JP2858020B2 - 油性固形化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な油性固形化粧料に関し、更に詳細に
は、経時的な発汗を伴わず、優れた光沢を有する油性固
形化粧料に関する。

〔従来の技術〕

従来、口紅、アイシャドウなどの油性固形化粧料にお
いては、優れた光沢を有するものが望まれており、この
ために、成分中の固形ワックスに対する液状油剤の割合
を増して、光沢を向上させていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、油性固形化粧料の光沢に有意差を出す
ほど液状油剤の割合を増加させると、化粧料の表面に経
時的に発汗を生じてしまい、実際に製品化するには困難
であった。

従って、経時的な発汗を伴わずに、優れた光沢を有す
る油性固形化粧料の開発が望まれていた。

〔課題を解決するための手段〕 かかる実情において、本発明者らは鋭意研究を行なっ
た結果、特定の固形ワックス、特定の微粒子粉体および
液状油剤を組合わせて用いれば、経時的に発汗が生じ
ず、優れた光沢を有する油性固形化粧料が得られること
を見出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は、次の成分（Ａ）〜（Ｃ） （Ａ）マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンポ
リプロピレン共重合体、ポリエチレンワックス、セレシ
ンワックスおよびパラフィンワックスから選ばれる１種
または２種以上の固形ワックス ５〜40重量％ （Ｂ）粒径0.1μｍ以下の酸化アルミニウムおよび無水
ケイ酸から選ばれる１種または２種以上の微粒子粉体 １〜30重量％ （Ｃ）液状油剤 30〜80重量％ を含有し、入射角、反射角共に60゜の場合の光沢度が40
％以上であることを特徴とする油性固形化粧料を提供す
るものである。

本発明の（Ａ）成分である固形ワックスは、マイクロ
クリスタリンワックス、ポリエチレンポリプロピレン共
重合体、ポリエチレンワックス、セレシンワックスおよ
びパラフィンワックスから選ばれるもので、単独または
２種以上を組合わせて用いることができる。これら固形
ワックスを具体的に例示すれば、マイクロクリスタリン
ワックスとしては、ルバックス2191（日本精ろう株式会
社製）、ムルチワックスＷ−445（ウィットコ・ケミカ
ル社製）、モービル190Y（モービル石油社製）；ポリエ
チレンワックスとしては、ポリワックス500または655
（BARECO社製）、ユニワックス（日本石油株式会社
製）；ポリエチレンポリプロピレン共重合体としては、
ペトロライトCP−７（BARECO社製）；セレシンワックス
としては、セレシン810（日興リカ株式会社製）、セレ
シンワックス（ニポニックス株式会社製）；パラフィン
ワックスとしては、パラフィンワックス155゜F〜115゜F
（日本精ろう株式会社製）等が挙げられる。これら固形
ワックスは、全組成中に５〜40重量％（以下、「％」で
示す）、好ましくは10〜30％の範囲で配合される。５％
未満では、本発明の油性固形化粧料が成型できず、40％
を超えると固形分が多すぎるため、油性固形化粧料本来
の使用性が得られず好ましくない。

（Ｂ）成分の微粒子粉体は、粒径0.1μｍ以下の酸化
チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸およ
び酸化鉄から選ばれるもので、単独または２種以上を組
合わせて用いることができる。粒径が0.1μｍを超える
ものでは、本発明の効果が得られず、好ましくない。こ
れらの微粒子粉体を具体的に例示すれば、酸化チタンと
しては、チタンＰ−25（デグッサ社製）、タイペークTT
O−55A（石原産業株式会社製）、微粒子酸化チタンMT−
500SA（テイカ社製）；酸化亜鉛としては、微粒子亜鉛
華（三菱金属株式会社製）；酸化アルミニウムとして
は、アルミナAKP−Ｇ、AKP−GM（住友化学株式会社
製）；無水ケイ酸としては、エロジール200、300、R97
2、R974（日本エロジール株式会社製）；酸化鉄として
は赤色透明酸化鉄、黄色透明酸化鉄（三菱金属株式会社
製）、トリオックスＹ−100、Ｒ−100（富士チタン工業
株式会社製）、ヘマタイト（住友セメント株式会社製）
等が挙げられる。これら微粒子粉体は、全組成中に１〜
30％、好ましくは３〜10％の範囲で配合される。１％未
満では充分な光沢が得られず、30％を超えると粉体が多
すぎるため、油性固形化粧料本来の使用性が得られず好
ましくない。

また、（Ｃ）成分の液状油剤としては、通常の化粧料
に用いられるものであれば特に制限されず、例えばトリ
グリセリドとしてはオリーブ油、ヒマシ油、トリファッ
トＳ−308（日本サーファクタント工業株式会社製）；
エステル油としては、ニッコールCIO（日本サーファク
タント工業株式会社製）、MOD（進栄化学株式会社
製）；炭化水素油としては、スクワラン（岸本特殊肝油
工業所製）、粒状パラフィン55（日本ケミカル株式会社
製）；シリコン油としては、シリコンKF96（信越化学株
式会社製）、揮発性油であるシリコンDC345（トーレ・
シリコーン株式会社性）等を好適に使用することができ
る。これら液状油剤は単独または２種以上を組合わせて
用いることができ、全組成中に30〜80％配合される。30
％未満では充分な光沢が得られず、使用性も好ましくな
く、80％を超えると、経時的に表面に発汗を生じるので
好ましくない。

更に、本発明の油性固形化粧料には、前記必須成分の
他、通常の化粧料に用いられる成分、例えば成分（Ａ）
以外の固形ワックス、（Ｂ）以外の顔料、染料、樹脂、
高分子、界面活性剤、高級アルコール、香料、保湿剤、
防腐剤、美容剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤等を
本発明の効果を損なわない範囲で配合することができ
る。

