JP5062630B2 - 複合繊維体、その製造方法、フィルタ及び流体濾過方法 - Google Patents
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(1)単独で電界紡糸することが難しい。
(2)電界紡糸出来ても繊維同士の反発により、かさ(嵩)が高くなって収まりが悪くなり(即ち、嵩密度が低くなり)、成膜に適さない。
(3)親水性を有する。
(4)イオン性物質の吸着性を有するものもある。
(5)水への溶解性が高いものもある。
(1)単独で電界紡糸することが容易なものがある。
(2)電界紡糸後、繊維同士の反発がないため、成膜し易い。
(3)疎水性のもの、親水性のものを選択できる。
(4)疎水性のものは耐水性を有するが、水を通しにくい。
複合繊維体を紡糸する際、そのターゲットに薄膜を設置して紡糸し、紡糸後、薄膜をはがすことにより、自立型の複合繊維体を得ることができる。薄膜の素材としては、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、アルミニウム箔などを使用することができる。
一方、複合繊維体を紡糸する際、そのターゲットに多孔質体を設置して紡糸して多孔質を基材として一体化させることにより、基材一体型の複合繊維体を得ることができる。多孔質体としては、不織布、焼結体、分離膜などを選択することができる。不織布の素材としては、ポリエチレン、ポリプロポレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、セルロース誘導体などを使用することができる。焼結体の素材としては、ポリオレフィンなどの高分子、ステンレスなどの金属、ガラスなどを使用することができる。分離膜の素材としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、セルロース誘導体、ポリアミドなどを使用することができる。
<紡糸条件>
シリンジ径30Gのシリンジに電解質ポリマーNafion19.8%(重量%。以下同様)、1−プロパノール39.7%、水39.7%、PEO(ポリエチレンオキシド)0.8%の溶液を入れ、シリンジ側をプラス、繊維を捕集するコレクタ側にマイナスの4kV/cmの電位勾配をかけることにより、繊維径100nmのNafion繊維を紡糸した。
Nafion繊維はもろく、またコレクタ側から吐出側に成長してしまい、おさまりが悪く、厚さが均一な不織布を作製することはできなかった。
<紡糸条件>
シリンジ径30Gのシリンジおよび27Gのシリンジを用意し、シリンジ径30Gのシリンジに高電解質ポリマーNafion19.8%、1−プロパノール39.7%、水39.7%、PEO0.8%の溶液を入れた。また、もう片方のシリンジにPVDF20%、DMAC80%の溶液を入れた。この2本のシリンジの距離を5mmとした。第1図のように、両シリンジとターゲットとの間隔を同一とし、シリンジ側をプラス、繊維を捕集するコレクタ側にマイナスの4kV/cmの電位勾配をかけて紡糸した。
Nafion繊維とPVDF繊維とが混在した、複合繊維体よりなる不織布が作製された。比較例1では、Nafionの厚さが均一な不織布を作製することは難しいが、実施例1の方法を用いてNafionをPVDFで固定化させることにより、厚さが均一な不織布ができることが確認できた。なお、繊維径100nmと500nmの繊維が混在していた。また、繊維のイオン交換量が0.5meq/gであった。
<紡糸条件>
シリンジ径30Gのシリンジおよび27Gのシリンジを用意し、シリンジ径30Gのシリンジに高電解質ポリマーNafion19.8%、1−プロパノール39.7%、水39.7%、PEO0.8%の溶液を入れた。また、もう片方のシリンジにPVDF20%、DMAC80%の溶液を入れた。この2本のシリンジの距離を5mmとした。シリンジ側をプラス、繊維を捕集するコレクタ側にマイナスの4kV/cmの電位勾配をかけて紡糸した。その際、ターゲットを60℃に加温した。
一般に、電界紡糸された繊維の残存溶媒量が多いと、繊維形状が安定せず変形が起こり易い。ガスクロマトグラフにより残存溶媒量を測定した。その結果、60℃加温を行わない実施例1の単位不織布重量当たりの残存溶媒量は90μg/gであった。一方、上記のように繊維を加温するようにした実施例2では、単位不織布重量当たりの残存溶媒量は6μg/gと著しく少ないものであった。
高電解質ポリマーと非電解質ポリマーをそれぞれ、2分間、1分間別々に紡糸する以外は実施例1と同じ条件で紡糸した。
おさまりの悪かったNafion繊維がPVDF繊維に押さえつけられ、繊維径100nmと500nmの繊維が混在した密度の高い不織布を作製することができた。繊維の作製速度は実施例1の約半分となったが、得られた繊維のイオン交換容量は0.65meq/gであった。
