JP2010158606A - フィルタ、その製造方法及び流体処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アニオン交換繊維とカチオン交換繊維からなり、高いイオン除去能を有するフィルタ及びその製造方法と、このフィルタを用いた流体処理方法を提供する。
【解決手段】アニオン交換繊維シートとカチオン交換繊維シートを有するフィルタにおいて、アニオン交換繊維シート22,24はアルカリ溶液と接触することによりOH型とされたものであり、カチオン交換繊維シート21,23は酸溶液と接触することによりH型とされたものである。
【選択図】図2
【解決手段】アニオン交換繊維シートとカチオン交換繊維シートを有するフィルタにおいて、アニオン交換繊維シート22,24はアルカリ溶液と接触することによりOH型とされたものであり、カチオン交換繊維シート21,23は酸溶液と接触することによりH型とされたものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、アニオン交換繊維とカチオン交換繊維とを含み、アニオンとカチオンを共に除去する機能を有するフィルタ及びその製造方法に関する。また、本発明はこのフィルタを用いる流体処理方法に関する。
純水製造等の脱イオン操作にイオン交換体としてイオン交換樹脂が用いられているが、圧力損失が大きく、ショートパスが生じると処理水質が悪化するという課題があった。
半導体製造プロセスなどで用いられる純水の高純度化処理のためにプリーツ型イオン交換フィルタが広く用いられている。このプリーツ型イオン交換フィルタは、不織布あるいは多孔質膜などの平膜をプリーツ型にしたものである。
プリーツ型イオン交換フィルタは、圧力損失は小さいが、膜厚が薄いため破過が早く寿命が短いと言う課題がある。また、NaやCaなどの金属イオンの除去が主体であるため、カチオン交換体が使用されており、アニオン性物質の除去は考慮されていない。
特開2000−334229(特許3300314)には、煙の成分を除去するためのものとして、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーを交互に吸着させる交互吸着膜が記載されている。この交互吸着膜は、カチオン性ポリマーとアニオン性ポリマーとを支持体に交互に塗布する方法で作製されたものであるため、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーをそれぞれH型、OH型とすることが困難であり、アニオン、カチオン比を任意に変えることができない。
特開平10−230118には、放射線グラフト重合法により製造した強酸性カチオン繊維層と弱塩基性アニオン繊維層とを積層したフィルタが記載されている。このフィルタにおいて、カチオン繊維、アニオン繊維をそれぞれOH型、H型にすることや、その方法についての記載はなく、そのことによるイオンの除去性の向上については言及されていない。
繊維径がナノメーターオーダーである極細のナノファイバの製造方法として電界紡糸法(静電紡糸法)が公知である(下記特許文献3,4等)。この電界紡糸法では、ノズルとターゲットとの間に電界を形成しておき、該ノズルから液状原料を細繊維状に吐出させて紡糸が行われる。細繊維は、ターゲット上に集積されて繊維体となる。
本発明は、アニオン交換繊維とカチオン交換繊維からなり、高いイオン除去能を有するフィルタ及びその製造方法と、このフィルタを用いた流体処理方法を提供することを目的とする。
請求項1のフィルタは、アニオン交換繊維とカチオン交換繊維を有するフィルタにおいて、該アニオン交換繊維はアルカリ溶液と接触することによりOH型とされたものであり、該カチオン交換繊維は酸溶液と接触することによりH型とされたものであることを特徴とするものである。
請求項2のフィルタの製造方法は、請求項1において、前記アニオン交換繊維及びカチオン交換繊維がそれぞれ多孔管に巻回されていることを特徴とするものである。
請求項3のフィルタは、請求項1又は2において、前記アニオン交換繊維とカチオン交換繊維の少なくとも一部が撚り合わされて混合繊維とされていることを特徴とするものである。
請求項4のフィルタは、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維の不織布及び/又は織布のシートを有することを特徴とするものである。
請求項5のフィルタは、請求項4において、複数の前記シートが平膜状に重ね合わされていることを特徴とするものである。
請求項6のフィルタは、請求項4において、複数の前記シートが多孔管に巻回されていることを特徴とするものである。
請求項7のフィルタは、請求項1ないし6のいずれか1項において、イオン交換能のない繊維体又は多孔質体をさらに有することを特徴とするものである。
請求項8のフィルタは請求項1ないし7のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維の繊維径が50nm〜1000nmであることを特徴とするものである。
請求項9のフィルタは、請求項1ないし8のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維が電界紡糸法によって製造されたものであることを特徴とするものである。
請求項10のフィルタは、請求項1ないし9のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維は、電解質ポリマーと非電解質のポリマーとを含むポリマーよりなることを特徴とするものである。
