JP2845278B2 - 自動車用タイヤ - Google Patents

自動車用タイヤ

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JP2845278B2
JP2845278B2 JP63277500A JP27750088A JP2845278B2 JP 2845278 B2 JP2845278 B2 JP 2845278B2 JP 63277500 A JP63277500 A JP 63277500A JP 27750088 A JP27750088 A JP 27750088A JP 2845278 B2 JP2845278 B2 JP 2845278B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、タイヤの周方向と交差する方向へ伸びかつ
タイヤ周方向へ互いに間隔をおいた複数の溝と、該溝に
よりタイヤの周方向へ互いに分離された複数のブロック
とをトレッド部に有する自動車用タイヤに関する。
(従来の技術) 自動車用タイヤにおいて、ラジアルランナウトすなわ
ち縦振れが該タイヤを装着した自動車の走行距離の増加
にともなって大きくなるいわゆる偏摩耗を低減させるこ
とと、耐摩耗性を向上させることとは、二律背反の関係
にあることが知られている。
このことから、耐摩耗性を向上させるために、タイヤ
の素材であるゴムの物性を変えることにより、摩耗の形
態をアブレイション摩耗から疲労摩耗に変化させること
が提案されている。しかし、このようなタイヤでは、偏
摩耗が発生する前に摩耗が終了するから、耐偏摩耗性は
向上するが、アブレイション摩耗による摩耗量が疲労摩
耗によるそれに比べて著しく大きいから、耐摩耗性が低
下する。
騒音対策のためにピッチバリエーションを採用してい
る従来の新品のタイヤの縦振れと、トレッドゴムの厚さ
分布すなわちゲージ分布と、ピッチバリエーションとを
比較したところ、第1図に示す結果が得られた。また、
前記タイヤにおけるトレッドゴムのゲージ分布とピッチ
バリエーションとをフーリエ解析し、その次数の振幅を
算出したところ、第2図に示す結果が得られた。第1図
から明らかなように、縦振れとトレッドゴムのゲージ分
布と相関関係にあり、また、第2図から明らかなよう
に、トレッドゴムのゲージ分布とピッチバリエーション
とは相関関係にある。
これにもかかわらず従来のタイヤでは、溝の深さ寸法
が一定であるため、耐偏摩耗性を向上させるべく、ゴム
の物性を変え、これにより耐摩耗性を低下させていた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、耐摩耗性を低下させることなく、耐偏摩耗
性を向上させた、自動車用タイヤを提供することを目的
とする。
(解決手段、発明の作用、効果) 本発明の、タイヤの周方向と交差する方向へ伸びかつ
前記周方向へ互いに間隔をおいた複数の溝と、該溝によ
り前記周方向へ互いに分離された複数のブロックとをト
レッド部に有する自動車用タイヤは、前記溝のそれぞれ
は、該溝の深さ寸法をH、該溝の両隣りの前記ブロック
のトレッド表面上での前記周方向への長さ寸法の平均値
をXとしたとき、 H=aX 0.2≦a≦0.3 となるように、前記周方向への前記ブロックの長さ寸法
に実質的に比例した深さ寸法を有する。
第3図に示すように、ブロック10の、タイヤの周方向
の剛性(以下「周方向剛性」という。)Kpは、ブロック
10に作用する、タイヤの周方向(以下「タイヤ周方向」
という。)への力をF、ブロック10の、タイヤ周方向の
長さ寸法(以下「周方向長さ寸法」という。)をX、ブ
ロック10の、タイヤの幅方向の長さ寸法(以下「幅方向
長さ寸法」という。)をY、ブロック10の高さ寸法すな
わち溝の深さ寸法をH、力Fによるタイヤ周方向へのブ
ロック10の変形量をZとし、また、ブロック10の剪断剛
性をG、ブロック10の面積(X×Y)をA、ブロック10
の曲げ剛性をDとすると、次式で表される。
Kp=F/Z=1/{(H3/3D)+(H/AG)} 上記の式から明らかなように、力Fに対するブロック
10の周方向剛性Kpは、ブロック10の周方向長さ寸法Xに
