JP2844289B2 - Imcコントローラ - Google Patents

Imcコントローラ

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JP2844289B2
JP2844289B2 JP8382693A JP8382693A JP2844289B2 JP 2844289 B2 JP2844289 B2 JP 2844289B2 JP 8382693 A JP8382693 A JP 8382693A JP 8382693 A JP8382693 A JP 8382693A JP 2844289 B2 JP2844289 B2 JP 2844289B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は汎用コントローラに関
し、特にIMC(Internal Model Control)構造の制御
アルゴリズムを用いたコントローラに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より汎用コントローラとしてPID
制御を用いたものが一般に使用されている。図8は従来
のPIDコントローラを用いた制御系のブロック線図で
ある。23は目標値(例えばこのPIDコントローラが
室内空調機であれば室内温度設定値に相当する)からそ
の制御結果である制御量(室内温度)を減算する減算処
理部、24は減算処理部23の出力に基づいて操作量
(室内空調機から出る温風又は冷風の温度)を演算する
操作部、30は制御対象プロセス(室内環境)である。
また、Gc、Gpはそれぞれ操作部24、制御対象プロ
セス30の伝達関数、rは目標値、uは操作量、dは外
乱(室内環境に対する室外環境等)、yは制御量であ
る。
【0003】このようなPIDコントローラの動作を簡
単に説明すると、操作部24には、図示しない比例動作
部でゲインがKであるP動作部、同じく積分動作部で積
分時間がTIであるI動作部、同じく微分動作部で微分
時間がTDであるD動作部があり、この操作部24の伝
達関数Gcは次式となる。 Gc=K×(1+1/(TI×s)+TD×s) ・・・(1) ここで、sはラプラス演算子である。よって、操作部2
4の出力である操作量uは次式のように求められる。 u=Gc×(r−y) =K×(1+1/(TI×s)+TD×s)×(r−y) ・・・(2)
【0004】すなわち、PIDコントローラは、比例動
作P、積分動作I、微分動作Dを加え合わせた動作を行
う操作部24によって、減算処理部23の出力から操作
量uを演算して制御対象プロセス30へ出力し、制御対
象プロセス30からの制御量yを減算処理部23へフィ
ードバックするフィードバック制御系を構成することに
より、外乱dの影響を監視することができる。しかし、
PIDコントローラには、操作量uが出力されてから制
御対象プロセス30における制御量yに変化が現れるま
での時間(例えば室内空調機ならば温風が出てから室内
温度が上昇するまでの時間)であるむだ時間が大きい場
合、本来の動作よりも過大な操作量uを出力し、制御量
yがオーバーシュートしたり振動したりするので、むだ
時間への対応が困難であるという問題点があった。
【0005】そこで、制御対象プロセスを数式表現した
内部モデルを組み込んで制御を行うIMC構造の制御ア
ルゴリズムを用いたコントローラが提案されている。図
9はこのIMCコントローラを用いた制御系のブロック
線図である。33は目標値rから後述するフィードバッ
ク量を減算する第1の減算処理部、32は第1の減算処
理部33の出力の変化が急激に伝わらないようにするた
めのフィルタ部、34はフィルタ部32の出力に基づい
て操作量uを演算して出力する操作部、36は制御対象
プロセス30を数式で近似したものであって制御対象プ
ロセス30の制御量yに相当する参照制御量を出力する
内部モデル、38は制御量yから内部モデル36からの
参照制御量を減算してフィードバック量を出力する第2