請求項11のフィルタは、請求項1ないし10のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維は、フッ素系電解質ポリマーを含むポリマーよりなることを特徴とするものである。
請求項12のフィルタの製造方法は、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法であって、アニオン交換繊維にアルカリ溶液を接触させることによりOH型アニオン交換繊維とする工程と、カチオン交換繊維と酸溶液を接触させることによりH型カチオン交換繊維とする工程と、OH型アニオン交換繊維とH型カチオン交換繊維とを組み合わせてフィルタを形成するフィルタ形成工程とを有することを特徴とするものである。
請求項13のフィルタの製造方法は、請求項12において、OH型アニオン交換繊維とH型カチオン交換繊維を洗浄し、次いで該OH型アニオン交換繊維及びH型カチオン交換繊維を比抵抗10MΩ・cm以上の純水と接触させるコンディショニング処理を行い、その後、フィルタを形成することを特徴とするものである。
請求項14の流体処理方法は、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のフィルタに流体を接触させることにより流体を処理するものである。
本発明によって提供されるフィルタは、OH型アニオン交換繊維とH型カチオン交換繊維とからなるハイブリッドイオン交換フィルタであり、アニオン性物質とカチオン性物質を効果的に除去することができる。
本発明のフィルタ製造方法では、アニオン交換繊維とカチオン交換繊維を、それぞれ別々にOH型、H型とした後に一体化する。これにより、OH型、H型としない従来のイオン交換フィルタよりも高いイオン除去性能を得ることができる。
なお、本発明のフィルタが電界紡糸されたポリマー繊維の不織布にて構成された場合、プリーツ型フィルタのような偏流がなく、寿命が長い。そして、長期にわたって透過流束を高く保つことができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のフィルタは、アルカリ溶液と接触することによりOH型とされたアニオン交換繊維と、酸溶液と接触することによりH型とされたカチオン交換繊維とを有している。このアニオン交換繊維及びカチオン交換繊維は、電解質ポリマーのみよりなる又は電解質ポリマーと非電解質ポリマーとの複合(ハイブリッド)ポリマーの繊維体よりなることが好ましい。
<ポリマー繊維体の製造方法>
このポリマー繊維体は、好ましくは電界紡糸法又は溶融紡糸法によって製造されるが、電界紡糸法の方が電解質、非電解質の様々な材質の微細な繊維を製造することができ、好適である。
このポリマー繊維体は、好ましくは電界紡糸法又は溶融紡糸法によって製造されるが、電界紡糸法の方が電解質、非電解質の様々な材質の微細な繊維を製造することができ、好適である。
なお、電界紡糸法では、ポリマーの濃度を変化させることにより、繊維径を変化させることができる。溶融紡糸法では、吐出口のサイズ、延伸、熱処理条件等により、繊維径を変化させることができる。
電界紡糸による繊維の製造方法では、アニオン交換繊維、あるいはカチオン交換繊維としての紡糸が可能な、電解質ポリマーを含んだ溶液、あるいはさらに非電解質ポリマーも含んだ溶液を調製し、この溶液を紡糸する方法を用いることが好ましい。
電界紡糸により形成される繊維の繊維径は相当直径で表した繊維径が50nm〜1000nm、特に100〜700nm程度の極細繊維が好適である。「相当直径」とは、1本の繊維(ファイバ)の断面積と断面積の外周長さとから、(相当直径)=4×(断面積)/(断面の外周長さ)によって算出される値である。この極細繊維の長さは、1μm以上が好適である。なお、電界紡糸で作製した場合、数十cmの長さにすることができ、また連続的に紡糸することもできるため、上限なく長くすることができる。
<電解質ポリマー>
電解質ポリマーは、アニオン性又はカチオン性の官能基を有するポリマーが好適である。このアニオン性の官能基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、カチオン性の官能基としては、1〜4級のアミノ基、窒素を含む複素環などが例示される。電解質ポリマーのベースポリマーとしては、後述する非電解質ポリマーのポリマーが例示され、中でもポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、フッ素ポリマーなどが好ましい。耐熱性を有する電解質ポリマーとしては、フッ素を有する電解質ポリマーが好適であり、例えばスルホ基を有するフッ素樹脂が好適である。スルホ基を導入したフッ素樹脂としては、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフロロエチレン共重合体を主成分とする、ナフィオン(Dupont社製「Nafion(登録商標)」)、アシプレックス(旭化成ケミカルズ社製「Aciplex(登録商標)」)、フレミオン(旭硝子社製「Flemion(登録商標)」)、フミオン(Fumatech社製「Fumion」)などが例示される。
