JP2861617B2 - Lsi用基板の製造方法 - Google Patents

Lsi用基板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シリコンLSI(Large
Scale integrated Circuit 大規模集積回路)を形成す
るためのシリコン基板の加工方法に関し、特にSOI(S
ilicon on insulator)構造を形成するためのLSI用基
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、LSI用基板として絶縁体の上に
形成したシリコン単結晶薄膜を用いる方法が知られてい
る。この構造はSOIと呼ばれ高耐圧デバイス、耐放射
線デバイス、超高速デバイスの形成に用いられている。
このSOI構造を形成する有力な方法として酸素イオン
注入法がある。従来の酸素イオン注入方法の概略を図1
0及び図11に示す。図10はイオン注入直後の構造を
示している。図10において、シリコンウェーハ1の表
面に高エネルギーに加速した酸素イオン2を注入する
と、注入された酸素は加速電圧に依存した深さの領域に
集中する。たとえば、加速電圧が200KVであると表
面から約400nmで酸素濃度が高くなって、シリコン
が酸化されたSiOx(X≦2)組成のアモルファス層
3が現れる。
【0003】図10の酸素イオン注入後のシリコンウェ
ーハ1を高温熱アニールすることにより得られる構造を
図11に示す。図11において、表面部分に薄いシリコ
ン単結晶膜4を残したままシリコンウェーハ1内部に組
成SiO2 の埋め込み酸化層5が形成される。注入され
た酸素の深さ分布に関しては既に研究発表がなされてお
り、その結果はたとえばJ.F.ジィーゲラー(ZIEGLE
R) 、J.P.ビーサック(BIERSACK)、U.リトマーク
(LITTMARK)の著書「The Stopping and Range of Ions i
n Solids」(Pergamon Press)第1巻192頁に掲載され
ている。その結果によれば、注入された酸素の平均深さ
は注入エネルギーにより一意的に決定され、深さ分布の
幅も注入エネルギーによって決定される。また、酸素の
平均深さおよび分布の幅はともに注入エネルギーが高い
ほど大きな値となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、上述したよう
に従来の酸素イオン注入法では、表面シリコン単結晶膜
4および埋め込み酸化層5の厚さがともに酸素イオンの
注入エネルギーにより決定されてしまい、任意の厚さの
表面シリコン単結晶膜4および埋め込み酸化層5を形成
することができないという欠点があった。従来、この問
題を解決するために酸素イオン2の注入、高温アニール
という一連の作業を行ってSOI構造を形成した後に再
び酸素イオンの加速電圧を変えて酸素イオン2の注入と
高温アニールを行うという方法が取られてきた。しかし
ながら、イオン源の加速電圧の変更にともなう条件設定
の変更が煩雑であり、また酸素イオン2の注入量の制御
をきわめて精密に行う必要がある。さらにイオン注入装
置から一旦とりだして高温アニールしたのち再度酸素イ
オン2の注入を行うため、表面の汚染によってSOI構
造の形成が困難になるという欠点があった。
【0005】また、従来方法の欠点を解決する別の方法
として、高温アニールしてSOI構造を形成したシリコ
ンウェーハ1の表面にシリコンを単結晶成長させること
により表面シリコン単結晶膜4の厚さを制御するという
方法が採られていた。その際には、単結晶成長前に高温
アニール後の表面を清浄処理することが必要であり、そ
のため酸によるウェットエッチングおよび真空中での8
00℃以上の高温加熱といった工程が必要となるため煩
雑であった。さらに、従来の酸素イオン2の注入法で
は、加速電圧が100〜200KVという高加速である
ため得られる酸素分布深さが数百nmという深さになっ
た。そのため、表面シリコン単結晶膜4の厚さも数百n
mに限定されてしまうので、最近超高速LSIを製造す
るのに必要不可欠とされている100nm以下の薄い埋
め込み酸化層5および薄い表面シリコン単結晶膜4を持
った薄膜SOI構造を形成できないという欠点があっ
