JP2003160042A - 車両用旋回制御装置および操舵限界判定法 - Google Patents

車両用旋回制御装置および操舵限界判定法

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JP2003160042A
JP2003160042A JP2001361460A JP2001361460A JP2003160042A JP 2003160042 A JP2003160042 A JP 2003160042A JP 2001361460 A JP2001361460 A JP 2001361460A JP 2001361460 A JP2001361460 A JP 2001361460A JP 2003160042 A JP2003160042 A JP 2003160042A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車両の回頭性を向上させることが可能な車両
用旋回制御装置、および、正確に操舵限界を検出する操
舵限界判定法を得る。 【解決手段】 操舵角検出手段24により操舵角を検出
し、路面反力トルク検出手段29により転舵輪が路面か
ら受ける路面反力トルクを検出し、操舵角の増加に対し
て路面反力トルクが増加から減少に転ずる点から路面反
力トルクのピーク点とピーク値とをを検出し、路面反力
トルクのピーク点における路面反力トルクのピーク値、
もしくは、路面反力トルクのピーク点における路面反力
トルクのピーク値より所定比率低い値の路面反力トルク
値における操舵角を限界操舵角と設定し、操舵角が限界
操舵角を超えたとき、操舵の限界と判定して車両の旋回
運動を助長するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両の旋回時に
車輪の制動力を制御し、旋回運動の安定化を図るべく旋
回運動を修正する旋回制御装置と、旋回制御などにおい
て、操舵角が路面に対して限界であることを判定する操
舵限界判定法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両の旋回時における安定性を得るため
の制御技術としては、例えば、特開平8−310360
号公報や、特許番号第3175369号公報などが開示
されている。図9は、特開平8−310360号公報に
開示された車両の旋回制御装置における制御機能を示す
動作ブロック図である。図において、各種センサ1は、
例えば、車輪速度Vw(i)を検出する車輪速センサ、
ヨーレートγを検出するヨーレートセンサ、前後加速度
Gxと横加速度Gyとを検出する加速度センサ、ステア
リングホイールの操舵角θを検出する操舵角センサ、ブ
レーキペダルのストロークStを検出するペダルストロ
ークセンサなどのセンサ群を示すものであり、各種セン
サ1により検出された車両の情報は制御手段2に入力さ
れる。
【0003】制御手段2に入力された情報はフィルタ3
により平滑処理され、車両運動状態計算手段4と運転操
作判断手段5とに入力される。車両運動状態計算手段4
では車輪速度Vw(i)と前後加速度Gxと横加速度G
yとヨーレートγの各信号に基づき、車体速度Vbと重
心スリップ角速度dβなど、車両の運動状態が算出され
る。運転操作判断手段5では操舵角信号θとブレーキペ
ダルのストローク信号Stとに基づき、運転者によるス
テアリングホイールの操作状況やブレーキペダルの操作
状況が判断され、車両運動状態計算手段4の算出結果と
運転操作判断手段5の判断結果とが旋回判定手段6に入
力され、旋回方向が判定される。
【0004】車両運動状態計算手段4と運転操作判断手
段5での算出・判断結果である操舵角θと車体速度Vb
は目標ヨーレート計算手段7に入力され、車両の目標ヨ
ーレートγtが計算される。さらに、要求ヨーモーメン
ト計算手段8には目標ヨーレートγtと実ヨーレートγ
とが入力され、両者の偏差Δγと偏差微分Δγsとが求
められ、これらの値から要求ヨーモーメントγdが計算
される。ヨーモーメント制御手段9ではこの要求ヨーモ
ーメントγdに応じて実ヨーレートγが目標ヨーレート
γtに一致するよう制動力を制御する信号を生成し、こ
の制御信号を制御信号選択手段10に与える。制御信号
選択手段10ではこの信号を制御対象となる旋回運動の
外側の前輪と内側の後輪とに対して各圧力ユニット11
に振り分け、制動力を制御する。
【0005】また、図10は特許番号第3175369
号公報に開示された技術を示すものであり、この技術は
前輪の操舵角δfと後輪の操舵角δrとを制御すること
により車両の運動を制御するものである。この公報に示
された車両制御装置は、コントローラ12と、操舵角セ
ンサ13、操舵トルクセンサ14、圧力センサ15、1
6、ヨーレートセンサ17、横加速度センサ18、車速
センサ19の各センサ類と、前輪舵角アクチュエータ2
0、後輪舵角アクチュエータ21、スロットル開度アク
チュエータ22の各アクチュエータ類とから構成されて
いる。
【0006】操舵角センサ13はステアリングホイール
による操舵角θhを、操舵トルクセンサ14はステアリ
ングホイールに加えられる操舵トルクThを、圧力セン
サ15と16はステアリング装置に設けられたパワーシ
リンダの左室圧Plと右室圧Prを、ヨーレートセンサ
17は車体のヨーレートγを、横加速度センサ18は車
両の重心点における横加速度Gyを、車速センサ19は
車速Vをそれぞれ検出してコントローラ12に与える。
コントローラ12はこれらの各センサの信号を入力し、
前輪舵角アクチュエータ20と後輪舵角アクチュエータ
21とを操作して操舵を行うと共に、スロットル開度ア
クチュエータ22を操作して内燃機関の出力を制御す
る。
