JP2855126B2 - 酸化物超電導体 - Google Patents
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-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E40/00—Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
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- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、超電導転移温度Tcが液体窒素温度を越える
酸化物超電導体に関するものである。
酸化物超電導体に関するものである。
[従来の技術] 液体窒素の沸点を越える超電導転移温度Tc(絶対温度
90K)をもつ代表的な酸化物超電導体として3層ペロブ
スカイト型の結晶構造を有するRBa2Cu3O7(R=Y,希土
類元素)が知られている(Appl.Phys.Lett.Vol.51(198
7)P57)。ところが、この酸化物超電導体は酸素含有量
が熱処理条件で変化し、これにともなって正方晶−斜方
晶構造相転移を起こす。この相転移により超電導転移温
度は90Kから0K(絶縁体)まで大きく変化することが知
られている(Phys.Rev.B36(1987)P5719)。
90K)をもつ代表的な酸化物超電導体として3層ペロブ
スカイト型の結晶構造を有するRBa2Cu3O7(R=Y,希土
類元素)が知られている(Appl.Phys.Lett.Vol.51(198
7)P57)。ところが、この酸化物超電導体は酸素含有量
が熱処理条件で変化し、これにともなって正方晶−斜方
晶構造相転移を起こす。この相転移により超電導転移温
度は90Kから0K(絶縁体)まで大きく変化することが知
られている(Phys.Rev.B36(1987)P5719)。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、例えば、RBa2Cu3O7粉末を銀パイプに
充填し、これを冷間線引き加工で線状にした後、RBa2Cu
3O7粉末の焼結熱処理(800〜900℃)により、超電導線
材として実用化する場合に(銀シース線材法)、焼結処
理によって酸素が抜けてしまい、超電導特性が劣化して
しまうことを本発明者らは見いだした。
充填し、これを冷間線引き加工で線状にした後、RBa2Cu
3O7粉末の焼結熱処理(800〜900℃)により、超電導線
材として実用化する場合に(銀シース線材法)、焼結処
理によって酸素が抜けてしまい、超電導特性が劣化して
しまうことを本発明者らは見いだした。
これに対して、2重のCuO鎖を有する3層ペロブスカ
イト型の結晶構造のRBa2Cu4O8(第1図)は、850℃付近
まで酸素の出入りが見られず安定である。しかしなが
ら、本発明者らは、RBa2Cu4O8は焼結性が悪く高密度焼
結体が得られにくいことを見いだした。焼結体の密度が
低いと臨界電流密度が高くならないことは当然である。
イト型の結晶構造のRBa2Cu4O8(第1図)は、850℃付近
まで酸素の出入りが見られず安定である。しかしなが
ら、本発明者らは、RBa2Cu4O8は焼結性が悪く高密度焼
結体が得られにくいことを見いだした。焼結体の密度が
低いと臨界電流密度が高くならないことは当然である。
本発明は、これらの問題点を解決するためになされた
ものである。
ものである。
本発明の目的は、液体窒素の沸点よりも高い超電導転
移温度を有し、高密度でかつ高温まで酸素の吸収−放出
がなく安定性にすぐれた超電導体を提供することにあ
る。
移温度を有し、高密度でかつ高温まで酸素の吸収−放出
がなく安定性にすぐれた超電導体を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するために、本発明の酸化物超電導体
は、R(Ba1-xCax)2Cu4O8の化学組成式で表され前記R
はY、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち
から選ばれた1種または2種以上の希土類元素(Yを含
む)であり、xが0.001≦x≦0.2の範囲にあることを特
徴とする。
は、R(Ba1-xCax)2Cu4O8の化学組成式で表され前記R
はY、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうち
から選ばれた1種または2種以上の希土類元素(Yを含
む)であり、xが0.001≦x≦0.2の範囲にあることを特
徴とする。
[作用] 前述した手段によれば、母材となる超電導体RBa2Cu4O
8の超電導転移温度が80Kであり、しかもこの材料は難焼