た。また、従来の100〜200KVの高エネルギー酸
素イオン2を用いる方法でアモルファス埋め込み酸化層
5を形成する場合には、1cm2 あたり1018程度の多
量の酸素イオン注入を必要とするため、表面シリコンを
通過する酸素イオンの数が多いので、表面シリコン単結
晶膜4に重大な欠陥を数多く残すといった欠点があっ
た。したがって、本発明の課題は、上述の従来例の欠点
をなくし、SOI構造の埋め込み酸化層5と表面シリコ
ン単結晶膜4の膜厚をそれぞれ任意に制御できるSOI
構造のLSI用基板の製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】従って上述の課題を達成
するため、本発明は、単結晶シリコンウェーハに酸素イ
オンを注入することにより埋め込み酸化層を有するLS
I用基板を製造する方法において、酸素イオンの注入と
シリコン原子の蒸着を同時あるいは交互に行う第1の工
程と、該第1の工程の終了後に高温アニール処理を行う
第2の工程とを有するLSI用基板の製造方法である。
さらに、注入する酸素イオンの加速エネルギーの範囲を
10〜100KVとしてもよい。
【0007】
【作用】上記構成のLSI用基板の製造方法において、
単結晶シリコンウェーハに酸素イオンの注入とシリコン
原子の蒸着とを同時あるいは交互に行うことによりSO
I構造の埋め込みアモルファス層と表面シリコン単結晶
膜の厚さをそれぞれ任意に制御し、最後に一括して高温
アニール処理をして前記アモルファス層を埋め込み酸化
層にするとともに前記単結晶シリコンウェーハ全体を安
定化せしめる。さらに注入する酸素イオンの加速エネル
ギーの範囲を10〜100KVとすることにより、注入
された酸素の分布領域が狭く急峻となる。
【0008】
【実施例】次に、本発明の実施例を図面を参照しながら
説明する。図1〜図5は本発明の第1の実施例の説明図
である。第1の実施例においては、酸素イオンの注入と
シリコン原子の蒸着を同時に行い、その後高温アニール
処理をしている。図1は、同時形成開始直後に注入した
酸素イオン分布のピーク位置6を示し、一方図2は、同
時形成終了直前に注入した酸素イオン分布のピーク位置
6aを示している。図3は、同時形成終了時の構造を示
し、図4は、イオン注入をやめてシリコン単結晶成長し
た後の構造を示し、最後に図5は、高温アニール後の構
造を示している。図1・図2において、シリコンウェー
ハ1中に酸素イオンが注入され、その分布のピーク位置
6・6aが決まる。同時形成終了時には、図3に示すよ
うにシリコンウェーハ1中に酸素濃度が高くてアモルフ
ァス化したアモルファス層3及びアモルファス層3の図
示上側に薄いシリコン単結晶膜4が形成される。次に酸
素イオン注入をやめて図4に示すようにシリコン単結晶
成長層7を形成する。最後に高温アニール処理をする
と、図5に示すようにシリコンウェーハ1中に埋め込み
酸化層5及びその図示上側にシリコン単結晶膜4が形成
されたSOI構造のLSI用基板8aが形成される。
【0009】上述の従来例で説明したように、酸素イオ
ンはシリコンウェーハ1の内部に注入され、注入時の表
面はシリコン単結晶状態が保持されている。このため、
酸素イオン注入と同時にシリコン蒸着すると、シリコン
ウェーハ1の温度を数百℃程度以上の高温に保持してお
けば、シリコン単結晶成長層7を形成することができ
る。このとき、シリコン蒸着速度を酸素イオンによって
表面シリコン単結晶成長層7からスパッタリングされる
速度より大きな値とすることが必要である。シリコン蒸
着速度としてスパッタリング速度の2倍とすると、イオ
ン注入時の酸素分布の理論計算が容易になる。酸素イオ
ン注入とシリコン単結晶成長を行っている間は、シリコ
ンウェーハ1の表面にシリコン単結晶成長層7を残した
ままの状態でシリコンウェーハ1の内部でアモルファス
層3の成長を続けさせることができる。アモルファス層
3の厚さが所定の値になったところで酸素イオン注入を
やめ、その後はシリコンの単結晶成長層7の成長のみを
所定の膜厚になるまで続ける。このような一連の作業が
終了後、シリコンウェーハ1を装置から取り出し、窒素
雰囲気下で高温アニール処理することによって、図5に
示すように埋め込み酸化層5及び表面シリコン単結晶膜
4の厚さが別々に制御されたSOI構造のLSI用基板