【0007】例えばコントローラ12による前輪の舵角
制御は、前輪が旋回限界を超えない状態においては車輪
の舵角を運転者の操舵と車両の実際の運動との少なくと
も一方を表す情報に基づき制御が行われるが、前輪が旋
回限界を超えたときには前輪操舵角δfを減少せしめて
車輪を旋回限界の超過から回復するように制御する。す
なわち、前輪の旋回限界の超過度に応じて前輪舵角減少
量Δδfを演算し、演算結果を前輪舵角アクチュエータ
20に出力して旋回限界の超過を回復する。この前輪舵
角減少量Δδfは次のようにして演算される。
【0008】まず、前輪復元モーメント(路面反力トル
ク)Mfが、操舵トルクThと、パワーシリンダの左室
圧Plと、右室圧Prと、前輪舵角アクチュエータ20
に供給される電流ifとに基づき算出される。次に、前
輪コーナリングフォースFfが横加速度Gyとヨーレー
トγの時間微分値に基づき算出される。続いて、前輪復
元モーメントMfの絶対値の微分値ΔMfを、前輪コー
ナリングフォースFfの絶対値の微分値ΔFfで除算す
ることにより、前輪復元モーメントの増加率ΔMf/Δ
Ffが算出される。さらに、算出された前輪復元モーメ
ントの増加率ΔMf/ΔFfに対応する前輪舵角減少量
Δδfが図11に示すような特性マップを用いて決定さ
れる。
【0009】このような装置において、コーナリングフ
ォースFfに対する旋回限界の関係は図12に示すよう
になる。図12はコーナリングフォースFfを横軸に、
復元モーメントMfを縦軸にとって表したものである。
図に示すように、復元モーメントMfはコーナリングフ
ォースFfの増大と共に増加するが、コーナリングフォ
ースFfがある一定値を越えるとコーナリングフォース
Ffの増大に対して復元モーメントMfは減少する傾向
になる。特許番号第3175369号公報に開示された
技術ではこの関係を用いて操舵が路面に対して限界であ
るかどうかを検出しており、限界を超過すれば前輪操舵
角δfをΔδf分減少せしめ、前輪操舵角δfの減少が
不足の場合にはスロットル開度アクチュエータ22を操
作して減速するように構成されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように上記した
従来技術では、前者は操舵角θと車体速度Vbとで目標
ヨーレートγtを計算し、実ヨーレートとの偏差から車
両の旋回を制御しているが、操舵が路面に対して限界で
あるかどうかの判定は、操舵角に対して実ヨーレートが
追従しない状態を検出して判定されるので、コーナリン
グフォースが完全に飽和した後でないと検出されない。
また、後者ではコーナリングフォースと復元モーメント
との関係から操舵が路面に対して限界であるかどうかを
判定しており、コーナリングフォースの飽和前に判定が
できるが、コーナリングフォースFfは各センサの値か
ら推定した推定値であり、復元モーメントMfも同様に
推定値であるため、旋回限界の超過度を正確に検出する
ことは困難であった。
【0011】この発明はこのような課題を解決するため
になされたもので、操舵が路面に対して限界である状態
を、コーナリングフォースが飽和する前に路面反力トル
クを用いて容易に判定し、この判定に基づき車両の旋回
を制御することにより、車両の回頭性を向上させること
が可能な車両用旋回制御装置、および、操舵限界判定法
を得ることを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる車両用
旋回制御装置は、車両の操舵角を検出する操舵角検出手
段と、車両の旋回運動を検出する車両運動状態検出手段
と、操舵角から車両の目標旋回運動を設定する目標車両
運動設定手段と、車両運動状態検出手段の検出結果と目
標車両運動設定手段の設定値とから車両の旋回運動を制
御する旋回運動制御手段と、車両の転舵輪が路面から受
ける路面反力トルクを検出する路面反力トルク検出手段
と、操舵角の絶対値の増加に対して路面反力トルクの絶
対値が増加から減少に転ずる路面反力トルクピーク点を
検出する路面反力トルクピーク点検出手段と、検出され
た操舵角の絶対値が路面反力トルクピーク点における操
舵角の絶対値より増加したとき操舵限界であると判定す
る操舵限界判定手段とを備え、操舵限界判定手段が操舵
限界であると判定したとき、旋回運動制御手段が旋回運
動を助長する方向に制御内容を変更するようにしたもの
である。
【0013】また、操舵限界判定手段が、路面反力トル
クピーク点における路面反力トルクの絶対値より所定比
率低い値の路面反力トルクの絶対値における操舵角の絶
対値を限界操舵角と設定し、操舵角の絶対値が限界操舵
角を超えたとき、操舵限界であると判定するようにした
ものである。さらに、操舵装置が電動パワーステアリン
グ装置であり、操舵トルク検出手段とモータ電流検出手
段とモータの回転加速度検出手段とを備えており、路面
反力トルクが、操舵トルク値と、モータ電流にトルク定
数を乗じた値と、モータの回転加速度とから算出される
ようにしたものである。
【0014】また、この発明に係わる操舵限界判定法
は、車両の操舵角と、車両の転舵輪が路面から受ける路
面反力トルクと、操舵角の絶対値の増加に対して路面反
力トルクの絶対値が増加から減少に転ずる路面反力トル
クのピーク点とのそれぞれを検出し、路面反力トルクの
ピーク点における路面反力トルクの絶対値、もしくは、
路面反力トルクのピーク点における路面反力トルクの絶
対値より所定比率低い値の路面反力トルクの絶対値にお
ける操舵角の絶対値を限界操舵角と設定し、操舵角の絶
対値が限界操舵角を超えたとき、操舵の限界と判定する
ようにしたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1ないし図8
