JPH06319574A - 新規yl−02632s物質とその製造法 - Google Patents

新規yl−02632s物質とその製造法

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JPH06319574A
JPH06319574A JP4031489A JP3148992A JPH06319574A JP H06319574 A JPH06319574 A JP H06319574A JP 4031489 A JP4031489 A JP 4031489A JP 3148992 A JP3148992 A JP 3148992A JP H06319574 A JPH06319574 A JP H06319574A
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Kazuma Kamikiri
和磨 上桐
Shigeru Miyazaki
繁 宮崎
Koji Nagai
浩二 永井
Yasuto Suzuki
康人 鈴木
Yoji Yamaguchi
洋司 山口
Mitsuji Shibazaki
充至 柴▲崎▼
Seiji Washisaki
清司 鷲崎
Tatsusuke Tokunaga
達祐 徳永
Rumanau Buddo
ルマナウ ブッド
Muruni Rantiatomojo Ratona
ムルニ ランティアトモジョ ラトナ
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PT KALBE FARMA
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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PT KALBE FARMA
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記YL−02632S物質 【化1】 とその製造法。 【効果】 抗菌活性殊に抗黄色葡萄状球菌活性を有
し,医薬に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬,殊に抗菌剤として
有用な化合物であるYL−02632S物質又はその塩
及びその発酵法による該抗生物質の製造法に関する。さ
らに詳しくは,本発明はアルカリゲネス属に属する微生
物を培養し,その培養物から目的化合物を採取する発酵
法によるYL−02632S物質の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,微生物が生産する種々の抗生物質
にはペニシリン,セファロスポリン,カルバペネム等の
βラクタム系抗生物質,エリスロマイシン,ジョサマイ
シン,ロキタマイシン等のマクロライド抗生物質,カナ
マイシン,ゲンタマイシン,トブラマイシン等のアミノ
グリコシド抗生物質などが良く知られている。これらの
抗生物質及びそれらを化学合成的手法により改良した化
合物の中には,臨床上,非常に有用な抗菌剤として有効
利用されているものが多々ある。しかし近年,これらの
既知抗生物質に対して高い耐性度を有するメチシリン耐
性黄色葡萄状球菌(以下、MRSAという)が臨床の場
で多く出現し,社会的にも重大問題となりつつある。従
って,このMRSAに対して有効な抗生物質が多くの臨
床の場で切望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、抗菌活性殊
に抗MRSA活性を有する微生物産生物質の提供を目的
とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは天然に存在
する多くの微生物が生産する抗菌物質の探索を目的とし
て,アルカリゲネス属に属し,抗菌物質を生産する能力
を有する菌株の培養液を詳査したところ,この培養液中
に強い抗MRSA作用を有する新規抗菌物質が生産され
ており,この物質を単離することに成功し本発明を完成
した。すなわち,本発明は下記化学構造式で表される新
規YL−02632S物質又はその塩に関する。
【0005】
【化2】