結性であるのに対して、R(Ba1-xCax)2Cu4O8の組成を
有し、RがHoであり、xが0.1の試料は、超電導転移温
度が80K以上であり、焼結も容易になり本実施例では焼
結体の気孔率も10%以下まで低下することが認められ
た。さらに、熱重量分析の結果、本発明の超電導体は、
850℃付近まで酸素の出入りがなく安定に存在すること
が確認できた。
8の超電導転移温度が80Kであり、しかもこの材料は難焼
結性であるのに対して、R(Ba1-xCax)2Cu4O8の組成を
有し、RがHoであり、xが0.1の試料は、超電導転移温
度が80K以上であり、焼結も容易になり本実施例では焼
結体の気孔率も10%以下まで低下することが認められ
た。さらに、熱重量分析の結果、本発明の超電導体は、
850℃付近まで酸素の出入りがなく安定に存在すること
が確認できた。
従って、本発明の超電導体を銀シース線材化する場
合、最終工程である焼結熱処理過程で、超電導特性を損
なうことなく安定で、しかも高密度に焼結した超電導線
材を作製することができる。
合、最終工程である焼結熱処理過程で、超電導特性を損
なうことなく安定で、しかも高密度に焼結した超電導線
材を作製することができる。
[発明の実施例] 以下、本発明の一実施例を図面を用いて、具体的に説
明する。
明する。
まず、本発明による酸化物超電導体の主成分であるRB
a2Cu4O8の基体構造を第1図に示し、比較するために従
来のRBa2Cu3O7の結晶構造を第2図に示す。第1図及び
第2図において、1は希土類元素Rであり、Y、Nd、S
m、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちから選ばれ
た1種または2種以上である。2はBa、3はCu、は線分
の交差点に配置されているOである。
a2Cu4O8の基体構造を第1図に示し、比較するために従
来のRBa2Cu3O7の結晶構造を第2図に示す。第1図及び
第2図において、1は希土類元素Rであり、Y、Nd、S
m、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちから選ばれ
た1種または2種以上である。2はBa、3はCu、は線分
の交差点に配置されているOである。
第1図に示した本発明の酸化物超電導体の主成分R
(Ba1-xCax)2Cu4O8は、第2図に示すRBa2Cu3O7の結晶
構造の1重のCuO鎖を、2重のCuO鎖に置換し、さらにBa
を部分的にCaに置換したものである。この二重のCuO鎖
を有する構造において、一部BaをCaに置換することが本
発明の一つの特徴である。
(Ba1-xCax)2Cu4O8は、第2図に示すRBa2Cu3O7の結晶
構造の1重のCuO鎖を、2重のCuO鎖に置換し、さらにBa
を部分的にCaに置換したものである。この二重のCuO鎖
を有する構造において、一部BaをCaに置換することが本
発明の一つの特徴である。
つぎに、本発明の酸化物超電導体の実施例について説
明する。
明する。
〔実施例1〕 純度99.9%のY2O3、Ba(NO3)、CuO、CaCO3粉末を化
学組成式Y(Ba1-xCax)2Cu4O8において、x=0、0.0
1、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25となるように混合し、
酸素中850℃で24時間仮焼を行った。仮焼後、試料を粉
砕し矩形に成形した。この成形体を酸素中800℃で5時
間予備焼結した。この予備焼結体を1000kg/cm2・Ar80%
−O220%のガス雰囲気下で熱処理を行った。200℃/hで
加熱して900℃で6時間保持し、そこからさらに1020℃
まで200℃/hで加熱して、その温度で6時間保持した。
冷却は200℃/hの速度で300℃まで行い、1気圧まで減圧
したあと試料を空気中に取り出した。この試料を再び粉
砕し成形した。この成形体を酸素中800℃で焼結して所
定の試料を得た。
学組成式Y(Ba1-xCax)2Cu4O8において、x=0、0.0
1、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25となるように混合し、
酸素中850℃で24時間仮焼を行った。仮焼後、試料を粉
砕し矩形に成形した。この成形体を酸素中800℃で5時
間予備焼結した。この予備焼結体を1000kg/cm2・Ar80%
−O220%のガス雰囲気下で熱処理を行った。200℃/hで
加熱して900℃で6時間保持し、そこからさらに1020℃
まで200℃/hで加熱して、その温度で6時間保持した。
冷却は200℃/hの速度で300℃まで行い、1気圧まで減圧
したあと試料を空気中に取り出した。この試料を再び粉
砕し成形した。この成形体を酸素中800℃で焼結して所