本発明の油性固形化粧料は、通常の方法により製造す
ることができ、例えば口紅、リップクリーム、アイシャ
ドウ、ファンデーションなどとして適用することができ
るが、その中でも皿状容器に充填した油性固形化粧料の
場合に特に優れた効果が得られる。

また、本発明の油性固形化粧料は、固形ワックス、微
粒子粉体および液状油剤の配合バランスを変えることに
より、その硬度を自由に調節することができる。そし
て、硬度の目安としては、油性固形化粧料の使用性、形
状保持性を考慮した場合、針入度として100〜500g程度
のものが好ましい。

なお、上記の如くして得られる本発明の油性固形化粧
料は優れた光沢を有するものであるが、そのためには入
射角、反射角共に60゜の場合の光沢度が40％以上である
ことが必要である。

〔実施例〕

次に実施例を挙げ、本発明を更に説明するが、本発明
はこれら実施例に限定されるものではない。

実施例１ 第１表に示す組成の皿状口紅を製造し、その成型品表
面の光沢度および発汗の有無について調べた。結果を第
１表に示す。

（製法） A. 成分（１）〜（10）を加熱、溶解する。

B. Ａに成分（11）〜（18）を加え、混練する。

C. Ｂに成分（19）、（20）を加え、容器に流し込み成
型する。

（評価方法） 光沢度：グロスメーターVG−10（日本電色工業株式会
社製）を用い、入射角60゜、反射角60゜の条件で測定し
た。

発汗の有無：製造翌日の状態を目視により観察した。

第１表から明らかな如く、本発明の口紅は比較品に比
べ著しく光沢に優れ、しかも発汗が生じないものであっ
た。

実施例２ 油性ファンデーション （成分） （％） （１） マイクロクリスタリンワックス 10 （２） ワセリン 20 （３） マカデミアンナッツオイル 20 （４） グリセリン脂肪酸エステル 16.3 （５） 酸化チタン（粒径１μｍ） 8 （６） 微粒子酸化チタン（粒径0.04μｍ） 7 （７） 酸化鉄（粒径0.5μｍ） 2 （８） 微粒子酸化鉄（粒径0.06μｍ） 0.5 （９） 雲 母 15 （10） 美容成分 0.5 （11） 酸化防止剤 0.1 （12） 紫外線吸収剤 0.5 （13） 香 料 0.1 （製法） A. 成分（１）〜（４）を加熱、溶解する。

B. Ａに成分（５）〜（９）を加え、均一に混合する。

C. Ｂに成分（10）〜（13）を加え、皿状容器に充填し
て成型する。

上記の如くして得られた本発明の油性ファンデーショ
ンは、表面に経時的な発汗がなく、しかも光沢度（60゜
−60゜）は41.5％であり、優れた光沢を有するものであ
った。

実施例３ リップクリーム （成分） （％） （１） マイクロクリスタリンワックス 10 （２） セレシンワックス 10 （３） ポリエチレンワックス 10 （４） ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 20 （５） ジグリセリントリイソステアレート 45.7 （６） 赤色202号 0.1 （７） 微粒子酸化チタン（粒径0.04μｍ） 2 （８） 微粒子亜鉛華（粒径0.05μｍ） 1 （９） 美容成分 0.5 （10） 酸化防止剤 0.1 （11） 紫外線吸収剤 0.5 （12） 香 料 0.1 （製法） A. 成分（１）〜（５）を加熱、溶解する。

B. Ａに成分（６）〜（８）を加え、混練する。

C. Ｂに成分（９）〜（12）を加え、棒状容器に流し込
み成型する。

上記の如くして得られた本発明のリップクリームは、
表面の経時的な発汗がなく、光沢度（60゜−60゜）は6
5.0％であり、優れた光沢を有するものであった。

実施例４ スティックアイシャドウ （成分） （％） （１） マイクロクリスタリンワックス 10 （２） ポリエチレンワックス 10 （３） ワセリン 5 （４） ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 5 （５） ジカプリン酸プロピレングリコール 10 （６） ジグリセリントリイソステアレート 23.8 （７） 赤色202号 5 （８） 赤色226号 7 （９） 雲 母 10 （10） 微粒子アルミナ（粒径0.01μｍ） 10 （11） 微粒子酸化鉄（粒径0.06μｍ） 3 （12） 美容成分 0.5 （13） 酸化防止剤 0.1 （14） 紫外線吸収剤 0.5 （15） 香 料 0.1 （製法） A. 成分（１）〜（６）を加熱、溶解する。

B. Ａに成分（７）〜（11）を加え、均一に混合する。

C. Ｂに成分（12）〜（15）を加え、棒状容器に充填し
て成型する。

上記の如くして得られた本発明のアイシャドウは、表
面の経時的な発汗がなく、しかも光沢度（60゜−60゜）
は48.5％であり、優れた光沢を有するものであった。

〔発明の効果〕

以上詳述した如く、本発明の油性固形化粧料は、入射
角、反射角共に60゜の場合の光沢度が40％以上で、優れ
た光沢を有し、しかも表面に経時的な発汗を生じない優
れたものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A61K 7/00 - 7/50

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】次の成分（Ａ）〜（Ｃ） （Ａ）マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンポ
   リプロピレン共重合体、ポリエチレンワックス、セレシ
   ンワックスおよびパラフィンワックスから選ばれる１種
   または２種以上の固形ワックス ５〜40重量％ （Ｂ）粒径0.1μｍ以下の酸化アルミニウムおよび無水
   ケイ酸から選ばれる１種または２種以上の微粒子粉体 １〜30重量％ （Ｃ）液状油剤 30〜80重量％ を含有し、入射角、反射角共に60゜の場合の光沢度が40
   ％以上であることを特徴とする油性固形化粧料。