JP2855595B2 - 自己粘着性フィルム - Google Patents
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Description
自己粘着性フィルムに関するものであり、更に詳しくは
接木作業を容易にし、作業効率がよく、かつ、高い活着
率を維持し得る自己粘着性フィルムに関するものであ
る。
自由化等、周辺を取り巻く環境は厳しさを増しており、
輸入果樹に対抗するため、また、国内においては消費者
の高級・多様化のニーズに応え、産地間競争に打ち勝つ
ために、より高品質果実への作柄転換が盛んである。
病虫害や気候の変化に強い台木に新しい品種で高品質の
果実をつける穂木を接木する方法が取られるのが一般的
である。また、現在生産している果樹の在来品種を、目
標とする新品種に効果的に切り替え、不結実期間を短縮
して早期に収穫する技術として高接ぎ法が確立され、積
極的に品種更新が実施されるようになっている。
粘着性フィルムを巻き付け、最後に結ぶことにより固定
化する方法、またはゴム紐を用いて強く固定する方法等
が採られていた。この場合、接木の乾燥防止としてビニ
ル袋等で全体を覆ったり、接ロウを用いる方法が採られ
ていたが、ビニルテープ、ビニル袋の場合は穂木の発芽
にあわせて袋を切り開く作業(芽開け作業)が必要で、
穂木の固定の為に巻き付けた塩化ビニルテープは、樹幹
部に対する生長阻害要因になるために、後日ビニルテー
プを取り除く作業が必要となる。
かしたロウの準備が必要で、屋外で行う高接には温度管
理や作業能率の面で適した方法とはいえず、活着率にお
いても作業技術、気候条件等により左右されて著しく低
くなる場合が発生し易い。
0号に提案されてたような接木方法が発案され、接木作
業に関わる作業の簡素化及び接木活着率の著しい向上が
可能になってきている。つまり自己粘着性を有する接木
用フィルムを2〜10倍に延伸し、切接法の場合は、接
木接合部の固定を兼ねながら穂木全体まで覆い、芽接法
の場合は、芽の部分をシールする為に覆うが、延伸され
たフィルムは延伸された状態でも自己粘着性を有するた
め最終部分は密着し、あらためて結び付け等を行う必要
がなく、作業の簡素化が図れ、更に接木部分等は完全に
保護されるので著しい活着率の向上をもたらし得る。
活着後、発芽してくる芽が自力でフィルムを破裂可能な
劣化性と厚みになっている為に、芽開け作業は全く必要
なく大きな省力化になり、一定期間中、全体を被覆して
いて適度な温度と湿潤性を保つ環境を作るため、発芽が
早く、発育・生長を助ける効果にもつながり、優良な苗
木の生産と高接後の穂木の新梢の成育に寄与する利点も
そなえている。
粘着性を有するため、重ね合わせまたは巻物状にすると
相互に密着し合い剥離しにくくなるばかりか、保管等に
おける経時変化や温度変化等の影響で強固に密着し、1
枚のフィルムとして巻き剥がせない事態となってしま
い、実用上支障を来す問題があった。
防する方法として、フィルムの表面に凹凸を付けて相互
に密着面積を下げ、定着力を下げさせる方法も考えられ
るが、もともと自己粘着性を有するものでは経時的に密
着力が増し、保管等によって巻き剥がせなくなってしま
う点の解決にはならないものである。
シリコーン樹脂を塗布した離型紙や離型フィルムを自己
粘着性を有する接木用フィルムの間に挟み込んで巻き付
けテープ状とした剥離容易なものが提供されている。こ
のフィルムによれば、自己粘着性を有するフィルムは相
互に接触しないため確実に隔離ができ、前記特許に提案
されている如く接木活着率の向上に役立ち得る。
いた場合の欠陥として、離型紙に付着状態の接木用フィ
ルムを巻き剥がして所望長さに切断した後、離型紙と接
木用フィルムを剥離しなければならず、この剥がし方が
意外と煩わしく、剥がし難く、またそのためにフィルム
を損傷しやすいものであり、結果的に接木作業の迅速、
効率化にとって障害となっている。また、剥離後の離型
紙は全く不要となって、その場に捨てられることが多
く、土壌や環境の汚染の原因ともなっている。これらを
廃棄させないための配慮や収拾は、作業効率を一層低下
させることになる。
着性を有するフィルムの活着率の高さを保ちながら、接
木作業の迅速かつ効率的なフィルムの開発に着手し、種
々の研究の結果、本発明に至ったものであり、本発明
は、離型紙等を使用することなく、自己粘着性フィルム
を重ね合わせ、或いは巻物状としても、剥離しやすさが
維持でき、しかもこれを対象物に巻き付けた時には自己
粘着性によってフィルムが巻き付け状態を維持し、巻き
付け終端を結び付けなくても解けることがない自己粘着
性フィルムを提供せんとするものである。
の本発明の自己粘着性フィルムは、2〜10倍に延伸可
能に形成された自己粘着性を有する軟質フィルムの片面
又は両面に、2〜10倍に延伸させるだけで剥離するよ
うに、平均粒径1〜60μの微粉末を0.5g/m 2 〜
10g/m 2 の割合で付着させてなる構成を有すること
を特徴とするものである。
自己粘着性を有する約50〜200μの軟質フィルムの
片面または両面に平均粒径1〜60μの微粉末を約0.