の減算処理部である。また、F、Gmはそれぞれフィル
タ部32、内部モデル36の伝達関数、ymは参照制御
量、eはフィードバック量である。
【0006】次に、このようなIMCコントローラの動
作を説明する。まず、第1の減算処理部33にて目標値
rからフィードバック量eが減算され、この結果が目標
値rの急激な変化が伝わらないようにするためのフィル
タ部32に出力される。次いで、操作部34にてフィル
タ部32の出力から操作量uが演算され、制御対象プロ
セス30及びコントローラの内部モデル36へ出力され
る。そして、第2の減算処理部38にて制御対象プロセ
ス30の制御量yから制御対象プロセス30の近似的な
動作をする内部モデル36からの参照制御量ymが減算
され、この結果がフィードバック量eとして第1の減算
処理部33へフィードバックされるフィードバック制御
系が構成されている。
【0007】このようなIMCコントローラの内部モデ
ル36は、制御対象プロセス30と全く同一になるよう
に数式表現されるのが理想的であり、また操作部34
は、内部モデル36の伝達関数の逆特性(1/Gm)に
なるのが理想的であるが、内部モデル36にあるむだ時
間の要素については逆数化は不可能なので、通常はむだ
時間の要素は無視する。よって、制御量yは、このよう
な構成により目標値r、外乱dから次式にて求めること
ができる。 y=F×Gp×Gc×r/{1+F×Gc×(Gp−Gm)} +(1−F×Gm×Gc)×d/{1+F×Gc×(Gp−Gm)} ・・・(3) ここで、内部モデル36の伝達関数Gmが制御対象プロ
セス30の伝達関数Gpに等しく、操作部34の伝達関
数Gcが内部モデル36の伝達関数の逆数(1/Gm=
1/Gp)に等しい理想的な状態を仮定すると、式
(3)は次式のようになる。 y=F×r+(1−F)×d ・・・(4)
【0008】更に、目標値rに急激な変化がない理想的
な条件であればフィルタ部32は不要となり、F=1に
できるので、制御量yは目標値rと等しくなり(y=
r)、外乱dの影響が全くない制御を実現できることに
なる。また、図9の制御系で外乱dに着目すると、制御
対象プロセス30と内部モデル36に大きなむだ時間が
あったとしても、両者は操作量uに対して同じ特性を示
すので、第2の減算処理部38の出力であるフィードバ
ック量eは外乱dのみとなり、外乱dを抑制できること
が分かる。このようなIMCコントローラは、通常、制
御対象プロセス30と内部モデル36の誤差が大きくな
ったときの安定性を示すロバスト安定性、及び同様に誤
差が大きくなったときの性能を示すロバスト性能につい
ての設計条件に基づいて設計される。また、フィルタ部
32は、このようなモデル同定技術によって内部モデル
36が決定された後に、内部モデル36の制御対象プロ
セス30とのモデル同定精度に基づいて調整される。
【0009】ところが、フィルタ部32の伝達関数F
は、式(3)に示すように目標値rにかかる右辺第1項
[F×Gp×Gc×r/{1+F×Gc×(Gp−G
m)}]、及び外乱dにかかる右辺第2項[(1−F×
Gm×Gc)×d/{1+F×Gc×(Gp−G
m)}]の両方に含まれている。つまり、右辺第1項、
右辺第2項、すなわちそれぞれ目標値rに関する特性、
外乱dに関する特性をフィルタ部32で調整する場合
は、それぞれを独立して調整することができない。した
がって、目標値rに対して制御量yがどう追従するかを
示す目標値追従性と、外乱dをどれだけ抑制できるかを
示す外乱抑制性とを両立させることは難しい。また、目
標値追従性と外乱抑制性を両立させた2自由度IMCの
設計手法が提案されているが、最適な制御性能を得るこ
とを目的としたものであって汎用的に利用できるコント
ローラとしては実現されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来のIMCコントロ
ーラは以上のように構成されているので、汎用的に利用
できるコントローラとしては不適当であり、目標値追従
性と外乱抑制性の両立を前提としたIMC構造の利点を
