JP2835361B2 - 既設トンネル内からの上向き路推進掘削における推進管落下防止装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はトンネル工事において、
横向きの既設トンネルから換気口や構築物の基礎等の構
築のために、上向きのトンネルを掘削する、既設トンネ
ル内からの上向き路推進掘削における推進管落下防止装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、既設トンネルに対し、換気口等の
上向き路を掘削する際には、地上より下向きにプレキャ
ストコンクリート筒を推進させつつ掘削する方法が一般
的であった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような従来の、い
わゆる堅坑の掘削成形方法では、作業設備を多く要する
ために広い地上作業用地が必要になり、近接している構
造物にも悪影響を及ぼす等の問題があった。

【０００４】そこで、従来の推進管によるトンネル掘削
推進工法を利用し、既設トンネル内から上向きに推進す
る方法が考えられるが、この場合には、既設トンネル内
の作業空間が狭いため、上向き立坑部の推進管の長さに
制約を受け、短いものを多数連結して下端より押し上げ
て推進させることになり、その際の推進管連結作業時に
先に押し上げた推進管が落下する危険性があるという問
題がある。

【０００５】本発明はこのような問題にかんがみ、上向
き路の掘削成形に際し、推進管を押し上げつつ掘削する
推進工法を採用する場合において、先に押し上げられた
推進管の落下を防止し、安全に作業ができるようにした
推進管落下防止装置の提供を目的としてなされたもので
ある。

【０００６】

【課題を達成するための手段】上述の如き従来の問題を
解決し、所期の目的を達成するための本発明の要旨とす
るところは、既設トンネル内から上向きに推進管を順次
連結して押し上げつつ上向き路を推進掘削するための前
記各推進管の外周に凹陥部を設け、該凹陥部内に横向き
の枢軸を介して下側が推進管外周面に突出可能に枢支さ
れた係止具を設け、該係止具を既設トンネル底部に支持
させた縦向きのサポート用ジャッキにて係止させるよう
にしてなる既設トンネル内からの上向き路推進掘削にお
ける推進管落下防止装置に存する。

【０００７】

【作用】本発明の推進管落下防止装置では、既設トンネ
ルの底部に反力を取って、推進ジャッキにより推進管を
介して掘進機を押し上げる。一方サポート用ジャッキは
上端を係止具下に位置させておき、係止具を手作業で張
り出させ、その下側に該ジャッキの上端を係止させ、推
進ジャッキによる押し上げと同時に伸長させる。尚、推
進ジャッキをもって一定ストローク分だけ押し上げた
後、最下端部の推進管の外周の係止具を手作業で張り出
させるとともに、サポート用ジャッキを伸長させて、そ
の上端を係止具下に係止させてもよい。これによって推
進管の落下を防止させる。この状態で推進用ジャッキを
降下させ、その上に次に連結する推進管を載荷させて押
し上げ、先に押し上げられた最下端部の推進管の下端に
連結し、更に押し上げて掘進させる。掘進中はサポート
ジャッキを次の推進管の係止具下まで降下させて待機さ
せる。

【０００８】

【実施例】次に本発明の実施例を図面について説明す
る。

【０００９】図１，図２は本発明の実施の一例の概略構
成を示しており、図において、１は既設トンネルであ
り、２はその覆工である。３は既設トンネル１から上向
きに押し上げられて上向き路を掘削するための掘進機で
ある。この掘進機３は、その下端に推進管４，４……が
連結され、推進ジャッキ５，５……により既設トンネル
１の底部に反力を取って押し上げられることにより推進
されるようになっている。

【００１０】最下端の推進管４ａ下には、次に連結する
推進管４ｂを搬入するための水平移動台車６が出入され
るようになっている。この台車６はレール６ａ上を水平
ジャッキ７によって往復動作されるようになっている。
尚、図において、８は推進管受け台であり、その上に推
進管４ｂを搭載し、台車６とともに先に押し上げられた
最下端の推進管４ａ下に挿入し、底面が推進ジャッキ
５，５……により押し上げられるようになっている。

【００１１】推進ジャッキ５によって押し上げられる最
下端の推進管４ａの外側には、その外周に沿ってトンネ
ル底部より三本のサポート用ジャッキ１０，１０，１０
が立設されている。