5〜10g/m2 付着させて構成することができる。ま
た、上記微粉末は無機粉末、プラスチック粉末、または
デンプン等が使用可能である。
着性を有し、適度に、例えば約2〜10倍に延伸しても
粘着性を損なわない素材であれば任意素材でよいが、そ
の代表的なものとしてパラフィンワックス、ポリイソブ
チレン及びポリエチレンからなるオレフィン系自己粘着
性テープ等がある。
性フィルムを直に重ね合わせ或いは巻き付けておいて
も、適度な剥離性を維持し得るので、簡単に剥離でき、
所望の長さに切断可能である。また、自己粘着性フィル
ムは剥離時の引っ張り圧によって延伸し、この延伸時に
付着した微粉末が剥落するので、これを対象に巻き付け
ると自己粘着によって巻き付け状態が維持され、終端が
解けない。
粘着性フィルムのシートの厚さは約50〜200μが好
ましい。パラフィンワックス、ポリイソブチレン及びポ
リエチレンからなるオレフィン系自己粘着性テープの場
合、ポリイソブチレンは約30〜60%(重量、以下同
じ)、ポリエチレン約3%以上、及びパラフィンワック
ス約25%以上を含むものである。この自己粘着性フィ
ルムはフィルムの表面に凹凸を付けたいわゆるマット状
フィルムでもよいことはいうまでもない。
き取り過程の間において、フィルムの片面或いは両面に
微粉末を所定量散布することにより付着させることがで
き、例えば、雲母(ナトリウム四珪素)、炭酸カリウ
ム、亜鉛華、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、タ
ルク、クレー、ホワイトカーボン、焼成珪藻土、酸化チ
タン、アルミナ、ガラスマイクロバルーン、ガラスビー
ズ、ランコジル、シラスバルーン、硫酸カルシウム、硫
酸バリウム、ゼオライトの無機系微粉末、或いはデンプ
ン、またはシリコン等表面処理したデンプン、同ポリエ
チレン、同ポリスチレン、同ポリプロピレン、同塩化ビ
ニル、同AS樹脂等の有機系微粉末が上げられる。
ているが、フィルムの密着性を妨げる効果についての素
材による差異は少ない。これらの微粉末を自己粘着性フ
ィルムに散布した場合、微粉末の平均粒径と散布量を相
関的に選択することにより著しい効果を示すことが判明
した。
好ましい。粒径が約1μ以下ではフィルム表面に付着し
た微粉末はフィルムに強固に密着し、例えばテープ状に
巻き付けた状態での自己粘着フィルムの層間剥離は極め
て良好であるが、使用時にテープから巻き剥がす際に約
2〜10倍に延伸した後も、殆どの微粉末がフィルムに
付着したまま残るので、本来の自己粘着性を発揮し得な
いことになる。一方、粒径が約60μ以上では自己粘着
性フィルムにおいては粗い散布となり、かつフィルム面
から剥落する微粉末もあることから、均一的な微粉末の
散布ができ難いという欠陥が出る。
m2 が良好であり、特に約0.5〜8g/m2 が一層良
好である。散布量が約0.5g/m2 よりかなり少なく
なると、フィルム間の剥離性が改善されず好ましくな
い。一方、散布量が約10g/m2 越えるとフィルム間
の剥離性は著しく改善されるが、使用状態で約2〜10
倍に延伸時に自己粘着性が回復せず、本来の目的に供し
難いという欠陥が出る。
が小さいものについては散布量を中間付近乃至多めと
し、粒径が大きいものについては散布量を中間乃至少な
めとして組み合わせることが好ましく、こうすることに
よって、重ね合わせ或いは巻き付けた自己粘着性フィル
ムの層間に分布し、スペーサーとしての役目を持って自
己粘着性フィルム同士の密着を妨げる適当な効果がある
と同時に、フィルムを延伸させた時に剥落して自己粘着
性を回復させる適当な効果が生じる。
本発明に係る実験例5例を実施例1〜5とし、対比のた
めに微粉末の異なるものを付着させ、或いは微粉末無付
着のものを比較例1〜10とした。
量45万のポリイソブチレン35%及び融点約65℃の
パラフィンワックス60%、比重0.94のポリエチレ
ン5%を加圧ニーダーで均一に配合し、押出機で120
μの自己粘着性フィルムを得、フィルム成形の際、10
0メッシュの梨地加工を施した自己粘着性フィルムを用
いた。微粉末の付着は、上記押出機で成形した自己粘着
性フィルムをロール状に巻き取る直前工程において、微
粉末を散布機(商品名・ニッカ株式会社パウダースプレ
ーK−III )を用いてフィルム片面に所定量散布するこ
とによって行った。
ロール状に巻き取り、常温で24時間放置した後、引張