電解質ポリマーは、アニオン性又はカチオン性の官能基を有するポリマーが好適である。このアニオン性の官能基としては、スルホ基、カルボキシル基、リン酸基、カチオン性の官能基としては、1〜4級のアミノ基、窒素を含む複素環などが例示される。電解質ポリマーのベースポリマーとしては、後述する非電解質ポリマーのポリマーが例示され、中でもポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、フッ素ポリマーなどが好ましい。耐熱性を有する電解質ポリマーとしては、フッ素を有する電解質ポリマーが好適であり、例えばスルホ基を有するフッ素樹脂が好適である。スルホ基を導入したフッ素樹脂としては、パーフルオロスルホン酸/ポリテトラフロロエチレン共重合体を主成分とする、ナフィオン(Dupont社製「Nafion(登録商標)」)、アシプレックス(旭化成ケミカルズ社製「Aciplex(登録商標)」)、フレミオン(旭硝子社製「Flemion(登録商標)」)、フミオン(Fumatech社製「Fumion」)などが例示される。
なお、フッ素を含有するポリマーを用いると、得られる繊維の耐熱性や性能安定性、化学的安定性が向上する。
<非電解質ポリマー>
非電解質ポリマーは、繊維とした場合に所定の流体透過性を確保でき、紡糸性、耐熱性、化学的安定性等を向上させるものであれば特に限定されない。
非電解質ポリマーは、繊維とした場合に所定の流体透過性を確保でき、紡糸性、耐熱性、化学的安定性等を向上させるものであれば特に限定されない。
アニオン交換繊維、カチオン交換繊維の基となる電解質ポリマーは、単独で紡糸することが難しい場合があるが、たとえ紡糸できても繊維同士の荷電反発により、嵩が大きくなって収まりが悪くなり(即ち、嵩密度が低くなり)、フィルタ化に適さないことがある。一方、非電解質ポリマーは、単独で紡糸することが容易なものを選定することが可能であると共に、紡糸後、繊維同士の反発がないため、フィルタ化し易い。そのため、電解質ポリマーと非電解質ポリマーを混合して紡糸することにより、両者の優れた特徴を有する繊維を得ることができる。電界紡糸においては、紡糸時の紡糸性も向上する。
非電解質ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシカルボン酸などのポリエステル、PTFE、CTFE、PFA、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド、ユリア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリルニトリル、ポリエーテルニトリル、およびこれらの共重合体などの素材が使用できるが、この限りではない。特に1種類の素材に限定されることはなく、必要に応じて種々の素材を選択できる。ただし、50℃以上の高温水の処理に用いるときには、耐熱性を有するフッ素樹脂が好適であり、特にPVDFが好適である。なお、フッ素樹脂にポリオレフィン、ポリエーテル等の他のポリマーを混合してもよい。フッ素含有ポリマーを用いると、得られる繊維の耐熱性や性能安定性、化学的安定性が向上する。
<溶剤>
紡糸前のポリマーを溶解する溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、ケトン、エーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、ジメチルスルホオキサイド、塩素系溶媒、フッ素系溶媒などから上記ポリマーが可溶なものを選択して用いるのが好ましく、2種以上の溶剤を適切な割合で混合しても良い。なお、ポリマー溶液中の水濃度は10重量%以下であることが好ましい。
紡糸前のポリマーを溶解する溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、ケトン、エーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ホルムアミド、ジメチルスルホオキサイド、塩素系溶媒、フッ素系溶媒などから上記ポリマーが可溶なものを選択して用いるのが好ましく、2種以上の溶剤を適切な割合で混合しても良い。なお、ポリマー溶液中の水濃度は10重量%以下であることが好ましい。
電界紡糸を行う場合には、ポリマー溶液中の電解質ポリマー及び非電解質ポリマーを合計したポリマー濃度は5〜40重量%程度が好ましい。
ポリマー溶液はある温度以下になるとゲル化する場合がある。そのときは電界紡糸に際してゲル化しないよう加温してゲル化温度より高温に保持する必要がある。なお、溶融紡糸においても高温にすることで溶液の流動性が上がり、ポリマー吐出に有利という利点がある。
<電界紡糸法によるイオン交換繊維の製造装置>
以下、ポリマー溶液を電界紡糸して、アニオン交換繊維、あるいはカチオン交換繊維を製造する装置の一例を、図面を参照して説明する。
以下、ポリマー溶液を電界紡糸して、アニオン交換繊維、あるいはカチオン交換繊維を製造する装置の一例を、図面を参照して説明する。
第5図は、この製造装置を説明する概略的な斜視図である。
この装置では、吐出口1とターゲット(対向面部)3との間に、吐出口1側が正、ターゲット3側が負となるように電圧を印加しておき、吐出口1からポリマー溶液をターゲット3に向けて吐出させ、ターゲット3上にポリマー繊維を集積(堆積)させ、繊維集積体2を製造する。
吐出口1とターゲット3との距離は50〜500mm特に70〜300mm程度が好適である。両者の間の印加電圧は、電位勾配が1〜20kV/cm程度となるようにするのが好ましい。
