JP5428715B2 - ポリマー繊維体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、電解質ポリマー及び非電解質ポリマーからなるハイブリッドポリマー繊維体の製造方法に関する
半導体製造プロセスなどで用いられる超純水の高純度化処理のためにプリーツ型イオン交換フィルタが広く用いられている。このプリーツ型イオン交換フィルタは、不織布あるいは多孔質膜などの平膜をプリーツ型にしたものである。
プリーツ型イオン交換フィルタはプリーツの折り込み部分に流れが偏りやすく、上述のような極低濃度域では十分な除去率を得ることはできない。また、膜厚が薄いために破過が早く寿命が短い。除粒子の観点からも、上述の通り、長寿命、高除去性能化が課題となっている。イオン除去率を向上させるため、膜厚を厚くしたり、膜の細孔を小さくすると、透水性が犠牲となるという問題があった。
繊維径がナノメーターオーダーである極細のナノファイバの製造方法として電界紡糸法(静電紡糸法)が公知である(下記特許文献1〜4)。この電界紡糸法では、ノズルとターゲットとの間に電界を形成しておき、該ノズルから液状原料を細繊維状に吐出させて紡糸が行われる。細繊維は、ターゲット上に集積されて繊維体となる。
特許文献3にはポリ乳酸溶液を相対湿度20〜80%の雰囲気中で電界紡糸することが記載されている(第7頁、6〜8行)。特許文献4には、14〜20%の濃度の低分子ポリL乳酸のジクロロメタン溶液を15〜25℃で10〜40%の湿度の雰囲気中で電界紡糸することが記載されている(0039〜0045段落)。
電解質ポリマーと非電解質ポリマーは、繊維化するとそれぞれ優れた特長と短所を有する。電解質ポリマーの特性と非電解質ポリマーの特性としては以下の点が挙げられる。
<電解質ポリマーの特性>
(1)単独で電界紡糸することが難しい。
(2)電界紡糸出来ても繊維同士の反発により、かさ(嵩)が高くなって収まりが悪くなり(即ち、嵩密度が低くなり)、成膜に適さない。
(3)親水性を有する。
(4)イオン性物質の吸着性を有する。
(5)水への溶解性を有するものもある。
<非電解質ポリマーの特性>
(1)単独で電界紡糸することが容易なものがある。
(2)電界紡糸後、繊維同士の反発がないため、成膜し易い。
(3)疎水性のもの、親水性のものを選択できる。
(4)疎水性のものは耐水性を有するが、水を通しにくい。
一般に、非電解質ポリマーは、機械的強度や耐薬品性は高いが、濡れにくく(親水性が低く)、また染色性に乏しい(イオン性物質の吸着性が低い)。一方、電解質ポリマーは、親水性が高く染色性は高いが、紡糸性や機械的強度の面で問題がある。
電子部品製造工程においては、60〜100℃の高温に対応できる純水製造プロセスも求められるようになってきている。従って、イオン交換フィルタの素材も、イオン交換性能はもとより、耐熱性の高いものを使用する必要がある。従来イオン交換フィルタの素材として用いられてきたポリフッ化ビニリデンは、耐熱性の高い素材であるが、疎水性であり、プラズマ等により親水化処理を施す必要があった。
両者の長所を融合させることができれば、画期的な繊維を得ることが期待されるが、電解質ポリマーと非電解質ポリマーは、それらを溶解する溶媒が異なることが多く、同時に繊維化した例はなかった。
特開2007−92237 特開2006−144138 WO2005/87988 特表2009−507530
電界紡糸法を用いたナノファイバーの紡糸技術は、繊維原料となる高分子溶液を供給するノズルと繊維を捕集する基板の間に数十kvの高電圧を印加し、高分子溶液を静電的に噴射して繊維化し、基板上に不織布を生成する方法である。高分子溶解のために予め加えた溶媒は噴射中に蒸発し、残った高分子が集合して極細繊維を形成する。
その際、溶媒の蒸発速度が極細繊維の形成に大きく寄与するため、温度と湿度の調整は重要であるが、従来のポリ乳酸等の高分子溶液の電界紡糸においては、湿度を10〜40%と低く保ち、溶媒の蒸発を促進させることにより極細繊維ができていた。
