JP2898354B2 - グリオキシル酸の連続的製造方法 - Google Patents

グリオキシル酸の連続的製造方法

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    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C51/00Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides
    • C07C51/09Preparation of carboxylic acids or their salts, halides or anhydrides from carboxylic acid esters or lactones

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、グリオキシル酸アルキルエステルヘミアセ
タールの加水分解によって低い色数(colour number)
を有するグリオキシル酸の純粋な濃水溶液を連続的に製
造する方法に関する。
〔従来の技術および発明が解決しょうとする課題〕
約50%の溶液の形のグリオキシル酸は、植物処理剤、
医薬、フラグランス(fragrance)および芳香物質(aro
ma substance)ならびにプラスチック中間体の製造用の
貴重な出発化合物である。特に、医薬、フラグランスお
よび芳香物質ならびにプラスチック中間体の製造のため
の用途においては、グリオキシル酸溶液の純度、色およ
び安定性についての厳格な要求規格を満たさなければな
らない。
ヨーロッパ特許第0,099,981号には、マレイン酸ジア
ルキルを加オゾン分解し、得られた過酸化物をヘミアセ
タールまで接触還元し、そして次いで水と共に加熱して
加水分解することによってグリオキシル酸を製造するこ
とが記載されている。この方法の欠点は、ヘミアセター
ルの製造における副生成物として生成するシュウ酸ジア
ルキルがシュウ酸まで加水分解され、そして約2ないし
5%のシュウ酸がその後の処理を妨げる副生成物として
グリオキシル酸中に残存することである。加水分解中に
形成されたアルコール/水の混合物は、反応混合物から
留去されるが、このことは、アルコールが完全に分離さ
れる場合には、グリオキシル酸への比較的高い熱負荷お
よび比較的長い反応時間を必然的に伴う。熱的に不安定
なグリオキシル酸へのこの負荷は、副生成物の生成をも
たらし、その若干のものは不溶性であり、そしてその若
干のものは濃く色づいており、これらは最早完全には分
離することはできず、従ってその比較的高い色数がこの
方法で製造されたグリオキシル酸の用途を制限する。鉱
酸の添加によってヘミアセタールの加水分解を促進する
ことができ、それによって反応時間が短縮されるが、痕
跡量の酸が、分離することができない不純物として最終
生成物中に残存する。
〔課題を解決するための手段〕
驚くべきことには、本発明者らは、この度、グリオキ
シル酸エステルヘミアセタールを加水分解することによ
り、低い色数を有するグリオキシル酸の純粋な濃水溶液
を製造するにあたり、高い純度、低い色数およびすぐれ
た色安定性を有する約50%のグリオキシル酸溶液が温和
な条件下で良好な収量において得られることを見出し
た。
従って、本発明は、グリオキシル酸エステルヘミアセ
タールの加水分解によって低い色数を有するグリオキシ
ル酸の純粋な濃水溶液を連続的に製造する方法におい
て、グリオキシル酸エステルヘミアセタールをカスケー
ド型反応器中で向流的に水蒸気で処理することを特徴と
する方法に関する。
出発化合物、すなわちグリオキシル酸エステルヘミア
セタールは、すでに述べたヨーロッパ特許第0,099,981
号によって製造されうる。好ましくは、加水分解によっ
て、その沸点または水との共沸混合物中の沸点が100℃
より低いアルコールを放出するようなグリオキシル酸エ
ステルヘミアセタールが使用される。そのようなグリオ
キシル酸エステルヘミアセタールの一つの例は、グリオ
キシル酸メチルエステルメチルヘミアセタールである。
その他の好ましい例としては、より一般的に、グリオキ
シル酸エチルエステルヘミアセタール、グリオキシル酸
プロピルエステルヘミアセタール、グリオキシル酸i−
プロピルエステルヘミアセタール、グリオキシル酸t−
ブチルエステルヘミアセタールおよびグリオキシル酸n
−ブチルエステルヘミアセタールを挙げることができ
る。特に好ましくは、グリオキシル酸メチルエステルメ
チルヘミアセタールが使用される。
反応を実施するにあたって、グリオキシル酸アルキル
エステルヘミアセタールは、場合によっては、1ないし
4個の炭素原子を有する脂肪族アルコールの溶液とし
て、カスケード型反応器の上部に供給され、そして向流
的に水蒸気によって処理され、その際、グリオキシル酸
アルキルエステルヘミアセタール対水蒸気の質量比は、
存在しうるアセタールの加水分解を保証するためにも、
少なくとも1:1ないし1.5、好ましくは1:1.2ないし1.35