活かした汎用コントローラは実現されていないという問
題点があった。また、従来の汎用PIDコントローラで
は、むだ時間の大きな制御対象プロセスに対しては有効
に制御できないという問題点があった
【0011】本発明は、上記課題を解決するために、目
標値追従性と外乱抑制性を両立させた汎用性の高いIM
Cコントローラを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、入力された制
御の目標値を伝達関数が1次遅れの特性で出力する目標
値フィルタ部と、目標値フィルタ部の出力からフィード
バック量を減算する第1の減算処理部と、第1の減算処
理部の出力を伝達関数が1次遅れの特性で出力する目標
値・外乱フィルタ部と、内部モデルのパラメータに基づ
いて、むだ時間の要素を除いた内部モデルの伝達関数の
逆数により目標値・外乱フィルタ部の出力から操作量を
演算する操作部とからなる操作量演算部と、内部モデル
のパラメータを記憶する内部モデル記憶部と、内部モデ
ルのパラメータに基づいて操作量演算部から出力された
操作量から参照制御量を演算する内部モデル出力演算部
と、制御対象プロセスの制御量から内部モデル出力演算
部から出力された参照制御量を減算してフィードバック
量を出力する第2の減算処理部とを有するものである。
【0013】
【作用】本発明によれば、目標値が目標値フィルタ部に
入力され、第1の減算処理部にて目標値フィルタ部の出
力からフィードバック量が減算され、この結果が操作量
演算部に出力される。次いで、操作量演算部にて第1の
減算処理部の出力から操作量が演算され、制御対象プロ
セス及び内部モデル出力演算部へ出力される。そして、
第2の減算処理部にて制御対象プロセスの制御量から内
部モデル出力演算部からの参照制御量が減算され、この
結果がフィードバック量として第1の減算処理部へフィ
ードバックされるフィードバック制御系が構成されてい
【0014】
【実施例】図1は本発明の1実施例を示す目標値追従性
と外乱抑制性を両立させた2自由度IMCコントローラ
のブロック図、図2はこのIMCコントローラを用いた
制御系のブロック線図である。図1において、1は図示
しないオペレータによって設定された目標値rをこのコ
ントローラに入力する目標値入力部、2は目標値入力部
1からの目標値rを伝達関数が1次遅れの特性で出力す
る目標値フィルタ部、3は目標値フィルタ部2の出力か
らフィードバック量eを減算する第1の減算処理部、4
は後述する内部モデル記憶部からのパラメータに基づい
て第1の減算処理部3の出力から操作量uを演算する操
作量演算部、5は操作量演算部4から出力された操作量
uを図1では図示しない制御対象プロセスへ出力する信
号出力部である。
【0015】また、6aはこのIMCコントローラの内
部モデルのパラメータを記憶する内部モデル記憶部、6
bは内部モデル記憶部6aから出力されたパラメータに
基づいて内部モデルとしての演算を行い参照制御量ym
を出力する内部モデル出力演算部、7は制御対象プロセ
スからの制御量yをこのIMCコントローラに入力する
制御量入力部、8は制御量入力部7から出力された制御
量yから内部モデル出力演算部6bから出力された参照
制御量ymを減算してフィードバック量eを出力する第
2の減算処理部である。
【0016】図2において、4aは操作量演算部4の内
部にあって、第1の減算処理部3の出力を伝達関数が1
次遅れの特性で出力する目標値・外乱フィルタ部、4b
は同じくその内部にあって目標値・外乱フィルタ部4a
の出力から操作量uを演算する操作部、6は内部モデル
記憶部6a及び内部モデル出力演算部6bからなる内部
モデル、F1は目標値フィルタ部2の伝達関数、F2は
目標値・外乱フィルタ部4aの伝達関数である。なお、
図2は図1のIMCコントローラを制御対象プロセス3
0と外乱dを含めて制御系として書き直したものであ
る。
【0017】次に、このようなIMCコントローラの動
作を説明する。目標値rは、このIMCコントローラの
