JP2849857B2 - 高誘電率系磁器組成物 - Google Patents

高誘電率系磁器組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、チタンジルコン酸バリウムBa(Ti1-YZrY
O3もしくはチタンジルコン酸バリウムカルシウム(Ba
1-XCaX)(Ti1-YZrY)O3を主成分とし、酸化亜鉛、マン
ガン化合物を添加し、さらにプラオセジウム化合物、テ
ルビウム化合物、ユウロピウム化合物、カドリウム化合
物の少なくとも一種を添加して得られる高誘電率系磁器
組成物に関するものである。
〔従来の技術〕
高誘電率系磁器組成物は、積層セラミックコンデンサ
等の材料として使用される。積層セラミックコンデンサ
は、内部電極が形成された高誘電率系磁器組成物の生シ
ートを所定容量になるように複数枚積層した後、一体的
に焼成して構成されている。
このような積層セラミックコンデンサに使用される高
誘電率系磁器組成物は、比誘電率が10000以上と高いこ
と及び焼成温度が、例えば1200℃未満であることが重要
と成ってくる。即ち、+25℃における比誘電率が10000
以上にすることにより、対向内部電極間の高誘電率系磁
器組成物生シートの厚みや対向面積の極小化が可能とな
り、積層セラミックコンデンサの小型化が達成できる。
また、焼成温度が1200℃未満にすることにより、対向
内部電極の材料の選択幅が増え、例えば効果なPd100%
の材料から安価なPd−Agの使用が可能となる。
尚、上述していないが、高誘電率系磁器組成物として
の諸特性、誘電損失tanδ(1.0%以下)、密度、絶縁抵
抗(1×105MΩ以下)を充分に考慮しなくてはならな
い。
従来、チタン酸バリウムカルシウム(Ba1-XCaX)(Ti
1-YZrY)O3を主成分とした高誘電率系磁器組成物に、所
定量のチタン酸鉛(PbTiO3)、ゲルマン酸鉛(Pb5Ge3O
11)及びチタン酸ビスマス(BiTi2O7)を添加した高誘
電率系磁器組成物が知られていた(特開昭59−25104号
公報)。
この高誘電率系磁器組成物によれば、焼成温度が1200
℃以下とすることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上述のチタン酸バリウムカルシウム(Ba1-XG
aX)(Ti1-YZrY)O3に所定量のチタン酸鉛、ゲルマン酸
鉛及びチタン酸ビスマスを添加した高誘電率系磁器組成
物は、焼成温度が1200℃以下とすることができるため、
例えば、対向内部電極に安価な銀−パラジウム(Ag−P
d:Ag/Pd=70/30〜60/40)を使用することができるもも
の、比誘電率が10000未満であるため、小型・大容量の
積層セラミックコンデンサの達成が困難であった。
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであ
り、具体的には、高い比誘電率が得られ、且つ焼成温度
が比較的低く、さらには誘電損失、密度、絶縁抵抗など
の特性にも優れた高誘電率系磁器組成物を提供すること
にある。
〔課題を解決するための手段〕
上述の目的を達成するために行った具体的な手段は、
複合酸化物(Ba1-XCaX)(Ti1-YZrY)O3と表した時、モ
ル分率X、Yがそれぞれ、0≦X<0.1、0.1<Y<0.16
であり、さらに、(Ba1-XCaX)(Ti1-YZrY)O3の100重
量部に対して、酸化亜鉛をZnO換算で0.8〜2.0重量%、
マンガン化合物をMnO2換算で0.1〜0.5重量%の範囲で含
有し、さらにプラオセジウム化合物、テルビウム化合
物、ユウロピウム化合物、ガドリウム化合物から選ばれ
る少なくとも一種が、Pr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3
算で0.8〜1.8重量%含有して成る高誘電率系磁器組成物
である。
さらに好ましくは、複合酸化物(Ba1-XCaX)(Ti1-YZ
rY)O3の平均粒径が1μm未満とした高誘電率系磁器組
成物である。
〔作用〕 以上のように本発明によれば、比誘電率が10000以上