は、この発明の実施の形態1による車両用旋回制御装置
および操舵限界判定法を説明するもので、図1は、車両
用旋回制御装置の全体構成を示すブロック図、図2は、
ECUの動作を説明する機能ブロック図、図3は、電動
パワーステアリング装置を説明する機能ブロック図、図
4は、操舵限界判定の動作を説明するフローチャート、
図5は、マップとして使用される操舵限界補正量の特性
図、図6は、要求ヨーモーメント計算手段の制御量算出
法を説明するブロック図、図7は、タイヤの横滑り角と
コーナリングフォース、および、セルフアライニングト
ルクの関係を示す特性図、図8は、操舵角と路面反力ト
ルクとの関係を示す特性図である。
【0016】図1の車両用旋回制御装置において、23
は車両の旋回運動を制御するECUであり、ECU23
にはステアリングホイールの操舵角検出手段である舵角
センサ24と、車両の旋回運動を検出するヨーレートセ
ンサ25および横加速度センサ26と、ブレーキのマス
ターシリンダ圧を検出するM/C圧センサ27と、各車
輪の速度を検出する車輪速センサ28と、後述する路面
反力トルク検出手段29からの信号がそれぞれ入力さ
れ、ECU23はこれらの信号による演算結果をバルブ
駆動信号Md(i)として油圧ユニット30に出力す
る。ここで、ヨーレートセンサ25が検出するヨーレー
トは車両に加わる実際のヨーレートであるから、以降、
実ヨーレートと称する。
【0017】また、油圧ユニット30はブレーキペダル
に接続されたマスターシリンダ31と各車輪のホイール
シリンダ32aないし32dとの間に圧力配管を介して
接続されており、ECU23からの指令は、運転者によ
るマスターシリンダ31の操作とは独立して各車輪のホ
イールシリンダ32aないし32dの圧力を個別に制御
するように構成されている。路面反力トルク検出手段2
9は、例えば、車両の前輪とステアリング軸とを連結す
るラックの前輪側の片側もしくは両側に設けられたロー
ドセルや歪みゲージなど、歪み測定手段から構成でき、
この構成の場合には前輪すなわち転舵輪のタイヤからの
路面反力トルクがラックに圧縮力として働く力をラック
の歪み量として検出する。また、電動パワーステアリン
グ装置を備えた車両においては次のようにして路面反力
トルクを得ることができる。
【0018】図3は、電動パワーステアリング装置を備
えた場合の機能ブロック図であり、運転者による操舵ト
ルクを操舵トルク検出手段41が検出してモータ42に
より操舵をアシストするものである。モータ速度検出手
段43はモータ42の回転速度を検出し、モータ加速度
検出手段44はその加速度を検出する。モータ電流決定
手段45は操舵トルクとモータ速度とモータ加速度と車
速とを入力して目標トルクを演算し、この目標トルクに
対応した目標電流値を算出する。この目標電流値とモー
タ電流検出手段46にて検出されたモータ42の実電流
とが減算器47に入力されて両者の差が求められ、この
差をゼロにするようにモータ駆動手段48がモータ42
に与える電圧を決定する。モータ42にはこの電圧に応
じた電流が与えられ、運転者の操舵トルクに応じて操舵
をアシストする。
【0019】路面反力トルク検出手段29は操舵トルク
検出手段41の出力とモータ加速度検出手段44の出力
とモータ電流検出手段46の出力とを入力して路面反力
トルクを演算する。この路面反力トルクの演算は次の通
りである。まず、ステアリング機構の運動方程式は次式
にて表される。 J×dωs/dt=Thdl+Tmtr−Tfric−Treact ・・・・・(1) ここに、Jはステアリング機構の慣性モーメント、dω
s/dtはステアリング軸の回転加速度、Thdlは操
舵トルク、Tmtrはステアリング軸換算のモータ出力
トルク、Tfricはステアリング機構の摩擦トルク、
Treactはステアリング軸換算の路面反力トルクで
ある。
【0020】この(1)式を路面反力トルクTreac
tにて解くと次式になり、路面反力トルクが得られる。 Treact=Thdl+Tmtr−J×dωs/dt−Tfric ・・・・・(2) この路面反力トルクTreactの算出において、操舵
トルクThdlは操舵トルク検出手段41が検出した値
Tsensが使用されるものであり、モータ出力トルク
Tmtrはモータ電流検出手段46が検出するモータ電
流Imtrにトルク定数Ktを乗ずることにより得るこ
とができる。また、ステアリング軸の回転加速度dωs
/dtはモータ加速度検出手段44が検出するモータ加
速度と比例関係にあり、モータ加速度検出手段44の出
力を使用することができる。
【0021】摩擦トルクTfricはステアリング機構
の回転速度に対してリレーとして作用するものであり、
よく知られているように、リレーは制御工学上、等価線
形化法により等価的にゲインと位相で表すことができ
る。また、このゲインと位相とを調整する最も一般的な
方法としてフィルタが用いられる。従って、(2)は次
の(3)式のように置き換えることができる。 Treact=LPF(Tsens+Kt×Imtr−J・dω) ・・・・・(3) ここに、LPFは一次ローパスフィルタである。このよ
うにすることにより、路面反力トルクTreactは各
実測値から算出することができる。なお、一次ローパス
フィルタの時定数は、折点周波数が0.05〜1.0H
zの間になるように定められる。
【0022】また、車両の旋回運動を制御するECU2
3の機能は図2の機能ブロック図に示す通りであり、各
種センサ(24ないし28)から入力される信号情報は
フィルタ33により各センサ毎に定められたフィルタ定
数に基づき平滑処理される。車両運動状態検出手段34
は車輪速度Vw(i)と横加速度Gyと実ヨーレートγ
とを入力して車体速度Vbと旋回運動とを検出し、車体
