JP2851671B2 - リチウム吸着剤の製造方法 - Google Patents
リチウム吸着剤の製造方法Info
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Description
り、殊にリチウムに対する選択吸着性に優れ、且つ吸着
容量および吸着速度が大きく、リチウム希薄溶液中で安
定であって、毒性の少ない安価なリチウム吸着剤の製造
方法に関するものである。
ス,電池,吸収型冷媒,医薬品等の広い分野で用いられ
ており、また将来的にも大容量電池,アルミニウム合金
材料,核融合燃料等への利用が期待されており、リチウ
ムの需要は今後ますます増大するものと見込まれている
(「日本鉱業会誌」第97巻、第221頁)。
ン,アンブリゴナイト,ペタライト,レビトライト等の
リチウム含有鉱石(リチウム含有量2〜6%)を原料と
して製造したり、或はリチウム濃度の高い塩湖や地下か
ん水(リチウム濃度50〜200ppm)から蒸発法等で回収し
ている。
く、またリチウム含有液からの回収法も確立されていな
い。その為金属リチウムやその化合物は全量輸入に依存
しているのが実情である。一方我国の地熱水や温泉水に
はかなりのリチウムを含有するものがあり、また周囲を
とりまく海洋中にも微量のリチウム(0.17ppm)が含ま
れている。こうしたことから、リチウムを含む希薄溶液
からリチウムを効率よく回収する技術の確立が強く望ま
れている。
の一環として、様々なリチウム吸着剤が提案されている
(例えば特開昭61−171535号,同61−278347号,61−283
341号,同63−80844号等)。これらによれば、リチウム
化合物とマンガン化合物を粉砕したものやリチウム含有
マンガン酸化物或はリチウム酸化物等を所定温度で加熱
した後、リチウムを酸溶出することによって優れたリチ
ウム吸着剤が得られることが示されている。
回収するには、リチウムに対する選択吸着性が優れ、且
つ吸着速度や吸着容量が大きく、また希薄溶液中で安定
であって毒性も少なく、吸着・脱着の繰り返しが可能で
あり、更に経済面を考慮すると均一で好収率に得られる
リチウム吸着剤の開発が必要である。
ずしもすべての要件を満足しているとは言い難い面があ
った。即ち従来の技術では固定層によって加熱処理を行
なっているものであるので、層厚があまり大きいときに
は加熱処理時に上層部分と下層部分では加熱条件が異な
り、それが焼きむらの原因となって均一な性状の吸着剤
が得られないという問題があった。その結果、吸着剤中
に未反応物質が残存し、これが吸着性能の低下となって
現れてくる。この様な不都合を解消するには、層厚を制
限する必要があるが、そうすると、生産性が低下するこ
とになる。
ンガン化合物の粉砕混合物(以下これを原料と呼ぶこと
がある)を回転炉で転動させつつ加熱処理する技術を完
成して、先に特許出願した(特願平1−246848号)。こ
の技術によれば、転動作用によって原料の均熱性が向上
すると共に、原料と空気との接触機会を増加させること
ができ、固定層で加熱処理した場合と比べて、未反応物
質の少ない均一な性状の吸着剤が得られるのである。
点が残されており、吸着性能を更に向上させる為の工夫
が必要であることが判明した。即ち、原料が微粒子粉体
の場合には回転炉によって転動作用を加えても、反応容
器内における原料の運動はすべり運動が主体となってお
り、良好な転がり運動でないことからマンガン化合物と
リチウム化合物の接触機会、および原料と空気と接触機
会は尚不十分であり、吸着剤中には依然として若干の未
反応物質が存在しており、吸着性能の低下を招く原因と
なっていた。
ものであって、その目的は、吸着剤の合成反応を均一に
且つ効果的に促進し、吸着性能低下の原因となる未反応
物質の残存を極力低減し、吸着性能に十分優れたリチウ
ム吸着剤を製造し得る方法を提供することにある。
マンガン化合物を粉砕・混合し混合物を、ボールが充填
された、または攪拌羽根を備えた回転炉に装入し、該混
合物を転動させて強制的に攪拌・混合しつつ350℃以上
の温度で加熱処理してリチウム含有マンガン酸化物を合
成し、該酸化物から酸を用いてリチウムを溶出する点に
要旨を有するリチウム吸着剤の製造方法である。
応を均一且つ効果的に進行させ、リチウム吸着剤中の未
反応物質を極力低減する手段について様々な角度から検
討した。その結果、リチウム化合物とマンガン化合物を
粉砕・混合(粉砕と混合の順序は問わない。以下同じ)
した後、該混合物を回転炉を用いて転動させつつ加熱処
理する工程において、ボールまたは攪拌羽根を用いて混
合物を強制的に攪拌・混合させれば加熱処理時における
焼きむらが更に防止されて均一な性状のリチウム含有マ
ンガン酸化物が得られ、且つ未反応物質の残存量の低減
が図られ、吸着性能のより優れたリチウム吸着剤が得ら
れることを見出し、ここに本発明を完成した。即ち、本
発明者らの研究によれば、リチウム化合物とマンガン化
合物の粉砕混合物を回転炉で転動させる際に、ボールま
たは攪拌羽根によって混合物を強制的に攪拌・混合しつ
つ加熱処理すれば、該化合物同士および化合物と空気の
接触性を向上させることができ、これによって加熱処理
