JP2838600B2 - チップドレッサ用カッタ - Google Patents

チップドレッサ用カッタ

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JP2838600B2
JP2838600B2 JP9761191A JP9761191A JP2838600B2 JP 2838600 B2 JP2838600 B2 JP 2838600B2 JP 9761191 A JP9761191 A JP 9761191A JP 9761191 A JP9761191 A JP 9761191A JP 2838600 B2 JP2838600 B2 JP 2838600B2
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貞夫 亀井
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抵抗溶接機の電極チッ
プを整形するチップドレッサ用のカッタに関する。
【0002】
【従来の技術】チップドレッサは、ドレッサ本体に回動
自在に支持させたカッタホルダにカッタを保持させ、電
極チップをカッタに突き合てつつカッタホルダを回転さ
せて、電極チップの先端部をカッタにより切削整形すべ
く構成されている。従来、この種のカッタは、中央の柱
状ブロックと、該ブロックから放射方向に延出される複
数のカッタブレードとを備え、柱状ブロックの端面で電
極チップの先端面に対向する平坦部と、各カッタブレー
ドで平坦部の周囲の立上り部とを構成し、この立上り部
に電極チップの先端部外周面を切削する切刃を形成する
と共に、平坦部に、カッタホルダの回転中心から各カッ
タブレードに向ってのびる放射状の複数の切刃を形成
し、該複数の切刃で電極チップの先端面を切削するよう
に構成されている。然し、平坦部に複数の切刃を形成す
ると、これら切刃の交点となる中心部分の切刃がチゼル
エッジとなって、チップ先端面の中心部分を良好に切削
できなくなる。かかる不具合を解消すべく、平坦部にカ
ッタホルダの回転中心から所定の1つのカッタブレード
に向ってのびる単一の切刃を形成して成るカッタも実公
平2−44949号公報で知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の如く、平坦部に
形成する切刃を単一にすれば、回転中心に合致する切刃
の起点部分にもすくい角と逃げ角とを正確に付けられる
ようになり、チップ先端面の中心部分の切削性を向上で
きるが、このものでは切刃の起点部分の剛性が不足して
該部分が欠け易くなり、これが欠けるとチップ先端面の
中心部分に切り残しが発生するため、カッタをそれ以上
使用できなくなる。本発明は、以上の点に鑑み、平坦部
に形成する切刃を単一にしてチップ先端面の切削性を向
上させ且つ寿命を伸ばせるようにしたカッタを提供する
ことをその目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、
本発明カッタは、電極チップの先端部外周面を切削する
切刃を有する立上り部と、電極チップの先端面に対向す
る平坦部とを備え、該平坦部に、電極チップの先端面を
切削する単一の切刃を、カッタホルダの回転中心に合致
するカッタの中心点を起点として所定の半径方向にのび
るように且つ該切刃の起点部分が中心点を越えて前記半
径方向とは逆側に延出されるように形成したことを特徴
とする。
【0005】
【作用】平坦部に形成する単一の切刃の起点部分がカッ
タの中心点を越えて逆側に延出されるため、起点部分の
端が欠けても中心点までは切刃が存在し、かくてチップ
先端面の中央部に切り残しは発生せず、カッタの寿命が
伸びる。尚、切刃の逆側への延出部は、すくい面がカッ
タの回転方向と反対側を向くため切刃としては機能しな
いが、チップ先端面をしごいて該先端面を平滑にする機
能を発揮する。
【0006】
【実施例】図1を参照して、1はドレッサ本体を示し、
該本体1内に、中央部に凹入部2aと外周にギア2bと
を形成した一側のカッタホルダ2と、モータ3で駆動さ
れる他側の駆動ギア4と、該駆動ギア4をカッタホルダ
2のギア2bに連結する中間のアイドルギア5とを夫々
回動自在に収納し、該カッタホルダ2の凹入部2aにカ
ッタ6を収納して、モータ3の作動により駆動ギア4と
アイドルギア5とカッタホルダ2とを介してカッタ6が
回転されるようにし、ドレッサ本体1の上面に取付けた
ガイドプレート7に形成されるガイド孔7aを通して電
極チップWをカッタ6に突き合て、該カッタ6の回転で
該チップWの先端部を切削整形するようにした。
【0007】カッタ6は、図2及び図3に示す如く、中
央部に切粉排出穴61を形成した環状のベース板62に