速度Vbを横加速度Gyおよび実ヨーレートγと共に出
力する。車体速度Vbは、例えば、各車輪速度の内二番
目に高速回転しているものを選択して演算し、旋回中に
おいてはセンサの情報に基づき補正することができる。
なお、車輪速度Vw(i)の(i)は各車輪を示すもの
で、i=1が左前輪、2が右前輪、3が左後輪、4が右
後輪を表すものとする。
【0023】目標車両運動設定手段35は目標旋回運動
を設定するものであり、操舵角θを検出してステアリン
グホイールの操作を検知し、運転状態に応じた車両の旋
回運動としての目標ヨーレートγtを次の(4)、
(5)式にて求め出力する。 γt=LPF{Vb/(1+A×Vb2)×(δ/L)} ・・・・・(4) δ=θ/ρ ・・・・・(5) ここで、Aはスタビリティファクタ、Lはホイールベー
ス、δは前輪舵角、ρはステアリングギヤ比である。
【0024】操舵限界判定手段36は路面反力トルクT
reactと操舵角θとを入力して操舵限界を判定し、
後述する方法により操舵限界を超過した量に応じた操舵
限界補正量Kpoを算出し出力する。要求ヨーモーメン
ト計算手段37は、車両運動状態検出手段34と目標車
両運動設定手段35と操舵限界判定手段36とが算出
し、出力する各データを入力し、アンダーステアリング
(以降USと称す)抑制要求ヨーモーメントMuおよび
オーバーステアリング(以降OSと称す)抑制要求ヨー
モーメントMo、すなわち、要求制御量を後述するよう
な方法により算出する。
【0025】制御開始終了判定手段38は上記の要求制
御量MuとMoとを入力して車両旋回運動の開始および
終了の判定と、US抑制制御を行うかOS抑制制御を行
うかの判定を行う。すなわち、US抑制要求ヨーモーメ
ントMuがUS抑制制御開始閾値Mstuを超えた場合
にはUS抑制制御が選択され、信号Cuson=1が出
力される。また、OS抑制要求ヨーモーメントMoがO
S抑制制御開始閾値Mstoを超えた場合にはOS抑制
制御が選択され、信号Coson=1が出力され、US
抑制制御とOS抑制制御とが同時に開始条件を満たした
場合にはOS抑制制御が優先して実施される。US抑制
要求ヨーモーメントMuがUS抑制制御開始閾値Mst
uを下回った場合、および、OS抑制要求ヨーモーメン
トMoがOS抑制制御開始閾値Mstoを下回った場合
には抑制制御を終了する。
【0026】制動力調整量計算手段39では各車輪のブ
レーキ液圧の増減率、すなわち、増減の時間的変化量d
Pw(i)を算出する。この算出手順は、まず、車両の
旋回方向により制御すべき車輪を次のようにして選択す
る。US抑制制御を実施する場合には、旋回の内側にな
る後輪、または、前輪と後輪を制動力の増加側に選択
し、他の車輪の一部または全部を制動力の減少側に選択
する。また、OS抑制制御を実施する場合には旋回の外
側になる前輪、または、前輪と後輪とを制動力の増加側
に選択し、他の車輪の一部または全部を制動力の減少側
に選択する。
【0027】次に、各車輪のブレーキ液圧の増減率dP
w(i)を各車輪毎に設定する。このdPw(i)の設
定は、US抑制制御を実施する場合には、制動力の増加
側に選択された車輪をUS抑制要求ヨーモーメントMu
に比例した値とし、制動力の減少側に選択された車輪は
US抑制要求ヨーモーメントMuを負に反転した値に比
例した値として算出する。また、OS抑制制御を実施す
る場合には制動力の増加側に選択された車輪をOS抑制
要求ヨーモーメントMoに比例した値とし、制動力の減
少側に選択された車輪はOS抑制要求ヨーモーメントM
oを負に反転した値に比例した値として算出する。
【0028】このように選択・算出された各車輪毎のブ
レーキ液圧の増減率dPw(i)はスリップコントロー
ラ40に入力され、スリップコントローラ40は各車輪
毎のブレーキ液圧の増減率dPw(i)に対応するブレ
ーキ液圧調整用のバルブ駆動信号Md(i)を出力す
る。バルブ駆動信号Md(i)は、車輪のスリップSw
(i)が許容スリップ率Slm以内であればブレーキ液
圧の増減率dPw(i)に応じて増圧対象車輪のブレー
キ液圧を増圧方向に制御し、許容スリップ率Slm以上
であれば車輪のスリップSw(i)が許容スリップ率S
lm以内に収束するようにブレーキ液圧を減圧方向に制
御する。
【0029】スリップコントローラ40から出力される
バルブ駆動信号Md(i)は図1にて説明した油圧ユニ
ット30に与えられてこれを駆動し、各車輪のブレーキ
液圧を制御して各車輪に対する制動力の分配が行われ
る。この制動力の分配により、実ヨーレートを目標ヨー
レートに近付けるよう車両の運動を制御する。このよう
にして運転者の意志による車両の運動を道路状況や車両
の特性などにより独立して制御するものである。従っ
て、要求ヨーモーメント計算手段37と、制御開始終了
判定手段38と、制動力調整量計算手段39と、スリッ
プコントローラ40と、油圧ユニット30とで旋回運動
制御手段を構成することになる。
【0030】上記した操舵限界判定手段36による操舵
限界補正量Kpoの算出方法を示したのが図4のフロー
チャートであり、このフローチャートは所定時間毎に繰
り返されるものである。図4の点線枠にて囲まれたST
1〜ST3はそれぞれ動作ブロックを示し、ST1は路
面反力トルクTreactのピーク点を検出するステッ
プであり、路面反力トルクピーク値の絶対値|Trea
cpk|とピーク点における操舵角の絶対値θpk0を
記憶する。ST2は限界操舵角を検出するステップであ
り、操舵角が路面に対して限界に近いことを示す限界操
舵角θpkを検出して記憶する。ST3は操舵限界を判
定するステップであり、限界操舵角θpkから車両の操
舵角が路面に対して限界であるかどうかを判定し、操舵
角が限界操舵角である閾値θpkを超過している量に対