オペレータ等によって設定され、目標値入力部1を介し
て目標値フィルタ部2に入力される。目標値フィルタ部
2は、目標値rをその時定数をT1とする次式のような
伝達関数F1の特性で出力する。 F1=1/(1+T1×s) ・・・(5) 次に、第1の減算処理部3は、この目標値フィルタ部2
の出力から第2の減算処理部8から出力されるフィード
バック量eを減算する。
【0018】そして、操作量演算部4内の目標値・外乱
フィルタ部4aは、第1の減算処理部3の出力をその時
定数をT2とする次式のような伝達関数F2の特性で出
力する。 F2=1/(1+T2×s) ・・・(6) また、同じくその内部の操作部4bは、目標値・外乱フ
ィルタ部4aの出力から操作量uを演算するが、その伝
達関数Gcは内部モデル記憶部6aから出力された内部
モデル6のゲイン及び時定数により次式となり、図9の
例と同様にむだ時間Lmの要素を除いた内部モデル6の
伝達関数Gmの逆数となっている。 Gc=(1+Tm×s)/Km ・・・(7) ここで、Km、Tmはそれぞれ内部モデル6のゲイン、
時定数である。よって、操作量演算部4全体としての伝
達関数は次式となる。 F2×Gc=(1+Tm×s)/{Km×(1+T2×s)}・・・(8) このようにして、第1の減算処理部3の出力から操作量
uが演算されて信号出力部5を介して制御対象プロセス
30へ出力され、また内部モデル出力演算部6bへ出力
される。
【0019】次に、内部モデル6は、内部モデル記憶部
6aに記憶されたゲインKm、むだ時間Lm、及び時定
数Tmからなるこれらのパラメータによって、制御対象
プロセス30を1次遅れとむだ時間の要素を有するもの
として数式表現したものであり、内部モデル出力演算部
6bにて操作量演算部4から出力された操作量uから参
照制御量ymを演算する。その伝達関数Gmは次式とな
る。 Gm=Km×exp(−Lm×s)/(1+Tm×s) ・・・(9) 次に、第2の減算処理部8は、制御量入力部7を介して
入力された制御対象プロセス30からの制御量yから内
部モデル出力演算部6bからの参照制御量ymを減算し
てフィードバック量eを出力する。そして、このフィー
ドバック量eが上記のように第1の減算処理部3に入力
される。これで、このIMCコントローラからなるフィ
ードバック制御系が成立する。
【0020】そして、この制御系は、図9の例の制御系
において、フィルタ部32を目標値・外乱フィルタ部4
aにし、目標値rに対して目標値フィルタ部2を追加し
た制御系に相当するので、式(3)から制御量yは次式
となる。 y=F1×F2×Gp×Gc×r/{1+F2×Gc×(Gp−Gm)} +(1−F2×Gm×Gc)×d/{1+F2×Gc×(Gp−Gm)} ・・・(10) すなわち、式(10)に示すように外乱dにかかる右辺
第2項[(1−F2×Gm×Gc)×d/{1+F2×
Gc×(Gp−Gm)}]には目標値・外乱フィルタ部
4aの伝達関数F2のみが関係しているので、外乱dに
ついては目標値・外乱フィルタ部4aで調整する。ま
た、右辺第1項[F1×F2×Gp×Gc×r/{1+
F2×Gc×(Gp−Gm)}]から、目標値rについ
ては目標値・外乱フィルタ部4aの調整後に伝達関数F
1の目標値フィルタ部2を調整する。
【0021】したがって、内部モデル6を決定した後
に、式(5)、(6)に示すような少ないパラメータ設
定で必要十分な特性を有する目標値フィルタ部2及び目
標値・外乱フィルタ部4aを調整すれば、目標値追従性
と外乱抑制性とを両立でき、一般的なプラントを対象と
して汎用的に利用できるIMC構造のコントローラを実
現することができる。なお、本実施例の2自由度IMC
コントローラは、外乱dに対しては目標値・外乱フィル
タ部4aにより伝達関数F2という1次遅れの特性とな
り、目標値rに対しては目標値フィルタ部2と目標値・
外乱フィルタ部4aにより伝達関数F1×F2という2
次遅れの特性となる。
【0022】図3は本実施例のIMCコントローラをタ
ンク内の液面の高さの制御に使用したときの目標値追従