繊維集積体を製造する場合、吐出口1から吐出され、ターゲット3に向って飛翔している繊維を加温し、繊維中の溶媒の蒸発を促進させてもよい。この加温を行うには、繊維飛翔ゾーンの雰囲気を加温してもよく、この飛翔ゾーンに向けて赤外線を照射してもよい。また、ターゲット3上に堆積した繊維やターゲット3から取り出した繊維集積体を加温して溶媒の蒸発を促進させてもよい。このように溶媒の蒸発を促進させることにより、嵩密度の高い繊維体を得ることができる。
イオン交換繊維を紡糸する際、そのターゲットに薄膜を設置して紡糸し、紡糸後、薄膜をはがすことにより、自立型の繊維体を得ることができる。薄膜の素材としては、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、アルミニウム箔などを使用することができる。
一方、イオン交換繊維を紡糸する際、そのターゲットに多孔質体を設置して紡糸して多孔質を基材として一体化させることにより、基材一体型の繊維体を得ることができる。
多孔質体としては、不織布、焼結体、分離膜などを用いることができる。
不織布の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、セルロース誘導体などを使用することができる。
焼結体の素材としては、ポリオレフィンなどのポリマー、ステンレスなどの金属、ガラスなどを使用することができる。
分離膜の素材としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、セルロース誘導体、ポリアミドなどを使用することができる。
<イオン交換繊維の調整と洗浄>
上記のようにして得られた繊維をアルカリ溶液又は酸溶液と接触させる、アニオン交換繊維の場合はポリマー繊維を、アルカリ性水溶液で洗浄し、OH型とする。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることができる。濃度は好ましくは0.0001〜10N、より好ましくは0.01〜1Nとする。カチオン交換繊維の場合は、酸性水溶液で洗浄し、H型にする。酸剤としては、塩酸、硫酸などを用いることができる。濃度は好ましくは0.0001〜10N、より好ましくは0.01〜1Nとする。
上記のようにして得られた繊維をアルカリ溶液又は酸溶液と接触させる、アニオン交換繊維の場合はポリマー繊維を、アルカリ性水溶液で洗浄し、OH型とする。アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いることができる。濃度は好ましくは0.0001〜10N、より好ましくは0.01〜1Nとする。カチオン交換繊維の場合は、酸性水溶液で洗浄し、H型にする。酸剤としては、塩酸、硫酸などを用いることができる。濃度は好ましくは0.0001〜10N、より好ましくは0.01〜1Nとする。
このポリマー繊維体をアルカリ溶液又は酸溶液と接触させるためには、ポリマー繊維体をアルカリ又は酸溶液中に浸漬させたり、ポリマー繊維体をカラムに充填し、カラムにアルカリ又は酸溶液を通液するのが好ましい。この接触時間は2〜100時間程度で十分である。
アルカリ性水溶液又は酸性水溶液と接触させることによりアニオン交換繊維とカチオン交換繊維をそれぞれ、OH型、H型とした後、比抵抗10MΩ・cm以上の純水を通水して残留するアルカリ性水溶液、酸性水溶液を除去することが好ましく、これにより、清浄度をさらに向上させることができる。
<フィルタの製造>
上記のようにして製造した各繊維を用いてフィルタを製造するには、例えば、アニオン交換繊維のシートとカチオン交換繊維のシートを平面状に、あるいは有孔中空体上に積層させることによって流体濾過用フィルタとする。また、上記の繊維の集積体から紡いだアニオン交換繊維とカチオン交換繊維のヤーン又はストランドを有孔中空管に巻き付けてフィルタとしてもよい。
上記のようにして製造した各繊維を用いてフィルタを製造するには、例えば、アニオン交換繊維のシートとカチオン交換繊維のシートを平面状に、あるいは有孔中空体上に積層させることによって流体濾過用フィルタとする。また、上記の繊維の集積体から紡いだアニオン交換繊維とカチオン交換繊維のヤーン又はストランドを有孔中空管に巻き付けてフィルタとしてもよい。
平膜状のイオン交換繊維体を積層する場合のアニオン交換繊維シートとカチオン交換繊維シートとの組合せの例を第1図〜第3図に示す。第1図では、流体処理方向から見て下層にk枚のカチオン交換繊維シートc1〜ckを積層させてカチオン交換繊維シート層11とし、その上にm枚のアニオン交換繊維シートa1〜amを積層させてアニオン交換繊維シート層12とし、さらにその上にn枚のカチオン交換繊維シートc1〜cnを積層させてカチオン交換繊維シート層13としたものである。この図では最下層、および最上層のカチオン交換繊維シート層11,13と、その間のアニオン交換繊維シート層12との3層構造となっているが、2層又は4層以上であってもよい。各層のシート枚数は1以上の任意枚数である。
第2図は、カチオン交換繊維シート21,23,…………,N−1とアニオン交換繊維シート22,24,…………,Nを交互に積層させたものである。第2図ではカチオン交換繊維シートが最下層となっているが、アニオン交換繊維シートを最下層とすることもできる。
さらに、カチオン交換繊維体とアニオン交換繊維体以外に、イオン交換能のない繊維体、あるいは繊維体とは異なる多孔質体を介在させてもよい。例えば、第3図に示すようにカチオン交換繊維シート層31とアニオン交換繊維シート層33の間にイオン交換能のない繊維体、あるいは繊維体とは異なる多孔質体33を介在させてもよい。