応して操舵限界補正量Kpo算出する。
【0031】各ステップについて動作を詳細を説明する
と、まず、ST1の路面反力トルクTreactのピー
ク点を検出するブロックにおいて、ST11では操舵角
θを入力してその絶対値|θ|が所定値θpkminを
超えているかどうかを判定する。ここで|θ|>θpk
minが成立している場合にはST12に進み、路面反
力トルクTreactの絶対値|Treact|が前回
記憶した路面反力トルクピーク値Treacpkと比較
され、|Treact|>Treacpkが成立してお
ればST13に進む。ST13では操舵角の絶対値|θ
|をピーク操舵角θpk0として記憶し、路面反力トル
クの絶対値|Treact|を今回の路面反力トルクピ
ーク値Treacpkとして記憶する。
【0032】ST11での所定値θpkminを路面反
力トルクのピーク値における操舵角の最小値として設定
し、記憶しておくことにより、ST1のブロックでは操
舵角がθpkmin以上に操作されているときにのみ路
面反力トルクの絶対値とそのときの操舵角の絶対値とが
それぞれのピーク値として記憶されることになる。ルー
チンが繰り返され、操舵角が大きくなる方向に変化して
いる場合にはθpk0とTreacpkの値はルーチン
毎に更新され続け、操舵角の変化がなくなればθpk0
とTreacpkとは更新されないので、最後に記憶さ
れたθpk0がピーク操舵角であり、Treacpkが
路面反力トルクのピーク値となる。操舵角θが所定値以
上になれば後述するように路面反力トルクは却って低下
することになり、従って、このST1のブロックは操舵
角に対する路面反力トルクピーク点検出手段として機能
する。
【0033】ST11またはST12が不成立の場合、
およびST1が完了した場合には限界操舵角を検出する
ST2のブロックに進み、ST21において操舵角の絶
対値|θ|と記憶されているピーク操舵角θpk0とが
比較される。この比較において、|θ|<θpk0のと
き、すなわち、ST1のブロックにて記憶した操舵角の
絶対値に対して操舵角が小さくなったときにはST22
に進んでピーク操舵角θpk0と限界操舵角θpkとに
代わって操舵角絶対値|θ|の最大値|θ|maxが記
憶され、路面反力トルクピーク値Treacpkに代わ
って0が記憶されて路面反力トルクピーク値の記憶値と
限界操舵角とがリセットされる。ここでの|θ|max
は物理的な操舵角絶対値の最大値、もしくは、演算上の
操舵角絶対値の最大値が使用される。
【0034】ST21での比較結果が|θ|≧θpk0
である場合にはST23に進み、路面反力トルクの絶対
値|Treact|が、路面反力トルクピーク値Tre
acpkと係数Krtとの積と比較される。Krtは1
以下の正の係数で、路面反力トルクピーク値Treac
pkに対してどれだけ路面反力トルクを低下させた値を
限界操舵角とするかを決める係数である。例えば、Kr
t=0.8とした場合には路面反力トルクピーク値に対
して路面反力トルクの絶対値が20%低い値を限界操舵
角とすることになり、余裕を与えることになる。
【0035】ST23での比較結果が|Treact|
≧Treacpk×Krtであった場合はST24に進
み、限界操舵角θpkに操舵角絶対値|θ|の最大値|
θ|maxが記憶され、限界操舵角θpkはリセットさ
れる。比較結果が|Treact|<Treacpk・
Krtであった場合にはST25に進んで操舵角絶対値
|θ|と限界操舵角θpkとが比較され、|θ|<θp
kであればST26において限界操舵角θpkに操舵角
絶対値|θ|が記憶される。すなわち、限界操舵角θp
kは、条件|Treact|<Treacpk×Krt
が成立したときの最小の操舵角絶対値|θ|が記憶され
ることになる。
【0036】すなわち、ST21で|θ|≧θpk0と
なることは操舵角は大きくなっており、操舵角が大きく
なってST23で|Treact|<Treacpk×
Krtとなるのは後述するように操舵角が路面反力トル
クのピーク点を超過したことであるから、このルーチン
における操舵角の絶対値|θ|が路面反力トルクのピー
ク点超過時の操舵角の最小値になり、これが限界操舵角
θpkとなる。また、この限界操舵角θpkの値は、条
件|Treact|<Treacpk×Krtが成立し
ている間のみ有効であり、それ以外のときには|θ|m
axが記憶されることになる。ST25が不成立の場合
でも操舵角が路面反力トルクのピーク点を超過している
のでθpkはリセットされずにST3に進む。
【0037】操舵限界を判定するブロックであるST3
では、ST31において操舵角絶対値|θ|が、限界操
舵角θpkに操舵限界判定終了オフセットθofofs
を加えた値と比較される。ここで、|θ|≦θpk+θ
ofofsであればST32において非操舵限界状態と
判断され、操舵限界補正量Kpoに0が記憶される。|
θ|>θpk+θofofsである場合にはST33に
進み、操舵角の絶対値|θ|が限界操舵角θpkに操舵
限界判定開始オフセットθonofsを加えた値と比較
される。ここで|θ|>θpk+θonofsである場
合にはST34に進み、操舵限界状態と判断されて操舵
限界補正量KpoにFkpo(|θ|)が記憶される。
【0038】このFkpo(|θ|)は|θ|の関数と
して定義され、例えば図5に示すような特性図をマップ
として算出する。このマップは(|θ|−θpk)/θ
pkを横軸としてFkpo(|θ|)の値を示したもの
である。従って、限界操舵角θpkが小さい値であるほ
ど操舵限界補正量Kpoは操舵角絶対値|θ|に対して
敏感となり、限界操舵角θpkは路面の摩擦係数が小さ
いほど小さい値になるので摩擦係数が小さい路面ほど小
さな操舵に対して大きな操舵限界補正量が得られること
