JP2786219B2 - Y―09194l―b物質および該物質の製造法 - Google Patents

Y―09194l―b物質および該物質の製造法

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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  • Nitrogen And Oxygen Or Sulfur-Condensed Heterocyclic Ring Systems (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,医薬として有用な化合物であるY−09194L
−B物質および発酵法による該物質の製造法に関する。
(発明が解決しようとする課題および課題を解決するた
めの手段) 本発明のY−09194L−B物質は,つぎの化学構造式並
びに理化学的性状によって特定される化合物である。
化学構造式 理化学的性状: (1)元素分析値(C24H34N4O5・2HCl・3.8H2Oとして) C H N Cl 計算値(%) 48.05 7.33 9.34 11.82 実測値(%) 48.01 6.87 9.40 11.43 (2)融点 明確な融点は示さず,190℃付近から徐々に褐変する。
(3)紫外部吸収スペクトル(メタノール中) 第1図 (4)赤外部吸収スペクトル(臭化カリウム錠) 第2図 (5)1H−核磁気共鳴スペクトル(メタノール中) 第3図 (6)13C−核磁気共鳴スペクトル(メタノール中) 第4図 (7)質量分析(FAB−MS) 第5図 (8)HR−FAB MS M+H m/z 459.26711 C24H35N4O5 (9)比旋光度 [α]D=−62(C=1,メタノール) (10)外観 淡黄色粉末 (11)溶解性 水,メタノール,エタノールに可溶。
アセトン,酢酸エチル,クロロホルム,n−ヘキサンに
は不溶。
(12)塩基性,中性,酸性の区別 塩基性の挙動を示す。
(13)呈色反応 陽性:ユニバーサル,硫酸、ニンヒドリン (14)薄色クロマトグラフィー シリカゲル60F254(メルク社) Rf=0.29(クロロホルム:メタノール:アンモニア水
=15:15:0.1) Rf=0(n−プロパノール:水=4:1) (15)高速液体クロマトグラフィー(HPLC) 保持時間 6.1分 カラム YMC−ODS 4.6φ×250mm 検出 210nm 流速 1ml/分 展開溶媒 0.1M硫酸ナトリウム 100ml 酢酸 0.05ml 1−ペンタンスルホン酸ナトリウム 0.02g アセトニトリル 3.1ml (発明の効果) Y−09194L−B物質は,各種細菌に対して抗菌作用を
示すと共に,各種腫瘍細胞に対し,細胞障害作用を有し
ている。
(1)抗菌作用 Y−09194L−B物質の抗菌活性を次表に示す。
(2)腫瘍細胞を用いる試験管内細胞障害作用試験方
法: 1×105cells/mlに調整したL1210,P388※※の各細
胞液1mlに,生理食塩水で溶解した各濃度のY−09194L
−B化合物4μlを加え,37℃炭酸ガス培養器中で3日
間培養した後,トリパンブルー染色法により生残細胞を
計数した。細胞障害活性は,薬剤無添加の細胞数を対照
として各濃度での細胞増殖抑制率を算出し,グラフ上に
プロットして求めた。
使用したmedium: ※RPMI−1640+10%新生子牛血清 ※※RPMI−1640+5%牛胎児血清 +5μM2−ヒドロキシエチル ジスフィド (3)P388を用いた動物での抗腫瘍活性試験方法: P388腫瘍細胞5×105セルをBDF1/SLC5週令オスマウス
に腹腔内接種し,接種翌日よりY−09194L−Bを腹腔内
投与で7日間連投した。効果は対照群の中間生存日数に
対する,Y−09194L−B投与群の中間生存日数の比より延
命率を算出して求めた。
(製造法) つぎに,本発明物質の製造法について説明する。
Y−09194L−B物質は,ノカルジオプシス属に属する
この物質の生産菌を培養し,培養液中にY−09194L−B
物質を蓄積させ,ついで培養液からこの物質を採取する
ことによって製造することができる。本発明で使用する
ノカルジオプシス属に属する微生物の一例としては,小
笠原諸島,父島で採取した土壌から分離されたノカルジ
オプシス エスピー(Nocardiopsis sp.)Y−09194L
(微工研菌寄第10461号)を挙げることができる。以下,
Y−09194L株の菌学的性質を説明する。
1.形態 各種有機及び無機培地で基生菌糸は良く発達し,菌糸
の幅はほぼ0.4μmであり,そのいずれの培地において
も,気菌糸を良く着生する。気菌糸は,長い直線状また
は曲線状で,単純分岐し,培養早期にジグザグな形状が
観察される。成熟した気菌糸は分断するとともに,20個
以上の長い胞子連鎖を形成する。電子顕微鏡による観察
では,胞子の形状は円筒形,大きさは0.8〜1.2μm×0.
