JP2842445B2 - セツターを有する容器の製法、およびそれを用いる窒化アルミニウム基板の焼成方法 - Google Patents

セツターを有する容器の製法、およびそれを用いる窒化アルミニウム基板の焼成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔概 要〕 IC,LSI実装用の窒化アルミニウム基板ならびにその焼
成に使用できるセッターおよび容器の製法に関し、 荷重をかけたり、窒化アルミニウムの粉末中に埋設し
たりせずに、低い温度で焼成して、反りやうねりがな
く、緻密で熱伝導率の高い窒化アルミニウム基板を製造
すること、およびこれに使用する安価で耐久力のあるセ
ッターおよび容器を製造することを目的とし、 焼成用セッターおよび容器の製造を、溶融アルミナ
を、窒素雰囲気中で1600〜1900℃に加熱して表面を窒化
するように構成し、窒化アルミニウム基板の焼成を、表
面から深さ方向に1mm以上が窒化されて安定な窒化アル
ミニウムの単相となっている溶融アルミナのセッターお
よび容器を使用し、最高温度を1550〜1700℃として、非
還元性の雰囲気において焼結するように構成する。
〔産業上の利用分野〕
本発明は、IC,LSI実装用の窒化アルミニウム基板、な
らびにその焼成に使用するセッターおよび容器の製法に
関する。
〔従来の技術〕
IC,LSIなどの素子から高密度に実装するためには、熱
伝導性の優れた回路基板を必要とする。このように基板
材料としては、毒性のために使用範囲が限定されている
酸化ベリリウムがあるが、多くはアルミナが用いられて
いる。
そこで、酸化ベリリウムやアルミナに代わる基板材料
として、熱伝導率が高く、アルミナと同等な強度を有す
る窒化アルミニウムが使用されるようになってきてい
る。また、窒化アルミニウムは熱膨張がSiに近いことも
大きな利点である。
しかし、窒化アルミニウムは難焼結性で、単体では焼
結しにくく、このために通常の常圧焼結法においては焼
結助剤を添加することが多い。また、焼結助剤を用いず
に焼結する方法としてはホットプレス法があるが、量産
性に劣ることや複雑な形状のものが製造しにくいなどの
欠点を持つ。まして、内部に三次元の配線を有する回路
基板の焼結は不可能であった。
上記の焼結助剤としては、イットリウムやカルシウム
の酸化物が有効であることが知られている。(特開昭59
−207814号、特開昭60−60910号、特開昭60−71575号、
参照) これらの焼結助剤を用い、通常の常圧焼結法によって
得られる焼結体の熱伝導率は、温度プロファイルや雰囲
気(還元性雰囲気の利用など)により、180〜200W/mKと
アルミナの10倍以上のものが得られるようになってい
る。
また、窒化アルミニウムの最大の特徴である高熱伝導
性を損なうことなく、焼成するためには、焼結助剤や焼
成条件の最適化だけでなく、未焼結体を焼成炉内にどの
ようにセットするかが重要な問題であることが知られて
いる。(特開昭62−100479号、参照) 通常はグラファイト製の容器内におさめて焼成する
が、この場合はグラファイト容器の内側に窒化アルミニ
ウムや窒化ほう素の粉末を塗布するなどの工夫が見られ
る。これは、焼結助剤の酸化物が、周囲のグラファイト
によって還元されるのを防ぐためである。このような工
夫としては、未焼結体を窒化アルミニウム粉末中に埋設
する方法などが一般的とされている。
いずれにせよ、特開昭62−100479号が提供する、窒化
ほう素セッターと未焼結窒化アルミニウム積層体とを交
互に重ね、窒化ほう素容器内で焼成する方法が、窒化ア
ルミニウム焼結体を緻密にする上でも、反りやうねりを
なくす上でも効果が大きい。
しかし、窒化アルミニウム焼結体表面には窒化ほう素
の拡散が見られたり、基板内での収縮率にバラツキが大
きいなどの問題がある。このような問題があると、積層
体に内部配線を施したり、あるいはバイアを形成するな