になる。ここで、操舵限界判定終了オフセットθofo
fsと操舵限界判定開始オフセットθonofsは制御
的なマージンを設定するオフセット値であり、同一の
値、もしくは、0とすることもできる。
【0039】以上のように、このルーチンを繰り返すこ
とにより、ST1のブロックでは路面反力トルクのピー
ク点が検出され、ST2のブロックでは路面反力トルク
がピークであると判定されたときの操舵角の絶対値|θ
|が限界操舵角θpkとして検出され、また、ST3の
ブロックではこの限界操舵角θpkに操舵限界判定終了
オフセットθofofsと操舵限界判定開始オフセット
θonofsとを加味することにより操舵限界が判定さ
れると共に、操舵限界補正量Kpoが決定されることに
なる。このように操舵限界判定手段36には路面反力ト
ルクピーク点検出手段として機能と、路面反力トルクに
対する余裕度の設定手段と、操舵限界判定手段、および
操舵限界補正量設定手段の機能を併せ持つことになる。
【0040】次に、要求ヨーモーメント計算手段37に
よる要求制御量の算出方法を図6に基づき説明する。図
において、路面μ補正手段50は上記の(4)(5)式
にて求めた目標ヨーレートγtを入力して路面の摩擦係
数μに応じた値にクリップ処理することにより、OS
(オーバーステア)用の目標ヨーレートγtoを算出す
る。減算器51は目標ヨーレートγtと実ヨーレートγ
との差を求め、US(アンダーステア)の偏差γer0
uを算出し、減算器52は実ヨーレートγとOS用の目
標ヨーレートγtoとの差を求め、OS用の偏差γer
0oを算出する。続いて旋回方向符号変換部53aと5
3bとはUS用の偏差γer0uとOS用の偏差γer
0oとをそれぞれ入力して符号処理を行い、US用偏差
γeruとOS用偏差γeroとに変換する。
【0041】この符号処理はUS用偏差γeruの場
合、右旋回時のヨーレートのときを正とすると実ヨーレ
ートが負となる左旋回時におけるγer0uの符号を反
転するものであり、実ヨーレートが正の場合(右旋回
時)は反転しない。一方、OS用偏差γeroの場合に
は、実ヨーレートが正の場合にはγer0oの符号を反
転し、実ヨーレートが負の場合には反転しない。このよ
うにすることにより、旋回方向とは無関係に車両の実ヨ
ーレートの絶対値が目標ヨーレートの絶対値より小さい
とき、車両がアンダーステアリング傾向の場合にはUS
用偏差γeruが正に設定され、車両がオーバーステア
リング傾向の場合にはOS用偏差γeroが正に設定さ
れることになる。
【0042】US用偏差γeruとOS用偏差γero
とはそれぞれPDコントローラ54aと54bとに入力
される。PDコントローラ54aと54bとではゲイン
乗算器55aと55bとにおいてUS用偏差γeruと
OS用偏差γeroとにゲインKrpuとKrpoとを
乗算すると共に、微分器56aと56bとでUS用偏差
γeruとOS用偏差γeroとを時間微分する。さら
に、時間微分された各偏差にゲイン乗算器57aと57
bによりゲインKrduとKrdoとをそれぞれ乗算
し、ゲイン乗算器55aと55bの出力とゲイン乗算器
57aと57bの出力とはそれぞれ加算器58aと58
bとで加算され、各抑制要求ヨーモーメントMuとMo
とが求められる。
【0043】すなわち、各抑制要求ヨーモーメント(要
求制御量)MuとMoとは、 Mu=Krpu×γeru+Krdu×(dγeru/dt) ・・・・・・・(6) Mo=Krpo×γero+Krdo×(dγero/dt) ・・・・・・・(7) として求められる。ここで、ゲインKrpuとKrd
u、および、KrpoとKrdoは、車体速度Vbとス
テアリングホイールの操舵角θとステアリングホイール
の角速度dθと横加速度Gyとによって予め設定された
マップより読み出されるゲイン係数である。
【0044】また、US偏差用PDコントローラ54a
のゲイン乗算器55aと57aとには操舵限界判定手段
36にて算出された操舵限界補正量Kpoが入力され、
ゲイン係数KrpuとKrduとは操舵限界補正量Kp
oによってもその大きさが変更される。例えば、操舵限
界補正量Kpoが0.5の場合にはKrpuとKrdu
とはそれぞれが1+0.5=1.5倍の値となる。ま
た、KrpuとKrduの操舵限界補正量Kpoに対す
る重み付けを個別に設定することもでき、重み付け係数
をそれぞれ1.0と1.2とした場合にはKrpuは1
×(1+0.5)=1.5倍、Krduは1.2×(1
+0.5)=1.8倍となる。
【0045】ここで操舵限界補正量KpoはUS抑制要
求モーメントMuの算出にのみ反映されるため、操舵限
界判定による補正はアンダーステアリングの場合にのみ
実施され、また、ゲインの係数が大きくなる方向に変更
されるので、車両のアンダーステアリングをより抑制す
る方向に作用する。US抑制要求モーメントMuは制御
開始終了判定手段38にも入力され、US抑制制御開始
終了判定にも用いられるので、US抑制制御の開始がよ
り早く実施される方向にも作用する。従って、旋回運動
は助長され、回頭性を向上させることが可能になる。
【0046】路面反力トルクのピーク値検出について図
7と図8とにより説明すると次のようになる。図7は車
輪(タイヤ)の横滑り角βfに対するコーナリングフォ
ースとセルフアライニングトルクとの関係を示したもの
である。車輪の横滑り角βfが零近傍ではコーナリング
フォースとセルフアライニングトルクとは共にβfの増
加と共に増加するが、セルフアライニングトルクはβf
=βftのときピーク値を示し、βfの値がβft以上
に増加すれば減少する。βfの値がβft近傍ではコー
ナリングフォースはβfの値にほぼ比例して増加してお
り、βfの値がβfcまで増加すればコーナリングフォ