時における焼きむらを可及的に防止でき、未反応物質が
大幅に少なくなった均一性状の吸着剤が得られたのであ
る。またボールを使用した場合には、リチウム化合物と
マンガン化合物をボールが圧密することにより、これら
の粒子相互の距離が接近し、固相拡散反応が一層活発と
なり、より均一なリチウム含有マンガン酸化物が得られ
たものと考えられる。
水酸化物,酸化物,炭酸塩,重炭酸塩,ハロゲン化物お
よび硝酸塩等が挙げられ、これらの1種または2種以上
を適当に組み合わせて用いればよい。また本発明で用い
るマンガン化合物としては、マンガンの含水酸化[MnOO
H,Mn(OH)2等],酸化物,炭酸塩,重炭酸塩,ハロゲン
化物および硝酸塩等が挙げられ、これらの1種または2
種以上を適当に組み合わせて用いればよい。
ン化合物を、適当な割合で粉砕・混合する。このときの
混合方法としては特に限定するものではないが、例えば
V型混合機やニーダー等を用いる方法である。リチウム
化合物とマンガン化合物の混合比については特に限定す
るものではないが、マンガンモル数に対するリチウムモ
ル数の比が0.1〜1.0、望ましくは0.5〜1.0程度となる様
に混合するのが適当である。
しつつ350℃以上、好ましくは400℃以上の温度で加熱処
理してリチウム含有マンガン化合物を合成し、次にこの
化合物から酸によってリチウムを溶出することによって
得られる。
て挙げられるのが他の回転炉を排除するものではない。
必要である。これは350℃未満の温度で加熱処理したも
のは、リチウム化合物とマンガン化合物の反応が十分に
進まず、得られる吸着剤の吸着性能が著しく低下するか
らである。また加熱処理時間は5分〜10時間、望ましく
は30分〜6時間程度が適当である。
際に用いる酸としては、pH3以下の酸性溶液であれば良
いが、望ましくは0.1N以上の鉱酸がよい。
は、後記実施例で示す様に、嵩密度が4.3g/cm3以上の耐
酸化性のものを使用するのが好ましい。またこのときの
ボールの充填率は、原料に対し、空隙を含む体積比で0.
1以上が好ましく、より好ましくは0.5〜1.0である。
下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前
・後記の要旨に徴して設計変更することはいずれも本発
明の技術的範囲に含まれるものである。
成する際の攪拌・混合状態が、吸着剤のリチウム吸着量
にどの程度の影響を及ぼすかについて把握するため、転
動のみの場合と、ボールまたは攪拌羽根を使用して強制
的に攪拌・混合しつつ転動する場合とについて、各吸着
剤のリチウム吸着量について比較検討した。
2CO3)と炭酸マンガン(MnCO3)を、Li/Mnモデル比が0.
8となる様にV型ミキサで混合したものを用いた。そし
て第1図に示す様な電熱式回転炉の反応容器内に上記原
料150gを装入し、窒素雰囲気で400℃まで昇温した後窒
素の供給を停止し、空気を送りながら転動下で加熱処理
を行なった。尚第1図中1は軸受,2は回転用モータ,3は
耐火煉瓦,4は反応容器,5は電気炉,6は混合物,7は熱電対
を夫々示す。但し、ボールや攪拌羽根については図示し
ていない。またこの際の加熱時間は1〜4時間とした。
却し、反応容器4内の各試料を取り出し、0.2N−HCl(p
H0.7)で洗浄し(固液比:4g/l,処理時間:90分×2
回)、リチウムを溶出させた後風乾してリチウム吸着剤
を得た。得られた各リチウム吸着剤を夫々1g採取し、こ
れを模擬かん水([Li]=130ppm,pH8)250mlに浸漬し
て24時間の振とうを行ない、吸着実験前後のかん水中の
リチウム濃度からリチウム吸着量を求めた。
1表に示す通りであり、強制的に攪拌・混合して合成し
た吸着剤の方が転動のみによって合成した吸着剤に比べ
て優れたリチウム吸着量を示していることが分かる。ま
たボールによって攪拌・混合した方が、攪拌羽根による
場合に比べて、更に優れた吸着性能が得られていること
が分かる。
マンガン酸化物のX線回折図であり、第2図(A)は転
動のみの場合を、第2図(B)はステンレス鋼ボールを
使用して強制的に攪拌・混合した場合を示す。
含有マンガン酸化物中には、転動のみによって合成しリ
チウム含有マンガン酸化物中に未反応物質として認めら
れたMnCO3やLiCO3が低減若しくは全く消失していること
が分かる。即ち、原料を強制的に攪拌・混合しつつ合成
反応を行なわせることによって、リチウム化合物とマン
ガン化合物の接触機会、および原料と気体との接触機会
が増加し、合成反応が均一且つ十分に進行し、これによ
って未反応物質の低減が図られ、得られる吸着剤のリチ
ウム吸着性能が向上するものと考えられる。
ンガン酸化物を合成する際に使用するボールの適正条件
を把握するため、ボールのサイズおよび材質を変えて合
成反応を行ない、各条件で合成した吸着剤のリチウム吸
着量について比較検討した。尚ボールの条件は下記の通
りであり、手順等は上述した方法に従った。
は、嵩密度の大きいボールを使用して合成した方が高い
値を得ており、嵩密度が4.21g/cm3以下のボールを使用
して合成した場合には、転動のみで合成した場合(前記
第1表参照)に比べても、リチウム吸着性能は若干向上
してるに過ぎない。また、ほぼ同サイズのボールを使用