【００１２】一方各推進管４には、外周の３箇所に係止
具１２が枢支されている。この係止具１２は、図３，図
４に示すように上端側が推進管外周に形成された凹陥部
１１内に横架された水平軸１３によって回動自在に支持
され、下端側が軸１３を中心にして回動し、推進管４の
外周面外に突出されるようになっており、略下向き４５
°の角度でそれ以上の回動が阻止されるようになってい
る。

【００１３】また、これら３箇所の係止具１２に対応さ
せた位置に前述したサポート用ジャッキ１０が立設され
ている。

【００１４】次にこの装置を使用した推進掘削方法につ
いて説明する。

【００１５】まず図５に示すように、推進ジャッキ５，
５……上に推進管受け台８を支持させ、その上に推進管
４及び推進機３を互いに連結した状態で支持させ、推進
ジャッキ５，５……によりこれらを押し上げて掘進させ
る。

【００１６】このようにして一定のストローク分だけ押
し上げた後、推進ジャッキ５，５……による押し上げを
停止させる。このとき各サポート用ジャッキ１０の上端
１０ａを係止具１２下に位置させ、最下端の推進管４ａ
の外周の各係止具１２を手作業で回動させて突出させ、
サポート用ジャッキ１０の上端１０ａを係止具１２下に
係止させた状態で伸長させる。これによって推進管４の
降下が阻止される。

【００１７】次いで図６に示すように、推進ジャッキ
５，５……を縮めて推進管受け台８を台車６上に載せ、
水平ジャッキ７により台車６とともに推進管受け台８を
引き出し、その上に図７に示すように次の推進管４ｂを
載置して先に押し上げた推進管４ａ下に挿入し、推進ジ
ャッキ５により、推進管４ａに接合するまで押し上げ、
上下の推進管４ａ，４ｂを互いに連結した後、推進ジャ
ッキ５，５……により更に押し上げて掘進する。

【００１８】この動作を繰り返して推進管４ａ下に推進
管４ｂを順次連結させて上向き路を掘進する。

【００１９】

【発明の効果】上述したように本発明の既設トンネル内
からの上向き路推進掘削における推進管落下防止装置に
よれば、推進管の外周に出入自在に係止具を設けてお
き、これをサポート用ジャッキによって係止させるよう
にしたことによって推進管の降下が確実に阻止され、安
全な状態で既設トンネル内からの上向き路を推進掘削す
ることが可能となったものある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の概略構成を示す横断面図で
ある。

【図２】同上の縦断面図である。

【図３】推進管の係止具部分の拡大断面図である。

【図４】同上の正面図である。

【図５】本発明装置によるトンネル掘進状態を示す断面
図である。

【図６】同上の次工程状態を示す断面図である。

【図７】同上の次工程状態を示す断面図である。

【図８】同上の次工程状態を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 既設トンネル ２ 覆工 ３ 掘進機 ４ 推進管 ５ 推進ジャッキ ６ 水平移動台車 ６ａ レール ７ 水平ジャッキ ８ 推進管受け台 １０ サポート用ジャッキ １１ 凹陥部 １２ 係止具 １３ 水平軸

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原 修一 東京都品川区東大井１丁目11番25号 五 洋建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 田中 潔 東京都品川区東大井１丁目11番25号 五 洋建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 新舎 博 東京都品川区東大井１丁目11番25号 五 洋建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 金子 研一 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大 成建設株式会社内 (72)発明者 金子 迪弌 東京都新宿区西新宿一丁目25番１号 大 成建設株式会社内 (72)発明者 伊藤 広幸 愛知県知多市北浜町11番１号 石川島播 磨重工業株式会社 愛知工場内 (72)発明者 橋本 博英 東京都中央区八重州２丁目６番21号 石 川島建材工業株式会社内 (72)発明者 小林 一博 東京都中央区八重州２丁目６番21号 石 川島建材工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭64−42393（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E21D 3/00 E21D 9/06 311

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 既設トンネル内から上向きに推進管を順
   次連結して押し上げつつ上向き路を推進掘削するための
   前記各推進管の外周に凹陥部を設け、該凹陥部内に横向
   きの枢軸を介して下側が推進管外周面に突出可能に枢支
   された係止具を設け、該係止具を既設トンネル底部に支
   持させた縦向きのサポート用ジャッキにて係止させるよ
   うにしてなる既設トンネル内からの上向き路推進掘削に
   おける推進管落下防止装置。