JP2851376B2 - 新規マクロライド抗生物質及びその製造法 - Google Patents

新規マクロライド抗生物質及びその製造法

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フー チン ワン
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は医薬、殊に抗菌剤として有用な化合物である
マクロライド抗生物質及び発酵法による該抗生物質の製
造法に関する。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは天然に存在する微生物が生産する物質に
ついて研究を行っていた所、キブデロスポランギウム属
に属し、マクロライド抗生物質を生産する能力を有する
微生物を培養した培地中に強い抗菌作用を有する新規マ
クロライド抗生物質が生産されていることを見いだし、
この物質を単離する事により本発明を完成した。
従来、微生物が生産する種々のマクロライド化合物に
は、狭義には、塩基性マクロライドに属するものと、中
性マクロライドに属するものが知られている。これらの
中で、塩基性マクロライドに属するものには、メチマイ
シン、ネオメチマイシン等の12員環マクロライドに属す
るもの、エリスロマイシン、オレアンドマイシン、ピク
ロマイシン、メガロマイシン等の14員環マクロライドに
属するもの、ジョサマイシン、ロイコマイシン、スピラ
マイシン、カルボマイシン、タイロシン、アンゴラマイ
シン、マイシナミシン、ロサミシン、ジュベニミシン等
の16員環マクロライドに属するものが知られている。ま
た中性マクロライドには、ランカマイシン、クジマイシ
ン等の14員環マクロライドに属するもの、チャルコマイ
シン、アルドガマイシン等の16員環マクロライドに属す
るものが知られている。これらマクロライド化合物の中
には、臨床上、非常に有用な抗菌剤として有効利用され
ているものがあるが、本発明の抗生物質はこれらの医薬
として実用に供されているマクロライド化合物と同様
に、グラム陽性菌に対して強い抗菌活性を有する14員環
の新規な化学構造を有するマクロライド化合物である。
従って、本発明は優れた抗菌活性を有するマクロライド
化合物を提供するものである。また、本発明は新規なマ
クロライド化合物を得るための新規な製造法をも提供す
るものである。更に本発明は上記マクロライド化合物を
生産する新菌種を提供するものである。
(課題を解決するための手段) すなわち、本発明は下記化学構造式(1)で表わされ
る新規マクロライド化合物に関する。
また、本発明は、上記マクロライド化合物(1)を生
産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物中に
該化合物を生産させ、次いで該化合物を採取することか
らなる新規マクロライド化合物の製造法である。本発明
の化合物を生産する菌株は中華人民共和国の斉斉哈爾
(チチハル)で採取された土壌より分離された微生物
で、次のような菌学的性状を有する。
(1)形態 各種有機及び無機培地で基生菌糸は良く発達、分岐
し、菌糸の幅はほぼ0.4μmであり、培地によりわずか
に菌糸の段裂が観察される。気菌糸は灰白色を呈し、形
状は長い直線状またはゆるゆかな曲線状で、不規則に分
岐し、50個以上の胞子連鎖を形成する。胞子の形状は円
筒形、大きさは0.4〜0.6μm×1.5〜2.5μmで、その表
面は平滑である。またオートミール寒天培地などの培地
上で、気菌糸中に胞子嚢様の構造が多数観察される。そ
れらは、形は亜球状で表面には皺が見られ、大きさは5
〜15μmであり、中には胞子は認めらない。菌核、運動
性のエレメント、輪生糸などの器官は観察されない。
(2)各種寒天培地上の性状 各種寒天培地上の性状は、以下に示すとおりである。
特に記載しないかぎり、27℃で21日間培養し、常法に従
って観察したものである。色調の記載については色の標
準(日本色彩研究所)によった。
(3)生理的性質 (4)炭素源の資化性(プリドハム・ゴドリーブ寒天培
地、27℃培養) 5. 菌体成分の化学分析 LECHVALIERらの方法(LECHVALIER,MP,et al;PP277−2
38 in DIETZ,A et.al.ed,Actinomycete Taxonomy,SIM S
pecial publication No.6,1980)に従い本菌株の酸加水
分解物および、細胞壁成分の分析を行った結果、表4の
様に細胞壁タイプIV−Aであった。