しかし、電解質ポリマーと非電解質ポリマーのハイブリッド型の電界紡糸では、湿度を10〜40%と低くすると、溶媒の蒸発速度が早く、繊維形成が十分ではないうちにポリマーが固化してしまうため、繊維とダマの混合物ができてしまう。
本発明は、電解質ポリマー及び非電解質ポリマーの両方の性質及び長所を併せ持ったハイブリッドポリマー繊維体を効率良く製造することができる方法を提供することを目的とするものである。
請求項1のポリマー繊維体の製造方法は、非電解質ポリマーと電解質ポリマーとが溶解した溶液を相対湿度50〜70%の雰囲気中で電界紡糸することを特徴とするものである。
請求項2のポリマー繊維体の製造方法は、請求項1において、前記溶液中の非電解質ポリマーの濃度が2〜16重量%であり、電解質ポリマーの濃度が7〜21重量%であることを特徴とするものである。
請求項3のポリマー繊維体の製造方法は、濃度10wt%以上の非電解質ポリマーと電解質ポリマーとが溶解した溶液を相対湿度40〜50%の雰囲気中で電界紡糸することを特徴とするものである。
請求項4のポリマー繊維体の製造方法は、請求項3において、前記溶液中の電解質ポリマーの濃度が7〜21wt%であることを特徴とするものである。
請求項5のポリマー繊維体の製造方法は、請求項1乃至4のいずれか1項において、非電解質ポリマー及び/又は電解質ポリマーがフッ素を含有するフッ素系ポリマーであることを特徴とするものである。
請求項6のポリマー繊維体の製造方法は、請求項1乃至5のいずれか1項において、電解質ポリマーがスルホ基又はカルボキシル基を有するフッ素系ポリマーであり、非電解質ポリマーがポリフッ化ビニリデンであることを特徴とするものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、電解質ポリマーと非電解質ポリマーの混合溶液を電界紡糸してハイブリッド繊維を作製するには、従来可能と思われていた湿度範囲の中でもより狭い50〜70%か或いは非電解質ポリマーを濃度10wt%以上とした上で相対湿度40〜50%で紡糸する必要があることを見出した。相対湿度40%未満又は非電解質ポリマー濃度10wt%未満かつ相対湿度50%未満では溶媒の蒸発速度が大きいために、十分に繊維化されず、ダマ(微小な固まり)が生じることが認められた。70%超の湿度では液滴ができてしまうので好ましくない。前記条件で電界紡糸することにより、溶媒の蒸発速度が適切となり、十分に繊維が形成されてからポリマーが固化することにより、細長い繊維が形成されるようになる。
本発明によって提供されるポリマー繊維体は、非電解質ポリマーと電解質ポリマーとからなるハイブリッドポリマー繊維体である。このハイブリッドポリマー繊維体は、流体濾過用フィルタのほか、衣料、カーテン、吸着材など、さまざまな用途に使用できる。なお、非電解質ポリマーは電界紡糸により繊維化され易いものが多いので、非電解質ポリマーと電解質ポリマーとを含む混合溶液を電界紡糸することにより、電解質ポリマーを含んだハイブリッドポリマー繊維体を容易に製造することができる。
本発明のフィルタは、例えば、電界紡糸されたハイブリッドポリマー繊維体の不織布にて構成される。このフィルタは、プリーツ型フィルタのような偏流がなく、寿命が長い。そして、長期にわたって透過流束を高く保つことができる。
本発明によれば、電解質ポリマーと非電解質ポリマーとの割合を変えることにより、紡糸したハイブリッドポリマー繊維体の機械的強度や親水性、電荷などの特性を制御することができる。従って、空気、有機ガス、水、水溶液、有機溶媒等の流体の処理において、あるいは気液混合物の処理において、被処理流体に含まれる微量の金属、有機物、微粒子等を吸着分離、排除分離するのに適した種々のフィルタを提供することができる。
このフィルタをエアーフィルタとして用いると、アミンなどの荷電物質の分離が可能である。