り試験機(ショッパー)にて解きほぐして剥離力を測定
し、「初期」の剥離力を調べた。また、同ロール状フィ
ルムを55℃のギヤーオーブンの中に7日間保管して後
に同様に測定し、「加熱促進」状態即ち経時的変化が想
定される状態の剥離力を調べた。自己粘着性フィルムの
実際の使用は、適宜日数を経て市販されたものであり、
かつ温度環境の変化を経たものを用いるのが通常である
から、上記二つの測定の内、このような経時的変化を考
慮した後者の剥離実験結果が実用性の有無を判定する上
での決め手となる。
用い、カラタチの台木に穂木を接木し、これにフィルム
を巻き付けて接木作業を行い(切接法)、1分間当たり
の接木本数(作業性)を対比した。
のガラスビーズを3g/m2 散布して自己粘着性フィル
ムとした。 (実施例2)平均粒径10μの炭酸カルシウムを5g/
m2 散布して得た。 (実施例3)平均粒径15μのデンプンを4g/m2 散
布して得た。 (実施例4)平均粒径40μのデンプンを1g/m2 散
布して得た。 (実施例5)平均粒径50μのポリプロピレンを0.7
g/m2 散布して得た。
ーズを5g/m2 散布して得た。 (比較例2)平均粒径80μのアルミナ1.2g/m2
散布して得た。 (比較例3)平均粒径20μの炭酸カルシウム0.3g
/m2 散布して得た。 (比較例4)平均粒径10μの炭酸カルシウム12g/
m2 散布して得た。 (比較例5)平均粒径15μのデンプン0.4g/m2
散布して得た。 (比較例6)平均粒径30μのデンプン12g/m2 散
布して得た。 (比較例7)平均粒径0.3μのポリプロピレン1.5
g/m2 散布して得た。 (比較例8)平均粒径70μのポリプロピレン0.4g
/m2 散布して得た。 (比較例9)微粉末無散布の自己粘着性フィルムを用い
た。 (比較例10)微粉末無散布の自己粘着性フィルムにシ
リコン処理した離型紙を重合してロール状に巻き取って
用いた。
考察欄における「××」は、接木作業時にフィルムをロ
ールから引き出す際、密着状態となっていて剥離性が悪
く、そのために剥離しようとするとフィルムが延び過ぎ
てしまって巻き付け難くなってしまうか、或いは切れて
しまい、接木作業性が著しく難しくなり、或いはフィル
ムのロス率が非常に高くなったもの、及び、全く剥離不
能であったものを意味し、実用性がなかったことを示
す。また、表中「*」は、接木作業のためにフィルムを
延伸すると、自己粘着力が殆ど無く、接木作業が不可能
であったことを示す。
の実施例に比較すると著しく作業性が悪く、実用性に劣
るが、作業は行うことができたものである。フィルム自
体の保護効果により接木できたものの活着率は高かっ
た。作業性が好ましい剥離程度は、上記実験によれば、
初期状態で剥離力が約50〜60g/10cm2 より大
であるものが好ましく、加熱促進状態で剥離力が約35
0〜400g/10cm2 を超えると作業性に著しく支
障を来すことになることが判明した。
る自己粘着性フィルムを用いることにより、作業性が著
しく向上し、しかもこのフィルムによって保護された接
木は略々100%の活着性を得ることができた。
着性フィルムを重ね合わせ、或いは巻物状としても、剥
離しやすさが維持でき、しかもフィルムを延伸して対象
部を被覆することができ、延伸されたフィルムは延伸さ
れた状態でも自己粘着性を有して被覆状態を維持し、最
終部分は密着し、あらためて結び付け等を行う必要がな
く、作業の簡素化が図れる自己粘着性フィルムとなり、
更に接木用とした場合には、接木部分等は完全に保護さ
れるので著しい活着率の向上をもたらし得る自己粘着性
フィルムとなる。しかも離型紙等を用いないので廃棄物
が生じない。
Claims (1)
- 【請求項1】 2〜10倍に延伸可能に形成された自己
粘着性を有する軟質フィルムの片面又は両面に、2〜1
0倍に延伸させるだけで剥離するように、平均粒径1〜
60μの微粉末を0.5g/m 2 〜10g/m 2 の割合
で付着させてなる構成を有する自己粘着性フィルム。
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-
1994
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Also Published As
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