周方向に間隔を存して複数例えば3個のカッタブレード
63を一体に立設して成るもので、ベース板62をカッ
タホルダ2の凹入部2aの底面に着座させ、該ベース板
62に形成したピン穴64に該底面に立設したピン2c
を嵌合させて(図1参照)、カッタ6をカッタホルダ2
に回り止めした。該カッタ6には、所定の2個のカッタ
ブレード63、63の径方向内端間に前記排出穴61を
横断するようにして跨るブリッジ65が形成されてお
り、該ブリッジ65により電極チップWの先端面に対向
する平坦部6aを構成すると共に、3個の各カッタブレ
ード63により立上り部6bを構成し、各カッタブレー
ド63に電極チップWの先端部外周面を切削する切刃6
cと、ブリッジ65に電極チップWの先端面を切削する
切刃6dとを形成した。これら各切刃6c、6dは、図
4及び図5に示す如く、カッタ6の回転方向(図3の反
時計方向)前面側のすくい面6c1、6d1と上面側の逃
げ面6c2、6d2とを有する。チップ先端面を切削する
切刃6dは、カッタホルダ2の回転中心に合致する中心
点Oを起点として所定の径方向にのびる単一の刃で構成
されており、更に該切刃6dの起点部分を中心点Oを越
えて前記半径方向とは逆側に延出した。この延出部6e
は、すくい面がカッタ6の回転方向後方を向くため、チ
ップ先端面の切削機能は発揮しないが、先端面をしごい
てこれを平滑にする機能を発揮する。又、延出部6eの
端は剛性が不足して欠け易くなるが、これが欠けても中
心点Oまでは切刃6dが存在するため、チップ先端面の
中心部に切り残しが発生することはない。更に、カッタ
ホルダ2に対するカッタ6の組付ガタ等によりカッタ6
の中心点Oがカッタホルダ2の回転中心に対し切刃6d
の長手方向に偏位しても、延出部6eが切刃として機能
して切り残しは発生しない。
【0008】又、本実施例において、電極チップWの先
端部外周面を切削する切刃6cは、その平坦部6a寄り
の基端と中心点Oとを結ぶ放射方向の線aに対し回転方
向前方に傾むいており、そのためカッタ6に電極チップ
Wに食い込む方向の力が付与され、チップドレッサを把
持する作業者がこれを電極チップ側に強く押さずに済
み、作業が容易になる。ところで、上記従来技術のよう
に、カッタの中央部に柱状ブロックを設けると、中央部
からの切粉の排出が困難になるが、本実施例では、ベー
ス板62の中心部に切粉排出穴61を形成し、且つ該穴
61を閉塞しないように、これを横断するブリッジ65
を設けて平坦部6aを構成するため、該排出穴61から
切粉を効率良く排出できる。尚、1個のカッタブレード
63から平坦部を延出してこれに切刃6dを形成するこ
とも考えられるが、この場合には平坦部が片持ち構造に
なって切削時にビビリを生じ易くなるのに対し、本実施
例では平坦部6aを2個のカッタブレード63、63に
跨るブリッジ65で構成するため、平坦部6aを両端支
持構造としてビビリの発生を防止できる。尚、上記実施
例では、切刃6dを直状に形成したが、図13に示すよ
うに切刃6dの外端部を平面視弧状に湾曲させてブリッ
ジ65の一端のカッタブレード63の切刃6cに連続さ
せるようにしても良い。
【0009】図6及び図7は、ロボット等に搭載する溶
接ガンの1対の電極チップW、Wを整形する据付け式の
チップドレッサを示し、ドレッサ本体1内にカッタホル
ダ2をその外周のギア2bに咬合する駆動ギア4と2個
のサポートギア8、8とで回動自在に支持し、カッタホ
ルダ2の凹入部2aに収納される支持プレート9を設け
て、該支持プレート9に図8に示す如く形成した直径方
向に長手のスリット状の溝9aに、1枚板から成る上下
の刃を有するカッタ6を嵌合させ、該カッタホルダ2に
上側のガイドプレート7とカッタ6の押え板10と支持
プレート9とを共締めし、更にカッタホルダ2の下面に
下側のガイドプレート7´をねじ止めし、1対の電極チ
ップW、Wを溶接ガンの閉じ動作により夫々各ガイドプ
レート7、7´を通してカッタ6の上下の刃に突き合て
るようにした。
【0010】該カッタ6の上下の刃は鏡面対称になるよ
うに形成されており、以下上刃についてその構成を図8
及び図9を参照して詳述する。本実施例において、前記
溝9aはその溝幅方向の中心線が支持プレート9の所定
の直径線に対し平行で且つ側方に少許オフセットするよ
うに形成されており、カッタホルダ2の回転中心に合致
するカッタ6の中心点Oがカッタ6の板厚方向中心から
片側にずれる。そして、カッタ6の長手方向中央部を下
方に凹入させて、チップ先端面に対向する平坦部6aと
その両端の立上り部6b、6bとを形成し、中心点Oに
対する板厚方向距離の短い側面がカッタ回転方向(図8
の時計方向)を向く一方の立上り部6bに、図10に示
す如く該側面をすくい面6c1、上面側を逃げ面6c2