8aが形成される。
【0010】次に、上述の各工程を具体的数値にもとづ
いて説明する。まず、シリコンウェーハ1を高真空のイ
オン注入室内で800℃以上に加熱した状態で約30分
保持して表面の酸化層や不純物を取り除いた後、温度を
550℃に下げ酸素イオンを加速電圧25KV、電流密
度250μAで注入すると同時にシリコン蒸着を電子ビ
ーム蒸着により約2nm/sで約1200秒続ける。こ
の場合、シリコンの蒸着速度は、スパッタリング速度の
2倍であるため、表面のシリコン単結晶膜4が成長す
る。同時形成が終了したときは、図3に示す構造とな
り、表面シリコン単結晶膜4が70nm、アモルファス
層3が300nmとなる。この状態の試料にシリコンの
単結晶成長のみを続け約230nm堆積(図4で示すシ
リコン単結晶成長層7)したところで成長を終了した。
この試料の温度を室温まで下げたのち大気中に取り出
し、窒素雰囲気下で1200℃以上の高温で約6時間ア
ニールを加えた。この結果形成された構造は、図5のよ
うに表面から単結晶シリコン膜4/埋め込み酸化層5/
単結晶のシリコンウェーハ1からなるSOI構造であ
り、表面シリコン単結晶膜4の厚さが300nm、埋め
込み酸化層5の厚さが300nmであった。
【0011】次に、本発明の第2の実施例を図6〜図9
にもとづいて説明する。この第2の実施例は、酸素イオ
ンの注入とシリコン原子の蒸着を交互に行いその後に高
温アニール処理を行う方法である。図6は最初のイオン
注入直後の構造を示し、図7は最初のイオン注入後にシ
リコンを単結晶成長させたときの構造を示し、図8は更
に酸素イオン注入を行ったときの構造を示し、最後に図
9は高温アニール後の構造を示す。まず、第1回の酸素
イオン注入を行ってシリコンウェーハ1内部に薄いアモ
ルファス層3を形成する。次に、シリコン単結晶膜4を
成長させる。このときの膜厚は後述する2回目の酸素イ
オン注入でシリコン単結晶膜4のスパッタリングされる
膜厚と2回目の酸素イオン注入で形成されるアモルファ
ス層3の厚さの程度とする。その後、2回目の酸素イオ
ン注入を行う。この結果図8に示したようにアモルファ
ス層3は厚さが増加する。このとき、スパッタリング効
果により図8の表面シリコン単結晶膜4は削られて薄く
なり、その厚さは1回目の酸素イオン注入後の表面シリ
コン単結晶膜4の厚さとほぼ等しくなる。この一連の操
作を繰り返しアモルファス層3が所定の厚さに達したと
ころで酸素イオン注入を中止する。その後、表面シリコ
ン単結晶膜4が所定の膜厚になるまでシリコン単結晶成
長を続ける。この試料を装置から取り出し高温アニール
を加えることで図9に示すように絶縁層としての埋め込
み酸化層5及び表面シリコン単結晶膜4の厚さが別々に
制御されたSOI構造のLSI用基板8bが形成され
る。
【0012】次に、上述の第2の実施例の各工程を具体
的数値にもとづいて説明する。まず、シリコンウェーハ
1を高真空のイオン注入室内で800℃以上に加熱した
状態で約30分おいて表面の酸化層や不純物を取り除い
た後、温度を550℃に下げ酸素イオンを加速電圧25
KVで2×1017個/cm2 注入する。そのときに形成さ
れた構造は、図6に示すようにシリコン単結晶膜4の厚
さが約70nm、アモルファス層3の厚さが約30nm
である。これにシリコンを電子ビーム蒸着法により17
0nm単結晶成長させた。この試料にさらに酸素イオン
を加速電圧25KVで2×1017個/cm2 注入すると、
図8に示すように表面シリコン単結晶膜4の厚さが約7
0nm、アモルファス層3の厚さが約60nmになっ
た。この操作を繰り返し、酸素イオン注入を10回、シ
リコン単結晶成長を9回繰り返した後にシリコンの単結
晶成長を40nm行う。この試料の温度を室温まで下げ
た後イオン注入室から大気中に取り出し、窒素雰囲気化
で1200℃以上の高温で約6時間アニール処理した。
この結果形成された図9に示すSOI構造では、表面シ
リコン単結晶膜4の厚さが100nm、埋め込み酸化層
5の厚さが30nmであった。
【0013】上述した第1・第2の実施例は、真空容器
中でイオン注入及びシリコンの単結晶成長が終了した後
に高温アニール処理を行うことを特徴としており、従来
技術の酸素イオン注入と高温アニール処理の繰り返しに
