JP2845655B2 - 紡糸液および酸化スズファイバーの製造方法 - Google Patents

紡糸液および酸化スズファイバーの製造方法

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JP2845655B2
JP2845655B2 JP4021206A JP2120692A JP2845655B2 JP 2845655 B2 JP2845655 B2 JP 2845655B2 JP 4021206 A JP4021206 A JP 4021206A JP 2120692 A JP2120692 A JP 2120692A JP 2845655 B2 JP2845655 B2 JP 2845655B2
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    • C01GCOMPOUNDS CONTAINING METALS NOT COVERED BY SUBCLASSES C01D OR C01F
    • C01G19/00Compounds of tin
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化スズファイバーお
よび導電性酸化スズファイバ−の製造方法、並びにそれ
らに用いられる紡糸液に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスセンサにおいては感度及び応答速度
の改善の観点から酸化スズのファイバー形状での提供が
強く望まれてきた。また、高分子材料に導電性を付与す
る目的でカーボンファイバー等の添加が行われている
が、カーボンを用いた場合、それ自体黒色のため材料の
明彩色化が図れない、また非常に軽いため飛散し易い等
の問題点があった。このため、金属繊維や金属酸化物の
粉末を添加することが行なわれている。金属繊維は高い
導電性を有するものの長時間経過すると表面が酸化ある
いは腐食して導電性が低下するという欠点がある。また
従来の金属酸化物粉は導電性が金属繊維ほど高くないの
で高分子材料に導電性を付与するためにはどうしても比
較的多量に添加せざるをえず、高分子材料が本来有する
物性を低下させる欠点があった。耐薬品性、耐熱性に優
れる酸化スズにおいても導電性を付与した粉末形状での
添加が試みられている。ところで、導電性付与の効果は
導電性付与材料のアスペクト比が大きいほど、高くなる
ことが知られている。このため、導電性を有する酸化ス
ズのファイバー化が求められていた。しかしながら、従
来の固相反応法ではファイバーを製造することは困難で
あった。このため、特開昭60−5997号、特開昭6
0−161337号、特開昭62−158199号にお
いて、溶融析出法によって酸化スズを製造する方法が提
案されている。しかしながら、これらの方法では100
0℃以上の高温、及び何日にもわたる反応時間を必要と
する。しかも得られる酸化スズファイバーの形状が直径
1μm以下、長さが3mmと限られていた。該ファイバ
ーは直径が小さすぎるため取り扱いが困難で複合材料と
して用いる場合、その機能を充分に発揮させることがで
きずその用途が限られてしまうという問題があった。ま
た、長径が小さすぎるためペーパー状物等を作製するこ
とが困難であった。
【0003】本発明者らは、高価で且つ不安定で取り扱
いが難しいスズアルコキシドを原料として用いることな
く、スズ化合物及びアルコ−ルを主成分とする溶液を用
いて紡糸、加熱するることにより、容易にしかもきわめ
て安価に酸化スズファイバ−が得られることを見いだ
し、既に提案した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記紡
糸液を用いて紡糸した場合、紡糸してから加熱処理する
までの間に糸形状が保持されず軟化して崩れるという現
象が生じる場合が出てきた。この現象は、特に糸が接す
る雰囲気の相対湿度が高い場合に顕著に認められた。ま
た、紡糸時においても湿度が高いと紡糸が安定的に行え
ず切断することもあった。更に又、得られるファイバー
の機械的強度が必ずしも十分でなかった。そこで、紡糸
時および/または紡糸後の雰囲気中の湿度に左右される
ことなく、常に安定して所定の形状に紡糸でき、且つ機
械的強度の強いファイバーの製造方法について鋭意研究
を重ねた。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、一般式