性を示す図、図4は同じく外乱抑制性を示す図である。
図3、4において、縦軸は液面の高さ(制御量y)、横
軸は時間、ypは従来のPIDコントローラによって制
御した場合の制御量である。図3は、0秒にて目標値r
(一点鎖線)を液面の高さ4cmとして入力し、本実施
例のIMCコントローラによる制御結果の液面の高さで
ある制御量y(実線)と、同じく従来のPIDコントロ
ーラによる制御量yp(破線)とを求めたシミュレーシ
ョン結果である。
【0023】ここで、タンク内の液体という制御対象プ
ロセス30のゲインを4.0、むだ時間を50秒、時定
数を10秒と仮定し、本実施例の内部モデル6のゲイン
Km、むだ時間Lm、時定数Tmをそれぞれ制御対象プ
ロセス30と同じにし、目標値フィルタ部2の時定数T
1を15秒、目標値・外乱フィルタ部4aの時定数T2
を15秒としている。また、PIDコントローラのゲイ
ンKを0.03、I動作の積分時間TIを10秒、D動
作の微分時間TDを25秒としている。図3に示すよう
に、従来のPIDコントローラの制御量ypのように目
標値rを超えることもなく、本実施例の目標値追従性が
向上していることが分かる。
【0024】図4では、操作量u=0、制御量y=0の
安定している状態で、0秒にて突然高さ1cmの液面の
上昇という外乱d(一点鎖線)が発生したときの結果を
図3と同様に比較したものである。また、内部モデル6
及び制御対象プロセス30のパラメータは図3と同じで
あるが、PIDコントローラのゲインKを0.047
5、積分時間TIを120秒、微分時間TDを20秒と
している。図4に示すように、むだ時間が大きい制御対
象プロセス30に対して、従来のPIDコントローラは
外乱dを抑制しきれておらず、それに対して本実施例の
IMCコントローラは外乱抑制性が向上していることが
分かる。
【0025】上記の如くIMCコントローラは、制御対
象プロセスが大きなむだ時間を有する場合にも対応が容
易であるが、むだ時間の小さな制御対象プロセスに対す
る外乱抑制性に限っては最適に調整されたPIDよりも
IMCの方が劣っている。そこで、IMCとPIDの長
所を使い分けることによりむだ時間の小さい制御対象プ
ロセスにも対応することができる。
【0026】図5は本発明の参考例を示すIMCコント
ローラのブロック図であり、図1の例と同様の部分には
同一の符号が付してある。9は切替信号に基づいて第1
の減算処理部3の出力を後述する第1の操作量演算部と
第2の操作量演算部のどちらに出力するかを切り替える
信号伝達切替部、10aはPID制御のパラメータを記
憶するPID記憶部、10bはPID記憶部10aから
出力されたパラメータに基づいて、PIDコントローラ
の操作部として信号伝達切替部9の出力から操作量uを
演算する第2の操作量演算部、11は目標値入力部1か
らの目標値rと制御量入力部7からの制御量yとに基づ
いて制御対象プロセスの整定状態を判定し、その結果を
判定信号として出力する整定状態判定部、12は整定状
態判定部11からの判定信号と内部モデル記憶部6aか
らのパラメータに基づいて切替信号を出力する切替制御
部、14は図1の実施例の操作量演算部4と同様の第1
の操作量演算部である。
【0027】本参考例では、信号伝達切替部9が切替制
御部12から出力された切替信号に基づいて第1の減算
処理部3の出力を切り替えており、第1の操作量演算部
14に出力されるように切り替えれば、図1の操作量演
算部4に相当する第1の操作量演算部14を始めとして
その構成、動作は図1の例と同様となる。また、第1の
減算処理部3の出力が第2の操作量演算部10bに出力
されるように切り替えれば、内部モデル出力演算部6b
からの参照制御量ymは出力されなくなるので、第2の
減算処理部8の減算結果であるフィードバック量eは制
御量yのみとなり、図8の操作部24に相当するPID
記憶部10a及び第2の操作量演算部10bを始めとし
てその構成、動作は図8の例と同様となる。なお、後述
するが、第2の操作量演算部10b側に切り替えるの
