JPH072821A - 新規抗生物質及びその製造法 - Google Patents

新規抗生物質及びその製造法

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JPH072821A
JPH072821A JP17108193A JP17108193A JPH072821A JP H072821 A JPH072821 A JP H072821A JP 17108193 A JP17108193 A JP 17108193A JP 17108193 A JP17108193 A JP 17108193A JP H072821 A JPH072821 A JP H072821A
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JP
Japan
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antibiotic
substance
culture
micromonospora
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JP17108193A
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English (en)
Inventor
Takeo Sugawara
武雄 菅原
Mitsuji Shibazaki
充至 柴崎
Yasuyo Shimizu
靖代 清水
Toshio Sasaki
敏雄 佐々木
Yoshimitsu Imai
美光 今井
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Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Yamanouchi Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 下式(I) で示されるY−03559J−A物質又は下式(II) で示されるY−03559J−B物質からなる抗生物質
又はその製薬学的に許容される塩、及びミクロモノスポ
ラ属の菌を培養して培養液中から目的物を採取すること
よりなる式(I)又は式(II)の抗生物質の製造方法。 【効果】 抗菌活性,特に抗MRSA活性を有し,医薬
に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は医薬,殊にメチシリン耐
性黄色ブドウ状球菌(MRSA)を含む抗黄色ブドウ状
球菌に有用な新規抗生物質及び発酵法による該抗生物質
の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,微生物が生産する種々の抗生物質
にはペニシリン,セファロスポリン,カルバペネム等の
βラクタム系抗生物質,エリスロマイシン,ジョサマイ
シン,ロキタマイシン等のマクロライド系抗生物質,カ
ナマイシン,ゲンタマイシン,トブラマイシン等のアミ
ノグリコシド系抗生物質などが知られている。これらの
抗生物質及びそれらを化学合成的手法により改良した化
合物の中には,臨床上非常に有用な抗生物質として利用
されているものが多々ある。しかし近年,これらの既知
抗生物質の濫用によって出現する耐性菌,中でも特に高
い耐性度を示すグラム陽性菌であるメチシリン耐性黄色
ブドウ状球菌(以下MRSAと略記する。)が臨床の場
において非常に多く出現し,社会的に深刻な問題となっ
ている。
【0003】MRSAはメチシリンはもとより,ペニシ
リン系抗生物質,セフェム系抗生物質,アミノ糖系抗生
物質など複数の抗生物質にも同時に耐性を示し,第三世
代のセフェム系抗生物質が使用され始めた1980年代
から顕著な増加が認められ,現在では院内感染症の主た
