JP4792852B2 - 四輪操舵装置 - Google Patents
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Description
なお、従来の四輪操舵装置として、前輪(ステアリング)の切り増し時に後輪を一旦逆相に操舵して、すなわち位相反転制御して、自車両のヨーを増加させる技術がある(例えば特許文献1参照)。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、四輪操舵制御により生じるセルフアライニングトルクの変化により、当該四輪操舵制御が運転者に違和感を与えてしまうのを防止する四輪操舵装置の提供を目的とする。
図1は、第1の実施形態における本発明の四輪操舵装置を適用した車両の一例を示す車両概略構成図である。
なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、コントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
また、この車両には、車両挙動を制御するための車両挙動制御装置(四輪操舵装置、4WS)100として、図2に示すように、操舵角センサ19で検出されるステアリングホイール21の操舵角δに応じて、補助操舵輪となる後輪の舵角を制御する後輪操舵制御装置が搭載されており、後輪操舵制御装置は、コントロールユニット8によって制御されるようになっている。
アクチュエータユニット53は、電動モータ54を動力源とする公知の後輪操舵機構55を構成し、電動モータ54を両方向に駆動することによって操舵軸52が車両の左右方向に往復移動され、操舵輪である後輪5RL,5RRを左右方向に同期して操舵することができるようになっている。具体的には、車速感応型であり、低速走行時に主操舵輪である前輪5FL,5FRに対して補助操舵輪である後輪5RL,5RRを逆相にする逆相制御をし、高速走行時に前輪5FL,5FRに対して後輪5RL,5RRを同相にする同相制御をする。
δr4ws=α・δf4ws ・・・(1)
ここで、αはR/F比(RFratio)であり、車速に応じて逆相制御と同相制御とを行うための後輪操舵制御ゲインになる。後輪操舵制御ゲインは、例えば図3に示すように車速Vに応じて変化する。すなわち、後輪操舵制御ゲインαは、車速Vに比例して大きくなり、低速走行域では、負値をとり、制御切り換え速度Vx以降の高速走行域では、正値をとる。
後輪操舵機構55には、電動モータ54の回転角、すなわち後輪5RL,5RRの実後輪舵角δrを検出する後輪舵角センサ56a,56bが設けられ、これらセンサの検出信号はコントロールユニット8に入力されるようになっている。
コントロールユニット8は、操舵角センサ19で検出される操舵角δ、前記算出した車速V、及び後輪舵角センサ56a,56bで検出される後輪舵角等、各種センサの検出信号に基づいて、公知の後輪操舵制御処理を実行し、ステアリングホイール21の操舵角δに応じて後輪の舵角を制御するようになっている。
(1)4WS時の前後輪の舵角の関係
図4(a)は、2WS時の前後輪の操舵状態を示し、図4(b)は、4WS時(特に逆相制御時)の前後輪の操舵状態を示す。なお、ここでは、横加速度によるスリップ角が無視できるほど、自車両が低速走行していることを前提としている。
2WS時のセルフアライニングトルクTsは、前輪舵角δfを用いて、一般的には下記(2)式で示される。
Ts=2・ξ・Kf・(βf+lf・r/V−δf) ・・・(2)
ここで、ξ、Kf、βf、lf、rの各値は、図4及び図5に示すようになる。すなわち、図4に示すように、lfは、車両重心点と前輪車軸間の距離であり、rは、車両重心点回りに作用するヨーモーメントであり、また、図5に示すように、βfは、前輪のすべり角であり、−Kf・βfは、その前輪のすべり角βfが発生している場合に、当該前輪のすべり角をなくすように当該前輪に作用する力であり、ξは、その力の作用点から前輪のキングピンに基づくキャスタートレール上の点aまでの距離である。
Th=2・ξ・Kf/N・(βf+lf・r/V−δf) ・・・(3)
一方、4WSでは、位相反転制御として一時的に逆相制御を行うが、その逆相制御時の前輪舵角δf4ws(=δf−δr4wss)に基づくステアリング反力Thrs(以下、位相反転時ステアリング反力という。)は、下記(4)式で示される。
Thrs=2・ξ・Kf/N・(βf+lf・rrs/V−(δf−δr4wss)) ・・・(4)
ここで、rrsは、逆相制御時の車両重心点回りに作用するヨーモーメントである。また、δr4wssは、逆相制御時の後輪舵角である。また、δr4wssは、逆相制御時のものであるから負値になる。
Thrc=2・ξ・Kf/N・(βf+lf・rrc/V−(δf−δr4wsc)) ・・・(5)
ここで、rrcは、同相制御時の車両重心点回りに作用するヨーモーメントである。
このように、4WSにおいて、同相時と逆相時とで、セルフアライニングトルク又はステアリング反力が異なるものとなり、具体的には、逆相時の方がセルフアライニングトルク又はステアリング反力が小さくなる。