は、整定状態のときで目標値rに変化はないので、この
ときは目標値フィルタ部2はないに等しい。
【0028】次に、このような切替アルゴリズムとし
て、始めに整定状態判定部11の動作を説明する。整定
状態判定部11は、目標値入力部1からの目標値rと制
御量入力部7からの制御量yに基づいて制御対象プロセ
スが整定状態かどうかを判定し、その結果を判定信号と
して出力する。まず、目標値入力部1から出力された目
標値rが変化したときは、整定状態ではないと判定して
判定信号の値を「1」とする。
【0029】次に、目標値rが変化したときの変化量d
r、目標値rと制御量yの差h=y−rをこの制御系の
サンプリング時間ごとに算出する。また、1サンプリン
グ前の制御量をy2とし、現在の制御量yとの差dy=
y−y2を1サンプリングごとに算出する。そして、判
定信号が「1」で、かつ次式の条件を同時に満たしたと
きに、制御対象プロセスが整定状態と判定して判定信号
の値を「0」にする。 |h|<X1×|dr| ・・・(11) |dy|<X2×|dr|/dt ・・・(12) ここで、dtは例えば1.0秒というサンプリング時間
であり、しきい値X1、X2はそれぞれ例えば0.0
2、0.01とする。
【0030】次に、切替制御部12の動作は、整定状態
判定部11から出力された判定信号と内部モデル記憶部
6aから出力されたむだ時間Lm及び時定数Tmに基づ
いて、切替条件を判定して切替信号を出力する。このと
き、判定信号が「1」か、あるいは次式が成立するとき
は切替信号を「0」にする。 Lm/Tm≧X3 ・・・(13) すなわち、整定状態判定部11によって制御対象プロセ
スが整定状態でないと判定されたか、あるいはむだ時間
Lm/時定数Tmがしきい値X3以上で制御対象プロセ
スのむだ時間が大きいと判定したときは、IMC制御の
方が適しているとして切替信号を「0」にする。なお、
しきい値X3は例えば0.25とする。よって、信号伝
達切替部9は、切替制御部12から出力された切替信号
により第1の減算処理部3の出力を第1の操作量演算部
14に出力し、本参考例のコントローラは、図1の例の
2自由度IMCコントローラと全く同じ動作をする。
【0031】また、切替制御部12は、整定状態判定部
11から出力された判定信号が「0」で、かつ次式が成
立するときは切替信号を「1」にする。 Lm/Tm<X3 ・・・(14) すなわち、整定状態判定部11によって制御対象プロセ
スが整定状態であると判定され、かつむだ時間Lm/時
定数Tmがしきい値X3より小さくて制御対象プロセス
のむだ時間が小さいと判定したときは、PID制御の方
が適しているとして切替信号を「1」にする。よって、
信号伝達切替部9は、切替制御部12から出力された切
替信号により第1の減算処理部3の出力を第2の操作量
演算部10bに出力し、本参考例のコントローラは、図
8の例のPIDコントローラと同様の動作をする。
【0032】したがって、制御が整定状態でないかある
いは制御対象プロセスのむだ時間が大きい場合はIMC
構造のコントローラとして動作し、制御が整定状態でか
つ制御対象プロセスのむだ時間が小さい場合はPID構
造のコントローラとして動作することによって、目標値
追従性と外乱抑制性とを両立でき、むだ時間の小さい制
御対象プロセスに対しても汎用コントローラとして対応
することができる。なお、本参考例のIMCコントロー
ラは、IMCの構造を図1の例と同様に構成したが、そ
の他のIMC構造とすることもできる。
【0033】図6は本参考例のIMCコントローラを図
3と同様にタンク内の液面の高さの制御に使用したとき
の目標値追従性を示す図、図7は同じく図4と同様に外
乱抑制性を示す図である。図6は、図3と同様に0秒に
て目標値r(一点鎖線)を液面の高さ4cmとして入力
し、本参考例のIMCコントローラによる制御量y(実
線)と、従来のPIDコントローラによる制御量yp
(破線)とを求めたものである。
【0034】ここで、制御対象プロセスのゲインを4.
