JP2000033217A - ケミカルフィルター - Google Patents

ケミカルフィルター

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JP2000033217A
JP2000033217A JP10201658A JP20165898A JP2000033217A JP 2000033217 A JP2000033217 A JP 2000033217A JP 10201658 A JP10201658 A JP 10201658A JP 20165898 A JP20165898 A JP 20165898A JP 2000033217 A JP2000033217 A JP 2000033217A
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chemical
chemical filter
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Nami Hirata
奈美 平田
Yoichi Fujimura
洋一 藤村
Hideo Saruyama
秀夫 猿山
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イオン交換繊維そのものの性能の高さを生かし
たことを第一の特徴に、またその濾材1aの形態を第二
の特徴に持ち、それらの利点によって低圧損と高い吸着
容量という相反するフィルター特性を同時に満足させる
ことのできる、極めて高精度のケミカルフィルター1〜
5を提供する。 【解決手段】ポリスチレン系ポリマを基材とするイオン
交換繊維を少なくとも含む、濾紙状形態のフィルタ濾材
1aを枠材1b内に内蔵することを特徴とし、クリーン
閉空間におけるケミカル汚染を浄化する目的で用いられ
るケミカルフィルター1〜5である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はケミカルフィルタ
ー、すなわちクリーンルーム、クリーンブース、クリー
ンベンチなどのクリーン閉空間におけるケミカル汚染物
質について、イオン交換もしくは電荷的吸着機構により
ppbオーダーの極めて低濃度のレベルまで低減・除去
することを可能にした高精度ケミカルフィルターに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子工業分野、バイオケミ
カル分野等でクリーンルーム等、クリーン閉空間での作
業の必要性が急増している。それぞれの製造技術レベル
の向上が進むにつれて、そのクリーン度への要求も厳し
いものとなり、またそれに不随した分析技術がここ数年
で飛躍的に向上したことによりこれまでは問題として顕
在化しなかった物質の除去がいかに必要かということも
顕著になってきた。
【0003】具体的に言うと、これまでのクリーンルー
ム等クリーン閉空間におけるクリーン化はHEPAフィ
ルタなどを使用する個体微粒子の除去に主眼がおかれて
おり、極限に近い管理が行われていたが、一方、クリー
ン閉空間内に存在する工程ミストやガス、作業者からの
発汗中に含まれるアンモニアガス等の化学物質には視点
が向けられていなかった。そのため、クリーン閉空間の
空気は循環使用されて浄化されているはずが、それらの
物質においてはむしろ濃縮されて外気のレベルよりも高
い値を示すものまで存在することがわかってきた。
【0004】特に超LSI等を製造する電子工業分野で
は、その集積度が上がるにしたがってこれらの化学物質
の存在によりパターン不良や絶縁破壊などが頻発し、直
接製品の歩留まりを悪化させる現象が特定されるに至
り、HEPAフィルタとは全く異なるコンセプトの新規
フィルタによって化学物質をppbオーダーまでの極低
濃度に吸着・除去するという新規ニーズが生まれてき
た。
【0005】ここで、このようなニーズに応えるイオン
交換繊維を濾材とするケミカルフィルターとしては、特
開昭60−183022号公報では、空気中の変異原物
質を捕捉するためのカチオン交換繊維からなるフィルタ
ーが提案されている。このフィルターは素材として非常
に高い性能を有する物ではあるが、そのフィルター構造
および使用方法についての配慮がなされていない。すな
わち、フィルターが平面的にそのままの形で用いられ、
被処理空気が濾材面をそのまま貫通して濾過するいわゆ
る直交流タイプであるため、使用に際しては非常に圧損
の高いフィルタ設計とならざるを得ない。そのため、フ
ィルターの透過流束を考慮した材料構成をとっている。