る原因とされている。MRSAが院内感染症の起因菌と
なった主な原因の一つは,種々の感染症の治療に際し,
広域な抗菌スペクトルを有する抗生物質が高頻度で使用
されたためであると考えられている。即ち,広域スペク
トルの抗生物質の使用は,種々の感染菌に対し有効であ
った反面,上記の如く,多剤耐性菌であるMRSAの出
現を招いたものである。
【0004】従って現在では,新たなる耐性菌を生じさ
せないよう,夫々の感染症の起因菌を特定し,これに対
し有効であり且つ可能な限り狭域な抗菌スペクトルを有
する抗生物質を使用することも注目されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の記載から明らか
な如く,MRSAをはじめとする多剤耐性のグラム陽性
菌に対する優れた抗菌作用を有する新規抗生物質の創製
は,医療上の重大な課題である。このような背景におい
て,本発明者らは天然に存在する多くの微生物が生産す
る物質について研究を行ったところ,ミクロモノスポラ
属に属し,種々のグラム陽性菌に対して抗菌活性を有す
る物質を生産する能力を有する微生物を見い出し,この
微生物を培地に培養することによって,同培地中に抗菌
作用を有する新規抗グラム陽性菌抗生物質を生産させ,
この物質を単離し,本発明を完成した。また本発明者等
は,本発明の新規抗生物質がMRSAを含むグラム陽性
菌,特にMRSA等を含む Staphylococcus属に対して
優れた抗菌活性を有し,かつ新規な化学構造を有する化
合物であることを発見した。従って,本発明の目的は,
有用な抗菌活性を有する新規抗生物質を提供するもので
ある。また,本発明の別の目的は,新規抗生物質を得る
ための新規な製造法をも提供するものであり,さらに上
記抗生物質を生産する新規微生物を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】すなわち,本発明は下式(I)
【0008】
【化3】
【0009】で示されるY−03559J−A物質又は
下式(II)
【0010】
【化4】
【0011】で示されるY−03559J−B物質から
なる抗生物質又はその製薬学的に許容される塩に関す
る。
【0012】また本発明はミクロモノスポラ(Micromon
ospora)属に属するY−03559J−A物質及びY−
03559J−B物質生産菌を培養し,培養物中に上記
Y−03559J−A物質及びY−03559J−B物
質を蓄積させ,培養物からこれらの物質を単離採取する
ことを特徴とするY−03559J−A物質及びY−0
3559J−B物質の製造法に関する。本発明の新規抗
生物質化合物は,Y−03559J−A物質及びY−0
3559J−B物質生産菌を培養し,培養物中に該抗生
物質を生産蓄積させ,培養物中から該抗生物質を採取す
ることによって製造することができる。また,本発明の
抗生物質は場合により塩を形成する。本発明には,本発
明の抗生物質の塩も含まれる。このような塩としては薬
理学上許容される塩が好適であり,具体的には例えば,
ナトリウム塩,カリウム塩等のアルカリ金属塩,カルシ
ウム塩等のアルカリ金属塩,カルシウム塩,マグネシウ
ム塩等のアルカリ土類金属塩,アンモニウム塩,トリエ
チルアミン塩等の有機アミンとの塩等が挙げられる。ま
た,本発明の抗生物質は分子中に不斉炭素を有すること
から,光学異性体等各種の異性体が存在する。本発明の
有効成分は,これらの異性体の分離されたもの及びその
混合物であってもよい。本発明の新規な抗生物質である
Y−03559J−A物質及びY−03559J−B物
質を生産する菌株として例えば,埼玉県秩父市で採取し
た土壌から分離した微生物ミクロモノスポラ エスピー
Micromonospora sp.)Y−03559J株を挙げるこ
とができる。以下,この菌学的性状を説明する。
【0013】ミクロモノスポラ エスピー(Micromonos
