JP2844382B2 - 貯蔵安定性レブリン酸の製造方法 - Google Patents

貯蔵安定性レブリン酸の製造方法

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/347Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides by reactions not involving formation of carboxyl groups

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アセチルコハク酸エステルをけん化するこ
とにより貯蔵安定性に富んだレブリン酸を製造する方法
に関する。
レブリン酸は、有機化学薬品、染料、重合体、医薬的
に活性な化合物および香料の製造のための出発物質であ
る。重合体、医薬的に活性な化合物および香料の製造用
のレブリン酸の用途においては、レブリン酸の純度、色
および安定性に関する厳格な要求規格が課される。
〔従来の技術および発明が解決しようとする問題点〕
異なった出発物質に基づくレブリン酸のいくつかの製
造方法がすでに知られている。
鉱酸の作用により炭水化物からレブリン酸を製造する
ことは、ウィギンス(L.F.Wiggins)編「リサーチ・3
(Reserch 3)」(1950年)第140頁に引用されたムルデ
ル(G.J.Mulder)による論文(J.prakt.Chem.21,219(1
840))に記載されて公知となっている。ギ酸の他にさ
らに副生成物が40ないし60%の収量で生成し、それらの
うちの若干のものは不溶性であり、そして若干のものは
濃く着色しており、そして完全には分離できない。この
方法で製造されたレブリン酸は、すでに著しい褐色ない
し赤味を帯びた着色を示しそして貯蔵中に急速に更に濃
くなり、すなわちそれは色安定性を有しない。
ドイツ特許出願公開第2,112,726号には、フリフリル
アルコールより出発して塩酸またはシュウ酸を用いて開
環することによりレブリン酸を製造することが開示され
ている。収量を向上させるために、この方法は非常に希
薄な溶液中で行われ、このことは溶媒の分離に多量のエ
ネルギー消費を伴う。しかしながら、この方法で製造さ
れたレブリン酸は、短時間の熱負荷の下においてさえ極
めて急速に濃く着色し、すなわち色安定性が低い。
ヨーロッパ特許出願公開第0,028,234号には、レブリ
ン酸の製造方法が開示されているが、この方法において
は、フリフリルアルコールをまず酸触媒の存在下にエス
テル化してレブリン酸エステルを得、このエステルを高
沸点の溶剤の存在下に蒸留することにより精製し、そし
て次に水および強酸の存在下に加水分解することにより
レブリン酸水溶液が生成する。このレブリン酸溶液は、
僅かな着色を示すが、レブリン酸も同様に短時間の熱負
荷の下に急速に濃く着色する。
この欠点にもかかわらず、フリフリルアルコールから
のレブリン酸の製造は、現在までに工業的規模で実施さ
れる唯一の方法である。
コンラッド(M.Conrad)による論文(Ber.Dt.Chem.Ge
s.11,211(1878)および同じくコンラッドによる論文
(Ann,188,1216(1877))には、アセチルコハク酸ジエ
チルを濃塩酸またはBa(OH)またはKOHによりけん化
することによってレブリン酸が得られることが記載され
ている。酸性けん化においては、レブリン酸エチルが副
生成物として生成する。アルカリ性けん化においては、
アセチル基の脱離が起こるので、コハク酸が副生成物と
して生成する。このようにしてアセチルコハク酸ジエチ
ルのけん化によって製造されたレブリン酸は、できる限
り僅かな熱負荷の下で蒸留により単離した後でさえ濃い
着色を示しそしてこれは貯蔵中に急速に悪化する。
〔問題点を解決するための手段〕
驚くべきことには、本発明者らは、この度、アセチル
コハク酸エステルより出発して、色安定性に富んだレブ
リン酸が高純度でしかもすぐれた収量をもって得られる
レブリン酸の製造方法を見出した。
従って、本発明は、アセチルコハク酸エステルを水性
鉱酸によってけん化することによって色安定性に富んだ
レブリン酸を製造する方法において、出発物質をカスケ
ード型反応器内で向流的に水蒸気によって連続的に処理
し、反応中に生成されるアルコールの沸点を超える温度
または生成される水性共沸混合物の沸点を超える温度で
反応を実施することを特徴とする、上記色安定性に富ん
だレブリン酸の製造方法に関する。
使用される出発物質は、沸点または水との共沸混合物
の沸点が100℃未満であるアルコールから誘導されたア
セチルコハク酸エステルである。そのようなアルコール
の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、i−
プロパノール、n−ブタノールおよびt−ブタノールで
ある。好ましくは、アセチルコハク酸ジメチルまたはア
セチルコハク酸ジエチルそして特に好ましくは、アセチ
ルコハク酸ジメチルが使用される。鉱酸としては、塩酸
または硫酸を使用することができ、水性塩酸を使用する
ことが好ましい。
この方法を実施するために、出発物質は、アセチルコ
ハク酸エステル:鉱酸のモル比が1:1ないし7:1、好まし
くは3:1となるように混合される。
出発物質は、好ましくはトレー塔として構成されたカ
スケード型反応器の上部に供給され、そして向流的に水
蒸気で処理され、その際アセチルコハク酸エステル1kg
あたり水蒸気少なくとも0.85kgが供給される。
カスケード型反応器内の滞留時間は、アセチルコハク
酸エステルの脱炭酸および得られたレブリン酸エステル
の加水分解によりレブリン酸ができる限り定量的に得ら
れるようにするべきである。この目的で必要とされる滞
留時間は、トレー上の液体の高さおよびトレーの数に応
じて異なる。好ましくは、トレー上の規定された液体の
高さ(ホールドアップ)を有するトレー塔が使用され、
トレーが空にならないようにする。一般に、30ないし60
分の滞留時間で十分である。
カスケード型反応器の頂部および底部の温度は、反応
中に生成したアルコールが水およびCO2と一緒に塔から
除脱されるが、鉱酸が塔内に留まり、好ましくは頂部温
度と底部温度とで少なくとも10℃の温度差が維持される
ように調節される。鉱酸として塩酸が使用される場合に
は、好ましくは90〜100℃の頂部温度および110〜140℃
の底部温度が維持される。
脱炭酸後に得られるレブリン酸エステルの加水分解に
おいて生成するアルコールの連続的除去によって、目的
生成物中のレブリン酸エステルの含量が最小限とされ
る。
塔の底部において粗レブリン酸が取り出され、次いで
できる限り僅かな熱負荷の下での蒸留によって精製され
る。このようにして分離された塩酸は、望むならば塔に