ROH(式中、Rは非置換または置換アルキル基、非置
換または置換アルケニル基、もしくは非置換または置換
アリ−ル基を示す)で表わされるアルコ−ルに、一般式
SnXa・bH2O(式中、XはCl原子、Br原子、
I原子、F原子、OH基、SO4基、NO3基またはCH
3COO基を示し、aは1〜4の整数を、bは0〜6の
整数を示す)で表されるスズ化合物、およびシリコンア
ルコキシド、並びに必要に応じて周期律表第V族元素化
合物が溶解されてなることを特徴とする紡糸液であり、
他の発明は、該紡糸液を紡糸し、ついで加熱処理するこ
とを特徴とする(導電性)酸化スズファイバ−の製造方
法である。
【0006】次に本発明を更に具体的に説明する。
【0007】本発明に用いる一般式ROHで表わされる
アルコ−ルにおいて、Rはメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、オクチル基等の非置換アルキル基、2
ーメトキシエチル基、2ーエトキシエチル基、2ーヒド
ロキシエチル基、1ーメトキシー2ープロピル基、メト
キシエトキシエチル基、2ーフェニルエチル基、フェニ
ルメチル基等の置換アルキル基、アリル基等の非置換ア
ルケニル基、2ーメチルー2ープロペニル基、3ーメチ
ルー3ーブテニル基等の置換アルケニル基、フェニル基
等の非置換アリ−ル基、またはメトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル
基等の置換アリール基を示す。
【0008】上記の置換アルキル基、置換アルケニル基
または置換アリール基における置換基の具体例として
は、上記したRの具体例に見られるメトキシ基、エトキ
シ基等のアルコキシル基、ヒドロキシル基、フェニル基
等のアリール基、メチル基、エチル基等のアルキル基の
他に、アミノ基、シアノ基、Cl原子、Br原子、I原
子、F原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
【0009】これらアルコ−ルの具体例として、メチル
アルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、
ブチルアルコ−ル、オクチルアルコール、2ーメトキシ
エタノール、2ーエトキシエタノール、エチレングリコ
ール、1ーメトキシー2ープロピルアルコール、メトキ
シエトキシエタノール、2ーフェニルエチルアルコー
ル、ベンジルアルコ−ル、アリルアルコール、2ーメチ
ルー2ープロペンー1ーオール、3ーメチルー3ーブテ
ンー1ーオール、フェノール、メトキシフェノール、エ
トキシフェノール、クレゾール、エチルフェノール等を
挙げることができる。 特に、メチルアルコール、エチ
ルアルコールはスズ化合物の溶解度が高く好ましい。上
記アルコールは通常単独で用いられるが,スズ化合物と
の反応性,あるいはスズ化合物の溶解性等を制御するた
めに2種類以上のアルコールの混合物を用いることもで
きる。
【0010】また紡糸液の安定性を向上させるために、
アセチルアセトン、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチ
ル等のカルボニル基を2個以上有する化合物も補助的に
用いることができる。
【0011】本発明に用いる一般式SnXa・bH2
で表わされるスズ化合物において、Xは、Cl原子、B
r原子、I原子、F原子、OH基、SO4基、NO3基、
またはCH3COO基を示し、aは1〜4の整数を、b
は0〜6の整数を示す。このなかでも、塩化スズ、臭化
スズが価格、安定性の点から好ましい。具体的には、S
nCl2、SnCl2・2H20、SnBr2、SnI2
SnSO4、SnF2、Sn(CH3COO)2、Sn(N
32等が挙げられ、 特に、SnBr2、SnCl2
2H2O、SnCl2が好ましく用いられる。また該スズ
化合物において有機化合物で修飾したもの、例えばSn
(CH3)2Cl2等も使用できる。
【0012】上記スズ化合物とアルコールの配合割合
は、スズ化合物がアルコ−ルに均一に溶解する範囲であ
れば、特に制限されない。ただし、あまりにスズ化合物
の割合が低い場合は曳糸性を示さないので濃縮する必要
があり、アルコ−ルが無駄になる。また、スズ化合物の
濃度があまりにも高いと沈澱が生じ均一な紡糸液が得ら
れない。従って、使用するスズ化合物とアルコ−ルの種
類によってその配合割合は異なるが、一般的にはアルコ