pora sp.)Y−03559J株の微生物学的性質; 1.形態 本菌株はオートミール寒天培地,スターチ・無機塩寒天
培地,栄養寒天培地で良く生育し,チロシン寒天培地,
リンゴ酸石灰寒天培地では生育しない。基生菌糸の色調
は,にぶだいだいから茶紫色を呈する。気菌糸は形成さ
れず,スターチ・無機塩寒天培地に偽気菌糸がかすかに
形成される。基生菌糸から分岐した胞子柄上に1個の胞
子が形成される。液体培養で,基生菌糸の断片化は見ら
れない。電子顕微鏡による観察では,胞子の形状はほぼ
球状,大きさは0.6〜1.0μm×0.6〜1.0μ
mで,その表面はいぼ状である。胞子箕,運動性胞子,
菌核等の特殊な器官は観察されない。 2.各種寒天培地上の性状 各種寒天培地上の性状は,以下に示すとおりである。特
に記載しないかぎり,27℃で21日間培養し,常法に
したがって観察したものである。色調の記載については
色の標準(日本色彩研究所)によった。
【0014】
【表1】
【0015】 3.生理的性状 1)生育温度範囲 15〜40℃ 至適生育温度 27〜37℃ 2)ゼラチンの液化 単純ゼラチン(20℃) 陰性 グルコース・ペプトンゼラチン(27℃) 陰性 3)脱脂牛乳の凝固 陰性 〃 のペプトン化 陰性 4)硝酸還元作用 陽性 5)スターチの加水分解性 陰性 6)メラニン様色素の生成 チロシン寒天培地 陰性 ペプトン・イースト・鉄寒天培地 陰性 (注)生育温度は各温度(5,10,15,20,24,27,32,37,40,
45,50℃)で7−21日までの観察結果,それ以外は特
に指摘のないかぎり,27℃で2週間後の観察結果を示
す。
【0016】4.炭素源の資化性
【0017】
【表2】
【0018】5.菌体成分の化学分析 LECHVALIER らの方法(LECHVALIER,MP.et al;PP277-23
8 in DIETZ,A et al ed.,Actinomycete Taxonomy,SIM S
pecial publication No.6,1980)に従い本菌株の酸加水
分解物の分析を行った結果,meso−ジアミノピメリ
ン酸と3−OH−ジアミノピメリン酸が検出された(細
胞壁タイプII)。主要な菌体メナキノンは,MK−10
(H4 )であった。全菌体糖パターンはアラビノース,
キシロースのD型であった。以上よりY−03559J
株の性状を要約すると,色調は,基生菌糸がにぶだいだ
いから茶紫色で,偽気菌糸がかすかに着生し,白から淡
灰色を呈する。基生菌糸からのびた胞子柄上に1個の胞
子を作り,基生菌糸は断片化しない。細胞壁タイプは I
I,全菌体糖パターンはD型,主要なメナキノンはMK
−10(H4)である。上記諸性状を有する菌種を各種
文献(Bergey's manual of Systematic Bacteriology v
ol.4,1989.等)により,本菌株はミクロモノスポラ(Mi
cromonospora)属に属する菌株と考えられ,ミクロモノ
スポラ エスピー(Micromonospora sp.)Y−0355
9Jと命名した。本菌株は通産省工業技術院生命工学工
業技術研究所に受託番号 FERM P−13677と
して寄託されている。
【0019】(製造法)本発明の新規抗生物質の製造法
を実施するにあたり,該抗生物質の生産株ミクロモノス
ポラ エスピー Y−03559J株を栄養源を含有す
る培地に接種し,好気的に発育させることにより本発明
の新規抗生物質を含む培養物が得られる。培養に用いら
れる培地は,使用される微生物が生育可能な培地であれ
ばよく,合成培地,半合成培地あるいは天然培地が用い
られる。培地に添加する栄養物としては,細菌の栄養源
として公知のものを使用すればよい。例えば市販されて
いるペプトン,肉エキス,コーン・スティーブリカー,
綿実粉,落花生粉,大豆粉,酵母エキス,小麦胚芽,カ