本発明のフィルタは、超純水などの製造に用いるのに好適であり、超純水中の金属イオンの濃度を極低濃度まで低減することが可能となる。なお、近年、50℃以上(例えば60〜100℃)の高温水を処理することが電子部品製造工程で必要とされることがある。ハイブリッドポリマー繊維体製造用の電解質ポリマー及び非電解質ポリマーとして耐熱性の高い素材のものを用いることにより、このような高温水も十分に処理することが可能となる。
実施の形態に係るハイブリッドポリマー繊維体の製造方法を示す模式的な斜視図である。 実施例1の生成物を示す顕微鏡写真である。 比較例1の繊維の顕微鏡写真である。 比較例2の繊維の顕微鏡写真である。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明のポリマー繊維体の製造方法では、非電解質ポリマーと電解質ポリマーとを含んだ混合溶液を調製し、この混合溶液を電界紡糸する。
電界紡糸により形成される極細繊維としては、相当直径が1〜1000nm特に10〜700nm程度の著しく細い繊維が好適である。「相当直径」とは、1本の繊維(ファイバ)の断面積と断面積の外周長さとから、(相当直径)=4×(断面積)/(断面の外周長さ)によって算出される値である。この極細繊維の長さは、1μm以上が好適である。なお、電界紡糸で作製した場合、数十cmの長さにすることができ、また連続的に紡糸することもできるため、上限なく長くすることができる。
[非電解質ポリマー]
非電解質ポリマーは、繊維とした場合に所定の透水性、強度を確保できるものであれば特に限定されない。
非電解質ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヒドロキシカルボン酸などのポリエステル、PTFE、CTFE、PFA、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などのフッ素樹脂、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ポリオレフィン、ナイロン−6、ナイロン−66などのポリアミド、ユリア樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリベンゾイミダゾール、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリルニトリル、ポリエーテルニトリル、およびこれらの共重合体などの素材が使用できるが、この限りではない。特に1種類の素材に限定されることはなく、必要に応じて種々の素材を選択できる。ただし、50℃以上の高温水の処理に用いるときには、耐熱性を有するフッ素樹脂が好適であり、特にPVDFが好適である。なお、フッ素樹脂にポリオレフィン、ポリエーテル等の他のポリマーを混合してもよい。
この非電解質ポリマーを溶解する溶剤(第1溶媒)としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール、ケトン、エーテル類、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ホルムアミド、ジメチルスルホオキサイド、塩素系溶媒、フッ素系溶媒などから上記ポリマーが可溶なものを選択して用いるのが好ましい。なお、ポリマー溶液中の水濃度は10wt%以下であることが好ましい。
[電解質ポリマー]
電解質ポリマーは、アニオン性又はカチオン性の官能基を有するポリマーが好適である。このイオン性の官能基としてはスルホ基、カルボキシル基、リン酸基、1〜4級のアミノ基などが例示される。電解質ポリマーのベースポリマーとしては、上記非電解質ポリマーのポリマーが例示され、中でもポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアミド複素環を有するポリマー、フッ素樹脂、ポリアミノ酸などが好ましい。耐熱性を有する電解質ポリマーとしては、フッ素を有する電解質ポリマーが好適であり、例えば下記化学式1に示すポリ(パーフルオロスルホン酸)が好適である。ポリ(パーフルオロスルホン酸)としては、ナフィオン(商品名:Nafion、登録商標、DuPont社製)やフミオン(商品名:Fumion、Fumatech社製)などが市販されている。ナフィオンはパーフルオロスルホン酸/ポリテトラフロロエチレン共重合体を主成分とする。
