JP2837250B2 - 芳香族スルホンの製造方法 - Google Patents

芳香族スルホンの製造方法

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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07CACYCLIC OR CARBOCYCLIC COMPOUNDS
    • C07C315/00Preparation of sulfones; Preparation of sulfoxides

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、芳香族スルホンの新規な製造法に関するも
のであり、さらに詳しくは、芳香族スルフィン酸又はそ
の塩と芳香族ハロゲン化合物をカップリングさせること
からなる芳香族スルホンの製造法に関するものである。
【従来の技術】
芳香族スルホンは、安定で耐熱性が優れているため、
各種耐熱性高分子材料樹脂用の安定剤として有用な化合
物であり、その他、重合溶媒、医薬農薬の原料としての
用途もある化合物である。 従来、芳香族スルホンの製造方法に関しては、例えば
次のような方法が知られている。すなわち、 (1)芳香族スルホクロリドと芳香族炭化水素とを、無
水塩化アルミニウム、無水塩化第二鉄のようなルイス酸
触媒下でフリーデルクラフツ反応を行わる方法、 (2)芳香族スルホクロリドと芳香族炭化水素とを芳香
族スルホン酸の共存下に反応させる方法、 (3)芳香族スルホン酸と芳香族炭化水素を、酸化リン
系の脱水剤の存在下あるいは物理的手段で水を除去する
ことによって反応させる方法、 (4)芳香族炭化水素と無水硫酸及び硫酸ジメチルの混
合物とを反応させる方法、 (5)芳香族スルホクロリドと芳香族炭化水素とをスル
ホン型イオン交換樹脂の共存下に反応させる方法(特開
昭50−53345公報)、 (6)芳香族スルホクロリドあるいは芳香族スルホン酸
と芳香族炭化水素とを、パーフルオロスルホン酸型樹脂
の存在下に反応させる方法(特開昭61−16385公報、特
開平1−299266公報)、 (7)アリールスルフィン酸、またはその塩と芳香族ニ
トロ化合物とを反応させる方法(特開昭63−22063公
報)、 などが知られている。
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法は、下記のような問題
点を有している。すなわち、 (1)の方法では、芳香族スルホクロリドに対して等モ
ルのルイス酸触媒が必要であり、しかもルイス酸触媒は
その分離が煩雑であるため、再使用することができな
い、 (2)の方法では、芳香族スルホクロリドに対し等モル
の芳香族スルホン酸が必要とされ、また、芳香族スルホ
ン酸の回収は複雑で、しかも一般に水和物として回収さ
れるため、再使用するためには脱水工程が必要になる、 (3)の方法では、通常、脱水剤が芳香族スルホン酸に
対して0.5〜1.0モル必要であり、しかもその脱水剤を再
使用することができない、 (4)の方法は、対称スルホンを合成する場合に限ら
れ、毒性の強いジメチル硫酸を大量に使用するため、廃
液の処理などに問題が多い、 (5)の方法では、170℃以上の反応温度においてイオ
ン交換樹脂に脱スルホン化が起こり、再使用に耐え得な
くなる、 (6)の方法は、反応中にHClガスの発生、或いは、生
成水の除去工程を必要とするという問題を含んでいる、 (7)の方法は、無触媒で反応が進行するが、用いる原
料に制限がある、 などの欠点を有している。 したがって、本発明は、従来の技術における上記のよ
うな欠点を改善することも目的としてなされたものであ
る。 本発明の目的は、カップリング反応により高選択的か
つ高収率で芳香族スルホン、特に非対称構造を有する芳
香族スルホンを製造する新規な方法を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記のような問題点を解決すべく鋭意
検討した結果、芳香核にハロゲン原子を有しない芳香族
スルフィン酸又はその塩と芳香族ハロゲン化合物とを、
特定化合物の存在下にカップリングさせる新規な方法に
より、芳香族スルホン、特に非対称構造を有する芳香族
スルホンが高選択的かつ高収率で得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。 本発明の上記目的は、芳香族にハロゲン原子を有しな
い芳香族スルフィン酸又はその塩と、少なくとも1個の
ハロゲン原子を芳香核に有する芳香族ハロゲン化合物と