上記諸性状を要約すると、YL−02107Q株は、寒天培地
中に伸長した基生菌糸上に気菌糸を豊富に着生し、気菌
糸の一部に胞子連鎖を形成する。基生菌糸は培地によっ
てわずかに断裂が生じることがある。胞子は桿菌状で、
表面は平滑であり、運動性は認められない。気菌糸中に
多数の胞子嚢様の構造が形成されるがその中には胞子は
観察されない。菌体成分の化学分析の結果、細胞壁タイ
プはIV型、主たるメナキノン分子種はMK−9(H4)であ
った。
以上の性質を有する菌種を各種の文献等により検索す
ると、本菌株は1986年にShearerらによって提唱された
キブデロスポランギウム属(Genus Kibdelosporangiu
m)と形態、化学分析値がほとんど一致するため、本属
に属する菌株であると判断した。そこで、本属でただ1
種報告されているKibdelosporangium aridumと文献上で
各種性状を比較した。その結果、K.aridumはメラニン様
色素の生成が認められる点、硝酸塩の還元作用、スター
チの加水分解能が陰性である点、グリコペプチド抗生物
質を生産する点などにおいて本菌株と異なっていた。従
って、本菌株はギブデロスポランギウム属の新種と考え
られ、キブデロスポランギウム エス・ピー(Kibdelos
porangium sp.)YL−02170Qと命名した。本菌株は、工
業技術院微生物工業研究所に微工研菌寄第11467号とし
て寄託されている。
(製造法) 本発明の新規マクロライド抗生物質の製造法を実施す
るに当たり、該化合物の生産菌株キブデロスポランギウ
ム エス・ピー YL−02107Q株を栄養源を含有する培地
に接種し、好気的に発育させることにより、本発明の新
規マクロライド化合物を含む培養物が得られる。栄養物
としては放線菌の栄養源として公知のものを使用すれば
よい。たとえば市販されているペプトン、肉エキス、コ
ーン・スティープリカー、綿実粉、落花生粉、大豆粉、
酵母エキス、NZ−アミン、カゼインの水解物、魚粉、硝
酸ソーダー、硝酸アンモニュウム等の無機または有機の
窒素源、市販されている糖密、澱粉、デキストリン、蕉
糖、グルコース、マルトース、フラクトース、キシロー
ス、ラムノース、マンニトール、グリセリン等の炭水化
物あるいは脂肪等の炭素源が使用できる。また金属塩と
して、Na、K、Mg、Ca、Zn、Fe等の硫酸塩、塩酸塩、硝
酸塩、燐酸塩、炭酸塩等が必要に応じて添加される。さ
らに、バリン、ロイシン、イソロイシン、スレオニン、
フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、リジ
ン、アルギニン等の他、通常知られているアミノ酸類
や、オレイン酸メチル、ラード油、シリコン油、界面活
性剤等の抗生物質生成促進物質または消泡剤等も必要に
応じて適宜使用される。これらのもの以外でも、該生産
菌が利用し、本発明の新規マクロライド化合物の生産に
役立つものであれば何れでも使用することができる。培
養法としては、一般の抗生物質の生産方法と同様に行え
ばよく、その培養方法は固体培養でも液体培養でもよ
い。液体培養の場合は静置培養、撹拌培養、振盪培養等
のいずれを実施してもよいが、特に通気撹拌培養が好ま
しい。また、培養温度は生産菌が発育し、本発明の化合
物を生産する温度、すなわち15℃〜40℃の温度で適宜変
更出来るが、およそ25℃〜32℃の範囲が好ましい。培地
のpHは4〜9の範囲で適宜変更できるが、できればpH6
〜8が好ましい。培養時間は種々の条件によって異な
り、10時間〜168時間であるが、通常24時間〜120時間程
度で培養物中に蓄積される目的化合物が最高力価に達す
る。培養物から目的とする化合物を採取するには、微生
物の生産する代謝産物に用いる通常の抽出、分離、精製
の手段が適宜利用される。培養物中の目的化合物は培養
物をそのままか、又は遠心分離あるいは培養物に過助
剤を加え過して得られた培養液に、酢酸エチル、ク
ロロホルム、ベンゼン、トルエン等の水と混和しない有
機溶媒を加えて抽出する。また培養液を適宜の担体に
接触させ、液中の目的化合物を吸着させ、次いで適当
な溶媒で溶出する事により目的化合物を抽出する事がで
きる。更に詳しく述べるならば、例えばタイヤイオンHP
−20、アンバーライトXAD−2、ダイヤイオンSP−900ま
たはダイヤイオンCHP−20Pのごとき多孔性吸着樹脂に接
触させて目的物を吸着させる。ついでメタノール、エタ
ノール、アセトン、アセトニトリル等の有機溶剤と水の
混和液を用いて目的物を溶出させる。この時の溶媒の混
合比は、目的化合物が最も効率よく溶出しうる値にする