Figure 0005428715
この電解質ポリマーの溶剤(第2溶媒)としては、上記と同様のものを用いることができる。
[混合溶媒、混合溶液]
本発明の一態様では、上記非電解質ポリマーと電解質ポリマーとをいずれも溶解する溶媒中に非電解質ポリマー及び電解質ポリマーを溶解させて混合溶液を調製する。
本発明の別の一態様では、上記非電解質ポリマーを溶解するための第1溶媒と、電解質ポリマーを溶解するための第2溶媒とを含む混合溶媒を調製し、この混合溶媒に電解質ポリマー及び非電解質ポリマーを溶解させる。
この混合溶媒は、第1溶媒及び第2溶媒のみからなってもよく、さらに別の第3溶媒を含んでもよい。第3溶媒としては水、アルコール、塩素系溶媒、フッ素系溶媒が例示される。
本発明のさらに別の一態様では、第1溶媒に非電解質ポリマーを溶解させて第1溶液を調製し、第2溶媒に電解質ポリマーを溶解させて第2溶液を調製し、この第1溶液と第2溶液とを混合して混合溶液を調製する。
いずれの態様においても、混合溶液中における電解質ポリマー及び非電解質ポリマーを合計したポリマー濃度は9〜37wt%程度が好ましい。非電解質ポリマーの濃度は2〜16wt%特に5〜12wt%が好適であり、電解質ポリマーの濃度は7〜21wt%特に11〜18wt%が好適である。
溶媒の選定は溶解度パラメータに基づいて行う。溶媒の溶解度パラメータを、分散力δD、極性δP、水素結合δHに分け、溶媒AとBをX:Yの割合(重量比)で混合した場合の溶解度パラメータを以下の式で求め、この値に基づいて、溶媒の混合比を決定する。溶媒が3成分以上になっても同様である。なお、δDを例に挙げて説明したが、δP、δHについても同様である。
δD=(XδDA+YδDB)/(X+Y)
例えば、ナフィオン(製品番号527122)は、水と1−プロパノールに溶解可能である。ナフィオンは電荷を有するため、δHの値が溶解性に影響する。ナフィオンの濃度と、その濃度において溶解状態を保つのに必要なδHとの間には次の関係がある。
[ナフィオン濃度16wt%のとき、δH>7 8wt%のとき、δH>5.5]
一方、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)は、水、1−プロパノール溶媒には溶解しない。なお、PVDFの溶解に必要なδHは次の通りである。
[PVDF濃度20wt%のとき、δH<5.5 10wt%のとき、δH<6.1]
以上のように、混合するポリマーに求められる溶解度パラメータの値を考慮して、電解質ポリマーと非電解質ポリマーを混在させることができる条件を見出す。
例えば、ナフィオンは濃度8wt%まで、PVDF濃度10wt%までそれぞれ以下の混合溶媒に溶解する。
水:1−プロパノール:ジメチルアセトアミド=2:2:35.2、δD=8.15、δP=5.59、δH=5.98
非電解質ポリマーと電解質ポリマーの混合比率をコントロールすることにより、製造するハイブリッドポリマー繊維体の親水性や荷電導入量をコントロールすることも可能となる。
[電界紡糸方法]
以下、この電解質ポリマー及び非電解質ポリマーを溶解させた混合溶液を電界紡糸してハイブリッドポリマー繊維体を製造する方法について、図面を参照して説明する。
第1図(a)は、この製造方法を説明する概略的な側面図、第1図(b)はシリンジ先端部の模式的な断面図である。
第1図の方法では、シリンジ1とターゲット(電極板コレクター)3との間に、シリンジ1側が正、ターゲット3側が負となるように直流電源4によって電圧を印加しておき、シリンジ1から電解質ポリマーと非電解質ポリマーの混合溶液をターゲット3に向けて吐出させ、ターゲット3上に電解質ポリマーと非電解質のポリマーを集積(堆積)させ、ハイブリッドポリマー繊維体2を製造する。第1図(b)の通り、混合溶液はシリンジ1の先端でメニスカス状となり、帯電したポリマーPがターゲット3に向って飛翔する。この飛翔中に溶媒が蒸発して極細の繊維が生成する。