どの複雑な構造の焼結体は得られない。
いずれにせよ、従来のセット方法で、酸化イットリウ
ムや酸化カルシウム系の焼結助剤を用いる場合には焼成
温度が、1700℃以上となる。このような高温では、電気
炉内の構造材をグラファイトとし、発熱体もグラファイ
トが用いられることが多い。さらに、前述のようにセッ
ターや容器は窒化ほう素かまたはグラファイトに限定さ
れる。
また、基板をタングステンと一体焼成する試みも増
え、タングステンの緻密化および最適な電気抵抗値を得
るには1700℃以下の低温が要求されている。
このような窒化アルミニウムの低温焼結をめざした技
術的な動きとしては、超微細な窒化アルミニウム粉末の
使用や、従来の焼結助剤の酸化イットリウムや酸化カル
シウムよりも低い温度で液相を形成する焼結助剤の検討
などがなされている。超微細な窒化アルミニウム粉末の
製造方法はCVD法などコストが高いものが多い。
〔発明が解決しようとする課題〕
窒化アルミニウムを1700℃以下で焼結する場合、従来
の還元性雰囲気中の焼成では、窒化アルミニウムの粉末
を使用したり、軟化点の低いガラス相を大量に焼結体中
に形成する必要があり、これによって、窒化アルミニウ
ム本来の特性が大幅に阻害される。たとえば、相対密度
は98%程度、熱伝導率は100W/mKに達しない。また、反
りやうねりが無く平坦な窒化アルミニウム基板を得るた
めに、窒化ほう素セッターの上で荷重をかけたり、窒化
アルミニウム粉末中に埋設したりする方法が多く用いら
れてきたが、この方法では量産性に劣ることはもちろ
ん、同一基板内での収縮率の制御や表面配線層およびバ
イアの形成ができないという問題があった。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題は、溶融アルミナを、窒素雰囲気中で温度16
00〜1900℃に加熱して表面を窒化することを特徴とす
る、焼成用セッターおよび容器の製法、および表面から
深さ方向に1mm以上が窒化されて安定な窒化アルミニウ
ムの単相となっている溶融アルミナのセッターおよび容
器を使用し、最高温度を1550〜1700℃として、非還元性
の雰囲気において未焼結窒化アルミニウム基板を焼成す
ることを特徴とする、窒化アルミニウム基板の焼成方法
によって解決することができる。
〔作 用〕
本発明では、窒化アルミニウム未焼結体が接触するセ
ッターの表面が窒化アルミニウムであるので、窒化ほう
素のセッターを用いた時のように反応相や拡散相がな
く、透光性の優れた窒化アルミニウム基板が得られる。
さらに、窒化アルミニウム粉末ともに焼成しないでも、
炉内にアルミニウムの雰囲気を作り出すことができて窒
化アルミニウムの分解を妨げる。
また、非還元性の雰囲気で焼成することによって、酸
化カルシウムなどの酸化物焼結助剤が十分な液相形成反
応を持続することが可能となる。また、溶融アルミナの
セッターや容器の表面が窒化アルミニウムであるので、
未焼結体が酸化されることがない。このようなことか
ら、窒化アルミニウムの超微細粉末を用いたり、多量の
ガラス相を形成したりすることなく、1700℃以下の低温
焼結が可能となる。
また本発明では、グラファイトや耐久性のない窒化ほ
う素の容器やセッターを用いなくてもいいので、炉内へ
の基板のセット方法が簡便となり、大型基板の焼成に適
している。
〔実施例〕
実施例 A.セッターおよび容器の表面の窒化 第1図に示すように、溶融アルミナセッター1を、窒
化ほう素スペーサー2を間に挿んで、溶融アルミナ容器
3内にセットし、炉内を窒素ガスで十分に置換した後、
室温で窒素ガスを150kg/cm2の圧力になるまで封入し、1
800℃まで4時間で昇温した。この時、1800℃での炉内
の圧力は500kg/cm2であった。1800℃,500kg/cm2の状態
を6時間保持した後、室温まで徐冷した。
表面が窒化された溶融アルミナの破断面を走査型電子