しているにもかかわらず、嵩密度の高いステンレス鋼ボ
ール(球径:96mm)を使用して合成した方が、Al2O3ボー
ル(球径:10mm)を使用して合成するよりも高い吸着量
が得られている。これは嵩密度の高いボールを使用した
方が、原料を圧密する効果に優れているためであると考
えられる。これらのことから、ボールを用いて吸着剤の
吸着性能を向上させる為には、嵩密度が4.3g/cm3以上で
ある耐酸化性のボールを使用するのが良いことが分か
る。またこの場合、サイズの異なる数種のボールを混合
使用して嵩密度も大きくすることは、原料とボールの接
触効率が高める上で更に効果的であると考えられる。
成する際に使用するボールの適正装入条件を把握するた
め、ボール装入量を、原料に対して空隙を含む体積比で
0.1〜1.2になる様に変化させて合成反応を行ない、得ら
れる吸着剤のリチウム吸着量を測定した。尚、ボールは
ステンレス鋼製のものを用い、サイズ:9.6mm,嵩密度:4.
4g/cm3とし、製造手順や吸着量測定等については前述の
方法に従った。
示す通りである。この結果から、リチウム吸着量はボー
ル充填体積比の増加につれて向上しており、その傾向は
0.5までは顕著であり、1.0以上においてほぼ飽和に達し
ていることが分かる。このことから吸着性能を向上させ
る為に使用するボールの装入量は、原料に対し空隙を含
む体積比で0.1以上であることが好ましく、更に好まし
くは0.5〜1.0の範囲に設定するのが良い。尚好ましい範
囲の上限を1.0としたのは、体積比が1.0を超える様にボ
ールを充填することは生産性の観点から好ましくないと
考えるからである。
脱着の繰り返し操作による吸着量の低下はほとんど認め
られず、繰り返し使用に十分耐え得るものである。
ンガン酸化物を合成する過程において、ボールや攪拌羽
根を使用して原料を強制的に攪拌・混合しながら加熱処
理することにより、未反応物質の極めて少ない、吸着性
能に優れたリチウム吸着剤の製造が可能となった。
明図、第2図は攪拌状態を違えて得られる各種リチウム
含有マンガン酸化物のX線回折図、第3図はボール充填
体積比とリチウム吸着量の関係を示すグラフ、第4図は
吸着性能に及ぼす吸脱着回数の影響を示すグラフであ
る。 1……軸受、2……回転用モーター 3……耐火煉瓦、4……反応容器 5……電気炉、6……混合物 7……熱電対
Claims (2)
- 【請求項1】リチウム化合物とマンガン化合物を粉砕・
混合した混合物を、ボールが充填されるか、または攪拌
羽根を備えた回転炉に装入し、該混合物を転動させて強
制的に攪拌・混合しつつ350℃以上の温度で加熱処理し
てリチウム含有マンガン酸化物を合成し、該酸化物から
酸を用いてリチウムを溶出することを特徴とするリチウ
ム吸着剤の製造方法。 - 【請求項2】請求項(1)に記載のボールとして、耐酸
化性材料からなる嵩密度が4.3g/cm3以上のものを用い、
前記混合物に対し、空隙を含む体積比で0.1以上となる
様に充填して行うリチウム吸着剤の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4420490A JP2851671B2 (ja) | 1990-02-24 | 1990-02-24 | リチウム吸着剤の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4420490A JP2851671B2 (ja) | 1990-02-24 | 1990-02-24 | リチウム吸着剤の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03245838A JPH03245838A (ja) | 1991-11-01 |
JP2851671B2 true JP2851671B2 (ja) | 1999-01-27 |
Family
ID=12685034
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4420490A Expired - Lifetime JP2851671B2 (ja) | 1990-02-24 | 1990-02-24 | リチウム吸着剤の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2851671B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE19520874A1 (de) * | 1994-12-15 | 1996-06-20 | Basf Magnetics Gmbh | Lithium und Mangan-(III/IV) enthaltende Spinelle |
-
1990
- 1990-02-24 JP JP4420490A patent/JP2851671B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03245838A (ja) | 1991-11-01 |
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