JP2844352B2 - 車両用シート等の位置調節装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、車両用シート等の位置調節装置に係るもの
である。

（従来技術） 従来公知の、実開昭60−45136号公報には、車体側に
位置固定の固定レールと、該固定レールに添って摺動す
るシート側の移動レールと、前記固定レールに形成され
るレール方向に並設された係合孔群と、前記係合孔に対
して選択係合する前記移動レール側に設けられた係合歯
を持つロック部材とからなる車両用シート等の位置調節
装置は公知である。

（発明が解決しようとする課題） 前記公知例は、係合孔群が一種のみであるから、調節
は係合孔の間隔ごととなり、係合孔の間隔より狭い中間
位置では固定されない。そのため、微調節ができない。
微調節を可能にするためには、係合孔の間隔を狭ばめれ
ば可能であるが、強度に不安が生ずる。

（発明の目的） 本発明は、強度面の不安がなく、従来の1/2間隔で調
節できるようにしたものである。

（課題を解決するための手段） よって本発明は、車体側に位置固定の固定レール３
と、該固定レール３に添って摺動するシート側の移動レ
ール２と、前記固定レール３に形成されるレール方向に
並設された第１係合孔21群及び該第１係合孔21群に対し
半ピッチ位置をずらした第２係合孔22群と、前記第１係
合孔21及び前記第２係合孔22に対して何れか一方にのみ
選択係合する前記移動レール２側に設けられた係合歯13
を持つ一つのロック部材12とからなる車両用シート等の
位置調節装置としたものである。

（実施例） 本発明の一実施例を図面により説明すると、１は車両
用シートを車体に対して前後に移動調節するシート前後
位置調節装置、２はシート側に固定した移動レール、３
は前記移動レール２が嵌合している車体側の固定レール
である。

４は固定レール３に対して移動レール２を、移動しな
いようにする固定ロック装置である。５は前記ロック装
置４の一部であるブラケットであり、該ブラケット５は
前記移動レール２の長さ方向の所望位置の側部に固定す
る。該ブラケット５は、上方からみた平面視下側を開放
したコ型形状となるように前板６と後板７とを、一体的
に形成する。前板６及び後板７には、前後方向の挿通孔
８、８を夫々形成し、該挿通孔８、８には前後方向の回
転軸９を挿通する。該回転軸９の先端は屈曲させ、該屈
曲部10に回転軸９を回転させる操作レバー11を嵌合させ
る。

12はロック部材で、その上部を前記前板６と後板７の
間に臨ませ、回転軸９に固定する。それゆえ、操作レバ
ー11を回転操作すると、前記ロック部材12は、回動す
る。

ロック部材12の下部は、前記レール２、３側に屈曲さ
せて先端に前後方向に並ぶ複数の係合歯13を形成する。
該係合歯13は第３図のように所定の間隔Ｌを置いて形成
される。

固定レール３の下面には、前記移動レール２の前後移
動量と略同一長さの取付板14を固定（リベットまたは溶
接による）する。該取付板14の前後両端部は、夫々下方
に垂下させて屈曲部15、16を形成する。該屈曲部15、16
には、前後方向の透孔を夫々形成し、該透孔にシャフト
17の前後両端部を回転自在に挿通軸止する。

前記シャフト17には、前記レールの方向に添って長い
ロックプレート18を取付ける。

ロックプレート18は、下側ロックプレート19と、上側
ロックプレート20の２枚のプレート板で構成され、下側
ロックプレート19の上面に上側ロックプレート20を重合
させて固定（溶接その他の方法）する。下側ロックプレ
ート19の一側には溝を形成し、該溝を前記シャフト17の
下面に接合させて固定（溶接）する。

前記下側ロックプレート19は溝に続いて平板状の水平
部23を形成し、水平部23に続いて端部が次第に低くなる
ように傾斜させた下向傾斜部24を一体的に形成する。前
記水平部23と下向傾斜部24には、跨がる状態に下側係合
孔21（第１係合孔）を前記間隔Ｌと等しい間隔を置いて
多数並設する。

前記上側ロックプレート20は、水平部25と該水平部25
に続く端部が次第に高くなる上向傾斜部26を形成する。
前記水平部25と上向傾斜部26には、跨がる状態に上側係
合孔22（第２係合孔）を上側ロックプレート20の長さ方
向に前記間隔Ｌを置いて形成する。