ことはいうまでもない。すなわち溶媒比率を低濃度より
段階的、または連続的に高濃度まで上げて行くことによ
り、目的化合物の含まれる比率の、より高い画分を得る
ことが出来る。酢酸エチル、クロロホルム等の有機溶媒
で抽出する場合には培養液にこれらの溶媒を加え、よ
く振盪し、目的化合物を抽出後、得られた抽出液を稀塩
酸水溶液のような酸性水溶液、また稀炭酸水素ナトリウ
ム水溶液のようなアルカリ性水溶液で順次洗浄し、目的
化合物を含む抽出画分を得ることができる。
つぎに上記の各操作法を用いて得られた目的化合物含
有画分は常用の吸着処理、例えば活性炭、アルミナ、シ
リカゲル、セルロース等を担体に用いたカラムクロマト
グラフィーや、シリカゲル系ODS逆相担体のカラムを用
いた高速液体クロマトグラフィー等の常法により、更に
純粋に分離精製することができる。
実施例 1. グルコース2.0%、ポテトスターチ2.0%、酵母エキス
0.5%、ポリペプトン0.5%、炭酸カルシウム0.4%を含
む培地(pH7.0)を作成し、これを500mlの三角フラスコ
に各60mlずつ分注し、120℃で20分間滅菌したものを種
培地とし、これにベネット寒天上に良く生育させたキブ
デロスポランギウム エス・ピー YL−02107Q株の菌糸
をかき取って接種し、28℃で48時間振盪培養を行い、種
培養液とした。つぎに生産培地として、上記と同様の培
地を全く同様の方法で分注し、滅菌したものに上記種培
養液を3%の割合で植菌し、28℃で72時間培養した。こ
のようにして得た5Lの培養液にラジオライト#600(昭
和化学工業社製)を加えて撹拌した後、過して3.8Lの
培養液を得た。この培養液(pH8.07)に2Lの酢酸エ
チルを加え、良く振盪して目的化合物であるYL−02107Q
物質を抽出した。この時、抽出液は直径8mmのペーパー
ディスク(東洋製作所社製)を用い、バチルス ズブチ
ルス ATCC6633を検定菌として用いた寒天平板での検定
で16.1mmの阻止円を示した。次いでこの抽出液を芒硝で
脱水した後、減圧濃縮乾固し、一夜真空デシケーター中
で乾燥して、目的化合物であるYL−02107Q物質の粗固形
物を0.81g得た。この粗固形物を少量のクロロホルムに
溶解し、2.7cm×60cmのシリカゲル(ワコウゲルC−30
0,和光純薬社製)のカラムに対し、クロロホルム:メタ
ノール(100:1)の溶媒で展開した。溶出液は17gずつフ
ラクションコレクターで分画し、各フラクションはバチ
ルス ズブチリス ATCC6633株の寒天平板でデスク検定
し、その活性を確かめた。また目的化合物YL−02107Q物
質の確認にはシリカゲル薄層プレート(キーゼルゲル
60F254,20cm×20cm,メルク社製)を用い、クロロホル
ム:メタノール(90:10)の溶媒で展開する薄層クロマ
トグラフィーを行い、目的物の検出には硫酸発色(10%
硫酸を噴霧後110℃で20分間加熱)及びバチルス ズブ
チリス ATCC6633株の寒天平板を用いたバイオオートグ
ラフィーで目的化合物YL−02107Q物質(Rf=0.43)を確
認した。その結果、目的化合物はフラクションナンバー
131〜195の間に溶出されていたので、この画分を集め、
減圧下濃縮乾固し、一夜真空デシケーター中で乾燥し
て、45mgの粗YL−02107Q物質を得た。更に精製を進める
ために、少量の酢酸エチルに溶解した粗YL−02107Q物質
をシリカゲル薄層プレート(キーゼルゲル 60F254,20c
m×20cm,メルク社製)の下から2cmの所の線状に塗布
し、クロロホルム:メタノール(90:10)の展開溶媒を
用いて展開した。ついで薄層プレートを風乾した後に、
蒸留水を噴霧し、帯状に白く浮き出た目的化合物YL−02
107Q物質(Rf=0.43)の部分を確認後、印を付け、再び
風乾した後に掻き取り、上記と同様の展開溶媒で溶出し
た。この溶出液中に含まれるYL−02107Q物質は上記の薄
層クロマトグラフィーで確認した所、ほぼ単一なスポッ
トを示したので、これを減圧下40℃で濃縮乾固し、真空
デシケーター中で一夜乾燥し、純度90%のYL−02107Q物
質の白色粉末を22mg得た。
実施例2. 種培養培地の調製及びその種培養液の培養法は実施例
1と全く同様の方法で行い、2段培養法とした。1段目
及び2段目はそれぞれ2日培養とし、最終的に400mlの
種培養液を得た。つぎに本培養は30Lの培養槽にグルコ
ース1.0%、ポテトスターチ2.0%、ソイビンミール0.5
%、フェザーミール0.5%、炭酸カルシウム0.4%を含む