とされる。
カスケード型反応器は、好ましくは棚段塔(tray col
umn)の形態であり、トレーを乾燥状態で運転すること
を避けるために、各トレー上に規定量の液体を有する
(ホールドアップ)塔を使用することが有利である。
カスケード型反応器中の滞留時間は、グリオキシル酸
アルキルエステルヘミアセタールの加水分解をできうる
限り定量的なものとなすべきであるが、グリオキシル酸
への熱負荷を最小限にするために、できうる限り短くす
べきでもある。このことを達成するために必要な滞留時
間は、カスケード型反応器の各トレー上の液体の量およ
びトレーの数に依存する。通常、30ないし60分間の滞留
時間で十分である。
カスケード型反応器の頂部温度は、加水分解中に生成
されるアルコールが過剰の水蒸気と一緒に塔から除脱さ
れるように調節される。塔の底部温度は、グリオキシル
酸の約44ないし46%の溶液が塔の底部において得られる
ように調節される。一般に、底部温度は約110ないし125
℃であり、そして頂部温度は約90ないし100℃であり、
その際、好ましくは、少なくとも20℃の温度差が維持さ
れる。
塔の頂部の温度は、全範囲内において、十分な還流が
保証されるように調節される。出発生成物中に存在する
ことがあり、そして加水分解することが困難であって、
しかも水蒸気とともに揮発するシュウ酸ジアルキルのよ
うな高沸点副生成物も、頂部より出るアルコール/水混
合物と同時に除脱され、更に精製される結果になる。最
終生成物中のシュウ酸の含量は、それによって約0.5%
まで減少せしめられる。
約44ないし46%のグリオキシル酸溶液が塔の底部から
取り出され、そして排気した容器に流下され、その際溶
液は、少なくとも50%まで、急速に冷却しながら同時に
濃縮される。放出された水蒸気は凝縮しそして取り出さ
れる。
有利には、底部から取り出されたグリオキシル酸溶液
の一部は、塔の下三分の一の部分に再循環され、残りの
グリオキシル酸ヘミアセタールの加水分解は、塔の下部
におけるグリオキシル酸の濃度の増大によって接触的に
促進される。その結果、底部生成物中の遊離または結合
された形態のアルコール含量は、50%のグリオキシル酸
溶液1あたり1g未満まで減少せしめられる。
第1図の参照の下に以下に本発明による操作を説明す
る。
グリオキシル酸アルキルエステルヘミアセタールは、
場合によってはアルコール溶液として、約20ないし100
℃の温度において導管4を経て塔に供給される。過熱水
蒸気が導管5を経て供給されそして塔内を上方に流され
る。
塔の底部において、生成したグリオキシル酸溶液の一
部が取り出され、そして加熱器2によって加熱され、そ
してその蒸気は導管6を経て塔内に戻される。底部にお
いて取り出されたグリオキシル酸の一部は導管7を経て
塔の下三分の一の部分に再循環される。約44ないし46%
のグリオキシル酸溶液が110ないし125℃の温度において
導管9を介して取り出され、約50ミリバールに排気され
た受け器10に流下されそして冷却され、漏出した水蒸気
は凝縮器12において凝縮される。塔の頂部においては、
温度は、アルコール/水混合物ならびに存在することが
ありそして加水分解することが困難でしかも水蒸気と共
に揮発する高沸点の副生成物が蒸気管8を通って逸出す
るようにデフレグメーター3によって調節される。
上記の方法によって、グリオキシル酸が高純度で出発
材料に関して95ないし98%の収量において得られる。平
均滞留時間は、一般に、30ないし60分間にすぎないの
で、それによって、グリオキシル酸の純度および色を損
なう不溶性であるかまたは分離することができない副生
成物の生成が回避される。
本発明によって製造されたグリオキシル酸は、1ない
し2のガードナー色数(Gardener colour number)(AS
TM D1544−8)を示し、そして長期間の貯蔵においても
劣化を起こさない。
〔実施例〕
例 1: 27個のトレーを有する直径300mmのバブルキャップ棚
段塔よりなる第1図により実験装置に、毎時グリオキシ
ル酸メチルエステルメチルヘミアセタール85kgを1番目
のトレーに点4において供給し、そして7バールの上流
への圧力下に水蒸気115kgを点5において供給した。同
時に高温の底部生成物約30kgを7番目のトレー上に点7
において再循環せしめた。熱交換器2は、3.3バールの
水蒸気で加熱された。114ないし115℃の底部温度が確立
された。デフレグメーターより下方の頂部温度は96ない
し98℃であった。これらの条件下に、毎時グリオキシル
酸溶液113kgを底部生成物として塔からタンク10へと流
出せしめた。約65ミリバールにおける減圧蒸発の結果、
毎時水10ないし12もまた蒸発され、そして実際上無色
の51ないし52%のグリオキシル酸溶液約100kgが得られ
た。この生成物は、1kgあたり1g未満のメタノールを含
有していた。60の全塔ホールドアップにおいて、反応
系中におけるグリオキシル酸の40ないし45分間の平均滞
留時間が示された。
得られたグリオキシル酸溶液は、1ないし2のガード