比例する反面、ブロック10の高さ寸法Hに反比例する。
本発明のタイヤでは、ブロックの周方向長さ寸法Xが
大きいと、該ブロックの高さ寸法Hすなわち隣りの溝の
深さ寸法が大きく、また、長さ寸法Xが小さいと高さ寸
法Hすなわち隣りの溝の深さ寸法が小さい。このため、
本発明のタイヤによれば、従来のタイヤに比べ、周方向
剛性が均一になるから、偏摩耗が減少し、また、トレッ
ドゴムのゲージ分布が均一になるから、縦振れが減少す
る。すなわち、本発明のタイヤによれば、耐摩耗性が低
下することなく、耐偏摩耗性が向上し、さらにタイヤの
ユニフォーミティーが向上する。
前記比例定数aが0.2未満であると、タイヤの縦振れ
を防止する効果がなくなる。これに対し、比例定数aが
0.3を越えると、溝の深さ寸法が大きくなりすぎ、トレ
ッドの剛性が低下することにより、当該タイヤを装着し
た自動車の操縦安定性が低下する。
前記トレッド部の接地面を、トレッドセンタと前記接
地面の両端縁との3箇所を通る円弧の曲率半径をSHと
し、前記トレッドセンタと前記両端縁との間の中間点と
前記トレッドセンタとの3箇所を通る円弧の曲率半径を
CRとしたとき、 1.35≦CR/SH≦1.50 となる仮想的な弧面を規定する形状とすることが好まし
い。
CR/SRが1.35未満であると、クラウン部の接地圧が低
くなるから、タイヤの形状を円形から多角形に変化させ
るいわゆる多角形摩耗がクライン部に生じやすくなる。
これに対し、CR/SHが1.50を越えると、ショルダー部に
多角形摩耗が生じやすくなるとともに、トレッド部の肩
部が他の部位に比べて急速に摩耗するいわゆる肩落ち摩
耗が生じやすくなる。
(実施例) 第4図を参照するに、タイヤ12は、タイヤ周方向へ伸
びる環状の複数の溝14と、溝14を横切る方向へ伸びかつ
前記周方向へ互いに間隔をおいた複数の溝16と、溝14,1
6により互いに分離された複数のブロック18とをトレッ
ド部に有する。
タイヤ12のトレッドパターンは、第4図に示す例で
は、ピッチが互いに異なる複数の基本パターンを、トレ
ッドの幅方向の中心すなわちトレッドセンタ20を境にし
て二列にかつタイヤ周方向にランダムに配置している。
トレッドセンタ20に関して一方の側に配置された基本パ
ターンと他方の側に配置された基本パターンとは、互い
に逆の形状を有する。
第5図に示すように、溝16のそれぞれは、該溝とタイ
ヤ周方向に隣り合うブロック18の周方向長さ寸法Xに比
例した深さ寸法Hを有する。図示の例では、トレッドパ
ターンがピッチバリエーションを採用していることか
ら、溝16の深さ寸法Hは、該溝の両隣りのブロック18の
周方向長さ寸法Xの平均値に比例する。
すなわち、溝16の深さ寸法は、該溝の一方の側のブロ
ック18の周方向長さ寸法をX1とし、他方の側のブロック
18の周方向長さ寸法をX2とし、比例定数をaとしたと
き、 H=a(X1+X2)/2 となる。
比例定数aは、0.2〜0.3の範囲内の値に選択されてい
る。比例定数aをタイヤの周方向において前記範囲内で
変動させてもよい。なお、各ブロック18の周方向長さ寸
法Xが同じ場合は、溝16の深さ寸法を、上記式を満足す
る値とすればよい。
溝16の断面形状は、V字状、U字状、コ字状等任意な
形状とすることができる。また、溝の深さ方向の途中に
段部を有する形状であってもよい。
第6図に示すように、タイヤ12の接地面22は、トレッ
ドセンタ20と接地面22の両端縁24,26との3箇所を通る
円弧28の曲率半径をSHとし、トレッドセンタ20と両端縁
24,26との間の中間点30,32とトレッドセンタ20との3箇
所を通る円弧34の曲率半径をCRとしたとき、 1.35≦CR/SH≦1.5 となる仮想的な弧面を規定する。曲率半径CR,SHの中心
は、それぞれ、トレッドセンタ20を含む平面上にある。
(実験例) 比例定数aすなわちH/Xと、CR/SHを表1に示すように
選択した5.60R13のタイヤA,B,C,DおよびEを製作し、こ
れらを、排気量が1800ccのFF車の前輪に装着し、2000km
を走行したときの摩耗状態を検討した。その結果を摩耗
評点として表1に示す。摩耗評点は1、2、3、4、5
の順に耐摩耗性、耐偏摩耗性が向上していることを示