0、むだ時間を1.0秒、時定数を22.3607秒と
仮定し、本参考例の内部モデル記憶部6aのゲインK
m、むだ時間Lm、時定数Tmをそれぞれ制御対象プロ
セスと同じにし、目標値フィルタ部2の時定数T1を
1.0秒、図5では図示しない第1の操作量演算部14
内の目標値・外乱フィルタ部の時定数T2を1.0秒と
している。また、PID記憶部10aに記憶されたPI
DコントローラのゲインK2を5.311、I動作の積
分時間TI2を2.4秒、D動作の微分時間TD2を
0.4秒としている。また、従来のPIDコントローラ
のゲインKを3.354、I動作の積分時間TIを2
2.3607秒、D動作の微分時間TDを0.5秒とし
ている。図6において、本参考例のIMCコントローラ
は、0秒からの目標値rの変化に対してIMC制御とし
て動作しており、制御量yが安定した後にPID制御に
移行することにより、目標値追従性が向上している。
【0035】図7は、図4と同様に操作量u=0、制御
量y=0の安定している状態で、0秒にて突然高さ1c
mの液面の上昇という外乱d(図示せず)が発生したと
きの結果であり、外乱抑制性については従来のPIDと
同様の結果になるので、従来のIMCコントローラによ
る制御量yiと比較している。図7において、外乱dが
発生する前は制御対象プロセスは整定状態であり、外乱
dが発生した後も目標値rには変化がないので、本参考
のIMCコントローラはPID動作をしており、従来
のIMCコントローラに比べて外乱抑制性が向上してい
ることが分かる。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、最低限のパラメータ設
定で必要十分な特性を有する目標値フィルタ部及び目標
値・外乱フィルタ部を設けることにより、目標値追従性
と外乱抑制性とを両立でき、一般的なプラントを対象と
して汎用的に利用できるIMC構造のコントローラを実
現することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示す2自由度IMCコント
ローラのブロック図である。
【図2】図1のIMCコントローラを用いた制御系のブ
ロック線図である。
【図3】図1のIMCコントローラの目標値追従性を示
す図である。
【図4】図1のIMCコントローラの外乱抑制性を示す
図である。
【図5】本発明の参考例を示すIMCコントローラのブ
ロック図である。
【図6】図5のIMCコントローラの目標値追従性を示
す図である。
【図7】図5のIMCコントローラの外乱抑制性を示す
図である。
【図8】従来のPIDコントローラを用いた制御系のブ
ロック線図である。
【図9】従来のIMCコントローラを用いた制御系のブ
ロック線図である。
【符号の説明】
2 目標値フィルタ部 3 第1の減算処理部 4 操作量演算部 4a 目標値・外乱フィルタ部 4b 操作部 6a 内部モデル記憶部 6b 内部モデル出力演算部 8 第2の減算処理部 9 信号伝達切替部 10a PID記憶部 10b 第2の操作量演算部 11 整定状態判定部 12 切替制御部 14 第1の操作量演算部 e フィードバック量 r 目標値 u 操作量 y 制御量 ym 参照制御量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−182705(JP,A) 計装、vol.34 No.6(1991) p.77−82 システムと制御、vol.28 No. 5(1984)p.269−277 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 13/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制御の目標値から制御対象プロセスに出
    力する操作量を演算し、制御対象プロセスを1次遅れと
    むだ時間の要素を有する伝達関数で表現した内部モデル
    にて制御結果である制御対象プロセスの制御量に相当す
    る参照制御量を演算し、制御量と参照制御量との差をフ
    ィードバックすることにより制御を行うIMCコントロ
    ーラにおいて、 入力された制御の目標値を伝達関数が1次遅れの特性で
    出力する目標値フィルタ部と、 前記目標値フィルタ部の出力からフィードバック量を減
    算する第1の減算処理部と、 前記第1の減算処理部の出力を伝達関数が1次遅れの特
    性で出力する目標値・外乱フィルタ部と、内部モデルの
    パラメータに基づいて、むだ時間の要素を除いた前記内
    部モデルの伝達関数の逆数により前記目標値・外乱フィ
    ルタ部の出力から操作量を演算する操作部とからなる操
    作量演算部と、 前記内部モデルのパラメータを記憶する内部モデル記憶
    部と、 前記内部モデルのパラメータに基づいて前記操作量演算
    部から出力された操作量から参照制御量を演算する内部
    モデル出力演算部と、 制御対象プロセスの制御量から前記内部モデル出力演算
    部から出力された参照制御量を減算して前記フィードバ
    ック量を出力する第2の減算処理部とを有することを特
    徴とするIMCコントローラ
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システムと制御、vol.28 No.5(1984)p.269−277
計装、vol.34 No.6(1991)p.77−82

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