シリンジ1とターゲット3との距離は50〜500mm特に70〜300mm程度が好適である。両者の間の印加電圧は、電位勾配が1〜20kV/cm程度となるようにするのが好ましい。
シリンジ1とターゲット3との間の雰囲気の非電解質ポリマー濃度10wt%未満の場合は相対湿度を50〜70%、非電解質ポリマー濃度10wt%以上の場合は相対湿度40〜70%とする。そのためには、シリンジ1とターゲット3とをハウジングの中に配置し、このハウジング内の雰囲気の湿度を必要に応じ加湿器や除湿器を用いて湿度調節処理するのが好ましい。
なお、この雰囲気の温度は5〜40℃特に15〜35℃程度が好ましい。
ハイブリッドポリマー繊維体を紡糸する際、そのターゲットに薄膜を設置して紡糸し、紡糸後、薄膜をはがすことにより、自立型のハイブリッドポリマー繊維体を得ることができる。薄膜の素材としては、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、アルミニウム箔などを使用することができる。
一方、ハイブリッドポリマー繊維体を紡糸する際、そのターゲットに多孔質体を設置して紡糸して多孔質体を基材として一体化させることにより、基材一体型のハイブリッドポリマー繊維体を得ることができる。多孔質体としては、不織布、焼結体、分離膜などを選択することができる。不織布の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、セルロース誘導体などを使用することができる。焼結体の素材としては、ポリオレフィンなどの高分子、ステンレスなどの金属、ガラスなどを使用することができる。分離膜の素材としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスルホン、セルロース誘導体、ポリアミドなどを使用することができる。
上記のようにして得られたハイブリッドポリマー繊維体を用いて流体濾過用フィルタを製造する場合、ハイブリッドポリマー繊維体を平面状に、あるいは有孔中空体上に積層させることによって流体濾過用フィルタを製造することができる。このフィルタを使用する場合は、流体をフィルタに対しターゲット3上の堆積方向(ターゲット3の面と垂直方向)に流通させる。
このフィルタを超純水製造用フィルタとして用いる場合、フィルタの厚さは0.05〜50mm程度が好適であり、嵩密度は0.2〜0.5g/cm程度が好適である。また、通水SVは500〜15000hr−1程度が好適である。
本発明のフィルタは、金属イオン濃度0.5〜5ng/Lの超純水を濾過処理し、金属イオン濃度を0.1ng/L以下程度にする場合に用いるのに好適である。ただし、本発明のフィルタは、水以外の液体の処理にも用いることができる。
以下、比較例及び実施例について説明する。
[実施例1]
電解質ポリマーとしてナフィオン13.5wt%、非電解質ポリマーとしてPVDF9.6wt%、溶媒としてDMAc77wt%の混合溶液を作成した。この溶液を30Gの針を備えたシリンジに入れた。温度22℃、相対湿度60%の環境下で、シリンジ先端から10cm離した場所に繊維を捕集するコレクタターゲットを配置し、シリンジとターゲット間にシリンジ側がプラス、ターゲット側がマイナスとなるように4kV/cmの電位勾配をかけて、ナフィオン/PVDF繊維の不織布を作製した。
作製した不織布をSEM観察した結果、第2図の通り、液滴ダマの無い直径300nm前後の繊維物であり、ほとんどが繊維となっていることを確認できた。またイオン交換容量は0.23meq/gであった。
[比較例1]
相対湿度を30%としたこと以外は実施例1と同様にしてナフィオン/PVDF繊維の不織布を作製した。