このようなカチオン交換繊維シートとアニオン交換繊維シートとの平たいシートの積層体をケースに収容してフィルタカートリッジとし使用することができる。また、上記の積層体を中空有孔管に巻きつけてロール状としてもよい。
積層体を巻きつける代りに、1枚又は複数枚のシートを中空有孔管に順次に巻き付けてもよい。
また、中空有孔管に1枚又は所定枚のシートを巻いた後、アニオン交換繊維又はカチオン交換繊維のヤーン又はストランドを巻いてもよい。この場合、シートがアニオン交換繊維であり、ヤーン又はストランドがカチオン交換繊維であってもよく、その逆であってもよい。
上記のように、カチオン交換繊維とアニオン交換繊維あるいはさらにイオン交換能のない繊維体、あるいは繊維体とは異なる多孔質体を中空有孔管に巻き回し、糸巻きフィルターカートリッジとすることもできる。このとき、カチオン交換繊維とアニオン交換繊維とを互いに撚りあわせて巻き回すようにしてもよい。
<フィルタの用途>
本発明のフィルタは、アニオン交換繊維とカチオン交換繊維の割合、細孔径、空隙率を変えることにより、フィルタのイオン除去性能、除粒子性能、流体透過性を制御することができる。従って、本発明によれば、空気、有機ガス、水、水溶液、有機溶媒等の流体の処理において、あるいは気液混合物の処理に用いられ、被処理流体に含まれる微量の金属イオン、有機物、微粒子等を吸着分離、排除分離するのに適した種々のフィルタを提供することができる。
本発明のフィルタは、アニオン交換繊維とカチオン交換繊維の割合、細孔径、空隙率を変えることにより、フィルタのイオン除去性能、除粒子性能、流体透過性を制御することができる。従って、本発明によれば、空気、有機ガス、水、水溶液、有機溶媒等の流体の処理において、あるいは気液混合物の処理に用いられ、被処理流体に含まれる微量の金属イオン、有機物、微粒子等を吸着分離、排除分離するのに適した種々のフィルタを提供することができる。
本発明者らは、空隙率と繊維径を実測し、下記式に基づく計算により得られた平均細孔径は、エアーフロー法(バブルポイント法の原理に基づき細孔分布を求める方法;本発明ではPMI社(Porous Materials,Inc.)製の装置を使用)で求めた細孔径に近い値を示すことを確認している。このことから、繊維径と空隙率を変化させることにより、細孔径を制御することが可能であると言える。例えば、繊維充填体の空隙率が70%の場合、繊維径のほぼ2倍の細孔径を得ることができる。
≪平均細孔径の計算式≫
第4図に示すモデルにおいて、単繊維を円柱とし、その断面における円柱間に内接する円の直径を細孔径Dと見なすと、細孔径Dは繊維径dと空隙率εとで表すことができる。即ち、繊維径dと細孔径Dおよび空隙率εの関係は
S=(D+d)2
1−ε=πd2/4S
であるので、Dを
D=[(π/2)1/2(1−ε)-1/2−1]・d
=1.2533(1−ε)-1/2−1]・d
にて求めることができる。
第4図に示すモデルにおいて、単繊維を円柱とし、その断面における円柱間に内接する円の直径を細孔径Dと見なすと、細孔径Dは繊維径dと空隙率εとで表すことができる。即ち、繊維径dと細孔径Dおよび空隙率εの関係は
S=(D+d)2
1−ε=πd2/4S
であるので、Dを
D=[(π/2)1/2(1−ε)-1/2−1]・d
=1.2533(1−ε)-1/2−1]・d
にて求めることができる。
なお、記号は次の通りである。
S: 繰り返し単位断面積[m2]
D: 繊維間隙の内接円の直径(細孔の直径)[m]
d: 繊維の直径[m]
ε: 空隙率[−]
π: 円周率[−]
S: 繰り返し単位断面積[m2]
D: 繊維間隙の内接円の直径(細孔の直径)[m]
d: 繊維の直径[m]
ε: 空隙率[−]
π: 円周率[−]
本発明のフィルタは、純水などの製造に用いるのに好適であり、純水中の金属イオンの濃度を極低濃度まで低減することが可能となる。なお、近年、50℃以上(例えば60〜100℃)の高温水を処理することが電子部品製造工程で求められるようになってきている。フッ素を含有するポリマーは耐熱性が高いものが多く、例えば、ポリフッ化ビニリデンは、耐熱性の高く、化学的に安定な素材として純水製造プロセスの部材として良く用いられ、ナフィオンも燃料電池の隔膜等に良く使用されている。本発明において、カチオン交換繊維、アニオン交換繊維にフッ素を含有するポリマーを含有させることで、耐熱性、化学的安定性を向上させることができる。
本発明のフィルタを純水製造用フィルタとして用いる場合、フィルタの厚さは0.05〜50mm程度が好適であり、嵩密度は0.2〜0.5g/cm3程度が好適である。また、通水SVは500〜15000hr−1程度が好適である。
本発明のフィルタは、金属イオン濃度0.5〜5ng/Lの純水を濾過処理し、金属イオン濃度を0.1ng/L以下程度にする場合に用いるのに好適である。ただし、本発明のフィルタは、水以外の液体の処理にも用いることができる。
本発明のフィルタをエアーフィルタとして用いると、硫化水素、亜硫酸、アンモニアなどの荷電物質の分離が可能である。
本発明のフィルタは、流体濾過用フィルタのほか、衣料、カーテン、吸着材など、さまざまな用途に使用できる。
<その他>
繊維充填体と粒子充填体のフィルタ性能の比較を表1に示す。膜厚、比表面積を同じにした時、繊維充填体では、小さい細孔径で、高い純水透過流束が得られるが可能であることが分かる。細孔径が小さいことはフィルタとしての分離性能にも優れることになる。