と高く、さらに焼成温度が、1200℃未満となり、また、
その他の特性も良好な高誘電率系磁器組成物が達成さ
れ、対向内部電極間の高誘電率系磁器組成物生シートの
厚みや対向面積の極小化が可能となり、対向内部電極に
1200℃未満の焼成可能な安価な材料が使用できる積層セ
ラミックコンデンサが可能となる。
高純度(99.0%以上)複合酸化物チタンジルコン酸バ
リウムカルシウム(Ba1-XCaX)(Ti1-YZrY)O3と表した
時、モル分率が0≦X<0.1、0.1<Y<0.16となるよう
に設定される。この範囲から外れる、即ち、x≧0.1、
0.1≧Y、Y≧0.16であると、+25℃における比誘電率
εが10000未満と小さくなり、小型・大容量の積層セラ
ミックコンデンサが達成できない。
添加する酸化亜鉛(ZnO)は、高誘電率系磁器組成物
の焼成温度を調整するものであり、ZnOが0.8〜2.0重量
%の範囲外では、焼成温度が1200℃を越え、焼成後の磁
器密度が5.6g/cm3以下となってしまう。
添加するマンガン化合物、例えばMnO2は高誘電率系磁
器組成物の誘電損失tanδを改善するものであり、その
添加量が0.1重量%(MnO2に換算して)未満では誘電損
失tanδが2%以上となり、また0.5重量%(MnO2に換算
して)を越えると、絶縁抵抗が大きく低下してしまう。
添加するプラオセジウム化合物、例えばPr6O11、テル
ビウム化合物、例えばTb4O7、ユウロピウム化合物、例
えばEu2O3、ガドリウム化合物、例えばGd2O3から選ばれ
る少なくとも一種は、高誘電率系磁器組成物の絶縁抵抗
を向上させ、比誘電率を上げるものであり、添加量が0.
8重量%(各酸化物に換算して)未満では比誘電率が低
下してしまい、また、1.8重量%(各酸化物に換算し
て)を越えると、絶縁抵抗特性が低下してしまう。これ
らの相互作用により、高比誘電率ε10000以上の高誘電
率系磁器組成物が得られるとともに、また焼成温度が12
00℃未満と工業的にも製造しやすく、且つ対向内部電極
に安価な銀−パラジウム(Ag−Pd:Ag/Pd=70/30〜60/4
0)が使用できる積層セラミックコンデンサなどに使用
できる高誘電率系磁器組成物が達成される。
さらに高誘電率系磁器組成物として基本的な特性であ
る誘電損失tanδが1.0%以下、絶縁抵抗(IR)が1×10
5MΩ以上と充分に満足できる高誘電率系磁器組成物が達
成される。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
チタンジルコン酸バリウムカルシウム(Ba1-XCaX
(Ti1-YZrY)O3〔0≦X<0.1、0.1<Y<0.16〕で表さ
れる複合酸化物を主成分として、この複合酸化物100重
量部に対して、ZnO、マンガン化合物としてMnO2、さら
にプラオセジウム化合物、例えばPr6O11、テルビウム化
合物、例えばTb4O7、ユウロピウム化合物、例えばEu
2O3、ガドリウム化合物、例えばGd2O3から選ばれる少な
くとも1種の化合物の一種の各粉末を表1に示すように
秤量し、ボールミルにて20時間湿式粉砕した後、有機系
粘結剤を添加し、しかる後撹拌、ドクターブレード法で
厚さ30μmのテープ状に成型した。このテープを130mm
×100mmに裁断し、40枚重ね、80℃でホットプレスで積
層体を作成する。
さらに、この積層体の厚さ1mmの板状試料を直径20mm
の円板状に打ち抜き、酸素雰囲気にて1050〜1200℃で2
時間焼成した。さらに両端面に銀ペーストによる電極を
焼きつけ試料とした。
このように形成された試料について、比誘電率ε及び
誘電損失tanδを基準温度25℃、周波数1.0kHz、測定電
圧1.0Vrmsで測定した。また、直流電圧50Vを1分間印加
した時の絶縁抵抗(IR)を測定した。
プラオセジウム化合物、テルビウム化合物、ユウロピ
ウム化合物、ガドリウム化合物から選ばれる少なくとも
一種について、プラオセジウム化合物、例えばPr6O11
用いたものについては、第1表にその結果を示し、テル
ビウム化合物、例えばTb4O7を用いたものについては、
第2表にその結果を示し、ユウロピウム化合物、例えば