4〜0.5μmで,その表面は平滑である。胞子のう,菌
核,菌束糸等の特殊な器官は観察されない。
2.各種寒天培地上の性状 各種寒天培地上の性状は,以下に示すとおりである。
特に記載しないかぎり,28℃で21日間培養し,常法に従
って観察したものである。色調の記載については色の標
準(日本色彩研究所)によった。
5.菌体成分の化学分析 LECHVALIERらの方法(LECHVALIER,MP.et al;PP277−2
38 IN DIETZ,A et al ed.,Actinomycete Taxonomy,SIM
Special publication No.6,1980)に従い本菌株酸加水
分解の分析を行った結果,meso−ジアミノピメリン酸が
検出された。また,細胞壁成分としてmeso−ジアミノピ
メリン酸,ガラクトース,ラムノース,グルコースが検
出された(細胞壁タイプIII−C)。主たるメナキノン
は,MK9(H4)であった。
上記諸性状を要約すると,Y−09194L株は気菌糸上に長
い胞子の連鎖を作り,培養の初期に気菌糸がジグザグな
形状を呈し,後期になると基生菌糸に断裂が生じる。細
胞壁タイプはIII−Cで,主メナキノンはMK−9(4H)
である。
以上の性質を有する菌種を各種の文献等により検索す
ると,本菌株はノカルジオプシス(Nocardiopsis)に属
する一菌株であること認められる。そこで本菌株をノカ
ルジオプシス エスピー(Nocardiopsis sp.)Y−0919
4Lと命名した。
本菌株は,工業技術院微生物工業技術研究所に微工研
菌寄第10461号として寄託されている。なお,微生物は
人工的に,また自然に変異を起しやすいが,本発明のノ
カルジオプシス エスピーY−09194L株には天然から分
離された放線菌のほかにこれを紫外線,X線,化学薬剤な
どで人工的に変異させたもの及びそれらの自然変異株
も,包含されるものである。
Y−09194L−B物質の生産はノカルジオプシス エス
ピーY−09194L株を培地に培養し,培養物より採取する
ことにより行なわれる。培養方法は一般微生物の培養方
法に準じて行なわれるが,通常は液体培地により深部培
養法が有利である。培養に用いられる培地としては,ノ
カルジオプシス エスピーY−09194L株が利用する栄養
源を含有する培地であればよい。
すなわち,合成培地,半合成培地あるいは天然培地が
用いられ,培地の組成は例えば炭素源としてはグルコー
ス,アラビノース,フラクトース,デンプン,植物油等
が,窒素源としては肉エキス,ペプトン,グルテンミー
ル,綿実粕,大豆粉,落花生粉,魚粉,コーンスチーブ
リカー,乾燥酵母,酵母エキス,硫酸アンモニウム,硝
酸アンモニウム,尿素その他の有機,無機の窒素源が用
いられる。また,金属塩としてNa,K,Mg,Ca,Zn,Feなどの
硫酸塩,硝酸塩,塩化物,炭酸塩,燐酸塩などが必要に
応じて添加される。
また,必要に応じてメチオニン,システイン,シスチ
ン,チオ硫酸塩,オレイン酸メチル、ラード油,シリコ
ン油,界面活性剤などの抗生物質生成促進物質又は消泡
剤を添加することもできる。
培養条件としては好気的条件下に培養するのが一般的
に有利で,培養温度は約25〜37℃の範囲が望ましく,好
ましく約30℃附近で行なわれる。培地のpHは約5−10,
好ましくは約6〜8の範囲に保存すると好結果が得られ
る。培養期間は培地の組成,温度条件に応じて適宜設定
される。
培養物より目的とするY−09194L−B物質を単離採取
するには通常の微生物の培養物より抗生物質を単離する
方法が適用される。目的物は主に培養液中に含有される
ので,遠心分離又は過により菌体を除去した後,過
液から有効物質の抽出を行なう。すなわち,適当な溶剤
に対する溶解性及び溶解度の差,溶液からの析出性及び
析出速度の差,種々の吸着剤に対する吸着親和性の差,2
種の液相間における分配の差などを利用する一般の抗生
物質の製造に用いられる手段によって、分離,採取,精
製される。これらの方法は必要に応じて単独に用いら
れ,あるいは任意の順序に組合せ,また反覆し適用でき
る。
(実施例) 以上,本発明の製造法を説明したが,以下に実施例に
よりさらに説明する。
実施例1. グルコース0.5%,白色デキストリン2.0%,ポリペプ
トン0.5%,酵母エキス0.5%,ブレインハートインフュ
ージョン0.52%,コーンスチープリカー0.5%,肉エキ
ス0.3%,炭酸カルシウム0.2%,を含む培地A(PH8.
