JP2844739B2 - イオン交換性シート状物 - Google Patents

イオン交換性シート状物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は,イオン交換性シート状物に関するものであ
り,さらに詳しくはイオン交換容量が大きく使用が簡便
でしかも極限までイオンを捕修でき,低通液抵抗で耐水
性があり,含まれる重金属の量が極めて少ない高性能イ
オン交換性シート状物に関する。
[従来の技術] 近年,各種工業分野における極微量元素の定性・定量
分析,蛍光X線分析,原子吸光分析などの前濃縮資材,
プロセスの極微量イオンの除去資材などで分析精度が要
求され不純物を含まないより清浄なシート状物の必要性
が増してきている。
またより簡便で迅速に測定できしかも,低圧損でかつ
高捕集効率が期待できるものが要求されている。
従来これらにはイオン交換性を付与した紙状物,いわ
ゆる分析用イオン交換ペーパーが広く使われてきた。
ところが,これらはイオン交換樹脂の粉末あるいは繊
維をパルプ等と共に抄紙したものであるが,粉末の場合
はそれ自体のつながりもなく分布状態も不均一で高度に
イオンの除去ができないばかりか,樹脂の脱落などが問
題となりこのため多量に担持することができない。従っ
て,交換基量が少なく捕集効率も低い。さらに含有する
重金属の量も多いという欠点を有している。
また,繊維状のイオン交換体を用いたものが提案(特
開昭52−155193号公報)されているが,やはり含有する
重金属の量が多い欠点を有し,また高速で通液(通気)
処理すると捕集効率が著しく低下してしまい本質的な改
良にはなっていないのが実状である。
極微量の元素を定量する場合には一定量の紙状物中に
含有する元素の量が多いと誤差が大きくなり精度良く測
定できない。また,交換基量が少ないものは捕集効率も
低くこれも精度良く測定できない。
さらに,従来ペーパーは通液(通気)処理時の抵抗が
大きく高速処理が不可能なものや,ろ過抵抗は小さいが
分厚過ぎて取扱い上問題があったり捕集効率が著しく低
い等の欠点を有しているものが大部分である。
また,被処理物質中のイオンを全て捕集しようとして
も従来のペーパーは,アニオン交換繊維,カチオン交換
繊維あるいはキレート繊維をそれぞれ単独で抄紙してい
るため十分捕集できない欠点があった。これを補うため
それぞれのペーパーを何枚か組合わせて使用している
が,使用者にとって不便であるばかりか極限までイオン
を除去することもできない。
かかる,従来技術の現状から分析,計測精度の向上,
簡便でしかも高速処理が可能で極限までイオンを除去で
きる高性能イオン交換性シート状物の開発が強く望まれ
ている。
[発明が解決しようとする課題] 上述したような従来技術の問題点を解消するため本発
明者らは鋭意検討した結果本発明に到達した。
すなわち本発明は,不純物をほとんど含まない特に重
金属の量を大幅に低減しかつ高強力でしかも耐水性,捕
集性に優れ,さらに1枚のシートで陽イオンと陰イオン
を同時に極限まで捕集でき,かつ高速処理を可能とした
高性能イオン交換性シート状物を提供しようとするもの
である。
[課題を解決するための手段] 本発明は次の構成を有する。
(1) カチオン交換繊維,アニオン交換繊維,キレー
ト繊維のうち少なくとも2種を混合したものからなり,
かつ下記(1)および(2)式を満足することを特徴と
するイオン交換性シート状物。
20≧(a/b) ……(1) [但し,a:シート中金属の量(μg/m2) b:シートの目付量(g/m2)を示す] 0.0008W≦H≦0.003W …(2) [但し,W:シート状物の目付量(g/m2), H:シート状物の厚さ(mm)を示す] (2) 強酸性カチオン交換繊維と強塩基性アニオン交
換繊維からなり,かつ前記(1)および(2)式を満足
することを特徴とするイオン交換性シート状物。
(3) 熱可塑性成形物を少なくとも一部含有する前記
1および2項のいずれかに記載のイオン交換性シート状
物。
本発明で用いるカチオン交換繊維,アニオン交換繊
維,キレート繊維とは,通常直径が0.01〜100μm,好ま