【0006】また,本発明はアルカリゲネス(Alca
ligenes)属に属するYL−02632S物質生
産菌を培養し,培養物中にYL−02632S物質を蓄
積させ,培養物からこの物質を単離採取することを特徴
とするYL−02632S物質の製造法に関する。本発
明化合物は,新規YL−02632S物質生産菌を培養
し,培養物中に該化合物を生産蓄積させ,培養物中から
該化合物を採取することによって製造することができ
る。本発明化合物中は,不斉炭素及び二重結合を有する
ので各種異性体が存在する。本発明の新規な抗菌活性を
有するYL−02632S物質又はその塩を生産する菌
株として例えば,インドネシア領カリマンタン島で採取
された土壌から分離された微生物アルカリゲネス エス
ピー(Alcaligenessp.)YL−0263
2S株を挙げることができる。以下,この菌学的性状を
説明する。
【0007】1)形態 肉汁寒天培地上で,33℃,5日間培養した細胞は,
0.6〜1.0×1.8〜2.2μmの桿菌でグラム染
色は陰性であり,運動性がある。極鞭毛はない。また胞
子ミクロシストなどの形成は認められない。抗酸性染色
は陰性である。 2)各種培地における生育状態 肉汁寒天培地上で,半透明で乳白色の薄い円形のコロニ
ーを形成する。コロニーの周辺はスムースで滑走性は示
さない。また可溶性色素の生成は認められない。 肉汁培地は殆ど均一に混濁し,皮膜は形成しない。 肉汁ゼラチン穿刺培養はゆっくりと液化する。 リトマスミルクはわずかにアルカリ性となる。 培養3日目ごろから凝固が認められた。ついで5日目に
は凝固が完了し,ペプトン化が始まり2週間後に完了し
た。
【0008】3)生理学的性質表1 硝酸塩の還元 : 陽性 脱窒反応 : 陰性 MRテスト : 陰性 VPテスト : 陰性 インドールの生成 : 陰性 硫化水素の生成 : 陰性 デンプンの加水分解 : 陰性 クエン酸の利用 : 陽性 無機窒素源の利用 硝酸ナトリウム : 陽性 硫酸アンモニウム : 陰性 色素の生成 : 陰性 ウレアーゼ : 陰性 オキシダーゼ : 陽性 カタラーゼ : 陽性 生育温度範囲 : 15〜37℃ 至適生育温度 : 27〜32℃ 生育pH範囲 : 4〜9 至適生育pH : 5〜8 嫌気条件での生育 : 陰性 OFテスト : 非分解型 栄養要求性 : 無し アルギニン分解反応 : 陰性 ポリβハイドロキシブチレートの 菌体内蓄積 :陰性 NaCl加肉汁培地での生育 :1%では生育するが, 2% では生育しない。
【0009】4)炭素源の利用性 表2 糖の利用性 酸の生成 L−アラビノース ± + D−キシロース + − D−グルコース + − D−マンノース + − D−フラクトース + − D−ガラクトース − − マルトース − − シュクロース − − ラクトース − − トレハロース − − D−マンニット + − グリセリン + − デンプン − − メリビオース − − +: 陽性,±:偽陽性,−:陰性
【0010】5)DNAのGC含量(HPLC法によ
る) mol%G+C=62.8 以上の微生物学的性質をまとめると,本菌株はグラム陰
性好気性の桿菌で運動性を有する。生育温度範囲は15
〜37℃で, オキシダーゼ試験,カタラーゼ試験,硝酸
塩の還元性およびゼラチンの液化反応は陽性であり,O
Fテストの結果は非分解型である。一方,デンプンの分
解性,硫化水素の生成,グルコース培地での酸およびガ
スの産生,インドールの生成,VP試験結果は陰性であ
る。またポリベータハイドロキシブチレートの菌体内蓄
積も認められない。またDNAの塩基組成は62.8m
ol%である(HPLC法)。このような性質を有する
菌をバージーズ・マニュアル・オブ・デターミネィテブ
・バクテリオロジィ第8版(Baergey's Manual of Dete
rminative Bacteriology, 8th ed., 1975),及びバージ
ーズ・マニュアル・オブ・システマティック・バクテリ
オロジィ(Bergey'sManual of Systematic Bacteriolog
y, 1984 ),およびその他の文献によって検索した結果,
本菌株はアルカリゲネス(Alcaligenes)属