また、通常の一般雰囲気中での使用、あるいはたばこフ
ィルターとした使用を目的としているため、ケミカルフ
ィルターとしての極低レベルまで低減可能な性能に言及
したものではなかった。
【0006】また、一方でリン酸等の中和反応液を活性
炭や活性炭素繊維に坦持して、空気中の化学物質と塩を
構成することにより除去するフィルターについての提案
がなされている(たとえば特開平4−97904号公
報)。しかしながら、この方法は精製する塩が蒸気圧を
有しているため、その濃度以下に吸着することができ
ず、計算上の理論吸着量に比べ、かなり低い値でフィル
タ設計をしなければならないという致命的な欠点を有し
ていた。
【0007】さて、イオン交換繊維を用いたもう一つの
例として、イオン交換繊維からなる布や不織布あるいは
フィルム状のものを折り込むことにより膜面積を大きく
して処理能力を増大させたタイプの提案がある(たとえ
ば特開平4−247207号公報)。
【0008】しかしながら、これらの方法にはイオン交
換繊維自体の性能への言及がなされておらず、その性能
によって大きくフィルター性能が異なることについて何
ら言及されていない。またいくら接触膜面積を大きくし
たとしても、やはり膜面に気体をそのまま通過させる直
交流である限りは圧損が上がることは避けがたく、反対
に圧損を下げるために濾材の充填密度を下げると吸着性
能が低下するというジレンマから逃れることができなか
った。
【0009】また、特願平5−273353号公報に示
されるような、イオン交換繊維層からなるフィルタとそ
の他の吸着材を組み合わせる方法は非常に有効な方法で
あるが、やはりそれぞれの層について気体をそのまま通
過させる直交流であることから圧損が高いことは避けが
たく、またイオン交換繊維自体が持つ交換容量等につい
ての特性が示されない限りはオリジナリティーのないも
のにならざるをえなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の問題点に鑑み
て、本発明は、イオン交換繊維そのものの性能の高さを
生かしたことを第一の特徴に、またその濾材の形態を第
二の特徴に持ち、それらの利点によって低圧損と高い吸
着容量という相反するフィルター特性を同時に満足させ
ることのできる、極めて高精度のケミカルフィルターを
提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、クリーン閉空間におけるケミカル汚染の
浄化に用いるフィルターであって、少なくとも、ポリス
チレン系ポリマを基材とするイオン交換繊維(例えば特
公昭56−18139に示される)を含む濾紙状形態の
フィルタ濾材を枠材内に内蔵してなることを特徴とする
ケミカルフィルターを提供するものである。なお、本発
明において、「クリーン閉空間」とは、クリーンルー
ム、クリーンブース、クリーンベンチ等の内部空間をい
い、主として外部から遮断された空間を意味するが、系
外の外部から空気などの被処理流体を取り込む空間も含
まれるものとする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、三次
元濾過構造体としての濾材1aが格子型に形成された本
発明のケミカルフィルターの斜視図であり、濾材が例え
ばアルミニューム等の適当な材質からなる矩形状の枠材
1b中に充填されており、被処理流体が矢印方向に通気
することにより高精度の濾過がされるようになってい
る。濾材1aは、被処理流体となるべく多く接触させる
機会を持たせるため三次元方向に形成されて、いわゆる
三次元濾過構造体を形成し、所定体積の枠材1b内に高
密度に充填されている。この三次元濾過構造体の態様と
しては、特に限定されないが、例えば図2に示す波形
2、図3に示すハニカム型3、図4に示す円筒型4、図
5に示すコルゲート型5などの態様にすることができ
る。これらの詳細は後述するがいずれにしても特徴的な
ことは矢印8で示す被処理流体の通気方向が平行流とな
っていることである(この詳細は後述する)。
【0013】本発明において第一に重要な点は、三次元
濾過構造体としての濾材1aを構成するイオン交換繊維
の基材となるのがポリスチレン系ポリマであるという点
である。ポリスチレンはその化学的安定性・イオン交換
基の導入容易性・保持性の高さなどからイオン交換体の
基材として非常に優れた性能を有していことは周知の事
実であるがそのうちでも、とくに架橋不溶化したポリス
チレンが好ましい。しかし、ポリスチレンの靭性の無さ
から、単独で実用レベルでの機械的性能を有する繊維を
得ることはほぼ不可能であり、繊維化することが極めて
