JP2852621B2 - 安全用親綱取付装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、木造建築物の建築時に
おいて高所作業を行う作業者の墜落事故を防止するた
め、作業者の移動経路に沿って安全用親綱を張設するた
めの安全用親綱取付装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】高層建築物用の枠組足場や鉄骨橋梁等の
高所作業においては、作業者の墜落事故を防止するた
め、作業者の移動経路に沿って安全用親綱（以下、単に
親綱と称する）を張設している。そのため作業者が移動
する鉄骨梁の両端部に張設用支柱を立てて親綱の両端部
を結び付けている。

【０００３】一方、木造建築物に建築に際しては、従来
２階建てまでしか建てられなかったために作業高さもそ
れ程高くなく、また個人注文住宅を熟練した大工職人が
建てるケースが殆どであったため、そのような安全策は
特に採られていなかった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年は木造
住宅でも３階建て住宅を建築することができるようにな
って作業高さがかなり高い場合があり、また建築工法の
多様化に伴って必ずしも熟練した大工職人だけが高所作
業を行うとは限らず、そのため木造建築物においても作
業者の墜落事故を防止するための安全策を採る必要性が
非常に高くなってきている。

【０００５】そこで、高層建築物に適用されている親綱
を用いた安全策を採用することが考えられるが、鉄骨梁
等に取り付けるように開発された親綱の取付装置はその
まま適用できないため、木造建築物用の取付装置が必要
となり、その開発が要請されることになる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題を解決するために成されたものであって、その特徴を
後述する実施例の参照符号を付して示すと、本発明の安
全用親綱取付装置は、板材をＬ字状に曲げた２つの部材
１６，１７と緊締手段１５とから成り、２つの部材１
６，１７は、木造建築物の柱１を取り囲む四角形を形成
し得るように、その一端部において互いに開閉自在に枢
着され、緊締手段１５は、２つの部材１６，１７の他端
部どうしを互いに連結離脱自在に締結し、一方の部材１
６の直角に隣接する外面にはそれぞれ親綱掛止部１２
ａ，１２ｂが固着突設され、２つの部材１６，１７の内
面には緩衝部材２３が貼付されている点に特徴を有す
る。

【０００７】

【実施例】以下に本発明の好適実施形態を添付図に基づ
いて説明すると、図１において、１は木造建築物の柱、
２は柱１にて両端が支持された梁であり、その上を作業
者が歩行移動する。梁２の両端の柱１、１には、梁２上
面から適当な高さの位置に安全用親綱取付装置３が取り
付けられ、これら取付装置３に安全用親綱４の両端部を
結び付け、若しくは親綱４の先端に設けた係止金具を係
合させることにより梁２に沿って安全用親綱４が張設さ
れている。梁２上を歩行移動する作業者５は、装着して
いる安全帯６から子綱７を延出してその先端金具８を親
綱４に移動自在に係合させる。こうすることにより、万
一作業者が梁２上から転落しても安全帯６及び子綱７を
介して親綱４にて支持される。

【０００８】安全用親綱取付装置３は、図２、図３に詳
細を示すように、取付本体１１と一対のループ状の親綱
掛止部１２ａ，１２ｂから構成されており、親綱掛止部
１２ａ，１２ｂは略Ω字状でかつ連結片１３ａにてその
ループが閉じられている掛止金具１３の先端を取付本体
１１に一体的に溶接して構成されている。取付本体１１
は、柱１の外周を開閉可能に包囲する包囲手段１４と、
包囲手段１４の開閉部を閉じて緊締する緊締手段１５に
て構成されている。

【０００９】包囲手段１４は板材をＬ字状に曲げて構成
し且つ直角に隣接する外面にそれぞれ親綱掛止部１２
ａ，１２ｂが固着された主部材１６と、同じく板材をＬ
字状に曲げて構成した締付部材１７にて構成されてい
る。主部材１６及び締付部材１７の一端は、切込部に突
部を挿通させた組手状に形成され、かつ各突出部にそれ
ぞれ軸受ボス１８が固着されるとともにこれら軸受ボス
１８に枢支軸１９が貫通されて主部材１６と締付部材１
７が開閉自在に枢着されている。