顕微鏡およびX線微量分析器で観察したところ、表面か
ら約1mmまで、アルミニウムと窒素がほぼ1:1の強度で測
定され、酸素は検出されなかった。
B.基板の焼成 厚さ150μmの窒化アルミニウムのグリーンシート10
枚を500kg/cm2のプレス圧で積層し、厚さ1mmの積層体と
し、900℃、9時間の条件で、湿潤窒素中において脱脂
した。
この脱脂した未焼結窒化アルミニウム基板4を、第2
図に示すように、表面を窒化したアルミナ容器3′内
の、窒化ほう素スペーサー2で隔てた、表面を窒化した
アルミナセッター1′の上にセットし、1600℃、15時間
の条件で1気圧、10/minの窒素気流中で焼成した。
焼成後、基板の密度と熱伝導率の測定を行った。ま
た、第3図に示す方法で基板の中央の突出対対角線の比
(h/)を測定して、反りを求めた。
比較例1 セッターおよび容器に窒化溶融アルミナを用いなかった
場合 焼成温度、時間は実施例と同じ 窒化ほう素製容器を使用(焼結体表面に窒化ほう素が
焼き付いた) グラファイト製容器を使用(焼結助剤が還元されて緻
密化しなかった) アルミナ製容器を使用(焼結体表面がアルミナ化し
た) 以上のように窒化溶融アルミナ以外のセッターや容器
を用いる場合は、窒化アルミニウムとのなんらかの反応
物が形成される。
比較例2 焼成雰囲気に窒素を用いなかった場合 気密性の高い状態(キャリアーガスか存在しないか、
あっても非常に少ない場合) 焼成温度、時間は実施例と同じ。溶融アルミナを窒化
したセッターおよび容器を使用。
還元性の高い雰囲気で焼成 焼成温度、時間は実施例と同じ。溶融アルミナを窒化
したセッターおよび容器を使用。
気密性が高い場合は、焼結体中に不純物が多量に残留
した。また還元性の高い雰囲気て焼成した場合は、焼結
助剤が焼結初期に還元され緻密化が十分に進まなかっ
た。
〔発明の効果〕
本発明によれば1700℃以下の低温焼成でも、緻密で熱
伝導率が高く、かつ反りのない平坦な窒化アルミニウム
基板が、窒化ほう素のような消耗がはげしく耐久性の弱
いセッターを用いなくとも得られ、コストの大幅な低減
が図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明によって溶融アルミナの容器およびセ
ッターの表面を窒化する配置を示す断面図であり、 第2図は、本発明によって窒化アルミニウム基板を焼成
する配置を示す断面図であり、 第3図は、基板の反り(h/)を示す説明図である。 1……溶融アルミナセッター、 1′……表面に窒化アルミニウムが形成された溶融アル
ミナセッター、 2……窒化ほう素スペーサー、 3……溶融アルミナ容器、 3′……表面に窒化アルミニウムが形成された溶融アル
ミナ容器、 4……未焼結窒化アルミニウム基板、 4′……焼結窒化アルミニウム基板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 41/80 - 41/91 C04B 35/581 - 35/582 C04B 35/64

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融アルミナのセッターとその容器を窒素
    雰囲気中で温度1600〜1900℃に加熱して、その表面を窒
    化することを特徴とする、窒化アルミニウム焼成用の、
    セッターを有する容器の製法。
  2. 【請求項2】表面から深さ方向に1mm以上が窒化されて
    安定な窒化アルミニウムの単相となっている溶融アルミ
    ナのセッターおよび容器を使用し、最高温度を1550〜17
    00℃として、非還元性の雰囲気において未焼結窒化アル
    ミニウム基板を焼成することを特徴とする、窒化アルミ
    ニウム基板の焼成方法。
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