を、Ni化合物の存在下にカップリング反応させることに
より、容易に達成することができる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において出発原料の一つである芳香核にハロゲ
ン原子を有しない芳香族スルフィン酸又はその塩として
は、芳香核にハロゲン原子を有しないものであれば特に
限定されるものではない。芳香族スルフィン酸の塩とし
ては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩あるいは亜鉛塩等があげられ、好ましくはアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩が用いられる。 これらの芳香族スルフィン酸の芳香核は、ベンゼン
環、ビフェニル環やナフタレン環の様な縮合環は勿論の
こと、ピリジン環等の複素環であってもよい。 これらの芳香族スルフィン酸またはその塩は、本発明
のカップリング反応に悪影響を与えない置換基を有して
もよい。なお、置換基としてハロゲン原子を有している
と、逐次反応を誘因するため、本発明の上記目的が達成
できなくなるので、本発明においては、ハロゲン原子を
有していないことが必要である。 本発明において使用する芳香族スルフィン酸またはそ
の塩としては、具体的には、ベンゼンスルフィン酸;ト
ルエンスルフィン酸、キシレンスルフィン酸等のアルキ
ルベンゼンスルフィン酸;メトキシベンゼンスルンフイ
ン酸、エトキシベンゼンスルフィン酸等のアルコキシベ
ンゼンスルフィン酸等;その他アミノ基、ニトロ基、シ
アノ基、カルボン酸エステル基、アセチル基、アセチル
アミノ基等の置換基を芳香核に有するベンゼンスルフィ
ン酸及びナフタレンスルフィン酸、及びこれらのアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩等があげられる。 本発明において、出発原料の他の一つである芳香族ハ
ロゲン化合物は、少なくとも1個のハロゲン原子を芳香
核炭素原子に有するものであり、そのハロゲン原子とし
ては、塩素原子、臭素原子、よう素原子があげられる。 これらの芳香族ハロゲン化合物における芳香核は、ベ
ンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環のような縮合
環、又はピリジン環のような複素環であることができ
る。これらの芳香核は、ハロゲン原子の外に、カップリ
ング反応に悪影響を与えない置換基を有していてもよ
い。 これら芳香族ハロゲン化合物の具体例としては、例え
ば、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼ
ン、p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、ク
ロロトルエン、ブロモトルエン、クロロキシレン、ブロ
モキシレンの如き、クロロアルキルベンゼンおよびブロ
モアルキルベンゼン、クロロアニソール、ブロモアニソ
ールの如き、クロロアルコキシベンゼンおよびブロモア
ルコキシベンゼン、その他、置換基としてアミノ基、ニ
トロ基、シアノ基、カルボン酸エステル基、アセチル
基、アセチルアミノ基等を有するクロロベンゼン、ブロ
モベンゼン、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ク
ロロビフェニル、ブロモビフェニル、クロロジフェニル
スルホン、ブロモジフェニルスルホン、クロロピリジン
およびブロモピリジン等があげられる。しかしながら、
本発明において使用される芳香族ハロゲン化合物は、上
記例示したものに何等限定されるものではない。 本発明において、芳香族ハロゲン化合物の使用量は特
に限定されるものではないが、通常は、上記芳香族スル
フィン酸又はその塩1モルに対し1モル使用するのが好
適である。 本発明のカップリング反応は、上記芳香族スルフィン
酸又はその塩と芳香族ハロゲン化合物とを溶剤に溶解
し、Ni化合物の存在下、加熱することによって実施され
る。 本発明において使用するNi化合物としては、NiBr2、N
iCl2等の2価のNi化合物及びNi{P(C6H5、Ni
(シクロオクタジエン)等の0価のNi化合物があげら
れる。これらの中でも、特にNiBr2、NCl2等のニッケル
のハロゲン化物を使用することが好ましい。また、これ
らNi化合物の使用量は、芳香族スルフィン酸又はその塩
1モルに対して0.0001から1モル、好ましくは0.001か
ら0.1モルの範囲で選択される。溶媒としては、反応原
料を溶解できるものであれば如何なるものでも使用する