に属する細菌であると判断した。
【0011】かつ本菌株に似た菌種として,アルカリゲ
ネス カピダス(A.capidus) およびアルカ
リゲネス ベヌスタス(A.venustus)が挙げ
られる。上記2種とYL−03632S株を比較した結
果を以下の表に示した。
【0012】 表3.YL−02632S 株と類似菌種の比較結果 YL-02632S A.capidus A.venustus オキシダーゼ + − + カタラーゼ + + + ゼラチンの溶解性 + + + OFテスト − − − 硝酸塩の還元性 + + + 4℃での生育 − + + 炭素源の利用性 D−グルコース + + + L−アラビノース + + − D−マンノース + + − シュークロース + + − マンニトール + + − 酸の生成 シュークロース − − − D−グルコース − − − 嫌気条件下での生育 − − − DNAの塩基組成(mol% of G+C) 62 60−63 52−55
【0013】この結果より,本菌株はアルカリゲネス
カピダスとは生育温度,オキシダーゼ試験などの結果が
異なっており,またアルカリゲネス ベヌスタスとは炭
素源の利用性が大きく異なっていた。従って本菌株と一
致する既知菌種は見あたらず本菌株をアルカリゲネス属
の新種と同定し,アルカリゲネス エス・ピー(Alcalig
enes sp.)YL-02632Sと命名した。なお本菌株
は工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌寄第12
694号として寄託されている。
【0014】本発明の新規YL−02632S抗生物質
の製造法を実施するに当たり,YL−02632S物質
生産菌株例えばアルカリゲネス エス・ピー YL−0
2632S株を栄養源を含有する培地に接種し,好気的
に発育させることにより,本発明の新規YL−0632
S物質を含む培養物が得られる。培養は一般微生物の培
養方法に準じて行うことができ,その培養方法は固体培
養法または液体培養法の何れでもよい。液体培養法の場
合は静置培養,撹拌培養または振盪培養の何れを実施し
てもよいが,特に通気攪拌培養が好ましい。
【0015】培養に用いられる培地は,使用される微生
物が利用する培地であればよく,合成培地,半合成培地
あるいは天然培地が用いられる。培地に添加する栄養物
としては,細菌の栄養源として公知のものを使用すれば
よい。例えば市販されているペプトン,肉エキス,コー
ン・スティープリカー,綿実粉,落花生粉,大豆粉,酵
母エキス,NZ−アミン,カゼインの水解物,魚粉,硝
酸ソーダー,硝酸アンモニュウム等の無機または有機の
窒素源,市販されている糖蜜,アラビノース,デキスト
リン,マンノース,グルコース,フラクトース,キシロ
ース,ラムノース,マンニトール,グリセリン等の炭水
化物あるいは脂肪等の炭素源が使用できる。
【0016】また金属塩として,Na,K,Mg,C
a,Zn,Fe等の硫酸塩,塩酸塩,硝酸塩,燐酸塩,
炭酸塩等が必要に応じて添加される。さらに必要に応じ
てバリン,ロイシン,イソロイシン,スレオニン,フェ
ニルアラニン,トリプトファン,メチオニン,リジン,
アルギニン,システイン,シスチン等の他,通常知られ
ているアミノ酸類や,オレイン酸メチル,ラード油,シ
リコン油,界面活性剤等の抗生物質生成促進物質または
消泡剤が適宜使用される。これらのもの以外でも,YL
−02632S物質生産菌を利用し,本発明の新規YL
−02632S抗生物質の生産に役立つものであれば何
れの添加物でも使用することができる。
【0017】培養条件としては,培養温度は生産菌が発
育し,本発明の化合物を生産する温度,すなわち15℃
〜37℃の範囲で適宜変更出来るが,およそ27〜32
℃が好ましい。培地のpHは4〜9の範囲で適宜変更で
きるが,できればpH5〜8が好ましい。培養時間は種
々の条件によって異なり,10時間〜168時間である
が,通常24時間〜120時間程度で培養物中に蓄積さ
れる目的化合物が最高力価に達する。培養物から目的と
する化合物を採取するには,微生物の生産する代謝産物
に用いる通常の抽出,分離,精製の手段が適宜利用され
る。培養物中の目的化合物は培養物をそのままか,又は