そして、下側ロックプレート19の下側係合孔21と上側
ロックプレート20の上側係合孔22との関係は、位置をず
らせて形成し、第３図のように、半ピッチ間隔ｌの前後
調節を可能にする。

前記屈曲部15に挿通した前記シャフト17の前端は、前
記屈曲部15よりも前方に突き出るようにして、前記屈曲
部15の側部に屈曲形成した前側突片33と並設させ、前記
シャフト17の突出部の端部に割溝30を形成し、該割溝30
にコの字形状に屈曲させた板バネ31の垂直部32を係合さ
せ、板バネ31の上バネ34及び下バネ35を、並設されてい
る突片33の上下に位置させてこれを弾力的に挾持する。

前記ロック部材12の係合歯13は、下側ロックプレート
19の下側係合孔21及び上側ロックプレート20の上側係合
孔22の何れにも係合しない外方位置に回動していると、
第４図の状態となる。

前記ロック部材12の係合歯13が、下側ロックプレート
19の下側係合孔21に係合する位置にあるときは、第６図
のように、係合歯13は上側ロックプレート20の上側係合
孔22とは非係合位置であるから、係合歯13により上側ロ
ックプレート20の上向傾斜部26をシャフト17を中心に板
バネ31の上バネ34の弾力に抗して上方回動させながら、
下側係合孔21にのみ係合する。

前記ロック部材12の係合歯13が、上側ロックプレート
20の上側係合孔22に係合する位置にあるときは、第５図
のように、係合歯13は下側ロックプレート19の下側係合
孔21とは非係合位置であるから、係合歯13により下側ロ
ックプレート19の下向傾斜部24をシャフト17を中心に板
バネ31の下バネ35の弾力に抗して下方回動させながら、
上側係合孔22にのみ係合する。

それゆえ、前記下側ロックプレート19又は上側ロック
プレート20のうち前記係合歯13が係合していない方は、
上下に回動して退避する。

36はロック部材12の係合歯13を下側係合孔21または上
側係合孔22に係合するように付勢するバネ、37はロック
部材12の上部に形成した該ロック部材12と回転軸９との
溶接用の窓部である。

（作用） 次に作用を述べる。

本発明は、前記の構成であり、ロックプレート18は、
下側ロックプレート19と、上側ロックプレート20とによ
り構成され、下側ロックプレート19に形成した下側係合
孔21と上側ロックプレート20に形成した上側係合孔22と
は、位置を半ピッチずつずらして形成しているから、ロ
ック部材12の係合歯13は、下側係合孔21と上側係合孔22
のうちいずれか一方にのみ選択的に係合して移動レール
２を固定レール３に固定させる。

即ち、操作レバー11により回転軸９をバネ36の弾力に
抗して回転させると、ロック部材12の係合歯13は下側係
合孔21及び上側係合孔22より離れた外方位置となる（第
４図）。

しかして、上側ロックプレート20は下側ロックプレー
ト19に固定されており、下側ロックプレート19はシャフ
ト17に溶接等の手段で固定され、前記屈曲部15に挿通し
たシャフト17の前端に嵌め込まれたコ型の板バネ31は、
シャフト17を軸止している固定の屈曲部15の側部に屈曲
形成した前側突片33を上下で弾力的に挟持しているか
ら、該板バネ31の作用により、シャフト17は板バネ31の
垂直部32と前側突片33が平行となる位置で停止し、シャ
フト17に固定されている下側ロックプレート19と上側ロ
ックプレート20は、ともに第４図の中立位置となる。

第４図の中立位置状態では、移動レール２は前後移動
可能であるから、任意調節し、操作レバー11より手を離
すと、 ロック部材12の係合歯13が下側ロックプレート19の
下側係合孔21に臨んでいるときは、係合歯13はバネ36の
力で、上側ロックプレート20の上向傾斜部26の上側係合
孔22と隣りの上側係合孔22の間に当接して、上側係合孔
22には係合せず、上側ロックプレート20を押し上げよう
とする。したがって、上側ロックプレート20は下側ロッ
クプレート19と一緒に、板バネ31の弾力に抗して少しば
かり上方回動し、係合歯13は下側ロックプレート19の下
側係合孔21に係合する（第６図）。