再び供給することができる。
第1図は、本発明による方法のこの好ましい具体化例
を示す工程系統図である。第1図において、1はカスケ
ード型反応器、例えばバブルキャップトレイ塔であり、
2は熱交換器、3はデフレグメーター、4はアセチルコ
ハク酸エステル供給管、5は鉱酸供給管、6は混合され
た出発物質のための供給管、7は蒸気取り出し用導管、
8は水蒸気供給用管、そして9は粗レブリン酸用の取り
出し用導管である。
導管4よりのアセチルコハク酸エステルは、導管5よ
りの鉱酸と混合され、そして混合物は、導管6を経て塔
の上部に約100℃の温度で供給される。導管8を介して
過熱水蒸気が吹き込まれそして塔の中を貫通される。
塔の底部においては、塔の最下部のトレーより流出す
る反応混合物が熱交換器2を経て水の蒸発により濃縮さ
れる。生成した粗レブリン酸は、導管9を経て取り出さ
れ、そして下流の減圧蒸留において最小限度の熱負荷で
精製される。塔の頂部においては、温度は、鉱酸がアル
コール、水およびCO2と一緒に蒸気導管7を経て取り出
されずに、主として粗レブリン酸中に留まるように、デ
フレグメーター3によって調節される。底部温度次第
で、導管9を介して取り出された粗レブリン酸は種々の
量の鉱酸を含有し、この鉱酸は減圧蒸留において分離さ
れ、そして導管5を経て塔に再び供給される。
本発明による方法によれば、レブリン酸は、短い滞留
時間において高い収量でしかも優れた色安定性をもって
得られる。概して、アセチルコハク酸エステルに関して
理論量の85〜95%の収量が得られる。滞留時間は、一般
に30なしい60分に過ぎないので、それによって、不溶性
であるかまたは分離することができずそして純度、色お
よび色安定性を損なう副生成物の生成が避けられる。全
体の反応時間は約1ないし2時間である。
蒸留による精製の後、本発明によって製造されたレブ
リン酸は、ASTM D1544−8による約2のガードナー色数
を示し、このものは、強い熱負荷の下においてさえ徐々
にしかも公知の方法によって製造されたレブロン酸に比
較して遥かに低い程度にした劣化しない。
〔実施例〕 例1: 第1図に示された28個のバブルキャップトレーを有す
る直径300mmのカスケード型反応器に、毎時87.5kgの反
応混合物をトレー23に供給した。上記混合物は、アセチ
ルコハク酸ジメチル57.5kgおよび12%塩酸30kgよりなる
ものであった。毎時50kgの水蒸気を底部トレーの下から
塔の中に吹き込んだ。底部温度は、115℃に維持され
た。メタノール、水、CO2および少量の塩酸よりなる蒸
気混合物毎時84.3kgが頂部から逸出した。導管5を通っ
て逸出するこの混合物の温度は、デフレグメーター3に
よって99〜100℃に維持された。
下記の化学的組成を有する毎時53.2kgの粗レブリン酸
が塔の底部から導管9を経て取り出された: レブリン酸 65.8% レブリン酸メチル 1.2% アセチルコハク酸ジメチル 0.2% 未知の副生成物(使用された工業用のアセチルコハク
酸ジメチルと共に導入されたもの) 0.5% 水 28.0% HCl 4.3%。
上記の粗レブリン酸を分別減圧蒸留によって精製し、
その際、毎時33.8kgの純粋なレブリン酸が得られ、これ
は95.2%の収量に相当する。このようにして精製された
レブリン酸は、1〜2のガードナー色数を有しそして貯
蔵中に色の劣化を示さなかった。
例2: 例1および第1図に記載された装置内に、反応混合物
を毎時87.5kgでトレー23に供給した。この混合物は、ア
セチルコハク酸ジメチル57.5kgおよび純レブリン酸蒸留
よりの最初の留分30kgよりなるものであり、これにHCl
濃度が約11〜12%となるように36%のHClを添加した。
上記の30kgは、次の組成を有していた: 水 57.7% レブリン酸 23.0% HCl 12.0% レブリン酸メチル 6.7% メタノールおよび未知の副生成物 0.6%。
毎時50kgの水蒸気を底部トレーの下から塔内に吹き込
んだ。底部温度を115℃に維持した。メタノール、水、C
O2および少量の塩酸よりなる蒸気混合物が毎時71.5kgで
頂部より逸出した。この逸出する混合物の温度をデフレ
グメーターによって100℃に維持する。
次の化学組成を有する粗レブリン酸が毎時66kgで塔の
底部から流出した: レブリン酸 64.2% レブリン酸メチル 3.0% アセチルコハク酸ジメチル 0.2% 未知の副生成物(使用された工業用のアセチルコハク
酸ジメチルと共に導入されたもの) 0.4% 水 28.0% HCl 4.2%。
この粗レブリン酸を分別減圧蒸留によって精製し、9
4.6%の収量に相当する、純レブリン酸を毎時33.5kgで
得た。このようにして精製したレブリン酸は、1〜2の
ガードナー色数を有し、そして貯蔵中に色の劣化を示さ
なかった。
比較例 アセチルコハク酸ジメチル244.6gおよびHCl(17%)5
20mlを、CO2の発生の終了時に反応の終了に達するまで
還流下に加熱した。反応時間は5時間であった。反応混
合物を濃縮し、そして次いで残滓を0.013バールにおい
て蒸留した。レブリン酸86g(理論量の57%)が得られ
た。
0.013バールにおける沸点:138〜140℃。
このようにして得られたレブリン酸は、2のガードナ
ー色数を示し、このものは、室温で1箇月の貯蔵後に6
のガードナー色数まで劣化した。
色安定性を測定するために、例1に従って製造された
レブリン酸を種々の熱負荷にかけ、そしてドイツ特許出
願公開第2,112,726号に従ってフリフリルアルコールか
ら(オーツカ社により)製造されたレブリン酸と比較し
た。得られた結果を第1表に示す: a 例1に従って製造されたレブリン酸 b フリフリルアルコールからオーツカ社により製造さ
れたレブリン酸 c 比較例により製造されたレブリン酸
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による方法の好ましい具体化例を示す
工程系統図である。 1……カスケード型反応器、2……熱交換器、3……デ
フレグメーター、4……アセチルコハク酸エステル供給
管、5……鉱酸供給管、6……混合された出発物質のた
めの供給管、7……蒸気取り出し用導管、8……水蒸気
供給管、9……粗レブリン酸用の取り出し用導管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヘルベルト・カイゼル オーストリア国、リンツ、グルーバー ストラーセ、69 (72)発明者 エンゲルベルト・クロイムシユタイン オーストリア国、エフエルデイング、シ ッフエル プラッツ、22 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 59/185 C07C 51/38 C07C 51/09