ナー色数および次の組成を示した: グリオキシル酸 51.9% グリオキサール 検出できず シュウ酸 0.5% コハク酸 検出できず マレイン酸 もはや検出できず メタノール 70ppm ギ酸 検出できず 比較例 撹拌機、水蒸気加熱装置および長さ3mの充填塔および
還流分配器を備えた凝縮器を有する1500の反応容器に
グリオキシル酸メチルエステルメチルヘミアセタール50
0kgおよび水600kgを導入し、そして撹拌下に沸騰するま
で加熱した。還流下に沸騰し始めると、直ちに留出物の
取り出しを開始した。約75℃の頂部温度において、脱離
したメタノールの90%を超える量が5時間の間に留出し
た。次いで頂部温度を97℃まで上昇せしめると、メタノ
ールは、更に3時間の間に反応溶液1kgあたり5g未満に
減少した。108ないし110℃の沸騰温度において淡褐色の
50%グリオキシル酸溶液616kgが得られた。更に、メタ
ノール/水混合物484kgが留出物として得られ、これか
らメタノールを回収することができた。
このようにして製造されたグリオキシル酸は、7ない
し8のガードナー色数を示し、医薬、フラグランスおよ
び芳香物質ならびにプラスチック中間体の製造用の出発
化合物として使用するためには不適当であった。
組成: グリオキシル酸 50% グリオキサール 検出できず シュウ酸 4% コハク酸 検出できず マレイン酸 検出できず メタノール 5g/kg ギ酸 検出できず
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明による方法の好ましい実施態様を示す
工程系統図である。 1……カスケード型反応器、好ましくは、バブルキャッ
プ棚段塔、2……加熱器、3……デフレグメーター、4
……グリオキシル酸アルキルエステルヘミアセタールの
供給導管、5……水蒸気導管、6……加熱器2よりの蒸
気の供給導管、7……再循環用のグリオキシル酸供給導
管、8……蒸気管、9……グリオキシル酸溶液の取り出
し導管、10……受け器、11……冷却および濃縮されたグ
リオキシル酸溶液の取り出し導管、12……凝縮器、13…
…減圧導管。
フロントページの続き (72)発明者 カルル・ヘリンゲル オーストリア国、リンツ、ガッベス ス トラーセ、57 (72)発明者 ローレンツ・フアルンライトナー オーストリア国、リンツ、ビンデルラン ト ウエーク、19 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 59/153 C07C 51/09

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリオキシル酸エステルヘミアセタールを
    カスケード型反応器中で向流的に水蒸気で処理すること
    を特徴とする、グリオキシル酸エステルヘミアセタール
    の加水分解によって低い色数を有するグリオキシル酸の
    純粋な濃水溶液を連続的に製造する方法。
  2. 【請求項2】加水分解によりその沸点または水との共沸
    混合物中における沸点が100℃より低いアルコールを放
    出するグリオキシル酸エステルヘミアセタールを使用す
    る、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】グリオキシル酸メチルエステルメチルヘミ
    アセタールを使用する請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】グリオキシル酸エステルヘミアセタール対
    水蒸気の質量比が1:1.2ないし1.35である請求項1ない
    し3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】カスケード型反応器中の滞留時間が30ない
    し60分間である請求項1ないし4のいずれかに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】カスケードの最下部のトレイを出たグリオ
    キシル酸溶液の一部をカスケード型反応器内に再循環せ
    しめる請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】最下部のトレーを出たグリオキシル酸溶液
    を次いで減圧下に濃縮する請求項1ないし6のいずれか
    に記載の方法。
  8. 【請求項8】カスケード型反応器の底部において110な
    いし125℃の温度を、そしてカスケード型反応器の頂部
    において90ないし100℃の温度を維持する請求項1ない
    し7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】カスケード型反応器の底部と頂部との間に
    少なくとも20℃の温度差を保つ請求項1ないし8のいず
    れかに記載の方法。
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