難しいためポリスチレンからなるイオン交換基を導入し
たポリマを補強用ポリマが支える構造をとる繊維である
ことが好ましい。ここで、イオン交換繊維の含水度は
1.0〜5.0の範囲にあることが好ましい。含水度と
はNa型(CL型)のカチオン(アニオン)交換体をイ
オン交換水に十分浸漬した後、遠心脱水して表面の水分
を除去し、ただちに重量(W)を測定し、さらにそれを
乾燥した後重量(Wo )を測定して次式より求めた値で
ある。
【0014】含水度=(W−Wo )/Wo このイオン交換繊維の直径は、高比表面積を有する点か
ら15〜100μmが好ましい。より好ましくは20〜
70μm、特に30〜50μm(乾燥状態)が最も好ま
しい。
【0015】イオン交換用ポリマと補強用ポリマの混合
態様は特に問わないが、例えばイオン交換ポリマを鞘成
分の主成分に補強用ポリマを芯成分にした芯鞘型繊維,
多芯型混合及び多芯型複合繊維が好ましく用いられる。
特に多芯型複合繊維が十分な機械強度を有しており、様
々な形態付与を行った際の強度安定性その他に優れてお
り、イオン交換体としての比表面積が大きく好ましい。
また、補強用ポリマとしてはポリ−α−オレフィン,ポ
リアミド,ポリエステル,ポリアクリル等を挙げること
ができるが、これらに限定されるものではない。中で
も、イオン交換繊維の製造上ポリ−α−オレフィンが耐
薬品性に優れていて好ましい。ポリ−α−オレフィンと
してはポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ−3−メチ
ルブテン−1,ポリ−4−メチルペンテン−1等が挙げ
られるが強度や製造性の点からポリエチレンが好まし
い。上記繊維を適度な長さにカットし、その後イオン交
換基を導入する。イオン交換基にはカチオン交換基とア
ニオン交換基があり、それぞれの機能を発揮する。カッ
ト長は任意であるが、短かすぎると形態化しても繊維の
脱落が起こり好ましくなく、長すぎると反応の均一差に
支障が出るため、0.1〜10mmの範囲が好ましく、
より好ましくは0.3〜5mmさらには0.3〜1mm
の範囲が好ましい。
【0016】アニオン交換基としては、ハロアルキル化
物をトリメチルアミン等の第3級アミンで処理すること
によって得られる強塩基性アニオン交換基、及びイソプ
ロピルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、モルホリ
ン等の2級以下のアミンで処理することによって得られ
る弱塩基性アニオン交換基があげられるが、本発明にお
ける処理性能の点で強塩基性アニオン交換基が好まし
い。
【0017】カチオン交換基としては、スルホン酸基、
ホスホン酸基、カルボン酸基、イミノジ酢酸基等のアミ
ノカルボン酸基が好ましくもちいられるが、本発明にお
ける処理性能の点でスルホン酸基がより好ましい。
【0018】本発明におけるイオン交換繊維の具体的な
製造法としては、ポリスチレン系化合物とポリ−α−オ
レフィンからなる多芯型混合もしくは複合繊維を酸触媒
下でホルムアルデヒド源でポリスチレン部を架橋不溶化
し、次に公知の方法でイオン交換基を導入して製造する
方法が挙げられるが、これに限るものでは無い。
【0019】導入するイオン交換基の量は、ケミカルフ
ィルターに加工した際にその機能を十分発揮することが
可能な程度のイオン交換容量を有するために、繊維の乾
燥重量に対して少なくとも0.5meq/g以上である
ことが好ましく、さらには1.0〜10meq/gであ
ることが好ましい。
【0020】第2に、本発明において重要なことは上記
三次元濾過構造体を構成するイオン交換繊維が濾紙状形
態をとっていることである。イオン交換繊維の形態化は
容易であり、様々なもの、たとえば織物や不織布等が挙
げられる。しかしながら本発明の目的において、濾紙状
形態を付与したことによって大きな利点を生んだ。まず
濾紙は他の形態、織物や不織布等に比べて、厚みを薄く
しながらコシのある材料にすることが可能である。従っ
てそれを用いてケミカルフィルター用濾材しての3次元
構造体を形作ることが非常に容易な材料形態であった。
その抄紙方法については任意であるが、たとえばイオン
交換繊維とその他の必要材料を水中で混合してスラリー
状に分散させ、金網や濾布等の上に均一に乗せる形で梳
き、その後水分を一気に抜き取り、乾燥工程を経て紙状
にする方法が挙げられるが、特にこれに限るものではな
い。濾紙の目付は30〜1000g/m2の範囲が好ま
しく、特に50〜500g/m2が好ましい。特にこの
濾紙を折ったり曲げたりする後工程を考慮すると100
〜300g/m2がもっとも好ましい。