Eu2O3を用いたものについては、第3表にその結果を示
し、ガドリウム化合物物、例えばGd2O3を用いたものに
ついては、第4表にその結果を示する。
いずれの第1〜4表において、試料番号に*印を付した
ものは本発明の範囲外である。尚、(Ba1-XCaX)(Ti
1-YZrY)O3のX、Yのモル分率については、表中はモル
%で示した。
そして本発明の範囲の評価として、 比誘電率εは10000以上を良品とした。即ち、比誘電率
εが10000未満では、充分な比誘電率が得れず、これに
より積層セラミックコンデンサの小型化が困難となって
しまう。
また、誘電損失tanδは1.0%以下を良品とした。即
ち、誘電損失tanδが1.0%を越えると、積層セラミック
コンデンサにおいて、誘電損失tanδ不良となり、誘電
体層の薄膜化が困難となる。
さらに密度は5.6g/cm3以上を良品とした。密度が5.6g
/cm3以下ではこの高誘電率系磁器組成物を焼成した時に
充分に焼成されず、1200℃以下という低温焼成が困難と
なることが考えられる。
さらに、絶縁抵抗(IR)は105MΩ以上を良品とした。
試料番号1〜5、41〜45、81〜85、121〜125は高誘電
率系磁器の主成分となるチタンジルコン酸バリウムBa
(Ti1-YZrY)O3のBサイトのモル分率Yについて検討し
た。即ち、Yを0.01〜0.16まで夫々値を変化させた。こ
のときAサイトのXを0とした。また、添加するPr
6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3から選ばれる少なくとも1
種類、ZnO、MnO2の重量%を夫々1.6、1.5及び0.2に固定
した。これは後述の夫々の添加量で本発明の範囲の中心
的な値となるものである。
試料番号1、41、81、121(Y:10モル%)では、焼成
温度が1200℃未満となり、誘電損失tanδ、密度及び絶
縁抵抗が比較的良好な結果となるものの、積層セラミッ
クコンデンサの小型化を大きく左右する比誘電率εが73
00(Pr6O11)、5200(Tb4O7)、5700(Eu2O3)、6200
(Gd2O3)と極めて低くなってしまう。
また、試料番号2〜4、42〜44、82〜84、122〜124
(Y:11〜15モル%)では、比誘電率εが12000〜14000
(Pr6O11)、10200〜10800(Tb4O7)、10500〜12500(E
u2O3)、10200〜10800(Gd2O3)になり、1120℃で焼成
可能な高誘電率系磁器組成物が達成できる。また、誘電
損失tanδ、密度絶縁抵抗ともに良好な値を示す。
さらに、試料番号5、45、85、125(Y:16モル%)で
は、焼成温度が1200℃未満となり、誘電損失tanδ、密
度及び絶縁抵抗が比較的良好な結果となるものの、積層
セラミックコンデンサの小型化に大きく左右する比誘電
率εが8000(Pr6O11)、6000(Tb4O7)、6500(Eu
2O3)、6800(Gd2O3)と極めて低くなってしまう。
従って、本発明においてはチタンジルコン酸バリウム
Ba(Ti1-YZrY)O3のBサイトのモル分率Yは、充分な比
誘電率εを得るために0.01<Y<0.16の範囲がよい。
試料番号6〜11は高誘電率系磁器の主成分となるチタ
ンジルコン酸バリウムBa(Ti1-YZrY)O3に添加するPr6O
11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3の量について検討した。即
ち、Pr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3の添加量を0.7〜1.9
まで値を夫々変化させた。このときAサイトのモル分率
Xを0とした。また、ZnO及びMnO2の添加量を、夫々1.5
及び0.3重量%に固定した。
試料番号6(Pr6O11の添加量:0.7重量%)、試料番号
46(Tb4O7の添加量:0.7重量%)、試料番号86(Eu2O3
添加量:0.7重量%)、試料番号126(Gd2O3の添加量:0.7
重量%)では、絶縁抵抗が1×105MΩと良品の範囲とな
るが、比誘電率εが8200(Pr6O11)、5500(Tb4O7)、5