−ルに対するスズ化合物の使用割合はモル比で0.02
〜0.5が好ましい。
【0013】本発明において、紡糸を安定的に行うため
に、且つ得られるファイバーの機械的強度を高めるため
にシリコンアルコキシドを紡糸液中に添加することが重
要である。このようなシリコンアルコキシドとしては、
一般式Si(ORA4、RBSi(ORA3、RBC
i(ORA2で表されるシリコンアルコキシドが用いら
れる。ここで、RA、RB、RCは、各々、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の直鎖状
または分岐状アルキル基;エテニル基、プロペニル基、
ブテニル基、ペンテニル基等の直鎖状または分岐状アル
ケニル基;フェニル基等のアリール基を示す。具体的に
例示すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシ
ラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、プロピルトリメト
キシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、イソブチ
ルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラ
ン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリ
エトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、アミルト
リエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−
オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリエ
トキシシラン、n−ドデシルトリエトキシシラン、メチ
ルトリブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、エ
チルトリプロポキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、アリルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジエ
トキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルメチ
ルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0014】これらのシリコンアルコキシドを添加する
ことにより、どのような湿度雰囲気においても安定的
にしかも長径の大きなファイバーを紡糸することができ
る。又、紡糸直後のゲルファイバーは軟化して崩れるこ
とがないため取り扱いが非常に容易になる。更に最終的
に得られるファイバーの機械的強度が向上する。これら
のシリコンアルコキシドの添加量は、上記スズ化合物に
対して、0.01〜20重量%が好ましい。上記添加量
が0.01よりも少ないと、充分な効果が得られない。
20重量%を超えてもその効果は飽和するだけでなく、
ファイバー中のシリカ成分が増加して導電性が低下する
ので好ましくない。
【0015】本発明の紡糸液は、基本的には上記アルコ
ール、スズ化合物、およびシリコンアルコキシドとから
なるが、更に得らる酸化スズファイバーの導電性を高め
るために、周期律表第V族元素化合物(以下第V族化合
物という)を必要に応じて含有させることができる。こ
の第V族化合物は、後述する加熱処理によって最終的に
は酸化物となって酸化スズ中に固溶する。
【0016】第V族化合物としては、バナジウム化合
物、ニオブ化合物、タンタル化合物、アンチモン化合
物、あるいはビスマス化合物等の周期律表第V族元素の
化合物が挙げられる。 具体的には、バナジウム化合物
として、VBr3、VCl2、VCl3、VCl4、VOB
2、VOBr3、VOCl3、VF3、VF4、VF5、V
36H2O、バナジウムのアルコキシドが挙げられ、ニ
オブ化合物として、NbCl5、NbBr5、NbF5
NbOCl3、ニオブのアルコキシドが挙げられ、タン
タル化合物として、TaBr5、TaCl5、タンタルの
アルコキシドが、アンチモン化合物として、SbC
3、SbCl5、SbBr3、オキシ塩化アンチモン、
あるいはアンチモンのアルコキシドが、また、ビスマス
化合物としては、BiCl3、BiI2、ビスマスのアル