しくは1〜100μmのそれぞれ公知のイオン交換あるい
はキレート遷移を意味する。その具体例としては,ポリ
スチレン系,ポリビニルアルコール系,ポリアクリル
系,ポリアミド系,ポリフェノール系,ポリエチレン
系,セルロース系などのベースポリマにカチオン交換
基,例えばスルホン酸基,ホスホン酸基,カルボン酸基
などや,アニオン交換基,例えば1〜3級アミノ基もし
くは4級アンモニウム基を導入したもの,さらにはアミ
ノカルボン酸基,アミドキシム基,ポリアミン基,ジチ
オカルバミン酸基などの各種キレート基が導入された,
それぞれのイオン交換繊維あるいはキレート繊維があ
る。
本発明でいうベースポリマの中でも,ポリ(モノビニ
ル芳香族化合物),特にポリスチレン系ポリマが化学安
定性に優れており好ましい。具体的にはポリスチレン,
α−メチルスチレン,ビニルトルエン,ビニルキシレ
ン,クロロメチルスチレンなどからなるポリマが挙げら
れる。
かかるポリマにイオン交換基を導入してイオン交換繊
維あるいはキレート繊維を製造する方法としてはたとえ
ば,パラホルムアルデヒドと硫酸の共存下で加熱処理す
ることにより,スルホン酸基が導入されたカチオン交換
繊維,クロルメチル化後,ホスホン化,アミノ化もしく
は四級アンモニウム化することによってそれぞれ中酸性
カチオン交換基,弱塩基性アニオン交換基,強塩基性ア
ニオン交換基が導入された各種イオン交換繊維を得るこ
とができる。また酸触媒と膨潤剤の存在下で,ホルムア
ルデヒド源およびアシルアミノメチル化剤で処理して前
記架橋結合およびアシルアミノメチル基を導入する。次
に,酸もしくは塩基触媒下で加水分解してアミノメチル
基に変換した後,モノクロル酢酸で処理することによっ
てイミノジ酢酸基が導入されたキレート繊維を得ること
ができる。ポリマに導入するイオン交換基あるいはキレ
ート基の量は,繊維の乾燥重量に対して少なくとも0.5m
eq/g以上,好ましくは1.0〜10meq/gの範囲である。
本発明におけるイオン交換繊維あるいはキレート繊維
の含水度は,通常0.1〜10であるが,あまり小さすぎる
と性能が低下する。逆に大きすぎると,反応工程あるい
はシート化の工程で取扱い性が悪くなるので,1〜5の範
囲が好ましい。
ここで含水度とはNa型(C1型)のカチオン交換(アニ
オン交換)繊維,キレート繊維を蒸溜水に浸した後,家
庭用遠心脱水機で5分間遠心脱水して表面の水分を除
去,ただちに重量(W)を測定し,さらに絶乾して重さ
を測り(Wo)次式より求めた値である。
含水度=(W/Wo)/Wo かかる交換基量あるいは含水度は処理条件や導入プロ
セスなどにより制御できる。
さらにカチオン交換(アニオン交換)繊維,キレート
繊維の中でもベース用ポリマと補強用ポリマからなる繊
維,好ましくはイオン交換基あるいはキレート基導入用
ポリマを海成分に,補強用ポリマを島成分にした多芯海
島型の複合繊維を基材としたカチオン交換(アニオン交
換)繊維,キレート繊維が操作上十分な機械的強度なら
びに形態保持性を有していているので好ましい。特に該
多芯海島型の複合繊維は,部分的に枝分れまたは分割
(フィブリル化)が容易でシート状物を形成し易く,か
つ該シート状物の強度,捕集性能を著しく向上させるこ
とができさらに熱処理によって補強用ポリマの少なくと
も一方が溶融し耐水性のあるシート状物を得ることがで
きるため好ましい。
補強用ポリマの割合は通常10〜90%であるが,あまり
少なすぎると機構的強度が弱くなり,逆に多すぎるとイ
オン交換基あるいはキレート基の量や吸着性能が低下す
るので20〜80%の範囲が好ましい。
また補強用ポリマとしてはポリ−α−オレフィンが耐
薬品性に優れているので好ましい。
該カチオン交換(アニオン交換)繊維,キレート繊維
の形態としては短繊維,フィラメント,フェルト,織
物,不織布,編物,繊維束,ひも状物などの公知の任意
の形態,集合体もしくはそれらの裁断物を挙げることが
できる。
本発明のシート状物は上記カチオン交換繊維,アニオ
ン交換繊維,キレート繊維を少なくとも2種混合したも
のを主成分としシート化したものであるが,なかでも0.