する切刃6cを形成すると共に、他方の立上り部6b
に、図11に示す如くその回転方向前面側に形成した切
込み部をすくい面6c1、上面側を逃げ面6c2とする切
刃6cを形成して、該両切刃6c、6cにより電極チッ
プの先端部外周面を切削するようにした。平坦部6aに
は、図12に示す如く平坦部6aの前記側面に形成した
切込み部をすくい面6d1、上面側を逃げ面6d2とする
切刃6dが、中心点Oを起点として前記一方の立上り部
6bの切刃6cの基端に向って径方向にのび且つ起点部
分が中心点Oを越えて逆側に延出されるように形成され
ており、該切刃6dによりチップ先端面を切削すると共
に、切刃6dの逆側への延出部6eにより上記実施例と
同様にチップ先端面の切り残しの発生が防止されるよう
にした。
【0011】ところで、支持プレート9の直径線上に前
記溝9aを形成して、中心点Oがカッタ6の板厚方向中
心に位置するようにした場合、各切刃6c、6dをその
すくい面がカッタ6の板厚方向中心線に沿うように形成
せざるを得なくなり、各切刃6c、6dの厚さがカッタ
6の板厚の半分程度になってしまうが、本実施例のよう
に中心点Oをカッタ6の片側の側面に近付ければ、カッ
タ6の板厚を増さなくても各切刃6c、6dの厚さを比
較的大きく取ることができ有利である。尚、カッタ6の
一側の側面に中心点Oが合致するように溝9aを形成し
ても良いが、これでは、他側の側面が回転方向前方を向
く前記他方の立上り部6bに形成する切刃6cを、中心
点Oに向って一側面側に近付く方向に大きく傾むけなけ
ればならず、この切刃6cの厚さが減少するため、本実
施例のように中心点Oが一側面の少許内側に位置するよ
うに溝9aを形成することが望ましい。図中9bは支持
プレート9に形成した切粉排出穴であり、溝9aの一側
の切粉排出穴9bには、切刃9dによる切粉を受入れる
穴部9cが一体に形成されるが、溝9aを支持プレート
9の直径線に対しオフセットすることで、溝9aの一側
に穴部9cを有する大きな切粉排出穴9bを形成できる
ようになる。又、カッタ6は溝9aに上下方向に少許摺
動し得るように嵌合されており、上下一方の電極チップ
の削り代が大きくなったときは切削反力でカッタ6が他
方の電極チップ側に押され、両チップの削り代が均等に
なるにカッタ6が自動的に位置調整されるようにした。
又、前記各切刃6cは、その平坦部6a寄りの基端と中
心点Oとを結ぶ放射方向の線aに対し回転方向後方に傾
むいており、電極チップへの食い込みを少なくしてチッ
プを滑らかに切削し得るようにした。
【0012】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、チップ先端面を中心点から径方向にのびるチ
ゼルエッヂの無い単一の切刃で良好に切削できると共
に、中心点の逆側に切刃を延出するため、切刃の端が欠
けても、欠けるのは延出部であって中心点までは切刃が
存在し、チップ先端面をその中心部に切り残しを生ずる
ことなく切削でき、カッタの寿命が伸びる効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明カッタを具備するチップドレッサの一
側の截断側面図
【図2】 そのカッタの斜視図
【図3】 そのカッタの平面図
【図4】 図3のIV−IV線截断面図
【図5】 図3のV−V線截断面図
【図6】 本発明の他の実施例のカッタを具備するチッ
プドレッサの截断側面図
【図7】 そのチップドレッサの平面図
【図8】 その要部の拡大平面図
【図9】 図8のIX−IX線截断面図
【図10】 図8のX−X線截断面図
【図11】 図8のXI−XI線截断面図
【図12】 図8のXII−XII線截断面図
【図13】 図3のカッタの変形例の平面図
【符号の説明】 2 カッタホルダ 6 カッタ 6a 平坦部 6b 立上り部 6c 立上り部の切刃 6d 平坦部の切刃 6e 中心点の逆側への切刃の延出部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抵抗溶接機の電極チップを整形するチッ
    プドレッサ内のカッタホルダに保持されるカッタであっ
    て、電極チップの先端部外周面を切削する切刃を有する
    立上り部と、電極チップの先端面に対向する平坦部とを
    備え、該平坦部に、電極チップの先端面を切削する単一
    の切刃を、カッタホルダの回転中心に合致するカッタの
    中心点を起点として所定の半径方向にのびるように且つ
    該切刃の起点部分が中心点を越えて前記半径方向とは逆
    側に延出されるように形成したことを特徴とするチップ
    ドレッサ用カッタ。
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