コキシド等が挙げられる。
【0017】上記第V族化合物の配合割合は、酸化スズ
ファイバーに導電性を付与したい場合、酸化物換算で酸
化スズに対して0.1〜25mol%が好ましい。上記
割合があまりにも低いと得られる酸化スズファイバ−の
導電性が小さく、またあまりに高くしても導電性付与の
効果は小さくなる。
【0018】スズ化合物、第V族化合物およびシリコン
アルコキシドとアルコールの溶解方法は、特に限定され
ない。攪拌下、スズ化合物、シリコンアルコキシド、必
要に応じて加える第V族化合物の混合物にアルコ−ルを
滴下する方法、あるいは攪拌下、アルコールにスズ化合
物、シリコンアルコキシド、並びに必要に応じて第V族
化合物を溶解させる方法等を用いることができる。
【0019】また、上記アルコール、スズ化合物、およ
びシリコンアルコキシド、並びに必要に応じて第V族化
合物を含有する溶液に、水を添加することも好ましい。
その添加量は上記溶液の配合割合によっても異なり、特
に制限されない。一般的には、上記溶液に沈澱を生じさ
せないことが基準となる。水を添加しない場合でも紡糸
することはできるが、ゲルファイバ−の安定性の観点か
ら、水をアルコ−ル、スズ化合物、およびシリコンアル
コキシド、並びに必要に応じて含有する第V族化合物の
合計量に対してモル比で0.01〜1添加することが好
ましい。
【0020】更にまた、塩酸、硝酸、酢酸等の酸、アセ
チルアセトン等のカルボニル基を有する化合物、及びア
ンモニア等も触媒、錯化剤として適宜用いてもよい。
【0021】紡糸方法は特に制限はなく、従来の紡糸方
法を用いることができる。例えば、紡糸ノズルから紡糸
液を押し出す方法等が挙げられる。得られるファイバー
の長径、及び直径等は前記紡糸液の粘度あるいは紡糸ノ
ズルから紡糸液を押し出す速度等を調整することによっ
て任意に制御することができる。
【0022】紡糸して得られるゲルファイバーの加熱処
理は、ゲルファイバーからアルコールなどの有機溶媒、
あるいは水などを除去してファイバーの骨格を強くし、
場合によっては、更に結晶化させる温度で行われる。紡
糸液から紡糸したままのゲルファイバーはそのままでは
十分な機械的強度を示さない。機械的強度はゲルファイ
バーを加熱処理することで発現する。該加熱処理温度は
得られるファイバーに機械的強度を付与できる温度範囲
内で有れば特に限定されない。加熱処理温度が低い場合
にはファイバー中にアルコール、水などが残存するため
に十分な機械的強度が生じない。また、加熱処理温度が
高すぎると酸化スズの分解が進行したり、あるいはファ
イバー中の結晶粒が成長し過ぎ強度が低下するなどの問
題が生じる。上記理由により、加熱処理温度は250〜
1550℃の範囲が好ましい。更に好適には300〜1
500℃の温度で加熱処理することが好ましい。
【0023】第V族化合物を添加して、得られるファイ
バーの導電性を向上させたい場合もまた加熱処理が必要
である。紡糸液から紡糸したままのゲルファイバーはそ
のままでは絶縁体であり、導電性はゲルファイバーを加
熱処理することで発現する。該加熱処理温度は得られる
ファイバーに導電性を付与できる温度範囲内であれば特
に限定されない。一般に、加熱処理温度が低い場合には
ファイバー中にアルコールなどの有機物、水等が残存す
るため、また第V族化合物が酸化物の形態にならず酸化
スズと充分に固溶しないため導電性が生じない。また加
熱処理温度が高すぎると、ファイバー中の第V族化合物
が揮散し導電性が低下する、酸化スズの分解が進行す
る、ファイバー中の結晶粒が成長し過ぎ強度が低下する
などの問題点を生じる。このため、加熱処理温度として
250℃〜1550℃の温度範囲が好ましい。さらに好
適には、300℃〜1500℃の温度で加熱処理するこ
とが好ましい。
【0024】また、加熱処理は通常空気中で行われる
が、特に導電性の高いファイバーを得たいときには、窒
素、アルゴン、水素、アルゴンと水素の混合ガスなどの
還元性雰囲気下や真空中で加熱処理を行うことができ
る。
【0025】更に、該加熱処理に際し、ゲルファイバー
中に存在する水、アルコール等の揮発成分を、乾燥によ
って除去することが良好な酸化スズファイバーを得るた
めに望ましい。かかる乾燥は、加熱処理と同時に行って
も良いが、加熱処理前に予め行う方が良好なファイバー
を得るためには好ましい。これらの場合、乾燥温度は得
られるファイバーにクラックが発生することを防止する
ために、出来るだけ低い温度で行うことが好ましいが、