培地(pH7.0)18Lを作成し、予め120℃、30分間滅菌し
ておく。これにさきに培養しておいた400mlの種培養液
の全量を接種し、毎分30Lの通気量で、回転数200rpmで
3日間培養すると、目的化合物YL−02107Q物質のバチル
ス ズブチリス ATCC6633株に対する抗菌活性は最大と
なった。このようにして得られた培養液にラジオライト
#600(昭和化学工業社製)を加え、撹拌した後に過
した。得られた培養液(pH8.2)を塩酸でpH7.0に調整
した後、1LのダイヤイオンHP−20を外径8cm、高さ30cm
のガラス管に充填したカラムを通過させ、目的化合物を
吸着させた。次いで10Lの蒸留水で良く水洗した後、25
%のアセトン水を15L流して更に洗浄し、最後に15Lの70
%のアセトン水を用いて目的化合物を溶出した。この溶
出液を減圧下200mlまで濃縮し目的物YL−02107Q物質の
抽出液を得た。つぎにこの抽出液をpHを7.0に調整し、5
00mlの酢酸エチルを加え、良く振盪して酢酸エチルで抽
出した後、分液して水層を除去した。このようにして得
られた抽出液に芒硝を加え、よく脱水した後に、芒硝を
過して取り除き、減圧濃縮してYL−02107Q物質の飴状
粗抽出物4.03g得た。更に精製を行うため、この粗抽出
液を20mlのクロロホルムに溶解し、別に外径3cm長さ110
cmのクロマト管にクロロホルムで充填した550mlのシリ
カゲル(ワコーゲルC−300,和光純薬工業社製)のカラ
ムに付し、クロロホルム:メタノール(100:1)の展開
溶出液で溶出した。この溶出液はフラクションコレクタ
ーで各フラクションを20gずつに分画して取った。目的
化合物の確認にはシリカゲルプレート(キーゼルゲル60
F254,20cm×20cm,メルク社製)を用い、クロロホルム:
メタノール(90:10)の溶媒で展開するクロマトグラフ
ィーを行い、10%の硫酸溶液を噴霧し、110℃20分間加
熱して発色し、目的化合物YL−02107Q物質(Rf=0.43)
を確認した。目的のYL−02107Q物質はフラクションナン
バー210〜300までの間に溶出されていたので、これを集
め、減圧下で濃縮乾固した後、真空デシケーター中で一
夜乾燥して純度92%のYL−02107Q物質の白色粉末を696m
g得た。
実施例3 実施例2で得られた純度92%のYL−02107Q物質の106.
4mgを1mlのメタノールに溶解し、0.2mlずつに分け、高
速液体クロマトグラフィーにかけて目的のYL−02107Q物
質を純粋に分取した。高速液体クロマトグラフィーの条
件はSTR−ODS−H(島津テクノリサーチ社製)の2cm×2
5cmカラムに、溶離液としてアセトニトリル:テトラヒ
ドロフラン:メタノール:水(31:12:19:38)を毎分8ml
の流量割合で流して用い、220nmでの紫外線吸収を用い
て検知した。その結果、目的のYL−02107Q物質は保持時
間20分40秒に溶出されたのでこの画分を集めた。この画
分に含まれるYL−02107Qの純度は、高速液体クロマトグ
ラフィーSTR−ODS−H(preparative−ODS−H)4.6mm
×250mmのカラムを用い、溶離液に分取に用いたものと
同様の溶媒を毎分当り0.8mlの溶出量で使用し、220nmの
紫外線吸収で検出した結果、保持時間10分51秒にYL−02
107Q物質の純粋なピークを確認した。このようにして得
た純粋なYL−02107Q物質を含む分取画分は全量で63mlあ
ったので、これを20mlまで濃縮し、50mlの酢酸エチルを
加えて良く振盪し、酢酸エチル層に目的物を抽出した。
抽出後、分液して水層を除去し、得られた酢酸エチルの
流出液に芒硝を加えて良く脱水した後、芒硝を過して
除去し、減圧濃縮乾固した。更によく乾燥するために、
これを真空デシケイター中で一夜乾燥し、62.5mgの純粋
なYL−02107Q物質を得た。次にこれを結晶化するため
に、0.2mlの酢酸エチルを加えて溶解し、0.6mlのヘキサ
ンを徐々に加えながら撹拌した後、氷室に一夜放置して
結晶を析出させた。このようにして得られた結晶を過
し、真空デシケイター中で一夜乾燥し、53mgの純粋な結
晶の白色粉末を得た。
上記の抽出、分離、精製されたYL−02107Q物質は下記
の物理化学的性質を有する。
(1)色および形状:白色の結晶性粉末。
(2)酸性、中性、塩基性の区分:中性。
(3)溶解性:メタノール、エタノール、アセトン、酢
酸エチル、ベンゼン、トルエンクロロホルム等には溶け
るが水やヘキサンにはほとんど溶けない。