【0021】また、濾紙状形態はイオン交換繊維以外の
材料を均一に工業化レベルで簡単に混合して抄紙するこ
とが可能である。従って、抄紙性を向上させるためセル
ロース、パルプ等足の長い繊維を若干量混抄させる、無
機繊維と混合させる等の手法を用いることに何ら問題は
無い。また、熱融着性材料を極めて均一に薄く混抄する
ことも充分可能である。もちろんこれらの混合比率は任
意であるが、イオン交換性能を低下させないために、イ
オン交換繊維の比率は50%以上であることが好まし
い。
【0022】さて、熱融着材料と混抄することにより、
熱と圧着圧力のみで非常に容易に3次元構造体を形作る
ことができる。この熱融着材料はイオン交換繊維を形成
するポリスチレンやポリ−α−オレフィンの融点よりも
低い融点を持つポリマであれば良く、特に限定される物
ではない。ポリエステル系、ポリオレフィン系、ビニル
系等の低融点ポリマから必要に応じて選択されればよ
く、その形態も特に限定される物ではない。しかし、イ
オン交換繊維との混合性や抄紙性を考慮すると熱融着繊
維であることがもっとも好ましい。
【0023】ここで本発明のケミカルフィルターは、こ
の濾材による3次元構造体が接着剤等を用いることなく
熱圧着のみで形作られ、かつ他の補強材・形態保持材を
も使用することなく枠材内に内蔵することが可能であ
る。このことはケミカルフィルターのトータル性能にと
って非常に重要である。例えば形態保持材を用いてシー
ト状の濾材を入れるのに対して、濾材のみで構造体を作
成して内蔵する方法が、単位体積あたりの濾材比率が大
きいのは自明である。また極めて重要なことは、接着剤
や補強材・形態保持材から放出される微量のガス(アウ
トガス)の懸念が無いということである。本発明のケミ
カルフィルターを必要とするようなクリーンルーム、ク
リーンブース、クリーンベンチなどクリーン閉空間にお
いては、存在するガス濃度レベルが通常空間とは全く異
なる低濃度である。そういう雰囲気においては、内部に
存在する材料すべてから、どれだけアウトガスが放出さ
れているかということが極めて大きい問題となる。もち
ろん吸着剤として使用されているケミカルフィルターか
らのアウトガスについても同様に細心の注意が必要であ
る。そんな中で接着剤を使用して、濾材を加工したり、
枠材に装着したりすることは全く致命的な欠点となる可
能性が高い。また、形態保持材や補強材といった他材料
からのアウトガスといった懸念がないことも、非常に有
効な利点である。
【0024】上述したように、本発明における3次元構
造体の形状的特徴についての限定は特にない。最終的に
フィルターとなった際に、吸着すべきガスの吸着効率と
その際の圧力損失が実用レベルで達成できている物であ
ればどんな形でも基本的にはかまわない。3次元構造体
の空隙率についても特に限定はない。しかし、濾紙の材
料内にそのまま通気する直交流7ではなく、3次元構造
体の空隙部分を利用して材料の内壁に平行に通気する平
行流8を作るためには、一定の流路をもつような3次元
構造体の空隙率を保持することが好ましい。3次元構造
体の具体例としては、例えば、図1〜図4の濾材1aに
示すように、格子型、波型、ハニカム型、円筒型等通常
のもの等が挙げられるが、もちろんこれに限ったもので
はない。また、これら3次元構造体の濾材1aは、図3
の符号1cで示すように、被処理流路の流路内壁面に同
一材質の繊維を電植するなどして被処理流体との接触面
積を増やすこともできる。しかし、本発明の目的にはそ
のうちでも図5で示したコルゲート加工を施されたもの
が、単位体積あたりの充填量を大きくでき、かつ平行流
8で通気できるため圧力損失が抑えられること、熱圧着
のみの工程で容易に加工できること、枠材に充填する際
に圧縮充填圧をかけることによって隙間のないしっかり
としたものを接着剤なしで作成可能である、というよう
な理由から好ましい。コルゲート加工品とは図5に示す
ように、波形シート(中芯)5aと平面上シート(ライ
ナ)6とを、熱接着し、交互に積層された多数の小透孔
6aを持つように形成されたもので、この小透孔6a内
を被処理流体が通過するものをいう。なお、本発明にお
いて、「平行流」とは、三次元濾過構造体中の流路内壁
面が上記小透孔のように、被処理流体の通気方向とほぼ
平行であって、かつ、流路の入口から出口までが連通し
た流路内を被処理流体が流れる状態をいうものとする。
ただし、上記「ほぼ平行」には、流路の入口と出口とが
連通した状態でありさえすればよいのであり、流路が図
中の直交流タイプ7のように平行流タイプ8とは異なっ
て、内部に多少の凹凸した状態のものも含まれるものと