定の試料を得た。
この様にして得られたY(Ba1-xCax)2Cu4O8の焼結体
の生成相を粉末X線回折を用いて確認した。得られた試
料の主成分はいずれもYBa2Cu4O8型の結晶構造を有する
ことを確認した。x=0.1の粉末X線回折図形を第3図
に示した。図中の数字はYBa2Cu4O8型構造にもとづいた
ピークの指数である。この試料は超電導相の単一相であ
る。試料の生成相を第1表にまとめて示した。xが0か
ら0.2の範囲では、Y(Ba1-xCax)2Cu4O8の単一相であ
り、xが0.25になると第2相を含むようになる。
の生成相を粉末X線回折を用いて確認した。得られた試
料の主成分はいずれもYBa2Cu4O8型の結晶構造を有する
ことを確認した。x=0.1の粉末X線回折図形を第3図
に示した。図中の数字はYBa2Cu4O8型構造にもとづいた
ピークの指数である。この試料は超電導相の単一相であ
る。試料の生成相を第1表にまとめて示した。xが0か
ら0.2の範囲では、Y(Ba1-xCax)2Cu4O8の単一相であ
り、xが0.25になると第2相を含むようになる。
これらの試料の超電導特性を抵抗測定により調べた。
その結果を第4図及び第1表に示した。なお、第1表乃
至第4表において、TConは、常電導状態から超電導転移
を開始する温度、TcR=0は抵抗0なるときの温度、ρ
300Kは300Kのときの抵抗率である。
その結果を第4図及び第1表に示した。なお、第1表乃
至第4表において、TConは、常電導状態から超電導転移
を開始する温度、TcR=0は抵抗0なるときの温度、ρ
300Kは300Kのときの抵抗率である。
本実施例のY(Ba1-xCax)2Cu4O8の超電導体試料は、
第4図及び第1表からわかるように、いずれも80K級の
超電導転移温度を示す。この超電導転移温度は、液体窒
素の沸点(77K)よりも高い温度である。試料の室温に
おける抵抗値を比較すると、Caの含有量xの増加ととも
に室温の抵抗値が低下する。このように室温の抵抗値の
低い試料にたいして高臨界電流密度が期待できる。室温
の抵抗はxが0.15の試料が一番低く、xが0.15以上では
xの増加と共に抵抗値は高くなりx=0.25ではx=0の
場合よりも高くなる。
第4図及び第1表からわかるように、いずれも80K級の
超電導転移温度を示す。この超電導転移温度は、液体窒
素の沸点(77K)よりも高い温度である。試料の室温に
おける抵抗値を比較すると、Caの含有量xの増加ととも
に室温の抵抗値が低下する。このように室温の抵抗値の
低い試料にたいして高臨界電流密度が期待できる。室温
の抵抗はxが0.15の試料が一番低く、xが0.15以上では
xの増加と共に抵抗値は高くなりx=0.25ではx=0の
場合よりも高くなる。
また、これらの試料の気孔率を研磨試料の光学顕微鏡
観察から求めた。これらの値を第1表にまとめて示し
た。この結果を見ると、xの増加とともに気孔率が低下
し、x=0.15の試料でほぼ5%になる。しかし、これ以
上xが増加しても気孔率はほとんど変化しない。
観察から求めた。これらの値を第1表にまとめて示し
た。この結果を見ると、xの増加とともに気孔率が低下
し、x=0.15の試料でほぼ5%になる。しかし、これ以
上xが増加しても気孔率はほとんど変化しない。
X線回折の結果、室温における抵抗率、気孔率の測定
結果を考慮すると、xの増加にともなう試料の室温の抵
抗率の低下は、YBa2Cu4O8のBaのサイトにCaが固溶する
ことによる効果によるものと考えられる。したがってx
の望ましい範囲としては、0.001≦x≦0.2である。
結果を考慮すると、xの増加にともなう試料の室温の抵
抗率の低下は、YBa2Cu4O8のBaのサイトにCaが固溶する
ことによる効果によるものと考えられる。したがってx
の望ましい範囲としては、0.001≦x≦0.2である。
また、例えば第5図の(a)に示すようにx=0.1の
試料の熱重量分析の結果、常温から850℃付近まで重量
変化を示さず、850〜900℃で重量の減少を示すことか
ら、850℃という高温に至るまで酸素の出入りもなく安
定に存在することが確認できた。ところが従来の超電導
体YBa2Cu3O7では、第5図の(b)に示すように、400〜
800℃で大きく酸素が放出してしまう。
試料の熱重量分析の結果、常温から850℃付近まで重量
変化を示さず、850〜900℃で重量の減少を示すことか
ら、850℃という高温に至るまで酸素の出入りもなく安
定に存在することが確認できた。ところが従来の超電導
体YBa2Cu3O7では、第5図の(b)に示すように、400〜
800℃で大きく酸素が放出してしまう。
以上の説明からわかるように、本実施例によれば、母
材となる超電導体YBa2Cu4O8は難焼結性であり、そのた
め焼結体の気孔率が30%以上であるのに対して、Y(Ba