ゼインの水解物,魚粉,硝酸ソーダー,硝酸アンモニウ
ム等の無機または有機の窒素源,市販されている糖蜜,
グルコース,マルトース,フラクトース,スクロース,
マンニトール,グリセリン,ポテトスターチ,コーンス
ターチ,デキストリン,可溶性澱粉等の炭水化物あるい
は脂肪等の炭素源が使用できる。また金属塩として,N
a,K,Mg,Ca,Zn,Fe,Mn,Co,Cu等
の硫酸塩,塩酸塩,硝酸塩,燐酸塩,炭酸塩等が必要に
応じて添加される。更に必要に応じてバリン,ロイシ
ン,イソロイシン,フェニルアラニン,トリプトファ
ン,メチオニン,リジン,アルギニン,グルタミン酸,
アスパラギン酸等のアミノ酸類や,ビタミン,オレイン
酸メチル,ラード油,シリコン油,界面活性剤等の抗生
物質生産促進物質または消泡剤が適宜使用される。これ
らのもの以外でも,Y−03559J−A及びB物質生
産菌が利用し,本発明の新規Y−03559J−A及び
B物質の生産に役立つものであればいずれの添加物も使
用することができる。培養法としては,一般の抗生物質
の生産方法と同様に行えばよく,その培養方法は固体培
養でも液体培養でもよい。液体培養の場合は静置培養,
振盪培養,撹拌培養のいずれを実施してもよいが,特に
通気撹拌培養が好ましい。培養条件として,培養温度は
生産菌が発育し,本発明の抗生物質を生産する温度,す
なわち15℃〜37℃の範囲で適宜変更できるが,およ
そ27℃〜32℃が好ましい。培地のpHは4〜9の範
囲で適宜変更できるがpH5〜8が好ましい。培養時間
は種々の条件によって異なり,10時間〜168時間で
あるが,通常24時間〜120時間程度で培養液中に蓄
積される本発明の抗生物質が最高力価に達する。
【0020】培養物から目的とする本発明の抗生物質を
採取するには,微生物の生産する代謝産物に用いる通常
の抽出,分離,精製の手段が適宜利用できる。培養物中
の該抗生物質は培養物をそのままか,または遠心分離あ
るいは培養物に濾過助剤を加え濾過して得られた培養濾
液に,酢酸エチル,クロロホルム,ベンゼン,トルエン
等の水と混和しない有機溶媒を加えて抽出する。また培
養濾液を適宜の担体に接触させ,濾液中の該抗生物質を
吸着させ,ついで適当な溶媒で溶出することにより該抗
生物質を抽出することができる。例えば,アンバーライ
トXAD−2,ダイヤイオンHP−20,ダイヤイオン
CHP−20,またはダイヤイオンSP−900のごと
き多孔性吸着樹脂に接触させて該抗生物質を吸着させ
る。ついでメタノール,エタノール,アセトン,アセト
ニトリル等の有機溶剤と水の混合液を用いて該抗生物質
を溶出させる。このときの溶媒の混合比は,該抗生物質
が最も効率よく溶出しうる値にすることはいうまでもな
い。すなわち,有機溶媒比率を低濃度より段階的または
連続的に高濃度まで上げていくことにより,該抗生物質
の含まれる比率のより高い画分を得ることができる。酢
酸エチル,クロロホルム等の有機溶媒で抽出する場合に
は,培養濾液にこれらの溶媒を加え,よく振盪し,該抗
生物質を抽出する。つぎに,上記の各操作法を用いて得
た該抗生物質含有画分は,シリカゲル系ODS逆相担
体,セファデクスLH−20,トーヨーパールHW40
SF等を用いたカラムクロマトグラフィーや遠心液々分
配クロマトグラフィー等の常法により,さらに純粋に精
製することがききる。
【0021】
【実施例】以下実施例により,本発明の抗生物質の製造
方法につき,更に詳細に説明する。 実施例1 Y−03559J−A物質 グルコース1%,ポテトスターチ2%,酵母エキス0.
5%,ポリペプトン0.3%,炭酸カルシウム0.4%
を含む種培地(pH7.0)を500mlの三角フラス
コに100ml分注し,121℃で20分滅菌した。ベ
ネット寒天上に良く生育させたミクロモノスポラ エス
ピー Y−03559J株の菌体をかきとって接種し,
28℃で48時間振盪培養した。同上の培地に2%の割