0)を作成し,これを500ml三角フラスコに60mlずつ分注
し120℃で20分間滅菌したものに,ベネット寒天培地上
に生育させたノカルジオプシス エスピーY−09194L株
の菌糸をかき取って接種し,27℃で48時間振盪培養を行
ない種培養液とする。つぎに培地A3Lを作製し,これを5
00ml三角フラスコに60mlずつ分注し,120℃で20分間滅菌
したものに種培養液を3.0%の割合で植菌した。27℃で4
8時間振盪培養を行ない種培養液(2)とする。本培養
はフルクトース1.0%,エスサンミート0.5%,ラブレム
コパウダー0.2%を加えた培地B25L(pH7.0)を作製し,
これを500ml三角フラスコ60mlずつ分注し120℃で20分間
滅菌したものに種培養液(2)を3.0%の割合で植菌し
毎分200回転のロータリーシェイカーで27℃,3日間振盪
培養を続けるとバチルス ズブチルスATCC6633株に対し
て抗菌活性は最大となる。培養終了後すべてのフラスコ
内容液を合わせて塩酸でpH2.5に調整した後,ラジオラ
イト#600(昭和化学工業製)を加えて攪拌の後過す
ると,液23Lが得られる。この液に水酸化ナトリウ
ムを加えてpH6.5に調整した後,CMセファデックスA−25
(Na型)に吸着させる。2Lの水で水洗の後,3Lの5%食
塩水で溶出する。次に300mlのダイアイオンHP−20(三
菱化製)に吸着させ700mlの水で水洗した後,40%メタノ
ールで溶出する。この液を減圧濃縮しメタノールをとば
した後,ダウエックス1(C1型)を通過させる。さらに
CMセファデックスA−25(Na型)に吸着させ,0−5%食
塩水の濃度勾配による溶出を行なう。バチルス スブチ
リスATCC6633株に対して活性を示す区分を集め,ダイア
イオンCHP−20(三菱化成製)に吸着させる。0−40%
メタノールの濃度勾配による溶出を行なう。バチルス
スブチリスATCC6633株に対して活性を示す区分を集め,
減圧濃縮する。この液をHPLCにて分取する。カラム:YMC
−ODS20φ×250mm,検出210mm,流速11ml/分、展開溶媒;
0.1M硫酸ナトリウム100ml,酢酸0.05ml,1−ペンタンスル
ホン酸ナトリウム0.02g,アセトニトリル3.1mlにて運転
し9分のピークを分取する。この液を減圧濃縮した後凍
結乾燥する。得られた粉末をメタノールにて抽出する。
メタノール液を減圧乾固した後、水を加えて水溶液とす
る。これをダウエックス1(C1型)に通し塩酸塩とす
る。減圧濃縮した後凍結乾燥すると,Y−09194L−B物質
の塩酸塩が90mg得られる。
実施例2. グルコース0.5%,白色デキストリン2.0%,ポリペプ
トン0.5%,酵母エキス0.5%,ブレインハートインフュ
ージョン0.52%,コーンスチープリカー0.5%,肉エキ
ス0.3%,炭酸カルシウム0.2%を含む培地A(PH8.0)
を作製し,これを500ml三角フラスコに60mlずつ分注し1
20℃で20分間滅菌したものに,ベネット寒天培地上に生
育させたノカルジオプシス エスピーY−09194L株の菌
糸をかき取って接種し,27℃で48時間振盪培養を行ない
種培養液とする。つぎに培養地A31を作製し,これを500
ml三角フラスコに60mlずつ分注し,120℃で20分間滅菌し
たものに種培養液を3.0%の割合で植菌した。27℃で48
時間振盪培養を行ない種培養液(2)とする。つぎに消
泡剤NKL−5430(日本油脂)0.03%を加えた培地A20Lを
作製し,30L容培養槽中に入れ120℃で30分滅菌したもの
に種培養液(2)を600ml接種し,通気量30L/分,攪拌
速度200rpmで27℃,3日間通気攪拌培養を行ない種培養液