1-xCax)2Cu4O8の組成を有し、xが0.001≦x≦0.2の範
囲にある試料は、いずれも超電導転移温度が80K以上で
あり、焼結体の気孔率も10%以下である。さらに、これ
らの試料は室温の電気抵抗率も低く、熱分析では850℃
付近まで、酸素の出入りがなく安定に存在することが確
認できた。
材となる超電導体YBa2Cu4O8は難焼結性であり、そのた
め焼結体の気孔率が30%以上であるのに対して、Y(Ba
1-xCax)2Cu4O8の組成を有し、xが0.001≦x≦0.2の範
囲にある試料は、いずれも超電導転移温度が80K以上で
あり、焼結体の気孔率も10%以下である。さらに、これ
らの試料は室温の電気抵抗率も低く、熱分析では850℃
付近まで、酸素の出入りがなく安定に存在することが確
認できた。
〔実施例2〕 純度99.9%のHo2O3、Ba(NO3)2、CuO、CaCO3粉末を
化学組成式Ho(Ba1-xCax)2Cu4O8において、x=0、0.
01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25となるように混合し、
酸素中850℃で24時間仮焼を行った。仮焼後、試料を粉
砕し矩形に成形した。この成形体を酸素中800℃で5時
間予備焼結した。この予備焼結体を1000kg/cm2・Ar80%
−O220%のガス雰囲気下で熱処理を行った。200℃/hで
加熱して900℃で6時間保持し、そこからさらに1020℃
まで200℃/hで加熱して、その温度で6時間保持した。
冷却は200℃/hの速度で300℃まで行い、1気圧まで減圧
したあと試料を空気中に取り出した。この試料を再び粉
砕し成形した。この成形体を酸素中800℃で20時間焼結
して所定の試料を得た。
化学組成式Ho(Ba1-xCax)2Cu4O8において、x=0、0.
01、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25となるように混合し、
酸素中850℃で24時間仮焼を行った。仮焼後、試料を粉
砕し矩形に成形した。この成形体を酸素中800℃で5時
間予備焼結した。この予備焼結体を1000kg/cm2・Ar80%
−O220%のガス雰囲気下で熱処理を行った。200℃/hで
加熱して900℃で6時間保持し、そこからさらに1020℃
まで200℃/hで加熱して、その温度で6時間保持した。
冷却は200℃/hの速度で300℃まで行い、1気圧まで減圧
したあと試料を空気中に取り出した。この試料を再び粉
砕し成形した。この成形体を酸素中800℃で20時間焼結
して所定の試料を得た。
この様にして得られたR(Ba1-xCax)Ba2Cu4O8の焼結
体の生成相を粉末X線回折を用いて確認した。得られた
試料の主成分はいずれもRBa2Cu4O8型の結晶構造を有す
ることを確認した。x=0.10の試料の粉末X線回折図形
を第3図に示した。図中の数字はRBa2Cu4O8型構造にも
とづいたピークの指数である。この試料は、超電導相の
単一相であった。試料の生成相を第2表にまとめて示し
た。xが0から0.2の範囲では、Ho(Ba1-xCax)2Cu4O8
の単一相であり、xが0.25になると第2相を含むように
なる。
体の生成相を粉末X線回折を用いて確認した。得られた
試料の主成分はいずれもRBa2Cu4O8型の結晶構造を有す
ることを確認した。x=0.10の試料の粉末X線回折図形
を第3図に示した。図中の数字はRBa2Cu4O8型構造にも
とづいたピークの指数である。この試料は、超電導相の
単一相であった。試料の生成相を第2表にまとめて示し
た。xが0から0.2の範囲では、Ho(Ba1-xCax)2Cu4O8
の単一相であり、xが0.25になると第2相を含むように
なる。
これらの試料の超電導特性を抵抗測定により調べた。
その結果を第6図及び第2表に示した。
その結果を第6図及び第2表に示した。
本実施例のHo(Ba1-xCax)2Cu4O8の超電導体試料は、
第6図及び第2表からわかるように、いずれも80K級の
超電導転移温度を示す。この超電導転移温度は、液体窒
素の沸点(77K)よりも高い温度である。試料の室温に
おける抵抗値を比較すると、Caの含有量xの増加ととも
に室温の抵抗値が低下する。このように室温の抵抗値の
低い試料に対して高臨界電流密度が期待できる。室温の
抵抗はxが0.15の試料が一番低く、xが0.15以上ではx
の増加と共に抵抗値は高くなりx=0.25ではx=0の場
合よりも高くなる。
第6図及び第2表からわかるように、いずれも80K級の
超電導転移温度を示す。この超電導転移温度は、液体窒
素の沸点(77K)よりも高い温度である。試料の室温に
おける抵抗値を比較すると、Caの含有量xの増加ととも
に室温の抵抗値が低下する。このように室温の抵抗値の