する。
【0025】また、コルゲート加工品の構成は任意であ
り、中芯の枚数を複数にしたり、その山高さを変えるな
どの工夫を加えることはなんら問題ない。基本的にはラ
イナ及び少なくとも一つの中芯からなるコルゲート加工
を施されたものであれば良い。熱融着コルゲート加工品
の製法としては、中芯用基材となる濾紙を表面に凸凹を
有するロールに接触させながら通過させて波状加工した
後、中芯側に波状の形状を持つロール、ライナ側にフラ
ットな形状を持ったロールとしたロールにそれぞれの濾
紙を挟む形で中芯用基材の波形の山の部分をライナ用基
材に圧着・加熱することにより、中芯の一部のみが溶融
接着した形にする方法が用いられることが多いが、最終
的に同様の形態を作ることができるものであるならば特
にこれに限るものではない。
【0026】最後に、この3次元構造体1aを枠材1b
にどんな方向で充填するかは任意であり、最終的にフィ
ルターとなった際に、吸着すべきガスの吸着効率とその
際の圧力損失が実用レベルで達成できている物であれば
基本的にはかまわない。しかし、濾材面に直交流で被処
理空気を通気する方法はそれだけで圧力損失が高くなる
ことが容易に推定されるため、適度な吸着効率を保持で
きる限りの面風速であれば複数枚積層して、被処理空気
の通気方向に対して平行流になるように、枠材に充填す
ることが好ましい。
【0027】以上に詳述した本発明のケミカルフィルタ
ーが適用される分野は、クリーンルーム、クリーンブー
ス、クリーンベンチなどのクリーン閉空間における汚染
物質吸着を必要とする分野であり、この中でも特に高度
の除去性能が要求される電子工業分野に好適な高性能フ
ィルターである。
【0028】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0029】なお、図6は以下に述べる実施例、比較例
の実施に際して採用したアンモニア通気試験装置の概略
模式図であり、10は外気を取り込むファン、11は外
気を予備的に濾過する活性炭充填フィルター、12はH
EPAフィルターである。一方、13はこれら機器を接
続する導管に設けられたアンモニアガス注入口であり、
14のガス混合チャンバー内で一定濃度に混合され、こ
の混合サンプルガスがサンプリング口(上流側)15で
サンプリングできるようになっている。
【0030】16は本発明に係るケミカルフィルター1
〜5の取付口であり、そのフィルターによって濾過され
たガスがサンプリング口(下流側)17でサンプリング
できるようになっている。一方、残余のガスは放流口1
8から放棄されるようになっている。
【0031】実施例 (イオン交換繊維製造工程)製糸した多芯海島型複合繊
維[海成分ポリスチレン/島成分ポリエチレン=50/
50(島数16)]を長さ0.5mmに切断してカットフ
ァイバーを得た。該カットファイバー1重量部を市販の
1級硫酸7.5容量部とパラフォルムアルデヒド0.0
7重量部からなる架橋・スルホン化溶液に加え90℃で
4時間反応処理した。次にアルカリで処理してから塩酸
で活性化することによってスルホン酸基を有するカチオ
ン交換繊維を得た。(交換容量3.0ミリ当量/g−N
a,含水度1.5)。 交換容量は次の方法で測定し
た。
【0032】0.1Nの水酸化ナトリウム50mlにカ
チオン交換繊維1gを入れ2時間振とうし、5ml正確
にはかりとって中和滴定によって計算する。
【0033】また、Na型に変換した上記カットファイ
バーをイオン交換水に十分浸漬し、家庭用遠心脱水機で
脱水して重量(W)を測定し、そのまま60℃の乾燥機
中で48時間乾燥して重量を測定して(Wo )次式より
含水度を求めた。
【0034】含水度=(W−Wo )/Wo (抄紙工程)上記イオン交換繊維と熱融着繊維(商品名
“ソフィットN720”:クラレ社製低融点PET)及
び抄紙副材料のマニラ麻を60:20:20の比率で混
合して回転濾布型の大型抄紙マシンで抄紙し、連続して
120℃のドラム回転式乾燥機で乾燥してから巻き取っ
てイオン交換繊維による濾紙を得た。
【0035】(コルゲート加工工程)上記イオン交換繊
維による濾紙をコルゲート加工マシンにおいて波形の表
面形状を有するロール(120〜130℃)、中芯用濾
紙、ライナ用濾紙、及びフラットな表面形状を持つプレ
ッシャーロールの順になるようにして、ロール間に圧力
を与えながらそれぞれのロールを回転し、中芯用濾紙と
ライナ用濾紙とを加熱・加圧圧着し、コルゲート構造体
5を製造した。
【0036】(ケミカルフィルター化工程)上記コルゲ
ート構造体5を590×70mmの長方形にカットして