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アセチルコハク酸エステルを水性鉱酸でけ
    ん化することによって色安定性に富んだレブリン酸を製
    造する方法において、出発物質をカスケード型反応器内
    で向流的に水蒸気によって連続的に処理し、反応中に生
    成されるアルコールの沸点を超える温度または生成され
    る水性共沸混合物の沸点を超える温度で反応を実施する
    ことを特徴とする、上記色安定性レブリン酸の製造方
    法。
  2. 【請求項2】使用されるアセチルコハク酸エステルが、
    沸点または水との共沸混合物における沸点が100℃以下
    であるアルコールから誘導されるアセチルコハク酸のジ
    エステルである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】使用されるアセチルコハク酸エステルが、
    アセチルコハク酸ジメチルである請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】使用される水性鉱酸が、水性塩酸である請
    求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】アセチルコハク酸エステル:HClのモル比
    が、1:1ないし7:1である請求項1ないし4のいずれかに
    記載の方法。
  6. 【請求項6】アセチルコハク酸エステル:HClのモル比
    が、3:1である請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】アセチルコハク酸エステル1kgあたり少な
    くとも0.85kgの水蒸気を使用する請求項1ないし6のい
    ずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】カスケード型反応器内の滞留時間が、30な
    いし60分である請求項1なしい7のいずれかに記載の方
    法。
  9. 【請求項9】カスケード型反応器の底部において110な
    いし140℃の温度を維持し、そしてカスケード型反応器
    の頂部において90ないし100℃の温度を維持し、その際
    頂部と底部との間に少なくとも10℃の温度差を維持する
    請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
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US3752849A (en) * 1970-03-18 1973-08-14 Otsuka Kagaku Yakuhin Manufacture of levulinic acid
US4236021A (en) * 1979-05-07 1980-11-25 The B. F. Goodrich Company Process for the manufacture of levulinic acid and esters

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AT392468B (de) 1991-04-10
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HU206664B (en) 1992-12-28
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DE59001067D1 (de) 1993-04-29
CA2017580A1 (en) 1990-12-05
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