低い試料に対して高臨界電流密度が期待できる。室温の
抵抗はxが0.15の試料が一番低く、xが0.15以上ではx
の増加と共に抵抗値は高くなりx=0.25ではx=0の場
合よりも高くなる。
また、これらの試料の気孔率を研磨試料の光学顕微鏡
観察から求めた。これらの値を第2表にまとめて示し
た。この結果を見ると、xの増加とともに気孔率が低下
し、x=0.1の試料でほぼ5%になる。しかし、これ以
上xが増加しても気孔率はほとんど変化しない。
観察から求めた。これらの値を第2表にまとめて示し
た。この結果を見ると、xの増加とともに気孔率が低下
し、x=0.1の試料でほぼ5%になる。しかし、これ以
上xが増加しても気孔率はほとんど変化しない。
X線回折の結果、室温における抵抗率、気孔率の測定
結果を考慮すると、xの増加にともなう試料の室温の抵
抗率の低下は、HoBa2Cu4O8のBaのサイトにCaが固溶する
ことによる効果と考えられる。したがってxの望ましい
範囲としては、0.001≦x≦0.2である。
結果を考慮すると、xの増加にともなう試料の室温の抵
抗率の低下は、HoBa2Cu4O8のBaのサイトにCaが固溶する
ことによる効果と考えられる。したがってxの望ましい
範囲としては、0.001≦x≦0.2である。
また、例えば第8図の(a)に示すようにx=0.1の
試料の熱重量分析の結果、常温から850℃付近まで重量
変化を示さず、850〜900℃で重量の減少を示すことか
ら、850℃という高温に至るまで酸素の出入りもなく安
定に存在することが確認できた。ところが従来の超電導
体HoBa2Cu3O7では、第8図の(b)に示すように、400
〜800℃で大きく酸素が放出してしまう。
試料の熱重量分析の結果、常温から850℃付近まで重量
変化を示さず、850〜900℃で重量の減少を示すことか
ら、850℃という高温に至るまで酸素の出入りもなく安
定に存在することが確認できた。ところが従来の超電導
体HoBa2Cu3O7では、第8図の(b)に示すように、400
〜800℃で大きく酸素が放出してしまう。
以下の説明からわかるように、本実施例によれば、母
材となる超電導体HoBa2Cu4O8の超電導転移温度が80K
で、しかも難焼結性であり、そのため焼結体の気孔率が
30%以上であるのに対して、Ho(Ba1-xCax)2Cu4O8の組
成を有し、xが0.001≦x≦0.2の範囲にある試料は、い
ずれも超電導転移温度が80K以上であり、焼結体の気孔
率も20%以下である。さらに、これらの試料は室温の電
気抵抗率も低く、熱分析では850℃付近まで、酸素の出
入りがなく安定に存在することが確認できた。
材となる超電導体HoBa2Cu4O8の超電導転移温度が80K
で、しかも難焼結性であり、そのため焼結体の気孔率が
30%以上であるのに対して、Ho(Ba1-xCax)2Cu4O8の組
成を有し、xが0.001≦x≦0.2の範囲にある試料は、い
ずれも超電導転移温度が80K以上であり、焼結体の気孔
率も20%以下である。さらに、これらの試料は室温の電
気抵抗率も低く、熱分析では850℃付近まで、酸素の出
入りがなく安定に存在することが確認できた。
〔実施例3〕 Ho(Ba1-xCax)2Cu4O8のHoのところをNd、Sm、Eu、G
d、Dy、Er、Tm、Yb、Luにして、x=0.1に固定して実施
例1と同様のプロセスで試料を作製した。また、実施例
1と同様の評価を行い、その結果を第3表に示した。こ
の表を見ると、希土類元素RをHoからNd、Sm、Eu、Gd、
Dy、Er、Tm、Yb、Luのうちのどれかにかえても同様の効
果が得られることがわかった。
d、Dy、Er、Tm、Yb、Luにして、x=0.1に固定して実施
例1と同様のプロセスで試料を作製した。また、実施例
1と同様の評価を行い、その結果を第3表に示した。こ
の表を見ると、希土類元素RをHoからNd、Sm、Eu、Gd、
Dy、Er、Tm、Yb、Luのうちのどれかにかえても同様の効
果が得られることがわかった。
〔実施例4〕 本実施例4の酸化物超電導体は、R(Ba1-xCax)2Cu4
O8をx=0.1に固定し、RにYとHoの2種を使用したも
のである。すなわち、(Y1-yHoy)(Ba0.9Ca0.1)2Cu4o
8のyの値を変えてY1-yHoyの混合比を変化させ、実施例
1と同様のプロセスで試料を作製した。また、実施例1
と同様の評価を行い、その結果を第4表に示した。この
表を見ると、前記Yを含む希土類元素RをHoから前記R
のうちから選ばれた2種(Y、Hoの混合比を変化させた
もの)にかえても同様な効果が得られることがわかっ
た。
O8をx=0.1に固定し、RにYとHoの2種を使用したも
のである。すなわち、(Y1-yHoy)(Ba0.9Ca0.1)2Cu4o