溶媒に沸点の高いアルコールを用いた場合には、余り低
すぎると乾燥に長時間を要し、効果的でない。一般的な
乾燥温度は室温〜300℃の範囲とすることが好まし
い。
【0026】本発明の、第V族化合物を含有する紡糸液
から得られる導電性酸化スズファイバーの比抵抗値は、
第V族化合物の種類、添加量、焼成雰囲気及び焼成温度
等によって大きく変わるが、通常、103〜10ー1Ωc
mの値をとることができる。
【0027】又、本発明によって得られる(導電性)酸
化スズファイバーは、結晶質、非晶質のいずれでも取り
うるが、導電性の観点からは結晶質の方が好ましい。
【0028】
【発明の効果】本発明の紡糸液を用いることにより、如
何なる湿度雰囲気下においても糸の切断、崩れなどを起
こすことなく常に安定的に所定の形状の紡糸を行えるよ
うになった。又、紡糸後に、糸が湿度の高い雰囲気に接
しても軟化して形状が崩れることもなくなり、次の加熱
工程へ極めてスムースに移行することができるようにな
った。この結果、工業的に安定した操業が可能となり生
産性が向上した。更に、得られるファイバーの機械的強
度が向上した。
【0029】
【実施例】本発明を以下実施例によって具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例によって限定されるもの
ではない。
【0030】実施例1 塩化第一スズ(SnCl2)10g(0.05モル)、
三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.004モ
ル)およびテトラメトキシシラン1.14g(0.00
75モル)をメタノ−ル100ml(2.47モル)に
溶解させ均一な溶液を得た。この溶液を40℃に保った
乾燥器中に保持して溶液を濃縮し、高粘性のゾルとし
た。このゾルにガラス棒の先端を浸し相対湿度55%の
雰囲気下で引き上げ速度を種々変えて引き上げることに
より、長さ約2mのゲルファイバ−を多数紡糸した。得
られたファイバ−を室温で1日放置後、2 ℃/minの
速度で120℃まで昇温しその温度で30分間保持し
た。その後10℃/minの速度で500℃まで昇温し
その温度で30分間保持して加熱処理をおこなった。得
られたファイバは引き上げ速度に応じて1μm〜2mm
の範囲の直径を有し、ケイ光X線分析により、アンチモ
ンが仕込組成通りファイバー中に存在していることが確
認された。また、X線回折の結果、酸化スズのピークを
有すること、アンチモンはその酸化物などのピークはみ
られず酸化スズ中に固溶していることが確認された。得
られたファイバ−の比抵抗は約1 ohm・cmであっ
た。これらのファイバーを直径16cmの円筒の外周に
沿って変形させたところ何れも折れなかった。尚、紡糸
直後のゲルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に1
時間放置したが軟化することなくファイバー形状を保持
した。
【0031】実施例2 臭化第一スズ(SnBr2)13.9g(0.05モ
ル)、三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.00
4モル)およびテトラエトキシシラン1.56g(0.
0075モル)をメタノ−ル100ml(2.47モ
ル)に溶解させ均一な溶液を得た。この溶液を40℃に
保った乾燥器中に保持して溶液を濃縮し、高粘性のゾル
とした。このゾルにガラス棒の先端を浸し相対湿度55
%の雰囲気下で引き上げ速度を種々変えて引き上げるこ
とにより、長さ約2mのゲルファイバ−を多数紡糸し
た。得られたファイバ−を室温で1日放置後、2 ℃/
minの速度で120℃まで昇温しその温度で30分間
保持した。その後10℃/minの速度で500℃まで
昇温しその温度で30分間保持して加熱処理をおこなっ
た。得られたファイバは引き上げ速度に応じて1μm〜
2mmの範囲の直径を有し、ケイ光X線分析、X線回折
の結果、アンチモンが固溶した結晶質の酸化スズである
ことが確認された。得られたファイバ−の比抵抗は約1
ohm・cmであった。これらのファイバーについて
実施例1と同じ曲げ試験を行ったところ、何れも折れな
っかた。尚、紡糸直後のゲルファイバーを相対湿度85
%の雰囲気下に1時間放置したがファイバー形状を保持
した。
【0032】実施例3 塩化第一スズ二水和物(SnCl2・2H20)11.3
g(0.05モル)および三塩化アンチモン(SbCl