【００１０】緊締手段１５は、締付部材１７の他端部外
面に固着されたブラケット２０にて一端が回動自在に枢
支された締付ボルト２１と、それに螺合させたナット２
２にて構成され、主部材１６の他端には、締付ボルト２
１が嵌入される一端開放の長溝１６ａが形成され、かつ
その端縁には補強兼抜出し防止用の鍔１６ｂが起立され
ている。また、主部材１６及び締付部材１７の互いに直
交する内面には、柱１の表面を保護するためにゴム板か
ら成る緩衝部材２３が貼付されている。

【００１１】以上の構成において、作業者５の安全を図
るために、梁２の上部に沿って親綱４を張設する際に
は、安全用親綱取付装置３における取付本体１１の主部
材１６と締付部材１７を枢支軸１９回りに相対回動させ
て開き、柱１の所定高さ位置で主部材１６と締付部材１
７にて柱１を包囲し、緊締手段１５の締付ボルト２１を
主部材１６の長溝１６ａ内に嵌入させ、ナット２２を締
結することによって簡単に安全用親綱取付装置３を柱１
に取り付けることができる。その後、安全用親綱取付装
置３の親綱掛止部１２ａ又は１２ｂに親綱４の両端を結
合することによって簡単に親綱４を張設できる。

【００１２】

【発明の作用及び効果】以上のように本発明の安全用親
綱取付装置は、開いた２つのＬ字形の部材間に柱を位置
させた状態で緊締手段にて両部材の遊端部どうしを互い
に緊締するだけで、柱の任意の高さ位置に簡単容易に取
り付けることができる。そしてこのように取り付けた安
全用親綱取付装置の２つの直角外側面に突設されている
親綱掛止部に親綱の端部を結合することによって簡単に
親綱を張設することができるのである。また、柱の外面
に当接する両部材の内面にはそれぞれ緩衝部材が貼付さ
れているので、前記緊締手段で両部材を強力に緊締して
も、木造建築物の柱の表面を損傷させる恐れも少ない。

【００１３】即ち、本発明の安全用親綱取付装置によれ
ば、緊締手段により遊端部どうしが互いに結合されて四
角筒状になった２つのＬ字形の板材により柱の全周面を
完全に包囲させるものであるから、安全用親綱に作用す
る不測の外力の方向に関係なく、当該外力を確実に柱で
受け持たせることができ、しかも柱に対する取り付け取
り外しも容易であるから、信頼性の高い親綱を簡単容易
に張設することができるに至ったのである。しかも、前
記緩衝部材により柱の表面を損傷させる恐れが少なくな
るばかりでなく、親綱に作用する外力に対しても緩衝効
果があり、この点でも安全性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施例の安全用親綱取付装置を用
いて張設した安全用親綱の使用状態の斜視図である。

【図２】 同実施例の安全用親綱取付装置の平面図であ
る。

【図３】 同実施例の安全用親綱取付装置の斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ 柱 ３ 安全用親綱取付装置 １１ 取付本体 １２ａ 親綱掛止部 １２ａ 親綱掛止部 １３ 掛止金具 １４ 包囲手段 １５ 緊締手段 １６ 主部材 １７ 締付部材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】板材をＬ字状に曲げた２つの部材と緊締手
   段とから成り、２つの部材は、木造建築物の柱を取り囲
   む四角形を形成し得るように、その一端部において互い
   に開閉自在に枢着され、緊締手段は、２つの部材の他端
   部どうしを互いに連結離脱自在に締結し、一方の部材の
   直角に隣接する外面にはそれぞれ親綱掛止部が固着突設
   され、２つの部材の内面には緩衝部材が貼付されている
   安全用親綱取付装置。