8のyの値を変えてY1-yHoyの混合比を変化させ、実施例
1と同様のプロセスで試料を作製した。また、実施例1
と同様の評価を行い、その結果を第4表に示した。この
表を見ると、前記Yを含む希土類元素RをHoから前記R
のうちから選ばれた2種(Y、Hoの混合比を変化させた
もの)にかえても同様な効果が得られることがわかっ
た。
また、前記Rのうちから選ばれた3種を使用しても同
様な効果が得られるであろうことがわかった。
様な効果が得られるであろうことがわかった。
したがって、本発明の酸化物超電導体は、銀シース線
材化する場合、最終工程である焼結熱処理工程で、超電
導特性を損なうことなく安定で、しかも易焼結性である
のでそれぞれの粒子が高密度に焼結した臨界電流密度の
高い超電導線材を作製することができる。
材化する場合、最終工程である焼結熱処理工程で、超電
導特性を損なうことなく安定で、しかも易焼結性である
のでそれぞれの粒子が高密度に焼結した臨界電流密度の
高い超電導線材を作製することができる。
また、本発明による酸化物超電導体は、高温成形を行
う場合、バインダーの使用で高密度成形が可能である。
すなわち、従来の超電導体RBa2Cu3O7は、400℃以上でバ
インダー除去はできないが、本発明の超電導体の場合に
は、850℃以下で、バインダー除去は可能である。これ
により、高密度成形ができるので、さらに超電導電流密
度を向上させることができる。
う場合、バインダーの使用で高密度成形が可能である。
すなわち、従来の超電導体RBa2Cu3O7は、400℃以上でバ
インダー除去はできないが、本発明の超電導体の場合に
は、850℃以下で、バインダー除去は可能である。これ
により、高密度成形ができるので、さらに超電導電流密
度を向上させることができる。
また、従来のRBa2Cu3O7の薄膜は比表面積が大きいた
め、常温・空気中でも超電導特性が劣化していたが、本
発明による酸化物超電導体の薄膜は、RBa2Cu3O7の薄膜
に比較すると環境安全性が高く、超電導転移温度が安定
している。
め、常温・空気中でも超電導特性が劣化していたが、本
発明による酸化物超電導体の薄膜は、RBa2Cu3O7の薄膜
に比較すると環境安全性が高く、超電導転移温度が安定
している。
以上、本発明を実施例に基づき具体的に説明したが、
本発明が前記実施例に限定されるものではなく、その主
旨を逸脱しない範囲において種々変更可能なことは言う
までもない。
本発明が前記実施例に限定されるものではなく、その主
旨を逸脱しない範囲において種々変更可能なことは言う
までもない。
例えば、本発明は、低温電子装置の配線、あるいは磁
気遮蔽等に用いることができるのは、勿論である。
気遮蔽等に用いることができるのは、勿論である。
[発明の効果] 以上、説明したように、本発明によれば、液体窒素の
沸点よりも高い超電導転移温度を有し、易焼結性で、か
つ高温まで酸素の出入りがなく安定な超電導体を提供で
きる。
沸点よりも高い超電導転移温度を有し、易焼結性で、か
つ高温まで酸素の出入りがなく安定な超電導体を提供で
きる。
第1図は、本発明の一実施例のRBa2Cu4O8の結晶構造を
説明するための図、 第2図は、従来のRBa2Cu3O7の構造を説明するための
図、 第3図は、本実施例に係るR=Y、x=0.1の試料の粉
末X線回折図形、 第4図は、本実施例のY(Ba1-xCax)2Cu4O8の抵抗−温
度特性図、 第5図は、本実施例のR=Y、x=0.1の試料の熱重量
分析の結果を示す図、 第6図は、本実施例に係るR=Ho、x=0.1の試料の粉
末X線回折図形、 第7図は、本実施例のHo(Ba1-xCax)2Cu4O8の抵抗−温
度特性図、 第8図は、本実施例のR=Ho、x=0.1の試料の熱重量
分析の結果を示す図である。 図中、1……R、2……Ba、3……Cu、4……Oであ
る。
説明するための図、 第2図は、従来のRBa2Cu3O7の構造を説明するための
図、 第3図は、本実施例に係るR=Y、x=0.1の試料の粉
末X線回折図形、 第4図は、本実施例のY(Ba1-xCax)2Cu4O8の抵抗−温
度特性図、 第5図は、本実施例のR=Y、x=0.1の試料の熱重量
分析の結果を示す図、 第6図は、本実施例に係るR=Ho、x=0.1の試料の粉
末X線回折図形、 第7図は、本実施例のHo(Ba1-xCax)2Cu4O8の抵抗−温
度特性図、 第8図は、本実施例のR=Ho、x=0.1の試料の熱重量