す。
表1において、タイヤAおよびBは本発明に係るタイ
ヤであり、タイヤCおよびDは比較のために製作したタ
イヤであり、タイヤEは、第1図(A)および(B)に
示す縦振れおよびトレッドのゲージ分布を有する従来の
タイヤである。
タイヤAの縦振れおよびトレッドのゲージ分布をそれ
ぞれ第7図(A)および(B)に示し、タイヤBの縦振
れおよびトレッドのゲージ分布をそれぞれ第8図(A)
および(B)に示し、タイヤCの縦振れおよびトレッド
のゲージ分布をそれぞれ第9図(A)および(B)に示
し、タイヤDの縦振れおよびトレッドのゲージ分布をそ
れぞれ第10図(A)および(B)に示す。
本発明に係るタイヤAおよびBの摩耗評点は、H/Xが
0.2〜0.3の範囲内であり、かつ、CR/SHが1.35〜1.50の
範囲内であるから、高い。
これに対し、タイヤCの摩耗評点は、H/Xが0.3を越
え、また、CR/SHが1.35未満であるため、低い。また、
タイヤDの摩耗評点は、H/Xが0.3を越え、また、CR/SH
が1.50を越えているため、低い。さらに、従来のタイヤ
Eの摩耗評点は、溝の深さ寸法が一定であり、かつ、CR
/SHが1.50を越えているため、タイヤCおよびDより高
いが、本発明のタイヤAおよびBより低い。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)(B)および(C)はそれぞれ従来のタイ
ヤの、縦振れ、トレッドゴムのゲージ分布およびピッチ
バリエーションを同じ位相で示す図、第2図は従来のタ
イヤのトレッドゴムのゲージ分布とピッチバリエーショ
ンとをフーリエ解析し、その次数の振幅を示す図、第3
図はブロックの周方向剛性を説明するための斜視図、第
4図は本発明に係るタイヤのトレッドパターンの一実施
例を示す展開図、第5図はブロックの周方向長さ寸法と
溝の深さ寸法との関係を説明するための、ハッチングを
省略した断面図、第6図はトレッド部の接地面の曲率半
径を説明すべくタイヤをこれの回転軸線と直角の面に沿
って得た、ハッチングを省略した断面図、第7図(A)
および(B)はそれぞれ実験例のタイヤAの縦振れおよ
びトレッドゴムのゲージ分布を示す図、第8図(A)お
よび(B)はそれぞれ実験例のタイヤBの縦振れおよび
トレッドゴムのゲージ分布を示す図、第9図(A)およ
び(B)はそれぞれ実験例のタイヤCの縦振れおよびト
レッドゴムのゲージ分布を示す図、第10図(A)および
(B)はそれぞれ実験例のタイヤDの縦振れおよびトレ
ッドゴムのゲージ分布を示す図である。 12:タイヤ、 14,16:溝、 18:ブロック、 20:トレッドセンタ、 22:接地面、 24,26:接地面の端縁、 28,34:円弧、 30,32:中間点。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60C 11/11 B60C 3/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タイヤの周方向と交差する方向へ伸びかつ
    前記周方向へ互いに間隔をおいた複数の溝と、該溝によ
    り前記周方向へ互いに分離された複数のブロックとをト
    レッド部に有する自動車用タイヤであって、前記溝のそ
    れぞれは、該溝の深さ寸法をH、該溝の両隣りの前記ブ
    ロックのトレッド表面上での前記周方向への長さ寸法の
    平均値をXとしたとき、 H=aX 0.2≦a≦0.3 となるように、前記周方向への前記ブロックの長さ寸法
    に実質的に比例した深さ寸法を有する、自動車用タイ
    ヤ。
  2. 【請求項2】前記トレッド部の接地面は、トレッドセン
    タと前記接地面の両端縁との3箇所を通る円弧の曲率半
    径をSHとし、前記トレッドセンタと前記両端縁との間の
    中間点と前記トレッドセンタとの3箇所を通る円弧の曲
    率半径をCRとしたとき、 1.35≦CR/SH≦1.50 となる仮想的な弧面を規定する、請求項(1)に記載の
    自動車用タイヤ。
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