PVDF濃度を16%、DMAc濃度を84%とした以外は、実施例1と同じ条件で紡糸した。
複合繊維体よりなる不織布が作製された。繊維径は100nmであった。イオン交換容量は0.6meq/gであった。残存溶媒量は95μg/gであった。
吐出口2のターゲットとの距離を吐出口1より10mm長くした以外は、実施例4と同じ条件で紡糸した。
イオン交換容量は0.6meq/gであり、残存溶媒量は70μg/gであった。繊維径は100nmであった。
吐出口とターゲットの間にポリプロピレン製の厚さ150μmの不織布を置き、実施例1と同じ条件で紡糸した。イオン交換容量0.1meq/gの複合不織布を得た。
実施例6で得られた複合不織布を直径10mmの有孔芯材に巻き回して直径70mmのロール状フィルタを得た。このフィルタをフィルタハウジングに入れて、外側から内側に向かって通水した。供給水側のCa濃度を10pptとした場合、透過側のCa濃度を0.1pptとすることができた。
シリンジ径30Gのシリンジに電解質ポリマーPoly(styrene−ran−ethylene),sulfonated(スルホン化(スチレン/エチレン)ランダムコポリマー)5%(重量%。以下同様)、1−プロパノール95%の溶液を入れ、シリンジ側にプラス、繊維を捕集するコレクタ皮にマイナスの5kV/cmの電位勾配をかけることにより、スルホン化(スチレン/エチレン)ランダムコポリマー繊維を紡糸した。
スルホン化(スチレン/エチレン)ランダムコポリマー繊維はもろく、またコレクタ側から吐出側に成長してしまい、おさまりが悪く、厚さが均一な不織布を作製することはできなかった。
シリンジ径30Gのシリンジおよび27Gのシリンジを用意し、シリンジ径30Gのシリンジにスルホン化(スチレン/エチレン)ランダムコポリマー5%、1−プロパノール95%の溶液を入れた。また、もう片方のシリンジにPVDF20%、ジメチルアセトアミド(DMAc)80%の溶液を入れた。この2本のシリンジの距離を5mmとした。第1図のように、両シリンジとターゲットとの間隔を同一とし、シリンジ側をプラス、繊維を捕獲するコレクタ側にマイナスの5kV/cmの電位勾配をかけて紡糸した。
スルホン化(スチレン/エチレン)ランダムコポリマー繊維とPVDF繊維とが混在した、複合繊維体よりなる不織布が作製された。比較例2では、厚さが均一なスルホン化(スチレン/エチレン)ランダムコポリマー繊維不織布を作製することは難しいが、実施例8の方法を用いてスルホン化(スチレン/エチレン)ランダムコポリマー繊維をPVDF繊維で固定することにより、厚さが均一な不織布が製造されることが確認された。
3 ターゲット
4 複合繊維体
Claims (10)
- 第1溶媒に溶解させた電解質ポリマーを第1吐出部から、該第1吐出部との間に電圧が印加された対向面部に吐出し、該対向面部で繊維化すると共に、第2溶媒に溶解させた非電解質ポリマーを第2吐出部から、該第2吐出部との間に電圧が印加された該対向面部に吐出して繊維化することにより、電解質ポリマーの繊維と非電解質ポリマーの繊維とが混在した複合繊維体を製造することを特徴とする複合繊維体の製造方法。
- 請求項1において、電解質ポリマーを繊維化する工程と、非電解質ポリマーを繊維化する工程とを同時に行うことを特徴とする複合繊維体の製造方法。
- 請求項1において、電解質ポリマーを繊維化する工程と、非電解質ポリマーを繊維化する工程との一方の工程を行った後に、他方の工程を行うことを特徴とする複合繊維体の製造方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、該第2吐出部と対向面部との距離は、第1吐出部と対向面部との距離以上であることを特徴とする複合繊維体の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該第1吐出部と第2吐出部との間の距離が10mm以下であることを特徴とする複合繊維体の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、電解質ポリマーと非電解質ポリマーの吐出中もしくは吐出後に繊維を加温することを特徴とする複合繊維体の製造方法。
- 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法で製造された複合繊維体。
- 請求項7に記載の複合繊維体よりなる流体濾過用フィルタ。
- 請求項8において、複合繊維体を平面上又は有孔中空体上に積層させることによって製造されたものであることを特徴とする流体濾過用フィルタ。
- 請求項9のフィルタを用いた流体濾過方法。
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