同相時と逆相時とで生じるセルフアライニングトルクの差異をキャンセルするように補正トルクを算出する。ここでは、実ステアリング反力の補正量として補正トルクを算出する。すなわち、補正トルクTaは、下記(6)式に示すように、実ステアリング反力Ttから、前記(4)式より算出される位相反転時ステアリング反力Thrsと前記(5)式より算出される位相反転後ステアリング反力Thrcとの差分値を差し引いた値になる。
=Tt−2・ξ・Kf/N・(βf+lf・rrs/V−(δf−δr4wss))−2・ξ・Kf/N・(βf+lf・rrc/V−(δf−δr4wsc))
=Tt−2・ξ・Kf/N・(lf・(rrs−rrc)/V+δr4wss−δr4wsc) ・・・(6)
この(6)式によれば、実ステアリング反力を増加補正するものとして、補正トルクTaを得ることができる。
ステップS2では、位相反転制御を開始したか否かを判定する。具体的には、操舵角センサ19が検出した操舵角δに基づいて、ステアリングホイール21の切り増しを検出した場合、位相反転制御を開始したと判定する。ここで、位相反転制御を開始した場合、ステップS3に進み、位相反転制御の開始でない場合、当該図4に示す処理を終了する。
ここで、ステップS3では、センサにより逆相制御時の後輪舵角δr4wssを検出する。また、ステップS4では、演算、テーブル、経験値又は実験値等により同相制御に追従するための後輪舵角δr4wscを推定する。また、前記特許文献1にあるように、ステアリングの舵角に基づいて逆相制御時の後輪舵角を決定する場合には、そのような決定に使用する演算処理を参照して、本実施形態でも、逆相制御時の後輪舵角(ステップS3で算出)、さらにはその逆相制御直後に同相制御に戻ったときの後輪舵角を算出(ステップS4で算出)するようにしても良い。
続いてステップS6において、補正トルクを算出する(実ステアリング反力を補正する)。すなわち、前記ステップS3で算出した逆相制御時の後輪舵角δr4wss、前記ステップS4で推定した逆相制御後の後輪舵角δr4wsc及び前記ステップS5で検出した実ステアリング反力Ttに基づいて、前記(6)式に基づいて、ステアリング反力に付加するための補舵トルクTaを算出する。
続いてステップS7において、前記ステップS6で算出した補正トルクを出力する(補正したステアリング反力を出力する)。例えば、パワーステアリングのアシスト力(操舵ゲインや操舵トルクアシスト力等)を補正トルク相当分減少させる。これにより、ステアリング反力が操舵トルク相当分増加補正される。
この図7に示すように、従来(補正前)であれば、同図中点線で示すように、位相反転制御により、その開始直後の一時的なセルフアライニングトルクの減少に起因して、ステアリング反力が減少する。これに対して、本発明を適用することで(補正後)、同図中実線で示すように、位相反転制御中のステアリング反力の減少は抑制される、すなわち、位相反転制御中のステアリング反力特性は、後輪を同相制御のまま操舵していく場合とほぼ同じ増加特性を示す。
なお、前記(5)式では、補舵トルクの算出に、位相反転制御後の後輪舵角δr4wscを必要としているが、その位相反転制御後の後輪舵角δr4wscを、同図(b)に示すように、位相反転制御がないと仮定して、同相制御のまま増加した場合の後輪舵角としている。これにより、前記ステップS4では、位相反転制御後の後輪舵角δr4wscを同相制御のまま増加する後輪舵角に推定することで、位相反転制御後の後輪舵角δr4wscを位相反転制御後に同相制御の後輪舵角に滑らかに追従するような値として得ている。
前述したように、運転者のステアリングの切り増しによる一時的な逆相制御時に、ステアリング反力が増加するように補正トルクを付与している。これにより、逆相制御時にセルフアライニングトルクが減少しても、その減少に影響されることのないステアリング反力になるので、位相反転制御時のステアリング特性が運転者に違和感を与えてしまうのを防止できる。
なお、前記第1の実施形態では、補助操舵輪である後輪の舵角δr4wscに基づいて補正トルクを算出している(前記(6)式参照)。しかし、これに限定されるものではない。例えば、操舵輪である前輪舵角δf4wscに基づいて補正トルクを算出しても良い。
四輪操舵装置では、前述したように、逆相制御すると、前輪のセルフアライニングトルクが減少してしまう。この結果、ステアリングの切り戻し時には前輪の復元力が減少する。この第2の実施形態では、このような復元力の減少が車両走行特性に影響してしまうのを防止している。
第2の実施形態では、前記第1の実施形態と同様に、車両構成は、前記図1に示すような構成であり、両挙動制御装置(四輪操舵装置)の構成は、前記図2に示すような構成になる。
先ずステップS11において、4WS制御中か否かを判定する。ここで、4WS制御中の場合、ステップS12に進み、4WS制御中でない場合、当該図9に示す処理を終了する。