1〜3mmの短繊維を用いて後述する方法で抄造した紙状物
が性能的に特に好ましい。
かかるシート状物中のカチオン交換(アニオン交換)
繊維,キレート繊維の割合は多い方が好ましく,少なく
とも30重量%,さらに好ましくは50重量%以上である。
シート状物を構成する繊維成分としては,該カチオン
交換(アニオン交換)繊維,キレート繊維の他に非イオ
ン性の通常の繊維を混抄あるいは交編織および/または
両者の積層などいかなる方法で含有していても良いが,
被処理物中の被吸着成分を効率良く捕集するためには該
シート状物の乾燥重量当りイオン交換基あるいはキレー
ト基の量は,平均して少なくとも0.5meq/g,好ましくは1
meq/g以上,特に2meq/g以上が好ましい。
本発明のシート状物はカチオン交換繊維,アニオン交
換繊維,キレート繊維をそれぞれ単独で抄紙したシート
状物,あるいは該シート状物を2枚以上積層して用いた
ものに比べて,抄紙工程の簡略化による金属汚染の減
少,および使用時の簡便性,ハンドリング性に優れるば
かりか被処理物中の有用物や有害物の捕集・除去性能が
著しく向上する。
カチオン交換繊維(A),キレート繊維(B),アニ
オン交換繊維(C)の混合比は,(A)または(B):
(C)あるいは(A):(B)が90:10〜10:90の範囲が
好ましく,十分な性能を発揮するためには30:70〜70:30
がより好ましい。
また,(A),(B),(C)3種を混合する混合の
混合比は特に限定しないが使用目的に応じて適宜選定す
るのが好ましい。
さらに本発明は,該シート状物の単位目付量当りに含
有する重金属の量が 20≧(a/b) [但し,a:シート中金属の量(μg/m2) b:シートの目付量(g/m2)を示す] でなくてはならない。これを越えた量がシート状物中に
含有すると,たとえば被処理物中の極微量の元素を定量
するための分析用ろ紙として使用する場合,(たとえば
蛍光X線分析法で測定すると)極めて精度が悪くまた,
高捕集効率も望めない。
従って,高捕集効率でしかも極微量元素を精度良く定
量するには,好ましくは 10≧(a/b) であり,特に好ましくは重金属の中でもFe,Cu,Ni,Co,Cr
の(a/b)の値がそれぞれ3,2,1,1,1以下が良い。
また該シート状物を構成するカチオン交換(アニオン
交換,キレート)繊維中に含有する重金属の量としては
10ppm以下が好ましく,10ppmを越えると捕集効率が悪く
なるばかりか,必然的にシート状物に含有する重金属の
量が多くなるため,より好ましくは5ppm以下である。
該シート状物はろ過抵抗(通液,通気)が低いほうが
良いが,捕集効率が悪くならないことが重要であり,目
付量としては30g/m2以上,好ましくは50〜500g/m2であ
る。
次いで本発明のシート状物は強度,捕集効率の向上あ
るいは実用上の点から目付量と厚みの関係が次式に満足
するものでなくてはならない。
0.0008W≦H≦0.003W [但し,W:シート状物の目付量(g/m2), H:シート状物の厚さ(mm)を示す] この範囲をずれるとろ過抵抗が大きくなり過ぎたり捕
集効率やシート強度の低下,あるいは分厚過ぎて実用的
でない等の欠点が生じる。
従って0.001W≦H≦0.002Wの範囲がさらに好ましい。
本発明はカチオン交換繊維,アニオン交換繊維,キレ
ート繊維のなかで少なくとも2種を混合したものであれ
ば十分な性能を発揮できるが,とりわけ強酸性カチオン
交換繊維と強塩基性アニオン交換繊維を混合抄紙したシ
ート状物が好ましい。
該強酸性カチオン交換繊維と強塩基性アニオン交換繊
維を混合抄紙したシート状物は,単独で抄紙したものに
くらべて通液(通気)抵抗が著しく低く,かつ極限まで
イオンを除去できることから通液(通気)性,捕集性が
向上し高純度の液体(気体)が容易に得られる。
また,従来ペーパーに比べ著しく処理速度が向上し,
驚くべきことに例えばシートの体積の20000倍(時間当
りの通液量)の高流速で通液しても何等捕集効率は低下
しないばかりか通液抵抗も著しく低い。
例えば,1ppm濃度の食塩水を上記速度で通液した時の
処理水の電気伝導度は0.1μs/cm以下であり極めて捕集
性が良い。
さらに,シートの安定性が増し製造時や使用の際にア
ミンなどの臭気がなく,シートの長期保管にも十分耐え
得るシート状物が得られるなど多くの利点を有してい
る。