800(Eu2O3)、8200(Gd2O3)と何れも極めて低く、ま
た焼成温度が1200℃と低温焼成が困難となる。さらに、
誘電損失tanδ及び密度も良好な結果が得られない。
また、試料番号7〜10(Pr6O11の添加量:0.8〜1.8重
量%)では、比誘電率εが12500〜17000となり、誘電損
失tanδが0.72%以下、密度が5.77g/cm3以上、絶縁抵抗
が1×105MΩ以上となる。また、焼成温度が1100〜1160
℃となる。
また、試料番号47〜50(Tb4O7の添加量:0.8〜1.8重量
%)では、比誘電率εが10100〜14100となり、誘電損失
tanδが0.70%以下、密度が5.70g/cm3以上、絶縁抵抗が
1×105MΩ以上となり、焼成温度が1100〜1160℃とな
る。
また、試料番号87〜90(Eu2O3の添加量:0.8〜1.8重量
%)では、比誘電率εが10200〜15000となり、誘電損失
tanδが0.80%以下、密度が5.60g/cm3以上、絶縁抵抗が
1×105MΩ以上となり、焼成温度が1120〜1160℃とな
る。
また、試料番号127〜130(Gd2O3の添加量:0.8〜1.8重
量%)では、比誘電率εが11100〜15100となり、誘電損
失tanδが0.72%以下、密度が5.52g/cm3以上、絶縁抵抗
が1×105MΩ以上となり、焼成温度が1120〜1160℃とな
る。
何れの場合であっても低温焼成が可能で、且つ比誘電
率εが高い値の組成物が達成される。
さらに、試料番号11(Pr6O11の添加量:1.9重量%)、
試料番号51(Tb4O7の添加量:1.9重量%)、試料番号91
(Eu2O3の添加量:1.9重量%)、試料番号131(Gd2O3
添加量:1.9重量%)では、比誘電率ε、焼成温度は良好
な結果が得られるものの、絶縁抵抗が7×103MΩ(Pr6O
11、Tb4O7、Gd2O3)、8×103MΩと(Eu2O3)と2桁ほ
ど低下してしまう。このように2桁も絶縁抵抗値が低下
してしまうと、積層セラミックコンデンサにおいて、一
般的な規格である1×104MΩを満足しなくなる。従っ
て、本発明においてはチタンジルコン酸バリウムBa(Ti
1-YZrY)O3に添加するPr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3
重量は、チタンジルコン酸バリウムBa(Ti1-YZrY)O310
0重量部に対して、0.8〜1.8重量%の範囲がよい。
つぎに、試料番号12〜18、52〜58、92〜98、132〜138
は高誘電率系磁器の主成分となるチタンジルコン酸バリ
ウムBa(Ti1-YZrY)O3に添加するZnOの量について検討
した。即ち、ZnOの添加量を0.7〜2.1まで値を夫々変化
させた。このときAサイトのモル分率Xを0とした。ま
た、Bサイトのモル分率Yを0.13とし、Pr6O11、Tb
4O7、Eu2O3、Gd2O3から選ばれる少なくとも1種の化合
物及びMnO2の添加量を夫々1.4及び0.3重量%として固定
した。
試料番号12、52、92、132(ZnOの添加量:0.7重量%)
では、比誘電率εが8500(Pr6O11)6000(Tb4O7)、680
0(Eu2O3)、7000(Gd2O3)と低く、また焼成温度が120
0℃と低温焼成が困難となる。さらに、誘電損失tanδ、
密度及び絶縁抵抗も良好な結果が得られない。
また、試料番号13〜17、53〜57、93〜97、133〜137
(ZnOの添加量:0.8〜2.0重量%)では、比誘電率εが12
500〜17200(Pr6O11)、10100〜13500(Tb4O7)、10400
〜15000(Eu2O3)、11000〜14500(Gd2O3)となり、誘
電損失tanδ、密度、絶縁抵抗が良好となり、さらに焼
成温度が1120〜1160℃(Pr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd
2O3)となる。即ち、比誘電率εが高い値で、且つ抵抗
焼成が可能な組成物が達成される。
さらに、試料番号18、58、98、138(ZnOの添加量:2.1