合で培養液を植菌し,28℃で48時間振盪培養し,さ
らに同上の培地18lを含むファーメンターに2%植菌
し28℃で72時間通気撹拌培養し種培養液とした。次
に生産培地として可溶性澱粉3%,カゼイン0.06
%,K2 HPO4 0.1%,KNO3 0.3%,NaC
l0.3%,MgSO4 ・7H2 O0.4%,CaCO
3 0.1%,FeSO4 ・7H2 O0.012%からな
る培地(pH7.0)240lを滅菌し,上記種培養液
を2%の割合で植菌し28℃で72時間通気撹拌培養し
た。
【0022】このようにして培養した240lの培養液
を濾過後,この濾液をダイヤイオンHP−20(三菱化
成工業社製)に吸着させ,水,水/アセトン(8:2)
溶液で順次洗浄後,活性物質を水/アセトン(2:8)
溶液で溶出した。この溶出液を減圧下で7lまで濃縮後
pH5.5に調整し,酢酸エチル(7l×2)で抽出後
減圧下で濃縮し,抽出物19gを得た。この抽出物を,
ヘキサン/トルエン/メタノール/水(3:3:4:
2)溶液によって二層分配し,下層を減圧濃縮後酢酸エ
チルによって抽出し,抽出物10gを得た。この抽出物
をコスモシル140C18−OPN及びコスモシル75C
18−OPN(ナカライテスク社製)を用いるフラッシュ
クロマトグラフィーに順次付し,メタノール/水(7:
3−9:1)で溶出した活性画分4.5gを得た。この
画分を,ヘキサン/酢酸エチル/メタノール/水(1:
1:1:1)溶液を用いる遠心液々分配クロマトグラフ
ィーによって分画し,得られた活性画分をさらにコスモ
シル14018−OPN及びコスモシル75C18−PRE
P(ナカライテスク社製)に順次付し,それぞれアセト
ニトリル/水(55:45)及びアセトニトリル/水
(1:1)で展開した。得られた活性画分は,ヘキサン
/ジクロロメタン/メタノール/水(5:1:1:1)
を用いる遠心液々分配クロマトグラフィーに付し,Y−
03559J−A物質を3.2mg単離した。上記抽
出,分離,精製されたY−03559J−A物質は,下
記の物理化学的性質を有する。 (1)分子量 311 (2)FABMSスペクトル(negative) m/z 3
10(M−H) (3)分子式 C1729NO4 (4)IRスペクトル(フィルム法)2140,171
0cm-1 (5)1H NMRスペクトル(CD3OD,500MH
z):Y−03559J−A物質の1 H−NMRスペク
トルは後記図1に示すごとくである。 上記の物理化学的諸性質から,Y−03559J−A物
質の構造式は下記のように決定された。
【0023】
【化5】
【0024】実施例2 Y−03559J−B 物質 グルコース1%,ポテトスターチ2%,酵母エキス0.
5%,ポリペプトン0.5%,炭酸カルシウム0.4%
を含む種培地(pH7.0)を500mlの三角フラス
コに100ml分注し,121℃で20分滅菌した。ベ
ネット寒天上に良く生育させたミクロモノスポラ エス
ピー Y−03559J株の菌体をかきとって接種し,
28℃で48時間振盪培養した。同上の培地に2%の割
合で培養液を植菌し,28℃で48時間振盪培養し,さ
らに同上の培地18l含むファーメンターに2%植菌し
28℃で72時間通気撹拌培養し種培養液とした。次に
生産培地とした可溶性澱粉3%,カゼイン0.06%,
2HPO40.4%,KNO30.4%,NaCl0.
4%,MgSO4・7H2O0.1%,CaCO30.0
4%,FeSO4・7H2O0.02%からなる培地(p
H7.0)330lを滅菌し,上記種培養液を2%の割
合で植菌し28℃で72時間通気撹拌培養した。
【0025】このようにして培養した330lの培養液
を濾過後,この濾液をダイヤイオンHP−20(三菱化
成工業社製)に吸着させ,水,水/アセトン(8:2)
溶液で順次洗浄後,活性物質を水/アセトン(2:8)
溶液で溶出した。この溶出液を減圧下で濃縮後pH7.