該強酸性カチオン交換繊維と強塩基性アニオン交換繊
維の混合比は9.5:0.5〜0.5:9.5であり好ましくは40:60
〜60:40である。
本発明のシート状物を構成する他の成分として熱可塑
性ポリマを一部含有するものが該シート状物の強度,特
に水中での形態保持性および耐水性に優れ,また熱処理
温度を低くすることができるばかりかシート形成上も好
ましい。その含有量としては1〜70%程度が好ましく,
あまり多すぎるとカチオン交換(アニオン交換)繊維,
キレート繊維の効果が無くなるばかりか通液(通気)抵
抗が大きくなり好ましくない。
熱可塑性成形物としては公知のいかなるものでも良い
が,カチオン交換(アニオン交換)繊維,キレート繊維
と共にシート化できることが必須で特にポリα−オレフ
ィンたとえば,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ−
3−メチルブテン−1,ポリ−4−メチルペンテン−1が
好ましい。
該熱可塑性成形物中に含有する重金属の量は少ない程
良いことはいうまでもないがたとえば10ppm以下が特に
好ましい。
また,該熱可塑性成形物が繊維状であるとさらに好ま
しい。特に0.3〜20mmの短繊維あるいはフィブリル化繊
維が好ましい。
次に,本発明のシート状物を得るための抄紙装置は,
実質的に重金属の溶出しない材質で行うことが重要であ
る。例えば,抄紙装置は有機系ポリマからなる成形品あ
るいは金属製の基材に有機系ポリマをコーティングまた
は該有機ポリマの成形品をラミネートしたもので行うこ
とが好ましい。
有機系ポリマとしては,例えばポリオレフィン,ポリ
塩化ビニル,ポリアミド,ポリエステル,塩素化ポリエ
ーテル,ふっ素樹脂,ポリフェニレンスルフィド,エポ
キシ樹脂,ポリエステル,ポリアクリル,シリコーン樹
脂などの単体および混合体であるが,実質的に金属特に
前記Fe,Cu,Ni,Co,Crなどが抄紙工程において溶出あるい
はシート中に混入しないものであればいかなるものでも
良い。
シート状物を製造する方法としては,例えば上述した
装置を用い,かつ電気比抵抗が5〜18.25MΩ・cm(25
℃)の純水を用いて湿式で抄紙を行なう。この時,得ら
れる紙状物の均一性を良くする目的で公知の,例えばポ
リエチレングリコール等の分散剤を用いても良い。
純水を得る方法としては例えば,飲料水を逆浸透膜お
よび/または限外ろ過膜で処理した水をさらにイオン交
換体で処理する方法がある。
また,得られる紙状物はシート状物の目付量と厚みの
関係で前記(2)式を満足する必要があることは言うま
でもなく,このため抄紙後にプレス装置による圧搾工程
等適宜行うのが好ましい。
かかる製造法で得られるシート状物は金属含有量が極
めて少なく強度,性能とも良好なものである。
本発明のシート状物はそのままでも十分な性能を有す
るが,さらに性能の向上を目的として50〜200℃の条件
で少なくとも1回熱処理すると熱可塑性ポリマなどの熱
結着により該シート状物の強度が高くなり,かつシート
状物を構成する繊維の離脱が防止されるため好ましい。
かかる熱処理温度は,熱可塑性ポリマの種類,量,カチ
オン交換(アニオン交換,キレート)繊維の種類あるい
は要求特性などにより適宜選定する。
また,無圧下でも良いが加圧下で熱処理すると低温で
熱処理することが可能となり,作業性,経済性などで有
利であるばかりか,得られるシート状物の性能も向上す
るため好ましい。その圧力は1〜100kg/cm2の範囲で適
宜選定する。
熱処理する方法としては,通常行われている公知の方
法例えば,熱ロールを用いた連続法,あるいは熱プレス
(乾式法,湿式法)による方法などである。
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する
が,本発明はそれら実施例に限定されるものではない。
[実施例] 実施例で用いるカチオン交換繊維およびアニオン交換
繊維は,次の方法で製造したものである。
多芯海島型複合繊維(未延伸糸)[海成分(ポリスチ
レン)/島成分(ポリプロピレン)=50/50(島数16,繊
維直径34μm)]を長さ0.5mmに切断してカットファイ
バーを得た。
該カットファイバー1重量部を市販の1級硫酸10容量
部とパラホルムアルデヒド0.15重量部からかなる架橋・
スルホン化液に加え85℃で5時間反応処理した後,水洗
した。