3)1g(0.004モル)およびエチルトリメトキシ
シラン1.127g(0.0075モル)をメタノ−ル
100ml(2.47モル)に溶解させ均一な溶液を得
た。この溶液を40℃に保った乾燥器中に保持して溶液
を濃縮し、高粘性のゾルとした。このゾルにガラス棒の
先端を浸し相対湿度55%の雰囲気下で引き上げ速度を
種々変えて引き上げることにより、長さ約2mのゲルフ
ァイバ−を多数紡糸した。得られたファイバ−を室温で
1日放置後、2 ℃/minの速度で120℃まで昇温
しその温度で30分間保持した。その後10℃/min
の速度で500℃まで昇温しその温度で30分間保持し
て加熱処理をおこなった。得られたファイバは1μm〜
2mmの範囲の直径を有し、ケイ光X線分析、X線回折
の結果、アンチモンが固溶した結晶質の酸化スズである
ことが確認された。得られたファイバ−の比抵抗は約1
ohm・cmであった。これらのファイバーについて
実施例1と同じ曲げ試験を行ったところ、何れも折れな
っかた。尚、紡糸直後のゲルファイバーを相対湿度85
%の雰囲気下に1時間放置したがファイバー形状を保持
した。
【0033】実施例4 メタノールの代わりにエタノールを100ml、SbC
3 1gの代わりにSb(OC25)31.13gを、テ
トラメトキシシランの代わりにジメチルジエトキシシラ
ン2.22g(0.015モルを)用いること以外は実
施例1と同様に行なった。得られたファイバ−は長さ2
mで1μm〜2mmの範囲の直径を有し、ケイ光X線分
析、X線回折の結果、アンチモンが固溶した結晶質の酸
化スズであることが確認された。得られたファイバ−の
比抵抗は約8×101ohm・cmであった。これらの
ファイバーについて実施例1と同じ曲げ試験を行ったと
ころ、何れも折れなっかた。尚、紡糸直後のゲルファイ
バーを相対湿度85%の雰囲気下に1時間放置したがフ
ァイバー形状を保持した。
【0034】実施例5 テトラメトキシシランの代わりに、ビニルトリメトキシ
シラン0.741g(0.005モル)を用いることこ
と以外は実施例1と同様に行なった。得られたファイバ
−は長さ2mで1μm〜2mmの範囲の直径を有し、ケ
イ光X線分析、X線回折の結果、アンチモンが固溶した
結晶質の酸化スズであることが確認された。得られたフ
ァイバ−の比抵抗は約2 ohm・cmであった。これ
らのファイバーについて実施例1と同じ曲げ試験を行っ
たところ、何れも折れなっかた。尚、紡糸直後のゲルフ
ァイバーを相対湿度85%の雰囲気下に1時間放置した
がファイバー形状を保持した。
【0035】実施例6 メタノールの代わりに2ーエトキシエタノールを用いる
こと、およびロータリエバポレータで濃縮すること以外
は実施例1と同様に行なった。得られたファイバ−は長
さ1mで1μm〜2mmの範囲の直径を有し、ケイ光X
線分析、X線回折の結果、アンチモンが固溶した結晶質
の酸化スズであることが確認された。得られたファイバ
−の比抵抗は約1 ohm・cmであった。これらのフ
ァイバーについて実施例1と同じ曲げ試験を行ったとこ
ろ、何れも折れなっかた。尚、紡糸直後のゲルファイバ
ーを相対湿度85%の雰囲気下に1時間放置したがファ
イバー形状を保持した。
【0036】実施例7 三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.004モ
ル)の代わりに、TaCl50.945g(0.002
モル)を用いること以外は実施例1と同様に行った。
得られたファイバーは長さ2mで引き上げ速度に応じて
1μm〜2mmの範囲の直径を有し、ケイ光X線分析、
X線回析の結果、タンタルが仕込組成通り固溶した結晶
質の酸化スズであることが確認された。得られたファイ
バーの比抵抗は約8×102ohm・cmであった。こ
れらのファイバーについて実施例1と同じ曲げ試験を行
ったところ、何れも折れなかった。尚、紡糸直後のゲル
ファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に1時間放置し
たがファイバー形状を保持した。
【0037】実施例8 三塩化アンチモン(SbCl3)1g(0.004モ
ル)の代わりに、NbCl50.712g(0.002
モル)を用いること以外は実施例1と同様に行った。
得られたファイバーは長さ2mで1μm〜2mmの範囲
の直径を有し、ケイ光X線分析、X線回析の結果、ニオ
ブが仕込組成通り固溶した結晶質の酸化スズであること
が確認された。 得られたファイバーの比抵抗は約3×