ことができ、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含
りん化合物等の極性溶媒があげられる。具体的には、N
−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチル
フォスホリックトリアミド等があげられる。 本発明においては、Ni化合物の触媒活性を向上させる
ため、反応系に更に塩基性化合物を存在させることが好
ましい、そのような塩基性化合物としては、トルエチル
アミン、ジ(n−ブチル)アミン、ピリジン等の塩基性
有機物質、又は、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、
酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム等
の塩基性無機物質があげられるが、この中でも、特にト
リエチルアミンを使用するのが好ましい。 これらの塩基性化合物の使用量は特定されるものでは
ないが、通常は前記芳香族スルフィン酸又はその塩1モ
ルに対して、0.01〜20モル、好ましくは、0.1〜5モル
の範囲で選択される。 本発明において、反応温度は、反応原料が溶媒に溶解
する温度であれが、如何なる温度でもよいが、通常60〜
200℃、好ましくは100〜180℃の範囲が適している。 また、反応時間は、通常数時間であるが、反応温度や
触媒化合物の使用量などの反応条件の変化により変動す
る。 本発明において、カップリング反応は、空気中で行っ
てもよいが、窒素、アルゴン等の不活性気体雰囲気下で
行うのが好ましい。 本発明におけるカップリング反応は、回分法あるいは
連続法によって行うことができる。 また、目的生成物とNi化合物は、公知の方法、例えば
蒸留晶析等の方法により分離される。
【実施例】
次に、本発明を実施例によって更に詳細に説明する
が、本発明は、その要旨を越えない限り、それら実施例
に限定されるものではない。 実施例1 p−トルエンスルフィン酸ナトリウム3.56g(20mmo
l)、ブロモベンゼン3.14g(20mmol)、臭化ニッケル0.
219g(1mmol)、トリエチルアミン0.405g(4mmol)及び
N−メチル−2−ピロリドン30mlを100ml丸底フラスコ
中に入れ、窒素気流下、150℃で8時間反応させた。反
応終了後、反応液をエタノールで希釈し、高速液体クロ
マトグラフにより分析したところ、両反応原料の転化率
100%であり、4−メチルジフェニルスルホンの収量は1
6.3mmol(収率81%)であった。 実施例2 p−トルエンスルフィン酸ナトリウム1.79g(10mmo
l)、ブロモアニソール1.87g(10mmol)、臭化ニッケル
0.110g(0.5mmol)、トリエチルアミン0.20g(2mmol)
及びN−メチル−2−ピロリドン15mlを100ml丸底フラ
スコ中に入れ、アルゴン気流下、150℃で8時間反応さ
せた。反応終了後、反応液をメタノールで希釈し、高速
液体クロマトグラフにより分析したところ、4−メチル
−4′−メトキシジフェニルスルホンの収量は7.5mmol
(収率75%)であった。 比較例1 n−トルエンスルフィン酸ナトリウム1.79g(10mmo
l)、クロロブロモンベンゼン1.93g(10mmol)及びジメ
チルスルホキシド15mlを100ml丸底フラスコ中に入れ、
アルゴン気流下、150℃で8時間反応させた。反応終了
後、反応液をメタノールで希釈し、高速液体クロマトグ
ラフにより分析したところ、スルホン化合物は全く生成
していなかった。
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を有するから、種々の工業原料
として有用な化合物である芳香族スルホンを、高選択的
かつ高収率で得ることができ、そして、特に芳香核に種
々の置換基を有する非対称構造を有する芳香族スルホン
を製造するのに有用である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07C 317/14,317/22 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香核にハロゲン原子を有しない芳香族ス
    ルフィン酸又はその塩と、少なくとも1個のハロゲン原
    子を芳香核に有する芳香族ハロゲン化合物とを、Ni化合
    物の存在下にカップリング反応させることを特徴とする
    芳香族スルホンの製造法。
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