繊維充填体と粒子充填体のフィルタ性能の比較を表1に示す。膜厚、比表面積を同じにした時、繊維充填体では、小さい細孔径で、高い純水透過流束が得られるが可能であることが分かる。細孔径が小さいことはフィルタとしての分離性能にも優れることになる。
表1からも明らかな通り、イオン交換繊維を使用することにより、粒子充填体に比べて圧力損失を抑え、高い比表面積、すなわち、イオン交換容量が大きく接触効率の高いイオン交換体が得られる。
以下、実施例及び比較例について説明する。まずカチオン交換繊維シート及びアニオン交換繊維シートの製造例について説明する。
<カチオン交換繊維シートの製造例1>
電界紡糸装置のシリンジ径30Gのシリンジに、カチオン交換繊維用電解質ポリマーと非電解質ポリマーとを含む溶液としてナフィオン8.3重量%、PVDF10重量%、水4.2重量%、1−プロパノール4.2重量%、DMAc73.3重量%の溶液を入れ、シリンジ側をプラス、繊維を捕集するターゲット側にマイナスの35kVの電圧(4kV/cmの電位勾配)をかけることにより、カチオン交換繊維を紡糸し、それを積層させてカチオン交換繊維シートを製造した。その結果、200nmの繊維からなる厚さ50μmのポリマー繊維シートが得られた。
電界紡糸装置のシリンジ径30Gのシリンジに、カチオン交換繊維用電解質ポリマーと非電解質ポリマーとを含む溶液としてナフィオン8.3重量%、PVDF10重量%、水4.2重量%、1−プロパノール4.2重量%、DMAc73.3重量%の溶液を入れ、シリンジ側をプラス、繊維を捕集するターゲット側にマイナスの35kVの電圧(4kV/cmの電位勾配)をかけることにより、カチオン交換繊維を紡糸し、それを積層させてカチオン交換繊維シートを製造した。その結果、200nmの繊維からなる厚さ50μmのポリマー繊維シートが得られた。
この操作を繰り返し行い、多数枚のカチオン交換繊維シートを製造した。次いで、各カチオン交換繊維シートを、5重量%の塩酸水溶液に24時間浸漬した後、比抵抗18MΩ・cmの純水5Lで塩酸を洗い流し、乾燥させて厚さ50μmのH型カチオン交換繊維シートとした。
<アニオン交換繊維シートの製造例1>
電界紡糸装置のシリンジ径30Gのシリンジに、アニオン交換繊維用電解質ポリマーと非電解質ポリマーとを含む溶液として4級アンモニウム化ポリスルホン10重量%、PVDF10重量%、DMAc80重量%の溶液を入れ、シリンジ側をプラス、繊維を捕集するターゲット側にマイナスの35kVの電圧(4kV/cmの電位勾配)をかけることにより、アニオン交換繊維を紡糸し、それを積層させてアニオン交換繊維シートを製造した。その結果、200nmの繊維からなる厚さ50μmのポリマー繊維シートを作製することができた。
電界紡糸装置のシリンジ径30Gのシリンジに、アニオン交換繊維用電解質ポリマーと非電解質ポリマーとを含む溶液として4級アンモニウム化ポリスルホン10重量%、PVDF10重量%、DMAc80重量%の溶液を入れ、シリンジ側をプラス、繊維を捕集するターゲット側にマイナスの35kVの電圧(4kV/cmの電位勾配)をかけることにより、アニオン交換繊維を紡糸し、それを積層させてアニオン交換繊維シートを製造した。その結果、200nmの繊維からなる厚さ50μmのポリマー繊維シートを作製することができた。
この操作を繰り返し行い、多数枚のアニオン交換繊維シートを製造した。次いで、各アニオン交換繊維シートを、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した後、比抵抗18MΩ・cmの純水5Lで水酸化ナトリウム水溶液を洗い流し、乾燥させて厚さ50μmのOH型アニオン交換繊維シートとした。
[実施例1]
上記製造例1,2で製造したカチオン交換繊維シート及びアニオン交換繊維シートを第1図に示すように積層し、k=5、m=30、n=15とし、厚さ2.5mmの平膜状のイオン交換フィルタを作製した。
上記製造例1,2で製造したカチオン交換繊維シート及びアニオン交換繊維シートを第1図に示すように積層し、k=5、m=30、n=15とし、厚さ2.5mmの平膜状のイオン交換フィルタを作製した。
[比較例1]
上記のカチオン交換繊維シートのみを50層重ね、2.5mmの平膜状のイオン交換フィルタを作製した。
上記のカチオン交換繊維シートのみを50層重ね、2.5mmの平膜状のイオン交換フィルタを作製した。
<希薄TOC溶液の濾過試験>
実施例1、比較例1のイオン交換フィルタをそれぞれ膜面積13cm2のフィルタホルダーに設置した。TOC源として微量のイソプロピルアルコールを純水に添加し、UV酸化装置により処理した原水を調製した。この原水をフィルタに1L/minで通水処理し、50L処理した時点のTOC値を測定した。TOCの測定は、GE Analytical Instruments社製「SIEVERS Ultrapure PPT」で行った。結果を表2に示す。実施例1では、TOC濃度が1μg/L以下に減少しているが、比較例1では、ほとんど減少していない。実施例1ではUV酸化装置によってアニオン化されたTOC成分がアニオン交換繊維シートによって除去されたものと考えられる。
実施例1、比較例1のイオン交換フィルタをそれぞれ膜面積13cm2のフィルタホルダーに設置した。TOC源として微量のイソプロピルアルコールを純水に添加し、UV酸化装置により処理した原水を調製した。この原水をフィルタに1L/minで通水処理し、50L処理した時点のTOC値を測定した。TOCの測定は、GE Analytical Instruments社製「SIEVERS Ultrapure PPT」で行った。結果を表2に示す。実施例1では、TOC濃度が1μg/L以下に減少しているが、比較例1では、ほとんど減少していない。実施例1ではUV酸化装置によってアニオン化されたTOC成分がアニオン交換繊維シートによって除去されたものと考えられる。