遠心分離あるいは培養物に濾過助剤を加え濾過して得ら
れた培養濾液に,酢酸エチル,クロロホルム,ベンゼ
ン,トルエン等の水と混和しない有機溶媒を加えて抽出
する。
【0018】また培養濾液を適宜の担体に接触させ,濾
液中の目的化合物を吸着させ,次いで適当な溶媒で溶出
することによりYL−02632S物質を抽出すること
ができる。更に詳しくは,例えばアンバーライトXAD
−2,ダイヤイオンHP20,ダイヤイオンCHP20
PまたはダイヤイオンSP900のごとき多孔性吸着樹
脂に接触させてYL−02632S物質を吸着させる。
ついでメタノール,エタノール,アセトン,アセトニト
リル等の有機溶剤と水の混合液を用いてYL−0263
2S物質を溶出させる。この時の溶媒の混合比は,YL
−02632S物質が最も効率よく溶出しうる値にする
ことはいうまでもない。すなわち溶媒比率を低濃度より
段階的,または連続的に高濃度まで上げて行くことによ
り,YL−02632S物質の含まれる比率の,より高
い画分を得ることができる。酢酸エチル,クロロホルム
等の有機溶媒で抽出する場合には培養濾液にこれらの溶
媒を加え,よく振盪し,YL−02632S物質を抽出
する。
【0019】また本化合物は酸性物質であるので,酢酸
エチルなどの有機溶媒の抽出液から重炭酸水素ナトリウ
ムや苛性ソーダーのようなアルカリ性の水溶液に転溶抽
出することができる。YL−02632S物質を含む転
溶抽出画分を塩酸や硫酸などで酸性にし,酢酸エチルな
どの有機溶媒で再抽出することにより,一層純度の高い
YL−02632S物質の抽出画分を得ることができ
る。つぎに上記の各操作法を用いて得られた目的化合物
含有画分は常用の吸着担体,例えば活性炭,アルミナ,
シリカゲル,セルロース等を担体に用いたカラムクロマ
トグラフィーや,シリカゲル系ODS逆相担体のカラム
を用いた高速液体クロマトグラフィー等の常法により,
更に純粋に分離精製することができる。このようにして
得られた目的化合物は水酸化カリウム,水酸化ナトリウ
ム,水酸化カルシウム,水酸化バリウム等のアルカリ物
質と反応させることにより塩を形成させ,水溶性を持た
せることができる。
【0020】
【実施例】
実施例 1 グルコース1.0%,ポテトスターチ2.0%,酵母エ
キス0.5%,ポリペプトン0.5%,炭酸カルシウム
0.4%を含む種培地(pH7.0)を作成し,各60
mlずつ500mlの三角フラスコに分注した。この培
地を120℃で20分間滅菌した後,ベネット寒天上に
良く生育させたアルカリゲネス エス・ピー YL−0
2632S株の菌体をかき取って接種し,28℃で48
時間振盪培養を行って種培養液とした。つぎに生産培地
として,上記と同様の培地を全く同様の方法で分注し,
滅菌したものに上記種培養液を3%の割合で植菌し,2
8℃で72時間培養した。このようにして培養した5l
の培養液を6000rpmで10分間遠心して約3.9
lの遠心上清液を得た。
【0021】この遠心上清液(pH7)に5lの酢酸エチ
ルを加え,よく振盪して目的のYL−02632S物質
を抽出した。次にこの酢酸エチルの抽出液を芒硝でよく
脱水後,減圧下で濃縮乾固し,224.2mgのYL−
02632Sの粗抽出物を得た。これを更に精製するた
め,約5mlの酢酸エチルに溶解し,8枚の20mm×
20mm四方シリカゲル薄層プレート(キーゼルゲル6
0F254,Merck社製)の下から2cmの所に帯
状にチャージし,クロロホルム:メタノール(9:1)
の溶媒で展開した。この薄層プレートは展開後風乾し,
UVランプ(254nm)で目的物のバンドを確認した
後,その部分を掻き取り,展開溶媒(クロロホルム:メ
タノール(9:1))で目的物を溶出した。この溶出画分
は減圧濃縮し,真空下で乾固して31.2mgの粗YL
−02632S物質を得た。
【0022】更に純粋に精製するため上記と同様に約1
mlの酢酸エチルに溶解し,3枚の20mm×20mm
四方シリカゲル薄層プレート(キーゼルゲル60F25
4,Merck社製)の下から2cmの所に帯状にチャ
ージし,酢酸エチル:メタノール(9:1)の溶媒で展
開した。この薄層プレートは展開後風乾し,UVランプ
(254nm)で目的物のバンドを確認した後,その部