次に,アルカリで処理してから電気比抵抗18MΩ・cm
の純水を用いてろ液が中性になるまで洗浄した後さらに
酸で処理し、ろ液が中性になるまで純水で洗浄すること
によってスルホン酸基を有するカチオン交換繊維を得た
(交換容量3.0ミリ当量/g−H,含水度1.2)。
また上記カットファイバー1重量部を市販の1級硫酸
5容量部,水0.5容量部とパラホルムアルデヒド0.2重量
部からなる架橋液に加え85℃で4時間架橋反応を行っ
た。
次にクロルメチルエーテル8.5容量部と塩化第二スズ
1.5容量部からなる溶液に架橋糸を加えクロルメチル化
した後,30%トリメチルアミン水溶液10容量部に加え30
℃で1時間アミノ化して純水で洗浄した。さらに塩酸で
処理してから純水で洗浄した後さらに2N−水酸化ナトリ
ウムで活性化処理し純水で洗浄することによってトリメ
チルアンモニウムメチル基を有するアニオン交換繊維を
得た(交換容量2.8ミリ当量/g−OH,含水度1.5)。この
時の繊維中の金属含有量は,Fe:1ppm,Cu,Ni,Co,Cr:1ppm
以下であった(試料を硫酸で炭化した後電気炉内で灰化
し,これをふっ化水素酸および塩酸で加熱処理し希硝酸
で溶解,定容としICP発光分光分析法で測定した)。
実施例1 上記カチオン交換繊維5gとアニオン交換繊維5gおよび
ポリエチレン合成パルプ[商品名SWP(E620),三井石
油化学工業(株)製]2.5gを1の純水とともにミキサ
ー[NationalクッキングミキサーMX915C松下電気(株)
製]で5分間混合処理した。次いで抄紙機(角型シート
マシーン,熊谷理機工業製,抄紙網はステンレス製SUS3
16)の表面をふっ素樹脂でコーティングしたもので抄造
し紙状物を得た。この時使用した純水の電気比抵抗は18
MΩ・cm(飲料水を逆浸透膜に通水した後,イオン交換
体で処理)であった。
得られた紙状物を清浄なろ紙でサンドイッチ状にはさ
みプレス装置では10kg/cm2の圧力下圧搾脱水後,回転式
乾燥機を用いて100℃にて乾燥した(目付量200g/m2,厚
み0.6mm)。
さらに,熱ロールを用いて80℃,30kg/cm2の加圧下1m/
minの速度で処理した(厚み0.22mm)。
得られたシート状物をΦ47mmに打抜き[カム式カッタ
ー,大栄科学(株)製]評価に供した。
シートに含有する金属量を蛍光X線分析法で測定した
(理学製全自動蛍光X線分析装置3080E2型を用いて常法
により測定)。結果を第1表に示したが金属含有量は極
めて少ないことがわかる。
さらに該シート状物をろ過器に装着しNi,Cr各イオン
それぞれ10ppb含有する検水10を200ml/minの速度で送
液ろ過し捕集性能およびろ過抵抗を調べた。通水時のろ
過抵抗は,0.12kg/cm2で極めて低くまた,通水後シート
状物の形態保持性も良好であった。
これを70℃で乾燥後,蛍光X線分析を行ったところ,N
i:100μg,Cr:100μgが検出された。
また,ろ液中のNi,Crイオンを定量し捕集効率(下記
式)を調べたところ99.9%であった。このように1枚の
シートでアニオンおよびカチオンの捕集を効率良く,か
つ簡単に行うことができる。
捕集効率(%)={1−[(ろ液中のNi+Crの量)/
(検水中Ni+Crの量)]}×100 また,製造時や保管時にも臭気は無く極めて安定であ
り,3か月後の捕集効率を調べたが製造時と全く変化がな
かった。
比較例1 実施例1で用いたカチオン交換繊維5gとポリエチレン
合成パルプ1.25gを1の純水とともにミキサーで3分
間混合処理し実施例1と同様にして紙状物を得た(目付
量100g/m2)。
また実施例1で用いたアニオン交換繊維5gとポリエチ
レン合成パルプ1.25gを1の純水とともにミキサーで
5分間混合処理し,同様にして紙状物を得た(目付量10
0g/m2)。
次いで実施例1と同様にしてカチオンおよびアニオン
交換性のシート状物を得た。アニオン交換性紙状物をシ
ート化する際,工程中のアミンの臭気が極めて強かっ
た。
両者をΦ47mmに打ち抜いた後[カム式カッター,大栄
科学(株)製],各々のシート状物中に含有する金属量
を測定したところ実施例1に比べて多かった。また各シ
ート状物を1枚ずつ積層してろ過器に装着し実施例1と
同様に評価した。
この時のろ過抵抗を測定したところ0.25kg/cm2と高か
った。
これを70℃で乾燥後,蛍光X線分析を行ったところ,N