重量%)では、比誘電率εが8500(Pr6O11)、6500(Tb
4O7)、6800(Eu2o3)、7500(Gd2O3)と極めて低く、
また焼成温度が1200℃となり、低温焼成が困難となる。
さらに、誘電損失tanδ、密度及び絶縁抵抗も良好な結
果が得られない。
従って、本発明においてはチタンジルコン酸バリウム
Ba(Ti1-YZrY)O3に添加するZnOの重量は、チタンジル
コン酸バリウムBa(Ti1-YZrY)O3100重量部に対して、
0.8〜2.0重量%の範囲とした。
つぎに、試料番号19〜24、59〜64、99〜104、139〜14
4は高誘電率系磁器の主成分となるチタンジルコン酸バ
リウムBa(Ti1-YZrY)O3に添加するMnO2の量について検
討した。即ち、MnO2の添加量を0〜0.6まで値を夫々変
化させた。このときAサイトのモル分率Xを0とした。
また、Bサイトのモル分率Yを0.13とし、Pr6O11、Tb4O
7、Eu2O3、Gd2O3から選ばれる少なくとも1種の化合物
およびZnOの添加量を夫々1.5及び1.6重量%として固定
した。
試料番号19、59、99、139(MnO2の添加量がない)で
は、比誘電率εが16500(Pr6O11)、13500(Tb4O7)、1
4500(Eu2O3)、14000(Eu2O3)となり、また焼成温度
が1140℃となり、実際上低温焼成可能な高誘電率系磁器
組成物が得られるものの、誘電損失tanδが3.2%(Pr6O
11)、2.0%(Tb4O7)、2.5%(Eu2O3)、2.1%(Tb
4O7)と極めて大きいものとなる。これにより、誘電体
層の薄膜化が困難となる。
また、試料番号20〜23、60〜63、100〜103、140〜143
(MnO2の添加量:0.1〜0.5重量%)では、比誘電率εが1
3500〜16000(Pr6O11)、11000〜12300(Tb4O7)、1180
0〜14200(Eu2O3)、11500〜13300(Gd2O3)となり、ま
た焼成温度が1130℃となる。さらに誘電損失tanδはMnO
2の添加量なし(試料番号19、59、99、139)の3.2%(P
r6O11)、2.0%(Tb4O7)、2.5%(Eu2O3)、2.1%(Gd
2O3)に比較して0.30〜0.90(Pr6O11)、0.20〜0.70(T
b4O7)、0.25〜0.90(Eu2O3)、0.25〜0.70(Gd2O3)と
大幅に改善されることになる。こにより、高比誘電率ε
で且つ低温焼成可能で、さらに諸特性も良好な組成物が
達成される。
さらに、試料番号24、64、104、144(MnO2の添加量:
0.6重量%)では、比誘電率εが13000(Pr6O11)、1020
0(Tb4O7)、10400(Eu2O3)、11000(Gd2O3)となり、
また焼成温度が1130℃となる。低温焼成でかつ高い比誘
電率との高誘電率系磁器組成物が可能となるものの、そ
の他の諸特性、即ち誘電損失tanδが1.8%(Pr6O11)、
1.5%(Tb4O7)、1.8%(Eu2O3)、1.6%(Gd2O3)とな
り、絶縁抵抗が7×103MΩ(Pr6O11)、6×103MΩ(Tb
4O7)、8×103MΩ(Eu2O3)、6×103MΩ(Eu2O3)程
度であると積層セラミックコンデンサにおいて絶縁抵抗
の一般的な規格を満足しなくなる。
従って、本発明においてはチタンジルコン酸バリウム
Ba(Ti1-YZrY)O3に添加するMnO2の重量は、チタンジル
コン酸バリウムBa(Ti1-YZrY)O3100重量部に対して、
0.1〜0.5重量%の範囲とした。
つぎに、試料番号25〜30、65〜70、105〜110、145〜1
50において、高誘電率系磁器の主成分となるチタンジル
コン酸バリウムBa(Ti1-YZrY)O3の平均粒径を検討し
た。即ち、平均粒径を0.1〜1.0μmに夫々変化させた。
このときAサイトのモル分率Xを0とした。また、Bサ
イトのモル分率Yを0.13とし、Pr6O11、Tb4O7、Eu2O3
Gd2O3から選ばれる少なくとも1種の化合物、ZnO及びMn
O2の添加量を夫々1.5、1.5及び0.3重量%として固定し
た。