分を掻き取り,展開溶媒(酢酸エチル:メタノール
(9:1))で目的物を溶出した。この溶出液は減圧下で
濃縮乾固した後,更にもう一度酢酸エチル:メタノール
(9:1)の溶媒を用いた薄層クロマトグラフィーによ
る精製を繰り返した。このようにして得た溶出画分は減
圧下で濃縮乾固し,一夜真空デシケータで乾燥し,純粋
なYL−02632S物質を16.3mg得た。上記抽
出,分離,精製されたYL−02632S物質は下記の
物理化学的性質を有する。
【0023】(1)色および形状:白色または微黄色の
無定型半透明固体。 (2)酸性,中性,塩基性の区分:酸性。 (3)溶解性:メタノール,エタノール,アセトン,酢
酸エチル,ベンゼン,トルエン、クロロホルム等には溶
けるが水には溶け難く,ヘキサンにはほとんど溶けな
い。 (4)紫外部吸収スペクトル:λ 228.5nm(ε
=41,200 ,メタノール中)を示し,図1に示
す。
【0024】(5)比旋光度:〔α〕D25=+56.3
(C=1%,メタノール中) (6)赤外線吸収スペクトル(KBr):図2に示す。 (7)分子量:548.7204 (8)マススペクトル(FAB−Mass):549
〔M+1〕 (9)分子式:C30 4827 (9)1H−NMRスペクトル:図3に示す。 (10)13C−NMRスペクトル:図4に示す。 上記の物理化学的性質からYL−02632S物質の構
造式は下記のように決定される。
【0025】
【化3】
【0026】実施例2 実施例1と全く同様の方法で種培養培地,生産培地を調
製し,同様の方法で培養を行った。このようにして培養
した5lの培養液を6000rpmで10分間遠心し約
4lの遠心上清液を得た。得られた遠心上清液(pH7)
を200mlのHP20を充填したカラムに通過させ,
目的のYL−02632S物質を吸着させた。次いでこ
のカラムは1.5lの蒸留水で洗浄した後,10%アセ
トン水1l,25%アセトン水2l,50%アセトン水
2l,75%アセトン水2lの順番で順次溶出した。そ
の結果50%アセトン濃度の画分に活性がみられた。
【0027】これとは別に,上記と同様な方法で20l
の培養液から得た活性画分を上記の活性画分と合わせた
後,減圧濃縮してアセトンを留去し,目的のYL−02
632S物質を含む活性画分を1lの水溶液として得
た。ちなみにこの時の活性はスタフィロコッカス アウ
レウスFDA209P株の寒天平板培養に於いて直径8
mmのペーパーディスクを用いて検定した結果22.2
mmの阻止円を示した。この水溶液は1規定の塩酸でp
H3に調整した後,1.5lの酢酸エチルを加え,よく
振盪し,酢酸エチル層を分液した。このようにして得た
酢酸エチルの抽出液は減圧下で300mlに濃縮した。
【0028】この濃縮液中の目的化合物を更に純粋にす
るために,0.3%の重曹水500mlを加えてよく振
盪して抽出した。この操作を4回繰り返し抽出して2l
の水抽出液を得た。この水抽出液は塩酸でpHを2に調
整した後,2lの酢酸エチルを加え,よく振盪して再抽
出した。この酢酸エチル抽出液は芒硝で脱水後濃縮乾固
し,YL−02632Sの粗抽出物を固形物として27
8mg得た。この粗抽出物を更に精製するため約1mlの
クロロホルムに溶解し,外径10mm,長さ370mm
のシリカゲル(ワコーゲル C−300・和光純薬工業
社製)のカラムに供した。つぎにクロロホルムを主溶媒
としてメタノールを0.5%,1%,2%,4%の割合
で加えた溶媒で段階的に500mlづつで溶出し5gづ
つのフラクションに分画した。その結果,目的物はフラ
クションナンバー432〜495に溶出されてきた。こ
の画分を集め,濃縮乾固した後に,真空下で一夜乾燥
し,純粋なYL−02632S物質(純度94%)を1
20mg得た。このYL−02632S物質の純度検定
は,液体クロマトグラフィー(HPLC)法を用い,保
持時間16分8秒に溶出されるYL−02632S物質
のピークを検出し定量した。
【0029】HPLC条件は以下の通りである。 カラム;STR−ODS(島津テクノリサーチ社製),
4.6φ×250mm 溶出溶媒;0.05M リン酸緩衝液(pH4.3
5):テトラヒドロフラン:メタノール(=65:5:
