(d/dt)V 値 (車輪回転加速
度) を算出することとなるため、(d/dt)V ← (d/dt)V±
K・(d/dt)εであるから偏差εの変化率である(d/dt)ε
が車輪回転数信号に反映されることとなり、早期に保持
領域に入るため、ABS ONの応答性が向上し、ヨーレイト
フィードバックABS により制動力に左右差を発生させる
ようにして旋回制動時の車両挙動を制御する車両挙動制
御の応答性も高まる。
【0023】なお、本制御は、基準車輪回転加速度 (d/
dt)VS ( 図4)の値を単にヨーレイト偏差εで変更する技
術とは異なるものであるので、これについて付言してお
くと、次のようである。即ち、かかる場合は、基準値
を、
【数4】 (d/dt)VS ← (d/dt)VS − K・ε ---4 の如くに変更することになる。一方、本実施例制御で
は、車輪回転数信号V(= VFL,VFR) を補正するのだか
ら、例えば、
【数5】 V← V− K・ε ---5a ∴ (d/dt)V← (d/dt)V− K・(d/dt)ε ---5b である。よって、 (d/dt)VS を上記式4 のように (d/d
t)VS − K・εに変更するのではなく、 (d/dt)VS を (d
/dt)VS − K・(d/dt)εに変更するのに等しい。従っ
て、(d/dt)εが反映されない式4 のような変更とは、実
質的にも同じではない。
【0024】更に、本実施例に従えば、車輪回転数信号
自体を補正し、これがもともと行われる微分演算処理
(ステップ104 における (d/dt)Vi 値算出処理) により
(d/dt)V とされることでヨーレイト偏差εの変化率(d/d
t)εが反映されることになるため、偏差εの発生状態の
急激さをヨーレイトフィードバックABS の作動に反映さ
せようとするにあたり、プログラム上、新たにεを微分
演算処理して(d/dt)ε値を求める必要がないため、演算
処理が簡易であるという利点がある。
【0025】図5 は、本制御の内容をより理解できるよ
うにするためのタイムーチャートの一例である。同図
(a)〜 (f)は、ブレ−キペダルを踏みつつハンドルを右
に切った場合におけるマスターシリンダ圧 Pm ( 同
(a))、舵角θ及び目標ヨーレイト(d/dt)φM (同(b))、
実ヨーレイト(d/dt)φ (同(c))、ヨーレイト偏差ε (同
(d))、車輪回転数 (同(e))、ホイールシリンダ圧 (同
(f))の夫々の推移を示す。なお、図では車輪回転数とホ
イールシリンダ圧に関しては、左前輪側についてのみ示
してある。
【0026】図中、時刻t0にてブレ−キが踏まれ、これ
に伴いマスターシリンダ圧 Pm が同図(a) のような推移
で立ち上がっている。かかる踏み込み操作中、時刻t2
て、運転者はハンドルを右に切っており、そのようにハ
ンドルを右に切ると、舵角θの変化に対して前記式1 に
従い目標ヨーレイト(d/dt)φM が決定される (同図
(b))。
【0027】ここで、本制御のない通常の ABSでは、同
図(c) の破線のようなヨーレイトになる。即ち、ハンド
ルを切っても車両はゆっくりとして回頭せず、また、オ
ーバーシュートが発生して運転しづらい。ところが、本
制御があると、前記式3aにより左前輪の車輪回転数信号
VFLは小さな値をとって (同図(e))、時刻t3にて、基準
車輪回転加速度を越えてABS が作動して左前輪ホイール
シリンダ圧P1の保持に入り (同図(f))、続いて減圧に入
る( ABSの作動は、急激な車輪回転速度の減少をとらえ
ることによって、即ち、車輪回転加速度が基準値を越え
ることによって開始されるが、前記のように偏差εの発
生状態が急激なときにはそれに応じて早めに ABSが作動
する) 。なお、右前輪の車輪回転数信号 VFRは、前記3b
式によるときは、この時は、補正項は K・ε=0 で、従
って、センサ値そのままが制御に適用されていることに
なる。
【0028】一方、本制御のない場合は、左前輪車輪回
転数は同図(e) の破線のように推移するものとなり、当
該左前輪ホイールシリンダ圧の保持に入るのは、時刻 t
(3)( 時刻t3より遅れた時刻) となり、左前輪ホイール
シリンダ圧は同図(f) の破線のようになる。つまり、同
図(f) の斜線の部分だけ左前輪の制動力が減少して、右
回りのモーメントが増加し、結局、ハンドルを右に切っ
たときの回頭性が増すのである。しかも、このような車
両挙動制御が、前述した如くに早期に ABSが作動する結
果、応答性良く遅れなく開始され、制動力に左右差を出
すタイミングは早いものとなり、かつ、本実施例の場合
は、プログラム上、別途ヨーレイト偏差ε値を微分演算
処理して(d/dt)ε値を求めることなく、上記を実現でき
るのである。また、ヨーレイトフィードバックABS によ
り制動力に左右差を発生させるようにして旋回制動時の
車両挙動を制御する場合にその車両挙動制御の応答性を
高められると、ヨーレイト偏差ε (図5(d)) を低減する
よう左右差圧を制御することができ、実際の発生ヨーレ
イト(d/dt)φが目標ヨーレイト(d/dt)φM によく追従し