(3)とする。本培養は種培養(3)6.6Lを予め120℃,
30分間滅菌した300L培養槽中の,フルクトース2.0%,
エスサンミート1.0%,ラブレムコパウダー0.2%,消泡
剤NKL−5430(日本油脂)0.03%を含む生産培地220L(p
H7.0)に接種し,通気量150L/分,回転数70rpmで3日間
培養すると,バチル ズブチルス ATCC6633株に対して
抗菌活性は最大となる。このようにして得られた培養液
を塩酸でpH2.5に調整した後,ラジオライト#600(昭和
化学工業製)を加えて攪拌の後過すると,液220Lが
得られる。この液に水酸化ナトリウムを加えてpH6.5
に調整した後,CMセファデックスA−25(Na型)5Lに吸
着させる。10Lの水で水洗の後,15Lの5%食塩水で溶出
する。次に2LのダイアイオンHP−20(三菱化成製)に吸
着させ、4Lの水で水洗した後,40%メタノールで溶出す
る。この液を減圧濃縮しメタノールをとばした後,ダウ
エックス1(C1型)3Lを通過させる。さらにCMセファデ
ックスA−25(Na型)900mlに吸着させ,0−5%食塩水
の濃度勾配による溶出を行なう。HPLCにてY−09194L−
B物質を検出し,その区分を集める(カラム:YMC−ODS
4.6φ×250mm,検出210nm,流速11ml/分、展開溶媒;0.1M
硫酸ナトリウム100ml,酢酸0.05ml,1−ペンタンスルホン
酸ナトリウム0.02g,アセトニトリル3.1ml,保持時間6.1
分)。これらの区分をダイアイオンCHP−20(三菱化成
製)に吸着させる。0−20%メタノールの濃度勾配によ
る溶出を行なう。HPLCにてY−09194L−B物質を検出
し,その区分を集める。減圧濃縮しメタノールをとばし
た後,ダウエックス1(C1型)に通し,塩酸塩とする。
減圧濃縮後,凍結乾燥を行なうとY−09194L−B物質の
塩酸塩が3g得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は,Y−09194L−B物質の紫外部吸収スペクトルを
示す。 第2図は,Y−09194L−B物質の赤外部吸収スペクトルを
示す。 第3図は,Y−09194L−B物質の1H−核磁気共鳴スペクト
ルを示す。 第4図は,Y−09194L−B物質の13C−核磁気共鳴スペク
トルを示す。 第5図は,Y−19194L−B物質の質量分析スペクトルを示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:01) (C12P 17/18 C12R 1:01) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 17/00 - 17/18 C12N 1/20 C07D 498/22 CA(STN) REGISTRY(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記平面化学構造式で表わされるY−0919
    4L−B物質又はその酸付加塩。
  2. 【請求項2】ノカルジオプシス属に属する請求項1記載
    のY−09194L−B物質を生産する能力を有する菌を培養
    し、培養液中にY−09194L−B物質を蓄積させ、ついで
    培養液からこの物質を採取することを特徴とするY−09
    194L−B物質の製造法。
  3. 【請求項3】ノカルジオプシス属に属する菌株が、ノカ
    ルジオプシス エスピー Y−09194L(微工研菌寄第10
    461号)である請求項2記載の製造法。
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