伴う欠点、および高温アニール後のシリコン単結晶成長
に伴う欠点を除去することができ、また従来例に比して
工程が簡便となる。また、上述の第1・第2の実施例で
は、注入する酸素イオンの加速電圧として10〜100
KVという従来法よりも低い加速電圧を用いると極めて
効果的である。注入エネルギーを低くする結果、酸素の
分布領域が狭く急峻となり高電圧加速に比べ精密に膜厚
制御が行える。また、制御可能な埋め込み酸化層5およ
び表面シリコン単結晶膜4の最小膜厚が10nm程度と
従来法に比較して大幅に改良できる。さらに酸素の分布
領域が狭くできる結果として、埋め込み酸化層5の形成
に必要な酸素イオン注入量を表面1cm2 あたり従来法の
1018程度から約10分の1に低減化できるため、表面
シリコン単結晶膜4の欠陥を低減できる。
【0014】
【発明の効果】以上詳細に説明したように本発明のLS
I用基板の製造方法によれば、SOI構造の埋め込み酸
化層と表面シリコン単結晶膜との厚さを任意にかつ精密
に制御することができる。さらに高温アニール処理を最
後に一括して行うため、工程を簡易化できる。従って、
本発明のLSI用基板の製造方法を用いると、目的とす
るデバイスの要求性能に応じたSOI構造の実現が容易
に出来るようになる。例えば高耐圧デバイスが必要なら
ば、厚い埋め込み酸化層を形成する。高速化を図るなら
ば、薄い表面シリコン膜を形成する。また、微細化を図
るならば、薄いシリコン層と薄い埋め込み酸化層を形成
することになる。さらに、注入する酸素の加速エネルギ
ーの範囲を10〜100KVとすると、埋め込み酸化層
の膜厚を精密に制御でき、かつ必要な酸素イオン注入量
を著しく少なくすることができるので、表面シリコン単
結晶膜の欠陥を低減できる。このように、本発明のLS
I用基板の製造方法は、LSIを著しく高性能化・安定
化・高集積化・高速化しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施例の説明図であり、図1の
続きを示すものである。
【図3】本発明の第1の実施例の説明図であり、図2の
続きを示すものである。
【図4】本発明の第1の実施例の説明図であり、図3の
続きを示すものである。
【図5】本発明の第1の実施例の説明図であり、図4の
続きを示すものである。
【図6】本発明の第2の実施例の説明図である。
【図7】本発明の第2の実施例の説明図であり、図6の
続きを示すものである。
【図8】本発明の第2の実施例の説明図であり、図7の
続きを示すものである。
【図9】本発明の第2の実施例の説明図であり、図8の
続きを示すものである。
【図10】従来例の説明図である。
【図11】従来例の説明図であり、図10の続きを示す
ものである。
【符号の説明】
1 シリコンウェーハ 3 アモルファス層 5 埋め込み酸化層 6 酸素イオン分布のピーク位置 6a 酸素イオン分布のピーク位置 8a LSI用基板 8b LSI用基板

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単結晶シリコンウェーハに酸素イオンを
    注入することにより埋め込み酸化層を有するLSI用基
    板を製造する方法において、酸素イオンの注入とシリコ
    ン原子の蒸着を同時あるいは交互に行う第1の工程と、
    該第1の工程の終了後に高温アニール処理を行う第2の
    工程とを有することを特徴とするLSI用基板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 注入する酸素イオンの加速エネルギーの
    範囲が10〜100KVであることを特徴とする請求項
    1記載のLSI用基板の製造方法。
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CN1194380C (zh) * 2000-04-24 2005-03-23 北京师范大学 绝缘体上单晶硅(soi)材料的制造方法
KR100403519B1 (ko) * 2001-03-07 2003-10-30 재단법인서울대학교산학협력재단 실리콘 이중막 전력 트랜지스터 및 그 제조 방법

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