ースは飽和状態となる。
【0047】路面から操舵系に加わるステアリングホイ
ールを戻す力、すなわち、路面反力トルクTreact
と操舵角θとの関係は、コーナリングフォースが線形域
であり車両がUS特性を示している場合には横滑り角β
fと操舵角θとが略比例関係にあることから図8に示す
ようになる。路面反力トルクTreactのピーク値近
傍ではコーナリングフォースは線形域内にあり、操舵限
界判定による補正がアンダーステアリングの場合のみ実
施されるので図8の関係により制御することが可能にな
る。
【0048】路面反力トルクTreactはキングピン
まわりのモーメントであるから車輪のセルフアライニン
グトルクとは特性の形状は異なるが、ピーク点はほぼ同
一の横滑り角βf=βftのときに発生し、βft以上
に増化すれば減少する。従って、操舵限界判定手段36
で求めたピーク操舵角θpk0は横滑り角がβftのと
きの操舵角となる。また、コーナリングフォースが飽和
状態となる横滑り角βfcでの路面反力トルクTrea
ctは、横滑り角βfがほぼ0のときのニューマチック
トレールとキャスタトレールとの値により定まる。
【0049】従って、操舵限界判定のコーナリングフォ
ース飽和点に対する余裕度は、操舵限界判定手段36に
て設定した路面反力トルクピーク値Treacpkに対
してどれだけ路面反力トルクを低下させた値を限界操舵
角とするかを決める係数Krtにより車両の特性に応じ
て設定することができることになる。例えば、横滑り角
βfがほぼ0のときのニューマチックトレールとキャス
タトレールとがほぼ同一に設定されている場合、横滑り
角βfcでの路面反力トルクTreactは路面反力ト
ルクピーク値Treacpkのほぼ半分の値となる。
【0050】以上のことから、係数Krtを0.5近傍
に設定すればコーナリングフォースが飽和する直前まで
操舵限界の判定がなされないように設定することができ
る。また、路面反力トルクピーク値Treacpkは路
面の摩擦係数により変化するが、路面反力トルクの実測
値の増減を操舵角の増減に対して判定することにより路
面反力トルクピーク値Treacpkを求め、操舵限界
の判定には路面反力トルクピーク値Treacpkに対
する所定の比を閾値として設定しているので、路面の摩
擦係数に依存することなく安定性を得ることができる。
【0051】
【発明の効果】以上に説明したようにこの発明の車両用
旋回制御装置において、請求項1に記載の発明によれ
ば、操舵角を検出する操舵角検出手段と、車両の旋回運
動を検出する車両運動状態検出手段と、操舵角から目標
旋回運動を設定する目標車両運動設定手段と、車両運動
状態検出手段の検出結果と目標車両運動設定手段の設定
値とから車両の旋回運動を制御する旋回運動制御手段
と、転舵輪が路面から受ける路面反力トルクを検出する
路面反力トルク検出手段と、操舵角の絶対値の増加に対
して路面反力トルクの絶対値が増加から減少に転ずる路
面反力トルクピーク点を検出する路面反力トルクピーク
点検出手段と、操舵角の絶対値が路面反力トルクピーク
点における操舵角の絶対値より増加したときに操舵限界
であると判定する操舵限界判定手段とを備え、操舵限界
判定手段が操舵限界であると判定したとき、旋回運動制
御手段が旋回運動を助長する方向に制御内容を変更する
ようにしたので、操舵角が限界付近に達したことを容易
に、また、確実に検出することができ、操舵角が限界付
近に達したことを検出して車両の回頭性を向上すること
が可能になるものである。
【0052】また、請求項2に記載の発明によれば、操
舵限界判定手段が、路面反力トルクピーク点における路
面反力トルクの絶対値より所定比率低い値の路面反力ト
ルクの絶対値における操舵角の絶対値を限界操舵角と設
定し、操舵角の絶対値が限界操舵角を超えたとき、操舵
限界であると判定するようにしたので、操舵角が限界付
近に達したことを余裕を持って判定することができ、安
全性を維持することができるものである。
【0053】さらに、請求項3に記載の発明によれば、
操舵装置が電動パワーステアリング装置であり、操舵ト
ルク検出手段とモータ電流検出手段とモータの回転加速
度検出手段とを備えており、路面反力トルクが、操舵ト
ルク値と、モータ電流にトルク定数を乗じた値と、モー
タの回転加速度とから算出されるようにしたので、請求
項1における路面反力トルクのピーク点を容易に、ま
た、正確に判定でき、車両の回頭性を向上すると共に安
全性を維持することができるものである。
【0054】また、請求項4に記載したこの発明の操舵
限界判定法によれば、車両の操舵角と、車両の転舵輪が
路面から受ける路面反力トルクと、操舵角の絶対値の増
加に対して路面反力トルクの絶対値が増加から減少に転
ずる路面反力トルクのピーク点とのそれぞれを検出し、
路面反力トルクのピーク点における路面反力トルクの絶
対値、もしくは、路面反力トルクのピーク点における路
面反力トルクの絶対値より所定比率低い値の路面反力ト
ルクの絶対値における操舵角の絶対値を限界操舵角と設
定し、操舵角の絶対値が限界操舵角を超えたとき、操舵
の限界と判定するようにしたので、操舵角が限界付近に
達したことを容易に、また、正確に検出することができ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による車両用旋回制
御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態1による車両用旋回制
御装置のECUの動作を説明するブロック図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による車両用旋回制
御装置に使用する電動パワーステアリング装置のブロッ