0に調整し,酢酸エチル(15l×3)で抽出後減圧下
で濃縮し,さらにヘキサンとメタノール/水(9:1)
溶液で二層分配を行い,下層を減圧下で濃縮することに
より活性抽出物34gを得た。この抽出物をコスモシル
75C18-OPN(ナカライテスク社製)を用いるフラ
ッシュクロマトグラフィーに付し,メタノール/水
(8:2−9:1)で溶出する画分をさらにセファデク
スLH−20(ファルマシア社製)上メタノールで展開
した。活性画分はさらにキーセルゲル60(メルク社
製)を用いるフラッシュクロマトグラフィーにより分画
し,クロロホルム/メタノール(9:1−1:1)で溶
出した画分をトーヨーパールHW40SF(トーソー社
製)に付し,クロロホルム/メタノール(1:1)によ
りクロマトグラフィーを行った。得られた活性画分はコ
スモシル75C18-OPN(ナカライテスク社製)に付
し,アセトニトリル/水(6:4)で溶出した画分をコ
スモシル5C18-AR(ナカライテスク社製),アセト
ニトリル/水(45:55)を用いるHPLCにより精
製し,Y−03559J−B物質を2.3mg得た。上
記抽出,分離,精製されたY−03559J−B物質は
下記の物理化学的性質を有する。 (1)分子量 284 (2)FABMSスペクトル(negative)m/z 28
3(M−H-) (3)分子式(C16284) (4)IRスペクトル(フィルム法)1720cm-1 (5)1H NMRスペクトル(CD3OD,500MH
z):Y−03559J−B物質の1H−NMRスペク
トルは,後記図2に示すごとくである。 上記の物理学的諸性質から,Y−03559J−B物質
の構造式は下記のように決定された。
【0026】
【化6】
【0027】
【発明の効果】本発明は新規且つ有用な微生物を提供す
ると共に,本発明の新規な抗生物質はグラム陽性菌,特
に黄色ブドウ球菌に強い活性を有し,中でもMRSAな
ど多剤耐性のブドウ球菌に対して優れた抗菌作用を示
す。本発明の抗生物質(Y−03559J−A及びB物
質)の抗菌活性は以下の方法により測定された。
【0028】(試験管内における抗菌活性)Y−035
59J−A及びB物質の種々の微生物に対する抗菌活性
を,ペーパーディスク(直径8mm)法によって測定し
た。尚,Y−03559J−A及びB物質は,100μ
g/mlのメタノール溶液をペーパーディスクに染み込
ませ測定に供した。下表に測定結果を示す。
【0029】
【表3】
【0030】上記の結果から明らかな様に,本発明の抗
生物質であるY−03559J−A及びB物質は種々の
グラム陽性菌,特に前記MRSAに該当するStaphyloco
ccus属に属する微生物に対して優れた抗菌活性を有する
ことが確認された。更にY−03559J−A物質は,
その他のグラム陽性菌やグラム陰性菌と比較して,MR
SAを含む Staphylococcus 属に属する微生物に対し
優れた抗菌活性を有することが認められ,このことより
MRSA等に対する狭域スペクトルの抗生物質として有
用であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Y−03559J−A物質の1H−NMRス
ペクトルを示す。
【図2】 Y−03559J−B物質の1H−NMRス
ペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:645) (72)発明者 佐々木 敏雄 埼玉県浦和市文蔵5−22−12−504 (72)発明者 今井 美光 東京都大田区田園調布3−21−12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式(I) 【化1】 で示されるY−03559J−A物質又は下式(II) 【化2】 で示されるY−03559J−B物質からなる抗生物質
    又はその製薬学的に許容される塩
  2. 【請求項2】 ミクロモノスポラ(Micromonospora)属
    に属し,請求項1記載の抗生物質を生産する能力を有す
    る微生物を培地に培養し,培養物中に該抗生物質を生産
    し,蓄積させ,培養物から生成蓄積した該抗生物質を採
    取することを特徴とする該抗生物質の製造法
  3. 【請求項3】 ミクロモノスポラ(Micromonospora)属
    に属する菌株がミクロモノスポラ エスピー(Micromon
    ospora sp.)Y−03559Jである請求項2記載の
    製造法
JP17108193A 1993-06-17 1993-06-17 新規抗生物質及びその製造法 Pending JPH072821A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002034247A3 (en) * 2000-10-23 2003-01-16 Arizona Disease Control Res Co Anticancer agents based on regulation of protein prenylation

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