(4)融点:145.5℃〜147.5℃ (5)比旋光度:〔α〕D 20=−76.07(C=1%、メタ
ノール中) (6)紫外線吸収スペクトル:YL−02107Q物質のメタノ
ール中で測定した紫外線吸収スペクトルは第1図に示す
ごとくである。
(7)赤外線吸収スペクトル(KBr):第2図に示すご
とくである。
(8)分子量:963.1644 (9)マススペクトル:985〔M+Na〕(FAB−Mass) (10)分子式:C48H82O19 (11)元素分析値: C48H82O19・0.3H2Oとして C(%) H(%) N(%) 実測値 59.43 8.49 0.00 計算値 59.52 8.60 0.00 (12)1H−NMRスペクトル:YL−02107Q物質の1H−NMRス
ペクトルは第3図に示すごとである。
(13)13H−NMRスペクトル:YL−02107Q物質の13C−NMR
スペクトルは第4図に示すごとくである。
上記の物理化学的性質からYL−02107Q物質の構造式は
下記のように決定される。
(発明の効果) 本発明は、新規且つ有用な微生物を提供すると共に、
本発明の新規なマクロライド抗生物質は各種細菌に強い
活性を有している。これらの作用を以下に示す。
試験管内における抗菌活性(MIC) YL−02107Q物質の、種々の微生物に対する抗菌活性
を、この目的に従来使用されるミューラーヒントン培地
を用いた寒天平板希釈法によって測定した。
【図面の簡単な説明】
第1図はYL−02107Q物質の紫外線吸収スペクトルを示
す。 第2図はYL−02107Q物質のの赤外線吸収スペクトルを示
す。 第3図はYL−02107Q物質の1H−NMRスペクトルを示す。 第4図はYL−02107Q物質の13C−NMRスペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:01) (C12N 1/20 C12R 1:01) (72)発明者 永井 浩二 東京都板橋区蓮根3―16―1 山之内製 薬株式会社蓮根寮 (72)発明者 山口 洋司 埼玉県大宮市奈良町136―51―10―205 (72)発明者 佐々木 敏雄 埼玉県浦和市文蔵5―22―12―504 (72)発明者 柴崎 充至 東京都板橋区蓮根3―16―1 山之内製 薬株式会社蓮根寮 (72)発明者 平本 昌志 神奈川県横浜市南区弘明寺町134 (72)発明者 竹林 幸弘 千葉県市川市若宮3―3―2 (72)発明者 鷲崎 清司 埼玉県上尾市富士見1―11―30 (72)発明者 リャン スー ファン 中華人民共和国 シャンハイ市200031 ユーヤンロード 319 シャンハイ イ ンスチテュート オブ マテリア メデ ィカ アカデミア シニカ内 (72)発明者 ワン フー チン 中華人民共和国 シャンハイ市200031 ユーヤンロード 319 シャンハイ イ ンスチテュート オブ マテリア メデ ィカ アカデミア シニカ内 (72)発明者 ツァン ウェイ ウェン 中華人民共和国 シャンハイ市200031 ユーヤンロード 319 シャンハイ イ ンスチテュート オブ マテリア メデ ィカ アカデミア シニカ内 (72)発明者 リュー チャー ウェイ 中華人民共和国 シャンハイ市200031 ユーヤンロード 319 シャンハイ イ ンスチテュート オブ マテリア メデ ィカ アカデミア シニカ内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07H 17/08 C12P 19/62 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造式で表されるマクロライド化合物
  2. 【請求項2】キブデロスポランギウム(Kibdelosporang
    ium)属に属し、請求項(1)記載のマクロライド化合
    物を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養
    物中に該マクロライド化合物を生成し、蓄積させ、培養
    物から生成蓄積したマクロライド化合物を採取すること
    を特徴とするマクロライド化合物の製造法。
  3. 【請求項3】キブデロスポランギウム属に属する微生物
    が、キブデロスポランギウム エス・ピー(Kibdelospo
    rangium sp.)YL−02107Q(微工研菌寄第11467号)であ
    る請求項(2)記載の製造法。
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