表2の通り、実施例1ではTOC濃度が1μg/L以下に減少しているが、比較例1ではほとんど減少していない。実施例1ではUV酸化装置によってアニオン化されたTOC成分がアニオン交換繊維シートによって除去されたものと考えられる。
なお、圧力損失は実施例1及び比較例1のいずれにおいても約35kPaであった。
[実施例2]
第2図に示すように厚さ50μmのアニオン交換繊維シートとカチオン交換繊維シートを交互に20枚ずつ40層重ね、厚さ2mmのイオン交換フィルタを作製した。
第2図に示すように厚さ50μmのアニオン交換繊維シートとカチオン交換繊維シートを交互に20枚ずつ40層重ね、厚さ2mmのイオン交換フィルタを作製した。
[比較例2]
厚さ50μmのカチオン交換繊維シートのみを20層重ね、厚さ1mmのイオン交換フィルタを作製した。
厚さ50μmのカチオン交換繊維シートのみを20層重ね、厚さ1mmのイオン交換フィルタを作製した。
[比較例3]
実施例2と同様にアニオン交換繊維シートとカチオン交換繊維シートを積層した。ただし、積層前にイオン交換体の洗浄を実施せず、比抵抗18MΩ・cmの純水による通水を積層後に行った。通水量は実施例1のフィルタを作製する際に通水した純水量と同じ(5L)とした。
実施例2と同様にアニオン交換繊維シートとカチオン交換繊維シートを積層した。ただし、積層前にイオン交換体の洗浄を実施せず、比抵抗18MΩ・cmの純水による通水を積層後に行った。通水量は実施例1のフィルタを作製する際に通水した純水量と同じ(5L)とした。
<希薄金属溶液の濾過試験>
実施例2、比較例2、比較例3のイオン交換フィルタを膜面積13cm2のフィルタホルダーに設置した。被処理水の金属イオン(Na,Mg,Al,K,Ca,Cr,Fe,Cu,Znの各イオン)濃度がそれぞれ10ng/Lになるように原子吸光用標準液を純水に添加して原水を調製した。なお、ここでいう金属イオンとは酸素など他元素と結合したアニオンも含むものとする。この原水をフィルタに1L/minで通水処理し、50L処理した時点の水質を測定した。圧力損失は、実施例2の場合、28kPa、比較例2では16kPa、比較例3では28kPaであった。測定はサンプリング水を濃縮してから、ICPMSとしてAgilent Technologies社製「Agilent−4500」で分析した。
実施例2、比較例2、比較例3のイオン交換フィルタを膜面積13cm2のフィルタホルダーに設置した。被処理水の金属イオン(Na,Mg,Al,K,Ca,Cr,Fe,Cu,Znの各イオン)濃度がそれぞれ10ng/Lになるように原子吸光用標準液を純水に添加して原水を調製した。なお、ここでいう金属イオンとは酸素など他元素と結合したアニオンも含むものとする。この原水をフィルタに1L/minで通水処理し、50L処理した時点の水質を測定した。圧力損失は、実施例2の場合、28kPa、比較例2では16kPa、比較例3では28kPaであった。測定はサンプリング水を濃縮してから、ICPMSとしてAgilent Technologies社製「Agilent−4500」で分析した。
結果を表3に示す。
表3の通り、実施例2では、全ての金属イオンの濃度が0.1ng/L以下に保たれているが、比較例2では、Crの濃度が若干高くなっている。この原因については、Crの一部がオキシアニオン化されているためと推察される。比較例3では、Naの除去が不十分となった。これは、カチオン、アニオン交換繊維体のH型、OH型への置換が不十分であったためと考えられる。
[実施例3(ロール状フィルタ)]
製造例1で製造した繊維径200nmのカチオン交換繊維のシート(厚さ50μm)20枚と、下記製造例2で製造した繊維径1.5μmのアニオン交換繊維のシート(厚さ100μm)1枚及び繊維径1.5μmのカチオン交換繊維のシート(厚さ100μm)5枚とを直径10mmの有孔芯材に巻き回して直径70mm、長さ225mmのロール状フィルタとした。なお、各シートの大きさはそれぞれ700mm×200mmである。
製造例1で製造した繊維径200nmのカチオン交換繊維のシート(厚さ50μm)20枚と、下記製造例2で製造した繊維径1.5μmのアニオン交換繊維のシート(厚さ100μm)1枚及び繊維径1.5μmのカチオン交換繊維のシート(厚さ100μm)5枚とを直径10mmの有孔芯材に巻き回して直径70mm、長さ225mmのロール状フィルタとした。なお、各シートの大きさはそれぞれ700mm×200mmである。
<製造例2>
アニオン交換繊維シート及びカチオン交換繊維シートを製造する前記製造例1において、シリンジ径を23Gとしたこと以外は同様にしてそれぞれ繊維径1.5μmで厚さ100μmのアニオン交換繊維シート及びカチオン交換繊維シートを製造した。これらを前記と同様にしてアルカリ又は酸溶液と接触させ、次いで純水で洗浄して厚さ100μmのOH型アニオン交換繊維シート及びH型カチオン交換繊維シートを製造した。
アニオン交換繊維シート及びカチオン交換繊維シートを製造する前記製造例1において、シリンジ径を23Gとしたこと以外は同様にしてそれぞれ繊維径1.5μmで厚さ100μmのアニオン交換繊維シート及びカチオン交換繊維シートを製造した。これらを前記と同様にしてアルカリ又は酸溶液と接触させ、次いで純水で洗浄して厚さ100μmのOH型アニオン交換繊維シート及びH型カチオン交換繊維シートを製造した。