試料番号25〜29、65〜69、105〜109、145〜149(平均
粒径が0.1〜0.9μm)では、比誘電率εが13500〜17000
(Pr6O11)、10300〜13800(Tb4O7)、10800〜15800(E
u2O3)12000〜14800(Gd2O3)となり、また焼成温度も1
080〜1200℃となる。これにより、高い比誘電率で且つ
低温焼成可能な高誘電率系磁器組成物が得られる。
これに対して、試料番号30、70、110、150(平均粒径
が1.0μm)では、比誘電率εが16000(Pr6O11)、1400
0(Tb4O7)、15000(Eu2O3)、14500(Gd2O3)と良好な
結果が得られるものの、焼成温度が1200℃を越え、1250
℃となってしまう。即ち、平均粒径が大きくなるにつれ
て、焼成温度が高くなるとともに、比誘電率εが平均粒
径0.9μm(試料番号28、68、108、148)をピークに減
少する。
従って、本発明においてはチタンジルコン酸バリウム
Ba(Ti1-YZrY)O3の平均粒径を0.9μm以下とすること
が、低温焼成の高誘電率系磁器組成物として重要にな
る。
上述の実施例によれば、チタンジルコン酸バリウムBa
(Ti1-YZrY)O3を主成分、即ちチタンジルコン酸バリウ
ムカルシウム(Ba1-X,CaX)(Ti1-YZrY)O3におけるA
サイトのモル分率にXが0であった。
そこで、チタンジルコン酸バリウムカルシウム(Ba
1-X,CaX)(Ti1-YZrY)O3におけるAサイトのモル分率
Xを0〜0.11の範囲で変化させた。尚、(Ba1-X,CaX
(Ti1-YZrY)O3の粒径は0.2μm、Bサイトのモル分率
Yを0.14とし、Pr6O−Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3から選ばれ
る少なくとも1種の化合物、ZnO及びMnO2の添加量を夫
々1.5、1.5及び0.3重量%として固定した。
試料番号31、71、111、151はチタンジルコン酸バリウ
ムカルシウム(Ba1-X,CaX)(Ti1-YZrY)O3におけるA
サイトのモル分率Xを0に設定した。その結果、比誘電
率εが15500(Pr6O11)、13200(Tb4O7)、13900(Eu2O
3)、13800(Gd2O3)となり、誘電損失tanδ、密度、絶
縁抵抗などの高誘電率系磁器組成物の諸特性を満足す
る。また、焼成温度が1120℃と低温焼成も可能なものと
なる。
試料番号32〜36、72〜76、112〜116、152〜156(X:1
〜9モル%)では、比誘電率εが11500〜15000(Pr
6O11)、10100〜13000(Tb4O7)、10200〜13400(Eu
2O3)、10500〜13500(Gd2O3)となり、また、焼成温度
が1120〜1150℃となる。即ち、低温で焼成が可能な高誘
電率系磁器組成物が達成される。
また、誘電損失tanδ、密度、絶縁抵抗IRも満足できる
特性が得られる。
これに対して、試料番号37〜38、77〜78、117〜118、
157〜158(X:0.10、0.11〔10モル%、11モル%〕)で
は、比誘電率εが9800、8500(Pr6O11)、8000、6500
(Tb4O7)、8900、7000(Eu2O3)、9000、7500(Gd
2O3)となり、高誘電率の磁器組成物が達成できない。
従って、チタンジルコン酸バリウムカルシウム(Ba
1-X,CaX)(Ti1-YZrY)O3におけるAサイトのモル分率
Xは0〜0.1の範囲となる。即ち、チタンジルコン酸バ
リウムBa(Ti1-YZrY)O3において、Baに対するモル分率
として、10モル%を限度としてCaが含有しているチタン
ジルコン酸バリウムカルシウムの酸化物を用いることが
できる。
以上のように、本発明によれば、10000以上の比誘電
率εを有し、且つ焼成温度1200℃以下となり、高誘電率
系磁器組成物の諸特性、誘電損失tanδが1.0%以下、絶
縁抵抗(IR)が1×105MΩ以上、密度が5.6g/cm3以上の
高誘電率系磁器組成物を得るには、複合酸化物(Ba1-xC
ax)(Ti1-YZrY)O3と表した時、モル分率で0≦x<0.