作製した不織布をSEM観察した結果、第3図の通り、直径約300nmの繊維と、ダマとの混合物となっていることが認められた。またイオン交換容量は0.05meq/gであった。
[比較例2]
相対湿度を80%としたこと以外は実施例1と同様にしてナフィオン/PVDF繊維の不織布を作製した。
作製した不織布をSEM観察した結果、第4図の通り、直径約300nmの繊維と液滴との混合物となっていることが認められた。
[実施例2〜10、比較例3〜11]
PVDFの濃度を5wt%、7.5wt%又は10wt%とし、相対湿度を30,40,50,60,70又は80%としたこと以外は実施例1と同様にしてナフィオン/PVDF繊維の不織布を作製した。結果を表1に示す。表1中、○は良好な品質のポリマー繊維体が得られたことを示している。
Figure 0005428715
表1の通り、PVDF濃度10wt%未満では相対湿度50〜70%、PVDF濃度10wt%以上では相対湿度40〜70%とすることにより、良好な品質のポリマー繊維体が得られた。
[実施例11〜34、比較例12〜46]
ナフィオンとPVDFの混合比(ナフィオン:PVDF)を表2の通り10:0〜0:10とし、ナフィオン濃度とPVDF濃度の合計が13wt%となるように調整し、相対湿度を表2の通り30〜80%としたこと以外は実施例1と同様にしてナフィオン/PVDF繊維の不織布を作製した。その結果を表2に示す。なお、ナフィオン:PVDFが2:8のときPVDF濃度は13wt%×0.8=10.4wt%となり10wt%以上となる。
Figure 0005428715
表2の通り、ナフィオン/PVDFの混合溶液をPVDF濃度10wt%未満では相対湿度50〜70%、PVDF濃度10wt%以上では相対湿度40〜70%で電界紡糸することにより、品質の良好なポリマー繊維体が得られた。なお、配合比が10:0のものと0:10のものは、湿度が50〜70%であっても比較例となる。
[実施例35〜49、比較例47〜60]
電解質ポリマーとしてフミオンを用い、フミオン濃度13.5wt%とし、PVDF濃度を表3の通り5〜15wt%とし、相対湿度を表3の通り30〜80%としたこと以外は実施例1と同様にしてフミオン/PVDF繊維の不織布を作製した。その結果を表3に示す。
Figure 0005428715
表3の通り、フミオン/PVDFの混合溶液をPVDF濃度10wt%未満では相対湿度50〜70%、PVDF濃度10wt%以上では相対湿度40〜70%で電界紡糸することにより、品質の良好なポリマー繊維体が得られた。
1 シリンジ
2 ハイブリッドポリマー繊維体
3 ターゲット

Claims (6)

  1. 非電解質ポリマーと電解質ポリマーとが溶解した溶液を相対湿度50〜70%の雰囲気中で電界紡糸することを特徴とするポリマー繊維体の製造方法。
  2. 請求項1において、前記溶液中の非電解質ポリマーの濃度が2〜16重量%であり、電解質ポリマーの濃度が7〜21重量%であることを特徴とするポリマー繊維体の製造方法。
  3. 濃度10wt%以上の非電解質ポリマーと電解質ポリマーとが溶解した溶液を相対湿度40〜50%の雰囲気中で電界紡糸することを特徴とするポリマー繊維体の製造方法。
  4. 請求項3において、前記溶液中の電解質ポリマーの濃度が7〜21wt%であることを特徴とするポリマー繊維体の製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、非電解質ポリマー及び/又は電解質ポリマーがフッ素を含有するフッ素系ポリマーであることを特徴とするポリマー繊維体の製造方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項において、電解質ポリマーがスルホ基又はカルボキシル基を有するフッ素系ポリマーであり、非電解質ポリマーがポリフッ化ビニリデンであることを特徴とするポリマー繊維体の製造方法。
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