目標値に一致させることができる。
【0029】また、目標ヨーレイトと実ヨーレイトとの
ヨーレイト偏差に応じてその偏差が零となるような左右
のブレ−キ圧力差を算出し、目標圧力を求めてその圧力
になるようホイールシリンダ圧を制御する車両の制動力
制御方式 (アクティブブレーキ) による車両挙動制御も
提案している (特開平3-281467号公報) 。この方式のも
のの場合は、ホイールシリンダ圧を検出するセンサが必
要となるため、その分コストが上昇するのに対し、本制
御では、そのような圧力センサを用いることもなく、目
標圧力を求めない ABS装置を利用して上記のような車両
挙動制御を適切に行わせることができる。
【0030】更に、本制御によると、低μ路での制動時
の場合だけではなく、スリップ率が初期には小さくと
も、車輪の変動率が大きい (例えば、ドライ路での急制
動) ような場合にも、ヨーレイト偏差の発生状態の急激
さに合わせて早期に ABSがONしヨーレイトフィードバッ
ク制御による上記車両挙動制御の作動が遅れなく開始さ
れ、そのような場合の応答性向上の効果もあげられる。
【0031】次に、本発明の他の実施例(第2 実施例)
を説明する。前記実施例 (第1 実施例) は、車輪回転数
をヨーレイト偏差εにより補正したが、本実施例では、
ヨーレイト偏差εの微分値に基づいて基準車輪回転加速
度 (d/dt)VS を左右輪側各々で補正する。システムのハ
ード構成は図2 と同様であってよい。
【0032】図6 は、本実施例においてコントロールユ
ニット21が実行する制御プログラムフローチャートの一
例である。そのステップ200,201,202 の処理内容は、前
記第1 実施例の図3 のプログラムのステップ100,101,10
2 のものと同様である。
【0033】図6 のプログラムにおいて、ステップ202
に続くステップ203 では、ヨーレイト偏差εの微分値(d
/dt)εを算出し、ステップ204 では、ステップ200 で読
み込んだ車輪回転数信号を基にして、各輪毎にスリップ
率λi 、車輪回転加速度 (d/dt)Vi を算出し、次のステ
ップ205 において、基準車輪回転加速度 (d/dt)VS を、
前記ステップ203 でヨーレイト偏差εを微分演算処理し
て求めた(d/dt)ε値により、
【数6】 (d/dt)VS ← (d/dt)VS ± K・(d/dt)ε ---6 で補正する。しかして、ステップ206 において、ステッ
プ204 で算出されたスリップ率λiと車輪回転加速度 (d
/dt)Vi を、基準スリップ率λS と上記のステップ205
で得られる基準車輪回転加速度 (d/dt)VS と比較するこ
とにより、制動力を調整するようにするものである。
【0034】以上のような制御により、本実施例でも、
前記実施例と同様、偏差εの発生状態が急激なときには
それに応じて早めに ABSを作動させることができ、従っ
て、本発明は、このように基準車輪回転加速度 (d/dt)V
S を、ヨーレイト偏差εを微分演算処理して求めた(d/d
t)ε値により、 (d/dt)VS ← (d/dt)VS ± K・(d/dt)ε
で補正するようにして実施してもよい。
【0035】なお、上記各実施例は、後輪を共通に制御
する 3チャンネルのABS に適用した場合であるが、本発
明は 4チャンネルのシステムにも適用できる。
【0036】
【発明の効果】請求項1 のアンチスキッド制御装置によ
れば、少なくとも車輪回転数信号から算出される車輪回
転加速度と基準回転加速度との比較に基づいて車輪の制
動力を調整しアンチスキッドを行う場合に、ヨーレイト
偏差に基づいて左右輪の車輪回転数信号を補正し、基準
回転加速度との比較のための車輪回転加速度の算出には
ヨーレイト偏差に基づいて補正された車輪回転数信号が
適用されてその車輪回転加速度の値が算出され、アンチ
スキッドが実行されることとなる結果、ヨーレイト偏差
の変化率が制御に反映されることとなり、従って、ヨー
レイト偏差の変化率を反映させ得てヨーレイト偏差の発
生状態が急激なときにはこれに合わせて早めにアンチス
キッドを作動させられ、応答性の向上が図れ、車両挙動
制御の作動を遅れなく実行できる。しかも、ドライ急制
動のような場合にでも、本発明のアンチスキッド制御装
置でヨーレイトフィードバック制御による車両挙動制御
の作動が遅れなく開始される。更に、車輪回転数信号自
体を補正することにより、車輪回転数信号から車輪回転
加速度を算出する場合になされる微分演算処理でヨーレ
イト偏差の変化率であるその微分値が反映されることに
なることから、この場合は、ヨーレイト偏差値を微分演
算処理してその微分値を別途求めるという必要もなく、
演算処理が簡易である。
【0037】また、請求項2 の場合は、ヨーレイト偏差
の微分値を算出すると共に、該ヨーレイト偏差を微分し
て求めた微分値に基づいて基準回転加速度を左右輪側各
々で補正し、車輪回転数検出手段から得られる車輪回転
数信号から算出した車輪回転加速度と、斯くヨーレイト
偏差の微分値に基づいて左右輪側各々で補正された基準