ここで、運転者によるステアリングの切り戻し操作がある場合、ステップS14に進み、運転者によるステアリングの切り戻し操作がない場合、当該図9に示す処理を終了する。
続いてステップS15において、前記ステップS14で検出した車両回転半径に基づいて、2WS時の前輪舵角δfを推定する。例えば、演算、テーブル、経験値又は実験値等により、車両回転半径に対応する前輪舵角δfを推定する。
続いてステップS17において、4WS時のセルフアライニングトルクを算出する。例えば、前記(2)式において、前輪舵角δfに換えて、実測の前輪舵角δf4wsを用いることで、前輪舵角δf4wsに対応するセルフアライニングトルクを算出する。
続いてステップS19において、前記ステップS18で補正した操舵ゲインに基づいて、前輪のアシスト制御を行う。
同図中、(a)は前輪舵角δf4wsの変化、(b)は後輪舵角δr4wsの変化、(c)は操舵トルクの変化、(d)は操舵速度の変化、(e)はステアリングの切り戻し検出、(f)は前輪の操舵ゲインの補正量の変化を示す。なお、本例は、逆相制御を前提としている。
前述したように、運転者のステアリングの切り戻し時に、操舵ゲインを補正している。具体的には、逆相制御中には、切り戻し量に応じて操舵ゲインを増加補正し、同相制御中には、切り戻し量に応じて操舵ゲインを減少補正している。これにより、運転者のステアリングの切り戻し時に発生するセルフアライニングトルクの変化による操舵輪の復元力の変化が車両走行特性に影響するのを抑えることができるので、四輪操舵制御が運転者に違和感を与えてしまうのを防止できる。
また、前記第2の実施形態の説明において、コントロールユニット8のステップS12及びステップS13の処理は、ステアリングの切り戻しを検出する切り戻し検出手段を実現しており、コントロールユニット8のステップSステップS14〜ステップS19の処理は、前記四輪操舵制御中に前記切り戻し検出手段が切り戻しを検出した場合、前記操舵輪の復元力を補正する復元力補正手段を実現している。
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御回路
8 コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像部
16 ヨーレイトセンサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
21 ステアリングホイール
22FL〜22RR 車輪速度センサ
52 操舵軸
53 アクチュエータユニット
54 電動モータ
55 後輪操舵機構
56a,56b 後輪舵角センサ
100 車両挙動制御装置
Claims (5)
- 運転者によるステアリング操作に基づいて、操舵輪を操舵するとともに補助操舵輪を操舵制御し、低速走行時には前記操舵輪と前記補助操舵輪とを逆相にする逆相制御をし、かつ高速走行時には前記操舵輪と前記補助操舵輪とを同相にする同相制御をし、かつ前記ステアリングの切り増し時に一時的に逆相制御をしてから同相制御を行う位相反転制御を行う四輪操舵装置において、
前記ステアリングの切り増しを検出する切り増し検出手段と、
前記切り増し検出手段が検出した切り増しによる前記位相反転制御の作動を検出する位相反転制御作動検出手段と、
前記位相反転制御作動検出手段が検出した位相反転制御中の前記一時的な逆相制御時に、前記ステアリングの反力特性を、前記同相制御時のステアリングの反力特性と同等になるように補正するステアリング反力補正手段と、
を備えることを特徴とする四輪操舵装置。 - 前記ステアリング反力補正手段は、前記位相反転制御作動検出手段が検出した位相反転制御中の前記一時的な逆相制御時に、前記ステアリングの反力を、前記同相制御時のステアリングの反力と同等になるように増加補正することを特徴とする請求項1に記載の四輪操舵装置。
- 前記位相反転制御作動検出手段が検出した位相反転制御中の前記一時的な逆相制御時の操舵輪のセルフアライニングトルクを検出するとともに、当該逆相制御後の同相制御時の操舵輪のセルフアライニングトルクを推定するセルフアライニングトルク取得手段を備えており、前記ステアリング反力補正手段は、前記セルフアライニングトルク取得手段が取得した前記一時的な逆相制御時の操舵輪のセルフアライニングトルクと当該逆相制御後の同相制御時の操舵輪のセルフアライニングトルクとの差分に基づいて、前記ステアリングの反力特性の補正をすることを特徴とする請求項1又は2に記載の四輪操舵装置。
- 前記セルフアライニングトルク取得手段は、前記操舵輪又は補助操舵輪の舵角に基づいて、前記セルフアライニングトルクを算出することを特徴とする請求項3記載の四輪操舵装置。
- 前記セルフアライニングトルク取得手段は、前記一時的な逆相制御後の同相制御時の前記操舵輪又は補助操舵輪の舵角に基づいて、前記一時的の逆相制御後の同相制御時の操舵輪のセルフアライニングトルクを推定することを特徴とする請求項3又は4に記載の四輪操舵装置。
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