ク図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による操舵限界判定
法の動作を説明するフローチャートである。
【図5】 この発明の実施の形態1による操舵限界判定
法に使用される操舵限界補正量の特性図である。
【図6】 この発明の実施の形態1による車両用旋回制
御装置の要求ヨーモーメント計算手段のブロック図であ
る。
【図7】 この発明の実施の形態1による車両用旋回制
御装置のタイヤの横滑り角とコーナリングフォースなど
の関係を示す特性図である。
【図8】 この発明の実施の形態1による車両用旋回制
御装置の操舵角と路面反力トルクの関係を示す特性図で
ある。
【図9】 従来の車両用旋回制御装置を示すブロック図
である。
【図10】 従来の車両用旋回制御装置を示すブロック
図である。
【図11】 従来の車両用旋回制御装置を説明する特性
図である。
【図12】 従来の車両用旋回制御装置を説明する特性
図である。
【符号の説明】
23 ECU、24 舵角センサ(操舵角検出手段)、
25 ヨーレートセンサ、26 横加速度センサ、27
M/C圧力センサ、28 車輪速センサ、29 路面
反力トルク検出手段、30 油圧ユニット、31 マス
ターシリンダ、34 車両運動状態検出手段、35 目
標車両運動設定手段、36 操舵限界判定手段、37
要求ヨーモーメント計算手段、38 制御開始終了判定
手段、39 制動力調整量計算手段、40 スリップコ
ントローラ、41 操舵トルク検出手段、42 モー
タ、43 モータ速度検出手段、44 モータ加速度検
出手段、45 モータ電流決定手段、46 モータ電流
検出手段、48 モータ駆動手段、50 路面μ補正手
段、53a、53b 旋回方向符号変換部、54a、5
4b PDコントローラ、55a、55b、57a、5
7b ゲイン乗算器、56a、56b 微分器、58
a、58b 加算器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B62D 109:00 B62D 109:00 111:00 111:00 113:00 113:00 119:00 119:00 137:00 137:00 Fターム(参考) 3D032 CC12 CC21 CC30 DA03 DA15 DA24 DA29 DA33 DA63 DA64 DA81 DA93 DC03 DC12 DC29 DC33 DD02 DD06 DE05 EA05 EA06 EB11 EB15 EC23 FF01 FF07 GG01 3D033 CA13 CA16 CA20 CA21 3D046 BB21 BB32 CC02 EE01 GG10 HH08 HH16 HH21 HH23 HH25 HH36 JJ14 JJ19 KK06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両の操舵角を検出する操舵角検出手
    段、前記車両の旋回運動を検出する車両運動状態検出手
    段、前記操舵角から前記車両の目標旋回運動を設定する
    目標車両運動設定手段、前記車両運動状態検出手段の検
    出結果と前記目標車両運動設定手段の設定値とから前記
    車両の旋回運動を制御する旋回運動制御手段、前記車両
    の転舵輪が路面から受ける路面反力トルクを検出する路
    面反力トルク検出手段、前記操舵角の絶対値の増加に対
    して前記路面反力トルクの絶対値が増加から減少に転ず
    る路面反力トルクピーク点を検出する路面反力トルクピ
    ーク点検出手段、検出された前記操舵角の絶対値が前記
    路面反力トルクピーク点における操舵角の絶対値より増
    加したとき操舵限界であると判定する操舵限界判定手段
    を備え、前記操舵限界判定手段が操舵限界であると判定
    したとき、前記旋回運動制御手段が旋回運動を助長する
    方向に制御内容を変更することを特徴とする車両用旋回
    制御装置。
  2. 【請求項2】 前記操舵限界判定手段が、前記路面反力
    トルクピーク点における前記路面反力トルクの絶対値よ
    り所定比率低い値の路面反力トルクの絶対値における操
    舵角の絶対値を限界操舵角と設定し、操舵角の絶対値が
    前記限界操舵角を超えたとき、操舵限界であると判定す
    ることを特徴とする請求項1に記載の車両用旋回制御装
    置。
  3. 【請求項3】 操舵装置が電動パワーステアリング装置
    であり、操舵トルク検出手段とモータ電流検出手段とモ
    ータの回転加速度検出手段とを備えており、路面反力ト
    ルクが、操舵トルク値と、モータ電流にトルク定数を乗
    じた値と、モータの回転加速度とから算出されることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用旋回
    制御装置。
  4. 【請求項4】 車両の操舵角と、車両の転舵輪が路面か
    ら受ける路面反力トルクと、前記操舵角の絶対値の増加
    に対して前記路面反力トルクの絶対値が増加から減少に
    転ずる路面反力トルクのピーク点とのそれぞれを検出
    し、前記路面反力トルクのピーク点における前記路面反
    力トルクの絶対値、もしくは、前記路面反力トルクのピ
    ーク点における前記路面反力トルクの絶対値より所定比
    率低い値の前記路面反力トルクの絶対値における操舵角
    の絶対値を限界操舵角と設定し、前記操舵角の絶対値が
    前記限界操舵角を超えたときに操舵の限界と判定するこ
    とを特徴とする車両用操舵限界判定法。
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