シート状にした。このシートを積み重ねて、横590×
縦590×奥行き70mmの三次元濾過構造体になるよ
うにアルミ製枠材1bにはめ込み、本発明のケミカルフ
ィルターとした。このケミカルフィルターの単位容積当
たりのイオン交換容量は濾材(シート)の重量に濾材の
イオン交換容量をかけ算して計算すると、290eq/
m3であった。
【0037】このケミカルフィルター5を用いて、アン
モニアの吸着性能実験を行った。図6の試験装置の取付
口16にケミカルフィルター5を装着し、上流から規定
のアンモニア濃度(200ppb)に調整した標準空気
を通気した。通風の面風速は0.5m/sとした。
【0038】一定時間をおいてケミカルフィルターの前
後におけるガスについてサンプリングし、アンモニア濃
度を測定し、その結果をシミュレーション解析した。
【0039】サンプリングは通気管に流れている空気を
枝取りし、インピンジャーと呼ばれる補集器具中の超純
水にアンモニアを溶解させて捕集した。分析はイオンク
ロマトグラフィーを用いた微量分析を行った。
【0040】シュミレーションの前提条件として、10
ppbのアンモニアガスを通気し、ケミカルフィルター
の出口濃度が1ppb以上になった点を寿命と取り決め
た。
【0041】これは、電子工業分野におけるクリーンル
ーム等クリーン閉空間の必要条件から算出した値であ
る。これを用いて解析を行ったところ、本ケミカルフィ
ルターの寿命は590日となった。また、圧力損失は
1.4mmAqと非常に低いものであった。
【0042】比較例1 ポリオレフィンのフィラメントを不織布に形態化してか
ら電子線を照射してグラフト基点を作り、グラフト反応
でカチオン交換繊維としたタイプのイオン交換不織布を
用いて、アルミ針金でできたスペーサーを配置し枠材内
に充填したタイプの市販のケミカルフィルター((株)
荏原製作所製:横590×縦590×奥行き70mm)
について、実施例と全く同様の実験をおこなった。その
結果、このケミカルフィルターの寿命は586日と実施
例とほぼ同等であったが、その圧力損失は6.0mmA
qと極めて高かった。実験の際に面風速を実施例と同一
にする必要があるため、圧力損失が高いこのケミカルフ
ィルターでは通気ファンの容量を大きいものに変更する
必要があった。
【0043】比較例2 活性炭素繊維にリン酸を坦持した濾材をハニカム構造に
したものを積層したタイプの市販のケミカルフィルター
(近藤工業(株)製:横590×縦590×奥行き75
mm)について、実施例と全く同様の実験をおこなっ
た。その結果、このケミカルフィルターの寿命は265
日となり、実施例の約1/2であった。
【0044】このケミカルフィルターについては実施例
のケミカルフィルターとほぼ同等の圧力損失で、通気フ
ァンも同様のものを使用することができた。
【0045】これらの結果より、ポリスチレン系ポリマ
を基材とするイオン交換繊維を濾紙状形態にして、枠材
内に内蔵したケミカルフィルターは、他の方法で製造し
た市販のケミカルフィルターに比べて非常に高精度であ
ることがわかった。
【0046】
【発明の効果】本発明により、クリーンルーム、クリー
ンブース、クリーンベンチなどクリーン閉空間における
ケミカル汚染物質は、ポリスチレン系ポリマを基材とす
るイオン交換繊維のイオン交換もしくは電荷的吸着機構
により、ppbオーダーの極めて低濃度レベルまで除去
することが可能になった。これを具体的に容易にしたの
は、その繊維を濾紙状にして枠材に充填したことによ
る。また、その効果は非常に長寿命で持続するため、ユ
ーザーは低コストのものを得ることができる。さらに、
クリーン閉空間に被処理流体の流路が平行流である本ケ
ミカルフィルターを適用することによって、これまで吸
着容量の高いフィルタでは圧損が大きく、反対に圧損を
下げると吸着容量が小さいという欠点から不満足なまま
使用していたフィルター特性を同時に満足させることが
できた。このことからケミカルフィルターの長寿命化・
低コスト化が可能になり、これまではなかなか普及しな
かった分野にも広く普及する可能性が広がった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る格子型のケミカルフィルターの一
実施例を示した斜視図である。
【図2】本発明に係る波型の三次元濾過構造体の斜視図
である。
【図3】本発明に係るハニカム型の三次元濾過構造体の
斜視図である。
【図4】本発明に係る円筒型の三次元濾過構造体の斜視
図である。
【図5】本発明に係るコルゲート型の三次元濾過構造体
の斜視図である。
【図6】実施例、比較例の実施に際して用いたフィルタ