ロック部材12の係合歯13が上側ロックプレート20の
上側係合孔22に臨んでいるときは、係合歯13はバネ36の
力で、下側ロックプレート19の下向傾斜部24の下側係合
孔21と隣りの下側係合孔21の間に当接して、下側係合孔
21には係合せず、下側ロックプレート19を押し下げよう
とする。したがって、上側ロックプレート20は下側ロッ
クプレート19と一緒に、板バネ31の弾力に抗して少しば
かり下方回動し、係合歯13は上側ロックプレート20の上
側係合孔22に係合する（第５図）。

このように、係合歯13は、各ロックプレート19、20の
係合孔21、22の無い部分の傾斜部24、26に当接して、こ
れを上下回動させて、下側係合孔21と上側係合孔22のう
ち、いずれか一方に係合するから、２個のロックプレー
トは互いに干渉しないで、円滑にロック状態となる。

下側ロックプレート19に形成した下側係合孔21と上側
ロックプレート20に形成した上側係合孔22とは、半ピッ
チずつ位置をずらして形成しているから、係合歯13と、
下側係合孔21と、上側係合孔22の間隔Ｌが従前のままで
も、前記間隔Ｌに対して半分の間隔ｌで、シートを移動
させて前後位置の微調節をすることができる。

（効果） 従来公知の、実開昭60−45136号公報には、車体側に
位置固定の固定レールと、該固定レールに添って摺動す
るシート側の移動レールと、前記固定レールに形成され
るレール方向に並設された係合孔群と、前記係合孔に対
して選択係合する前記移動レール側に設けられた係合歯
を持つロック部材とからなる車両用シート等の位置調節
装置は公知である。

前記公知例は、係合孔群が一種のみであるから、調節
は係合孔の間隔ごととなり、係合孔の間隔より狭い中間
位置では固定されない。そのため、微調節ができない。
微調節を可能にするためには、係合孔の間隔を狭ばめれ
ば可能であるが、強度に不安が生ずる。

しかるに本発明は、車体側に位置固定の固定レール３
と、該固定レール３に添って摺動するシート側の移動レ
ール２と、前記固定レール３に形成されるレール方向に
並設された第１係合孔21群及び該第１係合孔21群に対し
半ピッチ位置をずらした第２係合孔22群と、前記第１係
合孔21及び前記第２係合孔22に対して何れか一方にのみ
選択係合する前記移動レール２側に設けられた係合歯13
を持つ一つのロック部材12とからなる車両用シート等の
位置調節装置としたものであるから、係合歯13と、第１
係合孔21群と、第２係合孔22群の間隔が従前のままで、
強度の不安を解消させながら、前記係合孔１個分の間隔
に対して1/2の間隔で、シートを移動させて前後位置の
微調節をすることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は斜視図、第２図は分解斜視図、第３図は要部側
面図、第４図、第５図、第６図は作用状態縦断正面図で
ある。 符号の説明 １……シート前後位置調節位置、２……移動レール、３
……固定レール、４……ロック装置、５……ブラケッ
ト、６……前板、７……後板、８……挿通孔、９……回
転軸、10……屈曲部、11……操作レバー、12……ロック
部材、13……係合歯、14……取付板、15、16……屈曲
部、17……シャフト、18……ロックプレート、19……下
側ロックプレート、20……上側ロックプレート、21……
下側係合孔、22……上側係合孔、23……水平部、24……
下向傾斜部、25……水平部、26……上向傾斜部、30……
割溝、31……板バネ、32……垂直部、33……突片、34…
…上バネ、35……下バネ、36……バネ、37……窓部。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車体側に位置固定の固定レール３と、該固
   定レール３に添って摺動するシート側の移動レール２
   と、前記固定レール３に形成されるレール方向に並設さ
   れた第１係合孔21群及び該第１係合孔21群に対し半ピッ
   チ位置をずらした第２係合孔22群と、前記第１係合孔21
   及び前記第２係合孔22に対して何れか一方にのみ選択係
   合する前記移動レール２側に設けられた係合歯13を持つ
   一つのロック部材12とからなる車両用シート等の位置調
   節装置。