回転加速度との比較に基づいて、車輪の制動力を調整す
ることにより、同様に、ヨーレイト偏差の発生状態が急
激なときにはそれに応じて早めにアンチスキッドを作動
させたいという要請に応え得て、応答性を向上させるこ
とができるアンチスキッド制御装置を提供することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明アンチスキッド制御装置の概念図であ
る。
【図2】本発明装置の一実施例を示すシステム図であ
る。
【図3】同例におけるコントロールユニットの制御プロ
グラムの一例を示すフローチャートである。
【図4】車輪回転加速度を制御パラメータとして含むア
ンチスキッドの制御パターンの一例を示す図である。
【図5】本発明制御の内容の一例の説明に供するタイム
チャートである。
【図6】本発明の他の実施例に係る制御プログラムの一
例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10,11 前輪 12,13 後輪 14 ステアリングホイール 15 舵角センサ 18 ブレーキペダル 20 マスターシリンダ 21 コントロールユニット 22 アクチュエータ 23〜26 ホイールシリンダ 28 後輪回転センサ 29 左前輪回転センサ 30 右前輪回転センサ 31 ヨーレイトセンサ 32 ブレーキスイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸古 直樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−146863(JP,A) 特開 平3−281467(JP,A) 特開 平4−287753(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60T 8/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪回転数を検出する車輪回転数検出手
    段を有すると共に、少なくとも車輪回転数信号から算出
    される車輪回転加速度と基準回転加速度との比較に基づ
    いて、車輪の制動力を調整するアンチスキッド装置を有
    する制御装置であって、 ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手
    段と、 車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、 少なくとも前記操舵角検出手段の検出操舵角に基づいて
    車両の目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手
    段と、 斯く算出される目標ヨーレイトと前記ヨーレイト検出手
    段により検出されるヨーレイトとの偏差に基づいて、前
    記車輪回転数検出手段から得られる車輪回転数信号を左
    右輪側各々で補正する車輪回転数信号補正手段とを具備
    し、 前記アンチスキッド装置は、前記基準回転加速度との比
    較のための車輪回転加速度の算出に、斯くヨーレイト偏
    差に基づいて補正された車輪回転数信号を適用して左右
    輪側各々の車輪回転加速度を算出し、斯く算出された車
    輪回転加速度と前記基準回転加速度との比較に基づい
    て、車輪の制動力を調整するアンチスキッド装置であ
    る、 ことを特徴とするアンチスキッド制御装置。
  2. 【請求項2】 車輪回転数を検出する車輪回転数検出手
    段を有すると共に、少なくとも車輪回転数信号から算出
    される車輪回転加速度と基準回転加速度との比較に基づ
    いて、車輪の制動力を調整するアンチスキッド装置を有
    する制御装置であって、 ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出手
    段と、 車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、 少なくとも前記操舵角検出手段の検出操舵角に基づいて
    車両の目標ヨーレイトを算出する目標ヨーレイト算出手
    段と、 斯く算出される目標ヨーレイトと前記ヨーレイト検出手
    段により検出されるヨーレイトとの偏差の微分値を算出
    する手段と、 斯くヨーレイト偏差を微分して求めた微分値 に基づい
    て、前記基準回転加速度を左右輪側各々で補正する基準
    回転加速度補正手段とを具備し、 前記アンチスキッド装置は、前記車輪回転数検出手段か
    ら得られる車輪回転数信号から算出した車輪回転加速度
    と、斯くヨーレイト偏差の微分値に基づいて左右輪側各
    々で補正された基準回転加速度との比較に基づいて、車
    輪の制動力を調整するアンチスキッド装置である、 こと
    を特徴とするアンチスキッド制御装置。
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