[比較例4]
日本ポール社製「イオンクリーンAQ ABD1」をカチオン交換フィルタとした。フィルタの直径は70mm、長さは225mm、有孔芯材の直径は45mmである。
日本ポール社製「イオンクリーンAQ ABD1」をカチオン交換フィルタとした。フィルタの直径は70mm、長さは225mm、有孔芯材の直径は45mmである。
<金属イオン、TOC除去試験>
実施例3、比較例4のフィルタをフィルタハウジングに入れた。被処理水として、金属イオン(Na,Ca)濃度がそれぞれ10ng/Lになるように精密分析用試薬を純水に添加して原水を調製した。この原水をフィルタに10L/minで通水処理し、600L処理した時点の水質を測定した。圧力損失は、実施例2の場合、40kPa、比較例4では15kPaであった。金属イオンの測定はサンプリング水を濃縮してから、ICPMSとしてAgilent Technologies社製「Agilent−4500」で分析した。TOCの測定は、GE Analytical Instruments社製「SIEVERS Ultrapure PPT」で行った。
実施例3、比較例4のフィルタをフィルタハウジングに入れた。被処理水として、金属イオン(Na,Ca)濃度がそれぞれ10ng/Lになるように精密分析用試薬を純水に添加して原水を調製した。この原水をフィルタに10L/minで通水処理し、600L処理した時点の水質を測定した。圧力損失は、実施例2の場合、40kPa、比較例4では15kPaであった。金属イオンの測定はサンプリング水を濃縮してから、ICPMSとしてAgilent Technologies社製「Agilent−4500」で分析した。TOCの測定は、GE Analytical Instruments社製「SIEVERS Ultrapure PPT」で行った。
金属イオン、TOC除去試験結果を表4に示す。
表4の通り、実施例3は、比較例4よりも効果的に金属イオンが除去されている。TOCも約30%減少しており、アニオン性物質を中心として除去されたと考えられる。
1 ノズル
2 ポリマー繊維
3 ターゲット
2 ポリマー繊維
3 ターゲット
Claims (14)
- アニオン交換繊維とカチオン交換繊維を有するフィルタにおいて、
該アニオン交換繊維はアルカリ溶液と接触することによりOH型とされたものであり、該カチオン交換繊維は酸溶液と接触することによりH型とされたものであることを特徴とするフィルタ。 - 請求項1において、前記アニオン交換繊維及びカチオン交換繊維がそれぞれ多孔管に巻回されていることを特徴とするフィルタの製造方法。
- 請求項1又は2において、前記アニオン交換繊維とカチオン交換繊維の少なくとも一部が撚り合わされて混合繊維とされていることを特徴とするフィルタ。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維の不織布及び/又は織布のシートを有することを特徴とするフィルタ。
- 請求項4において、複数の前記シートが平膜状に重ね合わされていることを特徴とするフィルタ。
- 請求項4において、複数の前記シートが多孔管に巻回されていることを特徴とするフィルタ。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、イオン交換能のない繊維体又は多孔質体をさらに有することを特徴とするフィルタ。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維の繊維径が50nm〜1000nmであることを特徴とするフィルタ。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維が電界紡糸法によって製造されたものであることを特徴とするフィルタ。
- 請求項1ないし9のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維は、電解質ポリマーと非電解質のポリマーとを含むポリマーよりなることを特徴とするフィルタ。
- 請求項1ないし10のいずれか1項において、アニオン交換繊維及び/又はカチオン交換繊維は、フッ素系電解質ポリマーを含むポリマーよりなることを特徴とするフィルタ。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のフィルタの製造方法であって、
アニオン交換繊維にアルカリ溶液を接触させることによりOH型アニオン交換繊維とする工程と、
カチオン交換繊維と酸溶液を接触させることによりH型カチオン交換繊維とする工程と、
OH型アニオン交換繊維とH型カチオン交換繊維とを組み合わせてフィルタを形成するフィルタ形成工程と
を有することを特徴とするフィルタの製造方法。 - 請求項12において、OH型アニオン交換繊維とH型カチオン交換繊維を洗浄し、次いで該OH型アニオン交換繊維及びH型カチオン交換繊維を比抵抗10MΩ・cm以上の純水と接触させるコンディショニング処理を行い、その後、フィルタを形成することを特徴とするフィルタの製造方法。
- 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のフィルタに流体を接触させることにより流体を処理する流体処理方法。
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