i:100μg,Cr:99μgが検出された。
またろ液中のNiおよびCrイオンを定量(原子吸光法で
測定)したところ,捕集効率はほぼ98.3%で本発明のも
のに比べて低かった。
結果を第1表に示した。
実施例のものに比べシート化に2倍の時間を要しか
つ,製造時の臭気が強く換気を十分する必要があった。
さらにろ過抵抗が大きく捕集効率も悪かった。また使用
後の金属を定量するため両者を剥がそうとしたが剥がれ
にくくなっていた。
さらに3ケ月後,アニオン交換性シートの捕集効率
(Cr)を調べたところ95.3%となり経時変化し性能が低
下していた。単独で抄紙したアニオンタイプのものは保
管時アミン臭気が強く,性能を保持するには塩形にして
おく必要があり,使用時に活性化しなくてはならない煩
わしさがある。
比較例2 実施例1で使用した抄紙装置を用いて同様に抄造し紙
状物を得た。次いで乾燥しシート状物を得た(目付量20
0g/m2,厚み0.8mm)。
得られたシート状物をΦ47mmに打ち抜き[カム式カッ
ター,大栄科学(株)製],実施例1と同じ評価を行っ
た。結果を第1表に示した。
ろ過抵抗は小さいものの,捕集効率が95.1%と低く,
評価中繊維の脱落が見られまた,強度も弱く取扱い性が
極めて悪かった。
比較例3 真鍮製の抄紙機(角型シートマシーン,熊谷理機工業
製,抄紙網は銅製)を用いた以外は実施例1と同様にし
てシート状物を得た(目付量200g/m2,厚み0.23mm)。
これをΦ47mmに打抜き[カム式カッター,大栄科学
(株)製],実施例1と同じ評価を行った。
シート状物中の金属の量が極めて多く,通水後の金属
量はバラツキが大きく正確に測定できなかった。また,
捕集効率も97.8%と本発明のものに比べて低かった。結
果を第1表に示した。
[発明の効果] 本発明のイオン交換性シート状物は,1枚のシートで陽
イオンと陰イオンを同時にしかも簡便に極限まで捕集で
きるばかりか,反応速度が大きいことから10ml/cm2/分
以上の高速で処理可能であり作業効率も極めて良い。
また,重金属含有量が極めて少ないことから捕集性が
良いことは勿論,微量の元素を精度良く測定でる。
さらに,高強力でしかも通液抵抗が小さく,耐水性・
安定性にも優れている。
従って各種工業分野,特に極微量元素の定性・定量分
析およびその他分析の前濃縮資材あるいは極微量イオン
の除去,各種のイオン交換,吸着用途,有機反応におけ
る酸・塩基触媒,超純粋製造における最終ポリッシャー
など広く利用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 5/22 C08J 5/22 G01N 30/96 G01N 30/96 Z (56)参考文献 特開 平3−118813(JP,A) 特開 昭62−247820(JP,A) 特開 平2−52046(JP,A) 紙パイプ技術タイムス 第27巻第1号 (昭59−1−1)紙業タイムス p.25 〜30 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01J 47/12 C08J 5/22 B01D 15/04 C02F 1/42 B01J 20/26 G01N 30/96 B01D 39/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カチオン交換繊維,アニオン交換繊維,キ
    レート繊維のうち少なくとも2種を混合したものからな
    り,かつ下記(1)および(2)式を満足することを特
    徴とするイオン交換性シート状物。 20≧(a/b) ……(1) [但し,a:シート中金属の量(μg/m2) b:シートの目付量(g/m2)を示す] 0.0008W≦H≦0.003W …(2) [但し,W:シート状物の目付量(g/m2), H:シート状物の厚さ(mm)である]
  2. 【請求項2】強酸性カチオン交換繊維と強塩基性アニオ
    ン交換繊維からなり,かつ前記(1)および(2)式を
    満足することを特徴とするイオン交換性シート状物。
  3. 【請求項3】熱可塑性成形物を少なくとも一部含有する
    請求項1および2のいずれかに記載のイオン交換性シー
    ト状物。
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