分析の結果を示す図である。 図中、1……R、2……Ba、3……Cu、4……Oであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 和田 隆博 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (72)発明者 郡山 慎一 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (72)発明者 桜井 健 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (72)発明者 鈴木 信郎 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (72)発明者 宮武 孝之 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (72)発明者 山内 尚雄 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (72)発明者 腰塚 直己 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (72)発明者 田中 昭二 東京都江東区東雲1丁目14番3号 財団 法人国際超電導産業技術研究センター超 電導工学研究所内 (56)参考文献 特開 平3−164427(JP,A) 特開 平3−65510(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01G 1/00 - 57/00 H01L 39/00 - 39/24 H01B 12/00
Claims (2)
- 【請求項1】R(Ba1-xCax)2Cu4O8の化学組成式で表さ
れる酸化物超電導体であって、RがY、Nd、Sm、Eu、G
d、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの希土類元素(Yを含む)
のうちから選ばれた1種であり、xが0.001≦x≦0.2の
範囲にあることを特徴とする酸化物超電導体。 - 【請求項2】R(Ba1-xCax)2Cu4O8の化学組成式で表さ
れる酸化物超電導体であって、RがY、Nd、Sm、Eu、G
d、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの希土類元素(Yを含む)
のうちから選ばれた2種以上からなり、xが0.001≦x
≦0.2の範囲にあることを特徴とする酸化物超電導体。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1213727A JP2855126B2 (ja) | 1989-08-18 | 1989-08-18 | 酸化物超電導体 |
EP90115823A EP0413360B1 (en) | 1989-08-18 | 1990-08-17 | High-temperature oxide superconductor |
DE69018898T DE69018898T2 (de) | 1989-08-18 | 1990-08-17 | Hochtemperatur-Oxyd-Supraleiter. |
KR1019900012912A KR0160509B1 (ko) | 1989-08-18 | 1990-08-18 | 고온산화물 초전도체 |
US08/068,587 US5468724A (en) | 1989-08-18 | 1993-05-27 | High temperature oxide superconductor |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1213727A JP2855126B2 (ja) | 1989-08-18 | 1989-08-18 | 酸化物超電導体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0380112A JPH0380112A (ja) | 1991-04-04 |
JP2855126B2 true JP2855126B2 (ja) | 1999-02-10 |
Family
ID=16644000
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1213727A Expired - Fee Related JP2855126B2 (ja) | 1989-08-18 | 1989-08-18 | 酸化物超電導体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2855126B2 (ja) |
-
1989
- 1989-08-18 JP JP1213727A patent/JP2855126B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0380112A (ja) | 1991-04-04 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |