JP2842688B2 - 古紙再生法 - Google Patents

古紙再生法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、古紙再生法に関するものであり、さらに詳
しくは、高白色度の古紙パルプが得られる古紙再生法に
関するものである。
[従来の技術] 近年、炭酸ガス濃度の増大による地球温暖化や、紙系
廃棄物の増大を緩和するため、古紙利用の促進が強く求
められている。古紙パルプの配合率を増大させ、新たな
用途を開発して古紙利用をさらに促進させるためには、
古紙パルプの高品質化(とくに高白色度化)が必須であ
る。
古紙パルプの白色度は、繊維の白色度と残インキ量に
よって決まるものなので、紅白色度の古紙パルプを得る
には、高度に脱インキさせることが必要である。
また、白色度は、同一インキ量で比較すると、残イン
キ粒子の粒径が小さくなるほど低下するので、高度に脱
インキするためには、残インキ量を大幅に低減させるこ
とに加え、残インキ粒子の微細化を抑制することも必要
である。
残インキ粒子の粒径は、分離効率を左右する重要な因
子でもある。残インキ粒子がサブミクロンに微細化する
と、フローテーションでは容易に分離できないことが報
告されており、洗浄理論からみても、粒子が小さいほど
繊維から分離しにくいことが認められている。
新聞古紙のような、インキが剥離しにくいものを高度
に脱インキさせるために、これまでにも様々な方法が試
みられている。例えば、アルカリ浸漬後に撹拌する方法
(特開昭54−120705号)、アルカリを添加し、加温下で
ニーディングする方法(特開昭55−40850号)、超音波
処理(Tappi、62、(1)、45、(1979年))等が提案
されている。さらに脱墨剤とセルラーゼの併用によりイ
ンキ剥離を促進する方法(特開昭59−9299号)もある。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、これらの脱インキ処理方法では、いま
だ残インキ量が多く、しかもされが微細化してしまい、
その後に行う漂白をいかに強化しても、白色度は向上し
ない。例えば、上記のアルカリを添加し、加温下でニー
ディングする方法(特開昭55−40850号)では、オフセ
ット輪転機で印刷された新聞古紙を用いて、絶乾時パル
プあたり、過酸化水素3重量%、NaOH2.8重量%、ケイ
酸ソーダ3.8重量%および脱インキ剤0.2重量%を添加
し、パルプ濃度20%、0℃でニーディングし、次いでフ
ローテーションによりインキを分離しているが、得られ
るパルプの白色度は、56.6%と低値に止まっている。
本発明は、以上のような従来の課題を解決し、単に、
残インキ量を低減するだけではなく、同時にインキ粒子
の微細化を抑制して、高白色度の古紙パルプが得られる
古紙再生法を提供することを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、鋭意検討した結果、上記のような課題
を解決することのできる古紙再生法を見いだすことがで
きた。
すなわち、本発明は、離解処理した古紙パルプに含ま
れる剥離インキをパルプと分離し、 次に、得られたパルプに、絶乾パルプあたり3〜6重
量%のアルカリ、3重量%以上の過酸化水素および1〜
12重量%のケイ酸ソーダを添加して、パルプ濃度10%以
上、温度70℃以上でソーキングを行い、 続いて、パルプ濃度10%以上でニーディングを行うこ
とを特徴とする、古紙再生法を提供するものである。
さらにまた、本発明は、前記のようにして得られたパ
ルプを長繊維分と短繊維分とに分別することを特徴とす
る、前記に記載の古紙再生法を提供するものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の古紙再生法は、上述の処理条件を満たせば、
従来から用いられている一般的な古紙の処理工程を適用
すればよく、とくに限定するものではない。
まず、前処理として、プレフローテーションや洗浄
法、あるいは繊維を長繊維分と短繊維分とに分別するい
わゆるフラクショネーション法等によって、古紙の離解
処理によって剥離したインキを除去する。
続いて、以下に示すようにな脱インキ剤を添加してソ
ーキングを行う。
アルカリ 本発明で使用することのできるアルカリは、従来から
使用されているものでよい。例えば、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリを例
示することができる。
従来、アルカリの添加量は、絶乾パルプあたり0.5〜
3重量%であったが、本発明では、絶乾パルプあたり、
3〜6重量%、好ましくは、3.5〜4重量%のアルカリ
を添加することを特徴としている。
過酸化水素水 過酸化水素水の添加量は、通常用いられる添加量でよ
く、好ましくは、絶乾パルプあたり3重量でよく、好ま
しくは、絶乾パルプあたり3重量%以上である。
ケイ酸ソーダ 過酸化水素水は、自己分解を起こすが、それを抑制す
るために、ケイ酸ソーダを添加する。添加量は、通常用
いられている添加量でよいが、好ましくは、絶乾パルプ
あたり3〜6重量%である。
界面活性剤 所望により、界面活性剤を脱インキ剤として添加する
ことができる。本発明で用いることのできる界面活性剤
は、とくに限定するものではないが、例えば、オレイン
酸ソーダ、オレフィンスルホネート、ジオクチルスルホ
サクシネート等のアニオン系脱インキ剤、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオ
レイルエステル等のノニオン系脱インキ剤等を例示する
ことができる。
いずれの脱インキ剤の添加量も特に限定するものでは
なく、通常使用する量を添加することができる。
従来、ソーキングの温度は、40〜60℃で行われている
が、本発明では、70℃以上、好ましくは、75〜85℃でソ
ーキングすることを特徴としている。
70℃以上でソーキングを行うことにより、残インキを
大幅に低減させることができる。
以上のような条件のソーキングにおいては、効率的に
脱インキするために、10%以上のパルプ濃度でソーキン
グを行うのがよい。
ソーキング終了後は、ニーディングを行うが、パルプ
濃度10%以上で行うのがよい。
ニーディングの条件も、従来から一般的に用いられる
条件であればよく、とくに限定するものではない。
また、ニーディング終了後には、一般的にフローテー
ションを行うが、繊維を長繊維と短繊維とに分別する、
いわゆるフラクショネーエーションをを行うこともでき
る。フラクショネーションを行うことによって、古紙の
繊維は、長繊維分と短繊維分とに分別され、残インキ量
の多い短繊維分を除去することによって、残インキ量の
少ない長繊維分のみが得られ、効率的に高白色度のパル
プを得ることができる。
[作 用] 本発明の作用は、以下のとおりであると考えられる。
インキの剥離 インキの剥離は、古紙繊維が膨潤することによって行
われると考えられるが、アルカリの添加量を絶乾古紙あ
たり3〜6重量%に増加させ、またソーキング温度を従
来の40〜60℃から70℃以上に上げることによって、古紙
繊維のアルカリ消費率が著しく増大し、繊維の膨潤が著
しく促進される。
インキビヒクルの化学的変質 オフセット輪転機で印刷したインキのビヒクルは、エ
ージングにより高分子化するため、凸版輪転機で印刷し
たものよりも脱インキ性に劣る。本発明者らは、この高
分子化したビヒクルのソーキングによる分解が、温度が
60℃以下ではほとんど起こらないが、約70℃から分解が
始まり、さらに高温になるにつれ、ビヒクルが分解され
やすくなることを見いだした。すなわち、温度70℃以上
でソーキングを行うことにより、インキビヒクルが特異
的に分解されることを見いだした。
さらに、本発明者らは、本発明の条件でソーキングを
行うと、インキ層がラメラ状に大きく剥離されることを
電子顕微鏡で確認した。このことによって、残インキ粒
子の微細化を抑制することができるとともに、効果的に
インキを剥離することができる。
また、ソーキングよりも先にニーディングする方法、
あるいはソーキングを兼ねてニーディングする方法は、
本発明と比較して残インキ粒子の微細化の度合が大きい
ことが分かった。その原因としては、繊維とインキ層の
接着力をソーキングにより十分に低下させる前に、イン
キ層に直接機械的な力を加えると、インキ層が小さく剥
離してしまうためであると考えられる。
[実 施 例] 以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1 オフ輪で印刷された新聞古紙を離解濃縮後、5容の
ラボフロテーターを用いて、パルプ濃度1%、温度40℃
でプレフローテーションを行った。このパルプを濃縮
後、第1表に示す条件で、ソーキング処理し、PFIミル
を用いてパルプ濃度15%で2000回転ニーディング処理
し、前記のフローテーターでインキを分離した。得られ
たパルプは、シートマシンを用いて常法によりシートを
作製し、エルレホ2000A(データカラー社製)を用い、T
APPI T−525に準じて白色度を測定した。また、ドット
アナライザーDA2001(神崎製紙社製)を用い、残インキ
面積率を求めた。その結果を第1表に示す。
比較例1 実施例1と同じ古紙を原料に、比較試験を行った。プ
レフローテーションの無い例、またはソーキング条件を
第1表のように変更したこと以外は、実施例1と同様に
古紙パルプを調製し、白色度および残インキ面積率を測
定した。その結果を第1表に示す。
実施例2 折り込みチラシを含む新聞古紙(チラシ含有率:新聞
/チラシ=7/3、新聞古紙の構成:オフ輪古紙/凸輪古
紙=6/4)を、第2表に示す条件でソーキングを行った
こと以外は、実施例1と同様の方法で古紙再生パルプを
調製した。得られたパルプに、150メッシュの標準篩で
フラクショネーションを行った後、ポスト・ブリーチン
グに供した。
ホスト・ブリーチングは、パルプ濃度5%、温度60
℃、処理時間1時間、ハイドロサルファイトを絶乾パル
プあたり1重量%添加して行った。
得られたパルプを実施例1と同様にシートを作製し、
白色度と残インキ面積率を測定した。その結果を第2表
に示す。
比較例2 実施例2と同じ折り込みチラシを含む新聞古紙を用い
て、比較実験を行った。ニーディングの無い例、または
ソーキング条件を第2表のように変更したこと以外は、
実施例2と同様に古紙パルプを調製し、白色度および残
インキ面積率を測定した。その結果を第2表に示す。
第1表および第2表から、本発明の古紙再生法で処理
した古紙パルプは、非常に良好な白色度を有することが
判る。
[発明の効果] 本発明によって、残インキ量が大幅に低減され、且つ
その残インキ粒子の微細化も抑制された、高白色度の古
紙パルプが得られる。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】離解処理した古紙パルプに含まれる剥離イ
    ンキをパルプと分離し、 次に、得られたパルプに、絶乾パルプあたり3〜6重量
    %のアルカリ、3重量%以上の過酸化水素および1〜12
    重量%のケイ酸ソーダを添加して、パルプ濃度10%以
    上、温度70℃以上でソーキングを行い、 続いて、パルプ濃度10%以上でニーディングを行うこと
    を特徴とする、古紙再生法。
  2. 【請求項2】ニーディングしたパルプを長繊維分と短繊
    維分とに分別することを特徴とする、請求項1に記載の
    方法。
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