1、0.1<Y<0.16であり、さらに、(Ba1-xCax)(Ti
1-YZrY)O3の100重量部に対して、酸化亜鉛をZnO換算で
0.8〜2.0重量%、マンガン化合物をMnO2換算で0.1〜0.5
重量%、さらにプラオセジウム化合物、テルビウム化合
物、ユウロピウム化合物、ガドリウム化合物から選ばれ
る少なくとも1種の化合物をPr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd
2O3換算で0.8〜1.8重量%を含有して成る高誘電率系磁
器組成物となる。
最後に、添加するPr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3から
選ばれる少なくとも1種、ZnO及びMnO2の添加量が全て
範囲に満たない、すなわち0.7、0.7、及び0重量%の場
合(試料番号39、79、119、159)、比誘電率εが6500
(Pr6O11)、4000(Tb4O7)、4200(Eu2O3)、5000(Gd
2O3)、焼成温度が1220℃となり、誘電損失tanδが2.5
〜3.5%、絶縁抵抗IR、密度までも評価範囲外となって
しまい、実質的実用不可能に近い高誘電率系磁器組成物
となってしまう。
逆に添加するPr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3から選ば
れる少なくとも1種、ZnO及びMnO2の添加量が全て範囲
を越える、即ち1.9、2.1、及び0.6重量%の場合(試料
番号40、80、120、160)、比誘電率εが9000(Pr
6O11)、7000(Tb4O7)、7300(Eu2O3)、7500(Gd
2O3)、誘電損失tanδが1.00%(Pr6O11、Tb4O7)、1.1
0(Eu2O3)、絶縁抵抗IR、密度までも評価範囲外となっ
てしまい、実質的実用不可能に近い高誘電率系磁器組成
物となってしまう。
〔発明の効果〕
以上のように、本発明によれば、複合酸化物(Ba1-xC
ax)(Ti1-YZrY)O3と表した時、モル分率で0≦x<0.
1、0.1<Y<0.16であり、さらに、(Ba1-xCax)(Ti
1-YZyY)O3の100重量部に対して、酸化亜鉛をZnO換算で
0.8〜2.0重量%、マンガン化合物をMnO2換算で0.1〜0.5
重量%、プラオセジウム化合物、テルビウム化合物、ユ
ウロピウム化合物、ガドリウム化合物から選ばれる少な
くとも1種の化合物をPr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gb2O3
算で0.8〜1.8重量%、を含有して成るため、比誘電率ε
が10000以上で、且つ焼成温度が1200℃以下となる。ま
たその他の諸特性として、誘電損失tanδが1.0%以下、
絶縁抵抗(IR)が1×105MΩ以上、密度が5.6g/cm3以上
の高誘電率系磁器組成物を得ることができる。
これにより、例えば積層セラミックコンデンサを上述
の高誘電率系磁器組成物で構成した場合、小型大容量の
コンデンサが達成でき、焼成温度1200℃以下となり、積
層されたシート間に内部電極として安価な銀−パラジウ
ムを使用することも可能で、安価な積層セラミックコン
デンサの高誘電率系磁器組成物となる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複合酸化物(Ba1-XCaX)(Ti1-YZrY)O3
    表した時、モル分率X、Yがそれぞれ、 0≦X<0.1 0.1<Y<0.16であり、 さらに、(Ba1-XCaX)(Ti1-YZrY)O3の100重量部に対
    して、 酸化亜鉛をZnO換算で、0.8〜2.0重量%、 マンガン化合物をMnO2換算で0.1〜0.5重量%、 さらに、プラオセジウム化合物、テルビウム化合物、ユ
    ウロピウム化合物、ガトリウム化合物から選ばれる少な
    くとも一種が、Pr6O11、Tb4O7、Eu2O3、Gd2O3換算で0.8
    〜1.8重量%含有して成る高誘電率系磁器組成物。
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