103ohm・cmであった。これらのファイバーにつ
いて実施例1と同じ曲げ試験を行ったところ、何れも折
れなかった。尚、紡糸直後のゲルファイバーを相対湿度
85%の雰囲気下に1時間放置したがファイバー形状を
保持した。
【0038】実施例9 実施例1において、三塩化アンチモンを加えないこと以
外同様に行った。得られたファイバ−は長さ2mで1μ
m〜2mmの範囲の直径を有し、X線回折の結果、結晶
質の酸化スズであることが確認された。得られたファイ
バ−の比抵抗は約8×105ohm・cmであった。こ
れらのファイバーについて実施例1と同じ曲げ試験を行
ったところ、何れも折れなっかた。尚、紡糸直後のゲル
ファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に1時間放置し
たがファイバー形状を保持した。
【0039】実施例10 実施例2において、三塩化アンチモンを加えないこと以
外は同様に行った。得られたファイバ−は長さ2mで1
μm〜2mmの範囲の直径を有し、X線回折の結果、結
晶質の酸化スズであることが確認された。得られたファ
イバ−の比抵抗は、約8×105ohm・cmであっ
た。これらのファイバーについて実施例1と同じ曲げ試
験を行ったところ、何れも折れなっかた。尚、紡糸直後
のゲルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に1時間
放置したがファイバー形状を保持した。
【0040】比較例1 三塩化アンチモン(SbCl3)およびテトラメトキシ
シランを添加しないこと以外は実施例1と同様に行なっ
た。得られたファイバ−は長さ1mで引き上げ速度に応
じて1μm〜2mmの範囲の直径を有し、X線回折の結
果、結晶質の酸化スズであることが確認された。得られ
たファイバ−の比抵抗は、 約8×104 ohm・c
mであった。これらのファイバーについて実施例1と同
じ曲げ試験を行ったところ、何れも折れた。又、紡糸直
後のゲルファイバーを相対湿度85%の雰囲気下に放置
したところ5分後に軟化してファイバー形状が崩れた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 9/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式ROH(式中、Rは非置換または
    置換アルキル基、非置換または置換アルケニル基、もし
    くは非置換または置換アリ−ル基を示す)で表わされる
    アルコ−ルに、一般式SnXa・bH2O(式中、Xは
    Cl原子、Br原子、I原子、F原子、OH基、SO4
    基、NO3基またはCH3COO基を示し、aは1〜4の
    整数を、bは0〜6の整数を示す)で表されるスズ化合
    物、およびシリコンアルコキシドが溶解されてなること
    を特徴とする紡糸液。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の紡糸液を紡糸し、ついで
    加熱処理することを特徴とする酸化スズファイバ−の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 一般式ROH(式中、Rは非置換または
    置換アルキル基、非置換または置換アルケニル基、もし
    くは非置換または置換アリ−ル基を示す)で表わされる
    アルコ−ルに、一般式SnXa・bH2O(式中、Xは
    Cl原子、Br原子、I原子、F原子、OH基、SO4
    基、NO3基またはCH3COO基を示し、aは1〜4の
    整数を、bは0〜6の整数を示す)で表されるスズ化合
    物、周期律表第V族元素化合物、およびシリコンアルコ
    キシドが溶解されてなることを特徴とする紡糸液。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の紡糸液を紡糸し、ついで
    加熱処理することを特徴とする導電性酸化スズファイバ
    −の製造方法。
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JPS61106426A (ja) * 1984-10-30 1986-05-24 Asahi Glass Co Ltd 無機繊維の製造法

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