30)の混合溶媒 流出速度;0.8ml/分 検出波長;230nm
【0030】実施例3 実施例2で得られた純粋なYL−02632Sの54m
gに約0.5mlの水を加え,つぎに0.1規定の可性
ソーダーの適量を注意深く撹拌し,YL−02632S
物質を溶解しながら加え,pHを7.8に調整した。こ
の溶液は充分に目的物が溶解している事を確認した後
に,凍結乾燥をした。その結果,YL−02632S物
質のナトリウム塩を55.4mg得た。この物質は元の
YL−02632S物質のフリー体に比較して,水に対
する溶解性が格段に高い。
【0031】
【発明の効果】本発明は,新規且つ有用な微生物を提供
すると共に,本発明の新規な抗菌化合物は各種細菌に強
い活性を有し,中でもMRSAなどの高度多剤耐性を含
むブドウ球菌に強い抗菌作用を示す。これらの作用を以
下に示す。 試験管内における抗菌活性(MIC) YL−02632S物質の種々の微生物に対する抗菌活
性を,この目的に従来使用されるミューラーヒントン培
地を用いた寒天希釈平板培養法によって測定した。
【0032】 表4 試験菌 MIC (μg/ml) スタフィロコッカス アウレウス FDA209P 0.2 (Staphylococcus aureus FDA209P) スタフィロコッカス アウレウス(MRSA) 0.2 (Staphylococcus aureus (MRSA)) スタフィロコッカス エヒ゜テ゛ルミテ゛ィス IID866 0.2 (Staphylococcus epidermidis IID866) エシェリチア コリ 0-1 25 (Escherichia coli O-1) クレフ゛シェラ ニュウモニエ ATCC10031 3.13 (Klebsiella pneumoniae ATCC10031)
【図面の簡単な説明】
【図1】 YL−02632S物質の紫外部吸収スペ
クトルを示す。
【図2】 YL−02632S物質の赤外部吸収スペ
クトルを示す。
【図3】 YL−02632S物質のHNMRスペ
クトルを示す。
【図4】 YL−02632S物質の13CNMRス
ペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 繁 埼玉県鴻巣市富士見町1−25 (72)発明者 永井 浩二 東京都板橋区蓮根3−16−1 山之内製薬 株式会社蓮根寮 (72)発明者 鈴木 康人 東京都台東区柳橋1−12−5 (72)発明者 山口 洋司 埼玉県大宮市奈良町136−51 10−205 (72)発明者 柴▲崎▼ 充至 東京都板橋区蓮根3−16−1 山之内製薬 株式会社蓮根寮 (72)発明者 鷲崎 清司 埼玉県上尾市富士見1−11−30 (72)発明者 徳永 達祐 茨城県取手市井野台2−5−1−702 (72)発明者 ブッド ルマナウ インドネシア ジャカルタ ジャカルタ セラタン アールティー004 アールヴィ ー006 カリバタ インダー ブロック ディー18 (72)発明者 ラトナ ムルニ ランティアトモジョ インドネシア ジャカルタ ジャカルタ 11510 アールティー008 アールヴィー 009 コンプレックス グリーンヴィル ブロック オー ナンバー 12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記構造式で示される新規YL−0263
    2S物質又はその塩。 【化1】
  2. 【請求項2】アルカリゲネス(Alcaligene
    s)属に属し,請求項1記載の新規抗菌物質YL−02
    632S物質生産菌を培養し,培養物中に該新規抗菌物
    質YL−02632S物質又はその塩を生産し,蓄積さ
    せ,培養物から生成蓄積した新規目的化合物を採取する
    ことを特徴とする新規YL−02632S物質又はその
    塩の製造法。
  3. 【請求項3】アルカリゲネス(Alcaligene
    s)属に属する菌株が,アルカリゲネス(Alcali
    genes) エス・ピーYL−02632S(微工研
    菌寄第12694号)株である請求項2記載の製造法。
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