ー試験装置の模式図である。
【符号の説明】 1:格子型 1a:濾材 1b:枠材 2:波型 3:ハニカム型 4:円筒型 5:コルゲート型 5a:波形シート(中芯) 6:平面上シート(ライナ) 7:直交流タイプ 8:平行流タイプ 9:外気取入口 10:ファン 11:活性炭充填フィルター 12:HEPAフィルター 13:アンモニアガス注入口 14:ガス混合チャンバー 15:サンプリング口(上流側) 16:サンプルフィルター取付口 17:サンプリング口(下流側) 18:放流口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // D01F 8/10 D01F 8/10 D D21H 5/22 C Fターム(参考) 4D012 CA10 CA12 CB01 CB02 CG01 CG03 CG04 4F071 AA02 AA15 AA22 AA46 AD01 AF55 AH02 AH19 FA05 FB01 FC11 FC13 4L041 BA04 BA05 BA13 BA16 BA49 BD06 BD11 CA36 CA47 DD01 DD14 4L055 AA07 AF09 AF16 AF20 AF47 AJ01 AJ07 BF03 CD13 CJ04 GA31

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クリーン閉空間におけるケミカル汚染の浄
    化に用いるフィルターであって、少なくとも、ポリスチ
    レン系ポリマを基材とするイオン交換繊維を含む濾紙状
    形態のフィルター濾材を枠材内に内蔵してなることを特
    徴とするケミカルフィルター。
  2. 【請求項2】イオン交換繊維が、多芯海島構造を有して
    いることを特徴とする請求項1に記載のケミカルフィル
    ター。
  3. 【請求項3】イオン交換繊維が、カチオン交換繊維であ
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のケミカル
    フィルター。
  4. 【請求項4】フィルター濾材中に少なくとも熱融着性材
    料が混抄されていることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載のケミカルフィルター。
  5. 【請求項5】熱融着性材料が、繊維形態をとることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のケミカルフィ
    ルター。
  6. 【請求項6】フィルター濾材が、他の補強材または形態
    保持材を使用することなく、3次元方向に延びる三次元
    濾過構造体を形成していることを特徴とする請求項1〜
    5のいずれかに記載のケミカルフィルター。
  7. 【請求項7】フィルター濾材が、熱圧着のみで3次元構
    造体を形成していることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれかに記載のケミカルフィルター。
  8. 【請求項8】フィルター濾材が、ライナと、少なくとも
    一つの中芯とからなるコルゲート加工を施されてなるも
    のであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記
    載のケミカルフィルター。
  9. 【請求項9】3次元構造体からなるフィルター濾材を複
    数枚積層し、該三次元濾過構造体内を通過する被処理空
    気の流路を通気方向に対して平行流となるように、枠材
    内に充填されていることを特徴とする請求項1〜8のい
    ずれかに記載ケミカルフィルター。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002058926A (ja) * 2000-08-14 2002-02-26 Bridgestone Corp 脱臭フィルター材
KR101068064B1 (ko) * 2005-05-17 2011-09-28 에미텍 게젤샤프트 퓌어 에미시온스테크놀로기 엠베하 허니컴체를 제조하기 위한 금속 와이어 섬사와 부직구조체와의 연결
JP2012075994A (ja) * 2010-09-30 2012-04-19 Toei Sangyo Kk 有害物質除去デバイス、気体又は液体の浄化・精製システム、及び気体又は液体の化学反応システム

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